JP4926335B2 - 透明性に優れた耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れた耐薬品性ポリスチレン系樹脂成形品に関し、さらに詳しくは、ゴム成分としてスチレン含量が70質量%以上のスチレン系ブロックポリマーを配合することにより、透明性と、歪下での耐薬品性を両立させた透明性に優れた耐薬品性ポリスチレン系樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、透明性が要求される成形品の用途が増加しており、透明性と耐薬品性とを兼ね備えた材料の開発が強く求められている。芳香族ビニル系化合物をラジカル重合させて得られるポリスチレン系樹脂は、安価であり、従来から、種々様々な用途に供せられているものの、立体構造がアタクチックであるため、非晶性であり、耐薬品性に関しては必ずしも満足できるものではなかった。特にゴム成分を含まないGPPS(汎用ポリチスチレン)は、透明性を有しているものの、靱性や耐薬品性においてHIPS(ハイインパクトポリスチレン)よりも劣るため、適用範囲が狭められていた。
アタクチック構造を有するスチレン系重合体(以下、アタクチックポリスチレンと称することがある。)の透明性を向上させるため、HIPSやABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)のマトリックス成分、ゴム成分に用いるモノマーの屈折率を、共重合により調節し、透明化する手法がある。具体的には、スチレンと、アクリロニトリル,メタクリレート,アクリレート,無水マレイン酸又はマレイミド等の極性モノマーとを共重合することにより、透明性を改善する試みがなされている。しかしながら、これらの共重合体は、ランダム共重合比が限定されていること、生産性が低下すること、色調が変化すること、臭気があること、焼却時にシアンガスを発生するという問題があり、らに、これらの共重合体は、化学構造的にポリスチレンとは異なるため、ポリスチレンとは容易に相溶化せず、混合リサイクルが困難であるという問題があった。また、耐薬品性についても、必ずしも満足できるものではなかった。
そこで、結晶性を有するシンジオタクチックポリスチレンが開発され、シンジオタクチックポリスチレン単独又はGPPSとのブレンドにより、透明性かつ耐薬品性を有する組成物が提案されている(特開平11−279347号公報、特開平11−279349号公報)。しかしながら、この組成物を成形した場合、靱性ではGPPSの範囲を超えることができず、また、歪下での薬品による割れを防ぐことに関して未だ満足できるものではないため、適用範囲が狭められていた。また、シンジオタクチックポリスチレンにゴム成分を添加したり、シンジオタクチックとHIPSとのブレンドにより、靱性及び歪下での薬品による割れを改良することはできるが、透明性を維持することはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記観点からなされたものであって、シンジオタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレンとアタクチックポリスチレン、あるいはシンジオタクチックポリスチレンとアタクチックポリスチレンとポリフェニレンエーテルに、特定のゴム成分を添加することにより、透明性と、歪下での耐薬品性を兼ね備えた成形品を与える、透明性に優れた耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分として、スチレン含量が70質量%以上のスチレン系ブロックポリマーを用いることにより、透明性と歪下での耐薬品性が両立した成形品が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(A)(a1)主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体97〜3重量部又は(a2)主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、アタクチック構造を有するスチレン系重合体及び/又はポリフェニレンエーテルの合計量97〜3重量部、及び(B)スチレン含量が70質量%以上のブロックポリマーであるゴム成分3〜97重量部からなり、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の含量が、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して3重量部以上である透明性に優れた耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物及びその成形品を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
(B)成分の、主としてシンジオタクチックポリスチレン構造を有するスチレち系重合体において、シンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明に言う主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン) 、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン) 、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体及びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)などがある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)など、またポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などがある。これらのシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体は一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0006】
これらのうち特に好ましいシンジオタクチックポリスチレンとしては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリープチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体が挙げられる。
シンジオタクチックポリスチレンの分子量については特に制限はないが、溶媒としてトリクロロベンゼンを用い、135℃において、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000以上、好ましくは50,000以上である。さらに、分子量分布についてもその広狭は制約がなく、様々なものを充当することが可能である。ここで、重量平均分子量が10,000未満のものでは、得られる組成物あるいは成形品の熱的性質、機械的性質が低下し好ましくない。
また、シンジオタクチックポリスチレンの融点についても特に制限はないが、示差走査熱量計(DSC)により、20℃/分の昇温速度で昇温したときの融解ピーク温度が好ましくは270℃以下、より好ましくは250℃以下である。融点が270℃を超えると、成形時に280〜300℃の温度を必要とするため、組成物の成形性悪化、熱劣化による物性低下等を引き起こすおそれがある。また、示差走査熱量計(DSC)により、300℃から20℃/分の降温速度で降温した場合の結晶化温度(Tc)のピーク値が好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下である。この結晶化温度のピーク値が230℃を超えると、成形品中でシンジオタクチックポリスチレン成分が結晶化してしまうため、成形品の透明性を維持することが困難となる。
【0007】
このようなシンジオタクチックスチレンは、例えば不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下に、チタン化合物及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体) を重合する方法等が挙げられる(特開昭62―187708号公報等) 。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)及びこれらの水素化重合体についても同様に公知の方法、例えば、特開平1−46912号公報、特開平1−178505号公報に記載の方法などにより得ることができる。
本発明に用いられるアタクチックポリスチレンは、溶液重合,塊状重合,懸濁重合,塊状−懸濁重合等の重合方法によって得られる、下記一般式(I)
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、Rは水素原子, ハロゲン原子あるいは炭素原子, 酸素原子,窒素原子,硫黄原子,リン原子,セレン原子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか一種以上を含む置換基を示し、mは1〜3の整数を示す。但し、mが複数のときは、各Rは同一でも異なってもよい。)
で表わされる一種以上の芳香族ビニル化合物からなる重合体である。
好ましい芳香族ビニル化合物としては、スチレン,α−メチルスチレン,メチルスチレン,エチルスチレン,イソプロピルスチレン,ターシャリーブチルスチレンなどのアルキルスチレン、フェニルスチレン,ビニルスチレン,クロロスチレン,ブロモスチレン,フルオロスチレン,クロロメチルスチレン,メトキシスチレン,エトキシスチレン等があり、これらは一種または二種以上で使用される。これらのうち特に好ましい芳香族ビニル化合物は、スチレン,p−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−ターシャリーブチルスチレン,p−クロロスチレン,m−クロロスチレン,p−フルオロスチレンである。
【0010】
(A)成分のアタクチックポリスチレンは、その分子量については特に制限はないが、一般に、重量平均分子量が10,000以上、好ましくは50,000以上である。ここで重量平均分子量が10,000未満のものでは、得られる成形品の熱的性質,機械的性質が低下し好ましくない。さらに、分子量分布についても広狭の制限はなく、様々のものを充当することができる。
本発明においては、成形品の耐熱性を向上させるために、(A)成分の一部として、ポリフェニレンエーテルを用いることができる。ポリフェニレンエーテルは、公知の化合物であり、この目的に使用するため、米国特許3306874号、同3306875号、同3257357号及び同3257358号各明細書を参照することができる。ポリフェニレンエ−テルは、通常、銅アミン錯体、一種またはそれ以上の二箇所もしくは三箇所置換フェノ−ルの存在下で、ホモポリマ−またはコポリマ−を生成する酸化カップリング反応によって調製される。ここで、銅アミン錯体は第一、第二及びまたは第三アミンから誘導される銅アミン錯体を使用できる。ポリフェニレンエ−テルの例としては、ポリ(2,3−ジメチル−6−エチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−クロロメチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2、3、6−トリメチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−(4’−メチルフェニル)−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−ブロモ−6−フェニル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−フェニル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−6−エチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−6−ブロモ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−クロロ−6−メチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジブロモ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエ−テル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル)等が挙げられる。例えば前記ホモポリマ−の調製に使用されるようなフェノ−ル化合物の二種またはそれ以上から誘導される共重合体などの共重合体も適切である。また、これらを無水マレイン酸,フマル酸等をはじめとする変性剤で変性したものも好適に用いられる。更に、例えばポリスチレン等のビニル芳香族化合物と上記のポリフェニレンエ−テルとのグラフト共重合体及びブロック共重合体も挙げられる。これらのうち特に好ましくはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ−テル)である。
【0011】
このポリフェニレンエーテルの分子量に特に制限はないが、クロロホルム中25℃で測定した固有粘度が0.5デシリットル/g以下以下、好ましくは0.45デシリットル/g以下のものが用いられる。固有粘度が0.5デシリットル/gを超えると、成形時の流動性が大幅に低下する場合がある。
(A)成分中のシンジオタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン及びポリフェニレンエーテルの配合割合に特に制限はないが、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部中シンジオタクチックポリスチレンの割合が3重量部以上であることを要する。好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上である。シンジオタクチックポリスチレンの配合割合が3重量部未満であると、耐薬品性向上効果が小さくなる。
【0012】
(B)成分はゴム成分であり、スチレン含量が70質量%以上のブロックポリマーを用いる。スチレン含量は75質量%であることが好ましい。スチレン含量が70質量%未満の場合、成形品において十分な透明性を確保することが困難である。スチレン含量の上限に関しては特に制限はないが、95質量%以下が好ましい。スチレン含量が95質量%を超えると、歪下での耐薬品性向上効果が小さいため、ゴム成分を多量に添加しなければならなくなり、経済的に不利である。このようなゴム成分としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB,SEBC)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、またはこれらを変性したゴム等が挙げられる。このうち特に、SBS、SEBS、SIS、SEPSが好ましく、熱安定性の観点からSEBS及びSEPSがより好ましく用いられる。これらのゴム状弾性体は一種単独で、又は二種以上配合して用いることができる。
本発明の樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部中、(B)成分の配合量は3〜97重量部であるが、好ましくは5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部である。(B)成分のこの配合量が3重量部未満であると、歪下における耐薬品性向上効果が小さく、また、97重量部を超えると、シンジオタクチックポリスチレンの配合量が少なくなるため、同様に耐薬品性が低下し、好ましくない。
【0013】
本発明の樹脂組成物においては、本発明の目的を阻害しない限り、無機充填剤、酸化防止剤、核剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、カーボンブラック及び帯電防止剤等の添加剤、あるいはその他の熱可塑性樹脂を配合することができる。なお、これらのそれぞれについてはその一種のみを単独で、または、二種以上を組み合わせて用いることができる。
無機充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ウイスカ−、タルク、カ−ボンブラック、グラファイト、二酸化チタン、シリカ、マイカ、炭酸カルシウウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、オキシサルフェ−ト、酸化スズ、アルミナ、カオリン、炭化ケイ素、金属粉末、ガラスパウダ−、ガラスフレ−ク、ガラスビ−ズ等が挙げられる。
酸化防止剤としては、リン系、フェノール系、イオウ系等公知のものから任意に選択して用いることができる。
核剤としては、アルミニウムジ(p−t−ブチルベンゾエート)をはじめとするカルボン酸の金属塩、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウムをはじめとするリン酸の金属塩、タルク、フタロシアニン誘導体等、公知のものから任意に選択して用いることができる。
可塑剤としてはポリエチレングリコ−ル、ポリアミドオリゴマ−、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、ポリスチレンオリゴマ−、ポリエチレンワックス、ミネラルオイル、シリコ−ンオイル等公知のものから任意に選択して用いることができる。
離型剤としてはポリエチレンワックス、シリコーンオイル、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩等公知のものから任意に選択して用いることができる。
難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、臭素化シンジオタクチックポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテルをはじめとする臭素化ポリマー、臭素化ジフェニルアルカン、臭素化ジフェニルエーテルをはじめとする臭素化芳香族化合物、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス−3−クロロプロピルホスフェートをはじめとするリン系難燃剤等公知のものから任意に選択して用いることができる。また、難燃助剤としては三酸化アンチモンをはじめとしたアンチモン化合物、その他公知のものから任意に選択して用いることができる。また、ドリップ防止剤としてはテフロン等公知のものから任意に選択して用いることができる。
【0014】
本発明のポリスチレン系樹脂組成物の調製方法については特に制限はなく公知の方法により調製することができる。例えば前記成分及び各種添加剤を、リボンブレンダー,ヘンシェルミキサー,バンバリーミキサー,ドラムタンブラー,単軸スクリュー押出機,二軸スクリュー押出機,コニーダ,多軸スクリュー押出機等を用いて溶融混練するか、あるいはドライブレンドすることにより、ポリスチレン系樹脂組成物を得ることができる。
成形方法についても特に制限はなく、射出成形,押出成形,熱成形,発泡成形等公知の方法により成形することができる場合、成形時のシリンダー温度としては、(A)成分のシンジオタクチックポリスチレンの融点以上であることが必要である。シンジオタクチックポリスチレンの融点以下で成形を行なった場合、十分な透明性、耐薬品性及び物性を発現させることが困難である。また、シリンダー温度の上限は、材料組成により異なるが、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは260℃以下である。成形温度が300℃を超えると、成形サイクルの低下(冷却時間の増加)、成形品の引けの悪化、滞留時の材料劣化を引き起こすことがある。また、射出成形、押出し成形時にシンジオタクチックポリスチレン成分の結晶化を抑制するために、金型温度の制御、冷却ロール等による冷却が重要である。材料組成により異なるが、例えば射出成型時の金型温度としては、40℃程度が好ましい。
本発明の耐薬品性ポリスチレン樹脂成形品は、台所用,風呂用,トイレ用,その他の界面活性剤、防カビ剤、クレンジング剤,シャンプー,リンス,ボディソープ,入浴剤,口紅,日焼け止め剤等の化粧品、サラダ油,ゴマ油,大豆油,綿実油等の食用オイル、マーガリン,バター等の食品、グリース、機械油、切削油、燃料油などの種々の薬品やオイルに対して耐性を有するものである。
【0015】
本発明の耐薬品性ポリスチレン樹脂成形品は、耐薬品性と透明性が要求される様々な用途に供することが可能であり、その用途は特に制限されない。自動車部品用用途としては、外装部品としてラジエターグリル,グリル,マーク,バックパネル,ドアミラー,ホイ−ルキャップ,エアスポイラー,二輪車用カウル等が挙げられ、内装部品としてインスツルメントパネル,メーターフード,ピラー,グローブボックス,コンソールボックス,スピーカーボックス,リッド,バッテリー容器等が挙げられ、透明性が要求されるインスツルメントパネル表示窓、バッテリー容器、スピーカーボックス、ヒューズスバー等に好適である。電気器具用途としては、AV機器用としてハウジング,シャーシ,カセットケース,CDマガジン,リモコンケース等が挙げられ、電気冷蔵庫用として内張り,トレイ,アーム,ドアキャップ,把手等が挙げられ、電気掃除機用としてハウジング,把手,パイプ,吸入口等が挙げられ、エアコン用としてハウジング,ファン,リモコンケース,ドレインパン,バックパネル等が挙げられ、その他として扇風機,換気扇,洗濯機,照明器具用部品,バッテリーケース等が挙げられる。一般機器用途としては、プリンターや複写機用としてハウジング,シャーシ,リボンカセット,トレイ等が挙げられ、パソコン用としてハウジング,フロッピーディスクシェル,キーボード等挙げられる。また、電話機,通信機器用としてハウジング,受話器,メカシャーシ等が挙げられる。その他の機器用としては、ミシン,レジスター,タイプライター,計算機,光学機器,楽器等が挙げられる。さらには雑貨やリモコンカー,ラジコンコントローラー,ブロック,パチンコ台部品,筆記具,筆記具トレイ,サーフボード,ヘルメット等の玩具,文房具,レジャー,スポーツ用品にも用いられる。便座,便蓋,タンク,シャワー,洗面化粧台,浴室収納パネル,カランカバー等の住宅設備、弁当箱, 各種容器,ポット部品,ミルクポーションのような家庭用品、建材住宅部品,家具等にも用いられる。産業構造材用用途としては、パイプ,容器,トレイ、押出成形及び延伸による一軸,二軸延伸フィルム,シュリンクフィルム,シート、紡糸による繊維状成形品等の用途にも好適に用いられる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例4、参考例1〜3、5〜15、及び比較例1〜17
(A)成分のうちのシンジオタクチックポリスチレンとしては、第1表に示す性状のペレット化したシンジオタクチックポリスチレンを用いた。シンジオタクチックポリスチレンの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn(Mn:数平均分子量)は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒とし、135℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によりポリエチレン換算で測定した。また、融点は、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定し、昇温速度20℃/分で昇温したときの融解ピーク位置より決定した。このようにして求めたシンジオタクチックポリスチレンの重量平均分子量等を第1表に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
(A)成分のうちのアタクチックポリスチレン及びポリフェニレンエーテルとしては第2表に示すものを用い、(B)成分のゴム成分としては第3表に示すものを用いた。
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
上記(A)成分及び(B)成分を第5表に示す組成で、二軸押出機を用いて溶融混練し、シンジオタクチックポリスチレンの融点よりも10℃高い樹脂温度、金型温度40℃の条件で、50mm×50mm×3.2mmの平板及び厚さ3.2mmのバーを射出成形した。得られた射出成形品を下記の方法により評価した。結果を第5表に示す。なお、第5表において組成の百分率は質量%を示す。
(1)全光線透過率の測定
射出成形により製造した50mm×50mm×3.2mmの平板を用い、JIS−K7105に準拠して測定した。
(2)耐薬品性の評価
射出成形により製造した厚さ3.2mmのバーに所定の歪をかけた後、ガーゼに染み込ませた溶剤を歪部に載置し、溶剤の揮発を防ぐためにラップで覆った後、室温に24時間放置し、目視にて、表面外観変化及びクラックの有無を評価した。評価に用いた溶剤及び条件を第4表に示す。
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
第5表から、(B)成分としてスチレン含量が70質量%以上のスチレンブロックポリマーを用いた場合、透明性と、歪下での耐薬品性とが両立した成形品が得られることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物は、透明性と耐薬品性が効果的に発現されたものであり、透明性と耐薬品性を兼ね備えた成形品を容易に提供することができるものである。
Claims (5)
- (A)(a1)主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体97〜3重量部又は(a2)主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体、アタクチック構造を有するスチレン系重合体及び/又はポリフェニレンエーテルの合計量97〜3重量部、及び(B)スチレン含量が90質量%以上のブロックポリマーであるゴム成分3〜97重量部からなり、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の含量が、(A)成分と(B)成分の合計量100重量部に対して3重量部以上である透明性に優れた耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物。
- (B)成分が、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー(SIS)又はこれらの水素添加物である請求項1に記載の耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物。
- (A)成分の主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体が、その融点が250℃以下、結晶化温度(Tc)が200℃以下のものである請求項1又は2に記載の耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物。
- (A)成分のアタクチック構造を有するスチレン系重合体が、汎用ポリスチレン(GPPS)である請求項1〜3のいずれかに記載の耐薬品性ポリスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を成形してなる成形品。
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