昨今、多色画像形成装置(カラー画像形成装置)においては、高速化が年々進むことで、オンデマンドプリンティングシステムとして簡易印刷に用いられるようになりつつあり、高画質化への要求とともに、色ずれや色変わりに対する見方が厳しくなっている、反面、1ジョブにおけるプリント枚数の増加に伴ってプリント中の温度変動による位置ずれが発生しやすい状況となっている。そのため、例えば、前述したように特許文献2,特許文献3,特許文献4に示されているような位置ずれ検出パターンを用いた補正を実施するとする場合、位置ずれ検出パターンを用いた補正をせっかく実施しても、ジョブ中にずれてしまい、ジョブの途中に割り込みをかけて一旦プリント動作を休止し、位置ずれ検出パターンを用いた補正を頻繁に行わないと安定的にプリント品質を保てず、これに要する時間が長いとプリント速度は速くなっても生産性は向上できないという課題がある。この対策として、ページ間など記録紙に転写されない期間に、転写体上に位置ずれ検出パターンを形成し補正することが考えられる。しかしながら、前述したような(特許文献5,特許文献6に示されているような)機械的に光学素子の姿勢や形状を可変する方式は、アナログ的に走査ラインの軌跡を可変できるので補正範囲が広く精度も良い反面、ページ間に相当する短時間で動作することは困難である。
また多色画像形成装置においては、複数の書き込み手段としての光走査装置を備えており、各書き込み手段では偏向器であるポリゴンスキャナや定着装置による発熱の影響によって温度が変化する。この温度変化は、光走査装置内のレンズや光源の位置ずれ、光学素子の屈折率変化などの光学特性を変化させてしまい、被走査面上の光ビームのスポット位置ずれや走査線曲がりなどが発生してしまう。その結果、各色毎の走査線の相対位置が異なり、色ずれが起こってカラー画像の品質が低下する場合が発生する。
また走査光学系において、ポリゴンスキャナ等の偏向器の、偏向反射面の回転軸からの距離のばらつきは、被走査面上を走査する光スポット(走査ビーム)の走査速度ムラを発生させる。この走査速度ムラは画像の揺らぎとなり画像品質の劣化となる。高品位の画質を要求する場合は走査ムラの補正を行う必要がある。偏向器の反射面の形状誤差や反射面と回転軸との距離の誤差によって発生するドット位置ずれは、偏向器の面毎に特性が多少異なるため、高精度なドット位置ずれ補正を行うためには、面毎の位置ずれ量検出および補正が必要となる。
本発明は、上述した問題,課題を解決するためのものであって、複数の面を有する偏向器を所定の回転周期で回転させることによって、複数の光源から放射された複数の光ビームを主走査方向に偏向走査し、走査結像手段により被走査媒体に向けて集光する光走査装置において、主走査方向の書込みタイミング及び副走査方向の走査位置ずれ量を高精度に検出,補正することの可能な光走査装置、画像形成装置、カラー画像形成装置を提供することを意図している。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は4ステーションを走査する光走査装置(光走査ユニット)の構成例を示す図である。また、図2は図1の光走査装置(光走査ユニット)に用いられている光源ユニットの構成例を示す図である。図1の光走査装置は、光源ユニットからの4ステーション分に相当する複数の光ビームを、単一のポリゴンミラーで走査し、対向する方向に偏向し走査することで、4つの各感光体ドラム101,102,103,104を走査するように一体化されている。
図1において、4つの感光体ドラム101,102,103,104は転写体の移動方向105に沿って等間隔に配列され、順次異なる色のトナー像を転写し重ね合わせることでカラー画像が形成されるようになっている。
図示のように各感光体ドラム101,102,103,104を走査する光走査装置は一体的に構成され、2段に構成されたポリゴンミラー106により各々光ビームを走査するようになっている。
光源ユニット107,109は、同一方向に走査する2ステーションに対し各々1つずつ配備され、光束分割プリズム108,110を用い、上記ポリゴンミラー106の上下面に対応させて上下2段に光ビームを分岐し、各感光体ドラム101,102,103,104に交互に各ステーションに対応した画像を形成していくようになっている。
光源ユニット107,109、および結像光学系を構成するfθレンズ,トロイダルレンズは、ポリゴンミラー106の回転軸を含み感光体ドラム軸に平行な対称面に対し対称に配備され、ポリゴンミラー106により、各光源ユニット107,109からの光ビームは相反する方向に偏向され、各感光体ドラム101,102,103,104に導かれるようになっている。
従って、各ステーションにおける走査方向は対向する各感光体ドラムで相反する方向となり、記録領域の幅、言いかえれば主走査方向の倍率を合わせ、一方の走査開始端ともう一方の走査終端とが一致するように静電像を書き込んでいく。
また、この構成例では、各感光体ドラム101,102,103,104に対して、図12に示すように主走査方向,副走査方向にマトリクス状に等間隔dに配列したn列×m行の発光源(図12の例では8×4にわたって2次元に配列した32個の発光源)を有する面発光型半導体レーザアレイを光源ユニット107,109として配備し、光源ユニット全体をγだけ傾けることにより、感光体ドラム上の副走査方向におけるビームスポット間ピッチpが記録密度に相当する走査ラインピッチに合うように、傾きが調整され、ステーション毎に32ラインが同時に走査されるようにしている。
ここで、光学系全系の副走査倍率βsを用いると、傾け量γは次の式(数1)で表される。
当然、面発光型半導体レーザアレイの加工プロセスの段階で、あらかじめ発光点の配列方向が所定角度だけ傾くようにレイアウトしてもよい。
尚、液晶偏向素子117では液晶の配列方向に合った偏光成分のみが偏向されるため、発光源の偏光方向は一方向に揃えられている。
また、図2に示すように、光束分割プリズム108は、ハーフミラー面141とハーフミラー面141と平行なミラー面142とを有し、光源ユニット107からの複数のビームは、各々ハーフミラー面で1/2の光量が反射され、残りの1/2は透過して上下に2分岐され、方向を揃えて副走査方向に所定間隔をもって射出されるようになっている。この例では、この間隔をポリゴンミラー、fθレンズの上下間隔とともに6mmとしている。
また、液晶偏向素子117は、光束分割プリズム108の射出面の上下に各々配備され、電圧を印加すると、副走査方向に電位分布を生じて液晶の配向が変化し、屈折率分布を発生させて光線の方向を傾けることができ、印加電圧に応じて感光体ドラム面上の走査位置を可変にできる。
図5には、光軸変更手段としての液晶偏向素子117の概要が示されている。液晶偏向素子117は液晶を透明なガラス板間に封入した構成であり、一方のガラス板表面の上下に電極が形成されている。この上下電極間に電位差を与えると、図5の右図断面に示すように電位の傾斜が発生し、液晶の配向が変化して屈折率分布を発生させ、プリズムと同様に光ビームの射出軸をわずかに傾けることができる。ここで、液晶としては誘電異方性を有するネマティック液晶等が用いられる。従って、副走査方向に電極を設ければ、印加電圧に応じて感光体面での走査位置を可変にできる。
また、シリンダレンズ113,114は、分岐された各光ビームに対応させて2段に設けられ、その一方は光軸を中心に回動調整可能に取り付けられ、各々の焦線が平行となるように調節できるようにしており、副走査方向に6mm間隔に2段に構成されたポリゴンミラー106の各々に入射されるようになっている。
シリンダレンズ113,114は、少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、ポリゴンミラー面上で、一旦ビームを収束させることで、後述するトロイダルレンズとにより、偏向点と感光体面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなす。
また、ポリゴンミラー106は4面で、同一の偏向面により各発光点列からの複数のビームを一括で偏向,走査するようになっている。また、上下のポリゴンミラーの位相は45°ずつずれており、光ビームの走査は上下段で交互に行われる。
また、結像光学系はfθレンズとトロイダルレンズとからなり、いずれもプラスチック成形によるもので、fθレンズ120は、主走査方向にはポリゴンミラーの回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、層状に2段に積み重ねて一体に構成されている。
トロイダルレンズを通った走査ビームは各々、走査開始端側に配備された光検出器(光検知センサ)138,140、走査終端側に配備された光検出器(光検知センサ)139,141に入射され、光検出器(光検知センサ)138,140の検出信号を基に各々発光源毎の同期検知信号を生成し、書込み開始のタイミングをとるようになっている。
一方、走査終端側に配備された光検出器(光検知センサ)139,141の検出信号は、各々走査開始端側に配備された光検出器(光検知センサ)138,140からの光ビームの検出時間差を計測し、あらかじめ定められた基準値と比較して、各発光源を変調する画素クロックを可変にすることで、後述するように、主走査方向の倍率のずれを補正している。
図11に副走査断面における光線の経路を示す。
また、図2に示すように、複数の発光源301はカップリングレンズ302の光軸に対して対称に配置され、カップリングレンズ302によって平行光束に変換された各光線は光源ユニット107から射出した後、カップリングレンズ302の後側焦点の近傍で一旦収束され、主走査方向には光線間隔を広げつつfθレンズ120に入射し、副走査方向にはシリンダレンズ113,114により、ポリゴンミラー偏向面の近傍で再度収束されてfθレンズ120に入射する。
また、上述したように、光源ユニット107からの複数の光ビームは光束分割プリズム108によって副走査方向上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラム101,102に導かれる。
すなわち、光束分割プリズム108の下段から射出した複数の発光源からのビーム201(図11を参照)は、シリンダレンズ113を介してポリゴンミラー106の下段で偏向,走査され、fθレンズ120の下段を通って折返しミラー129によりトロイダルレンズ123に入射し、折返しミラー130を介して感光体ドラム101上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に対応した潜像を形成する。
また、光束分割プリズム108の上段から射出した複数の発光源からのビーム202(図11を参照)は、シリンダレンズ114を介しポリゴンミラー106の上段で偏向,走査され、fθレンズ120の上段を通って折返しミラー127によりトロイダルレンズ124に入射し、折返しミラー128を介して感光体ドラム102上にスポット状に結像し、第2の画像形成ステーションとしてマゼンタ色の画像情報に対応した潜像を形成する。
同様に、対向するステーションにおいても、光源ユニット109からの複数の光ビームは、光束分割プリズム110によって上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラム103,104に導かれる。
すなわち、光束分割プリズム110の下段から射出した複数の発光源からのビーム203(図11を参照)は、シリンダレンズ115を介してポリゴンミラー106の下段で偏向,走査され、fθレンズ121の下段を通って折返しミラー132によりトロイダルレンズ126に入射し、折返しミラー133を介して感光体ドラム104上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に対応した潜像を形成する。
また、光束分割プリズム110の上段から射出した複数の発光源からのビーム204(図11を参照)は、シリンダレンズ116を介してポリゴンミラー106の上段で偏向,走査され、fθレンズ121の上段を通って折返しミラー135によりトロイダルレンズ125に入射し、折返しミラー136を介して感光体ドラム103上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に対応した潜像を形成する。
また、図2を参照すると、モノリシックに2次元配列された面発光型半導体レーザアレイ301からの複数の光ビームは、カップリングレンズ302に入射する直前に偏光分離面を形成した分岐ミラー303によりS偏光成分とP偏光成分とに2分され、透過したS偏光成分はカップリングレンズ302のx,y,z方向の配置調整によって、光軸に対して対称に配列され、平行光束として射出される。
一方、分岐ミラー303で反射されたP偏光成分は、収束レンズ304を介して面発光型半導体レーザアレイ301を実装する制御基板313に立設した光検知センサ310で検出され、ポリゴンミラーの各面での走査開始後、画像領域に至るまでの時間に、各発光源を時系列に順次点灯して各々のビーム強度を検出し、基準値と比較して各発光源の出力が所定値となるように注入電流をセットするようになっている。
そして、セットされた注入電流は、画像領域の走査が終了するまで保持され、次のポリゴンミラー面での走査時に再度設定が行われるようにして、ビーム強度を一定に保つようになっている。
なお、制御基板313には、上記発光源の発光出力を一定に保持するパワー制御回路や、画像情報に応じて発光源を各々変調する駆動回路が形成され、カップリングレンズ302とともに一体的に保持され、光源ユニットが構成されている。
上述したように、面発光型半導体レーザアレイ301の複数の発光源は、湾曲量の偏差を許容値内に収めるために、副走査方向の配列数mが限定され、主走査方向の配列数n を多くせざるを得ない。
そのため、各発光源がカップリングレンズの光軸に直交する面内に揃っていないと、カップリングレンズから射出されたビームの集束状態が各発光源で異なり、結像位置が感光体面上からずれて、ビームスポット径の偏差となり周期的な濃度むらが発生する。あるいは、先頭行をどの発光源から記録するかによって色味が変るといった画像劣化を生じる。
この構成例では、主走査方向の末端に配置する発光源同士の集束状態を揃えられるようにすることで、各発光源がカップリングレンズに対して整列するようにしている。以下その具体例を説明する。
図15は光源ユニットの主走査断面を示す図である。図15を参照すると、光源ユニットは、カップリングレンズ302を保持するホルダ部材と、面発光型半導体レーザアレイ301を実装した制御基板313を保持するベース部材とを、カップリングレンズ302の光軸に直交する基準面で接合し、ねじ締結することで一体化した構成となっている。
ここで、ベース部材は、制御基板313を保持する第1の部材321と、分岐ミラー303,収束レンズ304,光検知センサ310を内蔵する第2の部材324とからなり、いずれもアルミダイキャスト製により形成されている。
面発光型半導体レーザアレイ301は、発光源を形成するチップをリード端子を配備したセラミックパッケージ内に収容した構成であり、発光源の配列面と平行に形成された表面を、第1の部材321に形成された当接面322に突き当て、半導体レーザアレイ301を光軸方向に挟み込むように、制御基板313を2箇所の支柱323にねじ止めしている。
第1の部材321は、第2の部材324に形成した、上記基準面と平行な取付面において、半導体レーザアレイ301の取付部を挟んで主走査方向に配置した2箇所の当接点(すなわち、第1の部材321に一体で形成された突起部326、および第1の部材321に螺合された調節ねじ327の先端部)を突き当てて接合され、調節ねじ327の突出量を増減することで、突起部326を支点として、半導体レーザアレイ取付部の傾きが主走査断面内で調整できる。
この傾き調整と、上記カップリングの配置調整により、主走査方向の末端に配置される発光源同士のカップリングレンズに対する発光点位置を調整することができる。
図3には、トロイダルレンズの支持筐体の構成が示されている。
トロイダルレンズ305は、レンズ部を囲うようにリブ部306が一体形成され、中央部には位置決め用の突起307が形成されている。
支持板金301,押え板金302は、短手端部をコの字状に立曲げ形成され、間隔部材303,304を両端に挟みこんで対向させ、トロイダルレンズ305はその枠内に収められて保持される。
トロイダルレンズ305は、中央部に形成した突起307を支持板金301の立曲げ部に形成した切欠316に係合させ、リブ上面の両端に間隔部材303,304から内側に延設した設置面321,322に突き当てて副走査方向を位置決めし、また、長手方向のリブ端面から突出したフランジ部323,324を間隔部材303,304の側面に突き当てて光軸方向を位置決めし、間隔部材303,304と押え板金302との間に挟みこんで支持した一対の板ばね306によりトロイダルレンズ305の上面および側面の2方向から付勢して両端を保持し、熱膨張があっても長手方向に自在に伸縮できるようにしている。
トロイダルレンズ305のリブ上面には両端保持の間を3等分した中央点および中間点の3箇所に、支持板金301のねじ穴312に螺合した調節ねじ308の先端を当接させ、あらかじめ押え板金302に装着した板ばね307を各々リブ下面から対向させて付勢するようにしている。
トロイダルレンズ305は長尺で剛性が低いため、わずかな応力が加わるだけでも変形(反り)を生じ、周囲温度の変化に伴う温度分布によっても熱膨張差で変形してしまうが、このように支持板金301に沿った複数箇所で保持することで、形状を安定的に保ち、母線の直線性が保持されるようにしている。
支持板金301は、トロイダルレンズ305の外側に延長して形成され、その一端をハウジングの底面に立設した取付部に、副走査方向を受け面309に、光軸方向を突き当て面310に当接して位置決めし、板ばね314により付勢して支持する。
もう一端にはステッピングモータ315が固定され、下側に延びるシャフトに形成した送りねじに螺合させた可動筒317の先端を、押え板金302の延長部を貫通させ、ハウジング底面に形成した受け面312の底面に突き当て、光軸方向を突き当て面311に当接して位置決めし、板ばね314により付勢することで、架橋するようにハウジングに固定する。
ステッピングモータ315を固定した一端は、その回転により副走査方向に変位可能となっている。
これにより、トロイダルレンズ305は、ステッピングモータ315の正逆回転に追従して光軸と直交する面内で受け面309を支点として回動調節でき(すなわち、γを調整でき)、それに伴って副走査方向におけるトロイダルレンズの母線が傾いてトロイダルレンズの結像位置としての走査ラインが傾けられ、ステーション間の走査ラインが平行となるように補正できる。
この際、ステッピングモータ315の回転角に対する可動筒317の移動は送りねじのピッチにより決定されるが、この例では、より傾き補正の分解能を得るために、減速ギヤ316を介してシャフトの回転を可動筒317に伝達している。
ステッピングモータ315の回転はシャフトに配備したギヤ1、減速ギヤ316に配備したギヤ2,ギヤ3、可動筒317に配備したギヤ4の順で伝えられるので、ギヤ1とギヤ4との歯数をわずかにずらしておくことで、その差分だけシャフトの回転角に対する可動筒317の回転角を遅らせ、あるいは、進ませることができ、可動筒の先端を微少量ずつ移動させることができる。
尚、可動筒317,減速ギヤ316は各板金間に挟みこまれ、回転自在に軸支される。
この構成例では、第1,第2,第3のステーションのトロイダルレンズにこの傾き補正機構を装着することで、ブラックに対する走査ラインの傾きを、後述する傾き検出結果に基いて各色毎に自動的に補正がなされる。
図4はトロイダルレンズの装着状態を光軸方向からみた図である。
トロイダルレンズ305は、3箇所の調節ねじ308の突出し量が設置面321、322の部位に足りない場合には、トロイダルレンズの母線312が上側に凸となるよう反る。
逆に突出し量が大きくなると下側に凸に反る。従って、これらの調節ねじを調整することによってトロイダルレンズの焦線が副走査方向に湾曲され、走査ラインの曲がりを高次成分まで補正できる。
一般に、走査ラインの曲がりは光学系を構成する光学素子の配置誤差や成形時の面のねじれや反り等に起因する成分が複合されて、上凸型,下凸型といった単純な形状から、M型やW型,正弦波型といった複雑な形状となるが、主走査方向に沿った3点で、これをキャンセルする方向にトロイダルレンズ305を湾曲させることにより、感光体ドラム面上における各走査ラインを真直に矯正することができる。
この例では、全てのトロイダルレンズに各々配備され、組立時に各ステーションの走査ライン間の湾曲の形状が揃うように調整している。
図9は、この構成例におけるビームスポット位置ずれ制御を示すブロック図である。
各ステーション間のビームスポット位置ずれは、電源投入時や待機状態からの回復時、所定のプリント枚数経過時など、あらかじめ定められたタイミングで、各色画像の重なり具合を、図1に示す転写ベルト105上に形成したトナー像の検出パターン143を読み取ることで、主走査方向におけるレジスト、および倍率、副走査方向におけるレジスト、および傾きを、特定のステーションを基準とした相対的なずれとして検出し、主走査方向におけるレジストについては、同期検知信号を発生するタイミングを可変して補正し、倍率については、各発光点を変調する画素クロックを可変して補正する。
一方、副走査方向におけるレジストについては、まず、ポリゴンミラー1面おき、つまり同時に走査されるビーム数がnであるから、この例では32ラインピッチ単位で最もレジストずれが小さくなる書き出しタイミングを設定し、それ以下の余分については、複数の発光源から先頭行を形成する発光源を選択することで、1ラインピッチ単位で先頭行の書き出し位置を合わせ、傾きについては、上記したようにステッピングモータを動作してトロイダルレンズを傾けることで補正する。
トナー像の検出パターンの検出手段は、照明用のLED素子154と、反射光を受光するフォトセンサ155と、一対の集光レンズ156とからなり、主走査ラインと約45°傾けたラインパターンを形成し、転写ベルトの移動に応じて検出時間差を読み取っていく。
この例では、中央部と左右両端部との3ヶ所に配備することで、左右両端部の差により傾きを、中央から左右端部までの各倍率を検出し、基準となるステーションに合わせ込むように補正する。
しかしながら、この補正モード時には、プリント動作を中断することになるため、この頻度が多くなると、プリントの生産性を落とすばかりか、余分なトナーを消費してしまうといった欠点があり、この補正モードの頻度が少ない、言い換えれば、長時間ビームスポット位置が安定的に保持されていることが望ましい。
次に、図7を用い、書込制御回路の動作について説明する。各色毎にラスター展開された画像データはフレームメモリ408に各々一時保存され、画像処理部に順に読み出されて、前後の関係を参照しながら中間調に対応したマトリクスパターンに応じて各ラインの画素データが形成され、各発光点に対応したラインバッファ407に転送される。
すなわち、書込制御回路は、半導体レーザアレイの各々の発光点に対し同数のラインバッファ407を備え、同期検知信号をトリガとして各々読み出されて各発光点を独立に変調する。
従って、画素データを転送するラインバッファを順送りに選択することで、先頭行を記録する発光点を切り換えることができる。
次に各発光点を変調するクロックの生成部401について説明する。カウンタ403では、高周波クロック生成回路402で生成された高周波クロックVCLKをカウントし、比較回路404ではこのカウント値と、デューティ比に基いてあらかじめ設定される設定値L、および画素クロックの遷移タイミングとして外部から与えられ、位相シフト量を指示する位相データHとを比較し、カウント値が上記設定値Lと一致した際に画素クロックPCLKの立下りを指示する制御信号lを、位相データHと一致した際に画素クロックPCLKの立上がりを指示する制御信号hを出力する。
この際、カウンタ403は制御信号hと同時にリセットされ再び0からカウントを行うことで、連続的なパルス列が形成できる。こうして、1クロック毎に位相データHを与え、順次パルス周期が可変された画素クロックPCLKを生成する。
この例では、画素クロックPCLKは、高周波クロックVCLKの8分周とし、1/8クロックの分解能で位相が可変できるようにしている。
図8は、任意の画素の位相をシフトした説明で、1/8クロックだけ位相を遅らせた例である。
デューティ50%とすると設定値L=3が与えられ、カウンタ403で4カウントされ画素クロックPCLKを立ち下げる。1/8クロック位相を遅らせるとすると位相データH=6が与えられ、7カウントで立上げる。同時にカウンタがリセットされるので、4カウントで再び立ち下げる。つまり、隣接するパルス周期が1/8クロック分縮められたことになる。
こうして生成された画素クロックPCLKは、光源駆動部405に与えられ、この画素クロックPCLKに対してラインバッファ407から読み出された画素データを重畳させた変調データにより、半導体レーザを駆動する。
このように位相をシフトする画素を所定間隔で配置することによって、各分割区間の境界で主走査レジストずれがゼロとなるように主走査方向に沿った画素間隔の疎密を調整し、部分的な倍率の偏差を補正することができる。
つまり、全体の倍率は画素クロックPCLK自体のシフトによって均等に画素間隔を伸縮して補正し、部分的な倍率は所定の画素数おきに画素間隔を変化させることで補正する。
この例では、図10に示すように主走査領域を複数の区間に分割し、分割区間毎に位相をシフトする画素の間隔とシフト量を以下に示す如く設定し位相データとして与えている。
いま、主走査位置xに対する倍率の変化をL(x)とすると、ビームスポット位置ずれの変化M(x)は、次式(数2)のように、その積分値で表される。
分割区間の始点と終点でビームスポット位置ずれが0となるように補正することを想定すると、任意の分割区間の倍率変化に伴う分割区間幅のずれをΔm、位相シフトの分解能をσ(一定)、分割区間内の画素数をNとする場合、位相をシフトする画素の間隔は、D≒N/(Δm/σ)となる。但し、Dは整数で示され、D画素毎にσずつ位相をシフトすればよい。
上記の例では、σは1/8画素となる。従って、あらかじめ設定する分割数を、分割区間の中間位置で発生するビームスポット位置ずれ残差が許容範囲内となることを目安に決めてやればよい。
この例では8等分割に設定している。当然、分割区間幅を変えて偏分割としてもよい。
ところで、従来では、画像を形成するための複数の光ビーム(レーザビーム)が走査する位置に受光面が配置された光検出器(例えば、光検出器138)は、複数の光ビームの副走査方向の走査位置ずれ量を検出することができず、従って、複数の光ビームの副走査方向の結像位置を補正することができないという問題があった。
図14には、従来技術における、光検出器(例えば、光検出器138)による検出パターンの一例が示されている。
図14に示すように、従来の光検出器(四角形状の光検出器)に対して、副走査方向に位置の異なる複数光源1〜7が走査するときを考える。
光源3,4,5を点灯した場合、光検出器で得られる信号幅をt3,t4,t5とすると、t3=t4=t5の関係が得られる。これは、従来では、光検出器の形状が副走査方向に向けて同じ形状であるためであり、光検出器のどの部分に、複数光源が走査しているのかを検出することは検出時間幅(信号幅)から求めることは非常に困難である。
そこで、本発明では、画像を形成するための複数の光ビーム(レーザビーム)が走査する位置に受光面が配置された光検出器(例えば、光検出器138)において、該光検出器の受光面の副走査方向中央部の主走査方向の幅を受光面の他の部分の主走査方向の幅と異なったものにしている。
具体的に、図6に示すように、主走査方向に対して垂直方向(副走査方向)について、中央部の主走査方向の幅が他の部分の主走査方向の幅よりも大きくなるような、あるいは、小さくなるような形状にし(図6の例では、受光面の主走査方向の幅が副走査方向中央部から副走査方向端部に行くに従って小さくなるような形状となっている)、複数の走査光を走査開始端側から走査するときに、後述のずれ量検出手段601で検知される光検出器の検出信号の時間幅を比較することで、もっとも長い(あるいは、もっとも短い)時間幅の光源の位置と複数光源の副走査方向中央に位置する光源との副走査位置ずれ量に基づいて、例えば液晶偏向素子117を用いてフィードバック制御することで、各色画像の副走査レジストがずれないよう走査位置を保持することができる。
図6は副走査方向に位置の異なる光源1〜6について示した例であり、各光源1〜6のそれぞれを走査したとき光検出器で得られる信号を検出信号1〜6とし、その検出時間幅をt1〜t6とする。このとき検出時間の比較を行うための検出クロック信号により検出信号1〜6のオン時間をカウントすることで、複数光源の検出信号から、それぞれ異なるカウント値を得ることが出来る。例えば光源4,5,6の場合を図6に図示しているが、この場合t4>t5>t6の関係よりカウント値はN4≧N5≧N6となる。検出信号の時間差に対して検出クロック信号の周期が小さい場合には、時間差をカウント値として比較できるが、周期が大きい場合には複数光源の走査により得られる検出信号のカウント値が同一値となり、カウント値の比較により、どの光源が検出器の中央位置を走査しているかの判断及び検出精度が悪くなるため、検出クロック信号の周期は、異なる副走査位置を走査する光源同士の検出信号が、異なるカウント値を得られるように設定することが望ましい。
図6の例では、主走査方向の略同一位置に光源が配置されており、図示のように受光面が配置されている光検出器に対して図示のような主走査方向に走査がなされる場合には、光検出器の受光面を光が走査し始めるときに検出信号が立ち上がるとするとき、各検出信号の立ち下がりタイミングは、同一タイミングとなる。
一方、立ち上がりタイミングは各光源の光検出器の受光面に対する走査位置により異なるため、この立ち下がりタイミングにより光源の発光タイミングを制御することで、画像の書込み開始タイミングを制御することが可能となる。またカウント値が最も大きい光源を検出することで、複数光源の副走査中央位置光源に対するずれ量を検出することができ、このように検出された複数光源の副走査中央位置光源に対するずれ量に基づいて、複数の光ビームの副走査方向の結像位置を補正することが可能となる。
換言すれば、図6の例では、光検出器の受光面の1つの辺縁を、主走査方向に対して垂直となるようなものにしており、このとき複数光源(複数の光ビーム)がこの辺縁を通る場合、どの光源(どの光ビーム)についても副走査位置が異なる場合であっても、検出信号の立ち下がりタイミングは同一となる。よって、ある光源(ある光ビーム)の検出信号の立ち下がりタイミングによって光源の点灯タイミングを図る主走査同期検知信号を作ることが可能となり、主走査同期検知機能と副走査位置ずれ検出機能との両機能を兼ね備えた光検出器を実現できる。
図16には、別の例を示す。すなわち、図16の例は、図6の例が主走査方向に略同一位置に並んだ複数光源の場合であったのに対して、主走査方向,副走査方向の両方に対して複数光源の位置が異なったものとなっている。図16の例では、複数光源の主走査方向の位置が異なるため、信号の立ち下がり位置は各光源により異なる。よって、その立ち下がり信号の時間差を検出クロック信号によりカウントして、複数光源を同時発光した場合に主走査方向において光検出器に最も近くに位置する光源(図16の例では、6個の光源のうちの光源6)を発光信号の基準として、その光源からの立ち下がり信号のずれ量分だけ発光時間をずらすことにより、被走査媒体上の主走査方向の略同一位置に画素を形成することが可能となる。
図17には、さらに別の例を示す。すなわち、図17の例は、複数光源を2次元に配置したものとなっており、図16の光源の半分をずらして副走査方向に2列並べたものとなっている。図17の例でも、図6,図16と同様に、検出信号の信号幅を検出クロック信号によりカウントすることにより、複数光源全体が光検出器のどの位置を走査しているかを判断することが可能となり、そのずれ量に基づいて副走査位置ずれ補正を行うことにより、高精度な画素形成が可能となる。
このように、本発明では、複数の光源から放射された複数の光ビームを主走査方向に偏向走査し、走査結像手段により被走査面に向けて集光する光走査装置において、前記複数の光ビームが走査する位置に受光面が配置された光検出器を有し、該光検出器は、受光面の副走査方向中央部の主走査方向の幅が受光面の他の部分の主走査方向の幅とは異なっているので、受光面中央を走査した時の検出信号の時間幅が広い、あるいは、狭い光源位置を検出することで、副走査方向の光源位置ずれを検出することが可能となる。
また、本発明では、光検出器の受光面が、主走査方向に対して垂直となる辺縁を有しているのが好ましい。
ここで、光検出器の受光面の主走査方向に対して垂直となる辺縁は、主走査方向の同期検知手段としての機能を有しており(同期検知信号を検出可能となっており)、この機能を有していることによって、主走査方向の書込みタイミングをも高精度に検出,補正することができる。
すなわち、光検出器の受光面の少なくとも一つの辺縁が、主走査方向に対して垂直となっている場合、この受光面側から光ビームを走査することによって、被走査媒体上の略同一主走査位置での走査タイミングを検出することが可能となる。また、光検出器の受光面の少なくとも一つの辺縁が、主走査方向に対して垂直となっていることにより、この受光面側から光ビームを走査する際のタイミング信号に基づいて、光ビームの主走査方向の同期検知を行うことで、複数の光ビームの副走査位置ずれ量検出と、主走査同期タイミング検出とを同時に実現することが可能となる。
さらに、本発明の光走査装置は、図26に示すように、前記光検出器(例えば、光検出器138および/または光検出器139)からの検出信号に基づいて、副走査方向の光源位置ずれ量を検出するずれ量検出手段601と、前記ずれ量検出手段601で検出された副走査方向の光源位置ずれ量に基づいて、複数の光ビームの副走査方向の結像位置を補正する補正手段602とをさらに有している。
ここで、補正手段602は、具体的には、図1の例において、液晶偏向素子117の印加電圧を変化させることで光軸を変化させたり、あるいは、例えば光源107自体の角度(あおり)を変化させることによって、複数の光ビームの副走査方向の結像位置を補正するようにしている。
このように、前記光検出器からの検出信号に基づいて、副走査方向の光源位置ずれ量を検出するずれ量検出手段601と、前記ずれ量検出手段601で検出された副走査方向の光源位置ずれ量に基づいて、複数の光ビームの副走査方向の結像位置を補正する補正手段602とをさらに有していることにより、複数の光ビームの副走査方向の走査位置ずれ量を検出して、複数の光ビームの副走査方向の結像位置を補正することができる。
なお、上述したように、本発明の光走査装置では、走査結像手段は、単一のハウジング内に収容された複数の光学部材(例えば、120,129,123,130)を有し、複数の光ビームを同時に走査可能な偏向走査手段により複数の光ビームが走査され前記複数の光学部材からなる走査結像手段を透過して被走査面に至る。ここで、前記光検出器(例えば、138および/または139)は、走査結像手段の光路内に配置されている。
図1の例において、例えば感光体ドラム101についてのステーョン(第1の画像形成ステーション)に着目するとき、2つの光検出器138,139のいずれか一方を本発明の上述した光検出器にすることもできるが、より好ましくは、2つの光出器138,139の両方を本発明の上述した光検出器にするのが副走査方向の走査位置ずれ量をより高い精度で検出する上で望ましい。この場合、図26のずれ量検出手段601は、例えば、光検出器138からの検出信号と光検出器139との平均をとり、この平均に基づいて副走査方向の光源位置ずれ量を検出することができる。
図1の例において、同様に、感光体ドラム102についてのステーション(第2の画像形成ステーション)の光検出器140,141にも、本発明の光検出器を用いるのが好ましい。さらに、第3,第4の画像ステーションの光検出器にも、本発明の光検出器を用いるのが好ましい。
図27には、電子写真プロセスを利用した従来の一般的なレーザプリンタ,デジタル複写機等の画像形成装置の構成例が示されている。この画像形成装置では、光源である半導体レーザユニット1009から発光されたレーザ光は、回転するポリゴンミラー1003により偏向走査(スキャン)され、走査レンズ(fθレンズ)1002を介して被走査媒体である感光体1001上に光スポットを形成し、その感光体1001を露光して静電潜像を形成する。また、位相同期回路1006は、クロック生成回路1005により生成された変調信号を、ポリゴンミラー1003により偏向走査された半導体レーザユニット1009からの光を検出するフォトディテクタ1004に同期した位相に設定する。すなわち、位相同期回路1006は、フォトディテクタ(光検出器)1004の出力信号に基づいて、1ライン毎、位相同期のとられた画像クロック(画素クロック)を生成して画像処理ユニット1007とレーザ駆動回路1008へ供給する。このようにして、半導体レーザユニット1009は、画像処理ユニット1007により生成された画像データと位相同期回路1006により1ライン毎に位相が設定された画像クロックに従い、レーザ駆動回路1008により発光時間がコントロールされることによって、被走査媒体である感光体1001上の静電潜像をコントロールすることができる。
ところが近年、印刷速度(画像形成速度)の高速化,画像の高画質化の要求が高まり、それに対しては、偏向器であるポリゴンモータの高速化や、レーザ変調の基準クロックとなる画素クロックの高速化で対応してきたが、どちらの高速化にも限界が近づいてきており、従来の方法では対応しきれなくなってきている。またこのような走査光学系において、ポリゴンスキャナ等の偏向器の面倒れや偏向反射面の回転軸からの距離のばらつきは、被走査媒体上を走査する光スポット(走査ビーム)の走査位置ずれ,走査速度ムラを発生させる。この走査位置ずれ,走査速度ムラは画像の揺らぎとなり画像品質の劣化となる。高品位の画質を要求する場合は、走査位置ずれ,走査ムラの補正を行う必要がある。
図18は、電子写真プロセスを利用した本発明の光走査装置(画像形成装置)の構成例を示す図である。図18の構成例では、図27の従来技術に対して、走査毎に光検出器を走査する位置において半導体レーザユニットが発光する場合、1ライン毎に光検出器1004の出力信号に基づいて、カウンタ回路1020により光検出器1004からの信号をカウントし(光検出器1004で検出された信号の回数をカウントし)、カウント値をポリゴンミラー1003の面数と同じに設定することで、ポリゴンミラー1003の同一面が走査したときの光検出器1004の信号を取得することが可能となる。これにより、ポリゴンミラー1003のポリゴン面による光検出器1004の検出誤差に影響されることなく、ポリゴンミラー1003のある特定面での光検出器1004における複数光源の主走査方向位置ずれ量および副走査方向位置ずれ量を高精度に検出することが可能となる。
図21は図18の構成例においてカウンタ1020として示した位置ずれ検出回路の具体例を示す図である。図21を参照すると、図18の光検出器1004で検出された信号は、図21の検出信号セレクタ、ポリゴン面カウンタに入力される。ポリゴン面カウンタでは、後述の図19に示すように、光検出器1004によって得られる周期tp1/6の信号が入力され、ポリゴン面数を6としたとき6回信号が入力することをポリゴン面カウンタでカウントする。検出信号セレクタではポリゴン面カウンタで得られた周期tp1の信号に基づいて、ポリゴンの特定面での検出信号のみを選択して出力する。検出時間カウンタでは、検出信号セレクタから出力された検出信号をもとに、検出信号の時間幅をクロック生成回路からの高周波クロックによりカウントして検出時間幅データとして検出する。次に、メモリでは、ポリゴンミラー1回転毎の光検出器から得られた検出時間幅データを保存する。上記検出時間幅データは発光光源の光検出器に対する副走査方向の位置ずれ量を示しており、複数光源の位置ずれ量を比較することで、ポリゴン特定面における光源の副走査位置ずれ量が求められる。
図19には、図18の光走査装置(画像形成装置)の処理動作例を説明するためのタイミングチャートを示す図である。図19を参照すると、図18の光走査装置において、光検出器1004の付近を走査する毎に、半導体レーザユニット1009を発光制御するとき、光検出器1004では、ポリゴンミラー1003の回転周期をtp1とした場合、ポリゴンミラー1003の各面で光検出する場合の信号のように周期tp1/6の繰り返し信号が得られる。この信号はポリゴンミラー1003が6面の場合には、6面分の信号が繰り返し得られることになるため、図18の構成例に示すように、カウンタ回路1020により6回信号を得るごとに検出信号を取得する構成とすることにより、図19中の面1のみ〜面6のみの各信号を取得することが可能となる。まず初めに面1のみのタイミングで複数光源からの主走査方向位置ずれ情報および副走査方向位置ずれ情報を光検出器1020により取得する場合を考える。ここで、複数光源分の信号を取得したことをカウントする複数光源信号取得カウンタ(図示しないが、複数の光源が順次に発光し、全光源が発光することをカウントするものであり、レーザ駆動回路1008の発光制御信号を基にカウントするものである)を設けて、このカウント値が複数光源分となった場合には、ポリゴンミラー1003の各面で光検出している信号に対して光検出器1004の信号取得のカウントタイミングを1信号分ずらすことを順次行なうことにより、ポリゴンミラー1003のすべての面に対する主走査方向位置ずれ検出信号および副走査方向位置ずれ検出信号を取得することが可能となり、各面毎に位置ずれ補正量を変更する構成により、より高精度な主走査方向位置ずれ補正および副走査方向位置ずれ補正が可能となる。
図20は別の例を示す図である。図18の構成例において、面1のみの検出信号タイミングで光検出器1004による信号検出を行うとするとき、図16に示す6光源で光検出器1004を走査する場合を考える。この場合には、図20に示すように、ポリゴン回転周期tp1間隔で発光させる光源を順次切り替えていくことにより、ポリゴンミラーの特定面に対する複数光源の主走査方向位置ずれ量および副走査方向位置ずれ量を検出することが可能となる。また光源3の点灯時間幅t1d3として、ほかの光源の点灯時間幅も同一周期、タイミングで発光制御する場合には、点灯制御信号を簡略化できるが、複数光源の光検出器に対する主走査方向に最も走査時間の異なる光源1と6が、光検出器を十分走査可能な時間幅に設定する必要がある。すなわち、光検出器に対して、複数光源が主走査方向に走査される場合において、図16に示す光源が同時に発光、消灯した場合、その時間幅が光検出器の幅や複数光源の主走査方向に最も離れた光源同士の走査時間の差に対して充分大きい場合には、その点灯制御信号を全ての光源にポリゴンミラーの面毎に発光光源を変えて走査することで、複数光源の信号検出が可能となる。一方、時間が短い場合、例えば光源6では光検出器を走査する間、検出信号を得ることが出来るが、光源1では同一信号を用いた場合には検出信号が出来ない場合には、発光タイミングをずらした発光制御信号が必要となる。複数光源毎に発光制御信号を生成するのは回路規模が大きくなるため、共通化した発光制御信号で発光し、検出器で信号検出できれば、簡単な構成となる。
図19,図20に示したように、本発明では、さらに、複数の光源は、偏向器の回転周期と略同一周期で一定時間連続点灯する期間を少なくとも1つ有し、偏向器の特定面での反射光を前記光検出器にて信号検出するようになっている。
ここで、図19の場合には、偏向器の回転周期と略同一周期で一定時間連続点灯する期間は6個であり、図20の場合は、偏向器の回転周期と略同一周期で一定時間連続点灯する期間は1個である。
図18の光走査装置(画像形成装置)は、被走査媒体の有効走査領域外に1つの光検出器1004が配置されている場合の例であり、この光検出器1004は、図1の光走査装置(画像形成装置)における光検出器(例えば138)に対応したものとなっているが、本発明では、光検出器の配置位置として、被走査媒体の有効走査領域外のかわりに、被走査媒体の有効走査領域の略中央位置に配置することも可能であるし、被走査媒体の有効走査領域外と被走査媒体の有効走査領域の略中央位置とにそれぞれ配置することも可能である。
図22には、図18の構成例に対して、光検出器を複数個配置した構成例が示されている。すなわち、図22の例では、図18に示されている光検出器1004(被走査媒体の有効走査領域外に配置されている光検出器)に加えて、被走査媒体の略中央位置に光検出器1004'がさらに配置されている。光検出器1004'は、被走査媒体の有効走査領域の略中央位置を光ビームが走査するときに、例えば、この光ビームの一部がハーフミラーによって反射(分光)されて光検出器1004'を走査するように配置されている。図22の構成例では、光検出器1004'がさらに設けられていることにより、走査中央位置での副走査方向位置ずれ量を検出することが可能となり、複数光源の副走査方向位置ずれ量を画像の略中央位置を基準として、検出することが可能となる。これにより、複数光源の副走査方向位置ずれ補正を、より高精度に行なうことができる。
図23は、走査光に対する光検出器と被走査媒体、検出信号および発光信号の関係の一例を示す図である。図23は光走査装置が図18に示すような構成となっている場合(すなわち、被走査媒体の有効走査領域外に1つの光検出器1004(図23では、A)が配置されている場合)の例であって、走査光が光検出器A,被走査媒体の順に走査する場合、発光信号1により光検出器Aでは検出信号1が得られる。被走査媒体に画像を書き込まない領域の場合には、上記信号1で検出信号を取得できる。一方、画像を書き込む領域においては、発光信号2のように有効書き込み領域において、画像データの発光があるため、光検出器での信号検出を一走査内で同時に行うための発光信号は発光信号2となる。このとき光検出器では検出信号1と同様の検出信号2が得られる。よって、図23の構成では(すなわち、図18,図22のように、被走査媒体の有効走査領域外に光検出器が配置されている構成では)、画像データの書込み中にも位置ずれ量を検出可能となり(すなわち、有効走査領域外に配置されている光検出器での信号検出は、画像データの書込み中に行なわれることが可能となり)、温度変動などの変動要因による主走査方向位置ずれ変動および副走査方向位置ずれ変動に対して、高速に補正を行うことが可能となる。
また、図24は、図23の例に対して、有効書込み領域の略中央位置に光検出器Cをさらに設けた場合の例を示す図である(図22の光走査装置において、光検出器1004(図24では、A)に加えて光検出器1004'(図24では、C)がさらに配置されている場合の例を示す図である)。図24の例では、画像データ領域では光検出器Cにおいて主走査方向位置ずれ量および副走査方向位置ずれ量の検出を行なうことができないため(すなわち、発光信号2,検出信号2によっては、光検出器Cにおいて画像データそのものを検出してしまうために主走査方向位置ずれ量および副走査方向位置ずれ量の検出を行なうことができない)、本構成は画像データの書込み期間外で発光信号1,検出信号1によって主走査方向位置ずれ量および副走査方向位置ずれ量を検出し、主走査方向,副走査方向の位置ずれの補正を高精度に行うようになっている。
換言すれば、本発明において、有効走査領域外に配置されている光検出器(例えば、A)での信号検出は、画像データの書込み中に行なうことができる。
また、有効走査領域外に配置されている光検出器(例えば、A)、および/または、有効走査領域の略中央位置に配置されている光検出器(例えば、C)での信号検出は、画像データの書込み期間外で行なうことができる。
特に、有効走査領域の略中央位置に配置されている光検出器での信号検出は、画像データの書込み期間外で行なわれる必要がある。
また、図13は本発明の光走査装置を用いた画像形成装置の例を示す図である。図13を参照すると、被走査媒体である感光体ドラム901の周囲には、感光体ドラム901を高圧に帯電する帯電チャージャ902と、光走査装置900により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像ローラ903と、現像ローラ903にトナーを補給するトナーカートリッジ904と、感光体ドラム901に残ったトナーを掻き取り備蓄するクリーニングケース905とが配置されている。
感光体ドラム901へは、上述したようにポリゴンミラー1面毎の走査により複数ライン同時に画像記録が行われる。
4つの画像形成ステーションが転写ベルト906の移動方向に並列され、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー画像が転写ベルト上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
各画像形成ステーションは、トナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録紙は、給紙トレイ907から給紙コロ908により供給され、レジストローラ対909により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送り出され、転写ベルト906よりカラー画像が転写され、定着ローラ910で定着されて、排紙ローラ912により排紙トレイ911に排出される。
図25は、図13の画像形成装置を簡略化した図であり、光走査装置10a〜10dはそれぞれ感光体9a〜9dを走査するユニットであり、a〜dでYMCK各色を表わしている。図25では、紙1〜4に対して書き込みを行う例を示しており、紙1から4の順にユニットa,b,c,dを通っていきカラー画像を形成していくが、紙1に対してすべての色が書き込まれる前に、他の紙が通るため、紙1,2,3,4でそれぞれ画像を形成する場合には、紙間で副走査位置ずれ量を変更して補正することにより高精度なカラー画像を形成することが可能となる。またジョブ間で副走査位置ずれ量を補正する構成により、同一ジョブ間での位置ずれ補正による画像差などを発生させることなく、画素位置ずれ補正を行うことが可能となる。
すなわち、本発明において、補正手段602は、ページ間(例えば、紙間)で副走査位置ずれ補正を行うことができる。あるいは、補正手段602は、画像書き込みジョブ間で副走査位置ずれ補正を行うことができる。
また、前述したように、本発明において、前記光検出器は、走査結像手段の光路内に配置されているのが好ましい。
また、本発明において、複数の光源には同一チップ上に構成された面発光レーザが用いられることが好ましい。複数の光源には同一チップ上に構成された面発光レーザが用いられる場合には、高精細かつ省電力化による画素形成が可能となる。
また、上述したように、本発明の光走査装置をカラー(多色)画像形成装置に適用することによって、各色毎の光ビームの走査位置を高精度に検出し、その検出結果を用いて、各色画像の副走査レジストがずれないよう走査位置を保持することにより、ビームスポット位置ずれ量を低減でき、高画質化を実現した多色画像形成装置を提供することが可能となる。
なお、上述の各例では、本発明の光走査装置をカラー画像形成装置(複数(例えば4つの)の画像形成ステーションを有する画像形成装置)に適用する場合について示したが、本発明の光走査装置をカラー画像形成装置以外の画像形成装置(1つの画像形成ステーションしか備えていないモノクロ用の画像形成装置)にももちろん適用することができ、本発明を画像形成装置に適用することにより、高精度なドット位置補正が可能となり、高画質な画像を得ることができる。