JP4924217B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の排気浄化装置に係り、特に、NOx浄化機能を有する触媒の下流にNOx選択還元触媒を配置してNOxの排出量を抑える内燃機関の排気浄化装置に関する。
従来、例えば特開2003−293737号公報に開示されるように、内燃機関の排気通路にNOx選択還元触媒を備えるシステムが知られている。NOx選択還元触媒は、アンモニアNH3を吸着する機能を有しており、そのNH3を還元材として、排気ガス中のNOxを還元(浄化)することができる。
より具体的には、上記従来のシステムは、内燃機関の排気通路にNOx選択還元触媒を備えていると共に、そのNOx選択還元触媒にNH3又は尿素水を供給する還元材供給機構を備えている。内燃機関がリーン空燃比で運転される際には、NOxを含む排気ガスが排出される。この際、上記のNOx選択還元触媒は、予め吸蔵しているNH3を放出して、排気ガス中のNOxを還元する(N2とH2Oに浄化する)。
上記従来のシステムでは、NOx選択還元触媒に対するNH3供給量が過多であると、その下流に、NH3を含む排気ガスが排出される事態が生ずる。また、NOx選択還元触媒に対するNH3の供給量が過小であると、十分な還元材(NH3)が得られないことから、NOxを十分に浄化できない事態が生ずる。このため、このシステムにおいて良好なエミッション特性を得るためには、NOx選択還元触媒に適量のNH3を供給することが重要である。
上記従来のシステムは、適量のNH3供給を実現するために、NOx選択還元触媒に吸蔵されているNH3量(NH3吸着保持量)を推定する。具体的には、NOx選択還元触媒に供給されるNH3量から、NOx選択還元触媒で消費されたNH3量(NH3消費量)を減ずることで、その内部におけるNH3吸着保持量を推定する。
NOx選択還元触媒は、排気ガス中のNOxを還元する際にNH3を消費する。NOx選択還元触媒の内部で還元されるNOx量は、内燃機関からNOx選択還元触媒に流入するNOx量(NOx流入量)に、NOx選択還元触媒のNOx浄化率を掛け合わせることで求めることができる。従って、NH3消費量は、その乗算値に基づいて算出することができる。
上記従来のシステムは、上記の手法でNH3吸着保持量を算出し、その値が適正値になるようにNH3の供給量を制御する。このような手法によれば、NOx選択還元触媒内部におけるNH3吸着保持量を常に適正値とすることができ、良好なエミッション特性を実現することが可能である。
特開2003−293737号公報 特開2003−314256号公報
しかしながら、NOx選択還元触媒においては、排気ガスの流れに伴って、吸蔵NH3がパージされることがある。このため、触媒内のNH3吸着保持量を正確に推定するためには、NH3吸着保持量と、NH3消費量に加えて、NH3パージ量をも考慮することが必要である。上記従来のシステムでは、排気ガスによるNH3のパージ量を考慮することなくNH3吸着保持量を推定することとしている。このため、上記従来のシステムは、NH3吸着保持量の推定精度の面で、更なる改良の余地を残すものであった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、NOx選択還元触媒のNH3吸着保持量を正確に推定することのできる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の排気浄化装置であって、
排気ガス中のNOxを浄化する機能を有する第1触媒と、
前記第1触媒の下流に配置されるNOx選択還元触媒と、
前記NOx選択還元触媒内のNH3吸着保持量の演算値を記憶するNH3吸着保持量記憶手段と、
前記NOx選択還元触媒が排気ガス中から吸着するNH3吸着量を演算するNH3吸着量演算手段と、
前記NOx選択還元触媒が排気ガス中のNOxを還元するのに伴って消費されるNH3消費量を演算するNH3消費量演算手段と、
前記NOx選択還元触媒を流通するガスによりパージされるNH3パージ量を演算するNH3パージ量演算手段と、
前記NH3吸着保持量記憶手段に記憶されているNH3吸着保持量の演算値を、前記NH3吸着量、前記NH3消費量、及び前記NH3パージ量に基づいて更新するNH3吸着保持量更新手段とを備え
前記NH3吸着量演算手段は、
前記NOx選択還元触媒に流入するNH3流入量を算出するNH3流入量算出手段と、前記NOx選択還元触媒のNH3吸着率を算出するNH3吸着率算出手段と、を備え、前記NH3流入量と前記NH3吸着率との乗算値に基づいて前記NH3吸着量を算出し、
前記NH3消費量演算手段は、
前記NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量を算出するNOx流入量算出手段と、前記NOx選択還元触媒のNOx浄化率を算出するNOx浄化率算出手段と、を備え、前記NOx流入量と前記NOx浄化率の乗算値に基づいて前記NH3消費量を算出し、
前記NH3パージ量演算手段は、
前記NOx選択還元触媒を流通するガス流量を検知するガス流量検知手段と、前記NOx選択還元触媒がガスの流れに伴ってNH3をパージさせるパージ率を演算するNH3パージ率演算手段と、を備え、前記NH3吸着保持量の演算値と、前記パージ率と、前記ガス流量との乗算値に基づいて前記NH3パージ量を算出することを特徴とする。
また、第の発明は、第の発明において、
前記パージ率演算手段は、
前記NOx選択還元触媒の入口における酸素濃度を検知する酸素濃度検知手段と、
前記NH3吸着保持量の演算値及び前記酸素濃度と、前記パージ率との関係を定めたパージ率規則を記憶したパージ率規則記憶手段と、を備え、
前記パージ率規則に従って前記パージ率を算出することを特徴とする。
また、第の発明は、第1又は第2の発明において、
前記NH3吸着保持量の演算値と、その目標値とを比較する比較手段と、
前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過大である場合に、内燃機関の空燃比、前記第1触媒の温度、及び前記第1触媒内のNOx量の少なくとも一つが、前記NH3吸着量を減らす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更し、他方、前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過小である場合に、内燃機関の空燃比、前記第1触媒の温度、及び前記第1触媒内のNOx量の少なくとも一つが、前記NH3吸着量を増やす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
前記NH3吸着保持量の演算値と、その目標値とを比較する比較手段と、
前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過大である場合に、前記NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量、及び前記NOx選択還元触媒のNOx浄化率の少なくとも一つが、前記NH3消費量を増やす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更し、他方、前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過小である場合に、前記NOx流入量及び前記NOx浄化率の少なくとも一つが、前記NH3消費量を減らす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
前記NH3吸着保持量の演算値と、その目標値とを比較する比較手段と、
前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過大である場合に、内燃機関の空燃比、及び前記NOx選択還元触媒を流通するガス流量の少なくとも一つが、前記NH3パージ量を増やす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更し、他方、前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過小である場合に、内燃機関の空燃比、及び前記ガス流量の少なくとも一つが、前記NH3パージ量を減らす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
前記NH3パージ量演算手段は、前記NOx選択還元触媒を流通するガス流量を検知するガス流量検知手段と、前記NOx選択還元触媒がガスの流れに伴ってNH3をパージさせるパージ率を演算するNH3パージ率演算手段と、を備え、前記NH3吸着保持量の演算値と、前記パージ率と、前記ガス流量との乗算値に基づいて前記NH3パージ量を算出し、
前記ガス流量と前記NH3パージ量とに基づいて前記NOx選択還元触媒下流のNH3濃度予測値を算出するNH3濃度予測手段と、
前記NOx選択還元触媒下流のNH3濃度を実測するNH3センサと、
前記NH3濃度予測値濃度と、前記NH3センサによるNH3濃度の実測値との差が小さくなるように、前記NH3吸着保持量の演算手法を修正する演算手法修正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第1乃至第の発明の何れかにおいて、
前記NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量を算出するNOx流入量算出手段と、
前記NOx選択還元触媒のNOx浄化率を算出するNOx浄化率算出手段と、
前記NOx流入量から、当該NOx流入量と前記NOx浄化率との乗算値を減ずることにより、前記NOx選択還元触媒の下流におけるNOxエミッションを演算するNOxエミッション演算手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第の発明は、第7の発明において、
前記NOxエミッションの演算値と、エミッション目標値とを比較するエミッション比較手段と、
前記NOxエミッション演算値が前記エミッション目標値と一致するように、内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、第1触媒は、NOxの浄化に伴ってNH3を生成する。生成されたNH3はNOx選択還元触媒に流入する。本発明では、NH3吸着保持量の演算値が、NH3吸着量と、NH3消費量と、NH3パージ量とに基づいて更新される。このため、本発明によれば、NOx選択還元触媒内部のNH3吸着保持量を、極めて精度良く推定することができる。
また、この発明によれば、NH3吸着量を、NOx選択還元触媒に流入するNH3流入量と、NOx選択還元触媒のNH3吸着率との乗算値に基づいて、容易かつ高精度に演算することができる。また、NH3消費量を、NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量と、NOx選択還元触媒のNOx浄化率との乗算値に基づいて、容易かつ高精度に演算することができる。更に、NH3パージ量を、NH3吸着保持量の演算値と、NOx選択還元触媒を流通するガス流量と、NOx選択還元触媒内部におけるNH3のパージ率との乗算値に基づいて、容易かつ高精度に演算することができる。
の発明によれば、NOx選択還元触媒の入口における酸素濃度を検知することができる。また、このようにして検知した酸素濃度と、NH3吸着保持量の演算値とを基礎とすることで、パージ率規則に従って、NOx選択還元触媒のパージ率を容易かつ高精度に算出することができる。
の発明によれば、NH3吸着保持量の演算値が目標値に対して過大である場合は、NH3吸着量が減るように内燃機関の運転状態が変更される。また、NH3吸着保持量の演算値が目標値に対して過小である場合は、NH3吸着量が増えるように内燃機関の運転状態が変更される。このため、本発明によれば、NOx選択還元触媒のNH3吸着保持量を、目標値に近づけることができる。
の発明によれば、NH3吸着保持量の演算値が目標値に対して過大である場合は、NH3消費量が増えるように内燃機関の運転状態が変更される。また、NH3吸着保持量の演算値が目標値に対して過小である場合は、NH3消費量が減るように内燃機関の運転状態が変更される。このため、本発明によれば、NOx選択還元触媒のNH3吸着保持量を、目標値に近づけることができる。
の発明によれば、NH3吸着保持量の演算値が目標値に対して過大である場合は、NH3パージ量が増えるように内燃機関の運転状態が変更される。また、NH3吸着保持量の演算値が目標値に対して過小である場合は、NH3パージ量が減るように内燃機関の運転状態が変更される。このため、本発明によれば、NOx選択還元触媒のNH3吸着保持量を、目標値に近づけることができる。
の発明によれば、NH3濃度の予測値と実測値との差が小さくなるようにNH3吸着保持量の演算手法を修正することができる。NH3濃度の予測値の誤差は、NH3吸着保持量の演算値の誤差に起因する。このため、NH3濃度の予測値の誤差が小さくなれば、NH3吸着保持量の演算値の誤差も小さくなる。従って、本発明によれば、NOx選択還元触媒のNH3吸着保持量を高い精度で演算することができる。
の発明によれば、NOx選択還元触媒で還元されるNOx量は、NOx流入量とNOx浄化率との乗算値として求めることができる。また、その乗算値を、NOx流入量から減ずることにより、NOx選択還元触媒の下流におけるNOxエミッションを精度良く演算することができる。
の発明によれば、NOxエミッションの演算値を求めると共に、その演算値がエミッション目標値と一致するように内燃機関の運転状態を変更することができる。このため、本発明によれば、NOxエミッションを適切なレベルとして、内燃機関の運動特性とエミッション特性の双方を、高いレベルで両立させることができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、排気通路12が連通している。排気通路には、三元触媒14、NSR(NOx吸蔵還元触媒)16、及びSCR(NOx選択還元触媒)18が、その順序で配置されている。
内燃機関10は、空燃比がリッチである場合に、HC及びCOを排出し易く、また、空燃比がリーンである場合にNOxを排出し易い。三元触媒14は、リーン雰囲気では、酸素を吸着しながらNOxを還元(N2に浄化)する。他方、リッチ雰囲気では、酸素を放出しながらHC及びCOを酸化(H2O、CO2に浄化)する。リッチ雰囲気下では、また、排気ガス中に含まれる窒素が水素と反応することにより、アンモニアNH3が生成される。
NSR14は、リーン雰囲気下では、排気ガス中に含まれるNOxを吸着する。また、NSR14は、リッチ雰囲気下で吸蔵しているNOxを放出する。リッチ雰囲気下で放出されたNOxは、HCやCOにより還元される。この際、三元触媒14の場合と同様に、NSR14においてもNH3が生成される。
SCR16は、三元触媒14及びNSR16が、リッチ雰囲気下で生成するNH3を吸蔵し、リーン雰囲気下では、NH3を還元材として、排気ガス中のNOxを選択的に還元する機能を有している。SCR18によれば、NSR16の後段に吹き抜けてきたNH3及びNOxが、大気に放出されてしまうのを有効に阻止することができる。
図1に示すシステムは、三元触媒14の上流側に、空燃比(A/F)センサ20を備えている。A/Fセンサ20によれば、内燃機関10の排気空燃比を計測することができる。また、図1に示すシステムは、SCR18の上流側にNH3センサ22を備えている。NH3センサ22は、排気ガス中のNOx及びNH3に反応して、それらの濃度に応じた信号を発生する。このため、NH3センサ22によれば、リッチ雰囲気下ではSCR18の入口におけるNH3濃度を、また、リーン雰囲気下ではSCR18の入口におけるNOx濃度を、それぞれ検知することができる。
図1に示すシステムは、更に、内燃機関10の吸入空気量Gaを検知するエアフロメータ(AFM)24を備えている。排気通路12を流れるガス流量は、吸入空気量Gaと同じであるから、AFM24によれば、排気通路12のガス流量を検知することができる。
A/Fセンサ20、NH3センサ22、及びAFM24は、ECU(Electronic Control Unit)30に接続されている。ECU30は、それらのセンサから供給される出力に基づいて、図1に示すシステムの状態を制御することができる。
[実施の形態1の基本動作]
図2は、本実施形態のシステムの基本動作を説明するためのタイミングチャートである。具体的には、図2(A)は、内燃機関10の排気空燃比の制御例を示す。図2(B)は、排気ガス中にNOxが比較的多量に生ずる期間を示す。図2(C)は、NSR16内のNOx吸蔵保持量の変化を示す。また、図2(D)は、SCR18入口におけるNH3量を示す。
本実施形態において、ECU30は、通常時には内燃機関10をリーン空燃比で運転(リーン運転)させる(図2(A)参照)。内燃機関10は、リーン運転中は、NOxを比較的多量に排出する(図2(B)参照)。その結果、リーン運転中は、NSR16にNOxが流入し易く、時間の経過に伴って、NSR内のNOx吸蔵保持量が増加する(図2(C)参照)。
NSR16が容量一杯までNOxを吸蔵した後、更にNOxを多量に含む排気ガスが流通し続けると、NSR16の後段にNOxが多量に吹き抜け、排気エミッションが悪化する。このため、NSR16のNOx吸蔵保持量が吸蔵容量に近づいた時点で、ECU30は、リッチスパイク制御を行う(図2(A)参照)。
リッチスパイク制御では、内燃機関10の排気空燃比が一時的にリッチにされる。この間、内燃機関10は、HC、COを多量に含む排気ガスを排出する(図2(B)参照)。この場合、三元触媒14において、HC及びCOが浄化されると共に、NH3が生成される。また、NSR16は、排気ガスがリッチ化されることにより、吸蔵していたNOxを排出する。この排出に伴い、NSR16においてもNH3が生成される。その結果、SCR18の入口には多量のNH3が発生する(図2(D)参照)。
SCR18は、リッチスパイク制御の間に発生したNH3を吸着することで、その内部におけるNH3吸着保持量を増加させる。そして、リーン運転時に、SCR18にNOxが流入してくると、吸蔵されていたNH3が放出され、NH3が還元材となって排気ガス中のNOxが浄化される。その結果、SCR18後段へのNOxの吹き抜けが防止される。本実施形態のシステムでは、以上の処理が繰り返されることにより、優れたエミッション特性が実現されている。
[SCR内部のNH3吸着保持量の推定]
次に、本実施形態のシステムが、SCR18のNH3吸着保持量を推定する手法について説明する。上述した通り、SCR18は、リッチスパイク制御の際に三元触媒14及びNSR16が生成するNH3を吸着する。また、SCR18は、リーン運転中に流入してくるNOxを浄化する際に吸蔵NH3を消費する。更に、SCR18に吸蔵されているNH3は、その内部を流通するガス、特に、酸素によりパージされ、その影響でも減少する。このため、SCR18のNH3吸着保持量は、次式により表すことができる。
NH3吸着保持量(t)
=NH3吸着保持量(t-1)+NH3吸着量(t)−NH3消費量(t)−NH3パージ量(t)・・・(1)
但し、tは時刻であり、t-1は時刻tより1サンプリング期間だけ前の時刻である。
図3は、(1)式右辺第2項にあたるNH3吸着量を推定する手法を説明するための図である。SCR18における単位時間当たりのNH3吸着量40は、SCR18へのNH3流入量42と、SCR18のNH3吸着率44との乗算値である(符号46参照)。
SCR18へのNH3流入量42は、SCR18の入口におけるNH3濃度48に排気ガス流量50を掛け合わせることで算出できる(符号52参照)。図1に示すシステムでは、NH3センサ22によりSCR18入口におけるNH3濃度48を検知することができる。また、排気ガス流量は吸入空気量と同じであるためAFM24により検知することができる。従って、このシステムによれば、SCR18へのNH3流入量42を算出することができる。
SCR18のNH3吸着率44は、SCR18に流れ込むガス中のNH3濃度が高いほど大きな値となり、他方、SCR18のNH3吸着保持量が多いほど小さな値となる。ECU30は、これらの関係、つまり、NH3吸着率と、NH3濃度及びNH3吸着保持量C_AMとの関係を定めたマップを記憶している(符号44を付して示す枠内参照)。従って、ECU30は、NH3濃度54とNH3吸着保持量C_AM56とが判ればNH3吸着率44を検知することができる。
図1に示すシステムでは、NH3センサ22により、SCR18の入口におけるNH3濃度を特定することができる。また、ECU30は、サンプリング時刻毎に、上記(1)式に従ってSCR18内のNH3吸着保持量を算出する。このため、1サイクル前に算出した値をNH3吸着保持量56とすることにより、ECU30は、SCR18のNH3吸着率44を特定することができる。
以上説明した通り、ECU30は、SCR18へのNH3流入量42、及びSCR18におけるNH3吸着率44を、共に算出することができる。このため、それらを掛け合わせることにより、ECU30は、サンプリング期間毎にNH3吸着量40を算出することができる。
図4は、(1)式右辺第3項にあたるNH3消費量を推定する手法を説明するための図である。SCR18におけるNH3消費量60は、SCR18において還元されるNOxの量に比例している。このため、NH3消費量60は、SCR18へのNOx流入量62と、SCR18におけるNOx浄化率64との乗算値に基づいて算出することができる(符号66参照)。
SCR18へのNOx流入量62は、SCR18の入口におけるNOx濃度68に排気ガス流量50を掛け合わせることで算出できる(符号72参照)。上述した通り、NH3センサ22は、リッチ雰囲気中ではNH3濃度に応じた出力を発生し、他方、リーン雰囲気中ではNOx濃度に応じた出力を発生する。このため、本実施形態のシステムでは、SCR18入口におけるNOx濃度68をNH3センサ22により検知することができる。また、排気ガス流量はAFM24により検知することができる。従って、このシステムによれば、SCR18へのNOx流入量62を算出することができる。
SCR18のNOx浄化率64は、SCR18に流れ込むガス中のNOx濃度が高いほど、また、SCR18のNH3吸着保持量が多いほど高い値となる。ECU30は、符号64を付した枠内に示すように、これらの関係を定めたマップを記憶している。従って、ECU30は、SCR18の入口におけるNOx濃度74とSCR18内のNH3吸着保持量C_AM76とが判れば、SCR18のNOx浄化率64を予測することができる。
SCR18の入口におけるNOx濃度74は、上述した通り、NH3センサ22により検知することができる。また、SCR18内のNH3吸着保持量76は、(1)式により、サンプリング時間毎に算出される。このため、ECU30は、所定のサンプリング周期毎に、SCR18のNOx浄化率64を予測することができる。
以上説明した通り、ECU30は、SCR18へのNOx流入量62、及びSCR18におけるNOx浄化率64を、共に算出することができる。このため、ECU30は、それらを掛け合わせることにより、サンプリング期間毎にNH3消費量60を算出することができる。
図5は、(1)式右辺第4項にあたるNH3パージ量を推定する手法を説明するための図である。排気ガスの流れによってSCR18からパージされるNH3量80は、SCR18内のNH3吸着保持量82に、単位ガス流量当たりのパージ率PR84及び排気ガス流量86を掛け合わせることにより算出できる(符号88参照)。
SCR内のNH3吸着保持量82は、サンプリング周期毎に行われる(1)式の演算により検知することができる。また、排気ガス流量86は、AFM24により検知することができる。更に、パージ率PRは、以下に説明する手法により予測することができる。
パージ率PRは、単位ガス流量によりパージされるNH3量と、SCR18に吸蔵されているNH3量との比である。NH3は、SCR18内に多量に吸蔵されているほどパージされ易い。このため、パージ率PRは、NH3吸着保持量が多いほど大きな値となる。また、SCR18に吸蔵されているNH3は、主として酸素ガスによりパージされる。このため、パージ率PRは、排気ガス中の酸素濃度が高いほど大きな値となる。
ECU30は、符号84を付した枠内に示すように、パージ率PRを、排気ガス中の酸素濃度とSCR18内のNH3吸着保持量C_AMとの関係で定めたマップを記憶している。このため、ECU30は、SCR18のNH3吸着保持量90とSCR18の入口における酸素濃度92とが判れば、パージ率PRを特定することができる。
SCR内のNH3吸着保持量90は、(1)式の演算により求めることができる。また、SCR18の入口における酸素濃度92は、排気ガス流量94と排気空燃比96が判れば予測することができる。図1に示すシステムでは、AFM24により排気ガス流量94が検知できると共に、A/Fセンサ20により排気空燃比96を検知することができる。このため、ECU30は、SCR18の入口における酸素濃度を予測したうえで、SCR18のパージ率PR84を予測することができる。
以上説明した通り、ECU30は、SCR18内のNH3吸着保持量82、SCR18のパージ率PR、及び排気ガス流量86の全てを検知することができる。このため、ECU30は、それらを掛け合わせることにより、サンプリング期間毎にNH3パージ量80を算出することができる。
図3乃至図5を参照して説明した通り、ECU30は、ある時点におけるNH3吸着保持量さえ定まれば、そのNH3吸着保持量を基礎として、サンプリング期間毎に、NH3吸着量、NH3消費量、及びNH3パージ量を算出することができる。このため、内燃機関10の始動時に、NH3吸着保持量の初期値を読み込むこととすれば、以後、上記(1)式に従って、サンプリング期間毎に、最新のNH3吸着保持量を予測することができる。
[実施の形態1における具体的処理]
図6は、上記の手法を用いてNH3吸着保持量を予測するためにECU30が実行するルーチンのフローチャートである。図6に示すルーチンは、内燃機関10の始動と共に起動され、以後、所定のサンプリング周期毎に繰り返し実行される。
図6に示すルーチンでは、先ず、前回の処理サイクルにおいて算出されたNH3吸着保持量(t-1)が読み込まれる(ステップ100)。ECU30は、内燃機関10の停止時に、NH3吸着保持量の最新の予測値を記憶する。内燃機関10の始動後、本ステップ100が初めて実行される際には、停止時に記憶されたNH3吸着保持量が、初期値として読み込まれる。
次に、SCR18におけるNH3吸着量(t)(図3参照)が算出される(ステップ102)。具体的には、AFM24の検出値、NH3センサ22の検出値、及びステップ100で読み込まれたNH3吸着保持量(t-1)に基づいて、図3に示す処理により、NH3吸着量(t)が算出される。
次に、SCR18内でのNH3消費量(t)(図4参照)が算出される(ステップ104)。具体的には、AFM24の検出値、NH3センサ(NOxセンサ)22の検出値、及びステップ100で読み込まれたNH3吸着保持量(t-1)に基づいて、図4に示す処理により、NH3消費量(t)が算出される。
次に、SCR18におけるNH3パージ量(t)(図5参照)が算出される(ステップ106)。具体的には、AFM24の検出値、A/Fセンサ20の検出値、及びステップ100で読み込まれたNH3吸着保持量(t-1)に基づいて、図5に示す処理により、NH3パージ量(t)が算出される。
次に、NH3吸着保持量の最新値が算出される(ステップ108)。具体的には、上記ステップ100〜106の処理により読み込まれたNH3(t-1)、及び算出されたNH3吸着量(t)等を基礎として、上記(1)に従った演算が行われる。その結果、現在時刻tにおけるNH3吸着保持量(t)が算出される。
次に、算出されたNH3吸着保持量(t)が、SCR18の最大吸蔵可能量を超えているか否かが判別される(ステップ110)。現実のNH3吸着保持量が最大吸蔵可能量を超えることはないから、上記の条件が成立する場合は、現在のNH3吸着保持量(t)が、最大吸蔵可能量に修正される(ステップ112)。他方、上記ステップ110の条件が成立しない場合は、ステップ108で算出されたNH3吸着保持量(t)が維持されたまま、今回の処理サイクルが終了される。
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、図1に示すハードウェア構成を用いて、NH3パージ量をも考慮したNH3吸着保持量を算出することができる。このため、本実施形態のシステムによれば、SCR18におけるNH3吸着保持量を、内燃機関10の運転中常に精度良く予測することができる。
ところで、上述した実施の形態1のシステムでは、SCR18をNSR16の下流側に配置することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図7に示すように、SCR18は、NSR16の上流側、つまり、三元触媒14の直下に配置することとしてもよい。また、NSR16とSCR18は、両者が一体となった2層コート構造の触媒に置き換えることとしても良い。更には、NSR16を省略して、排気通路12中に三元触媒14とSCR18だけを配置する構成としてもよい。
尚、上述した実施の形態1においては、三元触媒14及びNSR16が前記第1の発明における「第1触媒」に、SCR18が前記第1の発明における「NOx選択還元触媒」に、それぞれ対応している。また、ECU30が(1)式に従って算出されたNH3吸着保持量を記憶することにより前記第1の発明における「NH3吸着保持量記憶手段」が実現されている。また、ECU30が上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「NH3吸着量演算手段」が実現されている。また、ECU30が上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「NH3消費量演算手段」が実現されている。また、ECU30が上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「NH3パージ量演算手段」が実現されている。また、ECU30が上記ステップ108の処理を実行することにより前記第1の発明における「NH3吸着保持量更新手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU30が、図3に示すNH3流入量42を算出することにより前記第の発明における「NH3流入量算出手段」が、図3に示すNH3吸着率44を算出することにより前記第の発明における「NH3吸着率算出手段」が、それぞれ実現されている。また、ECU30が、図4に示すNOx流入量62を算出することにより前記第の発明における「NOx流入量算出手段」が、NOx浄化率64を算出することにより前記第の発明における「NOx浄化率算出手段」が、それぞれ実現されている。また、ECU30が、図5に示す排気ガス流量86を検知することにより前記第の発明における「ガス流量検知手段」が、NH3パージ率84を演算することにより前記第の発明における「NH3パージ率演算手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態1においては、ECU30が、図5に示すO2濃度92を検知することにより前記第の発明における「酸素濃度検知手段」が、符号84を付した枠中に記載されているパージ率のマップを記憶することにより前記第の発明における「パージ率規則記憶手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
[実施の形態2の構成]
次に、図8及び図9を参照して本発明の実施の形態2について説明する。図8は、本実施形態のシステムのハードウェア構成を示す。図8に示す構成は、スロットル開度(TA)センサ32及び回転数センサ34が追加されている点を除いて図1に示す構成と同様である。但し、このシステムでは、SCR18の上流に配置されたNH3センサ22が、NOxセンサとしてのみ用いられる。
すなわち、上述した実施の形態1のシステムは、NH3吸着量40(図3参照)の算出に必要なNH3濃度48,54を、NH3センサ22により検知することとしている。本実施形態のシステムは、そのNH3濃度を、内燃機関10の運転状態を基礎として推定する点に特徴を有している。
[SCR入口におけるNH3濃度の推定]
図9は、SCR18の入口におけるNH3濃度、つまり、図3におけるNH3濃度48,54を推定する手法を説明するための図である。SCR入口のNH3濃度48,54は、SCR18に流入するNH3の量42と、排気ガス流量50との比である(符号116参照)。これら2つのパラメータの内、排気ガス流量50は、AFM24により検知することができる。また、他方のパラメータ、すなわち、SCR18へのNH3流入量42は、本実施形態のシステムでは、三元触媒14で生成されるNH3量と、NSR16で生成されるNH3量とを加算することで求めることができる。
三元触媒14は、その内部に存在するNOxを還元することによりNH3を生成する。このため、三元触媒14で生成されるNH3量は、三元触媒14中のNOx量120と、三元触媒14のNH3生成率122とを掛け合わせた値となる。同様に、NSR16で生成されるNH3量は、NSR16中のNOx量124と、NSR16のNH3生成率126とを掛け合わせた値となる。従って、SCR18に流入するNH3量42は、次式により求めることができる(符号128参照)。
NH3流入量=(三元触媒中のNOx量)×(三元触媒のNH3生成率)
+(NSR中のNOx量)×(NSRのNH3生成率) ・・・(2)
(右辺第1項の演算)
三元触媒14は、NOxを吸蔵しない。このため、三元触媒14中のNOx量120は、三元触媒14に流入するNOx量130と同量であるとみなすことができる。そして、三元触媒14に流入するNOx量130は、内燃機関10が排出するNOx量であるから、内燃機関10の運転状態132(機関回転数NE、機関負荷KL、スロットル開度TA等)に基づいて、公知の手法により推定することができる。従って、本実施形態において、ECU30は、AFM24、スロットル開度センサ32、回転数センサ34等の出力に基づいて、三元触媒14中のNOx量120を推定することができる。
(右辺第2項の演算)
三元触媒14のNH3生成率は、主として、その内部に存在するNOx量、三元触媒14に流れ込む排気ガスの空燃比、及び、三元触媒14の温度により決定される。ECU30は、符号122を付した枠内に示すように、それら3つのパラメータとの関係でNH3生成率を定めたマップを記憶している。このため、ECU30は、三元触媒14中のNOx量134、三元触媒14の温度136、及び排気空燃比138が判れば、三元触媒14のNH3生成率を算出することができる(符号122,139参照)。
三元触媒14中のNOx量134は、上述した通り、三元触媒14に流入するNOx量130と同じであり、内燃機関10の運転状態132に基づいて算出することができる。また、三元触媒14の温度136も、公知の手法により、内燃機関10の運転状態132から求めることが可能である。更に、排気空燃比138は、A/Fセンサ20により検知することができる。従って、本実施形態の構成によれば、ECU30は、符号122を付した枠内に示されるマップを参照することにより、三元触媒14のNH3生成率122を予測することができる。
(右辺第3項の演算)
NSR16にはNOxが吸蔵される。このため、NSR16中のNOx量124は、NSR16に流入するNOx量140と、NSR16に吸蔵されているNOx量142との和になる(図9中、符号144参照)。NSR14に流入するNOx量140は、三元触媒14に流入するNOx量130から、三元触媒14内で浄化されるNOx量を減じた量である。三元触媒14内で浄化されるNOx量は、三元触媒14に流入するNOx量130に三元触媒14のNOx浄化率146を掛け合わせることで求めることができる。従って、NSR16に流入するNOx量140は、三元触媒14へのNOx流入量130と、三元触媒14のNOx浄化率146とに基づいて算出することができる(符号148参照)。
NSR16に吸蔵されているNOx量142は、リッチスパイク終了後にNSR16に流入したNOx量を積算することで求めることができる(符号150参照)。NSR16へのNOx流入量は、上述した通り、三元触媒14へのNOx流入量130と三元触媒14のNOx浄化率146とに基づいて算出することができる。従って、ECU30は、NSR16へのNOx流入量140と、NSR16内のNOx吸蔵保持量142の双方を特定することができ、それらを加算することによりNSR16中のNOx量124を算出することができる。
(右辺第4項の演算)
NSR16のNH3生成率は、主として、その内部に存在するNOx量、NSR16に流れ込む排気ガスの空燃比、及び、NSR16の温度により決定される。ECU30は、符号126を付した枠内に示すように、それら3つのパラメータとの関係でNH3生成率を定めたマップを記憶している。このため、ECU30は、NSR16中のNOx量152、NSR16の温度154、及び排気空燃比156が判れば、NSR16のNH3生成率を算出することができる。
NSR16中のNOx量152は、上述した通り、NSR16に流入するNOx量140と、NSR142内のNOx吸蔵保持量142との和として求めることができる。NSR16の温度154は、三元触媒16の場合と同様に、内燃機関10の運転状態132に基づいて、公知の手法により求めることができる。そして、排気空燃比156は、A/Fセンサ20により検知することができる。従って、本実施形態の構成によれば、ECU30は、符号126を付した枠内に示されるマップを参照することにより、NSR16のNH3生成率126を予測することができる(符号126,158参照)。
以上説明した通り、ECU30は、上記(2)式の右辺第1項〜第4項の全てを、内燃機関10の運転状態132と、A/Fセンサ20の出力とに基づいて算出することができる。このため、本実施形態のシステムは、NH3センサを用いることなく、SCR16に流入するNOx量120を算出することができる(符号128参照)。また、SCR16へのNH3流入量120が判ると、その値を排気ガス流量50で除することにより、SCR18入口におけるNH3濃度48,50を算出することができる。
図3を参照して説明した通り、実施の形態1のシステムは、NH3吸着量40を算出するために、NH3センサ22を用いてSCR18入口のNH3濃度48,50を検知している。本実施形態のシステムでは、上述した通り、SCR18入口におけるNH3濃度48,50を、NH3センサを用いることなく演算により求めることができる。このため、本実施形態のシステムでは、NH3センサを用いることなく、NH3吸着量40を算出することができる。
図4を参照して説明した通り、NH3消費量60を算出するうえでは、SCR18入口におけるNH3濃度を検知する必要はない(NOx濃度が検知できればよい)。また、図5を参照して説明した通り、SCR18からのNH3パージ量80を算出するにあたっても、NH3濃度を検知する必要はない。このため、本実施形態のシステムによれば、SCR18の上流にNH3センサを配置することなく、NH3パージ量を考慮した高精度なNH3吸着保持量予測を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態2においては、図9に示す手法で算出したNH3流入量48を、図3に示すNH3流入量48に代入して、SCRに流入するNH3量42を算出することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図9に示す手法では、NH3濃度48を算出する前段階で、SCR18に流入するNH3量42を算出することができる。このため、本実施形態のシステムは、図9に示すNH3流入量42を図3に示すNH3流入量42に代入して、NH3吸着量40を算出することとしてもよい。
また、上述した実施の形態2においては、SCR18入口のNOx68,74(図4参照)を検知するためにNH3センサ22を用いることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、SCR18入口のNOx濃度68,74は、内燃機関10の運転状態に基づいて、公知の手法により推定することが可能である。このため、NH3センサ22を排除して、NH3消費量60(図4参照)も推定により求めることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態2においては、ECU30が、図9に示す手法で算出したNH3濃度48,54を用いて図6に示すステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「NH3吸着量演算手段」が実現されている。また、ECU30が、図9に示す手法で算出したNH3濃度48を排気ガス流量50で除することによりNH3流入量42を算出することにより、或いは図9に示す手法でNH3流入量42を算出することにより前記第の発明における「NH3流入量算出手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図10及び図11を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1又は2のシステムにおいて、ECU30に、後述する図11に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
本実施形態のシステムは、実施の形態1又は2の場合と同様に、SCR18におけるNH3吸着保持量をリアルタイムで精度良く推定することができる。図10は、内燃機関10の運転状態と、推定によるNH3吸着保持量との関係を示す図である。より具体的には、図10(A)は、内燃機関10においてリーン運転とリッチスパイクとが繰り返されるのに伴って生ずる排気空燃比の変化を示す。また、図10(B)は、ECU30により推定されるNH3吸着保持量の変化を示す。更に、図10(C)は、SCR18入口におけるNH3濃度の変化を示す。
内燃機関10においてリーン運転がなされている間(図10(A)参照)は、NOxを含む排気ガスがSCR18に流入する。この際、SCR18は、NH3を還元材としてNOxを浄化する。その結果、SCR18のNOx吸蔵保持量は、時間の経過に伴って減少する傾向を示す(図10(B)参照。
リッチスパイク制御の実行中(図10(A)参照)は、内燃機関10からHC、COを含む排気ガスが排出される。この際、三元触媒14の内部、及びNSR16の内部では、排気ガス中の窒素が未燃焼の水素と反応することによりNH3が生成される。その結果、SCR18の入口には、リッチスパイクの実行と同期して一時的に多量のNH3が発生する(図10(C)参照)。発生したNH3はSCR18により吸着される。このため、SCR18のNH3吸着保持量は、リッチスパイク制御の実行中、増加傾向を示す(図10(B)参照)。
図10(B)中に一点鎖線で示す値は、リッチスパイク制御の終了時におけるNH3吸着保持量の目標値を示す。SCR18のNH3吸着保持量が、吸蔵容量に近づきすぎると、排気ガスに含まれるNH3が、その下流に吹き抜ける事態が生ずる。他方、リッチスパイク制御の終了時に、十分なNH3吸着保持量が確保されていないと、リーン運転中に放出できるNH3量が少量となる。このため、NH3吸着保持量には、目標値が存在する。
図10(B)に示すチャートは、一回目のリッチスパイク制御の終了時(時刻t1)に、NH3吸着保持量が目標値を超えていたことを表している。本実施形態のシステムは、SCR18のNH3吸着保持量をリアルタイムで検知することができるため、時刻t1において、NH3が目標値に対して過多であったことを即座に検知することができる。この場合、ECU30は、SCR18のNH3吸着保持量が減少するように、内燃機関10の運転状態を変更する。
具体的には、ECU30は、リッチスパイク制御の終了時にNH3吸着保持量が過多であった場合は、次回のリッチスパイク制御時における目標空燃比をリーン側に修正する。図10(A)に示すチャートは、一回目のリッチスパイク制御の終了時にNH3吸着保持量が過多であったため、二回目のリッチスパイク制御時に、目標空燃比が、一回目の目標値(一点鎖線が示す値)に比してリーン化されたことを示している。
SCR18入口におけるNH3濃度は、排気空燃比がリーン化されるほど低くなる。他方、図3を参照して説明した通り、SCR18に吸着されるNH3量(NH3吸着量40)は、SCR18入口におけるNH3濃度48,54が低いほど少量となる。このため、目標空燃比がリーン化されると、リッチスパイク制御時にSCR18に吸着されるNH3量は減少する。このため、上記の処理によれば、2回目のリッチスパイク制御によるNH3吸着量を減少させ、その終了時(時刻t2)におけるNH3吸着保持量を目標値に近づけることができる。
他方、本実施形態のシステムは、リッチスパイク制御の終了時に、SCR18のNH3吸着保持量が目標値に対して不足していた場合は、リッチスパイク制御時における目標空燃比をリッチ化させる。このような処理によれば、リッチスパイク制御に伴ってSCR18に吸着されるNH3量を増やすことができる。このため、本実施形態のシステムによれば、リッチスパイク制御の終了時におけるNH3吸着保持量を、常に目標値の近傍に制御することができる。
[実施の形態3における具体的処理]
図11は、本実施形態においてECU30が実行するルーチンのフローチャートである。図11に示すルーチンでは、先ず、今回の処理サイクル時が、リッチスパイク制御の終了時であるかが判別される(ステップ160)。リッチスパイク制御の終了時でないと判断された場合は、そのまま今回のサイクルが終了される。
他方、リッチスパイク制御の終了時であると判別された場合は、その時点におけるNH3吸着保持量が読み込まれる(ステップ162)。次いで、読み込まれたNH3吸着保持量が、目標値と実質的に一致しているか(目標値を中心とする許容範囲に収まっているか)否かが判別される(ステップ164)。その結果、NH3吸着保持量が実質的に目標値と一致していると判断された場合は、現在の運転状態を修正する必要がないと判断され、そのまま今回の処理サイクルが終了される。
他方、上記ステップ164において、NH3吸着保持量が、実質的に目標値と一致していないと判断された場合は、NH3吸着保持量が、目標値より大きいか否かが判断される(ステップ166)。
NH3吸着保持量>目標値が成立する場合は、NH3吸着保持量が過多であると判断できる。この場合、リッチスパイク制御の際の目標空燃比AF_RSが所定値(0.01)だけ大きな値に、つまり、リーン方向に修正される(ステップ168)。この処理が実行されると、次回のリッチスパイク制御の際には、今回のリッチスパイク制御時に比して排気空燃比がリーン化される。その結果、NH3生成量が減り、NH3吸着量が減り、NH3吸着保持量が目標値に向かって減少する。
他方、上記ステップ166において、NH3吸着保持量>目標値の不成立が判定された場合は、SCR18のNH3吸着保持量が不足していると判断できる。この場合、リッチスパイク制御の際の目標空燃比AF_RSが所定値(0.01)だけ小さな値に、つまり、リッチ方向に修正される(ステップ170)。この処理が実行されると、次回のリッチスパイク制御の際には、今回のリッチスパイク制御時に比して排気空燃比がリッチ化される。その結果、NH3生成量が増え、NH3吸着量が増え、NH3吸着保持量が目標値に向かって増加する。
以上説明した通り、図11に示すルーチンによれば、SCR18におけるNH3吸着保持量の予測値と目標値との関係に基づいて、リッチスパイク制御時の目標空燃比AF_RSを適切に増減させることができる。このため、本実施形態のシステムによれば、リッチスパイク制御の終了時におけるSCR18のNH3吸着保持量を、適切に目標値の近傍に管理することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、NH3吸着保持量の過不足が判定された場合に、リッチスパイク制御時の目標空燃比AF_RSを制御してNH3吸着量することとしているが、NH3吸着保持量を目標値に近づけるための制御対象は、AF_RSに限定されるものではない。すなわち、SCR18のNH3吸着保持量は、上記(1)式から明らかなように、NH3吸着量、NH3消費量、及びNH3パージ量の少なくとも一つが変化すれば変化する。従って、NH3吸着量、NH3消費量、及びNH3パージ量の少なくとも一つに所望の変化が生ずるように、内燃機関10の運転状態を変化させればNH3吸着保持量を目標値に近づけることは可能である。
具体的には、NH3吸着量40は、図3に示すように、SCR18に流入するNH3量42に応じた値となる。SCR18へのNH3流入量42は、図9に示すように、三元触媒14のNH3生成量と、NSR16のNH3生成量との和である(符号128参照)。そして、それらのNH3生成量は、触媒14,16の温度、触媒14,16中のNOx量、及び排気空燃比に応じて変化する。このため、NH3吸着保持量の過不足が判定された場合は、その過不足が解消されるように、触媒14,16の温度、触媒14,16中のNOx量、及び排気空燃比の少なくとも一つを変更してリッチスパイク制御を実行することとしてもよい。
また、図4に示すように、NH3消費量60は、SCR18に流入するNOx量62と、SCR18のNOx浄化率64とにより決定される。また、SCR18のNOx浄化率64は、SCR18入口におけるNOx濃度により変化する。このため、NH3吸着保持量の過不足が判定された場合は、その過不足が解消される方向に、SCR18へのNOx流入量、或いはSCR18入口のNOx濃度が変化するように、リーン運転時の運転条件を変更することとしてもよい。
また、図5に示すように、NH3パージ量80は、SCR18のNH3パージ率84、及び排気ガス流量86に応じて変化する。そして、SCR18のNH3パージ率84は、SCR18入口における酸素濃度に応じた変化を示す。このため、NH3吸着保持量の過不足が判定された場合は、その過不足が解消される方向に、SCR18入口の酸素濃度、及び排気ガス流量の少なくともが変化するように、リーン運転時の運転条件を変更することとしてもよい。
また、上述した実施の形態3においては、リッチスパイク制御の終了時におけるNH3吸着保持量を目標値に一致させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明の目的は、リーン運転とリッチスパイク制御とが繰り返される環境下で、SCR18に適量のNH3量を吸蔵させることである。従って、リッチスパイク制御の開始時等、リッチスパイク制御の終了時以外の特定タイミングにおけるNH3吸着保持量を、そのタイミングにおける目標値に一致させることとしてもよい。或いは、十分に長い期間におけるNH3吸着保持量の平均値を、平均値の目標値に一致させることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態3においては、ECU30が、上記ステップ164及び166の処理を実行することにより前記第乃至の発明の何れかにおける「比較手段」が実現されている。また、ECU30が、上記ステップ168及び170の処理を実行することにより前記第の発明における「制御手段」が実現されている。
また、SCR18のNH3吸着保持量に過不足が認められた場合に、ECU30に、その過不足が解消される方向にNH3消費量が変化するように、内燃機関の運転条件を変更させることにより、前記第の発明における「制御手段」を実現することができる。
また、SCR18のNH3吸着保持量に過不足が認められた場合に、ECU30に、その過不足が解消される方向にNH3パージ量が変化するように、内燃機関の運転条件を変更させることにより、前記第の発明における「制御手段」を実現することができる。
実施の形態4.
次に、図12を参照して本発明の実施の形態4について説明する。図12は、本発明のシステム構成を説明するための図である。図12に示す構成は、SCR18の下流側に第2NH3センサ36を備えている点を除き、図1に示す構成と同様である。
第2NH3センサ36によれば、SCR18下流のNH3濃度を測定することができる。他方、本実施形態のシステムは、実施の形態1の場合と同様の手法で、SCR18からのNH3パージ量80を予測することができる(図4参照)。また、SCR18下流のNH3濃度は、NH3パージ量80と排気ガス量86との比であるから、本実施形態のシステムは、SCR18下流のNH3濃度を演算により予測することができる。
本実施形態のシステムは、内燃機関10のリーン運転中に、NH3濃度の実測値と予測値とを比較する。両者に差異があれば、NH3濃度の予測値、つまり、予測したNH3パージ量80に誤差が生じていると判断できる。図5に示すように、NH3パージ量80は、NH3吸着保持量82と、NH3パージ率84とに基づいて算出される。そして、NH3パージ率84は、SCR18のNH3吸着保持量が多いほど大きな値となる。このため、NH3濃度の予測値が過大であった場合は、NH3吸着保持量の予測値が過大であったと判断でき、他方、NH3濃度の予測値が過小であった場合は、NH3吸着保持量の予測値が過小であったと判断できる。
本実施形態のシステムは、上記の処理により、NH3吸着保持量の予測値が過大であったと判断した場合は、その値が少なくなるように予測演算の内容を修正する。他方、NH3吸着保持量の予測値が過小であったと判断した場合は、その値が大きくなるように予測演算の内容を修正する。
NH3吸着保持量の予測値は、図3に示すNH3吸着量40、図4に示すNH3消費量60、及び図5に示すNH3パージ量80の少なくとも一つを変化させることで増減させることができる。そして、図3に示すNH3吸着量40は、NH3吸着率44のマップを修正することで変化させることができる。同様に、図4に示すNH3消費量60は、NOx浄化率64のマップを修正することにより、また、図5に示すNH3パージ量80は、NH3パージ率84のマップを修正することによりそれぞれ変化させることができる。
本実施形態において、ECU30は、NH3濃度の予測値に過不足が認められた場合、その過不足が解消されるように、上述した3つのマップのうち少なくとも一つを修正する。このような修正によれば、演算に含まれる誤差を縮小させることができ、NH3吸着保持量の予測精度を高めることができる。従って、本実施形態のシステムによれば、実施の形態1の場合に比して、更に高い精度でSCR18のNH3吸着保持量を予測することができる。
ところで、上述した実施の形態4のシステムでは、SCR18をNSR16の下流側に配置することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、図13に示すように、SCR18は、NSR16の上流側、つまり、三元触媒14の直下に配置することとしてもよい。また、NSR16とSCR18は、両者が一体となった2層コート構造の触媒に置き換えることとしても良い。更には、NSR16を省略して、排気通路12中に三元触媒14とSCR18だけを配置する構成としてもよい。
尚、上述した実施の形態4においては、ECU30が、図5に示す手法でNH3パージ量を算出することにより前記第の発明における「NH3パージ量演算手段」が実現されている。また、NH3パージ量80と排気ガス量とに基づいてNH3濃度を予測することにより前記第の発明における「NH3濃度予測手段」が実現されている。また、ECU30が、NH3吸着率44のマップ、NOx浄化率64のマップ、及びNH3パージ率84のマップの少なくとも一つを修正することにより前記第の発明における「演算手法修正手段」が実現されている。
実施の形態5.
次に、図14及び図15を参照して本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態のシステムは、実施の形態1のシステムにおいて、ECU30に、後述する図15に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
本実施形態のシステムは、SCR18の下流に吹き抜けるNOx排出量、つまり、NOxテールパイプエミッションを予測することができる。図14は、NOxテールパイプエミッション180を算出する手法を説明するための図である。図14に示すように、NOxテールパイプエミッション180は、下記の演算式により算出することができる。
NOxテールパイプエミッション
=SCR18へのNOx流入量62×(1−SCR18におけるNOx浄化率64) ・・・(3)
SCR18へのNOx流入量62、及びSCR18におけるNOx浄化率64は、それぞれ、実施の形態1の場合と同様の手法で算出できる(図4参照)。このため、本実施形態において、ECU30は、上記(3)式により、NOxテールパイプエミッションを算出することができる。
排気ガス中のNOx量は、内燃機関10の空燃比、点火時期、EGR(Exhaust Gas Recirculation)量などに応じて増減する。従って、空燃比、点火時期、EGR量等は、NOx排出量が排出許容値を超えないように制御する必要がある。他方、内燃機関10の燃費特性は、それらのパラメータの制御幅が広いほど良好になる。このため、内燃機関10の空燃比、点火時期、EGR量等は、NOxテールパイプエミッションが排出目標値に一致するように制御することが望ましい。
図15は、上記の要求を満たすために、ECU30が実行するルーチンのフローチャートである。図15に示すルーチンでは、先ず、NOxテールパイプエミッションの演算値が読み込まれる(ステップ190)。ECU30は、内燃機関10の運転中、所定の周期で図4に示す演算を実行している。ここでは、その演算により求められた最新のNOxテールパイプエミッション180が読み込まれる。
次に、所定期間に渡るNOxテールパイプエミッションの演算値の平均が、予め定められている規格値(許容限界)より少ないか否かが判別される(ステップ192)。
上記の判別が肯定された場合は、NOxの排出量に余裕がある、換言すると、内燃機関10の空燃比等に、まだ燃費向上のための余裕があると判断できる。この場合、ECU30は、リーン運転の周期を伸張方向に修正する。リーン運転の周期が伸張されれば、リッチスパイクの実行回数が減るため、内燃機関10の燃費特性を改善することができる。
他方、上記ステップ192の条件が成立しないと判別された場合は、NOx排出量を減らす必要があると判断できる。この場合、ECU30は、リーン運転の周期を短縮方向に修正する。リーン運転の周期が短縮されると、NOxの浄化に関するNSR16やSCR18の余裕が増え、NOx排出量を抑えることができる。
以上の処理が繰り返されると、リーン運転の周期は、NOxテールパイプエミッションを規格値に一致させる時間に収束する。このため、本実施形態のシステムによれば、NOx排出量を許容限界以下に抑えつつ、内燃機関10に対して優れた燃費特性を付与することができる。
ところで、図15に示すルーチンでは、NOxテールパイプエミッションと規格値との比較に基づいて、リーン運転の周期を変えることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、リーン運転中やリッチスパイク制御中における空燃比、点火時期、EGR量などを変更して、NOxテールパイプエミッションを規格値に一致させることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態5においては、ECU30が、図14に示すNOx流入量62を算出することにより前記第の発明における「NOx流入量算出手段」が実現されている。また、ECU30が、図14に示すNOx浄化率64を算出することにより前記第の発明における「NOx浄化率算出手段」が実現されている。更に、ECU30が、図14中に符号182を付して示す枠内の演算を実行することにより前記第の発明における「NOxエミッション演算手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態5においては、ECU30が、上記ステップ192の処理を実行することにより前記第の発明における「エミッション比較手段」が実現されている。また、ECU30が、ステップ194及び196の処理を実行することにより前記第の発明における「制御手段」が実現されている。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1のシステムの基本動作を説明するためのタイミングチャートである。 (1)式右辺第2項にあたるNH3吸着量を推定する手法を説明するための図である。 (1)式右辺第3項にあたるNH3消費量を推定する手法を説明するための図である。 (1)式右辺第4項にあたるNH3パージ量を推定する手法を説明するための図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1のシステムの変形例の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態2の構成を説明するための図である。 SCR入口におけるNH3濃度を推定する手法を説明するための図である。 内燃機関の運転状態と、推定によるNH3吸着保持量との関係を示す図である。 本発明の実施の形態3において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態4のシステムの変形例の構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態5のシステムがNOxテールパイプエミッションを算出する手法を説明するための図である。 本発明の実施の形態5において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
10 内燃機関
14 三元触媒
16 NSR(NOx吸蔵還元触媒)
18 SCR(NOx選択還元触媒)
20 空燃比センサ
22 NH3センサ
24 エアフロメータ(AFM)
30 ECU(Electronic Control Unit)

Claims (8)

  1. 排気ガス中のNOxを浄化する機能を有する第1触媒と、
    前記第1触媒の下流に配置されるNOx選択還元触媒と、
    前記NOx選択還元触媒内のNH3吸着保持量の演算値を記憶するNH3吸着保持量記憶手段と、
    前記NOx選択還元触媒が排気ガス中から吸着するNH3吸着量を演算するNH3吸着量演算手段と、
    前記NOx選択還元触媒が排気ガス中のNOxを還元するのに伴って消費されるNH3消費量を演算するNH3消費量演算手段と、
    前記NOx選択還元触媒を流通するガスによりパージされるNH3パージ量を演算するNH3パージ量演算手段と、
    前記NH3吸着保持量記憶手段に記憶されているNH3吸着保持量の演算値を、前記NH3吸着量、前記NH3消費量、及び前記NH3パージ量に基づいて更新するNH3吸着保持量更新手段とを備え
    前記NH3吸着量演算手段は、
    前記NOx選択還元触媒に流入するNH3流入量を算出するNH3流入量算出手段と、前記NOx選択還元触媒のNH3吸着率を算出するNH3吸着率算出手段と、を備え、前記NH3流入量と前記NH3吸着率との乗算値に基づいて前記NH3吸着量を算出し、
    前記NH3消費量演算手段は、
    前記NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量を算出するNOx流入量算出手段と、前記NOx選択還元触媒のNOx浄化率を算出するNOx浄化率算出手段と、を備え、前記NOx流入量と前記NOx浄化率の乗算値に基づいて前記NH3消費量を算出し、
    前記NH3パージ量演算手段は、
    前記NOx選択還元触媒を流通するガス流量を検知するガス流量検知手段と、前記NOx選択還元触媒がガスの流れに伴ってNH3をパージさせるパージ率を演算するNH3パージ率演算手段と、を備え、前記NH3吸着保持量の演算値と、前記パージ率と、前記ガス流量との乗算値に基づいて前記NH3パージ量を算出することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
  2. 前記パージ率演算手段は、
    前記NOx選択還元触媒の入口における酸素濃度を検知する酸素濃度検知手段と、
    前記NH3吸着保持量の演算値及び前記酸素濃度と、前記パージ率との関係を定めたパージ率規則を記憶したパージ率規則記憶手段と、を備え、
    前記パージ率規則に従って前記パージ率を算出することを特徴とする請求項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 前記NH3吸着保持量の演算値と、その目標値とを比較する比較手段と、
    前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過大である場合に、内燃機関の空燃比、前記第1触媒の温度、及び前記第1触媒内のNOx量の少なくとも一つが、前記NH3吸着量を減らす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更し、他方、前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過小である場合に、内燃機関の空燃比、前記第1触媒の温度、及び前記第1触媒内のNOx量の少なくとも一つが、前記NH3吸着量を増やす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気浄化装置。
  4. 前記NH3吸着保持量の演算値と、その目標値とを比較する比較手段と、
    前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過大である場合に、前記NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量、及び前記NOx選択還元触媒のNOx浄化率の少なくとも一つが、前記NH3消費量を増やす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更し、他方、前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過小である場合に、前記NOx流入量及び前記NOx浄化率の少なくとも一つが、前記NH3消費量を減らす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  5. 前記NH3吸着保持量の演算値と、その目標値とを比較する比較手段と、
    前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過大である場合に、内燃機関の空燃比、及び前記NOx選択還元触媒を流通するガス流量の少なくとも一つが、前記NH3パージ量を増やす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更し、他方、前記NH3吸着保持量の演算値が前記目標値に対して過小である場合に、内燃機関の空燃比、及び前記ガス流量の少なくとも一つが、前記NH3パージ量を減らす方向に変化するように内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  6. 前記NH3パージ量演算手段は、前記NOx選択還元触媒を流通するガス流量を検知するガス流量検知手段と、前記NOx選択還元触媒がガスの流れに伴ってNH3をパージさせるパージ率を演算するNH3パージ率演算手段と、を備え、前記NH3吸着保持量の演算値と、前記パージ率と、前記ガス流量との乗算値に基づいて前記NH3パージ量を算出し、
    前記ガス流量と前記NH3パージ量とに基づいて前記NOx選択還元触媒下流のNH3濃度予測値を算出するNH3濃度予測手段と、
    前記NOx選択還元触媒下流のNH3濃度を実測するNH3センサと、
    前記NH3濃度予測値濃度と、前記NH3センサによるNH3濃度の実測値との差が小さくなるように、前記NH3吸着保持量の演算手法を修正する演算手法修正手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  7. 前記NOx選択還元触媒に流入するNOx流入量を算出するNOx流入量算出手段と、
    前記NOx選択還元触媒のNOx浄化率を算出するNOx浄化率算出手段と、
    前記NOx流入量から、当該NOx流入量と前記NOx浄化率との乗算値を減ずることにより、前記NOx選択還元触媒の下流におけるNOxエミッションを演算するNOxエミッション演算手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の内燃機関の排気浄化装置。
  8. 前記NOxエミッションの演算値と、エミッション目標値とを比較するエミッション比較手段と、
    前記NOxエミッション演算値が前記エミッション目標値と一致するように、内燃機関の運転状態を変更する制御手段と、
    を備えることを特徴とする請求項記載の内燃機関の排気浄化装置。
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