JP4923773B2 - めっき装置及びめっき方法 - Google Patents
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そこで、プロセス耐性があるスパッタ下地膜(Ni−Cr)を配線に用い、その上に低温成膜プロセスであるめっきによりAu配線を厚膜化することで低抵抗化及び応力低減を図っている。
Auめっきは、めっき析出速度が遅く、めっき槽内で液流が生じると液流の速い部分はめっき析出が抑制されるため、局部的に膜厚ムラが発生してしまう。この場合、膜厚の薄い配線は、膜抵抗(電気抵抗)が上昇し、電圧降下を招くという問題を生じさせる。また、封止基板用ウエハには多数の開口部が形成されているため、ウエハ全面で一様な流れを作り出すことは困難である。
本発明のめっき装置は、開口部を有するめっき槽内に貯留されためっき液に処理対象物を浸漬して、めっき膜を形成するめっき装置であって、前記めっき槽を介して前記めっき液の温度を調整する第1温度調整装置と、前記開口部に臨む前記めっき液の液面の温度を調整する第2温度調整装置とを有することを特徴とするものである。
また、本発明では、膜厚ムラが抑制されることから最低限の膜厚で薄膜を形成することが可能になるため、処理時間を短縮でき、スループットを向上させることができるとともに、めっき液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
これにより、本発明では、めっき処理により処理対象物に薄膜を形成する場合でも、膜厚むらがない薄膜(めっき膜)を成膜することができる。
この場合、前記第2温度調整装置としては、前記蓋体と前記めっき液の液面との間に温度調整された気体を供給する気体供給装置を有する構成を好適に採用できる。
この構成では、前記蓋体と前記めっき液の液面との間に供給された気体により、めっき槽の開口部に臨むめっき液の温度を調整して、めっき槽に囲まれた領域のめっき液の温度と同一にできるため、対流等により液流が生じることを防止して、めっき液を静止させることが可能になり、処理対象物に成膜される薄膜に膜厚ムラが発生することを抑制できる。
これにより、本発明では、各温度調整装置毎に気体供給装置を設ける必要がなくなり、装置の簡素化及び低価格化を実現できるとともに、同じ温度に調整された気体によりめっき液の温度を調整できるため、より厳密に処理液の温度を均一化することが可能になる。
これにより、本発明では、蓋体から放熱でめっき液の温度が低下する場合でも、加熱装置が付与する熱により、前記蓋体と前記めっき液の液面との間の気体を介して、開口部に臨むめっき液の温度低下を防止して温度を均一化することが可能になる。
この場合、前記第2温度調整装置としては、所定温度に温度調整され、前記液面に当接して前記開口部を閉塞する蓋体を含む構成を採用できる。
従って、本発明では、蓋体により処理槽の開口部を閉塞することでめっき液の放熱を抑制することができるとともに、蓋体との熱交換により開口部に臨むめっき液の温度を調整することが可能になり、めっき槽に囲まれた領域のめっき液の温度と同一にできる。
これにより、本発明では、蓋体の温度を所定値に維持することで、開口部に臨むめっき液の温度をめっき槽に囲まれた領域のめっき液の温度と同一に保持することが可能になる。
これにより、本発明では、各温度調整装置毎に媒体供給装置を設ける必要がなくなり、装置の簡素化及び低価格化を実現できるとともに、同じ温度に調整された媒体によりめっき液の温度を調整できるため、より厳密にめっき液の温度を均一化することが可能になる。
これにより、第1温度調整装置が前記めっき槽とともに前記蓋体の温度を調整するため、装置の簡素化及び低価格化を実現できるとともに、同じ調整系によりめっき液の温度を調整できるため、より厳密にめっき液の温度を均一化することが可能になる。
これにより、本発明では、めっき槽内のめっき液に対する温度調整に要する時間を短縮でき、薄膜形成のスループットを向上させることが可能になる。
従って、本発明のめっき方法では、めっき液のうちめっき槽に囲まれた領域のめっき液の温度と、めっき槽の開口部に臨むめっき液の温度とをそれぞれ同一に調整できるため、めっき液の温度に分布を生じさせずに均一化できる。そのため、本発明では、対流等により液流が生じることを防止して、めっき液を静止させることが可能になり、処理対象物に成膜されるめっき膜に膜厚ムラが発生することを抑制できる。
また、本発明では、膜厚ムラが抑制されることから最低限の膜厚でめっき膜を形成することが可能になるため、処理時間を短縮でき、スループットを向上させることができるとともに、めっき液の使用量も減らすことができ、地球環境保護にも貢献できる。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、薄膜形成装置であるめっき装置51の概略的な構成図である。
このめっき装置51は、めっき槽(処理槽)52、加温槽53、めっき槽52内に温風を供給する温風供給装置(第2温度調整装置)72、加温槽53内で温水を循環させる温水供給装置(第1温度調整装置)73を主体に構成されている。
また、めっき槽52には、開口部Kを閉塞する蓋体54が設けられている。蓋体54には、開口部Kと連通し、温風供給装置72から供給される温風を開口部Kに導入するための導入口54aが設けられている。
温水供給装置73は、液体HLの温度を調整し、加温槽53に対して循環・供給するものであって、加温槽53の上部に設けられた吸入管53aから液体HLを吸入し、吸入管53aよりも下方に設けられた送出管53bから送出するポンプ77と、ポンプ77から送出された液体HLを上記制御装置CONTの制御の下、所定温度に加熱して温度調整する加熱部78とを備えている。
加温槽53に浸漬されためっき槽52に対しては、温水供給装置73から所定温度(ここでは、45〜60℃の範囲(例えば50℃))に温度調整された温水HLが供給され、めっき槽52を介してめっき液L、特にめっき槽52に囲まれた領域のめっき液Lの温度が例えば50℃に調整される。
上記温水供給装置73から供給される温水HLの温度は、温度センサ79が計測した液体HLの温度に基づいて、所定温度に調整されている。
上記温風供給装置72から供給される温風の温度は、温度センサ81が計測した開口部K内の気体温度に基づいて、所定温度に調整されている。
さらに、本実施形態では、温度センサ79、81の計測結果に応じて温水及び温風の温度を調整するので、より高い精度でめっき液Lの温度を調整することが可能である。加えて、制御装置CONTが加熱部75、78の双方の作動を制御するため、温水、温風の温度をより正確に同一にすることが可能になり、めっき液Lの静止状態を安定して保持することができる。
続いて、薄膜形成装置の第2実施形態について図2を参照して説明する。
この図において、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
他の構成は、上記際1実施形態と同様である。
従って、本実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、より簡単な構成でめっき液Lを静止状態として、均一な膜厚のめっき膜を得ることが可能になる。
続いて、薄膜形成装置の第3実施形態について図3を参照して説明する。
この図において、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
図3に示すように、本実施形態では、めっき槽52の開口部Kにおいて、蓋体54の外周部がめっき槽52の内周と嵌合し、蓋体54が下面でめっき液Lの液面に当接した状態で開口部Kを閉塞する構成となっている。
第2温水供給装置84は、液体HL2の温度を調整し、空隙54bに対して循環・供給するものであって、吸入管85aから液体HL2を吸入し、送出管85bから送出するポンプ86と、ポンプ86から送出された液体HL2を上記制御装置CONTの制御の下、所定温度に加熱して温度調整する加熱部87とを備えている。
また、この場合、加温槽53に貯溜された温水の一部を蓋体54の空隙54bに導入・循環させる構成としても、同様の作用・効果を実現することが可能である。
続いて、薄膜形成装置の第4実施形態について図4を参照して説明する。
この図において、図1に示す第1の実施の形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
上記第3実施形態では、蓋体54の温度を調整する蓋体温度調整装置として第2温水供給装置84を設けたが、本実施形態では、第1温度調整装置である温水供給装置73が蓋体温度調整装置(第2温度調整装置)を兼ねる構成となっている。
なお、本実施形態では、貫通孔54dから露出するめっき液Lから放熱が生じるため、貫通孔24dの大きさ(径)はなるべく小径にすることが好ましい。
また、本実施形態では、蓋体54の温度を調整するための機構を別途設けずに、温水供給装置73を共用する構成としているので、装置を簡素化することができ、小型化及び低価格化を実現できる。
さらに、本実施形態では、フィン92、94によりめっき槽52及び蓋体54と温水HLとの熱交換が促進されるため、迅速な温度調整が可能となり、生産性の向上に寄与できる。
続いて、上記のめっき装置51を用いた薄膜形成方法により配線パターン(導電膜パターン)を形成する方法について説明する。
図5(a)〜(e)は、配線パターン(導電膜パターン)の形成方法の工程を示す図である。
この後、O2プラズマアッシング等のプラズマ処理により、前記Au膜3上のレジストパターン4を剥離する。これにより、図5(d)に示すように、シリコン基板1上に形成すべき配線パターンに応じたNiCr膜2及びAu膜3が露出する。
具体的に、このような表面活性化処理としては、例えば酸素プラズマ等の乾式方式を採用することで、前記Au膜3の表面に付着している有機物の除去を行うことができ、また硫酸過水等の湿式法を採用することで、前記Au膜3の表面に形成された酸化物を除去することができる。
このような前処理を行うことで、露出するAu膜3の表面に形成された不純物(有機物、酸化物)等を除去しつつ、後のメッキ処理時において、メッキとAu膜3との間の密着性を高めることができる。
具体的には、めっき液Lとして、50℃に加温した無電解Auメッキ液中にシリコン基板1を1〜5時間浸漬し、図5(e)に示すように、前記Au膜3に対して0.7〜1μmのAuメッキ膜6を析出させる。ここで、予めレジストパターン4が除去されており、またメッキは等方成長するため、Auメッキ膜6はAu膜3の側面及び上面を覆うようにして成膜される。
なお、上記メッキ処理に用いる材料としては、Ni、Cu、Auのうちの少なくとも一つで形成される、すなわちNi,Cuのみ、又はこれら材料(Ni、Cu、Au)の2種以上の組み合わせによるものを採用することが好ましい。
なお、無電解Auメッキには、亜硫酸浴を用いた。また、上記の化学処理と化学処理との間では、純水による洗浄を3〜5分間行っている。
そして、この配線パターン7は、めっき処理時にめっき液Lが温度調整されて静止状態が保持されているため、膜厚のばらつきが小さく信頼性の高いものとすることができる。
次に、上記薄膜形成方法により、配線パターン(導電膜パターン)が形成された基板を有するデバイスによって構成された液滴吐出ヘッドについて図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出ヘッドHの断面構成図である。
なお、圧電素子300の概念としては、圧電体膜70及び上電極膜80に加えて、下電極膜60を含むものであってもよい。下電極膜60は圧電素子300として機能する一方、振動板400としても機能するからである。本実施形態では、弾性膜50及び下電極膜60が振動板400として機能する構成を採用しているが、弾性膜50を省略して下電極膜60が弾性膜50を兼ねる構成とすることもできる。
圧電素子300を含む振動板400上の領域を覆って、リザーバ形成基板20が設けられており、リザーバ形成基板20の上面(流路形成基板10と反対側面)には、封止膜31と固定板32とを積層した構造のコンプライアンス基板30が接合されている。このコンプライアンス基板30において、内側に配される封止膜31は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さ6μm程度のポリフェニレンスルフィドフィルム)からなり、この封止膜31によってリザーバ部21の上部が封止されている。他方、外側に配される固定板32は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さ30μm程度のステンレス鋼)からなる板状部材である。
この固定板32には、リザーバ100に対応する平面領域を切り欠いてなる開口部33が形成されており、この構成によりリザーバ100の上部は、可撓性を有する封止膜31のみで封止され、内部圧力の変化によって変形可能な可撓部22となっている。
駆動回路部200A〜200Bは、例えば回路基板あるいは駆動回路を含む半導体集積回路(IC)を含んで構成されている。各駆動回路部200A〜200Bは、複数の接続端子(図示せず)を備えており、一部の接続端子がリザーバ形成基板20上に形成された配線パターン34に対してワイヤーW1により接続されている。駆動回路部200A〜200Bの他の一部の接続端子は、リザーバ形成基板20の溝部700内に配置された上電極膜80に対してワイヤーW2により接続されている。
溝部700によってX軸方向に関し区画されるリザーバ形成基板20のうち、回路駆動部200Aと接続される複数の圧電素子300を封止している部分を第1封止部20Aとし、駆動回路部200Bと接続される複数の圧電素子300を封止ししている部分を第2封止部20Bとする。これらの第1封止部20A及び第2封止部20Bには、それぞれ圧電素子300に対向する領域に、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を確保するとともに、その空間を密封する圧電素子保持部24が設けられている。圧電素子300のうち、少なくとも圧電体膜70は、この圧電素子保持部24内に密封されている。
すると、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧が印加される結果、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体膜70に変位が生じ、この変位によって各圧力発生室12の容積が変化して内部圧力が高まり、ノズル開口15より液滴が吐出される。
そのため、本実施形態に係る液滴吐出ヘッドHにおいては、配線の膜厚のばらつきが小さいことから、駆動電圧を小さくすることが可能になり、またノズル間での吐出量のバラツキも小さくすることができる。また、低温プロセスであるめっき積層により、抵抗値の低減、応力の低減が可能となり、基板の反りを緩和できることから、反り等による駆動回路部200A、200Bの接合不良等が生じず、安定した液滴吐出動作を確保することが可能になる。
次に、上述した液滴吐出ヘッドHを備えた液滴吐出装置の一例について図7を参照しながら説明する。本例では、その一例として、前述の液滴吐出ヘッドを備えたインクジェット式記録装置について説明する。
また、上記実施形態では、第4実施形態で示しためっき槽52及び蓋体54に熱交換促進用のフィン92、94を設けたが、これらのフィンを第1乃至第3実施形態等に示すめっき槽52及び蓋体54に設けても、同様の作用・効果を奏することが可能である。
なお、気体を用いてめっき槽52を温度調整する場合には、例えば図3に示す蓋体54の空隙54bに温度調整された気体を供給する構成とし、加温槽53内及び蓋体54の空隙54bの双方に温度調整された気体を供給する気体供給装置を設ける構成とすればよい。
例えば、下地配線としてNiを用いる場合、上記NiCrを用いる場合と同様の手順で膜パターンを形成できるが、Niの場合はエッチング液の塩酸濃度が10〜15%と、NiCrを用いる場合よりも低くてもよい。
また、メッキ形成する第2導電膜としてニッケル膜を成膜する例を示したが、これに限定されるものではなく、CuやAu、さらには、これらを2種類以上組み合わせることも可能である。
Claims (4)
- 開口部を有するめっき槽内に貯留されためっき液に処理対象物を浸漬して、めっき膜を形成するめっき装置であって、
前記めっき槽を介して前記めっき液の温度を調整する第1温度調整装置と、
前記開口部に臨む前記めっき液の液面の温度を調整する第2温度調整装置と、を有し、
前記第2温度調整装置は、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体と前記めっき液の液面との間に温度調整された気体を供給する気体供給装置と、を有し、前記蓋体と前記めっき液の液面との間の気体を介して前記めっき液の温度を調整することを特徴とするめっき装置。 - 請求項1記載のめっき装置において、
前記第1温度調整装置は、気体を用いて前記めっき液の温度を調整し、
前記気体供給装置は、前記第1温度調整装置及び前記第2温度調整装置の双方に前記温度調整された気体を供給することを特徴とするめっき装置。 - 開口部を有するめっき槽内に貯留されためっき液に処理対象物を浸漬して、めっき膜を形成するめっき装置であって、
前記めっき槽を介して前記めっき液の温度を調整する第1温度調整装置と、
前記開口部に臨む前記めっき液の液面の温度を調整する第2温度調整装置と、を有し、
前記第2温度調整装置は、前記開口部を閉塞する蓋体と、前記蓋体と前記めっき液の液面との間に気体を加熱する加熱装置と、を有し、前記蓋体と前記めっき液の液面との間の気体を介して前記めっき液の温度を調整することを特徴とするめっき装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載のめっき装置において、
前記第1温度調整装置は、温度調整用媒体が貯留されるとともに、前記めっき槽を収容して温度調整する調整槽を有し、
前記めっき槽は、前記調整槽内に突出して前記温度調整用媒体との間の熱交換を促進する熱交換促進部を有することを特徴とするめっき装置。
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