JP4919482B2 - 通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳 - Google Patents

通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳 Download PDF

Info

Publication number
JP4919482B2
JP4919482B2 JP2006256933A JP2006256933A JP4919482B2 JP 4919482 B2 JP4919482 B2 JP 4919482B2 JP 2006256933 A JP2006256933 A JP 2006256933A JP 2006256933 A JP2006256933 A JP 2006256933A JP 4919482 B2 JP4919482 B2 JP 4919482B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
passbook
front side
base material
side layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006256933A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008073987A (ja
Inventor
雅純 兵三
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Cloth Co Ltd
Original Assignee
Toyo Cloth Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Cloth Co Ltd filed Critical Toyo Cloth Co Ltd
Priority to JP2006256933A priority Critical patent/JP4919482B2/ja
Publication of JP2008073987A publication Critical patent/JP2008073987A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4919482B2 publication Critical patent/JP4919482B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は通帳の表紙などに用いられる通帳用クロスに関するものである。
従来より、通帳の表紙には布や紙を樹脂、充填剤、顔料等からなる組成物で処理した通帳用クロスが用いられている。
このような通帳用クロスは、綿織物などの基材層の表面に1層又は複数層の表塗工層を設け、他方、基材層の裏面に裏塗工層さらには薄紙層を設けた構造を有するものである。そして、基材層の表面および裏面に澱粉、カゼイン、PVA、酢ビ、アクリル、エチレン・酢ビ共重合体、ポリエステルなどの天然および合成樹脂と、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、チタン、アルミナなどの無機充填剤や架橋剤、防カビ剤等の混合塗料を塗布し、カレンダー加工等を行い、裏面に薄紙を貼り合わせることによって作成される。
そして、通帳用クロスはオフセット印刷などにより、表面が同じように印刷される。また、通帳用クロスを通帳の表紙として中紙の表側に貼り付けられて通帳となるが、通帳用クロスの表側には、通帳ごとに表示される通帳番号などがインクジェット印刷されて使用される。
したがって、通帳用クロスには、オフセット印刷とインクジェット印刷とが行われるので、通帳用クロスには両方の印刷特性に優れたものが求められており、このような目的に使用される通帳用クロスとして、特許文献1、2になどに開示されている。
特許3683563号公報 特許3280928号公報
上記した通帳用クロスでは、表面に塗工して形成される表塗工層は、オフセット印刷の特性を向上させる層と、この層とは別のインクジェット印刷の特性を向上させる層の複数の層が形成されているが、これらの特性を兼ね備える層とすることができれば、製造工程の簡略化を行うことができる。
また、通帳用クロスの表面はオフセット印刷の特性を向上させる理由などにより一定の平滑性が求められるが、従来の通帳用クロスでは、この平滑性を確保するため、表塗工層のための塗工液を塗工後、カレンダー加工などで圧縮する圧縮工程を行っていた。しかし、カレンダー加工などで圧縮する圧縮工程を行った通帳用クロスでは、表塗工層が圧縮されてしまうため、インクジェット印刷の際に乾燥時間が長くなってにじみが発生しやすくなり、平滑性と印刷特性を両立させることが難しいものであった。
さらに、通帳用クロスの要求特性として、各層同士の間で湿度などにより、収縮・膨張差が発生することがあり、これによってカール(そり)などが発生する。特に、インクジェット印刷で水系のインクを用いる場合には、表塗工層の材質も親水性のものが用いられるので、湿度による収縮・膨張が発生しやすくなり、カールが発生しやすい。そのため、このようなカールの発生を低減することが求められている。
そこで、本発明は、平滑性を有し、カールが発生しにくく、オフセット印刷特性及びインクジェット印刷特性に優れている通帳用クロス及びその製造方法を提供するものである。
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、基材が用いられる基材層と、基材層の表側に表塗工液を塗工することによって形成される表側層と、基材層の裏側に裏塗工液を塗工することによって形成される裏側層と、前記裏側層に接着層を介して配置された薄紙層とを有する層状構造であり、
表側層は無機粉体を含んだ樹脂により形成され、表側層の無機粉体は平均粒径が大きい粗粒子と、平均粒径が小さい微粒子とを含むものであって、粗粒子と微粒子の平均粒子径の比が1.5倍〜10倍であり、裏側層には、ガラス転位温度Tgが40℃以上である樹脂が用いられており、表側層が表面となるように配されており、基材層は、あらかじめ圧縮工程を行った基材であることを特徴とする通帳用クロスである。
請求項1に記載の発明によれば、基材層の表側に表塗工液を塗工することによって形成される表側層は無機粉体を含んだ樹脂により形成され、表側層の無機粉体は、表側層は無機粉体を含んだ樹脂により形成され、表側層の無機粉体は平均粒径が大きい粗粒子と、平均粒径が小さい微粒子とを含むものであって、粗粒子と微粒子の平均粒子径の比が1.5倍〜10倍であるので、圧縮工程を行わなくても平滑性を確保することができ、また、裏側層に含まれる樹脂はガラス転位温度Tgが40℃以上であるので、カールが発生しにくい。
また、請求項1に記載の発明によれば、基材層は、あらかじめ圧縮工程を行った基材であるので、表塗工液を塗工して表側層を形成した場合に、表側層をより平滑にすることができる。
この粗粒子及び微粒子として粉末シリカを用いることができる(請求項2)。
請求項3に記載の発明は、粗粒子の添加量は微粒子の添加量よりも多いものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通帳用クロスである。
請求項3に記載の発明によれば、粗粒子の添加量は微粒子の添加量よりも多いので、平滑性を確保しながら、印刷特性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明は、表側層の樹脂は親水性の樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の通帳用クロスである。
請求項に記載の発明によれば、表側層の樹脂は親水性の樹脂が用いられているので、一般に吸湿などにより全体がカールしやすいので、裏側層によるカール防止に特に効果がある。
本発明の通帳用クロスの製造方法に関連する発明は、基材を圧縮する圧縮工程と、圧縮された基材の表側に表塗工液を塗工して表側層を形成する表側層形成工程と、圧縮された基材の裏側に裏塗工液を塗工して裏側層を形成する裏側層形成工程と、裏側層に薄紙を接着して接着層と薄紙層を形成する薄紙接着工程とを有し、裏側層を形成するために塗工される裏塗工液は、ガラス転位温度Tgが40℃以上の樹脂を含んでいるものが用いられるものであることを特徴とする通帳用クロスの製造方法である。
の発明によれば、基材を圧縮した後に、表側に表塗工液を塗工して表側層を形成するので、表側層をより平滑にすることができ、また、裏側層を形成するために塗工される裏塗工液は、ガラス転位温度Tgが40℃以上の樹脂を含んでいるものが用いられるので、製造された通帳用クロスのカールの発生を低減することができる。
また、請求項1〜のいずれかに記載の通帳用クロスを、圧縮工程と、表側層形成工程と、裏側層形成工程と、薄紙接着工程とによって製造することができる(請求項)。
請求項に記載の発明は、表側層形成工程の後には、圧縮する圧縮工程を行わないことを特徴とする請求項に記載の通帳用クロスの製造方法である。
請求項6に記載の発明によれば、表側層形成工程の後には、圧縮する圧縮工程を行わないので、インクジェット印刷の乾燥性が優れる。
請求項1〜のいずれかに記載の通帳用クロス、又は、請求項5又は6に記載の通帳用クロスの製造方法によって製造された通帳用クロスを用い、通帳を製作することができる(請求項9)。
本発明によれば、オフセット印刷、インクジェット印刷及び平滑性を兼ね備える通帳用クロス及びその製造方法を提供することができる。
本発明の通帳用クロス1は、図1に示されるような層構成であり、基材層10、表側層11、裏側層12、接着層13、薄紙層15を有している。そして、図1に示されるように、表側層11、基材層10、裏側層12、接着層13、薄紙層15の順に並んでいる層構成であり、表側層11を表側として使用される。
通帳用クロス1を通帳に用いる場合、中紙の最表面と薄紙層15を接着し、表側層11が表面となるように中紙と接着される。
基材層10は、繊維を用いた織物などからなる基材によって構成されるものである。そして、この基材層10には従来技術の通帳用クロスに使用されるものと同じものを用いることができ、薄地の平織物などの布を用いることができる。そして布に用いられる繊維の種類は、特に限定されるものではないが、綿繊維、ポリエステル繊維、さらには、綿繊維とポリエステル繊維との混紡糸を使用することができる。
また、基材層10は、織物以外にも、不織布や紙などを使用することができる。
本実施形態の基材層10は、後述するように、表塗工液や裏塗工液を塗工する前に、圧縮されたものが用いられている。
表側層11は、表塗工液を基材層10に塗工して形成されるものである。表塗工液は、樹脂、無機粉体、溶媒を含み、さらに、必要に応じて添加剤が添加される。表塗工液を基材層10に塗工して乾燥させることにより表側層11が形成される。そして、形成された表側層11は、無機粉体が分散されたシート状の樹脂となる。
表塗工液に使用される樹脂は、通帳の印刷に用いられるインクジェット印刷のインクの種類に合わせて選択することができ、インクジェット印刷の際、インクをはじきにくくさせることができる。本実施形態では、親水性の樹脂が用いられており、親水性のインクによるインクジェット印刷に好適である。
表塗工液に用いることのできる樹脂は限定されるものではないが、具体的には、澱粉、カゼイン、PVA、酢ビ、アクリル、メラミン、エチレン・酢ビ共重合体、ポリエステルなどの天然および合成樹脂などであり、これらを、単独又は2種類以上混合して使用される。
また、表塗工液に添加される無機粉体には、粉末シリカが用いられている。そして、この粉末シリカは、大小の2種類の平均粒径を持つもの、すなわち、粗粒子と微粒子とを配合したものが用いられており、使用される無機粉体の粒度分布のグラフには2つ以上のピークが形成される。
表塗工液には、このような粒径分布の無機粉体が用いられているので、表面の平滑性を確保してオフセット印刷の特性を確保しながら、インクジェット印刷の特性を向上させることができる。すなわち、大きい粒径のものだけを添加した場合には表面に凹凸が形成されやすくなり、また、粒径の小さいものだけを添加した場合には、形成される表側層11の塗膜密度が高まり、インクジェット印刷の画像鮮明性が悪くなるが、粗粒子及び微粒子を含むものが配合されているので、このようなことがなく、これらの特性を優れたものにすることができる。
そして、本実施形態の表塗工液に添加される粉末シリカは、粗粒子として平均粒子径が9〜12μmであるもの、微粒子として平均粒子径が3.5〜3.9μmであるものを用いて混合して使用することができる。また、粗粒子の添加量を微粒子の添加量よりも多くすることができ、具体的には、微粒子の添加量に対する粗粒子の添加量の比(微粒子/粗粒子)を5/95〜40/60、好ましくは15/85〜30/70とすることができる。
表側層11における粗粒子と微粒子の合計の割合は、20〜80%とすることができ、さらに好ましくは30〜60%とすることができる。なお、この粗粒子と微粒子の合計の割合は、表塗工液に用いられている溶媒を含まない全体の量を基準として算出される。
また、粗粒子や微粒子の平均粒子径は、上記のものに限定されるものでなく、適宜選択することができる。例えば、粗粒子の平均粒子径が、6μm〜30μm、好ましくは8μm〜15μmのものを用いることができ、また、微粒子の平均粒子径が、0.1μm〜5μm、好ましくは3μm〜4μmのものを用いることができる。
本実施形態では、粗粒子と微粒子の平均粒子径の比が3倍程度である。この平均粒子径の比は、1.5倍〜10倍のものが好ましく、さらに2倍〜5倍のものが好ましい。
表塗工液を基材層10に塗工され、表塗工液の溶媒を乾燥させると、表側層11が形成される。そして表側層11の表面は、大きい径の無機粒子の間に小さい径の無機粒子が埋まる状態となり、より平滑になる。また、大きい径の無機粒子が用いられているので、基材層10のインクの吸収性を確保することができる。
裏側層12は、裏塗工液を基材層10に塗工して形成されるものである。裏塗工液は、樹脂、溶媒を含み、さらに、必要に応じて無機粉体などの添加剤が添加される。そして、裏塗工液を基材層10に塗工して乾燥させることにより裏側層12が形成される。
裏塗工液に用いられる樹脂はある程度硬いものであって、裏側層12には適度な剛性が付与される。そのため、通帳用クロス1全体や、通帳用クロス1を用いた通帳のカールを発生させにくくすることができる。
このため、裏塗工液に用いられる樹脂は、ガラス転位温度Tgが40℃以上であるものが用いられており、好ましくは45℃以上、更に好ましくは50℃以上の樹脂が用いられている。
また、ガラス転位温度が高すぎると裏側層12が硬くなりすぎて、通帳を使用する際などに割れるなどして破損するおそれがあるので、ガラス転位温度は80℃以下、好ましくは70℃以下が望ましい。
表塗工液や裏塗工液に使用される溶媒は、用いられる樹脂を溶解させることができるものが適宜使用される。
また、薄紙を接着剤によって接着し、裏側層12に接着される薄紙層15が形成される。そして、薄紙層15と裏側層12との間には接着層13が形成される。
薄紙層15に用いられる薄紙や、接着層13となる接着剤は、従来公知のものを用いることができる。本実施形態では、接着層13となる接着剤は酢酸ビニル系の接着剤が用いられ、薄紙は汎用の薄葉紙(15g/m2〜20g/m2)が用いられている。
次に、通帳用クロス1の製造方法について説明する。
まず、基材層10となる基材(布)を漂白する。さらに、この漂白された基材を圧縮して圧縮工程が行われる。この圧縮工程では、カレンダーロールの間に前記基材を連続的に通過させることにより行われる。
さらに、基材層10に表塗工液や裏塗工液を塗工し、溶媒を乾燥させて表側層11や裏側層12を形成する(表側層形成工程、裏側層形成工程)。
これらの工程では、基材層10にドクターナイフコーティング法により表塗工液や裏塗工液を連続的に塗工するものであるが、他の方法を用いることもできる。例えば、コンマコーティング法、リバースロールコーティング法、グラビアコーティング法、バーコーティング法等の方法がある。
そして結反整理を行い、薄紙を裏側層12に接着して接着層13と薄紙層15とを形成する。さらに、集塵工程、調湿工程、仕上工程などが行われる。
このように、本実施形態の通帳用クロス1では、表側層11を形成した後に、圧縮する圧縮程を行っていない。
このように製造された、通帳用クロス1の全体の厚みは180〜200μmであり、表側層11の厚みは20〜40μmであり、裏側層12の厚みは35〜55μmとなっている。
このように製造された通帳用クロス1は長尺状であるので、通帳に使用する場合、通帳の大きさに合わせた所定の形状に切断される。
そして、通帳用クロス1は、中紙の最表面と薄紙層15を接着し、表側層11が表面となるように中紙と接着されて、通帳として用いられる。
また、通帳用クロス1の表側は、オフセット印刷やインクジェット印刷が行われる。オフセット印刷では、複数のものを同じように印刷される部分に用いられる。オフセット印刷の印刷特性は、表側層11の平滑性などが影響するものである。本実施形態の通帳用クロス1では、表側層11を形成した後に圧縮する圧縮工程が行われていないが、大小の粒径の無機粉体が混合されたものであるので、平滑性を確保することができ、オフセット印刷の印刷特性がよい。
そして、通帳独自の情報など、個々の通帳ごとの表示をインクジェット印刷によって行う。本実施形態の通帳用クロス1では、インクジェット印刷の特性も優れており、インクの乾きも早くすることができる。
したがって、インクジェット印刷を、より早く確実に行うことができ、通帳使用者に応じた印刷が可能となり、使用者特有の情報を印刷することで偽造防止にも役立つ。
また、通帳の使用時に、環境条件によって、表側層11などが吸湿するが、裏側層12によってカールを防止することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて、更に詳細に説明する。しかし、本発明はその主旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
そして、以下に示される方法によって製作された実施例1〜3、比較例1〜3の通帳用クロスを(1)オフセット印刷適正、(2)インクジェット印刷適正、(3)ドットプリント適正、(4)ピック強度(表面塗膜の強度)、(5)磁気テープ接着力、(6)磁気箔転写適正、(7)カール性の7種類の方法で評価した。
(1)オフセット印刷適正については、RIテスト印刷機を用いて印刷し、結果を目視で4段階に評価し、非常に優れているを◎、優れているを○、やや劣るを△、劣るを×とした。
(2)インクジェット印刷適正については、EPSON PX−V700で水性顔料インクを用いて印刷し、画像鮮明性、インク乾燥性、走行安定性について、オフセット印刷と同様に4段階で評価した。
画像鮮明性は、文字、画像の滲み、発色性を確認して評価した。
インク乾燥性は、K(ブラック100%),C(シアン100%),M(マゼンダ100%),Y(イエロー100%)3K(シアン100%、マゼンダ100%、イエロー100%)4水準の画像を印刷し、印刷面を指擦りしてインクの色落ちを目視で確認し、1分以内に色落ちしなくなれば◎、1分から3分以内に色落ちしなくなれば○、3分から10分以内に色落ちしなくなければ△、10分以上かかるものは×として評価した。
走行安定性は、インクジェット印刷機に通帳用クロスを100回走行させて、走行不良の発生回数を確認し、走行不良発生なしを◎、走行不良発生率0〜3%○、走行不良発生率3〜10%△、走行不良発生率10%以上を×として評価した。
(3)ドットプリント適正については、デジタルプリンターDO−223P−26(ボン電気社製)で印字した直後に、その印字面上でウレタンゴムローラーを転がし、該ローラから通帳用クロス表面の他部に転写される印字影の濃度を目視により観察し、印字影が全く認められないものを◎、印字影がほとんど認められない○、印字影がやや認められるを△、印字影が明瞭に認められるを×と4段階に評価した。
(4)ピック強度(表面塗膜の強度)については、JIS P8129−1994のワックス法で試験した。このワックス法の試験で9A以下はオフセット印刷時に塗膜が破壊し、実用に不適とされる。
(5)磁気テープ接着力については、JIS−C2167の電気絶縁用粘着力試験方法に準拠し、日立マクセル社製磁気テープを使用して剥離速度200mm/分で試験した。
(6)磁気箔転写適正については、箔押機を用いて、大日本インキ化学製磁気箔を箔押温度130℃および150℃の2条件で熱転写し、結果を目視で4段階に評価し、非常に優れているを◎、優れているを○、やや劣るを△、劣るを×とした。
(7)カール性については、20℃85%RHに保った密閉容器内に10cm×10cmにカットした通帳用クロスを上向きに置き、密閉容器内に静置する。3時間後に通帳用クロスの最大カール高さを測り4段階に評価した。
そして、最大カール高さ5mm以下を◎、最大カール高さ5〜8mmを○、最大カール高さ8〜11mm△、最大カール高さ11mm以上を×とした。
(実施例1)
基材層10となる基材として、60番手綿糸を経糸および緯糸とし、経糸密度が90本/インチ、緯糸88本/インチの平織物を用意した。
また、表側層用の表塗工液として、ポリビニールアルコール9部、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(固形分56%)4部、沈降性炭酸カルシウム0.5部、平均粒子径9〜12μmの粉末シリカ8部と平均粒子径3.5〜3.9μmの粉末シリカ2部、インクセット剤用の変性ポリアミン樹脂1.5部、耐水化剤用の尿素・グリオキザール・アクリルアミド重合物1.5部および水76部の混合液(配合A)を用意した。
上記の沈降性炭酸カルシウムは、紡錘形状のものを用いた。
この配合Aでは、平均粒子径9〜12μmの粉末シリカが粗粒子となり、平均粒子径3.5〜3.9μmの粉末シリカが微粒子となる。また、粗粒子と微粒子の平均粒子径の比が2.3倍〜3.4倍の間であり、粗粒子の添加量は粗粒子の添加量よりも多く、微粒子の添加量に対する粗粒子の添加量の比が2/8である。
また、粗粒子と微粒子の合計は10部であり、溶媒である水が乾燥した後の全体の重量(24.7部)に対する割合は、40.4%である。
また、裏側層用の裏塗工液として、ポリビニールアルコール5部、アクリル共重合体樹脂(固形分46%)40部、酸化チタン3部、耐水化剤用のポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル3部、水30部の混合液(配合B)を用意した。
裏塗工液に使用する合成樹脂はガラス転移温度Tgが60℃のハードタイプを使用した。
上記基材をカレンダー加工により圧縮する。そして、圧縮された基材の表面にドクターナイフコーティング法を用いて、表塗工液を固形分付量28g/m2塗布して乾燥させて表側層を形成する。
さらに、基材の裏側にドクターナイフコーティング法を用いて、裏塗工液を固形分付量46g/m2塗布して乾燥させて裏側層を形成する。
その後、裏側層に15〜20g/m2の薄葉紙を酢酸ビニル系接着剤で貼付け、調湿や仕上げ工程などを行い、実施例1の通帳クロスを得た。
実施例1の通帳用クロスは、全体の厚みは200μmであり、表側層の厚みは30μmであり、裏側層の厚みは45μmとなっている。
(実施例2)
基材層となる平織物の経糸および緯糸をポリエステル繊維を用いた以外は、実施例1と同様のものを用い、同じ条件で製作し、実施例2の通帳用クロスを得た。
(実施例3)
基材層10となる基材は、実施例1のものと同じものを用いた。また、表側層を形成する表塗工液は、実施例1のものと同じもの(配合A)を用いた。
裏側層用の裏塗工液として、ポリビニールアルコール5部、アクリル共重合体樹脂(固形分46%)40部、酸化チタン3部、耐水化用のポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル3部、水23部の混合液(配合F)を用意した。なお、この配合Fは、実施例1に用いられる裏塗工液である配合Bと比較して合成樹脂のガラス転移温度Tgが異なるものであり、裏塗工液に使用する合成樹脂はガラス転移温度Tgが40℃である。
そして、実施例1と同様な条件で製作して、実施例3の通帳用クロスを得た。
(比較例1)
比較例1は、実施例1、3と比較して、裏塗工液に使用される合成樹脂を、ガラス転移温度Tgがさらに低いものに変更したものである。
基材層10となる基材は、実施例1のものと同じものを用いた。また、表側層を形成する表塗工液は、実施例1のものと同じもの(配合A)を用いた。
裏側層用の裏塗工液として、ポリビニールアルコール5部、アクリル共重合体樹脂(固形分46%)40部、酸化チタン3部、耐水化剤用のポリヒドロキシアルカンポリグリシジルエーテル3部、水23部の混合液(配合E)を用意した。なお、この配合Eは、実施例1に用いられる裏塗工液である配合Bと比較して合成樹脂のガラス転移温度Tgが異なるものであり、裏塗工液に使用する合成樹脂はガラス転移温度Tgが20℃である。
そして、実施例1と同様な条件で製作して、比較例1の通帳用クロスを得た。
比較例2、3は、従来の通帳用クロスと同様に、表側層を2層にしたものであり、表側層を形成した後、カレンダー加工による圧縮工程を行ったものである。
(比較例2)
基材層10となる基材は、実施例1のものと同じものを用いた。なお、表側層を形成する前に、カレンダー加工による圧縮工程は行っていない。
表側層は2層構造であり、下引き層と最表面層を有しており、下引塗工液と最表面塗工液とが用いられて形成される。
下引塗工液として、実施例1の表塗工液で用いられる配合Aと同じ配合のものを用意した。
また、最表面塗工液として、ポリビニールアルコール5.5部、沈降性炭酸カルシウム30部、平均粒子径1〜2μmの粉末シリカ12部、酸化チタン1部、ポリエステルディスパージョン(固形分35%)66部および水80部の混合液(配合C)を用意した。
上記の沈降性炭酸カルシウムは、紡錘形状のものを用いた。
裏塗工液として、ポリビニールアルコール100部、沈降性炭酸カルシウム200部、および水500部の混合液(配合D)を用意した。
そして、基材の表面にドクターナイフコーティング法を用いて、下引塗工液を固形分付量50g/m2塗布して乾燥させて下引層を形成する。また、この下引層の上に、最表面層塗工液を固形分付量15g/m2塗布して乾燥させて最表面層を形成する。
さらに、基材の裏側にドクターナイフコーティング法を用いて、裏塗工液を固形分付量15g/m2塗布して乾燥させて裏側層を形成する。
表側層及び裏側層を形成した後に、カレンダー加工による圧縮工程を行う。
その後、裏側層に15〜20g/m2の薄葉紙を酢酸ビニル系接着剤で貼付け、調湿や仕上げ工程などを行い、比較例2の通帳クロスを得た。
(比較例3)
裏塗工液として、実施例1の裏塗工液として用いられている配合Bを用いた以外は、比較例2と同様なものを用い、同様な条件で製造して、比較例3の通帳クロスを得た。
実施例及び比較例に用いる塗工液の配合などについて、表1に示す。なお、右側の数字は部数を示している。
また、実施例1〜3及び比較例1〜3のシート材の各種評価結果を表2に示す。
Figure 0004919482
Figure 0004919482
表2に示されるように、実施例1〜3のシート材は、各評価項目に対して、良好な評価となっている。これに対して、比較例1では、(2)インクジェット印刷適正の走行安定性、(6)磁気箔転写適正、(7)カール性の評価が悪い。また、比較例2では、(2)インクジェット印刷適正の走行安定性、(7)カール性の評価が悪く、(4)ピック強度及び(5)磁気テープ接着力が低い。そして、比較例3では、(4)ピック強度及び(5)磁気テープ接着力が低い。
実施例1〜3の中でも、実施例1、2が(2)インクジェット印刷適正の走行安定性、(7)カール性の評価が特に優れている。これは、裏塗工液に使用する合成樹脂のガラス転移温度Tgが60℃のハードタイプを使用しているためと考えられる。
本発明の通帳用クロスの層構造を示した断面図である。
1 通帳用クロス
10 基材層
11 表側層
12 裏側層
13 接着層
15 薄紙層

Claims (7)

  1. 基材が用いられる基材層と、基材層の表側に表塗工液を塗工することによって形成される表側層と、基材層の裏側に裏塗工液を塗工することによって形成される裏側層と、前記裏側層に接着層を介して配置された薄紙層とを有する層状構造であり、
    表側層は無機粉体を含んだ樹脂により形成され、表側層の無機粉体は平均粒径が大きい粗粒子と、平均粒径が小さい微粒子とを含むものであって、粗粒子と微粒子の平均粒子径の比が1.5倍〜10倍であり、
    裏側層には、ガラス転位温度Tgが40℃以上である樹脂が用いられており、
    表側層が表面となるように配されており、
    基材層は、あらかじめ圧縮工程を行った基材であることを特徴とする通帳用クロス。
  2. 粗粒子及び微粒子は粉末シリカが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の通帳用クロス。
  3. 粗粒子の添加量は微粒子の添加量よりも多いものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通帳用クロス。
  4. 表側層の樹脂は親水性の樹脂が用いられていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の通帳用クロス。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の通帳用クロスを製造する通帳用クロスの製造であって、
    基材を圧縮する圧縮工程と、圧縮された基材の表側に表塗工液を塗工して表側層を形成する表側層形成工程と、圧縮された基材の裏側に裏塗工液を塗工して裏側層を形成する裏側層形成工程と、裏側層に薄紙を接着して接着層と薄紙層を形成する薄紙接着工程とを有することを特徴とする通帳用クロスの製造方法。
  6. 表側層形成工程の後には、圧縮する圧縮工程を行わないことを特徴とする請求項に記載の通帳用クロスの製造方法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の通帳用クロス、又は、請求項5又は6に記載の通帳用クロスの製造方法によって製造された通帳用クロスを用いたことを特徴とする通帳。
JP2006256933A 2006-09-22 2006-09-22 通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳 Active JP4919482B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006256933A JP4919482B2 (ja) 2006-09-22 2006-09-22 通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006256933A JP4919482B2 (ja) 2006-09-22 2006-09-22 通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008073987A JP2008073987A (ja) 2008-04-03
JP4919482B2 true JP4919482B2 (ja) 2012-04-18

Family

ID=39346544

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006256933A Active JP4919482B2 (ja) 2006-09-22 2006-09-22 通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4919482B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0651388B2 (ja) * 1985-08-30 1994-07-06 株式会社きもと マットフィルム
JP2623378B2 (ja) * 1991-04-22 1997-06-25 日本製紙株式会社 塗工装置及びそれを用いた塗工紙の製造方法
JP3683563B2 (ja) * 2002-10-18 2005-08-17 東洋クロス株式会社 通帳用クロス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008073987A (ja) 2008-04-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102034577B1 (ko) 벽 피복재
EP3107738B1 (en) Printable medium
WO2006137394A1 (ja) 耐傷性、耐擦過傷性に優れた銀面調皮革様シート
JP2007100289A (ja) 皮革状物の製造方法
JP2017002419A (ja) 人工皮革
JP6823928B2 (ja) 剥離性感圧接着シート
JPH01271293A (ja) 樹脂加工された感熱性孔版原紙用薄葉紙
JP4919482B2 (ja) 通帳用クロス、通帳用クロスの製造方法、並びに、通帳
JP3468994B2 (ja) ガラス繊維混抄塗工紙
JP7177851B2 (ja) 耐候性に優れる印刷基材
JP4037430B2 (ja) 圧着用紙
JP3683563B2 (ja) 通帳用クロス
JP2010194242A (ja) 被せ蓋式鞄用被せ蓋材
JP2003127288A (ja) 表層材および壁紙とその製造方法
TW201331027A (zh) 耐溶劑可印刷基材及其製造與使用方法
JP2000203150A (ja) インクジェット記録シ―ト
JP3280928B2 (ja) 通帳用クロス
JP3744090B2 (ja) 染料熱転写受容シート
JP6344822B2 (ja) インクジェット記録用圧着紙
JP7026302B2 (ja) 印刷用クロス及びその製造方法
JP5641280B2 (ja) 表示ラベル
JP2010084251A (ja) 印刷用不織布
JP4043038B2 (ja) 圧着用紙
JP2004218145A (ja) インクジェットプリント用基材およびその製造方法
JP3054067B2 (ja) 印刷用シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120113

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120130

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4919482

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20180210

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250