JP4920493B2 - 微細藻類の増殖活性測定方法 - Google Patents

微細藻類の増殖活性測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、微細藻類の増殖活性を測定するための方法に関するものである。また、本発明は、微細藻類の増殖活性を測定するための装置、および当該装置を含む微細藻類の培養システムに関するものである。
一般的な微細藻類は光合成を行い、海水域等における一次生産者としての役割を担うが、捕食活動を行うものや寄生性のものもあり多様性を有する。
微細藻類の一種であるAmphidinium sp.(渦鞭毛藻)は、海水域や淡水域に生息する単細胞の藻類である。渦鞭毛藻には、赤潮の原因となるなど有害なものもあるが、近年、新規な有用化合物の供給源として注目を集めているものもある。例えば、海棲性の渦鞭毛藻であるものの一部は、抗腫瘍性のマクロライド化合物を産生する。しかし、渦鞭毛藻の有用化合物の生産効率は必ずしも十分ではないため、有用化合物の生産源として渦鞭毛藻を利用する場合には、大量に培養する必要がある。
また、微細藻類の中には、二枚貝類の種苗生産において餌料として利用される種類もある。これらの微細藻類は、大量培養が試みられているものの効率的な培養システムが確立されていない。よって、微細藻類を効率的に培養するための培養条件の確立と、培養状態をモニタリングする方法が求められている。
微細藻類の培養状態の把握には、従来、血球計算盤と顕微鏡を用いて細胞数を直接計数することが行われていた。しかし、かかる方法は非常に労力を有する上に、計数者により誤差が生じ易い。また、測定用試料を得る際には培地に雑菌などが混淆するおそれがある。
かかる方法に対して、培地のpHや、培養系の二酸化炭素濃度や酸素濃度を測定することによって、間接的に微細藻類の培養状態を判断する方法がある。しかし、当該方法は培養槽の形状や通気条件の変化によっても測定結果が変化する。また、pH等を測定するためのセンサーは培養槽内に設置されるため、センサーの劣化が生じ易いという問題もある。
そこで、微細藻類などに光を照射し、それにより微細藻類が発する蛍光を測定することによって、微細藻類の濃度を測定するための方法や装置などが開発されている(特許文献1〜3)。この方法は、微細藻類が有するクロロフィルが吸収光を励起して発する蛍光の強度によって、微細藻類の濃度等を測定するものである。よって、培養液にセンサー等を接触させる必要もなく、また、得られる結果もpH変化などによる間接的な方法よりも正確である。
特開平9−248198号公報 特開平8−242886号公報 特開平11−326210号公報
上述した様に、微細藻類に光を照射し、それにより発せられる蛍光の強度を測定することによって、微細藻類濃度を測定するための方法や装置は知られていた。しかし、単に培地における微細藻類の濃度を測定するのみでは、培養状態を判定するには必ずしも十分ではないことが分かった。
即ち微細藻類は、ある程度増殖すると培養槽の大きさや培地に含まれる栄養の量などにより増殖速度が小さくなり、その濃度はほぼ一定になるか、或いは増殖速度と死滅速度が逆転して減少に転じる。よって、たとえ濃度は同じであっても、まだ増殖速度が高くなる途中である場合と減少に転じている場合があるので、単に濃度を測定するのみでは微細藻類の増殖活性を正確に判定することはできない。
そこで、本発明が解決すべき課題は、単に微細藻類の数や濃度を測定するのではなく、培養系内における正確な培養状態、より具体的には増殖活性を判定するための方法および装置を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、微細藻類は特定波長の光の照射により特定波長の蛍光を発するが、この蛍光の中には微細藻類の増殖活性に応じて変化するものがあり、当該蛍光強度を測定すれば増殖活性を判断できることを見出して本発明を完成した。
本発明に係る微細藻類の増殖活性の測定方法は、微細藻類を含む被検試料へ波長が380〜420nmの光を照射する工程;照射光により被検試料から発せられる、波長が600〜650nmの蛍光の強度を測定する工程;および、測定された複数の波長の蛍光強度により、微細藻類の増殖活性を判定する工程;を含むことを特徴とする。
上記方法において、蛍光の強度を測定する工程では、励起−蛍光マトリックス計測を利用することが好ましい。
本発明に係る微細藻類の増殖活性を測定するための装置は、微細藻類の培養液へ特定波長の光を照射するための光源;および、微細藻類の培養液から発せられる特定波長の蛍光強度の測定部;を含むことを特徴とする。
上記装置としては、さらに、微細藻類の培養液を導入すべき培養槽;および、対象となる微細藻類の培養液へ特定波長の光を照射することにより、微細藻類の培養液から発せられる特定波長の蛍光強度の経時的変化と、当該強度に対応する微細藻類の増殖活性を記憶するための記憶部;上記蛍光強度測定部により測定された蛍光強度と、上記記憶部に記憶された蛍光強度から同等のものを特定する手段;上記特定手段により特定された上記記憶部に記憶された蛍光強度に対応する増殖活性を出力するための表示部を有するものが好適である。
本発明に係る微細藻類の培養システムは、上記本発明装置を含むことを特徴とする。
本発明方法を用いることで、単に細胞の濃度を測定する従来方法に比して、微細藻類の増殖活性を正確に判定することができる。即ち、培養槽における微細藻類の濃度が等しい場合であっても、活発な増殖活性を有する状態にあるか、或いはその時点から濃度が低減する方向に向かうのか等を正確に判定することができる。また、本発明装置は、当該方法を実施することができるものとして有用である。
従って本発明は、近年、有用化合物の供給源として注目が集まっている微細藻類の培養に要する情報を得るためのものとして産業上極めて有用である。
本発明に係る微細藻類の増殖活性の測定方法は、
微細藻類を含む被検試料へ、波長が380〜420nmの光を照射する工程;
照射光により被検試料から発せられる波長が600〜650nmの蛍光の強度を測定する工程;および
測定された複数の波長の蛍光強度により、微細藻類の増殖活性を判定する工程;
を含むことを特徴とする。以下、各工程の実施条件につき説明する。
(1)光照射工程
微細藻類は、コンブやワカメなどの藻類に対して、淡水域や海水域に生育する微細な藻類をいう。その種類としては、鞭毛を有する単細胞の微細藻類である渦鞭毛藻類を挙げることができる。渦鞭毛藻には、ギムノディニウム目、ヤコウチュウ目、プロロケントルム目、ディノフィシス目、ペリディニウム目、ゴニオラクス目、ブラストディニウム目、有柄鞭毛藻目、ディノコックスなどの種類がある。本発明方法で対象となる微細藻類の種類は特に制限されず、効率的な培養を行うべき微細藻類を適宜選択すればよいが、例えば、二枚貝類の種苗生産で飼料として用いられるものなど、有用な微細藻類を対象とする。
本発明方法では、先ず、微細藻類を含む被検試料へ波長が380〜420nmの光を照射する。波長が当該範囲に含まれる光を微細藻類に照射した場合、後述する通り、微細藻類から発せられる特定波長の蛍光の強度を測定することによって、微細藻類の細胞数と共に増殖活性を把握することが可能になる。
微細藻類を含む被検試料へ照射すべき光は、上記範囲の波長の光を含んでいれば他の波長の光を含んでいてもよい。即ち、被検試料へ光を照射するための光源としては、波長が380〜420nmの単一光を照射するものに限定されず、波長が380〜420nmの光と共に他の波長の光を照射するものであってもよい。本発明で利用する微細藻類の化合物は特定の光を吸収して励起状態となり元に戻る際に特定の蛍光を発することから、上記範囲の波長の光以外の光を照射してもノイズは比較的少ないと考えられるからである。なお、単一波長光を発する光源はノイズをより一層低減できるという利点を有し、複数波長光を発する光源はより安価で扱い易いという利点がある。また、光源として複数波長光を発するものを用い、さらにフィルタを用いて照射光を制限してもよい。
(2)特定波長の蛍光強度の測定工程
次いで、前工程で照射した励起光に対して微細藻類の培養液から発せられる波長が600〜650nmの蛍光の強度を測定する。
従来、微細藻類に励起光を照射し、それにより生じる蛍光の強度を測定することにより微細藻類の培養液中に占める濃度を測定するという技術は知られていた。かかる従来方法では、主に、微細藻類の生細胞中に存在するクロロフィルが励起光を吸収して発する蛍光の強度を測定しており、クロロフィル量と生細胞量との相関性が利用されている。しかし、この従来方法では、微細藻類量がピークに達した前後では蛍光強度が等しい2つ以上の時点が存在し、その時点での生細胞量は等しいとはいえるが、その時点からさらに微細藻類量が増える場合と減少に向かう場合があり、これらの場合を区別することができない。
それに対して本発明者らは、微細藻類の培養液に特定波長の光を照射することにより発せられる蛍光の中には、微細藻類が増殖を始めてからピークに達しさらに減少するまでその強度が変化し続けるものがあることを見出した。つまり、微細藻類の増殖活性は、培養開始から高まり続けるが、濃度が一定値に達すると低減していく。本発明の当該工程では、増殖活性の変化に伴って1対1で強度が変化する蛍光、即ち、培養時間の経過に伴って強度が強くなり続ける或いは弱くなり続ける蛍光の強度を測定する。
当該工程では、微細藻類の培養液中における微細藻類の数、即ち微細藻類の濃度に従って強度が変化する蛍光を補助的に測定してもよい。即ち、後述する実施例の通り、波長が350〜600nmの光を照射することにより微細藻類の培養液から発せられる650〜750nmの蛍光の強度は、微細藻類の濃度に対応して変化する。この蛍光強度を測定することにより微細藻類の濃度も並行して測定すれば、微細藻類の状態をより正確に把握することができる。
なお、微細藻類の濃度を蛍光強度により測定する方法では、その量が細胞数に対応するクロロフィル等から発せられる蛍光の強度を測定する。一方、増殖活性に対応して強度が変化する蛍光は、その強度が生細胞数とは独立して変化することから、必ずしも明らかではないがクロロフィル等以外の化合物から発せられると考えられる。かかる化合物としては、微細藻類細胞内に存在する化合物の他、微細藻類から外部へ放出される化合物や死亡した微細藻類から放出される化合物などが考えられる。つまり、本発明方法で強度を測定する蛍光は、微細藻類細胞内に存在する化合物から発せられる以外に、微細藻類から外部へ放出された化合物から発せられたものである可能性もある。本発明では、これら可能性を考慮して、微細藻類の培養液から発せられる蛍光を測定する。
以上をまとめると、本発明者らによる知見によれば、ギムノディニウム目の微細藻類を培養した場合、波長が380〜420nmの光を照射することにより微細藻類の培養液から発せられる600〜650nmの領域の蛍光強度は、増殖活性の変化と1対1で変化する。よって、600〜650nmの領域の蛍光強度の変化を測定することにより微細藻類の増殖活性を把握することができる。また、350〜600nmの光を照射することにより微細藻類の培養液から発せられる650〜750nmの蛍光の強度は、微細藻類の濃度により変化する。よって、600〜650nmの領域と650〜750nmの領域の蛍光強度を測定すれば、微細藻類の増殖活性をより正確に把握することができる。
(3) 増殖活性の判定工程
次に、測定された複数の波長の蛍光強度により、微細藻類の増殖活性を判定する。
より具体的には、事前に対象となる微細藻類を培養し、微細藻類の培養液に380〜420nmの励起光を照射した場合に発せられる600〜650nmの蛍光の強度と増殖活性との関係を示すデータを得ておく。微細藻類の培養液に照射する380〜420nmの励起光は、この範囲に属する波長の光のうち複数のものであってもよいが、簡便に実施するために、好適には1つの波長を有する光を照射する。また、350〜600nmの励起光を照射した場合に発せられる650〜750nmの蛍光の強度と濃度との関係を示すデータを補助的に得ておいてもよい。
次いで、事前に増殖活性との関係を示すデータを取得した励起光を対象となる微細藻類の培養液に照射し、その結果発せられる蛍光の強度を測定する。当該強度を事前に測定したデータと照合することにより、微細藻類の培養液に含まれる微細藻類の増殖活性を判定することができる。
本発明に係る微細藻類の増殖活性を測定するための装置は、
微細藻類の培養液へ特定波長の光を照射するための光源;および
微細藻類の培養液から発せられる特定波長の蛍光強度の測定部;
を含むことを特徴とする。
本発明装置の一態様を図4に示すが、当該図はあくまで一例であり、本発明範囲は図4に制限されるものではない。
図4に示す装置においては、海水(微細藻類の種類によっては淡水でも可)をポンプ:Pを使い、フィルタ:Fを通して培養槽へ導入する。また、微細藻類の増殖に必要な二酸化炭素を、モーターバルブ:Mを通して培養槽へ導入する。培養の対象となる微細藻類は、培養槽中で増殖する。また、微細藻類は一般的に光合成を行うことから、培養槽には、微細藻類に光合成に必要な光を照射するための光源を設けることが好ましい。
本発明装置は、培養すべき微細藻類を含んだ被検試料へ特定波長の光を照射するための光源を備える。ここで照射される光は、上述した本発明方法で、対象となる微細藻類の増殖活性を判定するために照射されるものである。例えば、380〜420nmの波長を有する励起光とすることができる。
本発明装置では、励起光の照射により微細藻類の培養液から発せられる特定波長の蛍光の強度の測定部を有する。測定された蛍光強度から、被検試料に含まれる微細藻類の増殖活性を判定することができる。
なお、図4の装置では、上記光源と測定部は、増殖活性測定部に含まれているものとする。例えば、所定時間毎に培養槽から微細藻類の培養液を含む被検試料を抜き出し、増殖活性測定部で励起光を照射し、その結果微細藻類から発せられる特定波長の蛍光の強度を測定する。なお、当該被検試料は前述した微細藻類の培養液とほぼ同義であり、微細藻類自体と共に微細藻類の培養液とが含まれているものとする。
測定された特定波長の蛍光強度のデータは、図4の増殖活性測定部において、微細藻類の増殖活性が判断される。上述した本発明方法では、事前に微細藻類が照射された励起光を吸収して発する蛍光のうち、その変化が微細藻類の増殖活性の変化に1対1で対応する蛍光の波長を特定し、その蛍光の強度と微細藻類の増殖活性との関係を明らかにしておく。本発明装置では、好適には、かかる事前取得データ、即ち対象となる微細藻類の培養液へ特定波長の光を照射することにより、微細藻類の培養液から発せられる特定波長の蛍光強度の経時的変化と、当該強度に対応する微細藻類の増殖活性を記憶するための記憶部と;上記蛍光強度測定部により測定された蛍光強度と、上記記憶部に記憶された蛍光強度から同等のものを特定する手段を、増殖活性測定部等に有し、被検試料に含まれる微細藻類の増殖活性が判定される。
上記の様に判定された増殖活性は、上記特定手段により特定された上記記憶部に記憶された蛍光強度に対応する増殖活性を出力するための表示部に表示してもよい。表示部に表示された情報に従って、例えば制御盤を通じて、光環境、海水や栄養塩の添加、二酸化炭素の供給量、培養槽の温度などを調節してもよい。或いは、増殖活性測定部において、増殖活性の異常が検知された場合に、自動的に光環境の調節等を行ってもよい。
一般的に、微細藻類の増殖活性は培養初期において高く、微細藻類濃度が高まるにつれ低くなっていき、濃度がピークに達した以降は増殖速度よりも死滅速度の方が高くなる。よって、例えば、測定された特定波長の蛍光強度が、微細藻類濃度がピークに達する時点に対応する特定波長の蛍光強度に達した場合には、制御盤から他の部分に指示が送達され、培養条件の変更が行われる。具体的には、培養液がポンプ:Pにより培養槽から抜き出され、さらに濃縮フィルタ:濃縮Fにより濃縮される。濃縮された培養液は別タンクに分離し、濃度が薄められた培養液は培養槽に循環して、再び培養を開始すればよい。また、二酸化炭素濃度などの培養条件も、培養初期に適した条件に修正してもよい。
以上の通り、本発明装置を用いれば、単に培養槽の微細藻類濃度を測定するのみの従来装置よりも、微細藻類の増殖活性を把握しつつ培養条件を制御できることから、極めて効率的に微細藻類を培養することが可能になる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
実施例1
(1) 培養条件
供試材料としては、北海道大学大学院薬学研究科創薬化学専攻創薬化学講座天然物化学分野で継代培養されたギムノディニウム目ギムノディニウム科アンフィディニウム属の渦鞭毛藻を用いた。培養液としては、オートクレーヴ済み海水にP−ES培地1%を加えたものを用いた。当該培養液と、種となる渦鞭毛藻を200ml三角フラスコ内に入れ、シリコン製栓で蓋をした。培養時の光強度は光合成光量子束密度(Photosynthetic photon flux、PPF)で50μmol/m2sとし、明期16時間、暗期8時間とした。また、培養時の温度は明期では25.5℃、暗期では24.5℃とした。
(2) 可視画像の計測
可視画像の計測にはデジタルカメラを用いた。計測は、培養開始から57日目まで3日毎に蛍光灯下で行った。計測時には、計測対象となる培養フラスコの背面に白色のボール紙を配置した。培養開始から6日目、24日目、30日目、39日目、57日目の可視画像写真を、それぞれ図1(1)〜(5)に示す。
図1(1)〜(3)の通り、培養開始から培養フラスコの底部の色が次第に濃くなり、経時的に渦鞭毛藻が増殖していることが分かる。そして、30日目(図1(3))に色が最も濃くなった。しかし、30日目以降は徐々に色は薄くなっているので(図1(3)〜(5))、渦鞭毛藻数は経時的に少なくなることが分かった。
(3) 励起−蛍光マトリックス計測
励起−蛍光マトリックスとは、多数の励起波長に対する蛍光スペクトルを計測し、各励起波長により計測対象から発せられる蛍光の強度を等高線表示するものである。励起−蛍光マトリックス計測には、3次元分光蛍光光度計(HITACHI製、F−4500)を用いた。渦鞭毛藻に照射する励起光は、300〜800nmの範囲で10nm刻みの波長のものとした。また、測定する蛍光の波長は、350〜850nmの範囲で10nmとした。波長が500nm以上の蛍光の測定の際には、励起光の2倍光および3倍光の影響を防ぐために黄色のロングパスフィルター(HOYA製、Y−48)を用いた。
計測時には、渦鞭毛藻の沈降の影響を軽減するためにマイクロピペッターを用いてセル内で静かに攪拌し、その後、速やかに計測した。計測は培養開始から57日目まで、3日毎に行った。培養開始から6日目、30日目、および57日目の励起−蛍光マトリックスを、それぞれ図2(1)〜(3)に示す。
図2の通り、励起波長350〜600nmで蛍光波長600〜750nmの領域において高強度の蛍光が観察された。励起波長350〜600nmで蛍光波長650〜750nmの領域では、相対蛍光強度が2.5をこえる領域が、6日目(図2(1))より、30日目(図2(2))で大きく分布していた。その分布は、57日目(図2(3))にはやや小さくなった。よって、当該領域の蛍光は渦鞭毛藻の数に対応しており、渦鞭毛藻が有する光合成色素等によるものと考えられた。
また、励起波長380〜420nmで蛍光波長600〜650nmの領域の蛍光強度は、培養日数に伴い大きくなった。よって当該領域の蛍光は、渦鞭毛藻の成長や死滅に伴って産生された物質によるものと考えられた。
また、図3(1)に励起波長480nmで蛍光波長680nmの領域における蛍光強度の経時変化を、図3(2)に励起波長400nmで蛍光波長620nmの領域における蛍光強度の経時変化を示す。図3(1)の通り、励起波長480nmで蛍光波長680nmの領域における蛍光強度は、培養開始後6日目から急激に大きくなり、30日目に最大となった。また、30日目以降は徐々に小さくなる傾向が見られた。図3(2)によれば、励起波長400nmで蛍光波長620nmの領域における蛍光強度は培養開始後から徐々に大きくなった。また、培養開始後30日目以降では、それまでに比べ、蛍光強度の増加率が大きくなった。
従って、渦鞭毛藻の培養に当っては、励起波長350〜600nmで蛍光波長650〜750nmの領域の蛍光強度を測定することにより細胞数を把握できることが分かった。一方、励起波長380〜420nmで蛍光波長600〜650nmの領域の蛍光強度を測定することによって、渦鞭毛藻の増殖活性を確認できることが実証された。
培養開始から6日目、24日目、30日目、39日目、57日目における渦鞭毛藻培養液の可視画像写真である。 培養開始から6日目、30日目、および57日目における渦鞭毛藻培養液の励起−蛍光マトリックスの計測結果を示す図である。 渦鞭毛藻培養液の、励起波長480nmで蛍光波長680nmの領域における蛍光強度の経時変化(図3(1))と、励起波長400nmで蛍光波長620nmの領域における蛍光強度の経時変化(図3(2))を示すグラフである。 本発明装置の一態様を示す図である。

Claims (3)

  1. 微細藻類の増殖活性を測定するための方法であって、
    微細藻類を事前に培養し、波長が380〜420nmの励起光を培養液へ照射した場合に、微細藻類の培養液から発せられる波長が600〜650nmの蛍光であって、その強度が培養時間の経過に伴って強くなり続ける或いは弱くなり続けるものを特定し、その強度と培養時間との関係を示すデータ1を得る工程;
    対象となる微細藻類を含む被検試料へ、波長が380〜420nmの光を照射する工程;
    照射光により被検試料から発せられる、波長が600〜650nmの蛍光であって、上記事前培養において、その強度が培養時間の経過に伴って強くなり続ける或いは弱くなり続けるものとして特定された蛍光の強度を測定する工程;および
    測定された波長の蛍光強度を、上記事前培養で得られたデータ1と照合することにより、微細藻類の増殖活性を判定する工程;
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 上記事前培養において、さらに、波長が350〜600nmの励起光を培養液へ照射した場合に、微細藻類の培養液から発せられる波長が650〜750nmの蛍光であって、その強度が微細藻類の濃度に対応して変化するものを特定し、その強度と培養時間と微細藻類の濃度との関係を示すデータ2を得る工程を含む請求項1に記載の方法。
  3. 励起−蛍光マトリックス計測を利用する請求項1または2に記載の方法。
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