JP4921497B2 - 多環式3級アミンの製造方法 - Google Patents
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(1)ヒドロキシルアルキル基を有するテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテルを臭化水素により臭素化して得られた、トリブロムアルキル化合物をメタノール性アンモニアと封管中で130〜150℃に加熱することにより、HBrを脱離させ環化させる方法(非特許文献1)、
(2)アミノアルキル基を有するテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテルにハロゲン化水素を反応させて得られる、ジハロゲン化第1級アミン化合物を0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液に滴下して、ハロゲン化水素の脱離により分子内環化反応を行う方法(非特許文献2)、
、
しかし非特許文献1及び2の方法は、出発原料の合成が困難であり、多段階の工程を要するため工業的に実施するには困難な方法である。非特許文献3及び4の方法では系中の生成物濃度が0.1〜0.05重量%という低濃度条件下でないと、原料と生成物の分子間脱水縮合物が副生し、多環式第3級アミン化合物収率が大幅に低下することが判っており、どれも工業的に満足のいく製法とは言えない。
即ち、本発明は、
溶媒(S)中で、一般式(1)で表される環状アミン塩(B)を塩基性化合物(C)の存在下に環化せしめた後、塩基性化合物(C)で中和することにより一般式(2)で表される多環式第3級アミン(E)を製造する方法において、該溶媒(S)がエステル(A)と水を含有することを特徴とする多環式第3級アミン(E)の製造方法;
本発明では、一般式(1)で表される環状アミン塩(B)を塩基性化合物(C)の存在下に環化し、一般式(2)で表される多環式第3級アミン(E)を製造する方法、又は一般式(3) で表される環状アミン(B’)を加熱して環化せしめた後、一般式(2)で表される多環式第3級アミン(E)を製造する方法において、従来、水であった溶媒を、エステル(A)を含有する水に変更することで、エステル(A)の加水分解によってできた酸が多環式第3級アミン(E)と塩を形成することにより、環状アミン(B’)との分子間脱水縮合を抑えられることを見出した。このことにより多環式第3級アミン(E)の収率を大幅に向上することに成功した。
フルオロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、n−ヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
環状アミン(B’)としては上記の環状アミン塩(B)のフリーなアミンが挙げられる。
詳細は、R.Lukes、Collect.Czech.Chem.Commun.,22、117(1957)に記載されている。
(1)エステル(A)と水を含有する溶媒(S)中で、環状アミン塩(B)を塩基性化合物(C)の存在下で環化反応させる。
環状アミン塩(B)は、(B)と溶媒(S)の合計重量に対して、0.1〜15重量%含有させるのが好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。
(2)エステル(A)と水を含有する溶媒(S)中で、環状アミン(B’)を加熱して環化反応させる。
環状アミン(B’)は、(B’)と溶媒(S)の合計重量に対して、0.1〜15重量%含有させるのが好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。
上記(1)又は(2)の方法のようにすれば、容易に多環式第3級アミン(E)を得ることができる。
なお、水を塩基性化合物を溶解させるために使用した場合も溶媒(S)に含まれる。
上記のようなエステル(A)と水を含有する溶媒(S)は、環状アミン塩(B)または環状アミン(B’)、塩基性化合物(C)を溶解させることができる。
また、塩基はそのまま用いてもよいし、水、低級アルコール等の溶剤に溶解して用いてもよい。
環状アミン(B’)を加熱して環化する環化反応の反応温度は、通常40℃〜150℃、好ましくは40〜80℃である。
中和後、一般的に知られている抽出、濃縮、蒸留等の所望の分離精製手段により、目的の多環式第3級アミン(E)を得ることができる。
環状アミン塩(B)または環状アミン(B’)を環化させるときに使用する(C)と上記中和に使用する(C)は、同じ化合物であっても、異なる化合物であってもよい。
第4級アンモニウム塩(F)は下記の一般式(6)で表される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)475g(3.68mol)及び47重量%臭化水素水1606gを反応容器に入れ、140℃で水を留去させながら3時間反応させて、4−(2−ブロモエチル)ピペリジン臭酸塩(B−1)を製造した。かかる4−(2−ブロモエチル)ピペリジン臭酸塩は定量的に得られた。同定は1H−NMRで行った。
製造例1で得られた、4−(2−ブロモエチル)ピペリジン臭酸塩(B−1)150g(0.55mol)に対して150gのイオン交換水を加え、さらに酢酸エチル(A−1)1500gを加え70℃に加熱し、20重量%水酸化ナトリウム水溶液330g[水酸化ナトリウム(C−1)1.65mol、66gと水264gから調製した。]を添加し、70℃で2時間反応した。環化反応において、(B−1)の重量が、(B−1)と溶媒(S−1)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、7重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は78:22であった。
反応終了後、水相を分液し、水相を固体が析出するまで濃縮した後、5N水酸化ナトリウム水溶液165g(0.83mol)とトルエン(270g)を添加し、生成物を抽出した。1H−NMRで同定を行なったところ、1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンであることがわかった。トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は48gであった(収率80%)。1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンは昇華性があるためトルエン溶液として得た。
収率は4−(2−ブロモエチル)ピペリジン臭酸塩基準で算出した値である。以下の実施例も同様な基準で算出した値である。
4−(2−ブロモメチル)ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)424g(3.68
mol)及び47重量%臭化水素水1606gを反応容器に入れ、140℃で水を留去させながら3時間反応させて、4−(2−ブロモメチル)ピペリジン臭酸塩(B−2)を製造した。かかる4−(2−ブロモメチル)ピペリジン臭酸塩は定量的に得られた。同定は1H−NMRで行った。
環状アミン塩として4−(2−ブロモメチル)ピペリジン臭酸塩(B−2)150gを用いた以外は、実施例1と同様とした。環化反応後1−アザビシクロ[2,2,1]ヘプタンの収量は41gであった(収率77%)。環化反応において、(B−2)の重量が、(B−2)と溶媒(S−1)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、7重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は78:22であった。
4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン(広栄化学工業株式会社製)475g(3.68mol)及び37重量%塩化水素水922gを反応容器に入れ、140℃で水を留去させながら3時間反応させて、4−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩(B−3)を製造した。かかる4−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩は定量的に得られた。同定は1H−NMRで行った。
環状アミン塩として4−(2−クロロエチル)ピペリジン塩酸塩(B−3)150gを用いた以外は、実施例1と同様とした。環化反応・抽出後、トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は36gであった(収率60%)。環化反応において、(B−3)の重量が、(B−3)と溶媒(S−1)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、7重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は78:22であった。
実施例1において、酢酸エチル(A−1)1500gの代わりに、酢酸メチル(A−2)1500gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は45gであった(収率75%)。環化反応において、(B−1)の重量が、(B−1)と溶媒(S−2)[(A−2)と水の混合物]の合計重量に対して、7重量%であり、エステル(A−2)の重量と水の重量の比率は78:22であった。
実施例1において、20重量%水酸化ナトリウム(C−1)水溶液330g(1.65mol)の代わりに、20重量%炭酸ナトリウム(C−2)水溶液875g(1.65mol)を用いた以外は実施例1と同様に行なった。トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は45gであった(収率75%)。環化反応において、(B−1)の重量が、(B−1)と溶媒(S−3)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、6重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は64:36であった。
実施例1において、酢酸エチル(A−1)1500gを15gに減らした以外は実施例1と同様に行なった。トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は18gであった(収率30%)。環化反応において、(B−1)の重量が、(B−1)と溶媒(S−4)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、23重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は3:97であった。
実施例1において、酢酸エチル(A−1)1500gを4500gにした以外は実施例1と同様に行なった。トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は51gであった(収率85%)。環化反応において、(B−1)の重量が、(B−1)と溶媒(S−5)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、3重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は92:8であった。
実施例1において、酢酸エチル(A−1)1500gの代わりに水1500gを用いた以外は実施例1と同様に行なった。1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンの収量は11gであった。(収率18%)
実施例1において、酢酸エチル1500gの代わりにトルエン1500gを用いた以外は実施例1と同様とした。1−アザビシクロ[2,2,2]オクタンの収量12gであった。
(収率20%)
環状アミンとして4−(2−クロロエチル)ピペリジン150g(1.12mol)(B−1’)に対して150gのイオン交換水を加え、さらに酢酸エチル(A−1)1500gを加え70℃で2時間加熱した以外は、実施例1と同様とした。環化反応・抽出後、トルエン溶液中の1−アザビシクロ[2,2,2]オクタン収量は83gであった(収率67%)。環化反応において、(B−1’)の重量が、(B−1’)と溶媒(S−1)[(A−1)と水の混合物]の合計重量に対して、7重量%であり、エステル(A−1)の重量と水の重量の比率は78:22であった。
実施例1で得られた15重量%1−アザビシクロ[2,2,2]オクタントルエン溶液255gとメタノール51g、ジメチルカーボネート138gを混合し130℃で3時間反応した。得られた反応液を 乾固することにより、第4級アンモニウムメチル炭酸塩を得ることができた。かかる第4級アンモニウムメチル炭酸塩は定量的に得られた。同定は1H−NMRで行った。
Claims (10)
- 溶媒(S)中で、一般式(1)で表される環状アミン塩(B)を塩基性化合物(C)の存在下に環化せしめた後、塩基性化合物(C)で中和することにより一般式(2)で表される多環式第3級アミン(E)を製造する方法において、該溶媒(S)がエステル(A)と水を含有することを特徴とする多環式第3級アミン(E)の製造方法。
- エステル(A)が、カルボン酸アルキルエステルである請求項1又は2に記載の製造方法。
- エステル(A)が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n‐ブチル、酢酸t‐ブチル、プロピオン酸メチル、及びプロピオン酸エチルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の製造方法。
- 環状アミン塩(B)又は環状アミン(B’)の環化反応において、(B)又は(B’)の重量が、(B)又は(B’)と溶媒(S)の合計重量に対して、0.1〜15重量%であり、該溶媒(S)において、エステル(A)の重量と水の重量の比率が9:91〜91:9である請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 塩基性化合物(C)の塩基性度がPKbで表され、9未満である請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 塩基性化合物(C)がアルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の水酸化物である請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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