JP2005240642A - 排気浄化システムの異常診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒と同触媒の下流側に設けられる酸素センサとを備える排気浄化システムの異常の有無を診断するに際し、その診断結果に関する信頼性を好適に確保することのできる排気浄化システムの異常診断方法を提供する。
【解決手段】酸素センサの出力値から求められる触媒の酸素吸蔵量Cと酸素センサの出力値の軌跡長intRとをそれぞれ求め、これら酸素吸蔵量C及び軌跡長intRに基づいて排気浄化システムの異常の有無を診断する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、排気浄化システムの異常診断方法に関するものである。
内燃機関では、排気通路に設けられた排気浄化用の触媒によって排気成分の浄化が行われている。この触媒による排気成分の浄化は、内燃機関で燃焼される混合気の空燃比が所定の範囲内にある場合に効率よく行われる。そこで触媒の上流側に排気の酸素濃度を検出する酸素センサを設け、このセンサの出力信号に基づいて混合気の空燃比を検出し、この検出された空燃比が目標空燃比になるよう燃料噴射量に対する空燃比補正値を求めて燃料噴射量を増減補正する空燃比フィードバック制御が一般的には行われている。
また、触媒による排気成分の浄化状態を把握するために、同触媒の下流側にも上述したような酸素センサを設け、このセンサの出力信号に基づいて触媒を通過した後の排気の空燃比を検出し、上記空燃比補正値に対する修正値を算出する、いわゆる空燃比のサブフィードバック制御を実行するものもある。
ここで、触媒や酸素センサ等から構成される排気浄化システムに異常が生じていると、排気の浄化が十分に行われなくなるため、その異常を診断する方法が従来、種々提案されている。
例えば触媒に劣化が生じているといった排気浄化システムの異常を検出するために、特許文献1に記載の方法では、次のようにして触媒の劣化判定を行うようにしている。
触媒は通過する排気の空燃比がリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比がリッチのときには吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ作用を有している。そのため、触媒上流側の空燃比をリーンとリッチとの間で周期的に変動させている場合において、触媒下流側の空燃比の変動周期は上流側の変動周期よりも緩やかになる。ここで、触媒の酸素ストレージ作用は触媒の劣化度合に応じて低下していくため、同触媒が劣化するほど触媒下流側の空燃比の変動周期は触媒上流側の空燃比の変動周期に近づくようになる。そのため、触媒が劣化するほど触媒下流側の酸素センサの出力についてその軌跡長は長くなる。そこで、特許文献1に記載の方法ではこの軌跡長に基づいて触媒の劣化判定を行うようにしている。具体的には軌跡長が所定の値よりも短い場合には触媒が劣化していない旨判定するようにしている。
また、特許文献2に記載の方法では、次のようにして触媒の劣化判定を行うようにしている。
触媒上流側の空燃比をリーンからリッチへ変更した直後では、触媒に吸蔵された酸素が放出された後に触媒下流側の空燃比はリッチとなり、触媒上流側の空燃比をリッチからリーンへ変更した直後では、触媒が酸素を吸蔵してから触媒下流側の空燃比はリーンとなる。このように、触媒上流側の空燃比を変更した直後では、触媒の酸素ストレージ能力に応じた応答遅れ時間が経過した後に触媒下流側の空燃比は上流側の空燃比と同じになる。ここで、触媒の酸素吸蔵量が少なくなると先の応答遅れ時間は短くなるため、この応答遅れ時間等に基づいて酸素吸蔵量を推定することができる。そして、上述したように触媒の酸素ストレージ作用は触媒の劣化度合に応じて低下していくため、酸素吸蔵量の推定値が小さくなるほど触媒は劣化していると判断することができる。そこで、特許文献2に記載の方法ではこのような応答遅れ時間等に基づいて触媒の酸素吸蔵量を推定し、この推定された値に基づいて触媒の劣化判定を行うようにしている。
一方、上記したような触媒の劣化判定やサブフィードバック制御に際しては、触媒下流側の酸素センサの出力を利用するようにしているため、同酸素センサに異常が生じていると触媒の劣化判定やサブフィードバック制御等を正常に行うことができなくなる。そこで、触媒下流側の酸素センサに素子割れなどが生じているといった排気浄化システムの異常を検出するために、例えば空燃比の変化に応じて変化する下流側酸素センサの出力値が一定の値に張り付いている場合には、同下流側酸素センサに異常が生じていると判定するといった異常診断が従来、行われている。この他にも、目標空燃比を一時的に理論空燃比よりもリッチ側に変更し、下流側酸素センサの出力がこの変更に応じた出力を示さない場合には異常が生じていると判定する、などといった異常診断も行われている。
特開平8−291741号公報 特開平5−133264号公報
ところで、上述したような軌跡長を用いた触媒の劣化判定では次のような不具合が生じることがある。例えば混合気の空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に偏った状態で制御される状態が続くと、触媒は吸蔵した酸素を全て放出してしまい、その後は酸素を吸蔵できなくなる。従って、このような状態では触媒下流側の酸素センサはリッチ相当の信号を出力するようになり、その出力値の変動も小さくなる。すなわち、このように空燃比が理論空燃比よりもリッチ側に偏った状態で制御されるときには触媒劣化の有無にかかわらず軌跡長は短くなるため、軌跡長に基づく触媒劣化の判定精度が低下するおそれがある。
また、上述したような酸素吸蔵量を用いた触媒の劣化判定では次のような不具合が生じることがある。例えば、混合気の空燃比がリーンからリッチに変更された直後に排気の流量が急速に増大すると、触媒下流側の酸素センサにリッチ雰囲気の排気が速やかに到達してしまうことがある。この場合には上述したような応答遅れ時間が短くなるため、この応答遅れ時間等に基づいて推定される酸素吸蔵量は実際の酸素吸蔵量よりも少なく算出される。すなわち、このような場合には触媒劣化の有無にかかわらず酸素吸蔵量は少なくなるため、この酸素吸蔵量に基づく触媒劣化の判定精度が低下するおそれがある。
他方、下流側酸素センサの検出部に素子割れ等の異常が生じている場合であっても、空燃比の変化に類似した信号が同センサから出力されることがある。特に、酸素センサの検出部が層状に形成された積層型酸素センサでは、同検出部がコップ状に形成されたコップ型酸素センサと比較して、このような傾向が多く見られる。そしてこの場合には、上述したような酸素センサの出力の張り付きを監視することにより同酸素センサの異常を判定するといった異常診断方法を用いても、正確にその異常を判定することができないおそれがある。また、同様な理由により、酸素センサに素子割れ等の異常が生じている場合において、目標空燃比を一時的に理論空燃比よりもリッチ側に変更した場合には、酸素センサの出力がこの変更に類似した出力を示すことがあり、上述したような態様では下流側酸素センサの異常を正確に判定することができないおそれもある。
このように上述したような従来の方法では、触媒や下流側酸素センサなどから構成される排気浄化システムの異常の有無を正確に判定することができないおそれがある。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、触媒と同触媒の下流側に設けられる酸素センサとを備える排気浄化システムの異常の有無を診断するに際し、その診断結果に関する信頼性を好適に確保することのできる排気浄化システムの異常診断方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化用の触媒と、同触媒の下流側に設けられる酸素センサとを備える排気浄化システムの異常の有無を診断する方法であって、前記酸素センサの出力値から求められる前記触媒の酸素吸蔵量と前記酸素センサの出力値の軌跡長とをそれぞれ求め、これら酸素吸蔵量及び軌跡長に基づいて前記異常の有無を診断することをその要旨とする。
上述したように、触媒の酸素吸蔵量や酸素センサの出力値の軌跡長といった各値は触媒の劣化状態を示す指標値となるため、これら酸素吸蔵量及び軌跡長の整合性を考慮することにより、より精度よく触媒の劣化状態を診断することができる。また、上記酸素吸蔵量や軌跡長は酸素センサの出力値から求められるため、これら酸素吸蔵量及び軌跡長の整合性を考慮することにより、酸素センサの異常の有無(例えば検出部の素子割れ等)をより精度よく診断することができる。そこで上記診断方法では、酸素吸蔵量及び軌跡長といった2つの値を用いて上記排気浄化システムの異常の有無を診断するようにしている。従って同診断方法によれば、触媒と同触媒の下流側に設けられる酸素センサとを備える排気浄化システムの異常の有無を診断するに際し、その診断結果に関する信頼性を好適に確保することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の排気浄化システムの異常診断方法において、前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第1の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が短く、かつ前記酸素吸蔵量が正常である旨判定される場合には、前記触媒に異常なしとの診断をすることをその要旨とする。
上述したように、触媒が劣化するほど触媒下流側の酸素センサの出力についてその軌跡長は長くなる。換言すれば、軌跡長が短い場合には触媒に劣化が生じておらず、同触媒に異常なしと診断することができる。また、触媒の酸素吸蔵量が正常な値、すなわち劣化が生じていないときの酸素吸蔵量であれば、この場合にも触媒に劣化が生じておらず、同触媒に異常なしと診断することができる。そこで上記診断方法では、軌跡長が短く、かつ酸素吸蔵量が正常である旨判定される場合には、触媒に異常なしとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する触媒に異常がないことを確実に診断することができるようになる。なお上記第1の領域は、触媒に異常なしと診断することのできる範囲内の軌跡長及び酸素吸蔵量をもって設定される領域であり、この領域は予めの実験等を通じて求めることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の排気浄化システムの異常診断方法において、前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第2の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が長く、かつ前記酸素吸蔵量が少ない旨判定される場合には、前記触媒に異常ありとの診断をすることをその要旨とする。
上述したように、触媒が劣化している場合には軌跡長が長くなる。また、酸素センサに異常が生じている場合にも軌跡長は長くなることがある。このように軌跡長が長くなる場合には、触媒の異常や酸素センサの異常といった2つの原因が考えられる。このような場合にあって、酸素吸蔵量が少ない場合には、触媒に異常が生じていると判断することができる。そこで上記診断方法では、軌跡長が長く、かつ酸素吸蔵量が少ない旨判定される場合には、触媒に異常ありとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する触媒に異常があることを確実に診断することができるようになる。なお上記第2の領域は、触媒に異常ありと診断することのできる範囲内の軌跡長及び酸素吸蔵量をもって設定される領域であり、この領域も予めの実験等を通じて求めることができる。
一方、軌跡長が長くなる場合であって、酸素吸蔵量が正常な値である場合、すなわち劣化が生じていないときの酸素吸蔵量であれば、酸素センサに異常が生じていると判断することができる。そこで、請求項4に記載の発明によるように、軌跡長及び酸素吸蔵量が予め設定された第3の領域に含まれ、これにより軌跡長が長く、かつ酸素吸蔵量が正常である旨判定される場合には、酸素センサに異常ありとの診断をする、といった診断方法を採用することにより、排気浄化システムを構成する上記酸素センサに異常があることを確実に診断することができるようになる。なお上記第3の領域は、酸素センサに異常ありと診断することのできる範囲内の軌跡長、及び触媒に異常が生じていないと診断することのできる範囲内の酸素吸蔵量をもって設定される領域であり、この領域も予めの実験等を通じて求めることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の排気浄化システムの異常診断方法において、前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第4の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が短く、かつ前記酸素吸蔵量が前記触媒の限界酸素吸蔵量を超えている旨判定される場合には、前記酸素センサに異常ありとの診断をすることをその要旨とする。
上述したように、軌跡長が短い場合には触媒に劣化が生じておらず、同触媒に異常なしと診断することができる。ここで、酸素センサの出力値から求められる触媒の酸素吸蔵量が、劣化していない触媒の最大酸素吸蔵量、すなわち上記限界酸素吸蔵量を超えているときには、酸素センサの異常によって酸素吸蔵量が正確に算出されていないと判断することができる。そこで上記診断方法では、軌跡長が短く、かつ酸素吸蔵量が触媒の限界酸素吸蔵量を超えている旨判定される場合には、酸素センサに異常ありとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する上記酸素センサに異常があることを確実に診断することができるようになる。なお上記第4の領域は、酸素センサに異常ありと診断することのできる範囲内の軌跡長、及び劣化していない触媒が吸蔵することのできる最大酸素吸蔵量(限界酸素吸蔵量)を超える酸素吸蔵量をもって設定される領域であり、この領域も予めの実験等を通じて求めることができる。
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかる排気浄化システムの異常診断方法を具体化した一実施形態について、図1〜図7を併せ参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる排気浄化システムの異常診断方法を実施する制御装置2、この制御装置2によって各種制御が行われる内燃機関1、同内燃機関1の排気浄化システム等の構成を示す概略構成図である。
この内燃機関1は、周知のように、吸気通路から吸入される空気及び燃料噴射弁から噴射される燃料からなる混合気がシリンダ及びピストンによって区画形成される燃焼室に吸入される。そして、この混合気は燃焼室に備えられる点火プラグにより点火されて燃焼され、燃焼後は排気ガスとして前記燃焼室から排気通路3へ排出される。
なお、内燃機関1の燃焼室に取り込まれる空気量は、吸気通路の途中に設けられるスロットル弁によって調量される。
本実施形態における排気浄化システムは、触媒4、空燃比センサ5、酸素センサ6、制御装置2等によって構成されている。
触媒4は、前記排気通路3の途中に取り付けられている。この触媒4は、いわゆる三元触媒であり、理論空燃比近傍での燃焼が行われる状態において、排気中のHCやCOを酸化するとともに同排気中のNOxを還元して排気を浄化する作用を有している。また、この触媒4は、これを通過する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには吸蔵した酸素を放出するといった酸素ストレージ作用を有している。
空燃比センサ5は、触媒4の排気上流側の排気通路3に設けられている。この空燃比センサ5は、周知の限界電流式酸素センサである。この限界電流式酸素センサは、濃淡電池式酸素センサの検出部に拡散律速層と呼ばれるセラミック層を備えることにより排気中の酸素濃度に応じた出力電流が得られるセンサであり、排気中の酸素濃度と密接な関係にある空燃比が理論空燃比である場合には、その出力電流は「0」になる。また、空燃比がリッチになるにつれて出力電流は負の方向に大きくなり、空燃比がリーンになるにつれて出力電流は正の方向に大きくなる。従って、この空燃比センサ5の出力から現在の空燃比のリーン度合いやリッチ度合いを検出することができる。
また、酸素センサ6は、触媒4の排気下流側の排気通路3に設けられている。この酸素センサ6は、周知の濃淡電池式の積層型酸素センサである。この濃淡電池式酸素センサの出力特性は、理論空燃比近傍でその出力電圧が大きく変化するようになっている。従って、この酸素センサ6の出力からは、現在の空燃比がリーンとなっているかリッチとなっているかを判定することができる。なお、この酸素センサ6は、触媒4での排気浄化作用の状態を監視するために、同触媒4の下流側に設けられている。従って、触媒4の上流側の空燃比が理論空燃比になっていても、同触媒4での還元作用が促進されており、排気中に酸素が放出されているときには、酸素センサ6の出力はリーンになる。また、触媒4での酸化作用が促進されており、排気中の酸素が消費されているときには、酸素センサ6の出力はリッチになる。
そして制御装置2は、上記内燃機関1の点火時期や燃料噴射量等の各種制御や後述する排気浄化システムの異常診断処理を実施する。
この制御装置2は中央処理制御装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータを中心として構成されている。すなわち、各種プログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、演算結果や予め記憶されたデータ等を機関停止後も保存するためバックアップRAM、入力インターフェース、出力インターフェース等を備えた構成となっている。また、この制御装置2には、水温センサや内燃機関1の出力軸近傍に設けられて機関回転速度やクランク角を検出するクランク角センサ等、内燃機関1の運転状態を計測する各種センサからの情報が入力される。特に、本実施形態に関連していえば、この制御装置2には前記空燃比センサ5や酸素センサ6の出力が入力され、この入力値に基づいて前記燃料噴射弁から噴射される燃料噴射量が補正されて、空燃比が目標空燃比TAFに制御される。なお、この目標空燃比TAFは触媒4の排気浄化作用を引き出すために、通常、理論空燃比が設定される。この空燃比フィードバック制御は従来、行われている制御であるため、詳細な説明は省略するが、概略は以下のとおりになっている。
本実施形態における空燃比フィードバック制御は、空燃比センサ5により検出される空燃比に基づいて基本燃料噴射量に対する補正量を算出する燃料噴射量補正処理、及び酸素センサ6により検出される空燃比に基づいて前記補正量を一定量ずつ修正する補正量修正処理(以下、サブフィードバック制御という)として実行される。
具体的にはまず、機関回転速度や負荷に応じた基本燃料噴射量が制御装置2により設定される。次に、空燃比センサ5の出力により、現在の空燃比のリーン度合い、或いはリッチ度合いが検出される。上述したように、この空燃比センサ5は理論空燃比にて出力電流が「0」となるセンサであるため、出力される電流値はそのままリーン度合い、或いはリッチ度合いを表している。そして燃料噴射量補正処理を通じて、この検出されるリーン度合い、或いはリッチ度合い応じて前記基本燃料噴射量の補正が行われる。従って、リーン度合いが大きいほど、基本燃料噴射量に対する増量補正量は大きくなる。また、リッチ度合いが大きいほど、基本燃料噴射量に対する減量補正量は大きくなる。一方、現在の空燃比は酸素センサ6によっても検出されており、この酸素センサ6の出力により、触媒4を通過した後の空燃比のリーン、或いはリッチが検出される。そして、前記サブフィードバック制御により、この検出結果がリーンであれば、前記補正量に対して一定量ずつ増量修正が行われ、検出結果がリッチであれば、一定量ずつ減量修正が行われる。
このようにして、サブフィードバック制御により修正された前記補正量が最終的な補正量となり、前記基本燃料噴射量にこの補正量が反映される。その結果、運転状態が変化するなどしても空燃比が理論空燃比に制御される。
このように本実施形態では、上記排気浄化システムを用いて排気の浄化を行うようにしている。ここで、上記触媒4に劣化等が生じてその酸素ストレージ作用が低下したり、酸素センサ6の検出部に素子割れ等が起きるなどして同酸素センサ6に異常が生じたりした場合、すなわち排気浄化システムに異常が生じた場合には、排気の浄化が十分に行われなくなる。そこで本実施形態では、触媒4の酸素吸蔵量Cと酸素センサ6の出力値の軌跡長intRとに基づいて排気浄化システムの異常の有無を診断するようにしている。
以下、図2〜図7を併せ参照して、本実施形態における排気浄化システムの異常診断態様を説明する。
まずはじめに、触媒4の酸素吸蔵量Cを推定する方法について図2を併せ参照して説明する。
図2は、空燃比をリーンからリッチに変更したり、リッチからリーンに変更したときの空燃比の変化を示しており、同図2に示す実線は、空燃比センサ5によって検出される空燃比の変化、すなわち触媒4の排気上流側の空燃比の変化を示している。また、同図2に示す一点鎖線は、酸素センサ6によって検出される空燃比の変化、すなわち触媒4の排気下流側の空燃比の変化であって、後述する応答遅れ時間内での変化態様を示している。
この図2に示されるように、触媒4の排気上流側の空燃比をリーンからリッチへ変更した(時刻t1)直後では、触媒4に吸蔵された酸素が放出された後に触媒4の排気下流側の空燃比はリッチとなる(時刻t2)。すなわち触媒4の酸素吸蔵量Cは、時刻t1から時刻t2の間の応答遅れ時間である酸素放出時間TRに応じたものとなる。
また、触媒4の排気上流側の空燃比をリッチからリーンへ変更した(時刻t3)直後では、触媒4が酸素を吸蔵してから触媒4の排気下流側の空燃比はリーンとなる(時刻t4)。すなわち触媒4の酸素吸蔵量Cは、時刻t2から時刻t4の間の応答遅れ時間である酸素吸蔵時間TLに応じたものになる。従ってこのような応答遅れ時間等に基づいて酸素吸蔵量Cを推定することができる。
また、触媒4の排気上流側の空燃比をリーンからリッチへ変更したときの酸素放出時間TR内において、酸素センサ6によって検出される空燃比と理論空燃比との差ΔAFRは、触媒4から放出される酸素の量に応じたものとなる。
同様に、触媒4の排気上流側の空燃比をリッチからリーンへ変更したときの酸素吸蔵時間TL内において、酸素センサ6によって検出される空燃比と理論空燃比との差ΔAFLは、触媒4に吸蔵される酸素の量に応じたものとなる。
従って、上記応答遅れ時間に加え、このような酸素センサ6によって検出される空燃比と理論空燃比との差を考慮することにより、酸素吸蔵量Cをより精度よく推定することができる。
そして、上述したように触媒4の酸素ストレージ作用は触媒4の劣化度合に応じて低下していくため、酸素吸蔵量Cの推定値が小さくなるほど触媒4は劣化している、すなわち同触媒4には異常が生じていると判断することができる。
図3は上述したような推定方法を用いて行われる酸素吸蔵量Cの算出処理について、その処理手順を示している。なお、この処理は適宜設定された条件が満たされたとき、例えば空燃比フィードバック制御が実行されているとき等に、制御装置2によって実行される。
本処理が開始されると、まず、上述したような目標空燃比TAFが切り替わった否か、具体的にはリーンからリッチに切り替わったか否かが判断される(ステップS110)。なお、この目標空燃比TAFの切り替えについては、本処理を実行するときに強制的に行ってもよく、また目標空燃比TAFが機関運転状態の変化に対応して切り替えられるときを検出するようにしてもよい。
そして、目標空燃比TAFが切り替わっていない旨判断されるときには(ステップS110:NO)、本処理は一旦終了される。一方、目標空燃比TAFが切り替わった旨判断されるときには(ステップS110:YES)、酸素放出時間TRの計測が開始される(ステップS120)。
次に、触媒4の排気下流側に設けられた酸素センサ6によって検出される空燃比であるリヤ空燃比RAFが目標空燃比TAFとなったか否かが判断される(ステップS130)。そして、リヤ空燃比RAFが目標空燃比TAFとなっていない旨判断されるときには(ステップS130:NO)、リヤ空燃比RAFが目標空燃比TAFとなるまで、酸素放出時間TRの計測が継続される。
一方、リヤ空燃比RAFが目標空燃比TAFとなっている旨判断されるときには(ステップS130:YES)、酸素放出時間TRの計測を終了する。そして、この計測が完了したときの酸素放出時間TR、同酸素放出時間TR内におけるリヤ空燃比RAFと理論空燃比との差ΔAFR、及び吸入空気量Gaに基づき、次式(1)を用いて触媒4から放出された酸素の量、すなわち触媒4に吸蔵されていた酸素の量である酸素吸蔵量Cが算出され(ステップS140)、本処理は一旦終了される。

酸素吸蔵量C=ΔAFR×Ga×TR …(1)

なお、酸素吸蔵量Cは上述したような差ΔAFLと酸素吸蔵時間TLとを用いて算出することもできる。また、他の算出態様を用いて酸素吸蔵量Cを算出するようにしてもよい。
次に、酸素センサ6の出力値の軌跡長intRを算出する方法について図4、図5を併せ参照して説明する。
図4は、空燃比センサ5によって検出される空燃比、すなわち触媒4の排気上流側の空燃比、及び酸素センサ6によって検出される空燃比、すなわち触媒4の排気下流側の空燃比について、触媒4に劣化が生じている場合と同劣化が生じていない場合とでの変化態様の違いを模式的に示している。
触媒4は通過する排気の空燃比がリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比がリッチのときには吸蔵した酸素を放出する酸素ストレージ作用を有している。そのため、図4に「触媒劣化なし」の状態での空燃比の変化態様を示すように、同触媒4に異常が無いときには、排気上流側の空燃比をリーンとリッチとの間で周期的に変動させている場合において、排気下流側の空燃比の変動周期は排気上流側の変動周期よりも緩やかになる。
一方、図4に「触媒劣化あり」の状態での空燃比の変化態様を示すように、同触媒4に異常があるときには上述したような酸素ストレージ作用が低下するため、排気上流側の空燃比をリーンとリッチとの間で周期的に変動させている場合において、排気下流側の空燃比の変動周期は排気上流側の変動周期に近づくようになる。
従って、このような排気下流側の空燃比の変動周期に基づいて触媒4の異常を判断することができる。
この空燃比の変動周期の変化態様は、酸素センサ6の出力値の軌跡長intRを求めることにより把握することができる。すなわち、空燃比の変動周期が短くなる(触媒に異常があるときの周期状態)ほど上記軌跡長intRは長くなるため、同軌跡長intRに基づいて空燃比の変動周期の変化を把握することができる。
図5は上述したような上記軌跡長intRの算出処理について、その処理手順を示している。なお、この処理は適宜設定された条件が満たされたとき、例えば空燃比フィードバック制御が実行されているとき等に、制御装置2によって実行される。
本処理が開始されると、まずカウンタcntがリセットされるとともに(ステップS210)、酸素センサ6の出力値の軌跡長intRもリセットされる(ステップS220)。
次に、カウンタcntがインクリメントされ(ステップS230)、以下の処理が実施される。
まず、前回の処理で読み込まれた酸素センサ6の出力値Vr0、今回の処理で読み込まれた酸素センサ6の出力値Vr、及び前回の処理で算出された軌跡長intRとに基づき、次式(2)から現在の軌跡長intRが算出される(ステップS240)。

現在の軌跡長intR=前回の軌跡長intR+|Vr−Vr0| …(2)

次に、カウンタcntが所定値Tを越えているか否かが判定される(ステップS250)。そして、カウンタcntが所定値T以下である場合には(ステップS250:NO)、前記ステップS230からS240までの処理が繰り返し実行される。これにより、カウンタcntが所定値Tに達するまでの期間における酸素センサ6の出力値の時間積分値が算出される。上記所定値Tは、上述したような空燃比の変動周期の変化を把握できるような十分な出力値の積分期間が確保されるように適切な値が設定されている。
そして、カウンタcntが所定値Tを越えた場合には(ステップS250:YES)、軌跡長intRの積分が終了されて、最終的な軌跡長intRが算出され、本処理は一旦終了される。
なお、酸素センサの出力値の軌跡長intRは、他の算出態様を用いて算出するようにしてもよい。
次に、本実施形態における排気浄化システムの異常診断処理について、図6を併せ参照して説明する。
この図6は上記異常診断の処理手順を示しており、制御装置25によって、例えば所定時間毎に繰り返し実行される。
本処理が開始されると、まず上述した処理を通じて算出された酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが読み込まれる(ステップS310)。
次に、読み込まれた酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、図7に示すような第1の領域に該当する値か否かが判定される(ステップS320)。この図7に示す第1〜第4の各領域は、触媒4の異常の有無(劣化の有無等)や酸素センサ6の異常の有無(素子割れの有無等)を診断するための領域であって、予めの実験等を通じて設定されており、これら診断領域は制御装置25のROM内に記憶されている。
上記第1の領域は次のような点を考慮して設定されている。
すなわち、上述したように、触媒4が劣化するほど触媒下流側の酸素センサ6の出力についてその軌跡長intRは長くなる。換言すれば、軌跡長intRが短い場合には触媒4に劣化が生じておらず、同触媒4に異常なしと診断することができる。また、触媒4の酸素吸蔵量Cが正常な値、すなわち劣化が生じていないときの酸素吸蔵量であれば、この場合にも触媒4に劣化が生じておらず、同触媒4に異常なしと診断することができる。そこでこの診断を行うことができる程度に軌跡長intRが短く、かつ酸素吸蔵量Cが正常である旨判定できる領域、換言すれば触媒4に異常なしと診断することのできる範囲内の軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cをもって設定された領域として、第1の領域は設定されている。
そして、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第1の領域に該当する値である旨判定される場合には(ステップS320:YES)、触媒4が正常であると判定され(ステップS330)、本処理は一旦終了される。
一方、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第1の領域に該当する値ではない旨判定される場合には(ステップS320:NO)、読み込まれた酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、先の図7に示すような第2の領域に該当する値か否かが判定される(ステップS340)。この第2の領域は次のような点を考慮して設定されている。
すなわち、上述したように、触媒4が劣化している場合には軌跡長intRが長くなる。また、酸素センサ6に異常が生じている場合にも軌跡長intRは長くなることがある。このように軌跡長intRが長くなる場合には、触媒4の異常や酸素センサ6の異常といった2つの原因が考えられる。このような場合にあって、酸素吸蔵量Cが少ない場合には、触媒4に異常が生じていると判断することができる。そこでこの診断を行うことができる程度に軌跡長intRが長く、かつ酸素吸蔵量Cが少ない旨判定できる領域、換言すれば触媒4に異常ありと診断することのできる範囲内の軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cをもって設定された領域として、第2の領域は設定されている。
そして、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第2の領域に該当する値である旨判定される場合には(ステップS340:YES)、触媒4が異常であると判定され(ステップS350)、本処理は一旦終了される。
一方、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第2の領域に該当する値ではない旨判定される場合には(ステップS340:NO)、読み込まれた酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、先の図7に示すような第3の領域に該当する値か否かが判定される(ステップS360)。この第3の領域は次のような点を考慮して設定されている。
すなわち、上述したように、触媒4が劣化している場合には軌跡長intRが長くなる。また、酸素センサ6に異常が生じている場合にも軌跡長intRは長くなることがある。このように軌跡長intRが長くなる場合には、触媒4の異常や酸素センサ6の異常といった2つの原因が考えられる。このような場合であって、酸素吸蔵量Cが正常な値である場合、すなわち劣化が生じていないときの酸素吸蔵量であれば、酸素センサ6に異常が生じていると判断することができる。そこでこの診断を行うことができる程度に軌跡長intRが長く、かつ酸素吸蔵量Cが正常である旨判定できる領域、換言すれば酸素センサ6に異常ありと診断することのできる範囲内の軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cをもって設定された領域として、第3の領域は設定されている。
そして、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第3の領域に該当する値である旨判定される場合には(ステップS360:YES)、酸素センサ6が異常であると判定され(ステップS370)、本処理は一旦終了される。
一方、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第3の領域に該当する値ではない旨判定される場合には(ステップS360:NO)、読み込まれた酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、先の図7に示すような第4の領域に該当する値か否かが判定される(ステップS380)。この第4の領域は次のような点を考慮して設定されている。
すなわち、上述したように、軌跡長intRが短い場合には触媒4に劣化が生じておらず、同触媒4に異常なしと診断することができる。ここで、酸素センサ6の出力値から求められる触媒4の酸素吸蔵量Cが、劣化していない状態における触媒4の最大酸素吸蔵量、すなわち限界酸素吸蔵量を超えているときには、酸素センサ6の異常によって酸素吸蔵量Cが正確に算出されていないと判断することができる。そこでこの診断を行うことができる程度に軌跡長intRが短く、かつ酸素吸蔵量Cが触媒4の限界酸素吸蔵量を超えている旨判定できる領域としてこの第4の領域は設定されている。換言すれば、酸素センサ6に異常ありと診断できる範囲内の軌跡長intR、及び劣化していない触媒4が吸蔵できる最大酸素吸蔵量(限界酸素吸蔵量)を超える酸素吸蔵量をもって設定された領域として、第4の領域は設定されている。
そして、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第4の領域に該当する値である旨判定される場合には(ステップS380:YES)、酸素センサ6が異常であると判定され(ステップS370)、本処理は一旦終了される。
一方、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRが、第4の領域に該当する値ではない旨判定される場合には(ステップS380:NO)、今回読み込まれた酸素吸蔵量C及び軌跡長intRでは排気浄化システムの異常の有無を精度よく診断することができないとして、同排気浄化システムの診断が保留され(ステップS390)、本処理は一旦終了される。
このように触媒4の酸素吸蔵量Cや酸素センサ6の出力値の軌跡長intRといった各値は触媒4の劣化状態を示す指標値となるため、これら酸素吸蔵量C及び軌跡長intRの整合性を考慮することにより、より精度よく触媒4の劣化状態を診断することができる。また、上記酸素吸蔵量Cや軌跡長intRは酸素センサ6の出力値から求められるため、これら酸素吸蔵量C及び軌跡長intRの整合性を考慮することにより、酸素センサ6の異常の有無(例えば検出部の素子割れ等)をより精度よく診断することができる。そこで本実施形態では、酸素吸蔵量C及び軌跡長intRといった2つの値を用いて上記排気浄化システムの異常の有無を診断するようにしている。従って排気浄化システムの異常の有無を診断するに際し、その診断結果に関する信頼性を確保することができるようになる。
ちなみに、上記酸素センサ6、すなわち積層型酸素センサでは、同検出部がコップ状に形成されたコップ型酸素センサと比較して、その検出部に素子割れ等の異常が生じている場合であっても、実際の空燃比の変化に類似した信号が出力されることがある。この場合には上述した従来の装置のように、酸素センサの出力の張り付きを監視することにより同酸素センサの異常を判定するといった異常診断方法を用いても、正確にその異常を判定することができないおそれがある。また、同様な理由により、酸素センサに素子割れ等の異常が生じている場合において、目標空燃比を一時的に理論空燃比よりもリッチ側に変更した場合には、酸素センサの出力がこの変更に類似した出力を示すことがあり、上述したような従来の態様では酸素センサの異常を正確に判定することができないおそれもある。
一方、本実施形態では上述したような態様、すなわち酸素吸蔵量C及び軌跡長intRとの整合性に基づく排気浄化システムの異常診断を行うようにしているため、上記積層型酸素センサの素子割れ異常の有無も精度よく診断される。
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)触媒4と同触媒4の排気下流側に設けられる酸素センサ6とを備える排気浄化システムについて、触媒4の酸素吸蔵量C及び酸素センサ6の出力値の軌跡長intRに基づいてその異常の有無を診断するようにしている。そのため、同排気浄化システムの異常の有無を診断するに際し、その診断結果に関する信頼性を好適に確保することができるようになる。
(2)軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cが予め設定された上記第1の領域に含まれ、これにより軌跡長intRが短く、かつ酸素吸蔵量Cが正常である旨判定される場合には、触媒4に異常なしとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する触媒4に異常がないことを確実に診断することができるようになる。
(3)軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cが予め設定された上記第2の領域に含まれ、これにより軌跡長intRが長く、かつ酸素吸蔵量Cが少ない旨判定される場合には、触媒4に異常ありとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する触媒に異常があることを確実に診断することができるようになる。
(4)軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cが予め設定された上記第3の領域に含まれ、これにより軌跡長intRが長く、かつ酸素吸蔵量Cが正常である旨判定される場合には、酸素センサ6に異常ありとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する酸素センサ6に異常があることを確実に診断することができるようになる。
(5)軌跡長intR及び酸素吸蔵量Cが予め設定された上記第4の領域に含まれ、これにより軌跡長intRが短く、かつ酸素吸蔵量Cが触媒4の限界酸素吸蔵量を超えている旨判定される場合には、酸素センサ6に異常ありとの診断をするようにしている。そのため、排気浄化システムを構成する酸素センサ6に異常があることを確実に診断することができるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・先の図7に示した第1〜第4の各領域は、上述したような条件を満たす領域であれば、それぞれ適宜変更することができる。
・上記第1〜第4の各領域のうち、少なくともいずれか1つの領域を設定するようにしてもよい。この場合でも設定された診断領域に該当する診断結果を得ることができる。例えば第1の領域のみを設定する場合には、少なくとも触媒4に異常がないことを確実に診断することができる。また、第2及び第3の領域を設定する場合には、触媒4に異常がないことや酸素センサ6に異常があることを確実に診断することができるようになる。
・上述した空燃比センサ5及び酸素センサ6は、排気の酸素濃度、ひいては混合気の空燃比を検出することのできるセンサであればよい。従って空燃比センサ5を空燃比のリッチあるいはリーンのみを検出することのできる酸素センサに変更することもできる。また、酸素センサ6を空燃比の度合(リッチ度合やリーン度合)に応じた出力がリニアに得られる空燃比センサに変更することもできる。
・本発明は、酸素ストレージ作用を有する触媒を備える排気浄化システムであれば同様に適用することができる。
本発明にかかる排気浄化システムの異常診断方法の一実施形態について、これが実施される内燃機関及びその周辺構成を示す概略図。 酸素吸蔵量Cの推定方法についての説明図。 同実施形態における酸素吸蔵量の算出処理についてその手順を示すフローチャート。 触媒下流側の空燃比について、触媒に劣化が生じている場合とこれが生じていない場合とでの変化態様の違いを示す説明図。 同実施形態における軌跡長の算出処理についてその手順を示すフローチャート。 同実施形態における異常診断処理についてその手順を示すフローチャート。 異常診断処理に際して用いられる診断領域の設定態様を示す概念図。
符号の説明
1…内燃機関、2…制御装置、3…排気通路、4…触媒、5…空燃比センサ、6…酸素センサ、25…制御装置。

Claims (5)

  1. 内燃機関の排気通路に設けられる排気浄化用の触媒と、同触媒の下流側に設けられる酸素センサとを備える排気浄化システムの異常の有無を診断する方法であって、
    前記酸素センサの出力値から求められる前記触媒の酸素吸蔵量と前記酸素センサの出力値の軌跡長とをそれぞれ求め、これら酸素吸蔵量及び軌跡長に基づいて前記異常の有無を診断する
    ことを特徴とする排気浄化システムの異常診断方法。
  2. 前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第1の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が短く、かつ前記酸素吸蔵量が正常である旨判定される場合には、前記触媒に異常なしとの診断をする
    請求項1に記載の排気浄化システムの異常診断方法。
  3. 前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第2の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が長く、かつ前記酸素吸蔵量が少ない旨判定される場合には、前記触媒に異常ありとの診断をする
    請求項1または2に記載の排気浄化システムの異常診断方法。
  4. 前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第3の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が長く、かつ前記酸素吸蔵量が正常である旨判定される場合には、前記酸素センサに異常ありとの診断をする
    請求項1〜3のいずれかに記載の排気浄化システムの異常診断方法。
  5. 前記軌跡長及び前記酸素吸蔵量が予め設定された第4の領域に含まれ、これにより前記軌跡長が短く、かつ前記酸素吸蔵量が前記触媒の限界酸素吸蔵量を超えている旨判定される場合には、前記酸素センサに異常ありとの診断をする
    請求項1〜4のいずれかに記載の排気浄化システムの異常診断方法。
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