以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るカラーフィルタを示す断面図である。図1において、透明基板、例えばガラス基板1上の非画素部に相当する位置に、遮光性素材からなる隔壁ブラックマトリックス2が設けられている。
画素部に相当する、隔壁ブラックマトリックス2の各々の開口部内に、いずれも光透過性である赤色画素パターン3(R)、緑色画素パターン3(G)、および青色画素パターン3(B)の各着色画素パターンが配列して構成されたカラーフィルタ層が積層されている。
また、開口部内のカラーフィルタ層上には、各画素パターンごとに、例えば、重合性液晶組成物の硬化物からなる位相差制御領域5(R)、5(G)、5(B)から構成される位相差制御層が積層され、これらによりカラーフィルタが構成されている。
本明細書において、重合性液晶組成物とは、液晶状態が室温において固定化されたものを指し、例えば、分子構造中に重合性基を有する液晶性モノマーを架橋させて、架橋前の光学的異方性を保持したまま硬化させたもの、またはガラス転移温度を有し、ガラス転移温度以上に加熱すると液晶相を示し、その後、ガラス転移温度以下に冷却することにより、液晶組織を凍結することができる高分子型液晶を指す。
なお、また、R、G、およびBの各文字は、順に、赤色、緑色、および青色を表すものとする。
前記着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)はそれぞれ、図2に示すように、各パターンを通過する赤色、緑色及び青色の各色の光ごとに異なるリタデーションを有し
ている。
本発明のリタデーションは、特に断りがないかぎり、着色画素パターン、あるいは位相差制御層の厚み方向、すなわち、基板の垂直方向に対しする特性値を示す。
このリタデーションは、それを構成する材料や厚み、処理方法により種々の値を示すが、本発明者らは、赤色画素パターン3(R)と青色画素パターン3(B)が正のリタデーションを有し、緑色画素パターン3(G)が負のリタデーションを有することを見出した。
具体的には、青色画素パターン3(B)の厚み方向のリタデーションは0.1nm〜100nmであり、緑色画素パターン3(G)の厚み方向のリタデーションは−100nm〜−0.1nmであり、赤色画素パターン3(R)の厚み方向のリタデーションは0.1nm〜100nmである。
これらの着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)のリタデーションを補償するためには、それぞれの位相差制御層に関する位相差制御領域のリタデーションは、着色画素パターンのリタデーションと符号が逆で絶対値が略同一であることが好ましいので、位相差制御領域5(B)のリタデーションは−100nm〜−0.1nmであり、位相差制御領域1(G)のリタデーションは0.1nm〜100nmであり、位相差制御領域5(R)のリタデーションは−100nm〜−0.1nmであることが好ましい。
前記位相差制御層に関する位相差制御領域5(R)、5(G)、5(B)を構成する材料は、液晶材料が好ましく、具体的には、各層を通過する光の波長域に応じたリタデーションを持つよう、ネマチック液晶材料、コレステリック液晶材料又はホメオトロピック配向した重合性の液晶材料を適宜選択することが好ましい。
即ち、前記位相差制御領域5(R)、5(G)、5(B)を構成する材料は、ある入射角度で入射した光に対して位相差を与える機能を有するものであればよく、上述したネマチック液晶に限らず、カイラルネマチック液晶(ネマチック液晶中にカイラル剤を添加したもの)等の任意の液晶材料を用いることができる。
なお、ネマチック液晶は、重合可能な基を有することが好ましい。
また、カイラル剤も重合可能な基を有することが好ましい。カイラルネマチック液晶については、ネマチック液晶を、単独、又は必要に応じて2つ以上混合して用いることが好ましい。
また、第2の実施形態は、図3に示すように、更に、開口部内のカラーフィルタ層上には、配向処理された配向膜4が積層され、隔壁ブラックマトリックス2の開口部内の前記配向膜4上には、各画素パターンごとに、例えば、重合性液晶の硬化物からなる位相差制御領域5(R)、5(G)、5(B)から構成される位相差制御層が積層され、これらによりカラーフィルタが構成されている。
ここで、前記配向膜4は、液晶組成物の配向規制力を付与するために設けるもので、使用する液晶組成物の特性、着色画素のリタデーションや表面状態などに応じて設ければよい。特に、前記配向膜4を設けずに、着色画素のリタデーションの補正が可能であれば、設けなくともよい。
次に、図4を参照して、図1に示す位相差制御層付きカラーフィルタおよびその製造方
法について説明する。
まず、図4(a)に示すように、透明基板1上にコントラスト向上のためのブラックマトリックス2を設ける。
透明基板1には、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等、公知の透明基板材料を使用できる。中でもガラス基板は、透明性、強度、耐熱性、耐候性において優れている。
ブラックマトリックス2は、公知の方法を用いて形成することができる。
例えば、金属あるいは金属酸化物の薄膜をスパッタ等の方法により基板上に形成し、それをエッチングなどの手法によりパターニングを施し、形成する方法;感光性樹脂組成物中に顔料あるいは染料などの着色剤を混在させ、これを基板上に感光性樹脂組成物層として形成し、フォトリソグラフィー法により形成する方法;黒色顔料、熱硬化性樹脂を溶媒に溶かし、印刷法により形成する方法などが挙げられる。
また、ブラックマトリックス2は、カラーインクが隣接画素のカラーインクに侵入することで発生する混色を防止するため、撥インク剤を含むことが望ましい。
撥インク剤としては、シリコーン系、フッ素系材料を一例として挙げることができる。具体的には、主鎖または側鎖に有機シリコーンやアルキルフルオロ基を有し、シロキサン成分を含むシリコーン樹脂やシリコーンゴム、この他にはフッ化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン等や、これらの共重合体等のフッ素樹脂などを用いることができる。
また、撥インキ剤は、加熱工程中にブリードアウトし、透明基板上に撥インク剤が付着し、カラーインクの充填時に色抜け等が発生する場合があるが、これを防止するため、撥インキ剤としてはフッ素含有化合物を用いることが好ましい。また、ブリードアウトを防止するため、低分子化合物よりオリゴマー化合物を用いることが好ましい。
次いで、図4(b)に示すように、ブラックマトリックス2の開口部内に、赤(R)、緑(G)、青(B)の着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)を形成する。
なお、液晶ディスプレイの場合には、更に透明導電層及び配向膜層を順次積層し、例えば、薄膜トランジスタのような電極を形成した対向基板と対置させ、液晶層を介してLCDを構成する。
以下では、透明基板1、ブラックマトリックス2、及び赤、緑、青の着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)を合わせてカラーフィルタ基板とする。
通常、赤色画素パターン3(R)、緑色画素パターン3(G)、および青色画素パターン3(B)の3原色からなる画素パターンが、ブラックマトリックス2の開口部内に所望の形状に配置される。
本実施形態では、フォトリソグラフィー法により画素パターン、および位相差制御層を形成することについて説明する。
フォトリソグラフィー法による画素パターン形成の工程は、基材上に着色樹脂組成物層を形成する工程、露光工程、不要部となる未露光部分を除去する現像工程からなる。
着色樹脂組成物層を設ける方法としては、バーコーター、アプリケーター、ワイヤーバー、スピンコーター、ロールコーター、スリットコーター、カーテンコーター、ダイコーターやコンマコーターなどの公知の方法が挙げられる。
露光方式としては、例えば、超高圧水銀灯や半導体レーザーを光源とした紫外線により、遮光部を形成したフォトマスクを用いた、プロキシミティ方式、あるいは、凸および凹面鏡を使用した光学系を用いたミラープロジェクション方式、投影レンズを配し照射面を分割する分割露光方式などが挙げられる。
現像液としては、有機溶剤系またはアルカリ水溶液系が一般的に用いられるが、環境安全性の確保の観点から、無機アルカリ系が好ましい。
着色樹脂組成物の着色剤としては、顔料、染料等を使用することができる。
本発明では、耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。着色剤として、具体的には、Pigment Red9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、208、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、Pigment Blue 15、15:6、16、22、29、60、64、Pigment Green7、36、Pigment Yellow 20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、168、185、 Pigment Orange36、 Pigment Violet23、等を使用することができる。さらに所望の色相を得るために2種類以上の材料を混合して用いることができる。
着色樹脂組成物に用いられる熱硬化性樹脂は、着色剤との関係で公知のカラーフィルタ基板の製造に用いる材料から適宜選択される。
具体的には、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルアセタール、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂などを用いることができる。特に、耐熱性や耐光性を要求されるカラーフィルタを製造する場合には、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
着色樹脂組成物に用いられる溶媒は、具体的には、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル等を挙げることができる。
また、この他にも、溶媒の沸点をより高めるために、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を用いることが可能である。また、必要に応じて2種類以上の溶媒を前記条件に合うように混合し、調製したものを用いることができる。
着色樹脂組成物の分散剤は、樹脂への着色剤の分散を向上させるために用いる。
分散剤として、イオン性または非イオン性界面活性剤などを用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどが挙げられる。分散剤は一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を混合して用いることも可能である。
次いで、フォトリソグラフィー法にて、カラーフィルタ層上に、各画素パターンごとに、異なる重合性液晶組成物の層を形成する。なお、用いる銃合成液晶組成物は、各画素パターンを通過する光の波長域に応じたリタデーションを持つよう、ネマチック液晶材料、コレステリック液晶材料又はホメオトロピック配向した重合性の液晶材料を適宜選択する。
フォトリソグラフィー法による重合性液晶組成物の位相差制御層の形成は、基材上に液晶組成物を塗布する工程、パターン露光を行う工程、及び不要部となる未露光部分を除去する現像工程からなる。
液晶組成物を塗布する方法としては、バーコーター、アプリケーター、ワイヤーバー、スピンコーター、ロールコーター、スリットコーター、カーテンコーター、ダイコーターやコンマコーターなどの公知の方法が挙げられる。
露光方式としては、例えば、超高圧水銀灯や半導体レーザーを光源とした紫外線により、遮光部を形成したフォトマスクを用いた、プロキシミティ方式、あるいは、凸および凹面鏡を使用した光学系を用いたミラープロジェクション方式、投影レンズを配し、照射面を分割する分割露光方式などが挙げられる。
これらの露光方式により液晶組成物を塗布した基板に所定の照射量の紫外線をパターン照射して、液晶組成物の塗布膜の一部を3次元架橋して硬化させる。液晶組成物中には光重合開始剤を添加しておくことが好ましい。
なお、紫外線の照射量は、光重合開始剤の有無や添加量、又は放射線の種類や照度に応じて変わるが、例えば1mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲程度であることが好ましい。
また、紫外線を照射する雰囲気は、窒素雰囲気等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。これにより、酸素の影響を受けずに硬化させ、位相差制御層3の光学特性を安定させることができる。
さらに、紫外線を照射する雰囲気の温度は室温よりも高い温度で均一に制御することが好ましい。これにより、紫外線の照射時の液晶材料の重合を促進させ、液晶層の光学特性をさらに安定化させることができる。
ここで、「3次元架橋」とは、重合型のモノマー、オリゴマー又はポリマー等を互いに3次元的に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態とすることを意味する。このような状態にすることによって、液晶塗布膜の一部を光学的に固定するとともに、常温で安定した不溶性の膜とすることができる。
現像工程は、液晶塗布膜の露光工程により不溶化した以外の部分を現像液にて溶解して洗い流す工程である。不溶な部分を現像液で溶解し洗い流すことにより、パターニングされた液晶位相差層を得ることができる。現像液としては、有機溶剤系またはアルカリ水溶
液系が一般的に用いられるが、環境安全性の確保の観点から、無機アルカリ系が好ましい。
最後に、液晶層を所定の温度に焼成して再硬化させ、液晶層の光学特性を安定化させる。なおこのとき、当該液晶層を高温で加熱して熱硬化させることも可能であるが、好ましくは100℃〜150℃であることが望ましい。この場合に、液晶層の光学特性をさらに安定化させることが可能である。
これにより、最終的に、図4(c)に示すように、画素の各色の表示領域に対応するリタデーションを有する位相差領域5(R)、5(G)、5(B)から構成される位相差制御層が形成され、位相差層制御層付きのカラーフィルタが完成する。
なお、上述したように、画素ごとに異なる液晶組成物としては、位相差制御層に関する位相差制御領域5(R)には、リタデーションが−100nm〜−0.1nmとなるような液晶組成物を、位相差制御領域5(G)にはリタデーションが0.1nm〜100nmとなるような液晶組成物を、位相差制御領域5(B)にはリタデーションが−100nm〜−0.1nmとなるような液晶組成物を選択する。
以上のように、第1の実施形態によれば、位相差制御層に関する位相差制御領域5(R)、5(G)、5(B)が、光の波長域に応じたリタデーションを持つように調整されているので、画素の各色の表示領域を通過する光の偏光状態にばらつきが生じることがない。
更に言うと、斜め方向からの視野角補償を施された黒表示となるため、斜め方向から見た場合、カラーシフトを低減し、かつニュートラルな黒色が再現でき、非常に優れた表示特性を呈することができる。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るカラーフィルタを示す断面図である。
図5において、透明基板1上の非画素部に相当する位置に、遮光性素材からなるブラックマトリックス2が設けられ、画素部に相当する、ブラックマトリックス2の各々の開口部内に、いずれも光透過性である赤色画素パターン3(R)、緑色画素パターン3(G)、および青色画素パターン3(B)の各着色画素パターンが配列して構成されたカラーフィルタ層が積層され、開口部内のカラーフィルタ層上には、位相差制御層が積層されていることは、図1に示す実施形態に係るカラーフィルタと同様である。
本実施形態に係るカラーフィルタでは、カラーフィルタ層上に、いずれの画素についても同一の重合性液晶組成物を積層し、各層を通過する光の波長域に応じたリタデーションを有するように膜厚の異なる位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)を形成していることである。
この場合、位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)の厚み方向のリタデーションと、各着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)の厚み方向のリタデーションとの合計が、各画素パターンごとに互いに等しくなるような値であることが好ましい。その具体的な値は、各着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)の厚み方向のリタデーションの値に応じて異なる。
例えば、青色画素パターン3(B)の厚み方向のリタデーションが5nm、緑色画素パターン3(G)の厚み方向のリタデーションが−40nm、赤色画素パターン3(R)の厚み方向のリタデーションが10nmであった場合は、例えば、位相差制御領域15(B
)のリタデーションを15nm、位相差制御領域15(G)のリタデーションを60nm、位相差制御領域15(R)のリタデーションを10nmとすれば、各着色画素パターン5(R)、1(G)、5(B)の厚み方向のリタデーションと各位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)の厚み方向のリタデーションとの合計は20nmとなり互いに等しくなる。
各位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)のリタデーションは、厚み方向の屈折率異方性Δnと膜厚dとの積で表される。同一の重合性液晶組成物であればΔnは一定であるため、位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)のリタデーションは、その膜厚によって制御できる。
位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)の厚み方向のリタデーションと、各着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)の厚み方向のリタデーションとの合計値は、各画素パターンごとに互いに等しければ特に制限はないが、最終的な液晶ディスプレイの特性を著しく損なわないためには、絶対値が0に近いほど好ましい。
したがって、前述の例についても、例えば、位相差制御領域15(B)のリタデーションを5nm、位相差制御領域15(G)のリタデーションを50nm、位相差制御領域15(R)のリタデーションを0nmとすれば、それぞれの位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)の厚み方向のリタデーションと各着色画素パターンの厚み方向のリタデーションとの合計は10nmで互いに等しくなるため、より好ましい。
この際、位相差制御領域15(R)のリタデーションは0nmであるため、位相差制御領域15(R)の膜厚は0、すなわち位相差制御領域15(R)を設けないことを意味することとなる。
このように、各着色画素パターンの厚み方向のリタデーションの値に応じて、各位相差制御領域の厚み方向のリタデーションとの合計が、各画素パターンごとに互いに等しくなるように各位相差制御領域の膜厚を制御することで、最適なリタデーションの補正を行うことが可能となる。
以上説明した図5に示す第3の実施形態に係るカラーフィルタは、上述した図4に示す製造工程と同様にして製造することができる。
ただし、カラーフィルタ層上への各位相差制御領域のフォトリソグラフィー法による形成は、各画素パターンごとに厚さの異なる同一の液晶組成物の成膜、露光、現像を繰り返し、必要なリタデーションに応じた膜厚の液晶層からなる位相差制御領域が形成されるように行う必要がある。当然、位相差制御領域を必要としない画素パターンの部分には、液晶組成物の塗布を行わないこととなる。
第4の実施形態は、図6に示すように図5に示す、カラーフィルタ層上に、さらに、着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)上に、配向膜4を積層し、さらに、この配向膜4上に、図1と同様の位相差制御層を形成したカラーフィルタである。
ここで、配向膜4を構成する材料としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等が通常使用され、本発明においてはスピンコーティングにより塗布し、乾燥・焼成して形成される。このような配向膜4にラビング処理を施すことにより液晶に対する配向能が付与され、コントラストが向上する。
なお、ラビング処理としては、レーヨン、綿、ポリアミド等の素材から選ばれるラビン
グ布を金属ロールに捲き付け、これがカラーフィルタ基板上に形成された配向膜4に接した状態で回転させるか、ロールを固定したまま配向膜4付きのカラーフィルタ基板1を搬送することより、配向膜4をラビング布で摩擦する方法が通常採用される。
前記実施形態は、カラーフィルタ、および位相差制御層の形成手段として、フォトリソ法を挙げたが、インクジェット法、または印刷法のいずれの形成手段を用いてもよい。
また、カラーフィルタ層と位相差制御層の形成を同一の形成手段を用いて行うたけでなく、それぞれ異なる形成手段を用いて製造してもよい。
次に、カラーフィルタ層、または位相差制御層をインクジェット法で製造する場合は、インクジェット装置によりカラーインク、または重合性液晶組成物をパターン状に形成し、その後、後述する加熱工程を経て着色画素パターンからなるカラーフィルタ層、または位相差制御層を形成する。
インクジェット法に用いる装置としては、吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式があるが、ピエゾ変換方式の装置を用いることが望ましい。
また、インクジェット装置における吐出物の粒子化周波数は、5〜100KHz程度が望ましい。また、インクジェット装置におけるノズル径は5〜80μm程度が望ましい。
また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いるのが好ましい。
ここで、カラーインクの着色剤としては、顔料、染料等を使用することができる。
具体的には、前述のフォトリソグラフィー法で用いた耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。
カラーインクに用いられる熱硬化性樹脂は、色素との関係で公知のカラーフィルタ基板の製造に用いられる材料から適宜選択される。
具体的には、前述のフォトリソグラフィー法で用いた熱硬化性樹脂を用いることができる。特に、耐熱性や耐光性を要求されるカラーフィルタを製造する場合には、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
カラーインクに用いられる溶媒は、インクジェット装置の印刷適性により選択され、特に表面張力範囲が35mN/m未満で、且つ、沸点が130℃以上の材料を用いることが好ましい。
表面張力が35mN/m以上であると、インクジェット吐出時のドット形状の安定性に悪影響を及ぼす。また、沸点が130℃未満であると、ノズル近傍での乾燥性が高くなる。その結果、ノズル詰まり等の不良発生を招く恐れがあるので好ましくない。
また、溶媒は、カラーインクの熱硬化性樹脂の熱硬化温度により適宜選択される。
熱硬化性樹脂の熱硬化温度と比べ、著しく低い沸点を有する溶媒を用いると、前述したように、着色層が凹形状となる懸念が生ずる。これらの条件を満たす溶媒として、具体的には、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチ
ルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル等を挙げることができる。
また、この他にも、溶媒の沸点をより高めるために、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルエーテル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアセテート、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル等を用いることが可能である。
また、必要に応じて2種類以上の溶媒を前記条件に合うように混合し、調製したものを用いることができる。
カラーインクの分散剤は、樹脂への色素の分散を向上させるために用いる。分散剤として、イオン性または非イオン性界面活性剤などを用いることができる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどが挙げられる。分散剤は一種類を単独で使用してもよく、また、二種類以上を混合して用いることも可能である。
次いで、カラーフィルタ層、または配向膜4上にインクジェット法にて、各画素パターンごとに、異なる重合性液晶組成物からなる位相差制御層を積層する。
液晶組成物は、各層を通過する光の波長域に応じたリタデーションを持つよう、ネマチック液晶材料、コレステリック液晶材料又はホメオトロピック配向した重合性の液晶材料を適宜選択する。
次に、カラーフィルタ層、または配向膜4上にインクジェット法にて積層された液晶層に、所定の照射量の紫外線を照射して、液晶組成物を3次元架橋させ、硬化させる。なお、液晶層に照射される紫外線が液晶を硬化させる場合、液晶材料中に光重合開始剤を添加しておくことが好ましい。
紫外線の照射量は、光重合開始剤の有無や添加量、又は放射線の種類や照度に応じて変わるが、例えば1mJ/cm2〜10000mJ/cm2の範囲程度であることが好ましい。
また、紫外線を照射する雰囲気は、窒素等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。このような雰囲気で紫外線を照射することにより、酸素の影響を受けずに液晶組成物を硬化させることができ、液晶層の光学特性を安定させることができる。
さらに、紫外線を照射する雰囲気の温度は、室温よりも高い温度で均一に制御することが好ましい。これにより、紫外線の照射時の液晶材料の重合を促進させ、液晶層の光学特性を安定化させることがきる。
次に、印刷法により、カラーフィルタ層、または位相差制御層の形成について説明する
。この場合は、印刷装置により塗工材料をパターン状に形成し、その後、後述する加熱
工程を経て着色画素パターン、または位相差制御層を形成する。
印刷法によるパターニング方法としては、凸版あるいは凹版を使用した印刷法など、種々の方法を選択することができるが、本発明においては、特開平11−58921号公報や特開2000−289320号公報に示される公知の印刷手法を用いることが好ましい。
具体的には、塗工材料を、例えば、シリコンブランケット上に均一な厚みに塗工し、凸版あるいは凹版を押し付けて非画線部を除去した後に、シリコンブランケット上に形成された画線部を基板上に転写してパターン形成する。
上述の形成手段は、適正な溶剤成分を含有することで、シリコンブランケット上にパターン形成しやすい塗工皮膜を形成することができる。さらに、塗工材料中に、印刷性の向上を目的として、例えば粒径が10〜100nmのフィラー成分を、固形分中に5〜50重量%含有させてもよい。
ここで、カラーインクの着色剤としては、顔料、染料等を使用することができる。
具体的には、前述のフォトリソグラフィー法で用いた耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。
塗工材料に用いられる熱硬化性樹脂は、着色剤との関係で公知のカラーフィルタ基板の製造に用いられる材料から適宜選択される。
具体的には、前述のフォトリソグラフィー法で用いた熱硬化性樹脂を用いることができる。特に、耐熱性や耐光性を要求されるカラーフィルタを製造する場合には、アクリル樹脂を用いることが好ましい。
本発明の塗工材料中の溶剤成分は、上記各種成分を均一に溶解あるいは分散させて、塗工材料を安定に維持するための役割と共に、塗工材料の粘度、ぬれ性、乾燥性を制御することで、シリコンブランケットへの均一な塗工性を付与し、またシリコンブランケット上での溶剤成分の揮発、およびシリコンブランケット中への溶剤の浸透により、塗布膜の転写性を発現・コントロールするために重要な役割を担っている。
具体的にこれらの条件を満たす溶媒として、溶解性、揮発性を良くするために、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルなどの低沸点のエステル系溶剤、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤が、また、分散性、塗工性を良くするために、乳酸エチル、プロピレングリコールアセテートなどの高沸点のエステル系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤系が、レベリング性を良くするためにプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤が好ましく用いられる。必要に応じて2種類以上の溶媒を前記条件に合うように混合し、調製したものを用いることができる。
また、本発明の塗工材料の粘度は、均一な塗工性と乾燥性から、1〜10mPa・sの範囲に調整することが好ましい。
本発明において、着色剤を含む塗工材料は、必要に応じてレベリング剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、酸化防止剤などの添加剤を本発明の目的の範囲内で加えて調製することができる。
次に、位相差制御層を印刷方法により形成することについて説明する。
具体的には、重合性液晶組成物を含む塗工材料をシリコンブランケット上に均一な厚み
に塗工し、凸版あるいは凹版を押し付けて非画線部を除去した後に、シリコンブランケット上に形成された画線部を基板上に転写してパターン形成する。
塗工材料が適正な溶剤成分を含有することで、パターン形成しやすい塗工皮膜を形成することができる。さらに、塗工材料中に、印刷性の向上を目的として、例えば粒径が10〜100nmのフィラー成分を、固形分中に5〜50重量%含有させてもよい。
本発明において、重合性液晶組成物を含む塗工材料中の溶剤成分は、上記各種成分を均一に溶解あるいは分散させて、塗工材料を安定に維持するための役割と共に、塗工材料の粘度、ぬれ性、乾燥性を制御することで、シリコンブランケットへの均一な塗工性を付与し、またシリコンブランケット上での溶剤成分の揮発、およびシリコンブランケット中への溶剤の浸透により、塗布膜の転写性を発現・コントロールするために重要な役割を担っている。
液晶層を所定の温度に焼成して再硬化させ、液晶層の光学特性を安定化させる。なおこのとき、当該液晶層を高温で加熱して熱硬化させることも可能であるが、好ましくは100℃〜150℃であることが望ましい。この場合に、液晶層の光学特性をさらに安定化させることが可能である。
これにより、最終的に、画素の各色の表示領域に対応するリタデーションを有する液晶位相差領域からなる位相差制御層が形成され、液晶位相差層付きのカラーフィルタが完成する。
以下、以上説明した実施形態についての、より具体的な実施例を示すが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。また、本発明で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行った。
実施例1
<位相差制御層の形成>
重合性基を有するネマチック液晶100重量部と、光開始剤5重量部をトルエン420部に溶解させ、液晶組成物(A)を調製した。この液晶組成物(A)にカイラル剤9重量部を混合し、液晶組成物(B)とした。液晶組成物(A)におけるネマチック液晶を、より複屈折率の大きいネマチック液晶に置き換えて、同様の混合比にて液晶組成物(C)を調製した。
まず、ガラス基板上にポリイミドをスピンコートにより成膜し、230℃で1時間の焼成工程を行い、その後、ラビング布により一定方向にラビング処理を施し、配向膜を形成した。
次に、上記配向処理を行った基板上に、液晶組成物(B)をスピンコートにより塗布し、液晶層を形成した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、液晶層に露光を行った。なお、露光工程は、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。
更に、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程により、位相差制御層を形成した。この位相差制御層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、40nmであった。
また、上で用いたポリイミドを垂直配向用に変更して、同様にしてガラス基板上に垂直配向膜を形成した。なお、このときはラビング処理を行っていない。
次に、上記垂直配向膜を形成した2つのガラス基板上に、液晶組成物(A)及び液晶組成物(C)をそれぞれ印刷法により塗布して、液晶層を形成した。60℃で1分加熱した後の膜厚は、それぞれ0.7μmであった。次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、それぞれ、1000mJ/cm2の照射量にて液晶層に露光を行った。なお、この露光工程においては、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。
更に、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程により、位相差制御層を形成した。
上記位相差層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、液晶組成物(A)により位相差層を形成した基板においては−5nm、液晶組成物(C)により位相差制御層を形成した基板においては−20nmであった。
<カラーフィルタの作製>
(ブラックマトリックスの作製)
ガラス基板上にクロムの薄膜からなるブラックマトリックスを形成した。
(着色樹脂素子物の調製)
カラーフィルタ作製に用いる着色材料を着色する着色剤には以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I. Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)およびC.I. Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I. Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)、およびC.I. Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
青色用顔料:C.I. Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)C.I. Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
以上のそれぞれの顔料を用いて、赤色、緑色、及び青色の着色樹脂組成物を調製した。(カラーフィルタ基板の作製)
前記ガラス基板1上のブラックマトリックス2の開口部に、前記R,G,B各色の着色樹脂組成物を使用し、顔料分散法(フォトリソ法)により、赤色(R),緑色(G),青色(B)の各々の隔壁に囲まれた間隙に着色画素パターンを各々形成した。その後、ホットプレートにて23(B)を形成し、カラーフィルタ基板を得た。
これら着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)の厚み方向のリタデーションを測定したところ、それぞれ20nm、−45nm、4nmであった。
<位相差制御されたカラーフィルタの作製>
上記において作製したカラーフィルタ基板の着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)上に、ポリイミドをスピンコートにより成膜し、230℃で1時間の焼成を行い、その後、ラビング布により一定方向にラビング処理を施し、図3(c)に示すように、配向膜4を着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)上に形成した。
上記配向処理を行った後、スピンコートにより前記液晶組成物(B)の層を形成した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、塗布された液晶層に露光を行った。なお、このとき、着色画素パターン3(G)上のみに露光が施せるよう、マスクを用いたプロキシミティ露光を行った。
次いで、基板をアセトン中に浸漬して未露光部の除去を行い、着色画素パターン3(G)上のみに液晶位相差領域5(G)を形成した。また、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施した。
次に、ポリイミドを垂直配向用に変更してスピンコートにより成膜し、230℃で1時間の焼成工程を行い、垂直配向膜を形成した。
次に、スピンコートにより、前記液晶組成物(A)の層を形成した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。
次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、塗布された液晶層に露光を行った。なお、このとき、着色画素パターン3(B)上のみに露光が施せるよう、マスクを用いたプロキシミティ露光を行った。
更に、基板をアセトン中に浸漬して未露光部の除去を行い、着色画素パターン3(B)上のみに液晶位相差領域5(B)を形成した。また、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施した。
同様にして、ポリイミドを着色画素パターン上に形成した後、スピンコートにより、前記液晶組成物(C)の層を形成した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、塗布された液晶層に露光を行った。なお、このとき、着色画素パターン3(R)上のみに露光が施せるよう、マスクを用いたプロキシミティ露光を行った。
次いで、基板をアセトン中に浸漬して未露光部の除去を行い、着色画素パターン3(R)上のみに位相差制御領域5(R)を形成した。また、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施した。
以上の工程を経て得られたカラーフィルタの各画素におけるリタデーションは、着色画素パターンと位相差制御層のリタデーションの和となり、即ち、着色画素(R)部で0nm、着色画素(G)部で−5nm、着色画素(B)部で−1nmと見積もられる。
比較例1
配向膜及び位相差制御層を設けないことを除いて、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
以上のようにして得られた実施例1および比較例1のカラーフィルタについて、偏向軸が並行および直交するように配置された2枚の偏向膜により挟持し、背面に3波長管バックライト(Tc=6000K)を設置して、輝度計(品番BM−5A:トプコン(株)製)を用いて、正面方向および斜め45°方向から色度測定を行った。
その結果を下記表1及び2に示す。表1は正面方向から色度測定を行った結果、表2は、斜め45°方向から色度測定を行った結果をそれぞれ示す。図7及び図8は、表1及び
2をxy座標にプロットした特性図である。
上記表1及び2の結果に示すように、正面方向からの外観、色度については大きな変化は見られなかったが、斜め45°方向については、比較例1にて赤紫色を呈していたものが、実施例1において位相差制御層を設けて位相差制御を行うことにより、無彩色なグレーとなることが確認された。
実施例2
<位相差制御されたカラーフィルタの作製>
(液晶組成物の調製・膜厚と位相差の関係の算定)
重合性基を有するネマチック液晶100重量部、カイラル剤9重量部、及び光開始剤5重量部をトルエン420部に溶解し、液晶組成物(A)を調製した。
ガラス基板1上にポリイミドをスピンコートにより成膜し、230℃で1時間の焼成工程を行い、その後、ラビング布により一定方向にラビング処理を施し、配向膜を形成した。
次に、上記配向処理を行った基板上に、スピンコートにより液晶組成物(A)を塗布した。60℃で1分加熱し、次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて露光を行った。なお、露光工程においては、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。さらに、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を経て、位相差制御層を形成した。形成した位相差制御層の膜厚は0.7μmであった。
上記位相差制御層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、35nmであった。したがって、位相差制御層1μmあたりの位相差は50nmであることがわかった。
(液晶層の形成)
実施例1と同様の材料、方法により作製したカラーフィルタ基板上に、ポリイミドをスピンコートにより成膜し、230℃で1時間の焼成工程を行い、その後、ラビング布により一定方向にラビング処理を施し、図3に示すように、配向膜4を各着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)上に形成した。
上記配向処理を行った後、実施例1と同様にしてスピンコートにより、液晶組成物(A)を塗布した。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて露光を行った。更に、安定化のため150℃で30分の加熱工程を施し、図4に示すように、位相差制御領域15(R)を形成した。この場合、位相差制御領域15(R)の膜厚が0.2μmとなるように、液晶組成物(A)の塗布条件を制御した。
次いで、同様にして、塗布、露光、及び現像を繰り返して、着色画素パターン3(G)及び3(R)上の配向膜上の隔壁に囲まれた領域内にも、位相差制御領域15(G)及び15(R)を形成した。この場合、位相差制御領域15(G)については膜厚が1.5μm、位相差制御領域15(B)については膜厚が0.5μmとなるように、適宜液晶組成物(A)の塗布条件を調整した。
液晶組成物(A)による位相差制御層の位相差は、位相差制御領域15(R)が10n
m、位相差制御領域15(G)が75nm、位相差制御領域15(B)が25nmとなり、各画素において各着色画素パターンとの位相差の合計が、着色画素(R)部で30nm、着色画素(G)部で30nm、着色画素(B)部で29nmとなり、略同一となる。
比較例2
配向膜及び位相差制御層を設けないことを除いて、実施例2と同様にしてカラーフィルタを作製した。
以上のようにして得られた実施例2のカラーフィルタについて、偏向軸が並行および直交するように配置された2枚の偏向膜により挟持し、背面に3波長管バックライト(Tc=6000K)を設置して、輝度計(品番BM−5A:トプコン(株)製)を用いて、正面方向および斜め45°方向から色度測定を行った。その結果を上述した比較例による結果とともに、下記表3及び表4に示す。表3は正面方向から色度測定を行った結果、表4は、斜め45°方向から色度測定を行った結果をそれぞれ示す。図9及び図10は、表3及び表4をxy座標にプロットした特性図である。
上記表3及び表4の結果に示すように、正面方向からの外観、色度については大きな変化は見られなかったが、斜め45°方向については、比較例1にて赤紫色を呈していたものが、実施例2において位相差制御層を設けて位相差制御を行うことにより、無彩色なグレーとなることが確認された。
実施例3
<位相差制御層の形成>
重合性基を有するネマチック液晶100重量部と、光開始剤5重量部をトルエン320部及びシクロヘキサノン100重量部に溶解させ、液晶組成物(A)を調製した。この液晶組成物(A)にカイラル剤9重量部を混合し、液晶組成物(B)とした。液晶組成物(A)におけるネマチック液晶を、より複屈折率の大きいネマチック液晶に置き換えて、同様の混合比にて液晶組成物(C)を調製した。
前記基板上に、液晶組成物(B)を印刷法により塗布し、液晶層を形成した。即ち、シリコンブランケットを巻きつけたブランケット胴にスリットダイを用いて、上記塗工材料を塗布し、シリコンブランケット上に均一皮膜を形成した。その後、シリコンブランケット上に形成された皮膜を、ガラス基板にそのまま転写することで、液晶層を形成した。
60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、液晶層に露光を行った。なお、露光工程は、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。
更に、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程により、位相差層を形成した。この位相差層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、40nmであった。
次に、前記ガラス基板上に、液晶組成物(A)及び液晶組成物(C)をそれぞれ印刷法により塗布して、各画素パターン毎に1回の操作でパターン化された液晶層を形成した。60℃で1分加熱した後の膜厚は、それぞれ0.7μmであった。次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、それぞれ、1000mJ/cm2の照射量にて液晶層に露光を行った。なお、この露光工程においては、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。
更に、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程により、位相差制御層を形成した。
上記位相差制御層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、液晶組成物(A)により位相差制御層を形成した基板においては−5nm、液晶組成物(C)により位相差制御層を形成した基板においては−20nmであった。
<カラーフィルタの作製>
(ブラックマトリックスの作製)
ガラス基板上にクロムの薄膜からなるブラックマトリックスを形成した。
(塗工材料の調製)
カラーフィルタ作製に用いる塗工材料を着色する着色剤には以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I. Pigment Red 254(チバ・スペシ
ャルティケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)およびC.I. Pi
gment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフター
ルレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I. Pigment Green 36(東洋インキ
製造製「リオノールグリーン 6YK」)、およびC.I. Pigment Yel
low 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
青色用顔料:C.I. Pigment Blue 15(東洋インキ製
造製「リオノールブルーES」)C.I. Pigment Violet 23(B
ASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
以上のそれぞれの顔料を用いて、赤色、緑色、及び青色の塗工材料を作製した。
(カラーフィルタ基板の作製)
前記ガラス基板1上のブラックマトリックス2の開口部に、前記R,G,B各色の塗工材料を使用し、印刷装置により、下記に示す印刷法によって、赤色(R),緑色(G),青色(B)の着色画素パターンを各々形成した。
即ち、シリコンブランケットを巻きつけたブランケット胴にスリットダイを用いて、上記塗工材料を塗工し、シリコンブランケット上に均一皮膜を形成した。その後、着色画素パターンの非画素部に対応するガラス凸版上に該ブランケット胴を押し付けて、非画素部を除去した後、引き続きシリコンブランケット上に残留する塗工膜パターンをガラス基板上に転写することで着色層を形成した。その後、ホットプレートにて200℃で30分加熱し、着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)を形成し、カラーフィルタ基板を得た。
これら着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)の厚み方向のリタデーションを測定したところ、それぞれ20nm、−45nm、4nmであった。
<位相差制御されたカラーフィルタの作製>
上記において作製したカラーフィルタ基板の着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)上に、前記液晶組成物(B)を、着色画素パターンを形成した際と同様の印刷法により、着色画素パターン3(G)上の配向膜4上の隔壁に囲まれた領域内に塗布した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、充填された液晶層に露光を行った。さらに、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施し、位相差制御層を形成した。
更に、前記液晶組成物(A)および(C)を使用し、液晶組成物(B)を形成した際と同様の印刷法により、着色画素パターン3(B)および3(R)上の垂直配向膜上の隔壁に囲まれた領域内にそれぞれ塗布した。60℃で1分加熱した後の膜厚は、それぞれ0.7μmであった。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、充填された液晶層に露光を行った。さらに、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施し、位相差制御領域5(B)、5(R)を形成した。
以上の工程を経て得られたカラーフィルタの各画素におけるリタデーションは、着色画素パターンと液晶位相差層のリタデーションの和となり、即ち、着色画素(R)部で0nm、着色画素(G)部で−5nm、着色画素(B)部で−1nmと見積もられる。
比較例3
配向膜及び位相差制御層を設けないことを除いて、実施例3と同様にしてカラーフィルタを作製した。
以上のようにして得られた実施例3および比較例3のカラーフィルタについて、偏向軸が並行および直交するように配置された2枚の偏向膜により挟持し、背面に3波長管バックライト(Tc=6000K)を設置して、輝度計(品番BM−5A:トプコン(株)製)を用いて、正面方向および斜め45°方向から色度測定を行った。その結果を下記表5及び表6に示す。表5は正面方向から色度測定を行った結果、表6は、斜め45°方向から色度測定を行った結果をそれぞれ示す。図11及び図12は、表5及び表6をxy座標にプロットした特性図である。
実施例4
<液晶位相差層の形成>
重合性基を有するネマチック液晶100重量部と、光開始剤5重量部をトルエン420部に溶解させ、液晶組成物(A)を調製した。この液晶組成物(A)にカイラル剤9重量部を混合し、液晶組成物(B)とした。液晶組成物(A)におけるネマチック液晶を、より複屈折率の大きいネマチック液晶に置き換えて、同様の混合比にて液晶組成物(C)を調製した。
次に、基板上に、液晶組成物(B)をスピンコートして液晶層を形成した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、液層層に露光を行った。なお、露光工程は、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。
更に、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程により、位相差制御層を形成した。この位相差制御層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、40nmであった。
次に、ガラス基板上に、液晶組成物(A)及び液晶組成物(C)をそれぞれスピンコートして、液晶層を形成した。60℃で1分加熱した後の膜厚は、それぞれ0.7μmであった。次いで、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、それぞれ、1000mJ/cm2の照射量にて液晶層に露光を行った。なお、この露光工程においては、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。
更に、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程により、位相差制御層を形成した。
上記位相差制御層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、液晶組成物(A)により位相差制御層を形成した基板においては−5nm、液晶組成物(C)により位相差制御層を形成した基板においては−20nmであった。
<カラーフィルタの作製>
(ブラックマトリックスの作製)
ポリイミド前駆体(セミコファインSP−510:東レ(株)製)10重量部、カーボンブラック7.5重量部、NMP130重量部、分散剤(銅フタロシアニン誘導体)5重量部、開始剤A5重量部、及びパーフルオロアルキル基含有オリゴマー(FTX−720C:(株)ネオス製)0.1重量部をビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散させ、ブラックマトリックス組成物を調製した。
このブラックマトリックス組成物をスピンコータによって無アルカリガラス基板(品番1737:コーニング社製)上に塗布し、約2.0μmの膜厚の塗膜を形成した。その後、100℃で20分間のプリベークを行った後、露光・現像工程を経て、230℃で60分のポストベークを行い、図3(a)に示すように、ガラス基板1の非画素領域にブラックマトリックス2を形成した。
このようにして形成されたブラックマトリクス2の上頂部の着色インキ(表面張力30mN/m)に対する接触角を測定したところ、30°であり、ブラックマトリクス上頂部が着色インクに対して、撥インキ性があることを確認した。
(カラーインクの調製)
[着色材料の作製]
カラーフィルタ作製に用いる着色材料を着色する着色剤には以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I. Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)およびC.I. Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I. Pigment Green 36(東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)、およびC.I. Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
青色用顔料:C.I. Pigment Blue 15(東洋インキ製造製「リオノールブルーES」)C.I. Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
また、メタクリル酸20部、メチルメタクリレート10部、ブチルメタクリレート55部、ヒドロキシエチルメタクリレート15部を乳酸ブチル300gに溶解し、窒素雰囲気下でアゾビスイソブチルニトリル0.75部を加え、70℃にて5時間の反応によりアクリル共重合樹脂を作製した。得られたアクリル共重合樹脂を樹脂濃度が20%になるようにジエチレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、アクリルワニスとした。
以上のそれぞれの顔料及びアクリルワニスを用いて、以下のようにして赤色、緑色、及び青色の着色材料を作製した。
・赤色着色材料
下記に示す組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して、赤色顔料の分散体を作製した。
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 18重量部
赤色顔料:C.I.Pigment Red 177 2重量部
アクリルワニス:(固形分20%) 108重量部
その後、下記に示す組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して、赤色着色材料を得た。
上記分散体 128重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 50重量部
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 30重量部
・緑色着色材料
それぞれ下記に示す組成となるように,赤色着色材料と同様の方法で作製した。
緑色顔料:C.I.Pigment Green 36 16重量部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 150 8重量部
アクリルワニス:(固形分20%) 102重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテ 50重量部
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 30重量部
・青色着色材料
それぞれ下記に示す組成となるように,赤色着色材料と同様の方法で作製した。
青色顔料:C.I.Pigment Blue 15 50重量部
紫色顔料:C.I.Pigment Violet 23 2重量部
分散剤:ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」 6重量部
アクリルワニス(固形分20%) 200重量部
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 100重量部
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 60重量部
<カラーフィルタ基板の作製>
前記ガラス基板1上のブラックマトリックス2の開口部に、前記R,G,B各色のカラーインクを使用し、108pl,150dpiヘッド(セイコーインスツルメンツ社製)を搭載したインクジェット印刷装置により、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)各々の隔壁に囲まれた領域内に充填した。その後、ホットプレートにて200℃で30分加熱し、図3(b)に示すように、着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)を形成し、カラーフィルタ基板を得た。
これら着色画素パターン3(R)、3(G)、3(B)の厚み方向のリタデーションを測定したところ、それぞれ20nm、−45nm、4nmであった。
<位相差制御されたカラーフィルタの作製>
前記液晶組成物(B)を、着色画素パターンを形成した際と同様のインクジェット印刷装置により、着色画素パターン3(G)上の配向膜4上の隔壁に囲まれた領域内に充填した。60℃で1分加熱した後の液晶層の膜厚は0.7μmであった。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、充填された液晶層に露光を行った。さらに、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施し、位相差層5(G)を形成した。
更に、前記液晶組成物(A)および(C)を使用し、液晶組成物(B)を形成した際と
同様の装置により、着色画素パターン3(B)および3(R)上の垂直配向膜上の隔壁に囲まれた領域内にそれぞれ充填した。60℃で1分加熱した後の膜厚は、それぞれ0.7μmであった。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて、充填された液晶層に露光を行った。さらに、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を施し、位相差制御領域5(B)、5(R)を形成した。
以上の工程を経て得られたカラーフィルタの各画素におけるリタデーションは、着色画素パターンと位相差制御層のリタデーションの和となり、即ち、着色画素(R)部で0nm、着色画素(G)部で−5nm、着色画素(B)部で−1nmと見積もられる。
比較例4
配向膜及び位相差制御層を設けないことを除いて、実施例4と同様にしてカラーフィルタを作製した。
以上のようにして得られた実施例および比較例のカラーフィルタについて、偏向軸が並行および直交するように配置された2枚の偏向膜により挟持し、背面に3波長管バックライト(Tc=6000K)を設置して、輝度計(品番BM−5A:トプコン(株)製)を用いて、正面方向および斜め45°方向から色度測定を行った。
その結果を下記表1及び2に示す。表1は正面方向から色度測定を行った結果、表2は、斜め45°方向から色度測定を行った結果をそれぞれ示す。図13及び図14は、表7及び表8をxy座標にプロットした特性図である。
上記表7及び表8の結果に示すように、正面方向からの外観、色度については大きな変化は見られなかったが、斜め45°方向については、比較例にて赤紫色を呈していたものが、実施例4において位相差層を設けて位相差制御を行うことにより、無彩色なグレーとなることが確認された。
実施例5
<位相差制御されたカラーフィルタの作製>
(液晶組成物の調整・膜厚と位相差の関係の算定)
重合性基を有するネマチック液晶100重量部、カイラル剤9重量部、及び光開始剤5重量部をトルエン420部に溶解し、液晶組成物(A)を調製した。
ガラス基板1上にスピンコートにより液晶組成物(A)を塗布した。60℃で1分加熱、次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて露光を行った。なお、露光工程においては、大気中の酸素による重合阻害が生じないよう、窒素雰囲気下にて実施した。さらに、液晶層の安定化のため、150℃で30分の加熱工程を経て、位相差制御層を形成した。形成した位相差制御層の膜厚は0.7μmであった。
上記位相差制御層の厚み方向のリタデーションを計測したところ、35nmであった。したがって、位相差制御層1μmあたりの位相差は50nmであることがわかった。
<液晶層の形成>
実施例1と同様にして作製したカラーフィルタ基板上に、液晶組成物(A)を使用し、
着色画素パターンを形成した際に用いたのと同様のインクジェット印刷装置により、各着色画素パターン上の配向膜上の隔壁に囲まれた領域内に充填した。
次に、超高圧水銀灯を光源とした紫外線照射装置により、1000mJ/cm2の照射量にて露光を行った。更に、安定化のため150℃で30分の加熱工程を施し、図4に示すように、位相差制御領域15(R)、15(G)、15(B)からなる位相差制御層を形成した。
液晶組成物(A)の充填量は、液晶位相差領域15(R)については膜厚が0.2μm、位相差制御領域15(G)については膜厚が1.5μm、位相差制御領域15(B)については膜厚が0.5μmとなるように、インクジェット印刷装置での吐出量を制御することで調整した。
液晶組成物(A)による位相差制御層の位相差は、位相差制御領域15(R)が10nm、位相差制御領域15(G)が75nm、位相差制御領域15(B)が25nmとなり、各画素において各着色画素パターンとの位相差の合計が、着色画素(R)部で30nm、着色画素(G)部で30nm、着色画素(B)部で29nmとなり、略同一となる。
以上のようにして得られた実施例2のカラーフィルタについて、偏向軸が並行および直交するように配置された2枚の偏向膜により挟持し、背面に3波長管バックライト(Tc=6000K)を設置して、輝度計(品番BM−5A:トプコン(株)製)を用いて、正面方向および斜め45°方向から色度測定を行った。その結果を比較例による結果とともに、下記表9及び表10に示す。表9は正面方向から色度測定を行った結果、表10は、斜め45°方向から色度測定を行った結果をそれぞれ示す。図15及び図16は、表9及び表10をxy座標にプロットした特性図である。
上記表9及び表10の結果に示すように、正面方向からの外観、色度については大きな変化は見られなかったが、斜め45°方向については、比較例にて赤紫色を呈していたものが、実施例5において位相差層を設けて位相差制御を行うことにより、無彩色なグレーとなることが確認された。
1…透明基板、2…隔壁ブラックマトリックス、3(R)…赤色画素パターン、3(G)…緑色画素パターン、3(B)…青色画素パターン、4…配向膜、5(R),5(G),5(B),15(R),15(G),15(B)…位相差制御領域。