JP4925611B2 - 高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高強度鋼板およびその製造方法に関し、例えば、自動車車体用鋼板のようにプレス加工や曲げ加工を施されて使用される用途に好適な高強度鋼板およびその製造方法に関する。
車体の軽量化ならびに衝突特性を向上させるため、引張強度が780MPa以上に達する高強度鋼板の自動車部品への適用が進んでいる。一般に、高強度になると、延性が低下して加工性が劣化するとともに、鋼板の機械特性の変動が大きくなってプレス成形後の部品精度が低下する。したがって、単に高強度を有するというだけではなく、加工性やプレス成形後の部品精度も優れた高強度鋼板が求められている。また、高強度鋼板の自動車部品への適用拡大を考慮すると、耐食性を向上することも重要である。
従来より、加工性に優れた高強度鋼板として、フェライトを主相とし、マルテンサイトやベイナイト等の低温変態相を硬質第二相とする複合組織鋼板が提案されている。例えば特許文献1には、C:0.08〜0.20%(本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味する)、Mn:1.5〜3.5%、Al:0.010〜0.1%、P:0.010%以下、S:0.001%以下、Ti:0.010〜0.1%およびNb:0.010〜0.1%の1種以上、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼組成とフェライトを主相とする複合組織とを有し、引張強度:784MPa以上、降伏比:60%以下であって、引張強度と伸びとのバランス(TS×El)が17000〜25000MPa・%と優れた加工性を示す溶融めっき鋼板が開示されている。
しかし、硬質な低温変態相を利用した高強度鋼板は、フェライトと硬質相との界面に亀裂が形成され易く、曲げ性や伸びフランジ性が十分ではない。また、硬質相によって強度を確保するので、この高強度鋼板を冷却速度が低い連続溶融亜鉛めっきラインで製造すると、均熱後の冷却条件や合金化処理条件の変化によって、機械特性が大幅に変動してしまうおそれがある。
硬質相によって強度を確保する鋼板の機械特性を安定化するには、鋼の焼入性を高めて、連続焼鈍条件が変わっても連続焼鈍後に生成する硬質相の硬さや体積率を変動させないことが重要である。そこで、鋼中のC、Mn量を高めて焼入性を高めることにより材質安定性を高めた高強度鋼板が提案されている。例えば特許文献2には、連続溶融亜鉛めっきライン均熱温度、均熱後の冷却速度さらには合金化処理時間が変動しても機械特性の変動が小さい、材質安定性に優れた引張強度が784MPa以上を有する溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。この鋼板は、C量を0.13〜0.3%、Mn量を2.5〜4%と高め、連続溶融亜鉛めっき工程での均熱温度をAc点〜900℃とすることによって、連続溶融亜鉛めっき工程の製造条件の変化に対する優れた材質安定性を示す。しかし、この溶融亜鉛めっき鋼板は、硬質相によって強度を確保し、かつ、C量が高いため、溶接性が十分でない。また、鋼中のMn量が増加すると合金化処理し難くなり、合金化処理を高温で行わなければならなくなるが、合金化処理温度を高めると合金化処理中に硬質相が焼き戻され、機械特性が大幅に変動する可能性がある。しかし、この溶融亜鉛めっき鋼板では、合金化処理温度の上昇による機械特性の変動を抑制する手段は考慮されておらず、材質安定性が不足する。
したがって、鋼板の強度を高めながら材質安定性を高めるためには、マルテンサイトやベイナイト等の硬質相の利用を出来るだけ抑え、TiCやNbCなどの微細析出物の分散や結晶粒の微細化によって、基地であるフェライトを強化しなければならない。
特許文献3には、C:0.10%未満、Ti:0.03〜0.10%、Mo:0.05〜0.6%を含有し、粒径が10nm未満の微細析出物が分散したフェライト単相組織を有し、引張強度が550MPa以上である薄鋼板が開示されている。この薄鋼板は、熱延条件ならびに連続溶融亜鉛めっきライン均熱条件を最適化することによって、780MPa以上の引張強度を確保した上、TS×Elが16000MPa・%以上と優れた加工性を示す。しかし、この薄鋼板は熱延鋼板であって、表面粗度および板厚精度をともに向上させる冷間圧延工程は考慮されていない。このため、この薄鋼板にさらに冷間圧延を行うと、Ti、Nb等の炭窒化物形成元素を多量に含有するために再結晶温度の上昇が起こり、これに伴ってAc点以上での高温焼鈍を行うこととなり、析出物の粗大化が進行してしまうために所望の高強度化を図れない。
特許文献4には、C:0.07〜0.25%、Mn:1.5〜2.5%、Nb:0.10%以下、Ti:0.3%以下、Si:0.1%以下、Cr:0.1%以下、P:0.05%以下、Sol.Al:0.010〜0.100%、S:0.01%以下、N:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼組成を有し、引張強度が441MPa以上であり、降伏比が80%以上である非複合組織の高強度高降伏比型溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。この鋼板は、炭窒化物形成元素であるTiおよびNbを添加し、連続焼鈍中にフェライトとオーステナイト相の二相組織にすることによって、引張強度700MPa以上、降伏比70%以上の高強度を示す。しかし、TiおよびNbを添加した鋼を二相組織となる温度で焼鈍すると、バンド組織となり機械特性が劣化する。
特許文献5には、C:0.03〜0.16%、Si:0.2〜2.0%、Mn:1.0〜3.0%および/またはNi:0.5〜3.0%、Ti:0.2%以下および/またはNb:0.2%以下、Al:0.01〜0.1%、P:0.1 %以下、S:0.02%以下およびN:0.005%以下で、かつC、Si、Mn、Ni、TiおよびNbが特定の関係式を満足する範囲において含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、1200℃以上に加熱したのち熱間圧延し、ついで冷間圧延後、A点以上(A点+30℃)以下で再結晶焼鈍し、ついで酸洗した後、フェライトとオーステナイト相の二相組織となるA点以上(A点+70℃)以下の温度範囲で5〜30秒均熱することによって、フェライトの体積分率が70%以上、フェライトの平均結晶粒径が3.5μm以下の延性に優れ、TS×Elが20000MPa・%以上と優れた加工性を示す溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。しかし、この鋼板を製造するには、焼鈍を二工程で行うために生産性およびコストの両面で問題があるだけでなく、二相組織となる温度域で均熱すると、均熱温度の変動によって機械特性が著しく変化し、材質安定性の面で問題である。
特許文献6には、C:0.04%〜0.25%、Si:0.7%以下、Mn:1.4〜3.5%、Cr:0.05〜1%、P:0.05%以下、S:0.01%以下、Nb:0.005〜0.1%を含有し、残部が実質的にFeからなり、かつ複合組織を構成するフェライトと低温変態相の平均粒径が10μm以下であってHAZ軟化特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。この鋼板は、熱延板中に微細なNbCを析出させることによって、粒径3μm程度のフェライトとマルテンサイトが微細に分散した組織を示す。しかし、熱延板中にTiCやNbCを析出させると、冷間圧延し難くなって生産性が低下するだけでなく、板厚精度も低下する。また、熱間圧延以降の工程で析出物が粗大化するので、フェライトを強化し難くなる。
このように、微細析出物の分散や結晶粒の微細化によってフェライトを強化して鋼板の強度を高めようとしても、冷間圧延を施しその後焼鈍してもなお780MPa以上の引張強度を確保するためには、マルテンサイトやベイナイト等の硬質相の利用が不可欠である。その場合、加工性を向上させるためには、フェライトおよび硬質相について、それぞれの体積率や硬さを制御しなければならない。
特許文献7には、C:0.08〜0.25%、Mn:0.8〜3.0%、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.001〜0.010%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、組織が低温変態生成相又はこれとフェライトとの複合相からなり、降伏比が0.7以上である、剪断加工後の伸びフランジ性に優れた高強度鋼板が開示されている。この鋼板は、フェライトの硬さHv(↑)に対する低温変態相の硬さHv(s)の比[Hv(↑)/Hv(s)]が0.3〜0.6の範囲にある組織とすることによって、ボイドの発生を抑制でき、優れた局部延性を示している。
特開平4−236741号公報 特開平5−179402号公報 特開2002−322539号公報 特開平10−273754号公報 特開2004−204341号公報 特開2002−256386号公報 特開平9−67645号公報
しかしながら、特許文献7にも、優れた局部延性を確保しながら材質安定性を向上させる方策は、何ら開示されていない。
本発明は、引張強度が780MPa以上の高強度鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。より詳しくは、本発明の目的は、加工性ならびに材質安定性に優れた高強度鋼板ならびにその製造方法を提供することであり、例えば、加工性の目標値は、TS×ELが10000MPa・%以上、最小曲げ半径が1.0t以下であり、材質安定性の目標値は、板幅方向中央部と板幅方向(1/4)部の引張強度差の絶対値が、引張強度の10%以内、好ましくは5%以内であることである。
本発明者らは、上記の特性を備える鋼板を提供すべく、鋼組成、鋼組織、製造条件のそれぞれの観点から検討を重ねた。その結果、鋼素材の組成および熱間圧延条件をいずれも適正化することによって、熱延板におけるTiまたはNbの析出を抑制して、冷間圧延以降の工程において微細な炭化物を析出させてフェライトを有効に強化し、これにより、フェライトの平均結晶粒径が1〜3.5μmおよびフェライトの体積率が40%以上であって、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であるとともに引張強度が780MPa以上であるという、これまでには存在しない優れた特性を備える高強度冷延鋼板を得ることができ、これにより、強度レベルを低下させることなく、加工性ならびに材質安定性に優れた高強度鋼板を提供できることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
本発明は、C:0.06%以上0.18%以下、Si:0.005%以上0.5%以下、Mn:2.0%以上3.0%以下、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:0.01%以上0.1%以下、N:0.01%以下、さらに、Ti:0.20%以下およびNb:0.20%以下の1種または2種を合計で0.05%以上、必要に応じて、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下およびB:0.003%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上、残部Feおよび不純物からなる鋼組成を有し、フェライトの平均結晶粒径が1〜3.5μmであり、フェライトの体積率が40%以上であり、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であるとともに、引張強度が780MPa以上である鋼組織を有することを特徴とする高強度鋼板である。
別の観点からは、本発明は、例えば、上述した鋼組成を有する鋼を連続鋳造後に、直接熱延、直送熱延、または、一旦冷却した後に1150℃以上1300℃以下に再加熱した後に熱間圧延し、800℃以上950℃以下で仕上げ圧延を完了し、仕上げ圧延完了後30秒以内に500℃以上700℃以下の温度範囲で巻き取ることによって、鋼中の固溶Ti量および固溶Nb量の合計が鋼中の全Ti量および全Nb量の合計の40%以上である鋼板とし、この鋼板を冷間圧延し、次いで、連続焼鈍設備により、Ac点以上900℃以下の温度範囲で10秒間以上300秒間以下で焼鈍した後、650℃から550℃まで5℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度で冷却することを特徴とする高強度鋼板の製造方法である。
本発明によれば、引張強度が780MPa以上で、加工性および材質安定性に優れた高強度冷延鋼板を提供できるので、自動車の車体部品の軽量化や衝突安全性の向上に寄与する効果は顕著である。
また、本発明によれば、この高強度冷延鋼板の素材となる熱延鋼板中のTiCなどの析出を抑制してこの熱延鋼板を軟質化できるので、冷間圧延機の圧延ロールの消耗も低減でき、この高強度冷延鋼板の生産性を向上することも可能である。
以下、本発明にかかる高強度鋼板およびその製造方法を実施するための最良の形態を、詳細に説明する。
本実施の形態の高強度熱延鋼板は、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上3.5μm以下であり、フェライトの体積率が40%以上であり、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であり、さらに、引張強度が780MPa以上である鋼組織を有する。そして、本実施の形態の高強度鋼板は、このような組織面での特徴を有することによって直接的に優れた加工性および材質安定性を奏するという技術思想に基づくものである。
以降の説明では、この組織面での特徴を確保するための具体的な一態様として、上述したように、C、Mn、Ti、Nb等の合金元素を適量含有するとともに熱間圧延条件、焼鈍条件および焼鈍後冷却条件をいずれも制御する態様を例に取るが、あくまでもこれは上述した特徴を確保するための一態様に過ぎないのであり、この特徴を確保できる態様であれば、本実施の形態で開示する態様以外の態様であっても等しく適用できるものである。このため、上述した本発明の技術思想が、最良の実施の形態として例示するこの態様に不当に制限されるものではない。
はじめに、本実施の形態にかかる高強度鋼板の鋼組成の限定理由を説明する。
(C:0.06%以上0.18%以下)
Cは高強度鋼板の強度向上に寄与する元素であり、引張強度を780MPa以上にするために、少なくとも0.06%以上含有する。ただし、C含有量が0.18%を超えると溶接性が著しく劣化する。このため、C量は0.06%以上0.18%以下と限定する。同様の観点から、C含有量の下限は0.07%であることが望ましく、上限は0.15%であることが望ましい。
(Si:0.005%以上0.5%以下)
Siは高強度鋼板の強度向上に寄与する元素であり、0.005%以上含有する。しかし、Si含有量が0.5%を超えるとめっきの濡れ性や化成処理性が劣化する。このため、Si量は0.005%以上0.5%以下と限定する。同様の観点から、Si含有量の上限は0.1%であることが望ましい。
(Mn:2.0%以上3.0%以下)
Mnは高強度鋼板の強度向上に寄与する元素であり、引張強度780MPa以上を確保するために、少なくとも2.0%以上含有する。しかし、Mn含有量が3.0%を超えると、フェライトが生成し難くなるだけでなく、不均一な組織となり加工性が劣化する。このため、Mn量は2.0%以上3.0%以下と限定する。Mn含有量の下限は、780MPa以上の引張強度を安定確保するために、具体的には引張強度800MPa以上を確保するために2.2%であることが望ましい。Mn含有量の上限は、同様の観点から、2.8%であることが望ましい。
(P:0.02%以下)
Pは本実施の形態の高強度鋼板では不可避的不純物であり、過多に含有させると不均一な組織となるために加工性が劣化する。このため、P含有量は0.02%以下と限定する。同様の観点からP含有量の上限は0.015%であることが望ましく、製造コストの上昇を抑制するためには0.005%以上とすることが望ましい。
(S:0.01%以下)
Sは本実施の形態の高強度鋼板では硫化物として存在し、応力集中源となるために加工性が劣化する。このため、S含有量はできるだけ少ないことが望ましいが、0.01%以下であれば、本実施の形態が対象とする引張強度780MPa以上の高強度鋼板でも曲げ性に悪影響を及ぼさない。このため、S含有量は0.01%以下と限定する。なお、好ましくは0.005%以下である。
(sol.Al:0.01%以上0.1%以下)
Alは鋼の脱酸のために添加される元素であり、鋼の清浄度を向上させるのに有効に作用する。シリケート介在物を除去し、加工性を向上させるために、sol.Alで0.01%以上含有する。ただし、sol.Al含有量が0.1%を超えると酸化物系介在物が増加するためにかえって表面性状や加工性が劣化する。このため、sol.Al量は0.01%以上0.1%以下と限定する。なお、同様の観点から、sol.Al量の上限は0.06%であることが好ましく、下限は0.02%であることが望ましい。
(N:0.01%以下)
Nは本実施の形態の高強度鋼板では不可避的不純物であり、過多に含有させると粗大な窒化物が析出するため加工性が劣化する。このため、N含有量はできるだけ少なくすることが望ましいが、0.01%以下であれば、本発明で目的とするような高強度材でも加工性に悪影響を及ぼさない。このため、N含有量は0.01%以下と限定する。なお、好ましくはN含有量の上限は、0.005%であることが望ましく、0.003%であることがさらに望ましい。
(Ti:0.20%以下、Nb:0.20%以下、Ti+Nb:0.05%以上)
TiおよびNbは、いずれも、本発明では重要な元素の一つであり、1種または2種を含有させる。TiおよびNbの1種または2種を含有することにより、炭化物を形成し、析出強化ならびに結晶粒微細化によってフェライトを強化し、これにより、材質安定性を劣化させることなく、引張強度780MPa以上の高強度化を図ることができる。TiおよびNbの1種または2種を微量添加することによって、降伏強度、引張強度または伸びが著しく上昇する。したがって、機械特性の変動を低減するために、TiおよびNb合計で0.05%以上含有する。ただし、TiまたはNbのいずれかを0.20%超含有させると、鋼中の析出物が粗大化するため加工性が劣化する。このため、TiおよびNbそれぞれ単独の含有量は0.20%以下と限定する。なお、同様の観点から、TiおよびNbそれぞれ単独の含有量の上限は0.15%であることが望ましく、下限は0.05%であることが望ましい。
(Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下、B:0.003%以下)
本実施の形態の高強度鋼板では、Cr、Mo、Bはいずれも必要に応じて添加される任意添加元素であり、フェライトの強化に有効に作用するので、1種単独で、または2種以上複合して含有してもよい。しかし、Cr、Moそれぞれの含有量が1.0%を超え、一方、B含有量が0.003%を超えると、フェライトが生成し難くなって加工性が劣化する。このため、Cr、Moの含有量はそれぞれ1.0%以下と限定し、B含有量は0.003%以下と限定する。上記効果を確実に得るには、Cr、Moはそれぞれ0.1%以上含有し、Bは0.0005%以上含有することが好ましい。
なお、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物として、O:0.006%以下、Cu:0.05%以下、Ni:0.05%以下さらにはCa:0.0003%以下は、許容される。
次に、本実施の形態の高強度鋼板の鋼組織の限定理由を説明する。
上述した鋼組成を有する本実施の形態の高強度鋼板は、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上3.5μm以下であり、フェライトの、面積率で評価した体積率が40%以上であり、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であり、さらに、引張強度が780MPa以上となる鋼組織を有する。
フェライトの平均結晶粒径が3.5μm超であると、フェライトと硬質相との界面で割れが発生し易くなり、加工性が劣化するだけでなく、引張強度を780MPa以上にすることが困難になる。一方、フェライトの平均結晶粒径が1μm未満であると、均一変形し難くなり、加工性が劣化する。このため、本実施の形態の高強度鋼板のフェライトの平均結晶粒径は1μm以上3.5μm以下と限定する。フェライトの平均結晶粒径の上限は、780MPa以上の引張強度を安定確保するために、具体的には引張強度800MPa以上を確保するために3.2μmであることが望ましい。フェライトの平均結晶粒径の下限は、同様の観点から、1.2μmであることが望ましい。
また、フェライトの体積率が40%未満であると、不均一変形が助長され、加工性が劣化するだけでなく、鋼板の強度に関する硬質相の寄与が大きくなり、材質安定性も劣化する。フェライトの体積率が40%以上であれば、加工性の劣化を抑制しながら780MPa以上の引張強度を実現できる。このため、本実施の形態の高強度鋼板のフェライトの体積率は40%以上と限定する。同様の観点から、フェライトの体積率の下限は50%であることが望ましい。
さらに、本実施の形態の高強度鋼板の組織上の新規な最大の特徴は、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上と、本願前には存在しない範囲に高められている点である。
周知のように、AFMナノインデンテーションによりナノ硬さを測定することにより、正確にフェライトの硬さを測定することができる。フェライトの体積率と、フェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa未満である場合にこの鋼板の引張強度を780MPa以上とすると、鋼板の強度に関して硬質相の寄与が大きくなり過ぎ、材質安定性が劣化する。フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積を180%・GPa以上にすることにより、材質安定性の劣化を抑制しながら780MPa以上の引張強度を達成することが可能となる。
本実施の形態の高強度鋼板は、以上説明した鋼組成および鋼組織を有する。次に、本実施の形態の高強度鋼板の製造方法の限定理由について説明する。
本実施の形態では、上述した鋼組成の溶鋼を、転炉や電気炉等の常法により溶製し、連続鋳造法によりスラブ等の鋼素材とするのが望ましい。なお、連続鋳造法に代えて、造塊法や薄スラブ鋳造法等により鋼素材としてもよい。
この鋼素材に慣用される手段により熱間圧延を行って熱延鋼板とする。この熱間圧延は、鋳造された鋼素材を室温まで冷却させずに温片のまま加熱炉に装入して加熱した後に圧延する直送圧延や、わずかの保熱を行った後に直ちに圧延する直接圧延、さらには、一旦鋼素材を冷却した後に再加熱してから圧延することのいずれによってもよい。
(鋼素材の再加熱温度:1150℃以上1300℃以下)
一旦鋼素材を冷却した後に再加熱してから圧延する場合には、加工性を劣化させないとともに、連続焼鈍後に生成されるフェライトを有効に強化することによって材質安定性と780MPa以上の引張強度を両立させるために、加熱中にTiCやNbCを再固溶させることが有効である。このために、鋼素材を1150℃以上に加熱することが有効であるが、1300℃超に加熱しても効果が飽和するだけでなく、スケールロスが増加する。このため、鋼素材の再加熱温度は1150℃以上1300℃以下とすることが望ましい。
(仕上げ圧延終了温度:800℃以上950℃以下)
本実施の形態では、鋼素材に対して熱間圧延を行うが、熱間圧延の仕上げ圧延終了温度は、800℃以上950℃以下と限定する。仕上げ圧延終了温度が800℃未満であると、圧延時の変形抵抗が大きくなって生産性が劣るだけではなく、組織が不均一なバンド組織となり、冷却焼鈍後の加工性が劣化する。一方、仕上圧延終了温度が950℃を超えると、その後の冷却中に、鋼中のTiまたはNbの殆どが熱延鋼板の内部で炭化物として析出してしまい、その後の冷間圧延が困難となるだけでなく、炭化物が連続焼鈍中に粗大化して、冷延焼鈍後に材質安定性を高めること、および780MPa以上の引張強度を確保することの両立も困難となるとともに、加工性が劣化する。
このため、本実施の形態では、熱間圧延の仕上圧延終了温度は800℃以上950℃以下と限定する。
(仕上げ圧延終了後の冷却条件:仕上げ圧延終了後から30秒以内で巻取り開始)
本実施の形態では、仕上げ圧延終了後から30秒間以内で巻取りを開始する。巻取り開始までに30秒間超要すると、鋼中のTiまたはNbのほとんどが熱延板中に炭化物として析出してしまい、その後の冷間圧延が困難となるだけでなく、炭化物が連続焼鈍中に粗大化して、冷延焼鈍後に材質安定性を高めることと780MPa以上の引張強度を確保することの両立も困難となる。
このため、本実施の形態では、仕上げ圧延終了後から30秒間以内で巻取りを開始することと限定する。同様の観点から、25秒以内に巻取りを開始することが望ましい。
(巻取り温度:500℃以上700℃以下)
本実施の形態では、巻取り温度を500℃以上700℃以下とする。巻取り温度が500℃未満であると、硬質なベイナイトやマルテンサイトが生成し、その後の冷間圧延が困難となる。一方、巻取り温度が700℃を超えると炭化物が粗大化し、冷延焼鈍後に材質安定性を高めること、および780MPa以上の引張強度を確保することの両立が困難となる。
このため、本実施の形態では、巻取り温度は500℃以上700℃以下に限定する。同様の観点から、巻取り温度の下限は530℃であることが望ましく、上限は680℃であることが望ましい。
(熱延鋼板中に固溶Ti量および固溶Nb量の合計が鋼中の全Ti量と全Nb量の合計の40%以上であること)
本実施の形態では、上述した熱間圧延工程および巻取り工程を経ることにより、巻き取った熱延鋼板中の固溶Ti量および固溶Nb量の合計を、鋼中の全Ti量と全Nb量の合計の40%以上とする。熱延鋼板中の固溶Ti量および固溶Nb量の合計が鋼中の全Ti量と全Nb量の合計の40%未満であると、その後の冷間圧延が困難となるだけでなく、炭化物が連続焼鈍中に粗大化して冷延焼鈍後に生成するフェライトを強化することが難しくなり、材質安定性を高めること、および780MPa以上の引張強度を確保することの両立が困難となる。
このように、本実施の形態では、鋼素材の成分の調整および熱間圧延条件の適正化によって熱延鋼板におけるTiまたはNbの析出を抑制し、これにより、冷間圧延以降の工程において微細な炭化物を析出させ、フェライトを有効に強化できる。
このようにして、固溶Ti量および固溶Nb量の合計が鋼中の全Ti量と全Nb量の合計の40%未満とされた熱延鋼板は、常法にしたがって酸洗を施された後に冷間圧延を行われ、冷延鋼板とされる。冷間圧延における圧下率は、特に限定を要するものではないが、焼鈍中のオーステナイト粒径を微細にして材質安定性をさらに高めるためには、30%以上とすることが望ましい。
(冷延鋼板の焼鈍条件:Ac以上900℃以下で10秒以上300秒以下)
本実施の形態では、固溶Ti量および固溶Nb量の合計が鋼中の全Ti量と全Nb量の合計の40%未満とされた熱延鋼板に対して冷間圧延および焼鈍を行うが、冷延鋼板の焼鈍は連続焼鈍とし、冷延鋼板がオーステナイト単相組織となる温度であるAc点以上になるまで加熱し、Ac点以上900℃以下の温度範囲で10秒以上300秒以下焼鈍する。一旦、冷延鋼板をオーステナイト単相組織にすることにより、均一微細な組織を有する冷延焼鈍板となる。
焼鈍温度がAc未満では、加工組織が残ってバンド状の組織となり加工性が著しく劣化するだけでなく、機械特性の変動が大きくなって材質安定性が劣化する。一方、焼鈍温度が900℃を超えると、炭化物が粗大化して、冷延焼鈍後に780MPa以上の引張強度を確保することが困難になる。
また、焼鈍時間が10秒未満であれば、置換型元素であるMn等の偏析が残り、冷延焼鈍板の組織が不均一となり、加工性が劣化する。一方、焼鈍時間が300秒を超えると、炭化物が粗大化するとともに、焼鈍後のフェライトが粗大となり加工性が劣化する。
このため、本実施の形態では冷延鋼板の焼鈍条件を、Ac以上900℃以下の温度範囲で10秒以上300秒以下と限定する。
(冷延鋼板の冷却条件:650℃から550℃までの平均冷却速度を5℃/秒以上200℃/秒以下)
冷延鋼板は焼鈍後、650℃から550℃までを、5℃/秒以上200℃/秒以下の平均冷却速度で冷却する。平均冷却速度が5℃/秒未満であると、結晶粒が粗大化するだけでなく、780MPa以上の強度を確保することが困難となる。一方、平均冷却速度が200℃/秒超であると、フェライト相が生成し難くなり加工性が劣化する。なお、さらに良好な材質安定性が要求されるときは、冷却速度を5℃/秒以上80℃/秒以下とするのが好ましい。
また、冷却前のオーステナイト粒径を4μm以下にすることによって、フェライトの生成量が安定して材質安定性が高まるので、さらに良好な材質安定性が要求されるときは、冷却前のオーステナイト粒径を4μm以下とすることが好ましい。
本実施の形態では、材質安定性を劣化させるマルテンサイトの生成を抑制するために、上述のような冷却速度で、300℃以上550℃以下の冷却停止温度まで冷却した後、300℃以上600℃以下の温度範囲で30秒から600秒間保持することが好ましい。
なお、本実施の形態の高強度鋼板は、優れた耐食性も求められる場合には、表面に溶融亜鉛系めっき被膜を形成して溶融亜鉛系めっき鋼板としてもよい。ここで、溶融亜鉛系めっきとは、ZnおよびZnを主体とした溶融めっきであり、Znの他にAl、Cr等の合金元素を含んだものを含む。溶融亜鉛系めっきを施した本実施の形態の高強度鋼板は、めっきままでもよいし、あるいはめっき後に合金化処理を行ってもよい。なお、溶融亜鉛系めっきを施す場合には、めっき性や合金化処理性を劣化させないために、Si量を0.3%以下にすることが望ましく、0.1%以下にすることがさらに望ましい。
このように、本実施の形態によれば、鋼素材の組成の調整と、熱間圧延および冷延後焼鈍条件の適正化とを図ることによって、フェライトの平均結晶粒径が1〜3.5μmであり、フェライトの体積率が40%以上であり、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であるとともに、引張強度が780MPa以上である鋼組織を有する冷延鋼板を得ることができ、加工性ならびに材質安定性に極めて優れた高強度冷延鋼板、具体的には、TS×ELが10000MPa・%以上であり、最小曲げ半径が1.0t以下であり、さらに、後述する評価方法により引張強度の変動が引張強度の10%以内、好ましくは5%以内である材質安定性を有する高強度冷延鋼板を提供できる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
表1に示す組成を有する溶鋼を連続鋳造により1000mm巾のスラブとした。これらのスラブを表2−1に示す条件で板厚2.4mmの熱延鋼板とし、酸洗後、表2−2に示す圧下率で冷間圧延を施して冷延鋼板とした。その後、冷延鋼板に連続焼鈍にて表2−2に示す条件で加熱、焼鈍および焼鈍後冷却し、圧延率0.2%のスキンパスを行った。
連続焼鈍が溶融亜鉛めっきラインの場合、めっき浴中の鋼板温度は460℃であった。表1に示す成分を有し、表2−1の条件で製造された熱延鋼板の固溶Ti量と固溶Nb量、冷延鋼板のAc点、連続焼鈍中のオーステナイト粒径を測定するとともに、得られた冷延焼鈍板について、組織観察、ナノ硬さ測定、引張試験および曲げ試験を行った。また、溶融亜鉛系めっき鋼板についてはめっき性、合金化処理性を評価した。試験方法を下記に示す。
(実験方法)
(Ac点の測定)
各冷延鋼板から試験片を採取し、室温から1000℃まで10℃/sで加熱した際の膨張率変化を解析することによって、各冷延鋼板のAc点を測定した。
(熱延板の固溶Ti量、固溶Nb量の測定)
各熱延鋼板の長手方向中央部の位置の巾方向中央部から試験片を採取し、電解抽出残査を化学分析することにより熱延板の固溶Ti量および固溶Nb量を測定した。
(焼鈍中のオーステナイト粒径の測定)
各種冷延板から試験片を採取し、室温から500℃まで10℃/sで加熱し、表2に示す焼鈍温度まで3℃/sで加熱し、表2に示す焼鈍温度および焼鈍時間の熱処理後に水冷することによって試験片を作製した。この試験片の圧延方向断面、および圧延方向と直角方向断面の組織を光学顕微鏡で撮影し、JISG0552に準拠して旧オーステナイト粒径を測定し、それをオーステナイト粒径とした。
(組織観察)
各冷延焼鈍板から試験片を採取し、試験片の圧延方向断面、および圧延方向と直角方向断面の組織を、光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で撮影し、JIS G 0552に準拠してフェライトの結晶粒径を測定した。フェライトの体積率は画像解析により測定した。
(ナノ硬さ測定)
フェライトのナノ硬さは、AFMナノインデンテーションを用い、鋼板表面から板厚の1/4の部分において、圧痕荷重を1000μNとし、フェライト相について抽出した10箇所のナノ硬さを測定し、その平均値を用いた。
(引張試験)
各種冷延焼鈍板の圧延方向に直角方向からJIS5号引張試験片を採取し、引張特性(引張強度TS、伸びEl)を調査した。試験片の採取は、得られた鋼板の長手方向中央部の位置の巾方向中央部と端部から250mm内側の巾方向1/4部の2箇所とし、両平均を引張特性値とした。
(曲げ試験)
各種冷延焼鈍板から圧延方向に直角方向を長手方向とするJIS3号曲げ試験片を採取し、JIS Z 2248の規定に準拠したVブロック法により、曲げ性を調査した。試験片の採取は、引張試験と同様である。その際、頂角90°の押し金具をバリが内側となるように押し込んだ。試験後の正否は目視にて調査し、試験後に割れが認められない押し金具の最小半径を板厚で割り、規格化することにより最小曲げ半径を算出した。なお、半径が2mm、1mm、0.5mm、0mmの押し金具を用いた。
(材質安定性の評価)
材質安定性は、巾方向中央部と巾方向1/4部の引張強度差の絶対値で評価した。
(めっき性、合金化処理性の評価)
不めっき、欠陥がないサンプルを良好、不めっき、欠陥が一部発生したサンプルをやや良好、不めっき、欠陥が多数発生したサンプルを不良とした。合金化ムラが全くないサンプルを良好、わずかに合金化ムラがあるサンプルをやや良好、合金化ムラの著しいサンプルを不良とした。
これらの結果を表3に示す。本発明例の鋼板No.1、3、5、7、8、10〜16、19〜21、26〜29、31〜35、38、39および42〜45は、いずれも、フェライトの平均結晶粒径が1μm以上3.5μm以下であるとともにフェライトの体積率が40%以上であり、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であり、かつ引張強度が780MPa以上であるという、これまでには存在しない特性を有しており、加工性と材質安定性に優れた高強度鋼板である。
これに対し、比較例の鋼板No.2は、製造条件が、本発明が規定する条件を逸脱しており、材質安定性を高めること、および780MPa以上の引張強度を確保することの両立ができないだけでなく、加工性も不芳である。
鋼板No.4は、製造条件が、本発明が規定する条件を逸脱しており、所定の強度を確保できないだけでなく、加工性も不芳である。
鋼板No.6、9および30は、いずれも、製造条件が、本発明が規定する条件を逸脱しており、材質安定性を高めること、および780MPa以上の引張強度を確保することの両立ができない。
鋼板No.25、41は、ともに、製造条件が、本発明が規定する条件を外れており、加工性が不芳であるだけでなく、材質安定性も不芳である。
鋼板No.17は、化学組成が、本発明が規定する条件を逸脱しており、加工性が不芳であるだけでなく、材質安定性も不芳である。
鋼板No.18、23は、ともに、組成が、本発明が規定する鋼組成を逸脱しており、所定の強度を確保できない。
鋼板No.24は、組成が、本発明が規定する鋼組成を逸脱しており、濡れ性および合金化処理性が悪い。
鋼板No.22、36は、ともに、組成が、本発明が規定する鋼組成を逸脱しており、加工性が不芳である。
さらに、鋼板No.37は、組成が、本発明が規定する範囲を逸脱しており、材質安定性が悪い。
Figure 0004925611
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Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.06〜0.18%、Si:0.005〜0.5%、Mn:2.0〜3.0%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Al:0.01〜0.1%、N:0.01%以下、さらに、Ti:0.20%以下およびNb:0.20%以下の1種または2種を合計で0.05%以上、残部Feおよび不純物からなる鋼組成を有し、フェライトの平均結晶粒径が1〜3.5μmであり、フェライトの体積率が40%以上であり、フェライトの体積率とフェライトのナノ硬さとの積が180%・GPa以上であるとともに、引張強度が780MPa以上である鋼組織を有することを特徴とする高強度鋼板。
  2. さらに、質量%で、Cr:1.0%以下、Mo:1.0%以下およびB:0.003%以下からなる群から選ばれた1種または2種以上を含有する請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 請求項または請求項に記載の鋼組成を有し、鋼中の固溶Ti量および固溶Nb量の合計が、鋼中の全Ti量および全Nb量の合計の40%以上である鋼板を冷間圧延し、次いで、連続焼鈍設備により、Ac点〜900℃の温度範囲で10〜300秒間焼鈍した後、650℃から550℃まで5〜200℃/秒の平均冷却速度で冷却することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
  4. 請求項または請求項に記載の鋼組成を有する鋼を連続鋳造後に、直接熱延、直送熱延、または、一旦冷却した後に1150〜1300℃に再加熱した後に熱間圧延し、800℃〜950℃で仕上げ圧延を完了し、仕上げ圧延完了後30秒以内に500〜700℃の温度範囲で巻き取ることにより、鋼中の固溶Ti量および固溶Nb量の合計が、鋼中の全Ti量および全Nb量の合計の40%以上である鋼板とし、該鋼板を冷間圧延し、次いで、連続焼鈍設備により、Ac点〜900℃の温度範囲で10〜300秒間焼鈍した後、650℃から550℃まで5〜200℃/秒の平均冷却速度で冷却することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
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