JP2006257904A - 内燃機関の触媒劣化判定装置 - Google Patents

内燃機関の触媒劣化判定装置 Download PDF

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【課題】触媒の劣化度合によらず該触媒の劣化判定を適切に行うことのできる内燃機関の触媒劣化判定装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置22は、触媒18の劣化度合を推定する。そして、その劣化度合が所定値に満たない場合には、触媒18の下流側空燃比を検出する酸素センサ20の出力値の軌跡長に基づいて触媒18の劣化判定を行う。一方、その劣化度合が所定値を超える場合には、触媒18の上流側空燃比を強制的に変更したときの触媒18の下流側空燃比の変化態様に基づいて触媒18の酸素吸蔵量を算出し、その算出された酸素吸蔵量に基づいて触媒18の劣化判定を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関に設けられる触媒の劣化を判定する装置に関するものである。
内燃機関では、排気通路に設けられた排気浄化用の触媒によって排気成分の浄化が行われている。この触媒による排気成分の浄化は、内燃機関で燃焼される混合気の空燃比が所定の範囲内にある場合に効率よく行われる。そこで触媒の上流側に排気の酸素濃度を検出する酸素センサを設け、このセンサの出力信号に基づいて混合気の空燃比を検出し、この検出された空燃比が目標空燃比になるよう燃料噴射量に対する空燃比補正値を求めて燃料噴射量を増減補正する空燃比フィードバック制御が一般的には行われている。
また、触媒による排気成分の浄化状態を把握するために、同触媒の下流側にも排気の酸素濃度を検出する酸素センサを設け、このセンサの出力信号に基づいて触媒を通過した後の排気の空燃比を検出し、上記空燃比補正値に対する修正値を算出する、いわゆる空燃比のサブフィードバック制御を実行するものもある。
ここで、触媒の劣化が進行すると、たとえ混合気の空燃比が適切に制御されていても排気の浄化を十分に行うことができなくなる。そこで、従来、触媒の劣化を判定する装置が種々提案されている。
例えば特許文献1に記載の装置では、次のようにして触媒の劣化判定を行うようにしている。
触媒は、これを通過する排気の空燃比がリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比がリッチのときには吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ作用を有している。そのため、触媒の上流側空燃比が理論空燃比を中心にして周期的に変動している場合、触媒の下流側空燃比の変動周期は、触媒の上流側空燃比の変動周期よりも緩やかになる。ここで、触媒の酸素ストレージ作用は触媒の劣化度合に応じて低下していき、同触媒が劣化するほど下流側空燃比の変動周期は上流側空燃比の変動周期に近づくようになる。そのため、触媒が劣化するほど触媒下流側の酸素センサの出力についてその軌跡長は長くなる。そこで特許文献1に記載の装置では、この軌跡長に基づいて触媒の劣化判定を行うようにしている。
特開2003−148137号公報
ところで、上記軌跡長の計測にはある程度の時間がかかり、その計測中に機関運転状態は変化することがある。このような機関運転状態の変化は、触媒の上流側空燃比の変動を招きやすく、触媒の下流側空燃比に乱れを生じさせてしまう。このような下流側空燃比の乱れは軌跡長にも反映されてしまうため、該軌跡長は機関運転状態によっても変化する、ばらつきやすい値となっている。
ここで、触媒の劣化が少ない状態であれば、劣化ありと判定される基準値に対して軌跡長は十分に余裕があるため、たとえ同軌跡長がばらついたとしても、この場合には触媒に劣化なしと正確に判定される。
一方、劣化ありと判定される基準値付近にまで触媒の劣化がある程度進行している状態では、触媒の劣化が許容範囲内であるにもかかわらず、軌跡長のばらつきに起因して該軌跡長が上記基準値を超えてしまい、触媒に劣化ありと誤判定されてしまうおそれがある。
このように上記軌跡長のみを用いて触媒の劣化判定を行う場合、触媒の劣化度合によってはその判定精度が低下してしまい、触媒の劣化判定を適切に行うことができなくなるおそれがある。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、触媒の劣化度合によらず該触媒の劣化判定を適切に行うことのできる内燃機関の触媒劣化判定装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化用の触媒についてその劣化判定を行う装置であって、互いに異なる態様にて触媒の劣化判定を行う複数の判定手段と、前記触媒の劣化度合を推定するとともに、前記触媒の劣化判定に際して前記複数の判定手段のうちの少なくとも1つを前記劣化度合に基づき選択する選択手段とを備えることをその要旨とする。
同構成では、互いに異なる態様にて触媒の劣化判定を行う複数の判定手段を備えるようにしており、各判定手段のうちのいずれかを触媒の劣化度合に基づいて選択するようにしている。そのため、触媒の劣化度合に応じた適切な判定手段にて、触媒の劣化判定がなされるようになる。従って同構成によれば、触媒の劣化度合によらず該触媒の劣化判定を適切に行うことができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置において、前記複数の判定手段は、前記触媒の下流側空燃比を検出する下流側センサの出力値の軌跡長に基づいて前記劣化判定を行う軌跡長判定手段と、前記触媒の上流側空燃比を強制的に変更したときの前記触媒の下流側空燃比の変化態様に基づいて前記触媒の酸素吸蔵量を算出し、その算出された酸素吸蔵量に基づいて前記劣化判定を行う酸素吸蔵量判定手段とを備え、前記選択手段は、前記劣化度合が所定値に満たない場合には、前記軌跡長判定手段を選択し、前記劣化度合が所定の判定値を超える場合には前記酸素吸蔵量判定手段を選択することをその要旨とする。
上述したように、触媒は酸素ストレージ作用を有しているため、触媒の上流側空燃比をリッチからリーンへ変更した場合には、触媒での酸素吸蔵が完了した後に触媒の下流側空燃比はリーンとなる。一方、触媒の上流側空燃比をリーンからリッチへ変更した場合には、触媒からの酸素放出が完了した後に触媒の下流側空燃比はリッチとなる。このように触媒の上流側空燃比を強制的に変更したときの触媒の下流側空燃比の変化態様を監視すれば、触媒の酸素吸蔵量を推定することができる。この酸素吸蔵量は触媒の劣化度合に応じて低下していくため、上記酸素吸蔵量判定手段によれば、触媒の劣化判定を行うことができる。
ここで、上記酸素吸蔵量判定手段によれば、触媒の上流側空燃比が強制的に変更されるため、該上流側空燃比の変動が抑えられ、これにより触媒の下流側空燃比は安定するようになる。従って、下流側空燃比の変化態様に基づいて算出される酸素吸蔵量のばらつきも抑えられ、もって触媒の劣化がある程度進行している場合であっても、劣化誤判定の発生は抑制される。このように酸素吸蔵量判定手段は、触媒の劣化度合によらず該触媒の劣化判定を適切に行うことができるといった長所を有している。一方、同酸素吸蔵量判定手段による劣化判定が行われる場合には、上述したように触媒の上流側空燃比が強制的に変更されるため、エミッションに少なからず影響を与えてしまうといった短所がある。
他方、上記軌跡長を用いて触媒の劣化判定を行う場合には、触媒の上流側空燃比を強制的に変更することなく劣化判定を行うことができるため、上記軌跡長判定手段は、劣化判定に際してエミッションに影響を与えることがないといった長所を有している。一方、同軌跡長判定手段による劣化判定では、上述したように、触媒の劣化が少ない状態では正確に劣化判定を行うことができるものの、触媒の劣化がある程度進行している場合の劣化判定精度は低下するといった短所がある。
そこで、上記構成では、触媒の劣化度合が所定値に満たない場合には、上記軌跡長判定手段を選択し、同劣化度合が所定の判定値を超える場合には上記酸素吸蔵量判定手段を選択するようにしている。そのため、触媒の劣化が少ない状態では軌跡長判定手段による劣化判定が行われるようになり、これにより劣化判定に伴うエミッションの悪化が抑制されるとともに、触媒の劣化判定も正確に行われる。そしてその後、触媒の劣化が進行してその劣化度合がある程度高くなると、酸素吸蔵量判定手段による劣化判定が行われるようになり、これにより触媒の劣化判定を行う際の誤判定の発生が抑制される。なお、同構成によれば、酸素吸蔵量判定手段による劣化判定は、触媒の劣化がある程度進行してから実施されるため、同酸素吸蔵量判定手段のみを用いて触媒の劣化判定を行う場合と比較して、エミッションへの影響は極力抑えられる。
このように同構成では、触媒の劣化度合に応じて上記軌跡長判定手段や上記酸素吸蔵量判定手段といった各判定手段を選択するようにしているため、触媒の劣化判定に伴うエミッションへの影響を抑えつつ、該触媒の劣化判定を正確に行うことができるようになる。
なお、軌跡長に基づく触媒の劣化判定としては、前記下流側センサの出力値の軌跡長を所定の判定値と比較する、あるいは触媒の上流側空燃比を検出する上流側センサの出力値の軌跡長と前記下流側センサの出力値の軌跡長との比または差を求め、この比または差を所定の判定値と比較する、等といった態様にて行うことができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置において、前記選択手段は、前記軌跡長判定手段によって算出される前記軌跡長に基づいて前記劣化度合を推定することをその要旨とする。
同構成では、軌跡長判定手段によって算出される軌跡長に基づき前記劣化度合を推定するようにしている。ここで、上述したように請求項2に記載の構成によれば、はじめに軌跡長判定手段による触媒の劣化判定が行われるため、請求項3に記載の構成によれば、触媒の劣化判定手段を軌跡長判定手段から酸素吸蔵量判定手段に切り替える際のパラメータとなる前記劣化度合を別途算出することなく求めることができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置において、前記酸素吸蔵量判定手段によって変更される前記上流側空燃比の変更量は、前記劣化度合に基づいて設定されることをその要旨とする。
同構成によれば、酸素吸蔵量判定手段によって触媒の劣化判定が行われる際のエミッションの悪化を好適に抑えることができるようになる。
なお、劣化度合に基づく前記変更量の設定に際しては、請求項5に記載の発明によるように、前記変更量は前記劣化度合が高くなるほど小さくされる、といった設定態様を採用することができる。この場合には、劣化度合が高くなるほど、換言すれば触媒の排気浄化能力が低下するほど、強制的に変更される上流側空燃比の変更量は小さくされるため、その上流側空燃比の強制変更に伴うエミッションの悪化を確実に抑制することができる。
以下、この発明にかかる内燃機関の触媒劣化判定装置を具体化した一実施形態について、図1〜図7を併せ参照して説明する。
図1は、本発明にかかる触媒劣化判定装置が適用された車載用の内燃機関と、その周辺構成の概略構成を示している。
同図1に示すように、内燃機関10の吸気通路11には、その通路面積を可変とするスロットルバルブ15が設けられ、その開度制御によりエアクリーナ14を通じて吸入される空気の量が調整されている。ここで吸入された空気の量(吸入空気量)は、エアフロメータ16により検出されている。そして吸気通路11に吸入された空気は、スロットルバルブ15下流に設けられたインジェクタ17より噴射された燃料と混合された後、燃焼室12に送られて、そこで燃焼される。
一方、燃焼室12での燃焼により生じた排気が送られる排気通路13には、排気中の成分を浄化する排気浄化用の触媒18が設けられている。この触媒18は、理論空燃比近傍での燃焼が行われる状態において、排気中のHCやCOを酸化するとともに同排気中のNOxを還元して排気を浄化する作用を有している。また、この触媒18は、これを通過する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには吸蔵した酸素を放出するといった酸素ストレージ作用を有している。
触媒18の上流側には該触媒18の上流側空燃比を検出する空燃比センサ19が設けられている。また、触媒18の下流側には該触媒18の下流側空燃比を検出する酸素センサ20が設けられている。
空燃比センサ19は、周知の限界電流式酸素センサである。この限界電流式酸素センサは、濃淡電池式酸素センサの検出部に拡散律速層と呼ばれるセラミック層を備えることにより排気中の酸素濃度に応じた出力電流が得られるセンサであり、排気中の酸素濃度と密接な関係にある空燃比が理論空燃比である場合には、その出力電流は「0」になる。また、空燃比がリッチになるにつれて出力電流は負の方向に大きくなり、空燃比がリーンになるにつれて出力電流は正の方向に大きくなる。従って、この空燃比センサ19の出力に基づき、触媒18の上流側空燃比についてそのリーン度合いやリッチ度合いを検出することができる。
また、酸素センサ20は、周知の濃淡電池式の酸素センサである。この濃淡電池式酸素センサの出力特性は、空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには約1V程度の出力が得られ、空燃比が理論空燃比よりもリーンのときには約0V程度の出力が得られる。また、理論空燃比近傍でその出力電圧が大きく変化するようになっている。従って、この酸素センサ20の出力に基づき、触媒18の下流側空燃比がリーンとなっているかリッチとなっているかを検出することができる。なお、この酸素センサ20は、触媒18での排気浄化作用の状態を監視するために同触媒18の下流側に設けられている。すなわち、空燃比センサ19の出力がリッチを示しているときに酸素センサ20の出力がリーンとなっているときには、触媒18から酸素が放出されており、同触媒18での酸化作用が促進されているといったことを把握できる。一方、空燃比センサ19の出力がリーンを示しているときに酸素センサ20の出力がリッチとなっているときには、触媒18に酸素が吸蔵されており、同触媒18での還元作用が促進されているといったことを把握できる。
上記触媒18は、燃焼される混合気の空燃比が理論空燃比近傍の狭い範囲(ウインドウ)でのみ、排気中の主要有害成分(HC、CO、NOx)のすべてを酸化還元反応により効率的に浄化する。そうした触媒18を有効に機能させるには、混合気の空燃比を上記ウインドウの中心に合わせこむ、厳密な空燃比制御が必要となる。
そうした空燃比の制御は、電子制御装置22により行われる。電子制御装置22には、上記エアフロメータ16や上記空燃比センサ19、酸素センサ20、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ、あるいは機関回転速度を検出する回転速度センサを始めとする各種センサ類の検出信号が入力される。そしてそれらセンサ類の検出信号によって把握される内燃機関10及び車両の運転状況に応じて、上記スロットルバルブ15やインジェクタ17等を駆動制御して、上記のような空燃比の制御を行っている。そうした電子制御装置22による空燃比制御の概要は次の通りである。
まず電子制御装置22は、上記アクセルペダルの操作量や機関回転速度の検出結果に応じて把握される吸入空気量の要求量を求め、それに応じた吸入空気量が得られるようにスロットルバルブ15の開度を調整する。その一方、エアフロメータ16により検出される吸入空気量の実測値に対して、理論空燃比が得られるだけの燃料量を求め、それによりインジェクタ17からの燃料噴射量を調整する。これにより、燃焼室12で燃焼される混合気の空燃比を、ある程度に理論空燃比に近づけることはできる。ただし、それだけでは上記要求される高精度の空燃比制御には不十分である。
そこで電子制御装置22は、上記空燃比センサ19の検出結果により、触媒18の上流側の空燃比についてその実測値を把握し、この実測値と目標空燃比TAF(通常は理論空燃比)との乖離度合に基づいて算出される空燃比フィードバック補正量に基づいて、インジェクタ17の燃料噴射量をフィードバック補正している。この空燃比フィードバック制御により、要求される空燃比制御の精度が確保される。
また、電子制御装置22は、上記酸素センサ20の検出結果に基づいて上記空燃比フィードバック補正量に対する修正を行う。この修正処理では、酸素センサ20の出力に基づいて算出されるサブフィードバック補正量が増減補正され、同サブフィードバック補正量によって上記空燃比フィードバック補正量は修正される。具体的には、酸素センサ20の出力がリッチを示している間は、触媒18上流側の空燃比が一定量ずつリーン寄りに変化するように、すなわち触媒18上流側の空燃比が少しずつリーン側に近づいていくように、サブフィードバック補正量が一定量ずつマイナス側に増大される。一方、酸素センサ20の出力がリーンを示している間は、触媒18上流側の空燃比が一定量ずつリッチ寄りに変化するように、すなわち触媒18上流側の空燃比が少しずつリッチ側に近づいていくように、サブフィードバック補正量が一定量ずつプラス側に増大される。このようなサブフィードバック制御により、触媒18の浄化作用が有効に活用される。
このように本実施形態では、空燃比の制御と触媒18とを用いて排気の浄化を行うようにしている。
ここで、触媒18の劣化が進行すると、たとえ空燃比制御を適切に行っても排気の浄化は十分に行われなくなる。そこで本実施形態では、以下のような態様で触媒18の劣化判定を行うようにしている。なお、本実施形態においては、触媒18の劣化が許容範囲内である場合、触媒に「劣化なし」または触媒は「正常」といい、許容範囲を超えている場合、触媒に「劣化あり」または触媒は「異常」という。
本実施形態における劣化判定装置は、酸素センサ20の出力値の軌跡長に基づいて触媒18の劣化判定を行う、より詳しくは酸素センサ20の出力値の軌跡長と空燃比センサ19の出力値の軌跡長との比(以下、軌跡比という)に基づいて触媒18の劣化判定を行う軌跡長判定手段を備えている。また、触媒18の上流側空燃比を強制的に変更したときの該触媒18の下流側空燃比の変化態様に基づいて同触媒18の酸素吸蔵量を算出し、その算出された酸素吸蔵量に基づいて触媒18の劣化判定を行う酸素吸蔵量判定手段も備えている。そして、それら各判定手段のいずれかを触媒18の劣化度合に応じて選択する選択手段も備えるようにしている。
まずはじめに、軌跡長による触媒18の劣化判定態様を説明する。
図2は、空燃比センサ19によって検出される空燃比、すなわち触媒18の上流側空燃比、及び酸素センサ20によって検出される空燃比、すなわち触媒18の下流側空燃比について、触媒18に劣化が生じている場合と生じていない場合とでの変化態様の違いを模式的に示している。
上述したように、触媒18は、これを通過する排気の空燃比がリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比がリッチのときには吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ作用を有している。そのため、触媒18が劣化していないときには、図2に「触媒劣化なし」での空燃比の変化態様を示すように、上流側空燃比をリーン及びリッチに周期的に変動させた場合の下流側空燃比の変動周期は、上流側空燃比の変動周期よりも緩やかになる。
一方、触媒18が劣化しているときには上述したような酸素ストレージ作用が低下するため、同図2に「触媒劣化あり」での空燃比の変化態様を示すように、上流側空燃比をリーン及びリッチに周期的に変動させた場合の下流側空燃比の変動周期は、上流側空燃比の変動周期に近づくようになる。
このように触媒18の下流側空燃比の変動周期、すなわち変化態様に基づいて触媒18の劣化度合は判断することができ、その変動周期自体は、酸素センサ20の出力値の軌跡長を求めることにより把握することができる。従って、同軌跡長に基づいて触媒の劣化度合を把握することができる。より具体的には、触媒18の劣化が進行するほど下流側空燃比の変動周期は短くなるため、上記軌跡長は長くなる。従って、同軌跡長が所定の判定値を超える場合には、触媒18が許容できないほど劣化していると判断することができる。なお、以下では、このような軌跡長に基づく触媒18の劣化判定方法を軌跡長法という。
図3は、酸素センサ20の出力値の軌跡長である下流側軌跡長intRについてその算出処理にかかる手順を示している。なお、この処理は上記電子制御装置22によって所定の実行周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まずカウンタcntがリセットされるとともに(ステップS100)、酸素センサ20の出力値の下流側軌跡長intRもリセットされる(ステップS110)。
次に、カウンタcntがインクリメントされ(ステップS120)、以下の処理が実施される。
まず、前回の実行周期で読み込まれた酸素センサ20の出力値Vr0、今回の実行周期で読み込まれた酸素センサ20の出力値Vr、及び前回の実行周期で算出された下流側軌跡長intRに基づき、次式(1)から現在の下流側軌跡長intRが算出される(ステップS130)。

現在の下流側軌跡長intR=前回の下流側軌跡長intR+|Vr―Vr0|…(1)

次に、カウンタcntが所定値Tを越えているか否かが判定される(ステップS140)。そして、カウンタcntが所定値T以下である場合には(ステップS140:NO)、前記ステップS120からS130までの処理が繰り返し実行される。これにより、カウンタcntが所定値Tに達するまでの期間における酸素センサ20の出力変化量についてその積算値が算出される。なお、上記所定値Tは、上述したような空燃比の変動周期の変化を把握するべく、酸素センサ20の出力値の積算期間が十分に確保されるような適切な値が設定されている。
そして、カウンタcntが所定値Tを越えた場合には(ステップS140:YES)、下流側軌跡長intRの積算が終了されて、このときの値が最終的な下流側軌跡長intRとされ、本処理は一旦終了される。
ここで、簡易的には上記算出される下流側軌跡長intRと所定の判定値とを比較することで触媒18の劣化は判定することができる。しかし、触媒18の上流側空燃比の変動周期が変化すると、それが下流側空燃比の変動周期にも影響を与えることがあり、この場合には触媒18の劣化度合が下流側軌跡長intRに適切に反映されなくなる。そこで本実施形態では、上記下流側軌跡長intRの算出期間中において、該下流側軌跡長intRと同様な算出態様にて、空燃比センサ19の出力値の軌跡長である上流側軌跡長intFも算出するようにしている。そして、この上流側軌跡長intFと下流側軌跡長intRとの比、すなわち上記軌跡比αを求め、該軌跡比αに基づいて触媒18の劣化判定を行うようにしている。この軌跡比αは次式(2)から求められる。

軌跡比α=下流側軌跡長intR/上流側軌跡長intF …(2)

この式(2)に示されるように、軌跡比αは、上流側軌跡長intFに対する下流側軌跡長intRの比として算出される。そのため、上流側空燃比の変動周期が変化したとしても、同軌跡比αには触媒18の劣化度合がある程度適切に反映される。また、触媒18の劣化が進行するほど分子の値が大きくなり、もって軌跡比αは大きい値になっていく。従って、この軌跡比αが所定の判定値に満たない場合には、触媒18に劣化なしと判断することができる。
次に、酸素吸蔵量による触媒18の劣化判定態様を説明する。
本実施形態では、次のようなアクティブ制御を通じて触媒18の酸素吸蔵量Cを求めるようにしている。このアクティブ制御では、酸素センサ20の出力が反転する毎に、目標空燃比(触媒18の上流側空燃比)TAFがリッチからリーンへ、またはリーンからリッチへと反転される。
図4は、上記アクティブ制御が実行されるときの目標空燃比TAF、酸素センサ20により検出された触媒18の下流側空燃比RAF、及び酸素吸蔵量Cの変化態様をそれぞれ示している。
同図4に示されるように、時刻t1において、酸素センサ20の出力がリーンの状態でアクティブ制御が開始されると、目標空燃比TAFは理論空燃比からリッチ側に変更される。このように目標空燃比TAFがリッチ側に強制変更されると燃料噴射量が増量され、その結果、触媒18の上流側空燃比はリッチになる。
触媒18の上流側空燃比が理論空燃比よりもリッチになっている間、触媒18からは酸素が放出される。そのため、酸素センサ20により検出される触媒18の下流側空燃比RAFはリーンとなる。そして、触媒18に吸蔵されていた酸素が全て放出されると、リッチ化されている排気に触媒18からの酸素が供給されなくなるため、下流側空燃比RAFはリッチに反転する(時刻t2)。このような酸素センサ20の出力反転によって、触媒18に吸蔵されていた酸素が全て放出されたことがわかる。
時刻t2において、酸素センサ20の出力がリーンからリッチに反転すると、目標空燃比TAFは理論空燃比よりもリーン側に変更される。このように目標空燃比TAFがリーン側に強制変更されると燃料噴射量が減量され、その結果、触媒18の上流側空燃比はリーンになる。
触媒18の上流側空燃比が理論空燃比よりもリーンになっている間、触媒18は酸素を吸蔵する。そのため、酸素センサ20により検出される触媒18の下流側空燃比RAFはリッチとなる。そして、触媒18による酸素の吸蔵が限界にまで達すると、リーン化されている排気中の酸素が触媒18に吸蔵されなくなるため、下流側空燃比RAFはリーンに反転する(時刻t3)。このような酸素センサ20の出力反転によって、触媒18の酸素吸蔵量が限界量(最大酸素吸蔵量Cmax)に達したことがわかる。
時刻t3において、酸素センサ20の出力がリッチからリーンに反転すると、目標空燃比TAFは再び理論空燃比よりもリッチ側に変更される。
触媒18の上流側空燃比が理論空燃比よりもリッチになっている間、触媒18からは酸素が放出される。そのため、酸素センサ20により検出される触媒18の下流側空燃比RAFはリーンとなる。そして、触媒18に吸蔵されていた酸素が全て放出されると、リッチ化されている排気に触媒18からの酸素が供給されなくなるため、下流側空燃比RAFはリッチに反転する(時刻t4)。このような酸素センサ20の出力反転によって、触媒18に吸蔵されていた酸素、すなわち最大酸素吸蔵量Cmaxの全てが放出されたことがわかる。
このようにアクティブ制御の実行中では、触媒18の下流側空燃比RAFに基づいて触媒18の上流側空燃比が強制変更される。そしてこの強制変更に伴う下流側空燃比RAFの変化態様に基づき、触媒18に吸蔵された酸素が全て放出された状態や、触媒18の酸素吸蔵量が限界量に達した状態を把握することができる。従って、触媒18の上流側空燃比がリーンであり、かつ触媒18の下流側空燃比RAFがリッチである期間に触媒18へ流入した酸素の量を積算すれば、触媒18の酸素吸蔵量Cを推定することができる。他方、触媒18の上流側空燃比がリッチであり、かつ触媒18の下流側空燃比RAFがリーンである期間に触媒18へ流入した排気の酸素不足量を積算すれば、触媒18の酸素放出量COUTを推定することができる。なお、触媒18から放出される酸素は、もともと触媒18に吸蔵されていた酸素であるため、この酸素放出量COUTは上記酸素吸蔵量Cと概ね同じような値となり、実質的には酸素吸蔵量を示す値となる。
そして、上述したように触媒18の酸素ストレージ作用は触媒18の劣化度合に応じて低下していくため、酸素吸蔵量Cが所定の判定値に満たない場合には、触媒18が許容できないほど劣化していると判断することができる。なお、以下では、このような酸素吸蔵量に基づく触媒18の劣化判定方法をCmax法という。
図5は、酸素吸蔵量Cの算出処理についてその手順を示している。なお、この処理は上記アクティブ制御が実行されているときに、上記電子制御装置22によって所定の実行周期毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まず、上述したような目標空燃比TAFが切り替わったか否か、具体的にはリッチからリーンに切り替わったか否かが判断される(ステップS200)。 そして、目標空燃比TAFが切り替わっていない旨判断される場合には(ステップS200:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、目標空燃比TAFが切り替わった旨判断される場合、すなわち先の図4における時刻t2の状態であると判断される場合には(ステップS200:YES)、次式(3)に基づいて酸素吸蔵量Cが積算される(S210)。

今回の酸素吸蔵量C=前回の酸素吸蔵量C
+0.23×ΔA/F×燃料噴射量Q …(3)

ここで、「今回の酸素吸蔵量C」は今回の実行周期で算出される最新の酸素吸蔵量Cであり、「前回の酸素吸蔵量CIN」は前回の実行周期で算出された過去の酸素吸蔵量Cである。また、「0.23」は空気中の酸素の割合であり、「ΔA/F」は空燃比センサ19によって検出された空燃比から理論空燃比を減じた値である。また、「燃料噴射量Q」は、本処理とは別に実行される燃料噴射制御において設定される値であり、本処理実行時に内燃機関10に供給された燃料量である。上記式(3)において、「ΔA/F×燃料噴射量Q」で得られる値は本処理の実行周期の間に触媒18に流入した未燃焼の空気量に相当する値であり、これに「0.23」を乗じた値は未燃焼の酸素量に相当する。この未燃焼の酸素が触媒18に吸蔵される。そのため、上記式(3)によれば、今回の実行周期における最新の酸素吸蔵量Cが算出される。
次に、触媒18の下流側空燃比RAFが反転したか否か、より具体的にはリッチからリーンに反転したか否かが判断される(ステップS220)。そして、下流側空燃比RAFが反転していない旨判断される場合には(ステップS220:NO)、次回の実行周期にて再びステップS210の処理が実行される。すなわち、下流側空燃比RAFが反転するまで酸素吸蔵量Cの積算が繰り返される。
一方、下流側空燃比RAFが反転したと判断される場合、すなわち先の図4における時刻t3の状態であると判断される場合には(ステップS220:YES)、本処理は一旦終了され、このときの酸素吸蔵量Cが最終的な酸素吸蔵量C、すなわち現在の触媒18の最大酸素吸蔵量として設定される。そしてその後、この設定された酸素吸蔵量Cと所定の判定値との比較によって触媒18の劣化判定が行われる。なお、本実施形態では、触媒18の酸素吸蔵量Cを求めるようにしているが、上記酸素放出量COUTを求め、これを所定の判定値と比較するようにしても触媒18の劣化判定を行うことができる。また、酸素吸蔵量C及び酸素放出量COUTを求め、これらの平均値と所定の判定値とを比較するようにしてもよい。
ところで、上記軌跡長法を用いて触媒18の劣化判定を行う場合には、軌跡長の計測にある程度の時間がかかるため、その計測中に機関運転状態が変化することがある。このような機関運転状態の変化は、触媒18の上流側空燃比の変動を招きやすく、触媒18の下流側空燃比RAFに乱れを生じさせてしまう。このような下流側空燃比RAFの乱れは下流側軌跡長intRにも反映されてしまうため、該下流側軌跡長intRは機関運転状態によっても変化する、ばらつきやすい値となっている。
ここで、触媒18の劣化が少ない状態であれば、劣化ありと判定される判定値に対して軌跡長は十分に余裕があるため、たとえ同軌跡長がばらついたとしても、この場合には触媒に劣化なしと正確に判定される。
一方、劣化ありと判定される判定値付近にまで触媒の劣化がある程度進行している状態では、触媒の劣化が許容範囲内であるにもかかわらず、下流側軌跡長intRのばらつきに起因して該下流側軌跡長intRが上記判定値を超えてしまい、触媒に劣化ありと誤判定されてしまうおそれがある。
このように軌跡長を用いて触媒18の劣化判定を行う場合、触媒18の劣化度合によってはその判定精度が低下してしまい、触媒18の劣化判定を適切に行うことができなくなるおそれがある。
他方、上記Cmax法を用いて触媒18の劣化判定を行う場合には、触媒18の上流側空燃比が強制的に変更されるため、該上流側空燃比の変動は抑えられ、これにより触媒18の下流側空燃比RAFは安定するようになる。従って、下流側空燃比RAFの変化態様に基づいて算出される酸素吸蔵量Cのばらつきも抑えられ、もって触媒18の劣化がある程度進行している場合であっても、劣化誤判定の発生は抑制される。このようにCmax法は、触媒18の劣化度合によらず該触媒18の劣化判定を適切に行うことができるといった長所を有している。ただし、同Cmax法による劣化判定が行われる場合には、触媒18の上流側空燃比が強制的に変更されるため、エミッションに少なからず影響を与えてしまうといった短所もある。
一方、上記軌跡長法を用いて触媒18の劣化判定を行う場合には、触媒18の上流側空燃比を強制的に変更することなく劣化判定を行うことができるため、該軌跡長法は、劣化判定に際してエミッションに影響を与えることがないといった長所を有している。ただし、上述したように、触媒18の劣化が少ない状態では正確に劣化判定を行うことができるものの、触媒18の劣化がある程度進行している場合の劣化判定精度は低下するといった短所もある。
そこで、本実施形態では、触媒18の劣化度合を推定し、その推定値が所定値に満たない場合には、上記軌跡長法による劣化判定を選択し、同劣化度合が所定の判定値を超える場合には上記Cmax法による劣化判定を選択するようにしている。そのため、触媒18の劣化が少ない状態では軌跡長法による劣化判定が行われるようになり、これにより劣化判定に伴うエミッションの悪化が抑制されるとともに、触媒の劣化判定も正確に行われる。そしてその後、触媒18の劣化が進行してその劣化度合がある程度高くなると、Cmax法による劣化判定が行われるようになり、これにより触媒18の劣化判定を行う際の誤判定の発生が抑制される。また、Cmax法による劣化判定は、触媒18の劣化がある程度進行してから実施されるため、Cmax法のみを用いて触媒18の劣化判定を行う場合と比較して、エミッションへの影響も極力抑えられる。
以下、触媒18の劣化度合に基づいて上記軌跡長法またはCmax法を選択し、該選択された劣化判定法を用いて触媒18の劣化判定を行う本実施形態での劣化判定処理について説明する。
図6は、上記劣化判定処理の手順を示しており、本処理は電子制御装置22により実行される。
本処理が開始されるとまず、軌跡比学習値Gが切替判定値Z1を超えているか否かが判定される(S300)。この軌跡比学習値Gは触媒18の劣化度合を示す推定値であり、後述するステップS330にて算出・更新される上記軌跡比αのなまし値である。なお、その初期値は、新品の触媒18において計測される軌跡比αが設定されている。また、切替判定値Z1は、軌跡長法を用いた劣化判定に際して上述したような誤判定の生じるおそれがある触媒18の劣化度合に相当する値が設定されている。
そして、軌跡比学習値Gが切替判定値Z1以下である場合には(S300:NO)、軌跡長法による劣化判定を行っても誤判定は生じないと判断され、軌跡長法を実行すべく、その実行条件が成立しているか否かが判定される(S310)。この軌跡長法の実行条件として、本実施形態では例えば次のような条件等が種々設定されている。
・空燃比フィードバック制御中である。
・機関運転状態が高負荷高回転状態以外である。
・目標空燃比TAFと実際の触媒18の上流側空燃比とのずれが所定の範囲内である。
そして、軌跡長法の実行条件が成立していない場合には(S310:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、軌跡長法の実行条件が成立している場合には(S310:YES)、上述した軌跡長算出処理の実行を通して下流側軌跡長intR及び上流側軌跡長intFが算出され、さらに上記式(2)に基づいて軌跡比αが算出される(S320)。
こうして軌跡比αが算出されると、次式(4)から上記軌跡比学習値Gが算出される(S330)。

今回の軌跡比学習値G={前回の軌跡比学習値G×(K−1)+軌跡比α}/K…(4)

ここで、「今回の軌跡比学習値G」は今回の処理実行時に算出される最新の軌跡比学習値Gであり、「前回の軌跡比学習値G」は前回の処理実行時に算出された過去の軌跡比学習値Gである。また、「K」はなまし係数である。
次に、上記算出された軌跡比αが軌跡比判定値Z2以下であるか否かが判定される(S340)。この軌跡比判定値Z2には、触媒18に劣化なしと判定することができる限界の軌跡比αに相当する値が設定されている。
そして、軌跡比αが軌跡比判定値Z2以下である場合には(S340:YES)、触媒18に劣化なし、すなわち触媒18は正常であると判定され(S350)、本処理は一旦終了される。
一方、軌跡比αが軌跡比判定値Z2よりも大きい場合には(S340:NO)、上述したような理由によって下流側軌跡長intRが一時的に乱れたことにより、軌跡比αが軌跡比判定値Z2よりも大きくなった可能性があるため、触媒の劣化判定を確実に行うべく、Cmax法による劣化判定が実施される。
また、上記ステップS300にて、軌跡比学習値Gが切替判定値Z1より大きい場合には(S300:YES)、軌跡長法による劣化判定に際して誤判定の生じる可能性があるため、この場合にも触媒の劣化判定を確実に行うべく、Cmax法による劣化判定が実施される。
すなわち、ステップS340にて否定判定される場合、またはステップS300にて肯定判定される場合には、まず、軌跡比学習値Gに基づいて振幅Yが設定される(S400)。この振幅Yは、上記アクティブ制御を通じて触媒18の上流側空燃比、換言すれば上記目標空燃比TAFを強制変更する際の空燃比の振幅量であり(先の図4に示す振幅Y)、Cmax法の実施に際して変更される上記上流側空燃比の変更量に相当する値である。そして、アクティブ制御実行時の目標空燃比TAFは、この振幅Yに基づいて設定される。
また、図7に示されるように、この振幅Yは軌跡比学習値Gが大きくなるほど、すなわち触媒18の劣化度合が高いと推定されるときほど、その値は小さくなるように設定される。このような振幅Yの設定態様によれば、触媒18の劣化度合が高くなるほど、換言すれば触媒の排気浄化能力が低下するほど、強制的に変更される上流側空燃比の変更量は小さくされる。そのため、Cmax法による劣化判定時にあって、触媒18の排気浄化能力が低下しているときほど、理論空燃比により近い目標空燃比にて上流側空燃比は変更される。従って、上流側空燃比の強制変更に伴うエミッションの悪化が確実に抑制される。
こうして上流側空燃比の振幅Yが設定されると、次に、Cmax法を実行すべく、その実行条件が成立しているか否かが判定される(S410)。このCmax法の実行条件は、上記軌跡長法の実行条件と同様である。
そして、Cmax法の実行条件が成立していない場合には(S410:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、Cmax法の実行条件が成立している場合には(S410:YES)、上述した酸素吸蔵量算出処理の実行を通じて酸素吸蔵量Cが算出される(S420)。
次に、上記算出された酸素吸蔵量Cが吸蔵量判定値Z3以下であるか否かが判定される(S340)。この吸蔵量判定値Z3には、触媒18に劣化ありと判定される酸素吸蔵量においてその最大値が設定されている。
そして、酸素吸蔵量Cが吸蔵量判定値Z3よりも大きい場合には(S430:NO)、触媒18の最大酸素吸蔵量は十分にあるため、触媒18に劣化なし、すなわち触媒18は正常であると判定され(S350)、本処理は一旦終了される。
一方、酸素吸蔵量Cが吸蔵量判定値Z3以下である場合には(S430:YES)、触媒18の最大酸素吸蔵量は不足しているため、触媒18に劣化あり、すなわち触媒18は異常であると判定され(S440)、本処理は一旦終了される。
このように本実施形態では上記劣化判定処理の実行を通じて、各劣化判定法の長所を有効利用するとともに、短所の悪影響を極力抑えるようにしている。そのため、触媒18の劣化度合によらず該触媒18の劣化判定を適切に行うことができるようになる。
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)互いに異なる態様にて触媒18の劣化判定を行う複数の判定手段を備えるようにしている。また、触媒18の劣化度合を推定するとともに、触媒18の劣化判定に際しては、上記複数の判定手段の1つを前記劣化度合に基づき選択するようにしている。そのため、触媒18の劣化度合に応じた適切な判定手段にて、触媒18の劣化判定を行うことができ、もって触媒18の劣化度合によらず該触媒18の劣化判定を適切に行うことができるようになる。
(2)触媒18の劣化度合が切替判定値Z1に満たない場合には、軌跡長法による触媒18の劣化判定を選択し、同劣化度合が切替判定値Z1を超えている場合には、Cmax法による触媒18の劣化判定を選択するようにしている。そのため、触媒18の劣化判定に伴うエミッションへの影響を抑えつつ、該触媒18の劣化判定を正確に行うことができるようになる。
(3)本実施形態では、はじめに軌跡長法による触媒18の劣化判定が行われる。そのため、軌跡長法によって算出される軌跡長に基づいて、より具体的には上記軌跡比学習値Gに基づいて上記劣化度合を推定する本実施形態によれば、触媒18の劣化判定を軌跡長法からCmax法に切り替える際のパラメータとなる前記劣化度合を別途算出することなく求めることができるようになる。
(4)Cmax法を実行する際に強制変更される触媒18の上流側空燃比について、その変更量(振幅Y)を上記劣化度合(軌跡比学習値G)に基づいて設定するようにしている。そのため、Cmax法によって触媒18の劣化判定が行われる際のエミッションの悪化を好適に抑えることができるようになる。
(5)また、劣化度合に基づく上記上流側空燃比の変更量設定に際しては、劣化度合が高くなるほど変更量が小さくされるようにこれを設定するようにしている。そのため、上流側空燃比の強制変更に伴うエミッションの悪化を確実に抑制することができるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・軌跡比αをなまし処理して軌跡比学習値Gを算出するようにしたが、軌跡比αの平均値を算出し、それを軌跡比学習値Gとするようにしてもよい。また、軌跡比αを直接軌跡比学習値Gとしてもよい。
・軌跡比αは、上流側軌跡長intFに対する下流側軌跡長intRの比であったが、下流側軌跡長intRに対する上流側軌跡長intFの比とすることもできる。この場合には、触媒18の劣化が進行するほど、軌跡比αは小さくなる。
・軌跡長に基づく触媒の劣化判定に際しては、上流側軌跡長intFと下流側軌跡長intRとの比を求め、その比を所定の判定値と比較するようにした。この他、上流側軌跡長intFと下流側軌跡長intRとの差を求め、その差を所定の判定値と比較するようにしてもよい。
・軌跡法による触媒18の劣化判定に際して、軌跡比αを用いるようにした。他方、上述したように、簡易的には上記下流側軌跡長intRと所定の判定値とを比較することで触媒18の劣化を判定することもできる。
・軌跡長の算出態様として、センサ出力の変化量を積算するようにした。この他、触媒18の劣化ありと劣化なしとにおける軌跡長の変化を捉えることのできる算出態様であれば、他の態様を用いることもできる。例えば、所定期間内におけるセンサ出力の反転回数、あるいはセンサ出力の軌跡と理論空燃比相当の値との間で囲まれる面積などを算出するようにしてもよい。
・触媒18の劣化度合を軌跡比学習値Gを用いて推定するようにした。しかし、この他の値を用いて劣化度合を推定するようにしてもよい。例えば、機関の総運転時間、排気の総排出量、触媒18の総受熱時間等に基づいて触媒18の劣化度合を推定するようにしてもよい。
・互いに異なる態様にて触媒の劣化判定を行う複数の判定手段として、軌跡長法とCmax法とを備えるようにしたが、この他の態様にて触媒の劣化判定を行う判定手段を備えるようにしてもよい。また、上記実施形態では2つの判定手段を備えるようにしたが、互いに異なる態様にて触媒の劣化判定を行う判定手段を3つ以上備えるようにしてもよい。また、上記実施形態では2つの判定手段のうちの1つを選択して触媒18の劣化判定を行うようにしたが、互いに異なる態様にて触媒の劣化判定を行う複数の判定手段のうちの少なくとも1つを上述したような劣化度合に基づいて選択するようにしてもよい。
・振幅Yを触媒18の劣化度合に応じて可変設定するようにしたが、振幅Yを固定値とすることもできる。
・上述した空燃比センサ19及び酸素センサ20は、排気の酸素濃度、ひいては混合気の空燃比を検出することのできるセンサであればよい。従って空燃比センサ19を空燃比のリッチあるいはリーンのみを検出することのできる酸素センサに変更することもできる。また、酸素センサ20を空燃比の度合(リッチ度合やリーン度合)に応じた出力がリニアに得られる空燃比センサに変更することもできる。
本発明にかかる触媒劣化判定装置の一実施形態について、これが適用される内燃機関及びその周辺構成を示す概略図。 触媒下流側の空燃比について、触媒に劣化が生じている場合と生じていない場合とでの変化態様の違いを示す説明図。 同実施形態における軌跡長の算出処理についてその手順を示すフローチャート。 酸素吸蔵量の推定態様を説明するための模式図。 同実施形態における酸素吸蔵量の算出処理についてその手順を示すフローチャート。 同実施形態における劣化判定処理についてその手順を示すフローチャート。 軌跡比学習値Gに基づく振幅Yの設定態様を示すグラフ。
符号の説明
10…内燃機関、11…吸気通路、12…燃焼室、13…排気通路、14…エアクリーナ、15…スロットルバルブ、16…エアフロメータ、17…インジェクタ、18…触媒 、19…空燃比センサ、20…酸素センサ、22…電子制御装置。

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化用の触媒についてその劣化判定を行う装置であって、
    互いに異なる態様にて触媒の劣化判定を行う複数の判定手段と、
    前記触媒の劣化度合を推定するとともに、前記触媒の劣化判定に際して前記複数の判定手段のうちの少なくとも1つを前記劣化度合に基づき選択する選択手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の触媒劣化判定装置。
  2. 前記複数の判定手段は、前記触媒の下流側空燃比を検出する下流側センサの出力値の軌跡長に基づいて前記劣化判定を行う軌跡長判定手段と、前記触媒の上流側空燃比を強制的に変更したときの前記触媒の下流側空燃比の変化態様に基づいて前記触媒の酸素吸蔵量を算出し、その算出された酸素吸蔵量に基づいて前記劣化判定を行う酸素吸蔵量判定手段とを備え、
    前記選択手段は、前記劣化度合が所定値に満たない場合には、前記軌跡長判定手段を選択し、前記劣化度合が所定の判定値を超える場合には前記酸素吸蔵量判定手段を選択する
    請求項1に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置。
  3. 前記選択手段は、前記軌跡長判定手段によって算出される前記軌跡長に基づいて前記劣化度合を推定する
    請求項2に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置。
  4. 前記酸素吸蔵量判定手段によって変更される前記上流側空燃比の変更量は、前記劣化度合に基づいて設定される
    請求項2または3に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置。
  5. 前記変更量は、前記劣化度合が高くなるほど小さくされる
    請求項4に記載の内燃機関の触媒劣化判定装置。
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