JP2006328230A - 重合体組成物からなる光学材料 - Google Patents

重合体組成物からなる光学材料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、負の複屈折を持ち、使用環境下での複屈折の変化が著しく小さい光学材料を提供する。
【解決手段】ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体および/またはその水添物(I)と、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(II)から構成される光学材料。成分(I)のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体の重量比が50/50〜95/5で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜80万で、ビニル芳香族炭化水素のブロック率が10〜100重量%である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学特性に優れる光学材料に関する。
最近、ディスプレイ市場の拡大に伴い、より画像を鮮明にみたいという要求が高まっており、単なる透明材料ではなく、より高度な光学特性が付与された光学材料が求められている。一般に高分子は分子主鎖方向とそれに垂直方向とで屈折率が異なるために複屈折を生じる。用途によっては、この複屈折を厳密にコントロールすることが求められており、偏光板により偏光された光を円偏光にかえる機能を持つ1/4波長板は、高分子材料成形体に意識的に複屈折を生じさせることで機能を付与している。
また、近年光通信システムが普及し広帯域・高速通信に使用する光デバイスの需要が高まっている。例えばプレナー光波回路(PLC)であるアレイ導波路回折格子(AWG)では、偏波依存性を解決するために波長板が光導波路の中に挿入される。この際、生じる放射損失を出来るだけ少なくするために波長板の厚みを薄くしギャップ幅を狭くすることが望ましく、厚みが薄くかつ面内複屈折が大きい材料が求められている。
一方、特許文献1には視野角特性を有する位相差板、およびフィルム面内の屈折率と厚み方向の屈折率が異なる位相差板用にラメラ構造を有するブロック共重合体を用いた記載がある。しかし、高分子はガラス転移温度以上では流動状態になり、分子が緩和して応力とともに複屈折も緩和するといった現象が見られる。ディスプレイなどの使用環境下では光源などにより高分子鎖の緩和が予測される。そこで、これらの使用環境下でも耐えうる材料の開発が望まれている。
特開平5−164920
本発明は、負の複屈折を持ち、使用環境下での複屈折の変化が著しく小さい光学材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の共重合体をアロイ化することにより上記の目的が達成されることを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、
[1]ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体および/またはその水添物(I)と、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(II)から構成される光学材料。
[2]成分(I)のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体の重量比が50/50〜95/5で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜80万で、ビニル芳香族炭化水素のブロック率が10〜100重量%である前記1に記載の光学材料。
[3]光学材料の示差走査熱量測定(DSC)において220〜280℃に融解のピークを有する事を特徴とする前記1および2のいずれかに記載の光学材料。
[4]成分(II)の主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体がスチレンとポリ(アルキルスチレン)からなる前記1〜3のいずれかに記載の光学材料。
[5]延伸されたことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の光学材料。
[6]複屈折の値が負であり、以下の式で示される応力緩和前後の複屈折率の変化率の絶対値x(Δn)が80%未満である事を特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の光学材料。
x(Δn)=|応力緩和後の複屈折率/応力緩和前の複屈折率|×100
応力緩和前の複屈折率:23℃で測定した複屈折率
応力緩和後の複屈折率:ガラス転移温度+10℃で材料を100分間、緩和させた後の複屈折率

[7]レタデーションの絶対値が50nm以上である前記1〜6のいずれかに記載の光学材料。
[8]前記1〜7のいずれかに記載の材料からなる位相差フィルム。
[9]前記1〜8のいずれかに記載の材料を一層とすることを特徴とする積層フィルム。
本発明の光学材料は、使用環境下光源などの影響による複屈折の変化が著しく小さい。
本発明で使用する成分(I)はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体又はその水添物(以後、これらを総称して共重合体等(I)と呼ぶこともある)であり、共重合体のビニル芳香族炭化水素の重量比が好ましくは50〜95重量%、更には55〜90重量%以下、とりわけ好ましくは60〜85重量%以下である。共重合体等(I)はブロック共重合体であってもランダム共重合体であっても良い。尚、共重合体の水添物のビニル芳香族炭化水素含有量は、水添前の共重合体のビニル芳香族化合物含有量で把握しても良い。
本発明で使用する共重合体等(I)のうち、ブロック共重合体に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率は10〜100重量%、好ましくは15〜100重量%、更に好ましくは25〜100重量%であることが剛性に優れた光学材料を得る上で推奨される。
本発明で使用する共重合体等(I)に組み込まれているビニル芳香族炭化水素のブロック率は、水添前の共重合体を四酸化オスミウムを触媒としてタ−シャリ−ブチルハイドロパ−オキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.ScI.1,429(1946)に記載の方法)で測定でき、該方法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めた値を云う。
ブロック率(重量%)=(共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量/共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量)×100
本発明で使用する共重合体等(I)の分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)測定による数平均分子量(ポリスチレン換算分子量)が3万〜80万、好ましくは5万〜50万、更に好ましくは7万〜30万の範囲であり、分子量が異なる複数のブロック共重合体の混合物であっても良い。数平均分子量はゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−(GPC)において、重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、常法(例えば「ゲルクロマトグラフィ−<基礎編>」講談社発行)に従って算出できる。
本発明で使用する共重合体等の好ましいメルトフロ−インデックス(JISK−6870により測定。条件はG条件で温度200℃、荷重5Kg)は成形加工性の点から、0.1〜100g/10min、好ましくは0.5〜50g/10mIn、更に好ましくは1〜30g/10minであることが推奨される。分子量とメルトフロ−インデックスは重合に使用する触媒量により任意に調整できる。
本発明において、水添前のブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つと、共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体から構成されるセグメントを少なくとも1つ有する。該ブロック共重合体のポリマ−構造は特に制限は無いが、例えば一般式、
(A−B)、A−(B−A) 、B−(A−B)
[(A−B)m+1−X 、[(A−B)−A]m+1−X
[(B−A)m+1−X 、[(B−A)−B]m+1−X
(上式において、セグメントAはビニル芳香族炭化水素単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体、セグメントBは共役ジエン単独重合体及び/又はビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなる共重合体である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、1,3ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、エポキシ化大豆油等のカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。n、k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5の整数である。また、Xに複数結合しているポリマ−鎖の構造は同一でも、異なっていても良い。)で表される線状ブロック共重合体やラジアルブロック共重合体、或いはこれらのポリマ−構造の任意の混合物が使用できる。また、上記一般式で表されるラジアルブロック共重合体において、更にA及び/又はBが少なくとも一つXに結合していても良い。
本発明において、セブメントA、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、テ−パ−(漸減)状に分布していてもよい。また該共重合体中には、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテ−パ−状に分布している部分がセグメント中にそれぞれ複数個共存してもよい。セグメントA中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントA中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントA中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)とセグメントB中のビニル芳香族炭化水素含有量({セグメントB中のビニル芳香族炭化水素/(セグメントB中のビニル芳香族炭化水素+共役ジエン)}×100)との関係は、セグメントAにおけるビニル芳香族炭化水素含有量のほうが、セグメントBにおけるビニル芳香族炭化水素含有量より大である。セグメントAとセグメントBの好ましいビニル芳香族炭化水素含有量の差は5重量%以上であることが好ましい。
本発明において、水添前の共重合体は、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤としてビニル芳香族炭化水素及び共役ジエンを重合することにより得ることができる。本発明に用いるビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンなどがあるが、特に一般的なものはスチレンが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
共役ジエンとしては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
本発明において、水素添加前の共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
また重合開始剤としては、一般的に共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等を用いることができる。アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物であって、1分子中に1個のリチウムを含む化合物や1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が挙げられる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。
更に、米国特許第5,708,092号明細書、英国特許第2,241,239号明細書、米国特許第5,527,753号明細書等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
本発明において、共重合体等(I)および共重合体等(II)を製造する際の重合温度は一般的に−10℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は10時間以内であり、特に好適には0.5〜5時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガスなどをもって置換するのが望ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマ−及び溶媒を液層に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に制限されるものではない。更に重合系内には触媒及びリビングポリマ−を不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意する必要がある。
本発明で使用する共重合体の水添物は、上記で得られた水素添加前の共重合体を水素添加することにより得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)NI、Pt、Pd、Ru等の金属をカ−ボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)NI、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチ−グラ−型水添触媒、(3)TI、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物があげられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。
水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜7MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
本発明の共重合体の水添物において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。耐熱性、熱安定性及び耐候性の良好な熱収縮性フィルムを得る場合、共重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%を超える、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水添されていることが推奨される。また、熱安定性の良好な熱収縮性フィルムを得る場合、共重合体中の水素添加率は3〜70%、或いは5〜65%、特に好ましくは10〜60%にすることが好ましい。なお、共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水添率については特に制限はないが、水添率を50%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下にすることが好ましい。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
本発明において、共重合体等(I)中の共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、極性化合物等の使用により任意に変えることができ、特に制限はない。一般に、ビニル結合量は5〜90%、好ましくは7〜80%、より好ましくは8〜75%の範囲で設定できる。なお、本発明においてビニル結合量とは、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)である。ビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により把握することができる。
本発明において成分(II)のシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティ−は同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティ−は、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明に言うシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂とは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティ−を有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン) 、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン) 、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体およびこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソピルスチレン)、ポリ(タ−シャリ−ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等がある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等、またポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。尚、これらのうち特に好ましいスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−タ−シャリ−ブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体が挙げられる。このスチレン系樹脂は分子量について特に制限はないが、重量平均分子量が10,000以上、好ましくは50,000〜100,000である。さらに、分子量分布についてもその広狭は制約がなく、様々なものを充当することが可能である。このようなシンジオタクチックスチレン系樹脂は、例えば、不活性炭化水素溶媒中または溶媒の不存在下に、チタン化合物及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記のスチレン系樹脂に対応する単量体) を重合することにより製造することができる( 特開昭62−187708号公報) 。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)については特開平1−46912号公報、これらの水素化重合体は特開平1−178505号公報記載の方法などにより得ることができる。
尚、これらのシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂の好適な形態はスチレンとアルキルスチレン、ハロゲン化スチレン、ハロゲン化アルキルスチレン、アルコキシスチレン、ビニル安息香酸エステルから選ばれる少なくとも1種のスチレン誘導体との共重合体である。アルキルスチレンとしては、メチルスチレン、エチルスチレン、イソピルスチレン、タ−シャリ−ブチルスチレン、フェニルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルスチレン等があり、ハロゲン化スチレンとしては、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等がある。また、ハロゲン化アルキルスチレンとしては、クロロメチルスチレン等、またアルコキシスチレンとしては、メトキシスチレン、エトキシスチレン等がある。尚、これらのうち特に好ましいスチレン系誘導体としては、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−タ−シャリ−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−フルオロスチレンが挙げられる。スチレンとスチレン誘導体との共重合体におけるスチレンとスチレン誘導体との割合が、スチレンとスチレン誘導体の合計量100重量部に対して、スチレン誘導体が1重量部以上、50重量部未満、好ましくは1重量部以上、30重量部未満、更に好ましくは3重量部以上、25重量部以下、特に好ましくは5重量部以上、20重量部以下であることが推奨され、この範囲にあっては加工性と耐熱性に優れる。これらの共重合体の中で、スチレンとアルキルスチレンとの共重合体が特に好ましい。また、シンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂は1種のみを単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、成分(I)と成分(II)の合計量100重量部に対して下記のa)〜c)から選ばれる少なくとも1種を0.1〜100重量部添加することができる。
(a)スチレン系重合体(但し、成分(I)のスチレン系樹脂とは異なる)、
(b)脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物、脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸又はその誘導体とビニル系芳香族炭化水素との共重合体、
(c)ゴム変性スチレン系重合体
本発明に使用する(a)スチレン系重合体は、前記のビニル芳香族炭化水素もしくはこれと共重合可能なモノマ−を重合して得られるもの(但し、(b)を除く)である。ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマ−としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。スチレン系重合体としては、ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリロニトリル−スチレン共重合体等が挙げられる。また、スチレン系重合体のうち、スチレンを重合させたポリスチレンはアイソタクチックポリスチレンも含む。これらのスチレン系重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜1000000、好ましくは100000〜500000の重合体を使用できる。また、これらのスチレン系重合体は単独、又は二種以上の混合物として使用でき、耐熱性改良剤として利用できる。
本発明で使用する成分(b)の脂肪族不飽和カルボン酸、脂肪族不飽和カルボン酸無水物、脂肪族不飽和カルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種の脂肪族不飽和カルボン酸又はその誘導体とビニル系芳香族炭化水素との共重合体に使用される脂肪族不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタアクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられ、また脂肪族不飽和カルボン酸無水物としては無水フマル酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられ、さらに脂肪族不飽和カルボン酸エステルとしては、上記の脂肪族不飽和カルボン酸と炭素数C1〜C12、好ましくはC2〜C12のアルコ−ルとのモノ又はジエステルが挙げられる。成分(b)における脂肪族不飽和カルボン酸及び/又は脂肪族不飽和カルボン酸誘導体の含有量は、一般に5〜50重量%、好ましくは8〜30重量%、更に好ましくは10〜25重量%である。
なお、成分(b)の製造方法は、スチレン系樹脂を製造する公知の方法、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等を用いることができる。成分(b)の重量平均分子量は、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。
本発明で使用する成分(c)のゴム変性スチレン系重合体は前記のビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマ−とエラストマ−との混合物を重合することによって得られ、重合方法としては懸濁重合、乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等が一般的に行われている。ビニル芳香族炭化水素としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、ビニル芳香族炭化水素と共重合可能なモノマ−としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸等があげられる。又、共重合可能なエラストマ−としては天然ゴム、合成イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ハイスチレンゴム等が使用される。
これらのエラストマ−はビニル芳香族炭化水素もしくはこれと共重合可能なモノマ−100重量部に対して一般に3〜50重量部該モノマ−に溶解して或いはラテックス状で乳化重合、塊状重合、塊状−懸濁重合等に共される。特に好ましいゴム変性スチレン系重合体としては、耐衝撃性ゴム変性スチレン系重合体(HIPS)があげられ。ゴム変性スチレン系重合体は剛性、耐衝撃性、滑り性の改良剤として利用できる。これらのゴム変性スチレン系重合体の重量平均分子量は、一般に50000〜500000の重合体を使用できる。ゴム変性スチレン系重合体の添加量は透明性維持を考慮すると0.1〜10重量部が好ましい。
本発明の光学材料を構成する組成物は、成分(I)の共重合体等と成分(II)のシンはジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂からなり、光学特性と力学物性のバランスの点で、成分(I)と成分(II)の合計を100とした重量比が5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。
一方、特に複屈折が負に大きな光学材料を得る場合には、該光学材料ののDSC測定において220〜280℃、好ましくは225から275℃、更に好ましくは230〜270℃に結晶融解ピークを有し、この融解ピーク熱量は1J/g以上、好ましくは2J/g以上、更に好ましくは3J/g以上、とりわけ好ましくは4J/g以上であることが推奨される。該光学材料ののピーク熱量は、成分(II)のスチレンとスチレン系誘導体の共重合比、タクティシティー、および成分(I)と成分(II)の配合比率を調整することにより発熱ピーク量を調整することができる。
本発明において、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体エラストマ−又はその水添物は、ビニル芳香族炭化水素含有量が60重量%未満、好ましくは10〜50重量%で、本発明のブロック共重合体と同様の構造を有するものが使用でき、本発明で使用する共重合体等100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは1〜20重量部配合することにより、耐衝撃性や伸び等を改善することができる。
ブロック共重合体エラストマ−の水添物において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。ブロック共重合体エラストマ−中の共役ジエンに基づく不飽和二重結合の70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上が水添されていても良いし、一部のみが水添されていても良い。一部のみを水添する場合には、水添率が10%以上、70%未満、或いは15%以上、65%未満、所望によっては20%以上、60%未満にすることが好ましい。
本発明においてシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂の結晶化度を上げる、あるいは結晶径をコントロールするなどの目的に各種各剤などを用いる事も可能である。これら核剤としては、アルミニウムジ(p−t−ブチルベンゾエート)をはじめとするカルボン酸の金属塩、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェノール)アシッドホスフェートナトリウムをはじめとするリン酸の金属塩、タルク、フタロシアニン誘導体など、公知のものから任意に選択して用いることができる。なお、これらの核剤は一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いる事ができる。
その他の好適な添加剤としては、クマロン−インデン樹脂、テルペン樹脂、オイル等の軟化剤、可塑剤が挙げられる。又各種の安定剤、顔料、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤等も添加できる。尚、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、滑剤としては、例えば脂肪酸アマイド、エチレンビスステアロアミド、ソルビタンモノステアレ−ト、脂肪酸アルコ−ルの飽和脂肪酸エステル、ペンタエリスト−ル脂肪酸エステル等、又紫外線吸収剤としては、p−t−ブチルフェニルサリシレ−ト、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2,5−ビス−[5’−t−ブチルベンゾオキサゾリル−(2)]チオフェン等、「プラスチックおよびゴム用添加剤実用便覧」(化学工業社)に記載された化合物が使用できる。これらは、本発明で使用する組成物において一般的に0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%の範囲で用いられる。
本発明の光学材料は押出し成形、キャスト成型法などの手法が用いられる。例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、未延伸フィルムを押出し成形することができる。
上記方法で得られたフィルムを更に、機械的流れ方向に縦一軸延伸、機械流れ方向に直行する方向に横一軸延伸することができ、またロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法によって延伸することにより2軸延伸フィルムを製造することができる。延伸を行うことにより、フィルムの強度を向上させることができる。延伸倍率は特に限定しないが、好ましくは少なくともどちらか一方向に10%以上5000%以下、更に好ましくは20%以上2000%以下、とりわけ好ましくは30倍以上1000倍以下である。この範囲に延伸倍率を設計することにより、複屈折および力学物性の優れた光学フィルムを得る事ができる。ここで、延伸倍率(%)とは
{(延伸後のフィルムの長さ/延伸前のフィルムの長さ)−1}×100
で定義される。
本発明において、光学材料の複屈折の値が負であり、ガラス転移温度下での応力緩和前後の複屈折の変化率の絶対値x(Δn)が80%未満、好ましくは70%未満、更に好ましくは50%未満であることが、ディスプレイなどでの使用環境下でも複屈折が変化しない安定な光学材料を得る事ができる。ここで、応力緩和前後の複屈折の変化率の絶対値は下記式で定義される。
x(Δn)=|1−応力緩和後の複屈折率/応力緩和前の複屈折率|×100
ここで、ガラス転移温度とは動的粘弾性測定における貯蔵弾性率の変極点を意味し、共重合体などで複数点ガラス転移温度が存在する場合は高温側のものを意味する。
応力緩和前複屈折率の変化率の絶対値x(Δn)は80%未満、好ましくは70%未満、さらに好ましくは50%未満である。ここで応力緩和前複屈折率の変化率の絶対値x(Δn)は以下の式で定義される。
x(Δn)=|1−応力緩和後の複屈折率/応力緩和前の複屈折率|×100
応力緩和前の複屈折率:23℃で測定した複屈折率
応力緩和後の複屈折率:ガラス転移温度+10℃で材料を100分間、緩和させた後
の複屈折率
また、本発明における波長633nmでのレタデーションの絶対値は50nm以上、好ましくは70nm以上、更に好ましくは100nm以上である。この範囲にレタデーションを設計することにより、位相差板などに好適に用いることができる。これらは成分(I)および(II)の配合比、フィルムの延伸倍率、厚みなどをコントロールすることにより所定の値を得る事ができる。
本発明における光学材料は単独でも使用できるが、複数の層を重ねた積層フィルムなどとしても使用できる。本発明では、正の複屈折材料と組み合わせることによって、及び/又は、延伸条件などを調整することにより、発現するレタデーションの波長分散性を制御し、レタデーションがほぼ均一な位相差特性を与えることが可能になる。
本発明の光学材料は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板などの位相差板、視野角制御フィルム等の液晶光学補償フィルム、ディスプレイ全面板、ディスプレイ基盤、レンズなど、なた、太陽電池などに用いられる透明基盤などに好適に用いることができる。本発明の成形体による光学材料は、例えば反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮断処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理をする事も可能である。
実施例
a.共重合体A−1
スチレン含有量が90重量%の共重合体A−1を次のような方法で調製した。
攪拌機付き重合器に次にテトラメチルエチレンジアミンを0.3重量部及びn−ブチルリチウムを全使用モノマ−100重量部に対して0.045重量部添加した後、約70℃に調整した。次にスチレン82重量部、ブタジエン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20重量%)を80分かけて連続的に添加して重合させた。さらにスチレン8重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20重量%)10分かけて連続的に添加して重合させた。この間、重合器内の温度は約70℃に調製した。次に重合器にメタノ−ルをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ−トをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒して共重合体A−1を得た。
得られた共重合体A−1は、スチレン含有量85重量%、数平均分子量160000、ブロックスチレンのブロック率が30%のブロックスチレンを有していた。
b.共重合体A−2
スチレン含有量が70重量%の共重合体A−2を次のような方法で調製した。
攪拌機付き重合器にスチレン25重量部を含むシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20重量%)を添加後約70℃に加熱し、n−ブチルリチウムを全使用モノマ−100重量部に対して0.065部添加して約70℃で1時間重合した。次にスチレン20重量部と1,3−ブタジエン10重量部、イソプレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20重量%)を1時間かけて連続的に添加して約70℃で1時間重合した。その後更にスチレン25重量部を含むシクロヘキサン溶液(モノマー濃度20重量%)を添加して約70℃で1時間重合した。
次に重合器にメタノ−ルをn−ブチルリチウムに対して1.0倍モル添加して重合を停止し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ−トをブロック共重合体組成物100重量部に対して0.6重量部を加えた後、脱溶媒して共重合体A−2を得た。
得られた共重合体A−2は、スチレン含有量70重量%、数平均分子量110000、ブロックスチレンのブロック率が55%のブロックスチレンを有していた。
B.成分(II)の調製
a.スチレン系樹脂B−1の調製
シンジオタチクティック構造を有するスチレン系樹脂B−1を次のような方法で調製した。
充分に乾燥し窒素置換された容器にトルエン、トリイソ ブチルアルミニウム3.8mmol、メチルアルミノキ サン16.8mmol、オクタヒドロフルオレニルチタントリメトキシド0.15mmolを入れ、Ti濃度で3mmol/lになるように調製した。各成分を混合後、1時間攪拌し、触媒として用いた。
また、充分に乾燥し窒素置換された反応器にスチレン4.4リットル、パラメチルスチレン0.6リットル、トリエチルアルミニウムをモル比でスチレン/トリエチルアルミニウム=3500/1になるように入れ、十分に攪拌した。スチレンとトリエチルアルミニウムの混合物を78℃まで昇温させた後、上記で調製した触媒21mlを加え重合を開始した。1時間後、メタノールを加えて重合を停止させた。得られた重合体をメタノールで洗浄後、200℃、2時間乾燥した。パラメチルスチレンの含有量が約13重量%、MFR(300℃、1.2kg荷重)が約20g/10minのシンジオタチクティック構造を有するスチレン系樹脂B−1を得た。
1)スチレン含有量
ブロック共重合体等のスチレン含有量は、紫外分光光度計(装置名:UV−2450;島津製作所製)を用いて測定した。
2)ブロックスチレン含有量及びブロック率
水添前のブロック共重合体を、四酸化オスミウムを触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)でブロックスチレン含有量を測定した。また、ブロック率は同法により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めた。
ブロック率(重量%)=(ブロック共重合体中のビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの重量/ブロック共重合体中の全ビニル芳香族炭化水素の重量)×100
3)数平均分子量
ブロック共重合体等の分子量は、GPC装置(米国、ウォーターズ製)を用いて測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、35℃で測定した。重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、数平均分子量を求めた。
4)結晶化ピーク温度
フィルムの結晶化ピーク及び結晶化ピーク熱量はDSC(装置名:DSC3200S;マックサイエンス社製)で測定した。室温から20℃/minの昇温速度で300℃まで昇温し、結晶化カーブを測定して結晶化ピークの有無を確認した。また、結晶化ピークがある場合、その極大値のときの温度を結晶化ピーク温度とした。
5)引張弾性率及び破断伸び
JIS K−6732に準拠し、引張速度5mm/minでフィルムの延伸方向と垂直な方向について測定した。試験片は幅を12.7mm、標線間を50mmとした。測定温度は23℃で行った。単位はKg/cm2
6)ヘーズ
延伸フィルムに流動パラフィンを塗布し、ASTM D1003に準拠して測定した。
7)複屈折・レタデーション
応力・複屈折緩和同時測定装置(Mromlecules,37,1062(2004)に記載の装置)を用いて、85℃、100分間フィルムを放置し、波長633nmでの複屈折およびレタデーションを応力緩和前後についてそれぞれ測定した。
[実施例1〜4及び比較例1〜2]
表1に示した配合組成からなる組成物を、30mm2軸押出機を用いて260℃で作製した。次に40mm単軸押出機を用い、これらの組成物を240℃で厚さ0.25mmのシ−ト状に成形し、その後、表1に示す延伸温度でそれぞれ横軸に延伸倍率5倍で1軸延伸して厚さ約60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの性能も表1に示す。
本発明は、1/4波長板などの複屈折の制御が必要な光学材料に好適に利用できる。

Claims (9)

  1. ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体および/またはその水添物(I)と、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(II)から構成される光学材料。
  2. 成分(I)のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの共重合体の重量比が50/50〜95/5で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による数平均分子量が3万〜80万で、ビニル芳香族炭化水素のブロック率が10〜100重量%である請求項1に記載の光学材料。
  3. 光学材料の示差走査熱量測定(DSC)において220〜280℃に融解のピークを有する事を特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の光学材料。
  4. 成分(II)の主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体がスチレンとポリ(アルキルスチレン)からなる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学材料。
  5. 延伸されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学材料。
  6. 複屈折の値が負であり、以下の式で示される応力緩和前後の複屈折率の変化率の絶対値x(Δn)が80%未満である事を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学材料。
    x(Δn)=|応力緩和後の複屈折率/応力緩和前の複屈折率|×100
    応力緩和前の複屈折率:23℃で測定した複屈折率
    応力緩和後の複屈折率:ガラス転移温度+10℃で材料を100分間、緩和させた後の複屈折率
  7. レタデーションの絶対値が50nm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光学材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の材料からなる位相差フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の材料を一層とすることを特徴とする積層フィルム。
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