JPWO2018043147A1 - 光合成微細藻類の培養方法 - Google Patents

光合成微細藻類の培養方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、従来よりも効率的にキサントフィルを得ることが可能な、光合成微細藻類の培養方法を提供する。本発明の培養方法は、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に光照射を行う工程を有し、前記光照射を行う工程において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量を、乾燥質量換算で2質量%以上に保つことが好ましい。前記光照射を行う工程は、光照射(a)を行う細胞数増加工程(A)および、前記細胞数増加工程(A)が行われた光合成微細藻類に、光照射(b)を行う光合成微細藻類中のキサントフィル含有量を増加させる工程(B)から成ることが好ましい。

Description

本発明は、キサントフィルを含む光合成微細藻類の培養方法に関する。
現在キサントフィルは、様々な用途に使用されている。
キサントフィルの一種であるアスタキサンチンは、赤色のカロテノイドの一種であり、強力な抗酸化作用を有することが知られている。このため、アスタキサンチンは、食材用色素、化粧品、健康食品などに使用されている。
アスタキサンチンは、化学合成することも可能であるが、天然由来のアスタキサンチンが広く使用されている。天然由来のアスタキサンチンは、オキアミ、アマエビなどのエビ類、ファフィア酵母、藻類などから抽出されている。
エビ類あるいはファフィア酵母のアスタキサンチン含有量は低いことが知られている。このため、藻類を培養することにより、アスタキサンチンを得る方法が検討されている。藻類、例えば、ヘマトコッカスは、窒素源枯渇や強光といった外部環境の変化(ストレス)に応じてシスト化し、藻体内にアスタキサンチンを蓄積することが知られている。現在商用化されているヘマトコッカスによるアスタキサンチン生産はアスタキサンチンを蓄積する前の緑色の鞭毛をもつ遊走子状の細胞(グリーンステージ)で細胞数を増やし、その後ストレスによりシスト細胞(レッドステージ)細胞内にアスタキサンチンを蓄積させる方法がとられている。しかしながらこの遊走細胞の培養は弱光条件を好むなど培養環境の維持が難しいことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、ヘマトコッカス等の藻類を培養することにより、アスタキサンチンを得る方法としては、様々な検討がされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
例えば、特許文献1では、キサントフィルを含有する光合成微細藻類を栄養培地に接種して増殖させる工程、増殖した微細藻類をシスト化させる工程を含む、光合成微細藻類からキサントフィルを製造する方法が開示されている。
特許文献2では、シスト化した緑藻に、25,000μmol/(m3・s)以上の光合成有効光量子束投入量で光照射を行う、緑藻の製造方法が開示されている。
特許文献3では、藻類に赤色光照明光と、青色光照明光とを別個独立に、繰り返し照射する藻類の培養方法が開示されている。
特許文献4では、藻類を培養して藻体内にアスタキサンチンを生産させる際に、アスタキサンチン生産培養期間の光照射を、青色LEDと、赤色LEDとを併用して行うことが開示されている。
国際公開2005/116238号 特開2007‐97584号公報 国際公開2013/021675号 国際公開2015/151577号
北村晃利、他2名、「Haematococcus属緑藻によるアスタキサンチンの商業生産」、生物工学、公益社団法人 日本生物工学会、2015年、 第93巻 第7号 p.383−387
特許文献1〜4では、アスタキサンチン等のキサントフィルを効率的に得るために、種々の検討がされているが、より効率的にキサントフィルを得ることが可能な光合成微細藻類の培養方法が求められていた。
そこで、本発明は、従来よりも効率的にキサントフィルを得ることが可能な、光合成微細藻類の培養方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、培養開始時の細胞として特定量のキサントフィルを含有するシスト化した光合成微細藻類を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明の、例えば以下の[1]〜[10]に関する。
[1] キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に光照射を行う工程を有する、光合成微細藻類の培養方法。
[2] 前記光照射を行う工程が、窒素濃度が、0.03〜0.5g/Lの培地を用いる工程である、[1]に記載の光合成微細藻類の培養方法。
[3] 前記光照射を行う工程において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量を、乾燥質量換算で2質量%以上に保つ、[1]または[2]に記載の光合成微細藻類の培養方法。
[4] 前記光照射を行う工程が、
キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に、光照射(a)を行う細胞数増加工程(A)および、前記細胞数増加工程(A)が行われた光合成微細藻類に、光照射(b)を行う光合成微細藻類中のキサントフィル含有量を増加させる工程(B)であり、
前記光照射(a)が光源として、白色LEDを用いた光照射(I)、白色LEDおよび青色LEDを用いた光照射(II)、白色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(III)、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(IV)、青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射(V)、並びに青色LEDを用いた光照射(VI)から選択される少なくとも1種の光照射であり、
前記光照射(b)が光源として、白色LEDを用いた光照射(I)、白色LEDおよび青色LEDを用いた光照射(II)、白色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(III)、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(IV)、並びに青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射(V)から選択される少なくとも1種の光照射である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光合成微細藻類の培養方法。
[5] 前記工程(A)が、窒素濃度が、0.03〜0.5g/Lの培地を用いる工程である、[4]に記載の光合成微細藻類の培養方法。
[6] 前記光照射を行う工程において、光合成有効光量子束密度が、750μmol/(m2・s)以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光合成微細藻類の培養方法。
[7] 前記工程(A)が3〜7日間行われ、前記工程(B)が4〜10日間行われ、工程(A)と工程(B)とを合わせて7〜17日間行われる、[4]または[5]に記載の光合成微細藻類の培養方法。
[8] 前記光照射を行う工程により得られた光合成微細藻類の培養液1L当たりの、キサントフィルの量(mg)を、光照射を行う工程が行われる期間(day)で除した、キサントフィルの生産性(mg/(L・day))が、20mg/(L・day)以上である、[1]〜[7]のいずれかに記載の光合成微細藻類の培養方法。
[9] 前記キサントフィルがアスタキサンチンであり、光合成微細藻類が、ヘマトコッカス属の緑藻類である、[1]〜[8]のいずれかに記載の光合成微細藻類の培養方法。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の培養方法により得られたキサントフィル含有量が300mg/L以上である光合成微細藻類の培養液。
従来よりも効率的にキサントフィルを得ることが可能な、光合成微細藻類の培養方法が提供される。
実施例1および2の培養液中の全窒素濃度の経時変化を示す。 実施例1および2の培養液中の細胞数の経時変化を示す。 実施例1および2の培養液中のアスタキサンチン濃度の経時変化を示す。 実施例1および2の細胞内のアスタキサンチン濃度の経時変化を示す。 実施例3、比較例1の培養液中の全窒素濃度の経時変化を示す。 実施例3、比較例1の培養液中の細胞数の経時変化を示す。 実施例3、比較例1の培養液中のアスタキサンチン濃度の経時変化を示す。 実施例3、比較例1の細胞内のアスタキサンチン濃度の経時変化を示す。
次に本発明について具体的に説明する。
本発明の光合成微細藻類の培養方法は、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に光照射を行う工程を有する。なお、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に光照射を行う工程を、光照射工程とも記す。以下、本発明について詳細に説明する。
(キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類)
本発明の光合成微細藻類の培養方法は、後述の光照射工程を有し、本発明の培養方法には、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類が用いられる。
(光合成微細藻類)
本発明に用いられる光合成微細藻類としては、キサントフィルを生産する能力があり、シスト化可能であり、かつ光合成をすることができる藻類であれば、特に制限はない。光合成微細藻類としては、緑藻類が、キサントフィルの生産性の観点から好ましい。
緑藻類としては、例えば、ヘマトコッカス(Haematococcus)属に属する緑藻類が好ましく用いられる。ヘマトコッカス属の緑藻類としては、ヘマトコッカス・プルビアリス(H.pluvialis)、ヘマトコッカス・ラクストリス(H.lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(H.capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバケンシ(H.droebakensi)、ヘマトコッカス・ジンバブエンシス(H.zimbabwiensis)などが挙げられる。
ヘマトコッカス・プルビアリス(H.pluvialis)としては、米国テキサス大学藻類保存施設に寄託されているUTEX2505株、デンマークのコペンハーゲン大学のScandinavian Culture Center for Algae and Protozoa, Botanical Instituteに保存されているK0084株などが挙げられる。
ヘマトコッカス・ラクストリス(H.lacustris)としては、独立行政法人国立環境研究所に寄託されているNIES144株、NIES2263株、NIES2264株、NIES2265株、ATCCに寄託されているATCC30402株および同30453株、あるいはUTEX 16株および同294株などが挙げられる。
ヘマトコッカス・カペンシス(H.capensis)としては、UTEX LB1023株などが挙げられる。
ヘマトコッカス・ドロエバケンシ(H.droebakensi)としては、UTEX LB55株が挙げられる。
ヘマトコッカス・ジンバブエンシス(H.zimbabwiensis)としては、UTEX LB1758株などが挙げられる。
これらの中でも、光合成微細藻類としては、ヘマトコッカス・ラクストリス、ヘマトコッカス・プルビアリスがより好ましく用いられる。
(キサントフィル)
キサントフィルとは、カロテノイドの一種である。キサントフィルとしては、アスタキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン、クリプトキサンチンなどが挙げられる。
本発明の培養方法は、例えば後述の工程(A)によって、培養が難しい浮遊細胞(シスト化していない光合成微細藻類)を用いて細胞増殖を行う必要が無いため、強い光の照射下でも、光合成微細藻類の細胞数が増加する。工程(A)で増加した細胞にはすでにキサントフィルが含まれているため、細胞がダメージを受けることなく、例えば後述の工程(B)により、各光合成微細藻類の各々の細胞中に有するキサントフィル含有量が増加するため、本発明の培養方法は、大量のキサントフィルを得ることができる。
得られるキサントフィルは、主に光合成微細藻類の種類によって決まり、特に限定は無いが、高い抗酸化作用を持つアスタキサンチンであることが、キサントフィルの有効活用の点から好ましい。アスタキサンチンを得ることが可能な光合成微細藻類としては、例えば、前述のヘマトコッカス属の緑藻類が挙げられ、ヘマトコッカス・ラクストリス、ヘマトコッカス・プルビアリスが好ましい。
(シスト化)
光合成微細藻類の中には、例えば、光照射、栄養飢餓状態、酸化物の存在などのストレスにより、細胞内にキサントフィルなどを蓄積し、休眠胞子化する藻類が存在する。
この休眠状態に入ることをシスト化という。本発明において、シスト化とは、休眠状態に入りキサントフィルを蓄積し始めた状態から完全にシスト化し休眠胞子となった状態のいずれの状態も含む。
(キサントフィル含有量)
本発明に用いる光合成微細藻類は、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類である。このようなキサントフィルを多く含む光合成微細藻類を用いるため、本発明では強い光を用いて光照射を行うことが可能である。本発明の培養方法は、光照射によって、細胞数が増加し、増加した細胞には既にキサントフィルが含まれているため、細胞がダメージを受けることなく、細胞中のキサントフィル濃度が増加するため、培養後に得られる光合成微細藻類が含むキサントフィル含有量が多くなり、従来よりも効率的にキサントフィルを得ることができる。
キサントフィルを多く含むシスト化した光合成微細藻類を得ることは一般には難しいため、キサントフィルを含むシスト化した光合成微細藻類としては、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜7質量%含むことがより好ましい。
なお、キサントフィルを多く含む、例えば乾燥質量換算で、7質量%を超えて9質量%以下含むシスト化した光合成微細藻類は、キサントフィルを乾燥質量換算で7質量%以下含む光合成微細藻類を種培養等によって準備するのに比べて時間がかかるため、効率の点で劣る傾向にあるが、キサントフィルを多く含む光合成微細藻類は、キサントフィルの蓄積を促進する強い光に耐えられるため、本発明に使用することができる。
キサントフィルを乾燥質量換算で3〜7質量%含むシスト化した光合成微細藻類としては、キサントフィルの蓄積を促進する強い光に耐えられるという観点およびシスト化した光合成微細藻類を種培養等によって準備する期間を節約できるという観点からキサントフィルを乾燥質量換算で3.5〜6質量%含むシスト化した光合成微細藻類がより好ましい。
なお、光合成微細藻類のキサントフィル含有量は、所定量の光合成微細藻類を乾燥させた際の質量および、所定量の光合成微細藻類に含まれるキサントフィル含有量から求めることができる。
〔光照射工程〕
本発明の光合成微細藻類の培養方法は、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に光照射を行うことにより行われる。すなわち、本発明において光照射される光合成微細藻類は、光照射を行う直前の時点、言い換えると光照射開始時点においてキサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含んでおり、光照射中には、キサントフィル量は変動する。
本発明では、光照射により、光合成微細藻類の細胞数増加と、各シスト化した細胞内のキサントフィル量の増加とが起こるため、効率的にキサントフィルを得ることができる。
本発明の培養方法では、効率的にキサントフィルを得ることができる。
なお、本発明の培養方法では、光照射工程において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量を、乾燥質量換算で2質量%以上に保つことが好ましく、2.5質量%以上に保つことがより好ましく、2.8質量%以上に保つことがさらに好ましい。すなわち、光照射工程においては、キサントフィルを含有したままの各娘細胞が放出され、光照射のダメージにより死滅することなく、光照射のストレスによるキサントフィル生成が可能となる様に、常に光合成微細藻類のキサントフィル含有量が、好ましくは乾燥質量換算で2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは2.8質量%以上となるように、維持することが好ましい。なお、光照射工程において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量の上限は、特に限定は無いが、通常は15質量%以下である。
本発明の培養方法では、光合成微細藻類の細胞数が増加する際、例えば後述の工程(A)を行う際に、乾燥質量換算の光合成微細藻類のキサントフィル含有量が低下する。細胞数が増加する際においても、乾燥質量換算の光合成微細藻類のキサントフィル含有量が前記範囲となるようにすることにより、キサントフィルの蓄積を促進する強い光を当てることが可能となるため好ましい。
光照射工程は、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に、光照射(a)を行う細胞数増加工程(A)および、前記細胞数増加工程(A)が行われた光合成微細藻類に、光照射(b)を行う光合成微細藻類中のキサントフィル含有量を増加させる工程(B)からなることが好ましい。
〔工程(A)〕
本発明の光合成微細藻類の培養方法は好ましくは、前述のキサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に、光照射(a)を行う細胞数増加工程(A)を有する。
工程(A)は、後述の光照射(a)が行われる以外は、例えば、従来公知の光合成微細藻類の細胞数を増やす際に行われる培養方法と同様に行うことができ、特に制限は無い。
例えば、工程(A)としては、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類を、培地に接種し、光照射(a)を行う方法が挙げられる。
工程(A)は好ましくは3〜7日間行われ、より好ましくは4〜6日間行われる。なお、工程(A)では、通常は常に光照射(a)が行われるが、工程の進捗状況を確認する際等に、一時的に光照射(a)が行われなくてもよい。但し、一時的に光照射が行われない場合には、工程(A)において光照射が行われない時間の合計は、工程(A)の5%以下であることが好ましい。
工程(A)で用いられるキサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類の量としては、特に制限は無いが、後述の培地1Lあたり、通常は0.05〜5gであり、好ましくは0.3〜2gである。前記範囲では、より効率的にキサントフィルを得ることができるため好ましい。
工程(A)では光合成微細藻類の細胞数が増加する。光合成微細藻類の細胞数が増加する理由は、以下の通りであると本発明者らは推測した。キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類は、工程(A)では、培地中の栄養素を利用しながら光合成することによりキサントフィルを含有する2〜32個の娘細胞を含んだシスト細胞となる。この細胞からキサントフィルを含有する娘細胞が放出される。このようにして、工程(A)では、光合成微細藻類の細胞数が増加すると考えられる。
〔工程(B)〕
本発明の光合成微細藻類の培養方法は好ましくは、前記細胞数増加工程(A)が行われた光合成微細藻類に、光照射(b)を行う光合成微細藻類中のキサントフィル含有量を増加させる工程(B)を有する。工程(B)では、光照射(b)を行うことにより、個々の光合成微細藻類中のキサントフィル含有量が増加する。
工程(B)は、後述の光照射(b)が行われる以外は、例えば、従来公知の光合成微細藻類のキサントフィル含有量を増加させる際、シスト化を促進する際に行われる培養方法と同様に行うことができ、特に制限は無い。
例えば、工程(B)としては、工程(A)を行った後、光合成微細藻類を取り出すことなく、そのまま光照射(b)を行う方法、工程(A)を行った後、光合成微細藻類を取り出した後、新たな培地に接種し、光照射(b)を行う方法が挙げられる。
工程(B)は好ましくは4〜10日間行われ、より好ましくは6〜8日間行われる。なお、工程(B)では、通常は常に光照射(b)が行われるが、工程の進捗状況を確認する際等に、一時的に光照射(b)が行われなくてもよい。但し、一時的に光照射が行われない場合には、工程(B)において光照射が行われない時間の合計は、工程(B)の5%以下であることが好ましい。
また、本発明の培養方法では、光照射工程(例えば工程(A)と工程(B)とを合わせた期間)は、好ましくは7〜17日間行われ、より好ましくは10〜14日間行われる。
工程(B)では、光合成微細藻類中のキサントフィル含有量が増加する。キサントフィル含有量が増加する理由は、以下の通りであると本発明者らは推測した。工程(A)により、細胞数が増えた光合成微細藻類は、工程(B)で栄養飢餓かつ光照射のストレスでシスト化が進み、光合成微細藻類の各細胞内で、さらなるキサントフィルが生成され蓄積されるため、キサントフィル含有量が増加すると考えられる。
本発明の培養方法が工程(A)および工程(B)を有すると、上述のように光合成微細藻類の細胞数増加と、細胞数増加に続いて各細胞内のキサントフィル量の増加とが起こるため、効率的にキサントフィルを得ることができる。
本発明の培養方法では、上述のように、光照射工程において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量が常に、乾燥質量換算で2質量%以上であることが好ましく、2.5質量%以上であることがより好ましく、2.8質量%以上であることがさらに好ましい。光照射工程が、工程(A)および工程(B)である場合には、工程(A)および工程(B)において、キサントフィルを含有したままの各娘細胞が放出され、光照射のダメージにより死滅することなく、光照射のストレスによるキサントフィル生成が可能となる様に常に、光合成微細藻類のキサントフィル含有量が、乾燥質量換算で2質量%以上に保つことが好ましく、2.5質量%以上に保つことがより好ましく、2.8質量%以上に保つことがさらに好ましい。なお、光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量の上限は、特に限定は無いが、通常は乾燥質量換算で15質量%以下である。
(光照射、光照射(a)および光照射(b))
本発明の培養方法では、光合成微細藻類に光照射が行われる。光照射工程としては、工程(A)および工程(B)であることが好ましく、工程(A)では光照射(a)が行われ、工程(B)では、光照射(b)が行われる。
工程(A)では、光照射(a)が行われる。光照射(a)は、光源として、白色LEDを用いた光照射(I)、白色LEDおよび青色LEDを用いた光照射(II)、白色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(III)、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(IV)、青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射(V)、並びに青色LEDを用いた光照射(VI)から選択される少なくとも1種の光照射である。
工程(B)では、光照射(b)が行われる。光照射(b)は、光源として、白色LEDを用いた光照射(I)、白色LEDおよび青色LEDを用いた光照射(II)、白色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(III)、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(IV)、並びに青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射(V)から選択される少なくとも1種の光照射である。
なお、光照射(a)において、光照射(I)を行う場合には、少なくとも青色光を含む白色LEDが用いられ、光照射(b)において、光照射(I)を行う場合には、少なくとも青色光と、赤色光とを含む白色LEDが用いられ、光照射(b)において光照射(II)を行う場合には、少なくとも赤色光を含む白色LEDが用いられる。
なお、本発明では、光照射(a)と光照射(b)とでは、同じ光源を用いた光照射であってもよく、異なる光源を用いた光照射であってもよい。
光照射(a)と光照射(b)とでは、異なる光源を用いることがそれぞれの工程に適した光質・光量を選択することが可能であるため好ましい。
なお、「異なる光源を用いた光照射」とは、「光照射(a)と光照射(b)とでは、少なくとも一部の光源として、発光波長が異なる光源(LED)を用いた光照射が行われること」および「光照射(a)において発光波長が異なる複数の光源を同時に用いた光照射が行われ、光照射(b)において発光波長が異なる複数の光源を同時に用いた光照射が行われ、光照射(a)と光照射(b)とに用いられる光源(発光波長)の組み合わせが同じである場合において、光照射(a)における、各光源の強度比と、光照射(b)における、各光源の強度比とが異なる光照射が行われること」の少なくとも一方を満たすことを意味する。なお、「異なる光源を用いた光照射」とは、光源の光量や、光源(LED)の本数等が異なることを意味するものではない。
なお、異なる光源を用いるとは、少なくとも一方の光照射が光源として複数の光源を用いる場合には、光源の少なくとも一部が異なればよい。例えば光照射(a)において白色LEDを用いた場合には、光照射(b)において、白色LEDおよび青色LEDを用いた場合、白色LEDおよび赤色LEDを用いた場合も、異なる光源を用いた光照射となる。別の例としては、光照射(a)において、白色LEDおよび青色LEDを用いた場合には、光照射(b)において、白色LEDを用いた場合、白色LEDおよび赤色LEDを用いた場合、青色LEDおよび赤色LEDを用いた場合も、異なる光源を用いた光照射となる。
光照射(a)が、青色LEDと赤色LEDによる青色光と赤色光を交互に照射する場合は、光照射(a)は青色光のみ照射と赤色光のみの照射の組合せであるから、光照射(b)が青色光と赤色光の同時照射であるときは異なる光源による光照射とみなす。
また、異なる光源を用いる別の例としては、光照射(a)および光照射(b)において、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射が行われる場合において、光照射(a)では青色LEDの発光強度が赤色LEDの発光強度よりも強く、光照射(b)では青色LEDの発光強度が赤色LEDの発光強度よりも弱い場合が挙げられる。
なお、「同じ光源を用いた光照射」とは、「光照射(a)と光照射(b)とで用いる光源(発光波長)を全て同じとする光照射が行われること」を意味する。
すなわち、光照射(a)において白色LEDを用いた場合には、光照射(b)において白色LEDを用いた場合が、同じ光源を用いた光照射であり、光照射(b)において、例えば白色LEDおよび青色LEDを用いた場合には、同じ光源を用いた光照射には該当しない。
光照射(a)で行われる光照射としては、光照射(I)、光照射(II)、光照射(IV)、光照射(V)または光照射(VI)であることが好ましい。光照射(a)では、青色光の照射が効果的であり、青色LEDや白色LEDを用いることが好ましい。光照射(a)としては、制御の容易さの観点から、光照射(I)、光照射(II)、光照射(IV)または光照射(VI)であることが好ましい。
光照射(b)で行われる光照射としては、光照射(III)、光照射(IV)または光照射(V)であることが好ましい。光照射(b)では、青色光および赤色光の照射が効果的であり、赤色LEDを、青色LEDや白色LEDと共に用いることが好ましい。光照射(b)としては、制御の容易さの観点から、光照射(III)、または光照射(IV)であることが好ましい。
青色LEDとは、ピーク波長が460〜490nmのLED(発光ダイオード)であり、好ましくはピーク波長が430〜470nmのLEDである。青色LEDとしては例えば、昭和電工製(GA2RT450G)等を用いることができる。
赤色LEDとは、ピーク波長が620〜690nmのLED(発光ダイオード)であり、好ましくはピーク波長が645〜675nmのLEDである。赤色LEDとしては例えば、昭和電工製(HRP−350F)等を用いることができる。
白色LEDとしては、青色LEDチップと、励起光が青色光であり、発光波長が黄色光である蛍光体とを組み合わせた白色LED、青色LEDチップと、励起光が青色光であり、発光波長が黄色光である蛍光体、および発光波長が黄色以外(例えば、赤色、緑色、青緑色)の蛍光体を組み合わせた白色LED、青、赤、緑の各LEDチップを有する白色LED等を挙げることができる。白色LEDとしては例えば、日亜化学製(NESW146A)、株式会社ビームテック製(LTN40YD)等を用いることができる。
光照射の光量(強度)、光照射(a)および光照射(b)の光量(強度)はそれぞれ、特に限定されないが、例えば光合成有効光量子束密度(Photosynthetic Photon Flux Density:PPFD)が750μmol/(m2・s)以上であることが好ましく、1,000μmol/(m2・s)以上であることがより好ましく、1,200μmol/(m2・s)以上であることが特に好ましい。光合成有効光量子束密度の上限としては、特に限定されないが、機器の入手の容易さの観点、エネルギー効率の観点から通常は30,000μmol/(m2・s)以下、好ましくは20,000μmol/(m2・s)以下である。なお、光照射の際に、発光波長の異なる二種類のLEDを同時に用いる場合には、上記光量は、用いたLEDの合計の光量である。
光照射(a)で用いられる光源には通常、波長400〜490nmの青色光が含まれる。光照射(a)における、波長400〜490nmの青色光の光量(PPFD)は、全光量(PPFD)を100%とすると、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。上限としては、特に限定は無いが、100%であってもよい。光源として青色LEDを用いた場合には、波長400〜490nmの青色光の光量(PPFD)は、通常80〜100%となる。前記範囲では、光合成微細藻類の細胞数の増加が好適に進むため好ましい。
光照射(b)で用いられる光源には通常、波長400〜490nmの青色光および波長620〜690nmの赤色光が含まれる。光照射(b)における、波長400〜490nmの青色光の光量(PPFD)は、全光量(PPFD)を100%とすると、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。また、光照射(b)における、波長620〜690nmの赤色光の光量(PPFD)は、全光量(PPFD)を100%とすると、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上である。上限としては、特に限定は無いが、光源として、青色LEDおよび赤色LEDを用いた場合には、波長400〜490nmの青色光の光量と、波長620〜690nmの赤色光の光量との合計が100%であってもよい。前記範囲では、光合成微細藻類のキサントフィル含有量が好適に増えるため好ましい。
なお、光照射(V)を行った場合には、赤色LEDを用いて光照射を行っている際には、青色光の光量は、0%となり、青色LEDを用いて光照射を行っている際には、赤色光の光量は、0%となる。光照射(V)を行う場合には、光照射(V)を行っている際の、青色LEDを用いた光照射の時間と、赤色LEDを用いた光照射の時間とが、後述の範囲になればよい。
光合成有効光量子束密度が前記範囲内では、光量が充分であるため、効率的に光合成微細藻類の増殖およびキサントフィルの生成が可能であり好ましい。なお、キサントフィルを充分含有していない光合成微細藻類に高い光合成有効光量子束密度で光照射を行うと、細胞数が増える前に細胞にダメージが起こり、死滅することがあるが、本発明の培養方法は、上述のようにキサントフィルを含むシスト化した光合成微細藻類を用いるため、高い光合成有効光量子束密度で光照射を行っても、細胞数が増え好ましい。
なお、光照射工程が、工程(A)および工程(B)からなる場合には、光照射(a)および光照射(b)の光量は、同じであっても、異なっていてもよい。工程(A)の中で光照射(a)の光量は、制御の容易さの観点から一定であってもよく、細胞密度に応じて最適な光量に制御されるように変動させてもよい。また、工程(B)の中で光照射(b)の光量は、制御の容易さの観点から一定であってもよく、細胞密度に応じて最適な光量に制御されるように変動させてもよい。
各光照射(光照射(II)、(III)および(IV))において、発光波長の異なる二種類のLEDを同時に用いる場合における光量(強度)の比としては特に制限は無い。光照射に用いる任意の色のLEDをX色LEDとし、光照射に用いるX色LEDとは異なる発光波長のLEDをY色LEDとすると、X色LEDとY色LEDとの強度比(光合成有効光量子束密度の比)は、通常1:20〜20:1であり、好ましくは1:15〜15〜1であり、より好ましくは1:10〜10:1である。
光照射(V)は、前述のように青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射である。すなわち、光照射(V)では、青色LEDを用いた光照射と赤色LEDを用いた光照射とを交互に行う。光照射(V)では、各LEDを用いた光照射が、それぞれ一定期間別個独立に行われる。
光照射(V)では、青色LEDを用いた光照射および赤色LEDを用いた光照射をそれぞれ少なくとも1回行われる。青色LEDを用いた光照射をIBとし、赤色LEDを用いた光照射をIRとすると、光照射(V)としては、例えば、IB、IRの順で、それぞれ1回行われる光照射、またはIB、IRの順で行われる光照射を1ステップとし、少なくとも一回該ステップが行われる光照射が挙げられる。
光照射(V)では、IBを行う時間と、IRを行う時間との比としては特に限定は無い。光照射(a)として、光照射(V)を行う場合には、IBを行う時間と、IRを行う時間との比(IB:IR)は、通常は1:1〜250:1である。また、光照射(b)として、光照射(V)を行う場合には、IBを行う時間と、IRを行う時間との比(IB:IR)は、通常は1:1〜1:250である。
なお、前記IBを行う時間は、青色LEDを用いた光照射を複数回行う場合には、工程(A)または工程(B)で行われる青色LEDを用いた光照射の合計時間を意味し、前記IRを行う時間は、赤色LEDを用いた光照射を複数回行う場合には、工程(A)または工程(B)で行われる赤色LEDを用いた光照射の合計時間を意味する。
なお、光照射(a)は、光照射(I)〜(VI)から選択される少なくとも1種の光照射であるが、光照射(a)は、光照射(I)〜(VI)から選択される1種の光照射であってもよく、光照射(a)は、光照射(I)〜(VI)から選択される2種以上の光照射であってもよい。光照射(a)としては、光照射(I)〜(VI)から選択される1種の光照射であることが、制御の容易さの観点から好ましい。
光照射(a)が、光照射(I)〜(VI)から選択される2種以上の光照射であるとは、光照射(I)〜(VI)から選択される2種以上の光照射を同時に行う態様、順番に行う態様等が挙げられる。
なお、光照射(b)は、光照射(I)〜(V)から選択される少なくとも1種の光照射であるが、光照射(b)は、光照射(I)〜(V)から選択される1種の光照射であってもよく、光照射(b)は、光照射(I)〜(V)から選択される2種以上の光照射であってもよい。光照射(b)としては、光照射(I)〜(V)から選択される1種の光照射であることが、制御の容易さの観点から好ましい。
光照射(b)が、光照射(I)〜(V)から選択される2種以上の光照射であるとは、光照射(I)〜(V)から選択される2種以上の光照射を同時に行う態様、順番に行う態様等が挙げられる。
光照射(a)および光照射(b)の少なくとも一方において、前記2種以上の光照射が行われた場合には、光照射(a)および光照射(b)において、一部でも異なる光源を用いることが好ましい。例えば、光照射(a)において、光照射(I)および光照射(II)が行われる場合には、光照射(b)が、光照射(I)のみである場合、光照射(II)のみである場合、光照射(I)と光照射(III)または(IV)とを行った場合、光照射(II)と、光照射(III)または(IV)とを行った場合等は、異なる光源を用いた光照射となる。
また、前記のように光照射(a)と光照射(b)において、ともに光照射(IV)を行う場合であって、光照射(a)と光照射(b)とでは青色LEDと赤色LEDの発光強度が異なる場合も、異なる光源を用いたとみなす。
以下、光照射工程(例えば、工程(A)、工程(B))を行う際の、光照射、光照射(a)、光照射(b)以外の条件について説明する。
(培地)
本発明の光合成微細藻類の培養方法に用いる培地としては、特に制限がない。
培地としては、通常は、光合成微細藻類の増殖に必要な窒素、微量金属の無機塩(例えば、リン、カリウム、マグネシウム、鉄など)などを含む、液体状の培地が用いられる。
培地としては、具体的には、VT培地、C培地、MC培地、MBM培地、MDM培地などの培地(藻類研究法 千原光雄・西澤一俊編、共立出版(1979)を参照)、OHM培地、BG−11培地およびこれらの改変培地などが用いられる。
光照射工程の前半(例えば、細胞数増加工程(A))では、光合成微細藻類の細胞数が増加、すなわち増殖する。光照射工程の前半(例えば、細胞数増加工程(A))で用いる培地としては、増殖に適した窒素源となる成分を添加した培地、例えば窒素濃度が、0.03g/L以上、好ましくは0.03〜0.5g/L、より好ましくは0.05〜0.5g/Lの培地を用いることが好ましい。
前記範囲では、細胞数の増加を効率的に行うことができ、且つ、光照射工程の後半(例えば、工程(B))において光照射工程の前半(例えば、工程(A))で用いた培地をそのまま使用した場合でも、光合成微細藻類が有するキサントフィル含有量を充分に増加させることができるため好ましい。
なお、光照射工程の後半(例えば、工程(B))においても、通常は培地を用いるが、光照射工程の後半(例えば、工程(B))に用いる培地としては、光照射工程の前半(例えば、工程(A))で用いた培地をそのまま使用してもよく、培地を変更してよい。光照射工程の後半(例えば、工程(B))に用いる培地としては、光合成微細藻類が有するキサントフィル含有量を、増加させる観点から、窒素源となる成分をほとんど含まない培地、例えば窒素濃度が、0.02g/L未満、好ましくは0.01g/L未満の培地を用いることが好ましい。
なお、光照射工程の前半(例えば、工程(A))で用いた培地をそのまま使用する場合には、光照射工程の前半(例えば、工程(A))において細胞数の増加が停止、あるいはほぼ停止した時点で、培地に含まれる窒素濃度は通常0.02g/L未満となる。また、光照射工程の前半(例えば、工程(A))と、光照射工程の後半(例えば、工程(B))とで培地を変更する場合には、光照射工程の後半(例えば、工程(B))において、上記窒素濃度の培地を採用すればよい。
すなわち、本発明では、光照射を行う工程が、窒素濃度が、0.03g/L以上の培地を用いる工程であることが好ましい。光照射を行う工程として、特に、光照射の開始時(前半)(例えば工程(A))において、窒素濃度が、0.03g/L以上、好ましくは0.03〜0.5g/L、より好ましくは0.05〜0.5g/Lの培地を用い培養を行い、反応の後半では、培地を変更してもよく、そのままの培地を用いてもよい。
前記範囲では、光照射工程の後半(例えば、工程(B))において、光合成微細藻類が有するキサントフィル含有量を充分に増加させることができるため好ましい。
(培養条件)
光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))における培養条件には、特に制限はなく、一般に、光合成微細藻類の培養に用いられる温度、pHが用いられる。
光合成微細藻類の培養は、例えば15〜35℃で行われ、好ましくは20〜30℃で行われ、より好ましくは22〜28℃で行われる。培養中のpHは、6.0〜10.0に保たれることが好ましく、7.0〜9.0に保たれることがより好ましい。
光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))では、二酸化炭素が供給されることが好ましい。二酸化炭素は、1〜5V/V%濃度の二酸化炭素を含有するガスを、例えば、0.2〜2vvmとなるように吹き込むことで供給される。なお、二酸化炭素を含有するガスとしては、二酸化炭素と空気とを混合したガスや、二酸化炭素と窒素ガスとを混合したガスを用いることができる。
扁平培養瓶等の扁平培養槽を用いる場合、前記二酸化炭素の供給により、培養液が撹拌され、微細藻類に対して光照射が均一に行われる。なお、培養液の撹拌は、別途撹拌機を用いて行ってもよい。
(培養装置)
光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))に用いられる培養装置は、光合成微細藻類、通常は光合成微細藻類を含む培養液に光照射できる装置であればよく、特に制限は無いが、通常は二酸化炭素を含有するガスを供給可能なラインを有する。
培養装置としては、例えば、小スケールの場合は、扁平培養瓶、大スケールの場合は、ガラス製、プラスチック製などの透明板で構成された扁平培養槽、照明器を備えた撹拌機つきのタンク型培養槽、チューブ型培養槽、エアドーム型培養槽、中空円筒型培養槽などが用いられる。また、密閉容器が好ましく用いられる。
(培養方法)
本発明の光合成微細藻類の培養方法では、上記培地、培養条件、培養装置などを適宜選択して組合せ、光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))を行う。光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))を行う方法としては、大きく分けて二つの方法がある。一つ目の方法は、光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))において、培地を変更しない方法、すなわち、一段階培養法である。二つ目の方法は、工程(A)を行った後、光合成微細藻類と、培地とを分離し、分離された光合成微細藻類と、新たな培地とを用いて工程(B)を行う方法、すなわち、二段階培養法である。前記一段階培養法は、光照射工程(例えば、工程(A)および工程(B))で培地の変更を行わないため、操作が容易であり、また、例えば工程(A)と工程(B)とが連続的に行われるため、雑菌の混入が起きづらいため好ましい。前記二段階培養法は、工程(A)、工程(B)のそれぞれにおいて、最適な培地を選択できる点で好ましい。前記一段階培養法は、連続培養には不向きであり、通常は回分式の培養として行われる。
(生産性および培養液)
本発明の培養方法は、キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類を用いるため、培養が難しい浮遊細胞(シスト化していない光合成微細藻類)を用いて細胞増殖を行う必要が無いため、強い光の照射下でも、光合成微細藻類の細胞数が増加する。増加した細胞にはすでにキサントフィルが含まれているため、細胞がダメージを受けることなく、各光合成微細藻類が細胞中に有するキサントフィル含有量が増加するため、大量のキサントフィルを得ることができる。
具体的には、得られた光合成微細藻類の培養液1L当たりの、キサントフィルの量(mg)を光照射工程の期間(例えば、工程(A)および(B)が行われる合計の期間)(day)で除した、キサントフィルの生産性(mg/(L・day))が、好ましくは20mg/(L・day)以上であり、より好ましくは30mg/(L・day)以上であり、特に好ましくは40mg/(L・day)以上である。生産性としては、高いほど好ましく、その上限としては特に制限は無いが、本発明の培養方法では、キサントフィルの生産性は、通常は100mg/(L・day)以下である。
本発明の光合成微細藻類の培養方法では、通常液体状の培地を用いるため、光合成微細藻類の培養液が得られる。本発明の培養方法で得られる光合成微細藻類の培養液は、培養液1Lあたり、好ましくはキサントフィル含有量が300mg/L以上であり、より好ましくは400mg/L以上であり、特に好ましくは500mg/L以上である。キサントフィル含有量としては、高いほど好ましく、その上限としては特に制限は無いが、得られる光合成微細藻類の培養液のキサントフィル含有量は、通常は1000mg/L以下である。
本発明の光合成微細藻類の培養方法で得られる光合成微細藻類は、キサントフィルを乾燥質量換算で4〜15質量%含むことが好ましく、5〜12質量%以上含むことがより好ましい。
(キサントフィルの回収)
本発明の光合成微細藻類の培養方法では、キサントフィルが光合成微細藻類内に蓄積されている。このため、キサントフィルの回収は、光合成微細藻類を回収した後、従来公知の方法を始め、特に制限なく、光合成微細藻類から回収される。光合成微細藻類からキサントフィルを回収する方法としては、例えば、機械的に光合成微細藻類を破壊した後、有機溶媒、超臨界二酸化炭素により抽出する方法が挙げられる。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(光合成微細藻類)
光合成微細藻類として、ヘマトコッカス・ラクストリスNIES−144株を用いた。
(培養液中のアスタキサンチン濃度の測定)
所定量の培養液をバイオマッシャーIV(株式会社ニッピ製)にとり、アセトンを加えてFastPrep−24(フナコシ株式会社製)で細胞を破砕しアスタキサンチンを抽出した。
遠心分離後、上澄を適宜アセトンで希釈したのち、474nmにおける吸光度を測定し、アスタキサンチンのアセトン中での吸光係数(A1%=2,100)から、培養液中のアスタキサンチン濃度(mg/L)を算出した。
(乾燥藻体質量の測定)
所定量の培養液を、あらかじめ恒温乾燥器で恒量としておいたGS25ガラス繊維ろ紙(アドバンテック東洋株式会社製)を用いて吸引濾過し、イオン交換水で洗浄したのち、105℃の恒温乾燥器で2時間乾燥した。その後、デシケーター中で室温まで冷却したのち、その質量を測定することにより、培養液中の乾燥藻体質量(mg/L)を求めた。
(細胞内のアスタキサンチン濃度の算出)
前記培養液中のアスタキサンチン濃度(mg/L)を、培養液中の乾燥藻体質量(mg/L)で除することにより、細胞内のアスタキサンチン濃度(質量%)(乾燥質量換算)を算出した。
(培養液中の全窒素濃度(mg/L)の測定)
所定量の培養液から遠心分離により細胞を沈殿として除いた上澄を作製し、この上澄中の全窒素濃度を全窒素測定試薬キット143C191(東亜ディーケーケー株式会社製)、ポータブル簡易全窒素・全りん計TNP−10(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定した。
(細胞数の測定)
所定量の培養液の細胞数を、改良ノイバウエル血球計算盤を用いて、顕微鏡下で細胞数をカウントすることにより、培養液中の細胞数(cells/mL)を算出した。
〔実施例1〕
1.0L容量扁平培養瓶(フラスコ厚 約38mm ただしガラス厚を含む)に表1に示す培地を400ml入れ、オートクレーブ滅菌後、シスト化したヘマトコッカス・ラクストリスNISE−144を0.50g/Lとなるように接種した。接種したヘマトコッカス・ラクストリスNISE−144の、乾燥質量あたりのアスタキサンチン含有量は4.8質量%であった。
Figure 2018043147
<工程A>
扁平培養瓶の両面から青色LED(昭和電工製、GA2RT450G)(発光波長として、波長400〜490nmの青色光をPPFD換算で98%含む)を用いて光照射(光照射(a))しながら、培養瓶の底面から3V/V%二酸化炭素を含む空気を0.5vvmで通気することにより撹拌し、25℃で培養を行った。
照射する光の強さは光量子計(LI−COR社製、LI−250A)を用いて扁平培養瓶の表面で測定を行い、光合成有効光量子束密度(PPFD)が両面合計で1,300μmol/(m2・s)になるように調整した。
光照射を開始してから5日目で、培養液中の全窒素濃度が、20mg/L未満となった。この時点で、細胞数の増加に必要な窒素源が充分に消費されたと判断した。
<工程B>
次いで、PPFDは変えずに、光源を青色LEDから、白色LED(株式会社ビームテック製、LTN40YD)(発光波長として、波長400〜490nmの青色光をPPFD換算で19%含み、波長620〜690nmの赤色光をPPFD換算で14%含む)および赤色LED(昭和電工製、HRP−350F)(発光波長として、波長620〜690nmの赤色光をPPFD換算で96%含む)(光量子束密度の比が5:1)へ変更(実施例1‐1)、あるいは青色LEDおよび赤色LED(光量子束密度の比が1:1)へと変更(実施例1‐2)し(光照射(b))、培養開始後12日間(光源を変更後7日間)培養を行った。
培養液は適宜サンプリングを行い、pH、培養液中の細胞数、培養液中のアスタキサンチン濃度、培養液中の乾燥藻体質量、および培養液中の全窒素濃度の測定を行った。測定した培養液中のアスタキサンチン濃度、培養液中の乾燥藻体質量から、細胞内のアスタキサンチン濃度の算出を行った。pHは全培養期間中を通じて7.5〜8.5であった。
培養液中の細胞数、培養液中のアスタキサンチン濃度、培養液中の乾燥藻体質量については培養終了後、実験開始当初の培養液量、実験終了時の扁平培養瓶に残った培養液量、途中でサンプリングした培養液量から計算により通気撹拌により蒸発した水分を求め、期間中一定速度で水分が蒸発したと考えて値を補正した。
培養液中の全窒素濃度の経時変化、培養液中の細胞数の経時変化、培養液中のアスタキサンチン濃度の経時変化、細胞内のアスタキサンチン濃度の経時変化を、それぞれ図1、図2、図3および図4に示す。
培養液中の窒素は5日目までには消費された。細胞数は4日目まで増殖を示し、その後はほぼ一定、あるいは微増を示し12日目の細胞数は、実施例1‐1、1‐2とも約8×105cells/mlであった。培養液中のアスタキサンチン濃度は5日目で約120mg/Lであり、その後、実施例1‐1、1‐2とも増加し、12日目で実施例1‐1で530mg/L(アスタキサンチンの生産性:44mg/(L・day))、実施例1‐2で540mg/L(アスタキサンチンの生産性:45mg/(L・day))となった。細胞内のアスタキサンチン濃度は培養開始当初4.8質量%であり、3日目で最も低い2.9質量%へと減少したが、その後上昇に転じ、12日目で実施例1‐1で7.1質量%、実施例1‐2で8.4質量%となった。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
〔実施例2〕
扁平培養瓶の両面からPPFDが両面合計で1,300μmol/(m2・s)となるように白色LED(実施例2‐1)あるいは青色LED(実施例2‐2)を用いて光照射し、途中で光源を変更しなかった以外は実施例1と同様にして培養を行った。
培養液中の全窒素濃度の経時変化、培養液中の細胞数の経時変化、培養液中のアスタキサンチン濃度の経時変化、細胞内のアスタキサンチン濃度の経時変化を、それぞれ図1、図2、図3および図4に示す。
培養液中の窒素は5日目までには消費された。細胞数は4日目まで増殖を示し、その後はほぼ一定となり12日目の細胞数は、実施例2‐2で約7×105cells/ml、実施例2‐1で約3.8×105cells/mlとなった。実施例2‐1では実施例2‐2の半分程度の細胞数であった。
培養液中のアスタキサンチン濃度は5日目で、実施例2‐2で約120mg/L、実施例2‐1白色で約160mg/Lであった。その後、実施例2‐1、2‐2とも徐々に増加し、12日目で実施例2‐2で245mg/L(アスタキサンチンの生産性:20mg/(L・day))、実施例2‐1で330mg/L(アスタキサンチンの生産性:28mg/(L・day))となった。細胞内のアスタキサンチン濃度は培養開始当初4.8質量%であり、3日目で最も低い実施例2‐2で2.9質量%、実施例2‐1で2.7質量%へと減少したが、その後上昇に転じ、12日目で実施例2‐2で7.1質量%、実施例2‐1で7.0質量%となった。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
〔実施例3〕
接種したヘマトコッカス・ラクストリスNISE−144の、乾燥質量あたりのアスタキサンチン含有量を、4.8質量%から、3.5質量%(実施例3‐1)、4.3質量%(実施例3‐2)、4.8質量%(実施例3‐3)、5.6質量%(実施例3‐4)、6.5質量%(実施例3‐5)に変更し、扁平培養瓶の両面からPPFDが両面合計で1,300μmol/(m2・s)となるように白色LEDを用いて光照射し、途中で光源を変更しなかった以外は実施例1と同様にして培養を行った。なお、実施例3‐5のみ、光照射日数(培養期間)を12日から13日に変更した。
培養液中の全窒素濃度の経時変化、培養液中の細胞数の経時変化、培養液中のアスタキサンチン濃度の経時変化、細胞内のアスタキサンチン濃度の経時変化を、それぞれ図5、図6、図7および図8に示す。
培養液中の窒素は5日目までには消費された。細胞数は3〜5日目まで増殖を示し、その後はほぼ一定となり12あるいは13日目の細胞数は、実施例3‐1で約3.1×105cells/ml、実施例3‐2で約4.0×105cells/ml、実施例3‐3で約3.8×105cells/ml、実施例3‐4で約4.2×105cells/ml、実施例3‐5で約5.3×105cells/mlとなった。
培養液中のアスタキサンチン濃度は3日目までは増加が見られず、その後増加に転じ、12あるいは13日目で、実施例3‐1で約300mg/L(アスタキサンチンの生産性:25mg/(L・day))、実施例3‐2で約330mg/L(アスタキサンチンの生産性:28mg/(L・day))、実施例3‐3で約330mg/L(アスタキサンチンの生産性:28mg/(L・day))、実施例3‐4で約340mg/L(アスタキサンチンの生産性:28mg/(L・day))、実施例3‐5で約320mg/L(アスタキサンチンの生産性:25mg/(L・day))となった。実施例3‐1、3‐2および3‐3の場合、細胞内のアスタキサンチン濃度は培養開始当初からそれぞれ3日目で最も低い2.6質量%(実施例3‐1)、2.5質量%(実施例3‐2)、2.7質量%(実施例3‐3)へと減少したが、その後徐々に上昇し、12日目で6.1質量%(実施例3‐1)、6.4質量%(実施例3‐2)、7.0質量%(実施例3‐3)となった。実施例3‐4および3‐5の場合、細胞内のアスタキサンチン濃度は培養開始当初からどちらも5日目で最も低い4.0質量%へと減少したが、その後徐々に上昇し、12あるいは13日目で6.7質量%あるいは6.5質量%となった。
〔比較例1〕
接種したヘマトコッカス・ラクストリスNISE−144の、乾燥質量あたりのアスタキサンチン含有量を、4.8質量%から、1.3質量%(比較例1‐1)、2.3質量%(比較例1‐2)に変更した以外は、実施例3と同様にして培養を行った。
培養液中の全窒素濃度の経時変化、培養液中の細胞数の経時変化、培養液中のアスタキサンチン濃度の経時変化、細胞内のアスタキサンチン濃度の経時変化を、それぞれ図5、図6、図7および図8に示す。
比較例1‐1では、培養液中の窒素はほとんど消費されず、また細胞数は徐々に減少した。また、比較例1‐1では、培養液中のアスタキサンチン濃度、細胞内のアスタキサンチン濃度は増加が見られなかった。これは実施例1‐1では、細胞内のアスタキサンチン含有量が低いため、PPFDが両面合計で1,300μmol/(m2・s)という、強い光によって、細胞がダメージを受けたためであると考えられた。
比較例1‐2では、培養液中の窒素は5日目までには消費された。細胞数は3日目まで増殖を示し、その後はほぼ一定となり12日目の細胞数は、約3.1×105cells/mlとなった。培養液中のアスタキサンチン濃度は3日目まではあまり増加が見られず、その後増加に転じ、12日目で230mg/L(アスタキサンチンの生産性:19mg/(L・day))となった。細胞内のアスタキサンチン濃度は培養開始当初から3日目で最も低い1.7質量%へと減少したが、その後徐々に上昇し、12日目で4.2質量%となった。
〔実施例4〕
培養開始時に用いる光照射(a)の光源を青色LEDから白色LEDに変更した以外は実施例1と同様にして培養を行った。
なお、光照射開始から5日経過後、光照射(b)の光源を白色LEDおよび赤色LED(光量子束密度の比が5:1)へ変更した実施例を実施例4‐1とし、光源を青色LEDおよび赤色LED(光量子束密度の比が1:1)へ変更した実施例を実施例4‐2とした。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
〔実施例5〕
培養開始時に用いる光照射(a)の光源を、青色LEDから白色LEDおよび青色LED(光量子束密度の比が5:1)に変更した以外は実施例1と同様にした培養を行った。
なお、光照射開始から5日経過後、光照射(b)の光源を白色LEDおよび赤色LED(光量子束密度の比が5:1)へ変更した実施例を実施例5‐1とし、光源を青色LEDおよび赤色LED(光量子束密度の比が1:1)とした実施例を実施例5‐2とした。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
〔実施例6〕
培養開始時に用いる光照射(a)の光源を、青色LEDから青色LEDおよび赤色LED(光量子束密度の比が1:1)に変更した以外は実施例1‐1と同様にして培養を行った。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
〔実施例7〕
光照射開始から5日経過後に用いる光照射(b)の光源を、白色LEDに変更した以外は、実施例1と同様にして培養を行った。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
〔実施例8〕
実施例1において、培養開始から5日間行った青色LEDを用いた光照射(a)を、培養開始から4日間行われる、青色LEDを用いた21時間の光照射と、赤色LEDを用いた0.1時間の光照射とを、交互に連続して行う光照射に変更し、光源を青色LEDおよび赤色LEDへ変更するのを、光照射開始から5日経過後から、4日経過後に変更し、光源変更後の光照射を7日間から8日間に変更した以外は、実施例1‐2と同様にして培養を行った(実施例8‐1)。
実施例1において、培養開始から5日間行った青色LEDを用いた光照射(a)を、培養開始から4日間行われる、青色LEDを用いた92時間の光照射と、赤色LEDを用いた4時間の光照射とを、交互に行う光照射に変更し、光源を青色LEDおよび赤色LEDへ変更するのを、光照射開始から5日経過後から、4日経過後に変更し、光源変更後の光照射を7日間から8日間に変更した以外は、実施例1‐2と同様にして培養を行った(実施例8‐2)。
光源の種類、培養12日後の培養液中のアスタキサンチン濃度、アスタキサンチンの生産性を表2に示す。
Figure 2018043147

Claims (10)

  1. キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に光照射を行う工程を有する、光合成微細藻類の培養方法。
  2. 前記光照射を行う工程が、窒素濃度が、0.03〜0.5g/Lの培地を用いる工程である、請求項1に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  3. 前記光照射を行う工程において、光合成微細藻類のキサントフィル含有量を、乾燥質量換算で2質量%以上に保つ、請求項1または2に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  4. 前記光照射を行う工程が、
    キサントフィルを乾燥質量換算で3〜9質量%含むシスト化した光合成微細藻類に、光照射(a)を行う細胞数増加工程(A)および、前記細胞数増加工程(A)が行われた光合成微細藻類に、光照射(b)を行う光合成微細藻類中のキサントフィル含有量を増加させる工程(B)であり、
    前記光照射(a)が光源として、白色LEDを用いた光照射(I)、白色LEDおよび青色LEDを用いた光照射(II)、白色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(III)、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(IV)、青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射(V)、並びに青色LEDを用いた光照射(VI)から選択される少なくとも1種の光照射であり、
    前記光照射(b)が光源として、白色LEDを用いた光照射(I)、白色LEDおよび青色LEDを用いた光照射(II)、白色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(III)、青色LEDおよび赤色LEDを用いた光照射(IV)、並びに青色LEDおよび赤色LEDを交互に用いた光照射(V)から選択される少なくとも1種の光照射である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  5. 前記工程(A)が、窒素濃度が、0.03〜0.5g/Lの培地を用いる工程である、請求項4に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  6. 前記光照射を行う工程において、光合成有効光量子束密度が、750μmol/(m2・s)以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  7. 前記工程(A)が3〜7日間行われ、前記工程(B)が4〜10日間行われ、工程(A)と工程(B)とを合わせて7〜17日間行われる、請求項4または5に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  8. 前記光照射を行う工程により得られた光合成微細藻類の培養液1L当たりの、キサントフィルの量(mg)を、光照射を行う工程が行われる期間(day)で除した、キサントフィルの生産性(mg/(L・day))が、20mg/(L・day)以上である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  9. 前記キサントフィルがアスタキサンチンであり、光合成微細藻類が、ヘマトコッカス属の緑藻類である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光合成微細藻類の培養方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の培養方法により得られたキサントフィル含有量が300mg/L以上である光合成微細藻類の培養液。
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