以下、本発明に係る遊技機の実施の形態として、遊技場等に設置される雀球遊技機について図1ないし図7を参照して説明する。なお、図1は本発明の実施形態における雀球遊技機を示す斜視図、図2は遊技盤を説明する図で、(a)は遊技盤の正面図、(b)は入球口と自摸牌の図柄との対応関係を示す図、図3は発射装置及び発射通路を示す分解正面図、図4は図1における操作パネルの構成を示す正面図、図5は図1における画像表示部に表示する画面例を説明するための図、図6はレール板及びLEDを示す図で、(a)は一部拡大正面図、(b)は側方断面図、図7は記録データを説明する図で、(a)は学習前の記録データを示す図、(b)は学習後の記録データを示す図である。
本実施の形態では、27種の牌の図柄を各4個、計108個の牌を使用して遊技を行う雀球遊技機1を例に挙げて説明する。この27種の牌の図柄は、例えば、万子(萬子)が「一万」〜「九万」の9種、筒子が「一筒」〜「九筒」の9種、索子が「一索」と「九索」の2種、字牌が「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」の7種である。従って、万子と筒子が数牌となり、索子の「一索」と「九索」は、順子を形成することができないので字牌に含めている。これにより、本実施形態における牌種とは、上記の「万子」、「筒子」、「字牌」の3種を示すことになる。
なお、上記した2種の数牌は、例えば、万子を「一万」〜「九万」の9種類の図柄、索子を「一索」〜「九索」の9種類の図柄から構成し、字牌は筒子の「一筒」と「九筒」、及び「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」から構成される麻雀牌の図柄を有する雀球遊技機にすることも可能である。また例えば、索子を「一索」〜「九索」の9種類の図柄、筒子を「一筒」〜「九筒」の9種類の図柄から構成し、字牌は筒子の「一万」と「九万」、及び「東」「南」「西」「北」「白」「發」「中」から構成される麻雀牌の図柄を有する雀球遊技機にすることも可能である。
図1に示すように、本雀球遊技機1は遊技機本体1aを備えてなり、該遊技機本体1aの前面部は、基本的には遊技盤面部(遊技領域)2a、操作パネル3、操作パネル3の下方に設けられた発射装置4、メダル受け皿5、音声や効果音(以下、一括して音声という)を出力する音声出力装置であるスピーカー6、ランプ装置7等から構成される。上記遊技盤面部2aは、図2に示す遊技盤2に設けられた遊技エリア(遊技領域)である。なお、符号1bは、遊技機本体1aに対して開閉可能に支持された前扉を示し、また、符号1cは、前扉1bの下方に配置され、同じく遊技機本体1aに対して開閉可能に支持された下扉を示すが、これら前扉1b及び下扉1cは一体に形成されてもよく、これら2つの扉は広義として前扉と称してもよい。
図2(a)に示すように、遊技盤面部2aの略中央部には、所要の演出表示を行うための液晶表示装置等の画像表示装置38を開口部13から露出した状態のセンター飾り12が配置され、該センター飾り12の上方には表示部37が配置され、表示部37の左右下方には入球口11a,11bが配置されている。センター飾り12の右方には、遊技球が通過可能なアタッカー作動通過口10が配置され、上記表示部37の直下方には、アタッカー9が配置されている。このアタッカー9は、和了した際の和了り役が特別役(例えばビッグ役)である場合に開放して後続ゲーム中に自摸牌の選択を自由にするための可変入球口を構成している。また、アタッカー作動通過口10は、特別役で和了した際に遊技球の入球が有効となって、該入球に対応してアタッカー9を開放させる。
遊技盤面部2aにあって、後述する入球口11c〜11e、…とステージSとの間には、入球口11c〜11e、…の直ぐ上方にて各入球口の入球幅を規制するための複数の障害釘が打ち込まれている。ステージSは、正面視波型に形成されており、センター飾り12の下方にあって、入球口11c〜11e、…の横幅の略々全体に対応する幅に亘って配置されている。なお、遊技盤面部2aには、風車、上記とは別の障害釘、スルーゲート39a,39b等が設けられており、これらによって遊技球の流下経路が大きく左右される。
遊技盤面部2aの下方側には、入球口11c〜11e、…が並列配置されており、上方側にある入球口11a,11bやアタッカー9に入球しなかった遊技球は必ず何れかの入球口11c〜11e、…に入球されるように構成されている。それら入球口11c、11d、11e、…は、例えば図2(b)に示すように、一索から九索までの索子牌を除いた牌の図柄25種に対応して、25個が設けられている。即ち、入球口11cには「東」、入球口11dには「南」、入球口11eには「一万」というように、所要の麻雀牌図柄が順次表示されている。なお、入球口11a,11bにはそれぞれ「一索」と「九索」が表示されている(不図示)。
それら入球口11a、11b、11c〜11e、…は、遊技盤2の背面側に導くための通路がそれぞれ形成されており(不図示)、それら入球口11a、11b、11c〜11e、…に入球した遊技球が背面側に設置された各入球センサを通過するように構成されている。これらの各入球センサを通過すると、上記入球口11a、11b、11c〜11e、…に対応して表示された牌の図柄が入球した際の自摸牌となる。
一方、上記入球口11c〜11e、…は、図2(a)に示すように、前カバー52により覆われており、また、遊技盤面部2aの外縁を形成する形で内周面にレール板(ガイドレール)51aが敷設されたレール飾り51が設けられており、更に前カバー52の左端上方には、出口レール53が設けられている。これら前カバー52の下面52a及び出口レール53の外周面53aとレール飾り51の内周面のレール板51aとによって、発射通路50が形成されている。また、レール飾り51の内周面(レール板51a)は、発射通路50の出口から正面視時計回りにエンドストッパ55まで延設される形で形成されており、この内周面(レール板51a)が、発射装置4から発射された遊技球の打出し強さに基づく遠心力に応じて該遊技球をガイドする。なお、勿論であるが、発射通路50は、遊技盤2により背面が形成されると共に、ガラス板等によって前面が形成され、つまり遊技球が前後方向に脱落することはない。
そして、レール板51aが敷設されたレール飾り51の内周面の僅かに外周側には、該レール板51aに沿って並列配置された形で、複数のLED(発光体)61,62が2列並列となるように配設されている。詳細には、図2(a)及び図6(a)に示すように、レール飾り51の内周面における発射装置4側の端部から上記エンドストッパ55付近まで、該レール板51aに沿った内周側にn個(例えば100個)のフルカラー表示可能なLED611、612、613、…、61k−1、61k、61k+1、61k+2、…、61nが並列配置されており、また、LED61の僅かな外周側にn個(例えば100個)のフルカラー表示可能なLED621、622、623、…、62k−1、62k、62k+1、62k+2、…、62nが該レール板51a及びLED61に沿って並列配置されている。これらn個のLED61、62は、1対となる形でそれぞれ対応して並列配置されており、本実施の形態においては、詳しくは後述するように、LED61が狙い位置を表示する用、LED62が打出し強さを表示する用、となっている。
また、上記LED61、62は、図6(b)に示すように、レール飾り51に形成されたn個の穴51b、51cに開口部分を塞ぐ形でそれぞれ埋設されており、各LED61,62は、該穴51b、51cに埋設されたメイン配線61C、62Cから分岐された支線61a、62aが接続されて、各個に電力が供給し得るように構成されている。即ち各LED61,62は、後述の制御部の制御に基づき、個別に点灯(スイッチング)し得るように構成されている。なお、本実施の形態では、発光体としてフルカラーLEDを用いているが、これに限らず、小型電球等であってもよく、つまり発光できるものであれば、どのようなものであってもよい。
一方、発射通路50の右下方側には、発射装置4が配置されている。該発射装置4には、遊技者が例えば指掛け棒8に指を掛けつつ手動によって回動操作し得る発射レバー4aが下扉1cに回動自在に設けられており、該下扉1cの背面側には、連結軸を介して該発射レバー4aに連結されたハンマーが備えられている。該ハンマーの先端部には、打撃ばね(槌部)4bが備えられており、発射レール54と保持ストッパ46とによって形成される遊技球セット位置(打出位置)Sに到達し得るように構成されている。また、図示を省略した連結軸の外周側にはスプリング(付勢部)が配置されており、該スプリングの付勢力によって発射レバー4a及びハンマーが付勢され、打撃ばね4bが遊技球を打撃する力となる。
なお、発射レバー4aとハンマーとを連結する連結軸の近傍には、該連結軸の回動角度を検出するエンコーダ111(図1参照)が配設されており、また、発射レバー4aには、タッチセンサ112が接続されて、該発射レバー4aに遊技者の手が触れているか否かを検出し得るように構成されている。これらエンコーダ111の信号やタッチセンサ112の信号は、詳しくは後述する制御部102に入力されるように構成されている。
上記遊技球セット位置Sの上方側には、遊技球供給ユニット(不図示)の供給穴45が形成されており、該遊技球供給ユニットから供給された遊技球が発射レール54に沿って図中右方側に転動され、保持ストッパ46に突き当たることにより、遊技球セット位置Sに遊技球がセットされる。
また、発射レール54の上面54aとレール飾り51のレール板51aの端部との間には、ファール球回収路70が形成されている。該ファール球回収路70は、受け皿71と該受け皿71に受け留められた遊技球を背面側に排出する排出穴72とを有しており、該排出穴72より排出された遊技球は、上記遊技球供給ユニットに戻される。これにより、発射装置4によって発射され、発射レール54を超え、かつ発射通路50の出口に到達しなかった(遊技盤面部2aに導かれなかった)遊技球は、ファール球回収路70から回収されて上記遊技球供給ユニットに戻されることになる。
一方、操作パネル3には、図4に示すように、液晶表示装置等からなる画像表示部14、メダル投入口15、及び各種の操作ボタンが設けられている。この各種の操作ボタンとして、13個のボタンが横方向に並設された捨て牌ボタン16a、16b、…、16m、自摸牌捨てボタン17、リーチボタン18、牌選択右シフトボタン19、牌選択左シフトボタン20、自摸牌決定ボタン21、払い出しボタン22、遊技終了ボタン23、遊技開始ボタン24、及びリジェクト(REJECT)ボタン25が配置されている。
画像表示部14には、その表示面に種々の表示部が設定され、遊技者に対してゲームの進行に応じて必要な情報や画像及び演出用画像をこの表示部に表示するようにしている。例えば、図5に示すように、表示面の上部横方向には、遊技メダル貯留枚数表示部26、残り遊技球数表示部27、風牌表示部28、表ドラ表示部29、裏ドラ表示部30、和了り牌表示部31、特別遊技のうち、ビッグゲームの権利を得ることができる和了り役を示すビッグゲーム和了り役表示部32、更に、チャンスゲームの権利を得ることができる和了り役を示すチャンスゲーム和了り役表示部33、捨て牌の図柄を表示する捨て牌表示部34が設けられ、ゲームの進行に応じて牌の図柄、演出画像、数値等が表示される。なお、上述した、ビッグゲームの権利を得ることができる和了り役及びチャンスゲームの権利を得ることができる和了り役を、以下「特別役」と称すると共に、該特別役以外の和了り役を「通常役」と称する。
更に、画像表示部14の表示面の下部横方向には、13個の手牌の図柄を表示する手牌表示部35、及び自摸した牌の図柄を表示する自摸牌表示部36が設けられている。なお、手牌表示部35及び自摸牌表示部36に表示している各図柄の下部には、捨て牌ボタン16a、16b、…、に対応するボタン名(A、B、C、D、E、…)が表示されている。また、表示される麻雀牌の図柄はカラーで表示される。
また、本実施形態の雀球遊技機1は、図1に示すように、制御部102に、以下のような操作支援手段103、特別遊技制御手段104、特別遊技継続制御手段105、特別遊技中自摸牌選択手段106、狙い牌選定手段91、記録データ92、狙い位置発光制御手段(発光制御手段)93、発射強度発光制御手段94、発光箇所選択制御手段95、打出し強さ検出手段96、データ学習補正手段97、を有している。なお、制御部102には、上述したように発射装置4のエンコーダ111及びタッチセンサ112が接続されている。
操作支援手段103は、遊技者に対して、画像表示部14の画面と対話方式によりゲーム進行に関する操作を支援するためのものであり、例えば「自摸を行ってください」、「捨て牌を選んでください」等の表示を画像表示部14の画面上に行って、遊技者の操作を支援する。
特別遊技制御手段104は、特別役が成立した場合、アタッカー作動通過口10に設けられた入球センサ(図示せず)をオンし、アタッカー9の開放の契機となるアタッカー作動通過口10への入球の有効/無効を判定する。つまり、該特別遊技制御手段104が、アタッカー作動通過口10への入球の有効を判定すると、アタッカー9が開放されて自由選択自摸が可能となる特別遊技の権利が生じ、特別遊技が開始制御される。
特別遊技継続制御手段105は、ビッグ役が成立した場合、次ゲーム以降から例えば13ゲーム(当該ゲームを含め14ゲーム)の間、継続させてアタッカー作動通過口10に設けられた入球センサ(図示せず)をオンさせる。つまり、該特別遊技継続制御手段105が、アタッカー作動通過口10への入球の有効を次ゲーム以降から13ゲームの間継続させると、特別遊技が当該ゲーム(役成立時に進行中のゲーム)を含めて14ゲーム(つまり14ラウンド)継続するビッグゲームの権利が生じた状態となる。
特別遊技中自摸牌選択手段106は、特別遊技の権利を獲得したゲームにおいて、アタッカー9に遊技球が入球した信号が入力されると、遊技者に対して、自摸する牌の図柄を自由選択する操作を行わせる。つまり、本雀球遊技機1では、例えば捨て牌の枚数(同じ牌が4枚まで)等の制限以外、遊技者が自由に好みの牌の図柄を選択して入手し、交換したのと同じようにする。
一方、狙い牌選定手段91は、上記手牌表示部35に表示する手牌の図柄に基づき、予め決められた和了り役やその役のレベル(役数、点数)に応じて、狙うべき和了り役とそのレベルとを判別し、次の自摸牌として狙うべき牌(狙い牌)の図柄を選定する。例えば手牌より和了り易い和了り役を選び、一向聴(イーシャンテン)であれば聴牌(テンパイ)となるために必要となる牌の図柄を選定したり、聴牌であれば和了りとなるために必要となる牌の図柄を選定したり、また、役数(点数)の大きな和了り役が成立し得る状態によっては、和了りとなる牌の図柄よりも、その手牌を変更するための牌の図柄を選定したりする。勿論であるが、例えば両面待ち、三面待ち等であれば、選定される牌の図柄も複数となる。そして、狙い牌選定手段91は、このように選定した狙うべき牌の図柄を、和了り牌表示部31に表示すると共に、後述の狙い位置発光制御手段93に選定した牌の図柄の信号を出力する。なお、本実施の形態においては、次に狙うべき牌を選定するものであれば足りるが、言うまでもなく、自摸牌を得た状態から捨て牌の選定も行うものであって構わない。
記録データ92は、図7(a)に示すように、狙い牌図柄の格納欄Aと、打出し強さの格納欄Bと、入球回数の格納欄Cとを有しており、特に入球回数の格納欄Cが詳しくは後述するデータ学習補正手段97によって書き換え自在となっている。詳細には、上記入球口11c(図2(a)及び(b)参照)に対応した牌の図柄「東」の格納欄Acにおいて、打出し強さの格納欄Bは、上記n個のLED611〜61nにそれぞれ対応する形で遊技球の打出し強さ「01」〜「n」の段階別に区分けされており、入球回数の格納欄Cには、それぞれの打出し強さによって打出された遊技球が入球口11c(即ち「東」)に入球した回数が記録されている。また同様に、入球口11d(図2(a)及び(b)参照)に対応した牌の図柄「南」の格納欄Adにおいて、打出し強さの格納欄Bは、上記n個のLED611〜61nにそれぞれ対応する形で遊技球の打出し強さ「01」〜「n」の段階別に区分けされており、入球回数の格納欄Cには、それぞれの打出し強さによって打出された遊技球が入球口11d(即ち「南」)に入球した回数が記録されている。
なお、入球口11eに対応した牌の図柄「一万」の格納欄Aeの途中から図示を省略しているが、同様に、各牌の図柄(各入球口)に対応した格納欄Aに、打出し強さの格納欄B及び入球回数の格納欄Cが設けられている。また、勿論であるが、入球口11a、11bに対応した牌の図柄「一索」「九索」の格納欄も設けられている。更に、例えば雀球遊技機1を製造する際にあっては(即ち1度も遊技されていない状態にあっては)、この記録データ92に予め遊技盤面部2aの障害釘や役物(センター飾り12、アタッカー9、スルーゲート39a,39b等)と各入球口11a、11b、11c、11d、11e、…の配置とに応じて、予め初期データ(サンプルデータ)を記録しておく。これにより、本雀球遊技機1の遊技を初めて行う当初から、狙い位置の目標としてのLED61の発光が行われるようにすることができる。
狙い位置発光制御手段93は、例えば遊技者により捨て牌操作が行われ、上記狙い牌選定手段91により狙うべき牌が選定されると、その選定された狙うべき牌に基づき上記記録データ92の対応する、その狙うべき牌の図柄の格納欄Aを参照し、更に、その格納欄Aの中にある入球回数Cのうちの最も多い回数を選定して、その最も多い回数に対応する打出し強さを打出し強さの格納欄Bの中から選定する。そして、その選定された打出し強さに対応するLED61(1〜nの何れか)を発光させる。つまり、この発光させたLED61が遊技盤面部2a上の何れの位置を狙うかの狙い位置の目標となる。
この選定された打出し強さに対応するLED61を発光させる際は、上記狙い牌選定手段91により選定された狙うべき牌を自摸牌として得た際の状態、即ち、一向聴にするため、聴牌にするため、和了りにするため、等の狙うべき牌の役目によって、点滅パターンを相異させ、例えば和了りに近づくに連れて点滅を早くする。また、その狙うべき牌を自摸牌として得て和了り役を完成させた際の役数(点数)のレベルによって、そのLED61を発光させる際の発光色を相異させ、例えば点数が低い方から順に、白色、青色、黄色、緑色、赤色、虹色のように発色させる。
また、上記選定された打出し強さに対応するLED61を発光させる際は、その入球回数の最も多い打出し強さとして発光させたLED61の両隣にあるLED61(例えば選定されたものがLED61kであればLEDk−1、LEDk+1)も発光させ、つまり連続した3つ(所定数)のLED61を発光させる。この際、この両隣にあるLED61と、中心にある(即ち記録データに基づき選定された)LED61とは、異なる発光強さで発光させ、例えば中心のLED61を強めに発光させ、両隣のLED61を弱めに発光させる(例えば同色、同点滅パターンによる)。更に、上記狙い牌選定手段91によって複数の狙うべき牌が選定された場合は、後述の発光箇所選択制御手段95によって選択されるまで、複数箇所において、記録データに基づき選定されたLED61及び両隣のLED61がセットとなるように発光させる。このように、3つのLED61を発光させることで、遊技者が狙う位置としての幅(狙う的)を拡げることができる。
なお、本実施の形態においては、選定された狙うべき牌の状態(つまり1ゲーム中における遊技進行度合い)の相異を点滅パターンの相異により、選定された狙うべき牌によって完成する和了り役のレベルの相異を発光色の相異により、中心にあるLED61と両隣にあるLED61との相異を発光強さの相異により、それぞれ視認によって分かるように構成しているが、これらの発光パターン(発光強さ、発光色、点滅状態等)の相異は、一例であって、互いに相異した状態が視認できる発光パターンであれば、どのような発光パターンを用いても構わない。また、このうちの発光強さや点滅パターンの相異だけを用いる場合には、上記LED61は単色の発光体(単色LED等)で足り、また、発光色の相異を用いる場合には、カラーの発光体(フルカラーLED等)を用いることが考えられる。
発光箇所選択制御手段95は、上述のように上記狙い牌選定手段91によって複数の狙うべき牌が選定され、狙い位置発光制御手段93により複数箇所のLED61が発光された場合に、例えば上記牌選択右シフトボタン19、牌選択左シフトボタン20、自摸牌決定ボタン21(図4参照)を用いて和了り牌表示部31に表示された牌の図柄の中から狙いたい牌の図柄を選ぶ形で、遊技者に1箇所のLED61の発光箇所を選択させ、他のLED61の発光箇所を消灯させる操作を可能にする。なお、遊技者による選択操作の入力は、上記牌選択右シフトボタン19、牌選択左シフトボタン20、自摸牌決定ボタン21等に限らず、例えばLED61の前面側(ガラス板の前面側)や和了り牌表示部31の前面側にタッチパネル等を配置して、その操作入力によって選択させるようにしてもよい。また、この発光箇所選択制御手段95による発光箇所の選択は、特に遊技者に選択操作を強制させるものではなく、特に選択操作がない場合は、複数箇所の発光箇所の中から、単に遊技者が視認によって選ぶことになる。
一方、打出し強さ検出手段96は、例えば遊技球が打出される前から遊技球が打出されるまでの間、遊技者によって発射レバー4aが回動されていく角度をエンコーダ111によってリアルタイムに検出し、つまり遊技者が発射レバー4aから手を放して遊技球が打出される際に打出されるはずの打出し強さを検出し、後述の発射強度発光制御手段94に検出結果を出力する。この打出し強さの段階は、エンコーダ111の検出に基づき、上記n個のLED62と同数のn段階に区分けされ、つまりLED62の位置と対応する形で打出し強さが検出される。
また、該打出し強さ検出手段96は、タッチセンサ112からの信号入力に基づき、遊技者が発射レバー4aを放したこと(つまりスプリングだけによってハンマーが回動されている状態)を検出し、つまり打出し開始の時点を検出して、遊技者が打出し操作を行ったことを検出する。そして、この打出し操作を行った時点におけるエンコーダ111に基づく発射レバー4aの角度から、遊技球が打出された際の打出し強さの段階を検出する。
なお、本実施の形態においては、発射レバー4aの角度をエンコーダ111により検出することで打出し強さを検出しているが、これに限らず、加圧センサやボリュームセンサ等を用いて打出し強さを検出してもよく、特に打出し前に打出し強さが検出できれば、どのようなものを用いてもよい。また、本実施の形態においては、タッチセンサ112によって遊技者の手が放れたことから打出し操作が行われたことを検出しているが、これに限らず、例えば加速センサ等を用いて発射レバー4aの回動加速度から打出し操作が行われたことを検出してもよく、特にこれらに限らず、打出し操作が行われたことを検出できるものであれば、どのようなものを用いてもよい。
発射強度発光制御手段94は、上記打出し強さ検出手段96により検出された打出し強さの段階に応じて、LED62を発射装置4側から正面視時計回り方向に順次点灯させていき、つまりレベルメータのような表示を行う。この打出し強さの段階は、予め発射装置4のスプリングの付勢力に基づく遊技球の打出し速度、遊技球の重量、レール飾り51の内周面(レール板51a)の形状等によって算出される遠心力や重力に応じて、該レール飾り51のレール板51aから打出された遊技球が離れる位置に対応している。このように打出し前において、遊技球の打出されるはずの打出し強さを表示することで、遊技者は、上記狙うべき牌に対応して発光されたLED61の位置に、LED62の発光位置を合せるように発射レバー4aの回動角度調整を行うだけで、狙うべき牌を目標とする打出し強さに調整したことになる。
なお、本実施の形態においては、上述したように狙い位置の目標用となるn個のLED61と、この打出し強さの表示用となるn個のLED62とが2列によって構成されているため、特に発光パターン(発光色、点滅パターン、発光強さ等)を相異させる必要はないが、これらのLED列を1列によって構成した場合には、狙い位置の目標となる発光箇所と、打出し強さの表示となる発光箇所とが視認できるように発光パターンを相異(変更)させることが考えられる。この際は、例えば打出し強さの表示は、レベルメータのようにするのではなく、1個ないし3個のLEDを発光させると共に紫色に発光させる、等が考えられる。
データ学習補正手段97は、打出された遊技球が上記入球口11a、11b、11c、11d、11e、…の何れかに入球した際に、打出し強さ検出手段96によって検出された該遊技球の打出し強さに応じて、その入球した入球口に対応する記録データ92の牌の図柄の格納欄Aにおける(図7参照)、その打出し強さの格納欄Bに対応した入球回数の格納欄Cに記録されている入球回数を1加算する。このように遊技球の入球があった度に、記録データ92が学習補正される形となり、次回以降の打出し操作にあって、上記狙い位置発光制御手段93により発光されるLED61の位置(狙い位置の目標)の正確性が向上される。
続いて、上述した雀球遊技機1の遊技手順とこの手順に伴う各処理について説明する。
まず、通常の雀球遊技の全体的な流れを説明する。1ゲームは、遊技者がメダル投入口15へメダルを投入して、遊技開始ボタン24を押圧し、14個の手牌が配牌されることによりスタートする。そして、遊技者が捨て牌ボタン16a、16b、…、等の各種の操作ボタンやセンサから発生する入力信号及び制御信号に基づいて、1ゲームが進行して行くことになる。
つまり、遊技者がメダル投入口15にメダルを投入し、遊技開始ボタン24を押圧すると、1ゲームの遊技が開始できる状態になり、引き続き、ゲームを開始するために必要な14個の配牌の図柄が自動的に決められ、図5に示すような牌の図柄の画像が、画像表示部14の手牌表示部35と自摸牌表示部36に表示される。更に、図5に示すような表ドラ及び裏ドラの牌の図柄の画像が、画像表示部14の表ドラ表示部29と裏ドラ表示部30に表示され、ビッグ役及びチャンス役がビッグゲーム和了り役表示部32と、チャンスゲーム和了り役表示部33とにそれぞれ表示される。そして、遊技の開始条件が整ったことが画面表示又は音声で遊技者に報知される。
この状態において、遊技者は、手牌表示部35と自摸牌表示部36に表示されている牌の図柄から、捨て牌を選択する操作を行う。遊技者は、捨てる牌の図柄を決定すると、この捨て牌の図柄に対応する捨て牌ボタン16a、16b、16c、…、或いは自摸牌捨てボタン17のいずれか1つを選択(オン)してこの牌を捨てる。すると、遊技球が遊技球発射位置に1球送られ、遊技球発射レバー4の操作で遊技盤面2内に遊技球を発射できる状態になる。
遊技者が遊技球を発射し、この遊技球が入球口11a、11b、11c、…の何れかに入球すると、該入球に対応する牌(自摸牌)の図柄が自摸牌表示部36に表示される。この牌を自摸ったことで和了しない場合、遊技者は、14個の手牌の中から不要と思われる1個の牌を捨てる捨て牌操作を行う。そして、遊技者は、このような操作を順次実行していき、所望の和了り役が聴牌(テンパイ)したと判断した時点で、リーチボタン18を操作してリーチをかけ、或いはリーチをかけずに、1ゲーム中で発射可能な遊技球数が尽きるまで和了り牌を自摸る操作を続ける。
つづいて、本雀球遊技機1における発光に関する処理を、例えば聴牌時に次の遊技球を打出す状態を一例として説明する。
例えば上述のように捨て牌の操作が行われると、狙い牌選定手段91が手牌表示部35に表示されている手牌の内容から最も近い和了り役を選択すると共に、その和了り役になるために必要な牌、即ち次に狙うべき牌を選定する。即ち、例えば図5に示すような手牌である場合は、「一索」と「南」とが狙うべき牌として選定される。
すると、狙い位置発光制御手段93は、その選定された「一索」と「南」とに基づき記録データ92を参照し、例えば「南」であれば、図7(a)に示すように、狙い牌図柄の格納欄Adの中から最も入球回数の多い「21回」である(つまり入球確率の最も高い)打出し強さ「k」を選定し、図6(a)に示すように、その打出し強さ「k」に対応するLED61kを強めに発光させると共に、両隣のLED61k−1、61k+1を弱めに発光させる。なお、この際の狙い牌「南」の状態は、自摸牌となると和了り牌となる状態であるので例えばLED61k−1、61k、61k+1の点滅パターンとして周期を短くし、また、狙い牌「南」を自摸した際の役数(点数)のレベルは高くないので、例えばLED61k−1、61k、61k+1の発光色として白色で発光させる。
なお、図示を省略したが、狙い位置発光制御手段93は、同時に狙い牌「一索」に最も多い入球回数に対応したLED61を発光させる。そして、遊技者は、例えば「一索」を自摸すると役数(点数)が低いので(役牌「南」が無いので、自摸のみとなるので)、上記牌選択右シフトボタン19、牌選択左シフトボタン20、自摸牌決定ボタン21(図4参照)を用いて、「一索」と「南」とのうちの「南」を選択する。すると、発光箇所選択制御手段95により「一索」に対応する狙い位置として発光されたLED61が消灯され、つまりLED61k−1、61k、61k+1だけが発光された状態となる。
ついで、遊技者は、発光されたLED61k−1、61k、61k+1を視認しつつ発射レバー4aを回動操作する。すると、該発射レバー4aの回動角度がエンコーダ111によって検出され、打出し強さ検出手段96によって打出し強さの段階に区分けされた信号が発射強度発光制御手段94に出力される。そして、発射強度発光制御手段94が該打出し強さの段階の信号に応じてLED62を発射装置4側から正面視時計回りに順次発光していく。これにより、遊技者は、発光されたLED61k−1、61k、61k+1に対応するLED62k−1、62k、62k+1の何れかが発光されていく先端となるように、好ましくは図6(a)に示すようにLED62kが発光されていく先端となるように(LED62k+1が消灯されるように)、発射レバー4aの回動角度を微調整し、その状態から手を放して遊技球の打出しを行う。このように操作することで、「南」に対応する入球口11dに入球する確率が最も高くなり、遊技者が手牌を和了り役として完成させる可能性が最も高くなる。
一方、例えば遊技者が発射レバー4aの回動角度をLED62k+1が発光された先端となった(LED62k+2が消灯された)状態で打出し、その打出した遊技球が、例えば入球口11cに入球したとする。すると、データ学習補正手段97は、該入球口11cが「東」に対応する入球口であるので、記録データ92の狙い牌図柄「東」に対応する格納欄Acにおける、打出し強さの格納欄Bにおける打出し強さ「k+1」に対応する入球回数の格納欄Cを1加算し、例えば「18」に「1」加算して「19」に記録を補正する。このように、打出し強さ「k+1」で打出された場合における、遊技球が「東」に対応する入球口11cに入球する回数が増加し、これによって、次に「東」を狙うべき牌として選定した際に、LED61k+1を発光させる確率を増加させることになり、「東」を狙う際の正確性が増すことになる。つまり、遊技球を打出して入球させる度に、記録データ92が学習補正されて、発光させるLED61の正確性が高められる。
以上説明した本発明に係る雀球遊技機1によると、狙い牌選定手段91により選定された狙うべき牌の図柄に対応した入球口に入球させるための打出し強さを、記録データ92を参照して選定し、その打出し強さに対応した遊技盤2上の位置にあるLED61を発光させるので、遊技者が発光されたLED61を視認して、該発光されたLED61を狙う形で打出し操作することができ、例えば遊技者が遊技盤面部2a上にある障害釘や役物等の配置を考慮しつつ遊技球を打出す際の強さを決めることを不要とすることができて、遊技進行の遅滞の防止を図ることができる。また特にLED61がガイドレールの近傍で発光されるので、遊技者が打出すべき打出し強さが、例えばレベルメータのように表示されて、容易に理解することができる。
また、狙い牌選定手段91により判別された狙うべき牌の図柄の状態に応じて、発光させるLED61の発光パターンを変更するので、遊技者が次に遊技球を打出す操作がどのような状態にするための操作であるか(即ち一向聴にするための打ち出し操作か、聴牌にするための打出し操作か、和了り役を完成するための打出し操作であるか、等)を認識することができ、特に次の打出し操作が重要であるか否かを視覚的に把握することができる。これにより、雀球遊技としての趣向を増すことができる。
更に、記録データ92に基づき発光させるLED61を中心として連続した所定数(例えば3つ)のLEDを発光させるので、視覚的な演出効果を得ることができるものでありながら、遊技者が狙う位置の幅が拡がり、つまり打出し強さの調節に幅を持たせることができて、その調節を容易にすることができ、それによって、打出し強さの調節時間の短縮化を図ることができて、遊技進行の遅滞の防止を図ることができる。
また、連続して発光させる所定数(例えば3つ)のLED61のうちの、記録データ92に基づき発光させるLED61(即ち中心にあるLED61)と他のLED61(即ち両隣のLED61)との発光パターン(例えば発光強さ)を異ならせるので、視覚的な演出効果を得ることができるものでありながら、遊技者が精度良く打出し強さを調節したい場合に、記録データ92に基づき発光させるLED61をその調節の目標とすることができる。
更に、複数選定された狙うべき牌の図柄にそれぞれ対応する複数箇所のLED61を発光させると共に、狙い牌選定手段91により判別された役のレベルに応じて、複数箇所のLED61のそれぞれの発光パターン(例えば発光色)を変更するので、遊技者が狙うべき位置を視覚的に選択することができる。
また、複数選定された狙うべき牌の図柄にそれぞれ対応する複数箇所のLED61を発光させた後、その発光された複数箇所のLED61より、発光させたい箇所のLED61を選択操作して、他の箇所のLED61を消灯し得るので、遊技者が狙いたい位置以外のLED61を消灯して、1つの狙い位置に絞ってから打出し操作を行うことができる。
なお、以上説明した本雀球遊技機1においては、発光体(LED61,62)をレール板51a(レール飾り51の内周面)に沿って並列配置したものを説明したが、これに限らず、前扉1bに埋設する形で配設してもよく、遊技者から見て打出し強さに対応する順に配置されていれば、その機能として足りることは言うまでもない。
また、以上の説明においては、本発明を用いて好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明の雀球遊技機は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施した雀球遊技機も、本発明の範囲に含まれる。