JP4919965B2 - 制動プレート付きのブレーキライニング - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

本発明は、ライニングバックプレートと、ライニングバックプレートの第１の面に配置された摩擦ライニングと、摩擦ライニングから離れる方向に向くライニングバックプレートの第２の面に配置された制動プレートと、制動プレートを横滑りしないよう固定する手段とを備えるブレーキライニングに関する。

上記のタイプのブレーキライニングは国際公開第９６／１５３８６号パンフレットに開示されている。制動プレートは、ブレーキライニングに作用するブレーキピストンの振動をライニングバックプレートから切り離す。接着層、例えば、低温ボンディング又は高温ボンディングポリマー層が、制動プレートの底に塗布され、制動プレートをライニングバックプレートに取り付けると共に、制動特性を高めるために役立つ。ピストン側では、ゴム、プラスチック、又は、塗料の層が制動プレートに配置され、ピストンとブレーキライニングとの間に制動層を形成する。これは、ブレーキピストンとライニングバックプレートとの間の直接的な金属対金属の接触を防止するので、制動手順中に発生する振動の切り離しを実現する。

多層ライニングバックプレートもまた従来から知られている。独国特許出願公開第１９５４２５２４号明細書は、ライニング材料がライニングキャリアの複数の層に取り付けられているブレーキライニングを開示する。

欧州特許出願公開第０２８２１２９号明細書は、制動プレートの一部分がバックプレート内の凹部まで延在し、制動プレートの滑りを防止する、ワンピース型のバックプレートを有するブレーキライニングについて記載する。

米国特許第３，４７７，５５１号明細書は、バックプレート上に成形された隆起部がライニング材料まで延在するブレーキライニングを開示する。

ブレーキライニングの製造において、摩擦ライニングをライニングバックプレートに堅固に接続することが不可欠である。さらに、制動プレートはライニングバックプレートに堅固に接続されていること、及び、制動プレートは必要に応じて制動力を伝達できることが保証されなければならない。制動温度が上昇すると、制動プレートとライニングバックプレートとの間の接着層は、発生する剪断力に対して弱い接着を提供するので、従来技術のブレーキライニングは、制動プレートを横滑りしないよう固定するために付加的な手段が設けられている。この目的のため、皿穴付きの貫通穴がライニングバックプレートに形成される。これらの穴に挿入された皿ネジは、制動プレートを剪断力及び横滑りに抗して固定する。

本発明の目的は、制動プレートと摩擦ライニングとの間の取付けを改良し、簡単化することである。

本目的を達成するために、上記のブレーキライニングを使って、少なくとも１個の係留要素が制動プレートに成形され、上記係留要素がライニングバックプレート内に位置付けられた切欠き部に通され、摩擦ライニング内の一部分の中に入り込むようにされている。

本発明によるブレーキライニングは、制動プレートを横滑りしないよう固定する手段の非常に簡単な構造によって特徴付けられる。制動プレートに成形された少なくとも１個の係留要素は、制動プレートと摩擦ライニングとの間にねじれ防止接続を確保し、動作中に発生する剪断力を支障なく吸収する能力がある。制動プレートと係留要素は一体のものとして成形されているので、制動プレートの組立及び取付けだけでなく、固定手段の製造もまた簡単化する。制動プレートは、プレートの平面から下向きに曲げられた少なくとも１個の係留要素と共に、付随する切欠き部を通ってライニングバックプレートへ挿入される。係留要素の自由端部分は、摩擦ライニングに挿入される。

摩擦ライニングと、制動プレートと、両者の間に位置するライニングバックプレートとの間の特に堅固な接続は、摩擦ライニングの中に入り込む係留要素の部分が形状嵌合を用いて摩擦ライニング内で係留されるように構成されている発明の改良において得られる。このような形状嵌合は、例えば、摩擦ライニングの中に入り込む係留要素の部分がＳ字状、ジグザグ状、又は、螺旋状になるように構成されている場合等に、達成される。

制動プレートと、ライニングバックプレートと、摩擦ライニングとの間の結束性は、複数個の係留要素が圧力吸収領域の周りに分布するように制動プレートに配置されている発明の改良においてさらに改善される。これに関連して、好ましくは、あらゆる単独の係留要素がバックプレート内のその係留要素固有の切欠き部と関連付けられるので、複数個の係留要素とライニングバックプレート内の対応する個数の切欠き部との間の分布パターンは本質的に一致する。ライニングバックプレート内の切欠き部の個数及び配置は、ブレーキライニングの機械的安定性が少しも損なわれないように選択されるべきである。

制動プレートは、好ましくは、接着層によってライニングバックプレートに接続されるか、又は、その他の取付手段を使用して取り付けられる。しかし、形状嵌合を使って摩擦ライニングの中に入り込む係留要素だけを用いて、制動プレートを摩擦ライニングに接続することも可能である。摩擦ライニングの中に入り込む係留要素は、摩擦ライニングと、ライニングバックプレートと、制動プレートとの間に３次元的な、頑丈な接続を作る。

係留要素は、摩擦ライニング材料が加圧され硬化される前に、摩擦ライニング材料に埋め込まれることもあり、要素は後の加圧及び硬化手順を用いて固定される。このプロセスでは、制動プレートは接着剤でライニングバックプレートの隣接側に貼り付けられ、そのために係留要素はライニングバックプレート内の切欠き部に通される。摩擦ライニング金型は、摩擦コンパウンドの層と、バッキングコンパウンドの層とによって満たされる。その後、ライニングバックプレートは、上に載せられたミラープレートを介して摩擦ライニング材料で加圧される。本プロセスにおいて、係留要素は摩擦ライニングコンパウンドの中に入り込み、より大きな圧力が摩擦ライニングコンパウンドに加えられるときに緊密に取り囲まれる。続いて、エラストマ層が制動プレートの反対側に配置される。

好ましくは、係留要素は、打抜き加工及び／又は曲げ加工によって制動プレートから成形される。本例では、制動プレートは、特に製造が容易であり、必要に応じて、これは１回の単一製造ステップで行われる。例えば、舌状部が制動プレートから打ち抜かれ、その後に制動プレートの平面から片側へ下向きに曲げられ、その結果、舌状部は制動プレートの平面からほぼ垂直に突出する。このようにして形成された舌状部を曲げ、成形するために、制動プレートのエッジ領域に切欠き部及び／又は型打ちされた切込み部を作り出すことも同様に可能である。

好ましくは、ライニングバックプレート上に配置された摩擦ライニングは、バッキングコンパウンドと摩擦コンパウンドの一連の層で作られている。制動プレートの係留要素は、バッキングコンパウンドに通され、それらの自由端を使って摩擦コンパウンド層の中に入り込む。

本発明の有利な実施形態は従属請求項において特徴付けられている。

ブレーキライニング１はライニングバックプレート２を有し、ライニングバックプレート２の片側には制動プレート３が広い表面積に亘って配置され、ライニングバックプレート２に接続されている。制動プレート３は横方向に成形された延長部３０を有し、その延長部３０から片側にストリップの形状をもつ係留要素４が下向きに曲げられている。記載されている実施形態によるストリップ状係留要素４のレイアウト及び構造は図２及び３に明瞭に示されている。記載されている実施形態では、係留要素４は、当初は矩形状であるシートメタルブランクのエッジ領域から規則的な間隔で打ち抜かれ、そのため、本質的に矩形状の接続が係留要素４と拡張部３０との間の移行部に残る。打ち抜かれた係留要素４の自由端は、それぞれがジグザグ形状に曲げられる（図２及び３）。係留要素４の自由端のジグザグ形状の代わりに、例えば、波状若しくは螺旋状の構造をもつ係留要素、あるいは、各係留要素４の自由端のフォーク状の扁平化のような、その他の係留形状もまた設けられる。

係留要素４は、その他のシートメタルブランクからも作られ、例えば、係留要素は、係留部分を曲げ、形成することにより、外側に向かう放射状の拡張部をもつ形にされ、係留部分のそれぞれに端が形成される。

ライニングバックプレート２は、係留要素４が通る貫通開口部５を有する。その結果として、制動プレート３が所定の位置に置かれたときに、曲げられた係留要素４が貫通開口部５の中に容易に挿入され得るように、開口部グリッドは係留要素４のグリッドと揃えられる。

制動層６は、ライニングバックプレート２の反対側にある制動プレート３の面に配置されている。例えば、エラストマで作られているこの制動層は、ライニングバックプレート２と、ブレーキピストン（図面に示されていない）との間の直接的な金属と金属の接触を阻止し、よって、ブレーキライニング１をブレーキピストンの振動から切り離す。

摩擦ライニング７は、制動プレート３から離れる方向に向くライニングバックプレート２の面を加圧することによって貼り付けられる。ここで、摩擦ライニングコンパウンドは、ライニングバックプレート２の開口部５の非常に奥深くに押し込まれる。図２からわかるように、係留要素４は、それらの付随する貫通開口部５に通された後に、摩擦ライニングコンパウンドに押し込まれ、制動プレート３と摩擦ライニング７との間に確実な、特に、取り外すことができない接続を確保し、それによって、制動プレート３と摩擦ライニング７との間に位置するライニングバックプレート２を閉じ込める。形状嵌合が係留要素４の自由端のジグザグ形状によって達成される。個々の係留要素４の扁平化だけでなくその他の形状も同じ機能を果たす。

制動プレート３の平坦な主要部分とライニングバックプレート２は、接着層８によって互いに接続され、説明されている実施形態では、この接着層８は高温ボンディング接着剤で作られている。制動プレート３とライニングバックプレート２との間の接着ボンド８は、互いに接続された２枚のプレートの間の隙間の全部を本質的に充填する。これは、制動プレートとライニングバックプレートとの間の空隙、すなわち、有害な振動を生じさせるものを大部分は除去する。

多数の変更が発明の着想の範囲内で可能である。例えば、制動プレート上に成形された係留要素の個数及び構造は、アプリケーション事例、及び、ライニングバックプレートの寸法に応じて変化し、係留要素は別々に製造され、その後に、単一の半田付け又は溶接ステップにおいて制動プレートに接続されてもよい。摩擦ライニング材料は複数の層を有してもよく、基層と複数の摩擦コンパウンド層とで作られていてもよい。

本発明によるブレーキライニングの実施形態を概略的に明らかにする制動プレート側の平面図である。 図１の線II−IIによる概略的な断面図である。 図２のセクションＡの拡大図である。

Claims (9)

1. ライニングバックプレート（２）と、前記ライニングバックプレート（２）の第１の面に配置された摩擦ライニング（７）と、前記摩擦ライニング（７）から離れる方向に向く前記ライニングバックプレートの第２の面に配置された制動プレート（３）と、前記制動プレート（３）を横滑りしないよう固定する手段とを備えるブレーキライニングにおいて、
   複数個の係留要素（４）が、前記制動プレート（３）の平面から前記摩擦ライニング（７）に向かって曲げられることにより前記制動プレート（３）から成形され、
   前記複数個の係留要素（４）のそれぞれが自由端を有し、
   前記複数個の係留要素（４）のそれぞれが前記ライニングバックプレート（２）に付随する切欠き部に通されており、
   前記自由端が前記摩擦ライニング（７）の中に入り込んでいることを特徴とするブレーキライニング。
2. 前記摩擦ライニング（７）の中に入り込んでいる各係留要素（４）の部分が形状嵌合によって前記摩擦ライニング（７）に係留されるように構成されていることを特徴とする、請求項１に記載のブレーキライニング。
3. 前記係留要素（４）が打抜き加工及び／又は曲げ加工によって前記制動プレート（３）から成形されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載のブレーキライニング。
4. 前記摩擦ライニング（７）の中に入り込む各係留要素（４）の前記部分がＳ字状、ジグザグ状、又は、螺旋状になるように構成されていることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか一項に記載のブレーキライニング。
5. 前記制動プレート（３）が前記ライニングバックプレート（２）に貼り付けられていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一項に記載のブレーキライニング。
6. 前記摩擦ライニング（７）が、取付手段を使用して前記ライニングバックプレート（２）に固着されていることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか一項に記載のブレーキライニング。
7. 前記摩擦ライニング（７）がバッキングコンパウンドと摩擦コンパウンドとからなる一連の層を有し、各係留要素（４）が少なくとも前記バッキングコンパウンドの中に入り込んでいることを特徴とする、請求項１〜６のいずれか一項に記載のブレーキライニング。
8. 少なくとも１個の係留要素（４）が前記バッキングコンパウンドに通され、前記摩擦コンパウンドの中に入り込んでいることを特徴とする、請求項７に記載のブレーキライニング。
9. 前記制動プレート（３）が０．５ｍｍ〜３ｍｍの厚さを有することを特徴とする、請求項１〜８のいずれか一項に記載のブレーキライニング。

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