JP4924330B2 - 燃料遮断弁 - Google Patents
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Description
適用例1は、燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンク内と外部通路とを接続する接続通路を開閉することで上記燃料タンクと上記外部通路とを連通遮断する燃料遮断弁において、
上壁部と側壁部とにより囲まれかつ上記燃料タンク内と上記接続通路とを連通する下弁室を形成するケーシング本体と、上記ケーシング本体の上部に設けられ上記下弁室に上記接続通路を通じて接続されかつ上記外部通路に接続する上弁室を形成する蓋体とを備えたケーシングと、
上記下弁室に収納され、該下弁室内の燃料液位により浮力を増減して昇降することで、上記接続通路を開閉するフロート機構と、
上記上弁室内に収納され、燃料タンクのタンク内圧を調整する第1調圧弁および第2調圧弁を有する圧力調整弁機構と、
を備え、
上記第1調圧弁は、上記上壁部から上方へ円筒状に突出しかつ上記接続通路に接続される第1調圧弁室を形成する第1通路形成突部と、上記第1調圧弁室に臨んで形成された第1調圧弁シール部と、上記第1調圧弁室に収納され上記第1調圧弁シール部に着離することで上記接続通路を開閉する第1調圧弁体とを備え、
上記第2調圧弁は、上記上壁部から上方へ円筒状に突出し第2調圧弁室を形成する第2通路形成突部と、上記第2調圧弁室と上記下弁室とを接続するリリーフ通路と、該リリーフ通路に臨んで形成された第2調圧弁シール部と、上記第2調圧弁室に収納され上記第2調圧弁シール部に着離することで上記リリーフ通路を開閉する第2調圧弁体とを備え、
上記ケーシング本体は、上記上壁部に形成され、上記下弁室を拡張した上部拡張室を形成する拡張室形成部材を備え、
上記拡張室形成部材は、上記第1通路形成突部および上記第2通路形成突部に対して水平方向にギャップを隔てて上記上壁部の一部を上方へ突出することで形成したこと、を特徴とする。
図1は本発明の一実施例にかかる自動車の燃料タンクFTの上部に取り付けられる燃料遮断弁10を示す断面図である。燃料遮断弁10は、金属製の燃料タンクFTの上壁に装着される、いわゆるアウトタンク式であり、給油時、車両の傾斜や揺動時などに燃料タンクFT内の燃料が上昇したときに、外部への燃料の流出を規制するとともにタンク内圧を所定範囲内に維持するための弁である。燃料遮断弁10は、ケーシング20と、ケーシング20内の下弁室30Sおよび上弁室60Sにそれぞれ収納されたフロート機構50および圧力調整弁機構60とを備えている。燃料遮断弁10は、取付金具BkおよびパッキンPkを介して燃料タンクFTの上壁に取り付けられている。
(2)−1 ケーシング20
図2は燃料遮断弁を分解して示す断面図である。図2において、ケーシング20は、ケーシング本体30と、ケーシング本体30の下部に装着された底板39と、ケーシング本体30の上部に装着された蓋体40とを備えている。ケーシング本体30は、上壁部31と、この上壁部31から下方へ円筒状に延設された側壁部35とを備え、上壁部31と側壁部35とに囲まれたカップ状の下弁室30Sを形成し、その下部を下開口30aとしている。上壁部31の中央部には、フロート用通路形成突部32が下方へ突設されている。フロート用通路形成突部32には、接続通路32aが貫通しており、接続通路32aの下弁室30S側がフロート用弁開口32bになっており、このフロート用弁開口32bの開口周縁部がフロート用シール部32cになっている。側壁部35の上部には、燃料タンクFT内と下弁室30Sとを接続する通気孔35aが形成され、またその下部には、係合凹所35bが形成されている。係合凹所35bは、底板39を取り付けるためのものである。図3は図1の3−3線に沿った断面図、図4はケーシング本体30に蓋体40を取り付ける前の状態を示す斜視図、図5はケーシング本体30の上部を示す平面図である。上壁部31には、上方に向けて突出した拡張室形成部材37が形成されている。拡張室形成部材37は、水平断面で、中心部を除いた円弧形状であり、下弁室30Sの上部を部分的に拡張した上部拡張室30Saになっている。上部拡張室30Saは、燃料タンクが揺動したときに燃料を導いて、接続通路32aを通じて外部へ燃料が流出するのを低減するためのスペースである。
図4および図5に示すように、ケーシング本体30の上壁部31と蓋体40との間には、接続通路32aから洩れた燃料を管通路44a側へ流れないように一時的に溜める液トラップ室38Sが設けられている。液トラップ室38Sは、水平断面で扇形であり、上壁部31の一部の上面、蓋体40の側壁42、および蓋体40の上壁41から下方に突設された位置決め部材45,45によって囲まれている。すなわち、位置決め部材45は、拡張室形成部材37の側面に形成されたトラップ室形成部材38により位置決めされることで、液トラップ室38Sを形成し、さらにケーシング本体30に対して蓋体40を回り止めとしても機能している。
図2において、フロート機構50は、下弁室30Sに収納されており、容器形状のフロート51と、スプリング52とを備えている。フロート51の内側スペースは、浮力を生じるためのフロート室51Sになっている。フロート51の上部には、ほぼ円錐形状の弁部51aが突設されている。弁部51aは、フロート機構50の昇降によりフロート用シール部32cに接離してフロート用弁開口32bを開閉するように構成されている。また、フロート機構50の外周部にガイド突条51bがケーシング本体30の内壁面に対する摺動性を高めるために複数箇所、上下方向に突設されている。スプリング52は、フロート室51S内に配置され、フロート51の一端と底板39のスプリング支持部39cとの間に介在することによりフロート51を上方へ付勢している。
図6は圧力調整弁機構60の付近を拡大した断面図である。圧力調整弁機構60は、燃料タンク内の燃料蒸気をキャニスタへ送る量を低減し、タンクのタンク内圧を所定範囲に維持する弁であり、第1調圧弁70(チェック弁)、第2調圧弁80(リリーフ弁)および負圧弁90を備えている。これらの弁は、ケーシング本体30の上壁部31と蓋体40とにより囲まれた上弁室60Sに収納されている。
第2調圧弁80は、スプリング85により閉じ方向に付勢される第2調圧弁体82を備えている。第2調圧弁体82は、ボール弁体である。この第2調圧弁80の構成において、図9に示すように、リリーフ通路81aを通じた圧力により第2調圧弁体82に加わる上方への力がスプリング85の付勢力および第2調圧弁体82の自重を上回ると、第2調圧弁体82が上方へ移動して第2調圧弁開口81bが開かれ、これにより、燃料タンク内が下弁室30S、リリーフ通路81a、第2調圧弁室80S、上弁室60S、管通路44aを介してキャニスタに連通する。
図11は蓋体40とケーシング本体30とをレーザー溶着により組み付ける作業を説明する説明図である。まず、圧力調整弁機構60をケーシング本体30の上部に組み付けた後に、蓋体40の位置決め部材45,45をトラップ室形成部材38に位置合わせして(図4参照)、蓋体40をケーシング本体30側へ挿入する。これにより、位置決め部材45,45がトラップ室形成部材38に嵌合して、蓋体40がケーシング本体30に仮組みされる。次に、仮組みされた組付体をレーザー溶着装置TDの支持台ST上に載置する。レーザー溶着装置TDは、回転可能な支持台STと、この支持台STの周囲に配置されたレーザー照射部RGとを備えている。レーザー照射部RGは、例えば、半導体レーザーを用いることができ、波長が850〜970nmに設定可能である。レーザー溶着装置TDを用いて、支持台STを回転しつつレーザー照射部RGから組付体に向けてレーザー光を照射する。このとき、図12に示すように、レーザー光RLの照射箇所は、ケーシング本体30のフランジ35cである。レーザー光RLは、フランジ35cを透過して蓋体40の蓋側溶着部43aに達する。蓋体40は、ポリアセタールにカーボンを0.5重量%添加されて、レーザー照射に対して熱吸収性を有しているから、蓋側溶着部43aの表面が溶けて、その熱量により本体側溶着部35dの表面が溶けることで、両者が溶着する。このような作業を、支持台STを回転することでフランジ35cの全周にわたって行うことで、ケーシング本体30が蓋体40に溶着固定される。
次に、燃料遮断弁10の動作について説明する。図1および図9に示すように、車両の揺動や傾斜、給油などにより、下弁室30Sおよび接続通路32aを通じて、第1調圧弁70の弁部73に加わるタンク内圧による上方への力がスプリング76の付勢力、第1調圧弁体72および負圧弁90の自重により下方への力を上回ると、第1調圧弁体72が上方に移動して第1調圧弁開口71bが開かれる。これにより、燃料タンク内の燃料蒸気が下弁室30S、接続通路32a、第1調圧弁室70S、上弁室60S、管通路44aを介してキャニスタに逃がされる。すなわち、タンク内圧が第1圧力値を越えたときに第1調圧弁70を通じて燃料蒸気がキャニスタに逃がされる。
上記燃料遮断弁10の構成により、以下の作用・効果を奏する。
(5)−1 圧力調整弁機構60は、タンク内圧が所定値を越えたときだけに外部通路に対して通気を確保している。すなわち、図6に示すようにフロート機構50がフロート用弁開口32bを閉じていない状態にて、第1調圧弁体72は、接続通路32aを通じて受ける圧力が第1圧力値を越えないとき、つまりその圧力がスプリング76の付勢力を越えないときには、第1調圧弁開口71bを閉じた状態にあり、外部通路へ通気せず、燃料蒸気の排出量を抑制することができる。そして、第1調圧弁体72は、接続通路32aを通じて受ける圧力が第1圧力値を越えたときに第1調圧弁開口71bを開いて燃料タンクFT内の外部通路への通気を確保する。
第1通路形成突部71と第2通路形成突部81は、共通部71eを有することで、第1調圧弁70および第2調圧弁80の水平方向の面積を小さくでき、燃料遮断弁の小型化に寄与する。
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
また、位置決め部材45Bは、流路45Baが接続通路32Baおよび管通路44Baより大きい流路面積にすることにより、燃料蒸気の通気時における圧力損失を増大することもない。
10B…燃料遮断弁
20…ケーシング
30…ケーシング本体
30B…ケーシング本体
30S…下弁室
30a…下開口
30Sa…上部拡張室
31…上壁部
31B…上壁部
32…フロート用通路形成突部
32a…接続通路
32b…フロート用弁開口
32c…フロート用シール部
32Ba…接続通路
35…側壁部
35a…通気孔
35b…係合凹所
35c…フランジ
35d…本体側溶着部
35e…遮蔽部
35f…連結部
37…拡張室形成部材
38…トラップ室形成部材
38B…トラップ室形成部材
38S…液トラップ室
38BS…液トラップ室
38Ba…側板
39…底板
39a…係合爪
39b…連通孔
39c…スプリング支持部
40,40B,40C,40D,40E…蓋体
41…上壁
41B…上壁
42…側壁
43…フランジ部
43a…蓋側溶着部
44…管体部
44a,44Ba,44Ca,44Da,44Ea…管通路
45,45B,45C,45D,45E…位置決め部材
45Ba,45Ca,45Da,45Ea…流路
50…フロート機構
51…フロート
51S…フロート室
51a…弁部
51b…ガイド突条
52…スプリング
60…圧力調整弁機構
60S…上弁室
70…第1調圧弁
70S…第1調圧弁室
71…第1通路形成突部
71b…第1調圧弁開口
71c…第1調圧弁シール部
71d…ガイド突条
71e…共通部
71f…連結部
72…第1調圧弁体
72S…スペース
73…弁部
73a…シート部
74…側壁
75…通路形成突部
75a…弁内流路
75b…負圧弁開口
75c…シール部
75d…弁挿入孔
76…スプリング
80…第2調圧弁
80S…第2調圧弁室
81…第2通路形成突部
81a…リリーフ通路
81b…第2調圧弁開口
81c…第2調圧弁シール部
82…第2調圧弁体
85…スプリング
90…負圧弁
91…弁部
91a…シート部
92…支持部
93…抜止部
FT…燃料タンク
Bk…取付金具
Pk…パッキン
TD…レーザー溶着装置
RG…レーザー照射部
RL…レーザー光
ST…支持台
Claims (2)
- 燃料タンクの上部に装着され、該燃料タンク内と外部通路とを接続する接続通路(32a)を開閉することで上記燃料タンクと上記外部通路とを連通遮断する燃料遮断弁において、
上壁部(31)と側壁部(35)とにより囲まれかつ上記燃料タンク内と上記接続通路(32a)とを連通する下弁室(30S)を形成するケーシング本体(30)と、上記ケーシング本体(30)の上部に設けられ上記下弁室(30S)に上記接続通路(32a)を通じて接続されかつ上記外部通路に接続する上弁室(60S)を形成する蓋体(40)とを備えたケーシング(20)と、
上記下弁室(30S)に収納され、該下弁室(30S)内の燃料液位により浮力を増減して昇降することで、上記接続通路(32a)を開閉するフロート機構と、
上記上弁室(60S)内に収納され、燃料タンクのタンク内圧を調整する第1調圧弁(70)および第2調圧弁(80)を有する圧力調整弁機構(60)と、
を備え、
上記第1調圧弁(70)は、上記上壁部(31)から上方へ円筒状に突出しかつ上記接続通路(32a)に接続される第1調圧弁室(70S)を形成する第1通路形成突部(71)と、上記第1調圧弁室(70S)に臨んで形成された第1調圧弁シール部(71c)と、上記第1調圧弁室(70S)に収納され上記第1調圧弁シール部(71c)に着離することで上記接続通路(32a)を開閉する第1調圧弁体(72)とを備え、
上記第2調圧弁(80)は、上記上壁部(31)から上方へ円筒状に突出し第2調圧弁室(80S)を形成する第2通路形成突部(81)と、上記第2調圧弁室(80S)と上記下弁室(30S)とを接続するリリーフ通路(81a)と、該リリーフ通路(81a)に臨んで形成された第2調圧弁シール部(81c)と、上記第2調圧弁室(80S)に収納され上記第2調圧弁シール部(81c)に着離することで上記リリーフ通路(81a)を開閉する第2調圧弁体(82)とを備え、
上記ケーシング本体(30)は、上記上壁部(31)に形成され、上記下弁室(30S)を拡張した上部拡張室(30Sa)を形成する拡張室形成部材(37)を備え、
上記拡張室形成部材(37)は、上記第1通路形成突部(71)および上記第2通路形成突部(81)に対して水平方向にギャップを隔てて上記上壁部(31)の一部を上方へ突出することで形成したこと、
を特徴とする燃料遮断弁。 - 請求項1に記載の燃料遮断弁において、
上記蓋体(40)は、上記上弁室(60S)と上記外部通路とを接続する管通路(44a)を備え、上記上壁部(31)は、上記拡張室形成部材(37)を形成していない箇所に、上記管通路(44a)に向かう燃料を一時的に溜める液トラップ室(38S)を形成している燃料遮断弁。
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