以下、図面を参照して、本発明に係る運転者心理判定装置の実施の形態を説明する。
本実施の形態では、本発明の運転者心理判定装置を、運転者の先急ぎ状態を判定し、先急ぎ状態と判定したときには運転者に対して運転支援を行う運転者心理判定装置に適用する。本実施の形態に係る運転者心理判定装置は、先行車の有無を考慮して各種状態に基づいて先急ぎ状態を判定する。本実施の形態には、先急ぎ状態を判定するためのパラメータが異なる3つの形態があり、第1の実施の形態が車速を用いる形態であり、第2の実施の形態が体温、発汗量、発話回数を用いる形態であり、第3の実施の形態が車速を考慮した加速度を用いる形態である。
図1及び図2を参照して、第1の実施の形態に係る運転者心理判定装置1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る運転者心理判定装置の構成図である。図2は、先行車が存在する状態と存在しない状態の車速の変化の一例である。
運転者心理判定装置1では、運転者の先急ぎ状態を判定するために、先行車が存在する場合と先行車が存在しない場合との車速差に基づいて先急ぎ度を求める。特に、運転者心理判定装置1では、自車の運転者による過去の運転における先行車が存在有無での車速のデータを記憶しておき、現在の運転におけるデータと日常の運転(運転者の平常状態のときの運転)におけるデータとを比較することによって先急ぎ度を求める。そのために、運転者心理判定装置1は、前方車両認識センサ10、車速センサ11、ディスプレイ20、スピーカ21、運転支援システム22、先急ぎ判定ECU[Electronic Control Unit]31、運転者状態適応型運転支援ECU40を備えている。
なお、第1の実施の形態では前方車両認識センサ10が特許請求の範囲に記載する先行車検出手段に相当し、車速センサ11が特許請求の範囲に記載する走行状態検出手段に相当し、先急ぎ判定ECU31が特許請求の範囲に記載する運転者心理判定手段に相当する。
前方車両認識センサ10は、ミリ波レーダなどのレーダセンサと情報処理装置あるいは自車の前方を撮像するカメラと画像処理装置を備えている。レーダセンサの場合、ミリ波などを水平面内でスキャンしながら自車から前方に向けて送信し、その反射波を受信する。そして、その送受信データに基づいて前方に先行車が存在するか否か判定する。カメラの場合、自車の前方を撮像する。そして、その前方撮像画像を用いて車両認識を行い、前方に先行車が存在するか否か判定する。先行車の存在を判定する際、自車から所定距離以内に車両が存在する場合に先行車と判定し、所定距離より前方に車両が存在する場合には先行車とはみなさない。前方車両認識センサ10では、その先行車が存在するか否かの情報を先急ぎ判定ECU31に送信する。
車速センサ11では、自車の車速を検出する。車速センサ11では、その検出した車速を先急ぎ判定ECU31に送信する。
ディスプレイ20では、運転者状態適応型運転支援ECU40からの画像信号を受信すると、その画像信号の表示画像を表示する。スピーカ21では、運転者状態適応型運転支援ECU40から音声信号を受信すると、その音声信号の音声を出力する。
運転支援システム22としては、例えば、プリクラッシュセーフティシステム、アダプティブクルーズコントロールシステム、レーンキープシステムがある。各システムでは、運転者状態適応型運転支援ECU40から各指示信号を受信すると、その指示信号に示される制御タイミングや介入制御等に応じて制御を行う。
先急ぎ判定ECU31は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[RandomAccess Memory]などからなる。先急ぎ判定ECU31では、各センサ10,11から各情報を取得し、各情報に基づいて先行車の存在有無での車速差から運転者の先急ぎ度を判定する。そして、先急ぎ判定ECU31では、判定した先急ぎ度を運転者状態適応型運転支援ECU40に送信する。
まず、先急ぎ判定ECU31では、車速センサ11からの車速が所定車速以下の状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。所定車速、所定時間は、渋滞か否かを判定するための閾値であり、先急ぎ判定ECU31内に予め保持されている。先急ぎ判定ECU31では、車速が所定車速以下の状態が所定時間以上継続していると判定した場合、渋滞と判断し、今回の先急ぎ判定処理を終了する。なお、車速によって渋滞か否かを判断したが、VICS信号を取り入れ、VICSデータから渋滞情報を取得する構成としてもよい。
渋滞でない場合、先急ぎ判定ECU31では、前方車両認識センサ10からの先行車の存在有無情報により、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わる場合の先行車が存在する区間と先行車が存在しない区間を判別する。
先行車が存在する区間と判別している場合、先急ぎ判定ECU31では、車速センサ11からの車速に基づいて、先行車が存在する区間における車速V0を設定する。この設定方法としては、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わる直前に自車が減速している場合にはその減速する直前の車速を設定し(図2における符号ES1で示される車速参照)、減速していない場合には先行車が存在しない状態に切り替わる直前の車速を設定する(図2における符号ES2で示される車速参照)。減速しているときの車速を採用しないのは、自車の減速が先行車の左折などの影響によるものである可能性があるので、自車の運転者自身の意思以外の要因が関係する場合があるからである。減速判定は、車速や加速度で判定してもよいし、あるいは、運転者によるブレーキペダルの踏み込み速度やシフトダウンで判定してもよい。
先行車が存在しない区間を判別している場合、先急ぎ判定ECU31では、車速センサ11からの車速に基づいて、先行車が存在しない区間における車速V1を設定する。この設定方法としては、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わった直後に自車が加速している場合にはその加速終了直後の車速を設定し(図2における符号NS1で示される車速参照)、加速していない場合には先行車が存在しない状態に切り替わった直後の車速を設定する(図2における符号NS2で示される車速参照)。加速が終了した後の車速を採用するのは、その加速が先行車がいなくなったことに対する運転者の意思によるものであるので、加速終了後の車速が運転者が望む車速であるからである。加速判定は、車速や加速度で判定してもよいし、あるいは、運転者によるアクセルペダルの踏み込み速度で判定してもよい。
先急ぎ判定ECU31では、RAMの所定領域に記憶されている日常運転における先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わったときの各区間の車速v1,v0又はその車速差(v1−v0)のデータを全て読み出し、式(1)により、収集した全ての日常データを用いて車速差の平均値γを算出する。この車速差の平均値γは、自車の運転者が日常運転における平常状態の場合に先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わったときの車速差を示し、運転者の先急ぎ度を判定する基準値となる。さらに、先急ぎ判定ECU31では、式(2)により、今回設定した先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わったときの各区間の車速V1,V0と車速差の平均値γを用いて先急ぎ度を算出する。
式(2)で求められる先急ぎ度は、先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わったときの車速差と日常運転(運転者が平常状態のときの運転)でのその車速差との比較値であり、運転者の先急ぎ状態を判定するための指標である。先急ぎ度は、1を基準とし、値が大きくなるほど運転者が先急ぎ状態であることを示す。つまり、運転者が先を急いでいるほど、先行車が存在しない状態になったときに加速して車速を上げるので、車速差(V1−V0)が大きくなり、先急ぎ度が大きくなる。
先急ぎ判定ECU31では、今回の処理で判定した先急ぎ度が小さく(つまり、今回得られた車速差と日常運転における車速差にあまり変わりがなく)、運転者の心理状態が平常状態であると判断できる場合、先行車が存在する区間における車速V1を日常運転におけるデータとして車速v1とし、先行車が存在しない区間における車速V0を日常運転におけるデータとして車速v0とする。そして、先急ぎ判定ECU31では、この先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わったときの各区間の車速v1,v0又はその車速差(v1−v0)を日常運転のデータとしてRAMの所定領域に記憶する。運転者が平常状態の場合、先行車が存在しなくなっても過度に車速を増すことはないので、車速差(v1−v0)は小さい値となっている。なお、日常運転のデータ記憶は、運転者毎にデータが記憶される。
運転者状態適応型運転支援ECU40は、CPU、ROM、RAMなどからなる。運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ判定ECU31で判定された先急ぎが先急ぎ度閾値より大きいか否かを判定する。先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きい場合、運転者状態適応型運転支援ECU40では、運転者に対する運転支援を必要とするほどの先急ぎ状態と判定する。一方、先急ぎ度が先急ぎ度閾値以下の場合、運転者状態適応型運転支援ECU40では、運転者は先急ぎ状態でないと判定する。先急ぎ度閾値は、実験などによって予め設定され、運転者状態適応型運転支援ECU40に保持されている。先急ぎ度閾値は、先急ぎ度に基づいて運転者が先急ぎ状態か否かを判定するための閾値である。先急ぎ閾値としては、1つの段階で設定してもよいが、複数の段階設定し、運転支援を必要とする先急ぎ状態を段階的に判定してもよい。このように段階的な先急ぎ状態を判定することにより、先急ぎが軽い段階では運転者に対して表示や音声による運転支援を行い、重い段階になると車両制御による運転支援を行うようにするとよい。
そして、運転者状態適応型運転支援ECU40では、運転者が先急ぎ状態の場合、運転者に対して先急ぎ状態であることを認識させるとともに安全運転を促すような表示画像及び音声を生成し、その表示画像データからなる画像信号をディスプレイ20に送信するとともにその音声データからなる音声信号をスピーカ21に送信する。また、運転者状態適応型運転支援ECU40では、運転者が先急ぎ状態の場合、運転支援システム22に対して制御タイミングを変えるなどの指示信号を送信する。
図1を参照して、運転者心理判定装置1における動作を説明する。ここでは、自車が走行中に先行車が存在し、交差点で先行車が左折し、先行車が存在しなくなり、自車が加速した場合の動作について説明する。
前方車両認識センサ10では、前方に先行車が存在するか否かを判定し、先行車の存在有無情報を先急ぎ判定ECU31に送信する。車速センサ11では、自車の車速を検出し、車速情報を先急ぎ判定ECU31に送信する。
先急ぎ判定ECU31では、車速センサ11からの車速情報に基づいて、車速が所定車速以上と判定し、渋滞でないと判断する。渋滞でない場合、先急ぎ判定ECU31では、前方車両認識センサ10からの先行車存在有無情報に基づいて、先行車が存在するか否かを判定する。
自車の前方に先行車が走行しているので、先急ぎ判定ECU31では、先行車が存在すると判定する。先行車が存在すると判定している区間において、先急ぎ判定ECU31では、車速センサ11からの車速情報を一時記憶する。また、先急ぎ判定ECU31では、車速情報に基づいて、自車が減速しているか否かを判定する。
やがて、交差点に近づき、先行車が左折するために減速し、それに応じて自車も減速する。したがって、先急ぎ判定ECU31では、減速中と判定する。
交差点において先行車が左折し、自車の前方に先行車が存在しなくなる。すると、先急ぎ判定ECU31では、先行車存在有無情報に基づいて、先行車が存在しないと判定する。先行車が存在しない状態に切り替わると、先急ぎ判定ECU31では、一時記憶している先行車が存在する区間の車速データから減速を開始する直前の車速を読み出し、その車速を先行車が存在している区間での車速V0として設定する。
先行車が存在しないと判定している区間において、先急ぎ判定ECU31では、車速センサ11からの車速情報を一時記憶する。また、先急ぎ判定ECU31では、車速情報に基づいて、自車が加速しているか否かを判定する。
先行車が存在しなくなると、自車が加速する。したがって、先急ぎ判定ECU31では、加速中と判定する。
自車の加速が終了すると、先急ぎ判定ECU31では、加速中でないと判定する。加速が終了すると、先急ぎ判定ECU31では、一時記憶している先行車が存在しない区間の車速データから加速終了直後の車速を読み出し、その車速を先行車が存在していない区間での車速V1として設定する。
そして、先急ぎ判定ECU31では、RAMに記憶されている日常運転におけるデータを読み出し、式(1)により日常運転における車速差(v1−v0)の平均値γを算出する。さらに、先急ぎ判定ECU31では、今回設定した車速V1,V0及び算出した平均値γを用いて、式(2)により先急ぎ度を算出する。ここでは、自車が加速し、算出される先急ぎ度が大きな値となるので、先急ぎ判定ECU31では、今回設定した車速V1,V0又はその車速差を日常運転のデータとして記憶しない。
運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きいか否かを判定する。自車は、先行車が存在しなくなってから加速し、先行車が存在する状態から車速が上昇している。そのため、今回求められた先急ぎ度は1よりかなり大きい値となっている。したがって、運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きいと判定し、運転支援が必要な先急ぎ状態であると判断する。そこで、運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ状態を抑制するための案内を行う表示画像及び音声を生成し、その画像信号をディスプレイ20に送信するとともに音信信号をスピーカ21に送信する。この画像信号を受信すると、ディスプレイ20では、画像信号に応じて先急ぎ状態を抑制するための案内画像を表示する。また、この音声信号を受信すると、スピーカ21では、音声信号に応じて先急ぎ状態を抑制するための案内メッセージを出力する。これらの表示や音声によって、運転者は、先急ぎ状態であることを認識する。また、運転者状態適応型運転支援ECU40では、制御タイミングを変えるなどの指示信号を運転支援システム22に送信する。この指示信号を受信すると、運転支援システム22では、自車の先急ぎを抑制するような車両制御を行う。
この運転者心理判定装置1によれば、運転者が先を急いでいるときの障害となる先行車の有無を考慮し、先行車が存在する状態と先行車が存在しない状態での車速の変化から先急ぎ状態を判定することにより、運転者の先急ぎ状態を高精度に判定することができる。この際、先行車の有無での車速差に着目するとともに渋滞中には判定を行わないので、制限速度の違いによる車速の変化や交通流の変化などの影響を受けずに、先急ぎ度を推定することができる。
さらに、運転者心理判定装置1では、先急ぎ度を求めるために日常運転におけるデータを用いているので、運転者が平常状態でのデータを基準として運転者の先急ぎ度を高精度に求めることができる。特に、運転者心理判定装置1では、走行中に運転者が平常状態のときのデータを蓄積していくので、基準となるデータの精度が高くなり、運転者の先急ぎ度をより高精度に求めることができる。
また、運転者心理判定装置1では、先急ぎ状態と判定したときには先急ぎを抑制するための各種処理を行うので、運転者の先急ぎ状態を抑制でき、安全性を向上させることができる。
図3を参照して、第2の実施の形態に係る運転者心理判定装置2について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る運転者心理判定装置の構成図である。運転者心理判定装置2では、第1の実施の形態に係る運転者心理判定装置1と同様の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
運転者心理判定装置2では、運転者の先急ぎ状態を判定するために、先行車が存在する場合と先行車が存在しない場合との運転者の体温、発汗量、発話回数の差に基づいて先急ぎ度を求める。特に、運転者心理判定装置2では、第1の実施の形態と同様に、現在の運転におけるデータと日常の運転におけるデータとを比較することによって先急ぎ度を求める。そのために、運転者心理判定装置2は、前方車両認識センサ10、車速センサ11、音声認識センサ12、体温センサ13、発汗センサ14、ディスプレイ20、スピーカ21、運転支援システム22、先急ぎ判定ECU32、運転者状態適応型運転支援ECU40を備えている。
なお、第2の実施の形態では前方車両認識センサ10が特許請求の範囲に記載する先行車検出手段に相当し、音声認識センサ12、体温センサ13及び発汗センサ14が特許請求の範囲に記載する運転者状態検出手段に相当し、先急ぎ判定ECU32が特許請求の範囲に記載する運転者心理判定手段に相当する。
音声認識センサ12は、マイクと音声信号処理装置を備えている。音声認識センサ12では、マイクによって運転者の音声を収集し、音声信号に変換する。そして、音声認識センサ12では、その音声信号から運転者が先行車の存在によってイライラしているときに発しやすい特定の言葉を認識する。この特定の言葉としては、予め設定され、例えば、「遅い」、「早く」等である。さらに、音声認識センサ12では、所定時間毎に、特定の言葉を認識した回数をカウントし、そのカウントした発話回数を先急ぎ判定ECU32に送信する。
体温センサ13では、運転者の顔の体温を検出する。そして、体温センサ13では、その検出した体温を先急ぎ判定ECU32に送信する。発汗センサ14は、運転者の発汗量を検出する。そして、発汗センサ14では、その検出した発汗量を先急ぎ判定ECU32に送信する。これら体温や発汗量は、運転者の生体情報であり、運転者がイライラしている場合とイライラしていない場合とで変化する度合いが大きいものである。
先急ぎ判定ECU32は、CPU、ROM、RAMなどからなる。先急ぎ判定ECU32では、各センサ10,11,12,13,14から各情報を取得し、各情報に基づいて先行車の存在有無での発話回数、体温、発汗量の差から運転者の先急ぎ度を判定する。そして、先急ぎ判定ECU32では、判定した先急ぎ度を運転者状態適応型運転支援ECU40に送信する。
まず、先急ぎ判定ECU32では、第1に実施の形態に係る先急ぎ判定ECU31と同様の処理により、渋滞判定を行う。
渋滞でない場合、先急ぎ判定ECU32では、前方車両認識センサ10からの先行車の存在有無情報により、先行車が存在する区間と先行車が存在しない区間を判別する。ここでは、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わる場合でも、先行車が存在しない状態から先行車が存在する状態に切り替わる場合でも、どちらでもよい。
先行車が存在する区間を判別している場合、先急ぎ判定ECU32では、音声認識センサ12からの発話回数に基づいて、先行車が存在する区間における発話回数U1を設定する。また、先急ぎ判定ECU32では、体温センサ13からの顔体温に基づいて、先行車が存在する区間における顔体温T1を設定する。また、先急ぎ判定ECU32では、発汗センサ14からの発汗量に基づいて、先行車が存在する区間における発汗量S1を設定する。
先行車が存在しない区間を判別している場合、先急ぎ判定ECU32では、音声認識センサ12からの発話回数に基づいて、先行車が存在しない区間における発話回数U0を設定する。また、先急ぎ判定ECU32では、体温センサ13からの顔体温に基づいて、先行車が存在しない区間における顔体温T0を設定する。また、先急ぎ判定ECU32では、発汗センサ14からの発汗量に基づいて、先行車が存在しない区間における発汗量S0を設定する。
なお、発話回数の設定方法としては、先行車が存在する区間又は存在しない区間において音声認識センサ12から送信される所定時間毎の発話回数を積算し、区間中の総発話回数、単位距離当たり発話回数の平均値、あるいは、単位時間当たりの発話回数の平均値でもよい。顔体温、発汗量の設定方法としては、区間中の最大値でもよいし、あるいは、平均値でもよい。
先急ぎ判定ECU32では、RAMの所定領域に記憶されている日常運転における先行車が存在する区間と存在しない区間での発話回数u1,u0又はその発話回数差(u1−u0)のデータ、顔体温t1,t0又はその顔体温差(t1−t0)のデータ、発汗量s1,s0又はその発汗量差(s1−s0)のデータを全て読み出す。そして、先急ぎ判定ECU32では、式(3)により、収集した発話回数の全ての日常データを用いて発話回数差の平均値δ1を算出する。また、先急ぎ判定ECU32では、式(4)により、収集した顔体温の全ての日常データを用いて顔体温差の平均値δ2を算出する。また、先急ぎ判定ECU32では、式(5)により、収集した発汗量の全ての日常データを用いて発汗量差の平均値δ3を算出する。これら発話回数差の平均値δ1、顔体温差の平均値δ2、発汗量差の平均値δ3は、自車の運転者が日常運転における平常状態の場合に先行車が存在する状態と存在しない状態とにおける発話回数、顔体温、発汗量の変化を示し、運転者の先急ぎ度を判定する基準値となる。
さらに、先急ぎ判定ECU32では、式(6)により、今回設定した先行車が存在する区間と存在しない区間での発話回数U1,U0、顔体温T1,T0、発汗量S1,S0と発話回数差の平均値δ1、顔体温差の平均値δ2、発汗量差の平均値δ3を用いて先急ぎ度を算出する。
式(6)におけるf1,f2,f3は、発話回数、顔体温、発汗量についての各重み定数であり、先急ぎ度(イライラ感)への影響度合いに応じて設定される。f1,f2,f3は、合計すると1になるように設定される。
式(6)で求められる先急ぎ度は、先行車が存在する状態と存在しない状態とにおける発話回数差、顔体温差、発汗量差と日常運転でのその発話回数差、顔体温差、発汗量差との比較値であり、運転者の先急ぎ状態を判定するための指標である。先急ぎ度は、1を基準とし、値が大きくなるほど運転者が先急ぎ状態であることを示す。運転者のイライラ感の中でも運転に最も影響を与えるのは、先急ぎ状態のときであり、特に、先行車が存在する場合である。そこで、イライラ感の度合いに応じて変化すると考えられる運転者の生体情報や特定の言葉を発する回数に先行車の存在有無情報を加味することにより、先急ぎに起因するイライラ感の度合いだけを抽出し、運転者の先急ぎ度を推定している。運転者が先を急いでいるほど、先行車が存在するとイライラ感が増すので、発話回数差(U1−U0)、顔体温差(T1−T0)、発汗量差(S1−S0)が大きくなり(つまり、先行車が存在すると発話回数、顔体温、発汗量が先行車が存在しないときより増す)、先急ぎ度が大きくなる。
先急ぎ判定ECU32では、今回の処理で判定した先急ぎ度が小さく、運転者の心理状態が平常状態であると判断できる場合、先行車が存在する区間における発話回数U1、顔体温T1、発汗量S1を日常運転におけるデータとして発話回数u1、顔体温t1、発汗量s1とし、先行車が存在しない区間における発話回数U0、顔体温T0、発汗量S0を日常運転におけるデータとして発話回数u0、顔体温t0、発汗量s0とする。そして、先急ぎ判定ECU32では、この先行車が存在する区間と存在しない区間の発話回数u1,u0、顔体温t1,t0、発汗量s1,s0又はこの発話回数差(u1−u0)、顔体温差(t1−t0)、発汗量差(s1−s0)を日常運転のデータとしてRAMの所定領域に記憶する。運転者が平常状態の場合、先行車が存在する場合でもイライラしていないので、発話回数差(u1−u0)、顔体温差(t1−t0)、発汗量差(s1−s0)が小さい値となっている。
図3を参照して、運転者心理判定装置2における動作を説明する。ここでは、自車が走行中に先行車が存在し、交差点で先行車が左折し、先行車が存在しなくなり、自車が加速し、先行車が現れた場合の動作について説明する。
前方車両認識センサ10では、前方に先行車が存在するか否かを判定し、先行車の存在有無情報を先急ぎ判定ECU32に送信する。車速センサ11では、自車の車速を検出し、車速情報を先急ぎ判定ECU32に送信する。音声認識センサ12では、特定の言葉を認識し、所定時間内に認識した回数をカウントし、発話回数情報を先急ぎ判定ECU32に送信する。体温センサ13は、運転者の顔体温を検出し、顔体温情報を先急ぎ判定ECU32に送信する。発汗センサ14は、運転者の発汗量を検出し、発汗量情報を先急ぎ判定ECU32に送信する。
先急ぎ判定ECU32では、車速センサ11からの車速情報に基づいて、車速が所定車速以上と判定し、渋滞でないと判断する。渋滞でない場合、先急ぎ判定ECU32では、前方車両認識センサ10からの先行車存在有無情報に基づいて、先行車が存在するか否かを判定する。
自車の前方に先行車が走行しているので、先急ぎ判定ECU32では、先行車存在有無情報により先行車が存在すると判定する。先行車が存在すると判定している区間において、先急ぎ判定ECU32では、音声認識センサ12からの発話回数情報、体温センサ13からの顔体温情報、発汗センサ14からの発汗量情報をそれぞれ一時記憶する。
交差点において先行車が左折し、自車の前方に先行車が存在しなくなる。すると、先急ぎ判定ECU32では、先行車存在有無情報により先行車が存在しないと判定する。このとき、先急ぎ判定ECU32では、一時記憶している先行車が存在する区間の発話回数データに基づいて先行車が存在している区間での発話回数U1を設定し、一時記憶している先行車が存在する区間の顔体温データに基づいて先行車が存在している区間での顔体温T1を設定し、一時記憶している先行車が存在する区間の発汗量データに基づいて先行車が存在している区間での発汗量S1を設定する。
先行車が存在しないと判定している区間において、先急ぎ判定ECU32では、音声認識センサ12からの発話回数情報、体温センサ13からの顔体温情報、発汗センサ14からの発汗量情報をそれぞれ一時記憶する。
先行車が存在しなくなると、自車が加速する。やがて、自車の前方に存在する車両に追いつき、再び、先行車が現れる。先急ぎ判定ECU32では、先行車存在有無情報により先行車が存在すると判定する。このとき、先急ぎ判定ECU32では、一時記憶している先行車が存在しない区間の発話回数データに基づいて先行車が存在していない区間での発話回数U0を設定し、一時記憶している先行車が存在しない区間の顔体温データに基づいて先行車が存在していない区間での顔体温T0を設定し、一時記憶している先行車が存在しない区間の発汗量データに基づいて先行車が存在していない区間での発汗量S0を設定する。
そして、先急ぎ判定ECU32では、RAMに記憶されている日常運転におけるデータを読み出し、式(3)、式(4)、式(5)により日常運転における発話回数差(u1−u0)の平均値δ1、顔体温差(t1−t0)の平均値δ2、発汗量(s1−s0)の平均値δ3をそれぞれ算出する。さらに、先急ぎ判定ECU32では、今回設定した発話回数U1,U0、顔体温T1,T0、発汗量S1,S0及び算出した平均値δ1,δ2,δ3を用いて、式(6)により先急ぎ度を算出する。ここでは、算出される先急ぎ度が大きな値となるので、先急ぎ判定ECU32では、今回設定した発話回数U1,U0、顔体温T1,T0、発汗量S1,S0又はその発話回数差、顔体温差、発汗量差を日常運転のデータとして記憶しない。
運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きいか否かを判定する。自車は先行車が存在しなくなると加速しているので、運転者は、先を急いでおり、先行車の存在でイライラしていた。そのため、今回求められた先急ぎ度は1よりかなり大きい値となっている。したがって、運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きいと判定し、運転支援が必要な先急ぎ状態であると判断する。先急ぎ状態と判断後、第1の実施の形態と同様の動作が行われる。
この運転者心理判定装置2によれば、運転者が先を急いでいるときの障害となる先行車の有無を考慮し、先行車が存在する状態と先行車が存在しない状態での発話回数、顔体温、発汗量の変化から先急ぎ状態を判定することにより、運転者の先急ぎ状態を高精度に判定することができる。この際、運転者状態情報に先行車の有無情報を加味することにより、先急ぎに起因するイライラ感の度合いだけを高精度に抽出し、運転者の先急ぎ度を推定している。
さらに、運転者心理判定装置2では、第1の実施の形態と同様に、先急ぎ度を求めるために日常運転におけるデータを用いているので、運転者の先急ぎ度をより高精度に求めることができる。また、運転者心理判定装置2では、運転者状態として発話回数、体温、発汗量の3つのパラメータを判定材料として用いているので、運転者の先急ぎ度をより高精度に求めることができる。
図4を参照して、第3の実施の形態に係る運転者心理判定装置3について説明する。図4は、第3の実施の形態に係る運転者心理判定装置の構成図である。運転者心理判定装置3では、第1の実施の形態に係る運転者心理判定装置1と同様の構成について同一の符号を付し、その説明を省略する。
運転者心理判定装置3では、運転者の先急ぎ状態を判定するために、先行車が存在する状態から存在しない状態となってからの加速度に基づいて先急ぎ度を求める。特に、運転者心理判定装置3では、第1の実施の形態と同様に、現在の運転におけるデータと日常の運転におけるデータとを比較することによって先急ぎ度を求める。そのために、運転者心理判定装置3は、前方車両認識センサ10、車速センサ11、加速度センサ15、ディスプレイ20、スピーカ21、運転支援システム22、先急ぎ判定ECU33、運転者状態適応型運転支援ECU40を備えている。
なお、第3の実施の形態では前方車両認識センサ10が特許請求の範囲に記載する先行車検出手段に相当し、車速センサ11が特許請求の範囲に記載する車速検出手段に相当し、加速度センサ15が特許請求の範囲に記載する走行状態検出手段に相当し、先急ぎ判定ECU33が特許請求の範囲に記載する運転者心理判定手段に相当する。
加速度センサ15では、自車の前後方向の加速度を検出する。加速度センサ15では、その検出した加速度を先急ぎ判定ECU33に送信する。なお、加速度の検出については、加速度センサではなく、車速センサで検出した車速を用いて、先急ぎ判定ECU内で車速を時間微分することによって加速度を求める構成としてもよい。
先急ぎ判定ECU33は、CPU、ROM、RAMなどからなる。先急ぎ判定ECU33では、各センサ10,11,15から各情報を取得し、各情報に基づいて車速を考慮した先行車が存在しなくなってからの加速度から運転者の先急ぎ度を判定する。そして、先急ぎ判定ECU33では、判定した先急ぎ度を運転者状態適応型運転支援ECU40に送信する。
まず、先急ぎ判定ECU33では、第1に実施の形態に係る先急ぎ判定ECU31と同様の処理により、渋滞判定を行う。
渋滞でない場合、先急ぎ判定ECU33では、前方車両認識センサ10からの先行車の存在有無情報により、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わるときを判定する。
先急ぎ判定ECU33では、車速センサ11からの車速に基づいて、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わるときの車速(先行車が存在しなくなったときに自車が加速を開始する場合の初期車速に相当)が複数の車速段階のうちのいずれの車速段階に含まれるかを判定する。この複数の車速段階は、加速度から先急ぎ度を算出する際にどの程度の車速から加速を開始したかを場合分けするための車速段階である。車速段階としては、例えば、3段階とした場合、0〜20km/hを第1段階、20km/h〜60km/hを第2段階、60km/h〜の第3段階である。
このように複数の車速段階を設定するのは、通常、加速を開始するときの初期車速によって加速の度合いが変わるからである。例えば、車速が0km/hから加速した場合と車速が100km/hから加速した場合、車速が0km/hから加速した場合のほうが加速度が大きくなる。そのため、加速度による評価を高精度に行うためには初期車速を考慮する必要があり、初期速度を段階的に場合分けして加速度による評価を行う。
先急ぎ判定ECU33では、加速度センサ15からの加速度に基づいて、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わってからの所定区間における加速度Aを設定する(図2に示す加速区間参照)。この設定方法としては、切り替わった直後から数秒間の加速度の平均値でもよいし、加速全区間における加速度の平均値でもよいし、あるいは、切り替わってからの最高加速度でもよい。
先急ぎ判定ECU33では、RAMの所定領域に記憶されている日常運転における先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わってからの今回と同じ車速段階での加速度aのデータを全て読み出し、式(7)により、収集した全ての日常データを用いて加速度の平均値λを算出する。この加速度の平均値λは、自車の運転者が日常運転における平常状態の場合に先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わってからの加速度を示し、運転者の先急ぎ度を判定する基準値となる。さらに、先急ぎ判定ECU33では、式(8)により、今回設定した先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わってからの加速度Aと加速度の平均値λを用いて先急ぎ度を算出する。
式(8)のfは、定数である。式(8)で求められる先急ぎ度は、先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わったときの所定の車速段階での加速度と日常運転での対応する車速段階での加速度との比較値であり、運転者の先急ぎ状態を判定するための指標である。先急ぎ度は、値が大きくなるほど運転者が先急ぎ状態であることを示す。つまり、運転者が先を急いでいるほど、先行車が存在しない状態になったときに加速して車速を上げるので、加速度Aが大きくなり、先急ぎ度が大きくなる。
先急ぎ判定ECU33では、今回の処理で判定した先急ぎ度が小さく、運転者の心理状態が平常状態であると判断できる場合、先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わってからの加速度Aを日常運転におけるデータとして加速度aとする。そして、先急ぎ判定ECU33では、この先行車が存在する状態から存在しない状態に切り替わってからの加速度aを車速段階毎に日常運転のデータとしてRAMの所定領域に記憶する。運転者が平常状態の場合、先行車が存在しなくなっても過度に加速することはないので、加速度aは0に近い値となっている。
図4を参照して、運転者心理判定装置3における動作を説明する。ここでは、自車が走行中に先行車が存在し、交差点で先行車が左折し、先行車が存在しなくなり、自車が加速した場合の動作について説明する。
前方車両認識センサ10では、前方に先行車が存在するか否かを判定し、先行車の存在有無情報を先急ぎ判定ECU33に送信する。車速センサ11では、自車の車速を検出し、車速情報を先急ぎ判定ECU33に送信する。加速度センサ15では、自車の加速度を検出し、加速度情報を先急ぎ判定ECU33に送信する。
先急ぎ判定ECU33では、車速センサ11からの車速情報に基づいて、車速が所定車速以上と判定し、渋滞でないと判断する。渋滞でない場合、先急ぎ判定ECU33では、前方車両認識センサ10からの先行車存在有無情報に基づいて、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わるときを判定する。
交差点において先行車が左折し、自車の前方に先行車が存在しなくなると、先急ぎ判定ECU33では、先行車存在有無情報により先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わったと判定する。このとき、先急ぎ判定ECU33では、車速センサ11からの車速情報に基づいて、車速が複数の車速段階のうちいずれの車速段階に含まれるかを判定する。また、先急ぎ判定ECU33では、先行車が存在しなくなった直後から所定区間(例えば、数秒間)、加速度センサ15からの加速度情報を一時記憶する。
所定区間経過すると、先急ぎ判定ECU33では、一時記憶している加速度情報に基づいて、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態に切り替わってからの加速度Aを設定する。そして、先急ぎ判定ECU33では、RAMに記憶されている日常運転における今回の車速段階と同じ段階のデータを読み出し、式(7)により日常運転における加速度aの平均値λを算出する。さらに、先急ぎ判定ECU33では、今回設定した加速度A及び算出した平均値λを用いて、式(8)により先急ぎ度を算出する。ここでは、自車が加速し、算出される先急ぎ度が大きな値となるので、先急ぎ判定ECU33では、今回設定した加速度Aを日常運転のデータとして記憶しない。
運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きいか否かを判定する。自車は、先行車が存在しなくなると加速している。そのため、今回求められた先急ぎ度は大きい値となっている。したがって、運転者状態適応型運転支援ECU40では、先急ぎ度が先急ぎ度閾値より大きいと判定し、運転支援が必要な先急ぎ状態であると判断する。先急ぎ状態と判断後、第1の実施の形態と同様の動作が行われる。
この運転者心理判定装置3によれば、運転者が先を急いでいるときの障害となる先行車の有無を考慮し、先行車が存在する状態から先行車が存在しない状態になってからの加速度から先急ぎ状態を判定することにより、運転者の先急ぎ状態を高精度に判定することができる。この際、先行車が存在しなくなってからの加速度に着目するとともに渋滞中には判定を行わないので、制限速度の違いによる車速の変化や交通流の変化などの影響を受けずに、先急ぎ度を推定することができる。
さらに、運転者心理判定装置3では、第1の実施の形態と同様に、先急ぎ度を求めるために日常運転におけるデータを用いているので、運転者の先急ぎ度をより高精度に求めることができる。また、運転者心理判定装置3では、加速するときの初期車速を考慮して加速度による評価を行っているので、運転者の先急ぎ度をより高精度に求めることができる。
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
例えば、本実施の形態では運転者が心理状態(先急ぎ状態)を判定した場合には運転者に対して判定結果に基づく運転支援を行う構成としたが、運転支援を行うことなく、心理状態のみを判定する構成としてもよいし、あるいは、運転支援として報知又は車両制御のいずれか一方を行う構成としてもよい。また、報知手段としてディスプレイやスピーカを用いたが、警報ブザーなどその他の手段でもよい。
また、本実施の形態では運転者の心理状態として先急ぎ状態を判定する構成としたが、焦り、覚醒などの他の心理状態を判定する構成としてもよい。
また、本実施の形態では対象の運転者の日常の運転におけるデータを記憶し、日常の運転におけるデータと比較することによって先急ぎ度を求める構成としたが、多数の運転者による運転における一般的なデータを収集し、その一般的なデータと比較することによって先急ぎ度を求める構成としてもよいし、あるいは、運転者固有のデータや一般的なデータと比較することなく、検出した先行車が存在する場合のデータと先行車が存在しない場合のデータとを比較だけで先急ぎ度を求める構成としてもよい。
また、第1の実施の形態では先行車が有り状態から無し状態になったときのデータによって心理状態を判定する構成する構成としたが、先行車が無し状態から有り状態になったときのデータによって心理状態を判定する構成としてもよい。
また、第1の実施の形態では走行状態として車速に基づいて先急ぎ度を求める構成としたが、加速度、アクセルの踏み込み速度などの他の走行状態に基づいて先急ぎ度を求める構成としてもよい。
また、第1の実施の形態では先行車が有り状態ときの車速として減速する直前の車速又は先行車が無し状態に切り替わる直前の車速を設定し、先行車が無し状態ときの車速として加速終了後の車速又は先行車が無し状態に切り替わった直後の車速を設定したが、先行車が有り状態や無し状態のときの最高車速あるいは加減速を行っていない区間での平均車速を設定するようにしてもよい。
また、第2の実施の形態では生体情報として顔の体温と発汗量を用いて先急ぎ度を求める構成としたが、心拍数などの他の生体情報に基づいて先急ぎ度を求めてもよい。また、生体情報以外の運転者情報として特定の言葉の発話回数を用いて先急ぎ度を求める構成としたが、これ以外の運転者情報を用いてもよいし、あるいは、生体情報だけで先急ぎ度を求めてもよい。
また、第3の実施の形態では先行車がいなくなったときの車速を考慮して先行車がいなくなってからの加速度に基づいて先急ぎ度を求める構成としたが、車速を考慮しないで先行車がいなってからの加速度に基づいて先急ぎ度を求める構成としてもよい。
また、第3の実施の形態では走行状態として加速度を用いて先急ぎ度を求める構成としたが、ギアチェンジ、アクセルの踏み込み速度などの他の走行状態に基づいて先急ぎ度を求める構成としてもよい。
1,2,3…運転者心理判定装置、10…前方車両認識センサ、11…車速センサ、12…音声認識センサ、13…体温センサ、14…発汗センサ、15…加速度センサ、20…ディスプレイ、21…スピーカ、22…運転支援システム、31,32,33…先急ぎ判定ECU、40…運転者状態適応型運転支援ECU