JP4926800B2 - 電池用セパレータ及びその製造方法ならびにそれからなる電池 - Google Patents

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Description

本発明は、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池等のアルカリ一次電池に好適な電池用セパレータ、及び該電池用セパレータを具備してなるアルカリ一次電池に関するものであり、さらに詳細には耐アルカリ性繊維を含む湿式不織布に、特定のシート強力を保持するナノレベルの超極細繊維を積層させたアルカリ一次電池用セパレータに関する。
一般にアルカリ一次電池には、正極活物質と負極活物質を隔離するためセパレータが用いられている。このセパレータには、
(1)正極活物質と負極活物質の内部短絡を防止すること、
(2)十分な起電反応を生じさせるために高い電解液吸液性を有し、イオン伝導性が良好で電気抵抗が低いこと、
(3)電池内部に組み込まれた際の占有率が小さく、正極活物質・負極活物質等の量を増やせる(電池使用可能時間を長くできる)こと、
などの様々な性能が要求される。
上記の性能を達成すべく、耐薬品性、親水性、機械的性能等に優れるポリビニルアルコール系繊維を用い、さらに電解液吸液性等を高めるためにセルロース系繊維等を併用した電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、特許文献1の電池用セパレータを用いた場合、電解液中での水素の発生を抑えるために、負極を構成する亜鉛に添加されているアルミニウムの作用によって針状の酸化亜鉛が析出する、いわゆるデンドライトに起因した短絡が生じ、電圧の異常低下を引き起こし、結果として電池寿命が短くなるという問題がある。
また、従来のアルカリマンガン電池の正極合剤として使用される二酸化マンガンと黒鉛混合物は、高温保存下では合成繊維とセルロース系繊維を配合したアルカリマンガン電池用セパレータでは正極合剤との接触面に存在するセルロース系繊維が酸化劣化することで正極容量が低下し、電池性能が低下する問題がある。
一方、近年の各種デジタル機器の急速な普及、高機能化により、アルカリ電池にはより一層の電池特性の改善が求められている。これら電池に使用される機器の負荷電力は次第に大きくなり、強負荷放電性能に優れる電池が要望されている。そこで、正極活物質として二酸化マンガンにオキシ水酸化ニッケルを混合し、強負荷放電特性を向上させたアルカリ電池も実用化されている。しかし、オキシ水酸化ニッケルは、二酸化マンガンよりも酸化力が強いので、上記アルカリ電池用セパレータでは、正極合剤との接触面に存在するセルロース繊維が非常に速く酸化劣化し、強負荷電池性能が低下する問題が指摘されている。
また正極活物質と負極活物質との内部短絡を防止するために、耐アルカリ性繊維としてポリビニルアルコール系繊維とセルロース系繊維を用い、これらを叩解し、繊維密度の高い緻密層と密度の低い保液層(粗層)を組み合せた二層構造の電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献2の電池用セパレータでは、良好な吸液性能と内部短絡防止機能を両立させるのは難しく、デンドライトによる短絡を防止するために緻密層の比率を多くすると吸液量が少なくなり、液切れによる内部短絡が生じて電池寿命が短くなるという問題がある。また緻密層にセルロース繊維の高叩解品を使用するとセパレータ自体のコシが低下するために、電池の搬送や携帯時における振動・落下の衝撃によってセパレータ自体が座屈し、内部短絡を生じてしまう事象も発生する。さらに、正極活物質に使用されている二酸化マンガンとの接触面に存在するセルロース繊維が酸化劣化を受け、電池寿命が短くなる問題があり、当然オキシ水酸化ニッケルを混合した正極合剤を使用した高性能(強負荷放電特性に優れる)電池内では、さらに速くセルロース繊維が酸化劣化し、強負荷放電性能が低下する問題があった。
一方、内部短絡を防止するために耐アルカリ性繊維とセルロース繊維を併用した紙または不織布と、セロファンフィルムを併用したものが採用されている。しかし、該セパレータは吸液性能に劣り、吸液量を確保するには紙基材を多くする必要がある。そのため、電池内部でのセパレータの占有率が増え、正極・負極活物質の量が制限され、さらにセロファンフィルムを使用すること、及び紙基材を多くしたことによって極間距離が長くなり、内部抵抗の上昇を招き、結果的に大容量の放電性能が得られなくなるという問題があった。
また、耐アルカリ性繊維を用いた紙基材に吸液性能を向上させるために、架橋型高吸水高分子を0.5〜10.0g/m含浸・塗布した電池用セパレータが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。しかしながら特許文献3〜5のセパレータもデンドライトの成長を抑制できないため、デンドライトによる短絡を高度に防止することは難しく、内部短絡を生じてしまう問題がある。
さらには、ナノレベルの繊維径を有する繊維を用いた電池用セパレータも提案されている(例えば、特許文献6〜7参照。)。しかし、特許文献6、7のようにナノレベルの繊維径を有する繊維を用いることによりデンドライトに起因した内部短絡防止には効果を発揮するものの、繊維の微細な毛管現象による電解液の保持にのみ依存し繊維自体が液を保持しておらず、また積層させる基材についても電解液の保持に特化したものではない。そのため放電末期になると液枯れが発生しやすく、結果的に使用期間が短くなるという問題があった。
特開平6−163024号公報 特開平10−092411号公報 特開昭57−105957号公報 特開昭57−105958号公報 特開平2−078150号公報 特開2005−264420号公報 特開2006−244804号公報
本発明の目的は、上記したような問題点を鑑み、電解液の吸液性を高め、電解液を長時間保持して、正極合剤に使用されている二酸化マンガンやオキシ水酸化ニッケル混合物からの酸化劣化を受け難く、さらに負極におけるデンドライトの成長を抑制することで内部短絡を防止し、且つセパレータ自身の電気抵抗も低く、さらには電解液吸液後の厚さを抑制し、正極合剤および負極合剤の容量を増やすことを可能とし、また製造工程時に微細なナノファイバー層が損傷しにくいアルカリ電池用セパレータを提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、耐アルカリ性繊維を用いた湿式不織布に特定のケン化度及び重合度よりなるポリビニルアルコール系ポリマーをナノレベルまで細くした繊維状物を積層させることにより、製造工程において微細なナノファイバー層が損傷しにくく、さらに不織布の細孔を詰めるとともに高吸液性能を長時間保持することが可能であり、且つ正極剤である二酸化マンガンや、強酸化剤であるオキシ水酸化ニッケル混合物による酸化劣化を受け難い電池用セパレータが得られることを見出し、また基材としても耐アルカリ性があり、吸液性が高い繊維で構成することにより、より放電末期の電池性能低下を抑制できることを見出した。
すなわち本発明は、ケン化度90.0〜99.9モル%、平均重合度400〜4000、繊維直径が10〜1000nmであるポリビニルアルコール系ポリマーを含むナノファイバーと、耐アルカリ性繊維で構成された湿式不織布よりなる基材とが積層一体化されてなり、かつ積層一体化されたナノファイバーの坪量が0.1〜10g/mであるアルカリ電池用セパレータであり、好ましくはポリビニルアルコール系ナノファイバーよりなる層の比引張強力が36.0N・m/g以上である上記のアルカリ電池用セパレータである。
そして本発明は、好ましくは基材を構成する耐アルカリ性繊維の一部が有機溶剤系セルロース系繊維である上記のアルカリ電池用セパレータであり、より好ましくは基材を構成する耐アルカリ性繊維の一部がマーセル化された天然セルロース系繊維である上記のアルカリ電池用セパレータであり、さらに好ましくは基材を構成する耐アルカリ性繊維の一部がポリビニルアルコール系繊維である上記のアルカリ電池用セパレータである。
さらに本発明は、好ましくは積層一体化されたシートの通気度が0.1〜10cc/cm/secで35%KOH水溶液含浸時の繊維分吸液量が1.0〜3.0g/gである上記のアルカリ電池用セパレータであり、より好ましくは積層されたナノファイバー層の35%KOH水溶液含浸時の繊維分吸液量が2.0〜20.0g/gであることを特徴とする上記のアルカリ電池用セパレータである。
また本発明は、(A)ポリマーを溶解させることのできる溶媒にポリマーを溶解させた溶解液を調製する工程、(B)前記溶解液を用いて静電紡糸法によりナノファイバーを基材布帛に積層乃至は複合する工程、を備えていることを特徴とする上記のアルカリ電池用セパレータである。
そして本発明は、上記のアルカリ電池用セパレータを使用した電池である。
本発明によれば、製造工程での微細なナノファイバー層の損傷を防止でき、一方、セパレータとしての性能においては、電解液の吸液性を高め、電解液を長時間保持し、正極合剤による酸化劣化を受け難く、さらにデンドライトの成長を抑制することで内部短絡を防止し、セパレータ自身の電気抵抗も低く、電解液吸液後の厚さを抑制することで電池内の正・負極合剤の容量も増やすことを可能とした電池用セパレータを得ることが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
電池用セパレータにおいて、内部短絡防止のためには、きめ細かい空隙を有することが重要である。この空隙を実現するための繊維径としては、直径が10〜1000nm、好ましくは30〜800nm、さらに好ましくは100〜500nmのポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)系ナノファイバーを基材に積層させることが重要である。直径が1000nmより大きな繊維では、繊維間の空隙も大きくなり、内部短絡防止の効果が著しく低下してしまう。繊維径が小さいほど空隙が小さくなるのでより好ましいが、10nm以下であると空隙が小さすぎて内部抵抗が上昇し、逆に電池性能を低下させてしまう。
なお、本発明における繊維径とは、5000倍で撮影した繊維集合体の電子顕微鏡写真から得られる繊維の横断面における直径を意味し、無作為に50本抽出してその繊維径を定規で計測した数値により算出した平均値である。
電池用セパレータとしてナノファイバー層を保持しているシートを使用する場合には、製造工程での微細なナノファイバー層の摩耗による損傷に対する防止策が必要である。摩耗による損傷に対する対策としては、ナノファイバー層を構成する繊維の強力を向上させることが必要である。ナノファイバー層の繊維強力の向上はナノファイバー層を構成する層の比引張強力で判断できる。比引張強力としては36.0N・m/g以上が好ましく、40.0N・m/g以上60N・m/g以下がより好ましい。比引張強力が36.0N・m/gより低いとシート製造工程及び電池製造工程において、軽度の工程中の摩擦でも微細なナノファイバー層に亀裂や破れが発生し、電池として使用する場合に内部短絡等の不具合の原因となってしまう。
上記の耐磨耗性に影響するシートの比引張強力はPVAのポリマー特性によりコントロールできる。前記したように、ナノファイバーを構成する繊維の高強力化が必要であることから、粘度平均重合度については400〜4000のビニルアルコール系ポリマーとするのが必要であり、紡糸性、コストの点から500〜3500であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。重合度が400より小さいと、ナノファイバーを構成する繊維の強力が上がらず、工程中の摩耗に耐えられるナノファイバー層とならない。重合度の向上で、よりシートを構成する繊維の強力も向上するが重合度が4000を超えると粘度が高すぎ、遮蔽性向上に必要とするナノレベルの繊維を得ることができない。
またケン化度においても同理由からケン化度が高いポリマーであることが必要である。ケン化度としては90.0〜99.9モル%であるのが必要であり、好ましくは96.0〜99.0モル%である。ケン化度が90.0モル%より小さいと、重合度と同様にナノファイバーを構成する繊維の強力が向上せず、工程での磨耗に耐えられないナノファイバー層となってしまう。
PVA系ポリマーには他のモノマーが共重合されていてもよく、中でも共重合成分としてはカルボン酸含有ポリマーが吸液性向上に効果があり、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、あるいはこれら不飽和二塩基酸の無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。また、エチレン、酢酸ビニル、ビニルアミン、アクリルアミド、ピバリン酸ビニル、スルホン酸含有ビニル化合物なども使用できる。しかしながら実用的な機械的性能の点からはビニルアルコールユニットを全構成ユニットの70モル%以上含有するポリマーとするのが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、繊維にPVA系ポリマー以外のポリマーや他の添加剤を含んでいてもかまわない。繊維性能等の点からはPVA系ポリマーの含有量を30質量%以上/繊維、特に50質量%以上/繊維とするのが好ましい。
次に本発明のナノファイバーの製造方法について説明する。まず、PVA系ポリマーを溶解させることのできる溶媒に溶解させた溶解液を調製する。溶媒としては、水および/または水に有機溶剤、アルカリ、酸を加えたもの、あるいは有機溶剤を用い、これにPVA系ポリマーを溶解し、均一に粒状ゲル物を無くして溶解したものを紡糸原液とする。
次に上記紡糸原液を用いて、静電紡糸法によりPVA系繊維を基材布帛に積層ないしは複合することが好ましい。静電紡糸の方法としては特に制限はなく、紡糸原液を供給できる導電性部材に高電圧を印加することで、接地した対極側にナノファイバーを堆積させる方法をとることが好ましい。この方法により、原液供給部から吐出された紡糸原液が帯電分裂され、ついで電場により液滴の一点からファイバーが連続的に引き出され、分割された繊維が多数拡散する。PVA系ポリマーの濃度が10%以下であっても、溶媒は繊維形成と細化の段階で乾燥しやすく、原液供給部より数cm〜数十cm離れた、設置された捕集ベルトあるいはシートに堆積する。堆積と共に半乾燥繊維は微膠着し、繊維間の移動を防止し、新たな微細繊維が逐次堆積し、緻密なシートが得られる。
以下、図1に示す装置により、本発明のナノファイバー複合方法を簡単に説明する。図1において、PVA系ポリマーを溶解した紡糸原液は、定量ポンプ1より計量送液され、分配整流ブロック2により均一な圧力と液量となるように分配され口金部3に送られる。口金部では中空針状の1ホール毎に突出させた口金4が取付けられ、電気絶縁部5によって電気が口金部3全体に洩れるのを防止している。導電材料で作られた、突出した口金4は無端コンベアからなる形成シート引取り装置7の進行方向に直角方向に多数並列に垂直下向きに取付けられ、直流高電圧発生電源の一方の出力端子を該突出した口金4に取付け、各突出口金4は導線により印加を可能にしている。形成シート引取り装置の無端コンベアにはアースをとった導電性部材8が取付けられ、印加された電位が中和できるようになっている。口金部3より突出口金4に圧送された紡糸原液は帯電分裂され、次いで電場により液滴の1点からファイバーが連続的に引き出され分割された繊維が多数拡散し、半乾燥の状態で形成シート引取り装置7に取付けられた導電性部材上に堆積し、該膠着が進行し、シートと引取り装置により移動され、その移動と共に次の突出口金の微細繊維の堆積を受け、次々と堆積を繰り返しながら緻密かつ均一なシート状物が形成される。
なお、このとき製造されるナノファイバーの繊維径はPVA系ポリマーの原液濃度、口金4と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)、口金4に印加される電圧等の条件により所定の繊維径に制御することができる。
次に本発明でナノファイバーと積層させる基材について説明する。基材としては、耐アルカリ性に優れる繊維を用いて、湿式法にて抄造された不織布であることが必要である。耐アルカリ性に優れる繊維としては耐アルカリ性に優れる合成繊維および/またはフィブリル化可能な耐アルカリ性セルロース繊維であることが好ましい。
耐アルカリ性に優れる合成繊維としては、PVA系繊維、エチレンービニルアルコール系共重合体繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン/ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン/エチレンービニルアルコール系共重合体複合繊維、ポリアミド/変性ポリアミド複合繊維から選択された1種又は複数のものを使用することができる。中でも電解液との親和性(濡れ性)に優れるPVA系繊維を主体繊維および/またはバインダー繊維に使用することが好ましい。
本発明において、PVA系繊維を主体繊維として使用する場合には、水中溶解温度90℃以上、特に100℃以上の繊維であることが好ましく、具体的には平均重合度1000〜5000、ケン化度95モル%以上のビニルアルコール系ポリマーからなる繊維が好適に挙げられる。該ビニルアルコール系ポリマーは他の共重合成分により共重合されていてもかまわない。耐水性等の点から共重合量は20モル%以下であることが好ましく、特に10モル%以下であることがより好ましい。また、アセタール化等の処理が施されていてもかまわない。
該PVA系繊維はビニルアルコール系ポリマーのみから構成されている必要はなく、他のポリマーを含んでいても構わないし、他のポリマーとの複合紡糸繊維、混合紡糸繊維(海島繊維)であっても構わない。電解液吸液性の点からはビニルアルコール系ポリマーを30質量%以上、特に50質量%以上、さらには80質量%以上含むPVA繊維を用いることが好ましい。該繊維の繊度は、セパレート性、薄型化の点から3.3dtex以下、特に1.5dtex以下であるのが好ましく、抄紙性の点から0.01dtex以上、さらに0.07dtex以上であるのが好ましい。
繊維長は単繊維繊度に応じて適宜設定すればよいが、抄紙性等の点から繊維長0.5〜10mm、特に1〜5mmとするのが好ましい。
本発明の電池用セパレータを構成する不織布に耐アルカリ性セルロース繊維を使用する場合、耐アルカリ性セルロース繊維としては、レーヨン繊維(ポリノジックレーヨン繊維、有機溶剤系セルロース繊維を含む)、アセテート系繊維、あるいはマーセル化天然パルプ(木材パルプ、コットンリンターパルプ、麻、パルプ等)等のマーセル化された天然セルロース系繊維が挙げられる。
これらはフィブリル化も可能であり、1種あるいは2種以上を水に分散させ、ビーター、ディスクリファイナー、あるいは高速叩解機等の製紙用叩解機で所定の濾水度まで叩解しても使用することができる。フィブリル化して耐アルカリ性セルロース繊維を用いる場合は、叩解の程度がCSFの値で0〜700ml、好ましくは0〜550mlの範囲とし、該フィブリル化可能な耐アルカリ性セルロース繊維の配合量を0〜70質量%、さらには20〜60質量%の範囲とすることが好ましい。耐アルカリ性セルロース繊維の含有量が70質量%を越えると、セパレータのコシ強力が弱くなり、電池の搬送や携帯時の振動・落下による衝撃によってセパレータ自体が座屈し、内部短絡を生じる恐れがある。なお、ここでいう濾水度とは、CSF(カナダ標準形濾水度;Canadian Standard Freeness)で、JIS P8121に規定のカナダ標準形の方法で測定した値である。
本発明に用いるバインダーとしては、耐アルカリ性、電解液吸液性の点からPVA系バインダーが用いられる。形態としては、繊維状、粉末状、溶液状のものがあるが、湿式抄造によってセパレータを抄造する場合は、繊維状バインダーであることが好ましい。繊維状バインダーを用いた場合は、乾燥前の持ち込み水分をコントロールすることにより、バインダーを完全に溶解させず、繊維形態を残したままバインダー繊維と主体繊維の交点のみを点接着させることができるため、電解液吸液性の低下、電池内部抵抗の上昇を招くことなくセパレータの強力を保持することができるので、繊維状バインダーを使用することが好ましい。
繊維状バインダーとしてPVA系繊維を用いる場合、その水中溶解温度としては60〜90℃であることが好ましく、70〜90℃の範囲であることがより好ましい。また平均重合度は500〜3000、ケン化度97〜99モル%のPVA系ポリマーから構成された繊維が好適に使用される。勿論、他のポリマーとの複合紡糸繊維、混合紡糸繊維(海島繊維)であっても構わない。電解液吸液性、機械的性能等の点からはビニルアルコール系ポリマーを30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上含むPVA系繊維を繊維状バインダーとして用いることが好ましい。繊度は水分散性、他成分との接着性、ポアサイズ等の点から0.01〜3dtexであるのが好ましく、繊維長は1〜5mmであるのが好ましい。勿論、上記繊維以外の他の繊維を配合しても構わない。またバインダー繊維の配合量は5〜30質量%であることが好ましい。バインダー繊維の配合量が5質量%未満の場合、電池組立工程に必要なセパレータの引張強力が得られない。一方、30質量%を越える場合には、電解液吸液性が劣ったり、不織布内の繊維間の細孔を塞ぐため電気抵抗を上昇させる等の問題が生じるため好ましくない。
次に本発明の電池用セパレータに使用する不織布の製造方法について説明する。上記した耐アルカリ性合成繊維および/またはフィブリル化可能な耐アルカリ性セルロース繊維を所定の濾水度に叩解し、これに耐アルカリ性繊維およびPVA系繊維のバインダーを添加混合して原料としたものを用いて、湿式法にて不織布化することにより本発明の電池用セパレータの基材に使用する不織布が得られる。湿式法での不織布化については特に限定されないが、例えば一般の湿式抄紙機を用いることにより効率的に所望の不織布を製造することができる。用いる抄き網としては、円網、短網、及び長網等が挙げられ、通常の抄紙方法で抄紙することができる。また場合によっては、異種の網を組み合せ、抄紙しても構わない。その後、湿式法にて得られた不織布を接触型(例えば、ヤンキー型)乾燥機で乾燥させ、本発明の電池用セパレータに使用する不織布を得る。
次いで得られた不織布に、前記したナノファイバーを積層する。積層させる量は、坪量0.1〜10.0g/mであることが必要であり、0.2〜5.0g/mの範囲で積層させることが好ましい。該ナノファイバーの積層量が坪量0.1g/m未満であると、針状のデンドライトによる内部短絡を十分に防止することができなくなる。逆にナノファイバーの積層量が坪量10.0g/mを越えると、セパレータ自体のインピーダンス(抵抗値)が高くなり、電池性能が劣る。また電解液吸液後のセパレータが厚くなり、電池内部でのセパレータの占有率が多くなるため、正・負極剤の容量が制限されることで、重放電の放電性能が得られなくなる。また、上記セパレータは必要に応じて熱プレスまたは冷間プレスによって目的とする厚さに調整することも可能である。
本発明の積層一体化されたシートからなるアルカリ電池用セパレータにおいて、デンドライトによる内部短絡がより高度に防止できる空隙範囲の指標として、通気度が0.1〜10.0cc/cm/secであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0cc/cm/secである。通気度が10.0cc/cm/secより大きいと空隙が大きくなりすぎ、酸化亜鉛の針状のデンドライトによる内部短絡を防止することができなく、電池性能および電池寿命の低下を防止することができず、0.1cc/cm/sec未満の場合は、イオンの通過性が悪く内部抵抗が上昇してしまい、電池性能を満足させることができない。
また、本発明の積層一体化されたシートからなるアルカリ電池用セパレータは、繊維自体が高い吸液性を有する点も大きな特長である。電池寿命の向上はシートを構成している繊維自体の吸液性能に左右される。仮にシート自体の保液量が高くても、繊維自体が保持していない場合は、部分的な液枯れが発生しやすく、その部分が内部短絡の原因となる。この指標は35%KOH水溶液含浸時の繊維分吸液量で判断できる。具体的には該繊維分吸液量は1.0〜3.0g/gとなる範囲が好ましく、より好ましくは1.2〜2.0g/gである。該繊維分吸液量が1.0g/g未満であると、シートを構成している繊維の吸液量が不足し、液枯れによる電池寿命の低下を生じやすい。逆に該繊維分吸液量が3.0g/gを越えると、吸液後の厚みが厚くなり、極材の量が制限されてしまうため、結果として電池性能を低下させてしまう。
積層シート全体での繊維分吸液量も影響が大きいが、ナノファイバー層自体の繊維分吸液量も電池性能に大きく影響する。繊維分吸液量としては2.0〜20.0g/gであることが好ましく、より好ましくは4.0〜15.0g/gである。2.0g/g未満であるとナノファイバー層自体が保持している電解液の液枯れが発生し、内部抵抗上昇の原因となってしまう。一方、20.0g/gよりも大きいと、繊維の膨潤が大きすぎ、結果としてシートの空隙を塞いでしまい、内部抵抗が上昇し、十分な電池性能が得られなくなってしまう。
上記したように、電池を高性能化および長寿命化するためには、正・負極剤の容量を増やし、セパレータの占有率を少なくすることが好ましく、具体的にはセパレータの電解液吸液後の厚さは0.08〜0.30mmであることが好ましく、0.08〜0.25mmであることが好ましい。
また、十分な起電反応を生じさせるために、イオン伝導性が良好でセパレータ自身のインピーダンスの小さいものが好ましい。電池寿命の基準として、特に液切れ状態時の電気抵抗値を3.5Ω以下とすることが好ましく、特に0.5〜3.0Ωとすることがより好ましい。
本発明のアルカリ電池用セパレータを用いることで、強負荷放電性能にも耐えうる高性能を有し、かつ長寿命であるアルカリ電池を得ることができる。アルカリ電池内のセパレータ形状は特に制限されず、クロストリップ(十字構造有底円筒状セパレータ)、ラウンドストリップ(筒捲円筒状セパレータ)、スパイラル(螺旋捲き構造セパレータ)等が挙げられる。特に、本発明のアルカリ電池用セパレータをアルカリ電池に組み込む際には、ナノファイバー面が正極側に面するように配置することが好ましい。
該アルカリ電池を構成する極剤は、負極活物質として酸化亜鉛、電解液として40質量%の水酸化カリウム水溶液、ゲル化剤、亜鉛粉末から構成されるゲル状物を用いることができる。亜鉛粉末は、水銀、カドミウム、鉛が添加されていないものを使用することが望ましい。特に該亜鉛粉末中にビスマス、インジウム、カルシウムおよびアルミニウムから選ばれた少なくとも一種を含有した亜鉛合金粉末が好適に使用される。一方、正極には二酸化マンガンと黒鉛を主構成材料とした正極合剤を用いることができる。また、強負荷放電性能に優れるアルカリ電池に優れるアルカリ電池に使用されているオキシ水酸化ニッケルを含有させた正極合剤を使用することが好ましい。なお、強負荷放電特性とその保存性能の優位性を確保する観点から、二酸化マンガンとオキシ水酸化ニッケルのより好ましい含有比率は、二酸化マンガン:オキシ水酸化ニッケル=80:20〜40:60(質量部)である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお以下の実施例において、各物性値は以下の方法により測定したものである。
[水中溶解温度 ℃]
400ccの水(20℃)に試料繊維を2.6g投入し、昇温速度1℃/分、攪拌速度280rpmの条件で攪拌しながら昇温して、繊維が完全に溶解したときの温度を水中溶解温度として測定した。
[ケン化度 モル%]
JIS−K6726試験法に準拠して測定した。
[重合度]
JIS−K6726試験法に準拠して測定した。
[比引張強力]
積層シートよりナノファイバー層を剥離し、JIS P8113「紙及び板紙の引張強さ試験方法」に準じて測定し、引張強力より比引張強力を求めた。
[濾水度(CSF) ml]
JIS P8121「パルプの濾水度試験方法」に準じてカナダ標準濾水度を測定した。
[坪量 g/m
JIS P8124「紙のメートル坪量測定方法」に準じて測定した。
[厚さ mm]
得られたセパレータの5ヶ所を標準環境下(20℃×65%RH)に4時間以上放置した後、PEACOCK Dial−Thickness Gauge H Type(φ10mm×180g/cm)にて測定した。
[通気度 cc/cm/sec]
フラジール通気度試験機(東洋精機製作所製)にて測定した。
[繊維分吸液量 g/g]
50mm×50mmの試料を35%KOH水溶液(20℃)に浴比1:100の条件で30分浸漬し、30秒間自然液切りした後、遠心脱水(3,000rpm×10分)後の質量を測定して、下記の式により算出した。
繊維分吸液量(g/g)=(W2−W1)/W1
W1=試料の質量 W2=遠心脱水後の質量
※ナノファイバー層の繊維分吸液量については、基材の繊維分吸液量を求め、積層シートより減じることにより算出した。
[インピーダンス(抵抗値) Ω]
試料を上記トータル吸液量、及び繊維分吸液量測定時と同じ方法で、35%KOH水溶液(20℃)に30分浸漬し、保液十分な状態(30秒液切りした状態)と、同一試料を遠心脱水(3,000rpm×10分)後の液切れ状態とし、20℃×65%RHの測定雰囲気下にてインピーダンス測定器(国洋電気工業社製「KC−547 LCR METER」)で厚さを一定(0.100mm)にして測定した。
[耐摩耗性]
JIS L1069試験法に記載のマーチンデール摩耗試験機を用い、ナノファイバー層が接触面となる様に標準摩耗布を取付ける側に試作試料を取付け、試料ホルダー側に円形に切断した平滑な金属板を取付ける。100回転後の状態を観察し耐摩耗性の評価とする。
[電池性能評価]
電池性能評価方法として、単三サイズのアルカリ乾電池を作製し、その組立直後、および高温保存(80℃で3日間保存)後における放電性能を比較した。放電性能は、環境温度20℃において、3.9Ω負荷で1日5分間ずつの間欠放電したときに終止電圧0.9Vに至るまでの放電時間で評価した。セパレータを組込み、正極剤に二酸化マンガンと黒鉛混合物を使用したアルカリ電池について性能を評価したものは、比較例5で得られた電池における組立直後および高温保存後の放電時間をそれぞれ100としたときの相対値で示した。組立直後および高温保存後の放電時間の相対値が100以上であれば長寿命かつ内部短絡せず、耐酸化劣化していないと判断し、100以上105未満であれば○、105以上であれば◎、また100未満では×と判断した。
なお、電池作製法は実施例1にて詳細に記述する。
[実施例1]
(1)PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB103×3」;1.1dtex×3mm)35質量%、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)15質量%、有機溶剤系レーヨン繊維(レンチング社製「テンセル」;1.7dtex×2mm、を高速離解機にてCSF=300mlにまで叩解したもの)50質量%を加えて混合して原料とし、これを長網抄紙機にて抄紙し、ヤンキー型乾燥機にて乾燥して坪量22.9g/m、厚さ0.10mmの湿式不織布基材を得た。
(2)次にナノファイバー層を形成する。まずPVAポリマー(株式会社クラレ製「PVA−117」;重合度1750、ケン化度98.5モル%)を10質量%となるように水に投入後、90℃で攪拌溶解し、完全溶解したものを常温まで冷却して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を用い、図1の紡糸装置にて静電紡糸を行った。口金4として内径が0.9mmのニードルを使用した。また、口金4と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)は8cmとした。さらに、形成シート引取り装置7に前記(1)で得られた湿式不織布基材を巻き付けた。次いでコンベア速度0.1m/分、原液を所定の供給量で口金から押し出し、口金に20kV印加電圧を与えてシリンダー上の不織布上に繊維径が312nmのナノファイバーを坪量で1.0g/mになるよう積層させた。得られた積層シートの性能を表1に示す。
(3)さらに電池評価のために、二酸化マンガン94.3質量%、黒鉛粉末4.8質量%、および電解液である40質量%のKOH水溶液0.93質量%からなる正極剤をミキサーで均一に混合した。なお、二酸化マンガンは粒径20〜50μm、黒鉛粉末は粒径10〜25μmの範囲のものを分級した。
次いで、上記方法で調製した正極剤を短筒状のペレットに圧縮成型した。
(4)一方、負極合剤としては、ゲル化剤であるポリアクリル酸ナトリウム1質量%、40質量%のKOH水溶液33質量%、亜鉛合金粉末66質量%、さらにケイ素元素濃度が亜鉛粉末に対して50ppmになるようにケイ酸カリウムを添加したゲル状の負極剤を用いた。なお、亜鉛合金粉末として、亜鉛粉末に対しビスマスを200質量%、インジウムを500質量%、およびアルミニウムを30質量%添加したものを用いた。
(5)得られた正極合剤ペレット、ゲル状負極合剤、および得られたセパレータと底紙(株式会社クラレ製「CSBI」)を用いて、セパレータがラウンドストリップ(筒捲円筒状セパレータ)型構造となるように電池を組み立て、放電テストを実施した。結果を表1に示す。
[実施例2]
ナノファイバーに使用するPVAポリマーを株式会社クラレ製「PVA−105」(重合度500、ケン化度98.5モル%)に変更し原液濃度を20質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表1に示す。
[実施例3]
ナノファイバーに使用するPVAポリマーを株式会社クラレ製「PVA−124」(重合度2400、ケン化度98.5モル%)に変更し原液濃度を5質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表1に示す。
[実施例4]
ナノファイバーに使用するPVAポリマーを株式会社クラレ製「PVA−CST」(重合度1750、ケン化度96.0モル%)に変更し原液濃度を14質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表1に示す。
[実施例5]
ナノファイバーに使用するPVAポリマーとして株式会社クラレ製「PVA−224」(重合度2400、ケン化度91.0モル%)を用い、該PVAポリマーにアルカリ処理を施し重合度2400、ケン化度91モル%に調整したものに変更し原液濃度を7質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表1に示す。
[実施例6]
ナノファイバー製造用PVAポリマーの原液濃度を7質量%、図1における口金4と
形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)を10cm、電圧を22kVに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表1に示す。
[実施例7]
ナノファイバー製造用PVAポリマーの原液濃度を12質量%、図1における口金4
と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)を7cmに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表2に示す。
[実施例8]
ナノファイバー製造用PVA系ポリマーの原液濃度を11質量%、図1における口金4と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)を7cmに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表2に示す。
[実施例9]
ナノファイバー積層量を0.2g/mに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表2に示す。
[実施例10]
ナノファイバー積層量を4.8g/mに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表2に示す。
[実施例11]
PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB103×3」;1.1dtex×3mm)35質量%、マーセル化パルプ50質量%、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1×3」;1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)15質量%とを混合して原料とし、これを短網−円網にて2層抄き合せを行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量30.0g/m、厚さ0.110mmの湿式不織布基材を得た。
上記以外は実施例1と同様に条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表2に示す。
[実施例12]
ナノファイバー製造用ポリマーをPVA系ポリマー(株式会社クラレ製「PVA−117」;重合度1750、ケン化度98.5モル%)とポリアクリル酸(PAAと称す。日本純薬株式会社製「ジュリマ−AC−10LHP」:平均分子量250000)が90/10の割合になるようにブレンドし使用すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートの性能および電池性能評価結果を表2に示す。
[比較例1]
(1)実施例1と同じく、PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB103×3」;1.1dtex×3mm)35質量%、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)15質量%、有機溶剤系レーヨン繊維(レンチング社製「テンセル」;1.7dtex×2mm、を高速離解機にてCSF=300mlにまで叩解したもの)50質量%を加えて混合して原料とし、これを短網−円網抄紙機にて2層抄き合わせ抄紙を行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量22.9g/m、厚さ0.10mmの湿式不織布基材を得た。
(2)次にナノファイバー層を形成する。まずPVAポリマー(株式会社クラレ製「PVA−217」;重合度1750、ケン化度88.0モル%)を7質量%となるように水に投入後、90℃で攪拌溶解し、完全溶解したものを常温まで冷却して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液を用い、図1の紡糸装置にて静電紡糸を行った。口金4として内径が0.9mmのニードルを使用した。また、口金4と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)は8cmとした。さらに、形成シート引取り装置7に前記(1)で得られた湿式不織布基材を巻き付けた。次いでコンベア速度0.1m/分、原液を所定の供給量で口金から押し出し、口金に20kV印加電圧を与えてシリンダー上の不織布上に繊維径が250nmのナノファイバーを坪量で1.0g/mになるよう積層させた。得られた積層シートのナノファイバー層を構成する繊維の強力が低いことから、ナノファイバー層の耐摩耗性が悪く、シート及び電池製造工程に耐えられるものとならない。
[比較例2]
ナノファイバー製造用に使用するPVAポリマーを株式会社クラレ製「PVA−205」(重合度500、ケン化度88.0モル%)に変更し原液濃度を20質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートは比較例1と同様に製造工程に耐えられるものとはならなかった。
[比較例3]
ナノファイバー製造用に使用するPVAポリマーを株式会社クラレ製「PVA−103」(重合度300、ケン化度98.5モル%)に変更し原液濃度を23質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートは比較例1と同様に製造工程に耐えられるものとはならなかった。
[比較例4]
ナノファイバー製造用に使用するPVAポリマーを重合度4250、ケン化度98.5に変更し、原液濃度を4質量%にすること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。しかしながら、原液濃度が4質量%と非常に薄いため極間で十分乾燥されず、積層されたものはフィルム状でナノファイバー構造となっていなかった。
[比較例5]
(1)実施例1と同じく、PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB103×3」;1.1dtex×3mm)35質量%、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)15質量%、有機溶剤系レーヨン繊維(レンチング社製「テンセル」;1.7dtex×2mm、を高速離解機にてCSF=300mlにまで叩解したもの)50質量%を加えて混合して原料とし、これを短網−円網抄紙機にて2層抄き合わせ抄紙を行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量22.9g/m、厚さ0.10mmの湿式不織布基材を得た。
(2)次にナノファイバー層を形成する。まずポリアクリロニトリル(PANと称す。三菱レイヨン社製、分子量15000)を10質量%となるようにジメチルホルムアミドに投入後、攪拌溶解し、完全溶解した紡糸原液を得た。
(3)得られた紡糸原液を用い、図1の紡糸装置にて静電紡糸を行った。口金4として内径が0.9mmのニードルを使用した。また、図1における口金4と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)は9cmとした。さらに、形成シート引取り装置7に前記(1)で得られた湿式不織布基材を巻き付けた。
次いで、コンベア速度0.1m/分、原液を所定の供給量で口金から押し出し、口金に20kV印加電圧を与えてシリンダー上の不織布上に繊維径288nmのナノファイバーを坪量で1.0g/mになるよう積層させた。得られた積層シートは、ナノファイバー層と基材層が剥離しやすく、耐摩耗性についても不十分であった。また性能面でもナノファイバー層の繊維分吸液量が低いため、電池放電末期の状態であった。さらに液枯れ後の抵抗値でも高抵抗化が見られ、実際の電池評価でも電池寿命が短かった。
[比較例6]
ナノファイバー製造用PVA系ポリマーの原液濃度を14質量%、図1における口金4と形成シート引取り装置7との間の距離(極間距離)を8cmに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートは、工程に対する耐摩耗性は十分であった。しかし、性能面では繊維分の吸液量は満足するものの、繊維径が太く、また内部短絡防止の傾向の指標である通気度も大きいため、実際の電池性能評価でも良好な結果は得られなかった。
[比較例7]
ナノファイバー積層量を0.05g/mに変更すること以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートは工程に対する耐摩耗性は満足するものの、ナノファイバー量が少なすぎて内部短絡を防止させるほどの通気度にはならなかった。
[比較例8]
ポリエステル主体繊維(株式会社クラレ製「EP133」;1.3dtex×5mm)80質量%、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)20質量%とを混合し、これを短網−円網抄紙機にて2層抄き合わせを行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量30.0g/m、厚さ0.14mmの湿式不織布基材を得た。
上記以外は実施例1と同様の条件によりシートを得た。得られた積層シートは基材部分の繊維分吸液量が低いため、積層シートとしての繊維分吸液量が不足し、電池放電末期の状態であった。
また液枯れ後の抵抗値でも高抵抗化が見られ、実際の電池評価でも電池寿命が短かった。
[比較例9]
実施例1と同じく、PVA系主体繊維(株式会社クラレ製「VPB103×3」;1.1dtex×3mm)35質量%、PVA系バインダー繊維(株式会社クラレ製「VPB105−1」;1.1dtex×3mm、水中溶解温度70℃)15質量%、有機溶剤系レーヨン繊維(レンチング社製「テンセル」;1.7dtex×2mm、を高速離解機にてCSF=300mlにまで叩解したもの)50質量%を加えて混合して原料とし、これを短網−円網抄紙機にて2層抄き合わせ抄紙を行い、ヤンキー型乾燥機にて乾燥し、坪量22.9g/m、厚さ0.10mmの湿式不織布基材を得た。
該不織布基材に対し、ナノファイバーを積層せずに評価したところ、吸液量は確保できるものの内部短絡を防止させるほどの通気度にはならなかった。
Figure 0004926800
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本発明によれば、電解液の吸液性を高め、電解液を長時間保持し、正極合剤による酸化劣化を受け難く、さらにデンドライトの成長を抑制することで内部短絡を防止し、セパレータ自身の電気抵抗も低く、電解液吸液後の厚さを抑制することで電池内の正・負極合剤の容量も増やすことを可能とし、また製造工程時に微細なナノファイバー層が損傷しにくい電池用セパレータを得ることが可能である。
不織布よりなる基材に積層乃至は複合するナノファイバーを製造する装置を示す模式図。
符号の説明
1 ギャーポンプ
2 分配整流ブロック
3 口金部
4 口金
5 電気絶縁部
6 直流高電圧発生電源
7 形成シート引取装置
8 導電性部材

Claims (9)

  1. ケン化度90.0〜99.9モル%、平均重合度400〜4000、繊維直径が10〜1000nmであるポリビニルアルコール系ポリマーを含むナノファイバーと、耐アルカリ性繊維で構成された湿式不織布よりなる基材とが積層一体化されてなり、かつ積層一体化されたナノファイバーの坪量が0.1〜10g/mであるアルカリ電池用セパレータ。
  2. ポリビニルアルコール系ナノファイバーよりなる層の比引張強力が36.0N・m/g以上である請求項1記載のアルカリ電池用セパレータ。
  3. 基材を構成する耐アルカリ性繊維の一部が有機溶剤系セルロース系繊維である請求項1または2記載のアルカリ電池用セパレータ。
  4. 基材を構成する耐アルカリ性繊維の一部がマーセル化された天然セルロース系繊維である請求項1または2記載のアルカリ電池用セパレータ。
  5. 基材を構成する耐アルカリ性繊維の一部がポリビニルアルコール系繊維である請求項1または2記載のアルカリ電池用セパレータ。
  6. 積層一体化されたシートの通気度が0.1〜10cc/cm/secで35%KOH水溶液含浸時の繊維分吸液量が1.0〜3.0g/gである請求項1〜5のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  7. 積層されたナノファイバー層の35%KOH水溶液含浸時の繊維分吸液量が2.0〜20.0g/gであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  8. (A)ポリマーを溶解させることのできる溶媒にポリマーを溶解させた溶解液を調製する工程、(B)前記溶解液を用いて静電紡糸法によりナノファイバーを基材布帛に積層乃至は複合する工程、を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータ。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のアルカリ電池用セパレータを使用した電池。
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