JP5070559B2 - 光走査装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
従来からマルチビーム走査方式のレーザ光源として知られた「端面発光型の半導体レーザアレイ」や、端面発光型の半導体レーザを複数個用い「ビーム合成プリズムを用いてビーム合成」するものでは、同時に使用できるレーザ発光源の数は高々数個程度である。
これに対し、VCSELは、複数のレーザ光が放出される同一面内に「数十〜数百のレーザ発光源」を配列でき、同時に数十〜数百の走査線を光走査することができ、マルチビーム走査の利点である画像形成の高速性を十分に生かすことができる。
一方、従来より、光束が被走査面である感光体に反射されることによって、光源に戻って変調不良を起こすことや、迷光として意図しない画像不良を引き起こすことが問題視されてきた。これに対して、例えば特許文献1の様に、感光体面の法線に対して斜めに入射することでこれらの不具合を解決するといった方法が一般的に取られてきている。
「台形歪み」の模式図を、図5および図6で説明する。
図6は台形歪みの説明を簡略化した図である。
図5において、複数の発光源からの複数のビームは、被走査面上でスポット状に結像される。被走査面が光束の中心光に対して垂直な面であれば、同図(a)のように2次元の互いにほぼ等間隔に並ぶ。被走査面が傾斜していると、光源から遠い方がスポット間隔が大きく広がり、近い方はその間隔が狭くなる。同図の場合、上方より、下方の方が被走査面が光源に近い場合を表している。
図6では、図のy方向に走査するビームAとビームBが、y軸を中心に回転した被走査面に入射した場合、被走査面上の走査線が2つのビームで異なることを示している。斜めになったスクリーンにプロジェクタで映像を投影した場合に、投影図が台形になる。これと同様に、ビームAからは被走査面が遠い為走査されるビームはより広がる方向、ビームBは逆に被走査面が近いためビームは広がりきらない。その結果、ビームAによる走査線はビームBによる走査線よりも短くなり、その差が主走査(y)方向の位置ずれとなってしまう。光走査装置による画像形成においては、この位置ずれは画像の周辺にて境界線が直線にならない、ビームスポットの重なり方が異なるために濃度変動になる、といった画像不良を引き起こす。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の光走査装置において、前記光検知手段に同時に入射しない範囲で副走査方向および主走査方向に距離を有する2つ以上の光束について、一度の走査でそれぞれ対応する同期信号を取得することを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記複数の同期信号を取得する際に用いる光偏向器の偏向反射面は、共通の面であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光走査装置において、β1とβ2を等しくすることを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、像担持体と、帯電手段と、光走査手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを有する画像形成装置において、前記光走査手段は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光走査装置であることを特徴とする。
同図において符号1は発光源、2はλ/4板、3はカップリングレンズ、4は温度補正レンズ、5はアパーチャ、7はシリンドリカルレンズ、8は防音ガラス、9はポリゴンミラー、10は走査レンズL1、12は走査レンズL2、11、13、14は折り返しミラー、15は防塵ガラス、16は被走査面、17は書き込み幅、18は同期像高、19は同期光束、20は感光体をそれぞれ示す。
図2は本発明に用いる面発光型光源を説明するための図である。
同図において符号sは受光面を示す。添字は1桁目が行、2桁目が列をそれぞれ示す。
光源は、複数のビームを射出する半導体レーザアレイ、例えば面発光型レーザを用いる。面発光型レーザは発光点が2次元的に配置され、その出射光は直線偏光であり、偏光方向は副走査方向に平行な方向である。同図の例では、光源1は40ビームを射出し、被走査面上での最も離れた走査線の副走査方向の間隔はおよそ0.4mmにも及ぶ。光源1は同図に示す発光点配列を持つVCSELであり、モノリシックなLDアレイである。
λ/4板2は、光源からの直線偏光の光束を円偏光に変換する。
ガラス製のカップリングレンズ3と樹脂製の温度補正レンズ4は、光源1からの光束を略平行光に変換する。また、温度変化が起きた場合にビームウエスト位置の変動を低減させる効果をもち、ビームスポット径ばらつきを抑制している。
カップリングレンズと温度補正レンズの仕様の1例を表1に示す。
アパーチャの仕様の1例を表2に示す。
シリンドリカルレンズ7は、平行光束を光偏向器(ポリゴンミラー)9の偏向反射面近傍で副走査方向に結像する。シリンドリカルレンズ7は、ビームスポット径、走査線間隔の調整のために、光軸方向・副走査方向・光軸周り方向に調整してから光学ハウジングに固定される。
シリンドリカルレンズの仕様の1例を表3に示す。
走査レンズL1、L2の仕様の1例を表5に示す。
λ/4板と防音ガラスと防塵ガラスの仕様の1例を表6に示す。
図1の符号17で示した被走査面の範囲(書込幅)が、被走査面16で示した感光体20に到達し画像情報を書込む範囲であり、符号18で示した同期像高では、実際には感光体20には到達せず、図示しない同期検知手段によって信号を検知され、書込タイミングの決定に用いられる。書込開始側および終了側の両方で検知を行うことにより、温度の影響などの経時的変動を検出してフィードバック補正することができる。書込幅は、328mm、一方の同期像高18から他方の同期像高18までの距離は354mmである。
同図において符号21は折り返しミラー、22は光検知手段をそれぞれ示す。
上述した通り、主走査断面内において被走査面16の法線と光束Lの進行方向とは、同図(a)に示すように、α1の角度を有している。
また、副走査断面内においては、同図(b)に示すように、同様にβ1とする。
なお、ここでは光束Lの進行方向とは複数光束全ての平均的な進行方向を指し、カップリングレンズの中心軸に一致する位置に光源があるとした場合の、その光源からの光線の進行方向と同義とする。
この光束を同期検知手段22に導く為に同期光学系によって導光される様子を同図(b)に示す。ここでは、折り返しミラー21が同期光学系に相当するが、光学ハウジングのレイアウト上、折り返しミラーを複数枚用いたり、レンズを用いてもよい。また、ここでは主走査断面内で折り返しているが、折り返しミラーを副走査方向に対して傾けて折り返してもよい。
同図(c)、(d)において、折り返された同期光束は、同期検知手段22である検出器PDに対して、α2およびβ2を有して入射する。ここで同器光学系、および光走査装置がミラーを有している場合、α1、α2、β1、β2はミラーによる折返し部分を展開したときの角度とする。同図(c)(d)に示した破線部は、同期光学系の折り返しミラーの部分を展開して示したもので、光束進行方向からPDの法線に向かう方向に角度を定義し、左回り方向と右回り方向では符合が異なる角度とする。
特に、β1=β2、およびα1=α2とすることで、複数ビームの感光体上での位置関係を光検知手段上で同等に再現でき、複数のビームそれぞれにおいて主走査方向の書込幅(書込タイミング)を正確に検知することができ、これにより感光体を偏心させていることによる、一回の走査で発生する各ビーム間の主走査位置のずれを光検知手段上においても再現できる。したがって、理想的に台形歪みを被走査面とPD上とで完全に一致させることができる。これらの効果は本発明のすべての実施形態において同様に有効である。
ここで、台形歪みによる主走査位置ずれ量を計算してみる。
同図(a)において、被走査面がβ1傾いているときにビームAとビームBが、X方向(図の横方向)について、ΔXの距離をもって被走査面に入射していることを示している。このとき、ビームA,B間の被走査面上での距離をPとすると、
ΔX=P・sin(β1)
ΔY=ΔX・tan(α1)
ΔY=P・sin(β1) ・tan(α1)
ここで以下の値
β1= 3 [deg]
α1=28 [deg]
P=407 [μm]
を代入すると、主走査位置ずれ量ΔYは
ΔY=11.3 [μm]
となる。
さらに、実際にはポリゴンミラーの面間の誤差により、書込み走査幅の変動が反射面ごとに起きる為、その分がさらに位置ずれ量として増大し、画像上問題となるような位置ずれ量になってしまう。
本発明によれば、PDを被走査面と同様の位置関係にしておくことにより、各光束の被走査面到達位置の差(ΔX)による位置ずれ(ΔY)を検出できる為、検出結果は被走査面上と同等となり、正しい調整が可能となるのである。
高精度化のためには、複数あるビームの全てについて検出することが望ましい。しかし、多ビーム化が進んだ光学系においては全ビームを検出するには時間がかかるため、経時的に常に検出するには時間がかかり過ぎ、高速な光走査ができなくなってしまう。
そのため、互いに大きく距離の離れた発光原に対応する検出結果を利用すると良い。
図5の模式図、およびこれまでの記述で示した通り、台形歪みの位置ずれは副走査方向に距離が離れるにつれ略線形で発生する為、副走査方向に離れた、例えば最周辺のビーム2つを検知することによってその間のビームについては内挿により補正値を決定することができる。検知手段からの信号を読み取り、算出手段により、他の複数の光源の同期信号を計算により求め、各光源の同期(書き込み開始や終了のタイミング)を行う。
図2に示したように、各発光点の相対位置関係は設計値として明らかになっている。したがって、その中の1個(例えば最初の1個)の発光点からのビームの書き込みタイミングが決定できれば、前記の台形誤差等のズレ量を含めて、その他の発光点からのビームの書き込みタイミングは事前に算出できるので、相対的な時間ズレのデータを予め光源駆動回路のメモリーに保存しておけば、検出手段は1個のみで、すべての光束の書き込みタイミングを、メモリーからの呼び出しにより変換を行うことで決定し、補正することができる。したがって、複数の光束の検知手段を必要とせず、検知手段の構成が簡単で、検知時間の短縮ができる。
9 ポリゴンミラー
16 被走査面
18 同期像高
19 同期光束
20 感光体
22 光検知手段
Claims (8)
- 2次元的に配置された複数の光源からの複数光束を光偏向器によって被走査面上に主走査方向に走査し、前記複数光束を前記被走査面上に2次元的に結像し、書込幅以外の領域に配置された光検知手段と光検知手段に同期光束を導光する検知光学系を有し、前記同期光束の進行方向に対して被走査面が副走査断面内において有する傾きをβ1、該同期光束の進行方向に対して光検知手段の検知面と副走査断面内において有する傾きをβ2としたとき、β1とβ2を同符合(同じ回転方向)とし、前記複数の光源からの光束の内で、前記光検知手段に同時に入射しない範囲で副走査方向に距離を有する2つ以上の光束についてそれぞれ対応する同期信号を前記光検知手段によって取得し、それら同期信号から前記複数の光源に対応する同期信号を算出する算出手段を有し、該複数の光源に対応したそれぞれ異なる同期信号(開始および/または終了タイミング)によって走査することを特徴とする光走査装置。
- 請求項1に記載の光走査装置において、前記光検知手段に同時に入射しない範囲で副走査方向および主走査方向に距離を有する2つ以上の光束について、一度の走査でそれぞれ対応する同期信号を取得することを特徴とする光走査装置。
- 2次元的に配置された複数の光源からの複数光束を光偏向器によって被走査面上に主走査方向に走査し、前記複数光束を前記被走査面上に2次元的に結像し、書込幅以外の領域に配置された光検知手段と光検知手段に同期光束を導光する検知光学系を有し、前記同期光束の進行方向に対して被走査面が副走査断面内において有する傾きをβ1、該同期光束の進行方向に対して光検知手段の検知面と副走査断面内において有する傾きをβ2としたとき、β1とβ2を同符合(同じ回転方向)とし、前記複数の光源からの光束の全てに対応する同期信号を取得することを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記複数の同期信号を取得する際に用いる光偏向器の偏向反射面は、共通の面であることを特徴とする光走査装置。
- 2次元的に配置された複数の光源からの複数光束を光偏向器によって被走査面上に主走査方向に走査し、前記複数光束を前記被走査面上に2次元的に結像し、書込幅以外の領域に配置された光検知手段と光検知手段に同期光束を導光する検知光学系を有し、前記同期光束の進行方向に対して被走査面が副走査断面内において有する傾きをβ1、該同期光束の進行方向に対して光検知手段の検知面と副走査断面内において有する傾きをβ2としたとき、β1とβ2を同符合(同じ回転方向)とし、前記複数の光源からの光束のうち、少なくとも1つの光束について同期検知信号を取得し、その信号をそれ以外の光源による書込に適用する際、被走査面と光束とが有する角度によって発生する主走査方向の書込幅の差を低減するよう予め保存しておいたデータを用いた変換によって各光源の書込タイミングを補正して書込を行うことを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光走査装置において、β1とβ2を等しくすることを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし6のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記同期光束の進行方向に対して被走査面が主走査断面内において有する傾きをα1、該同期光束の進行方向に対して光検知手段の検知面と主走査断面内において有する傾きをα2としたとき、α1とα2を略等しくすることを特徴とする光走査装置。
- 像担持体と、帯電手段と、光走査手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを有する画像形成装置において、前記光走査手段は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光走査装置であることを特徴とする画像形成装置。
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