JP4918736B2 - 新規光学活性ルテニウム錯体、その製法並びにそれを用いた光学活性化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不斉合成用触媒として有用な光学活性ルテニウム錯体、その製法、それを触媒として用いた光学活性化合物の製造方法に関する。
【0002】
本発明の光学活性ルテニウム錯体を反応に用いて得られる光学活性化合物は、医薬・農薬中間体、電子材料用原料として有用である。
【0003】
【従来の技術】
本発明の下記一般式(1)又は下記一般式(2)で示される光学活性ルテニウム錯体、及びそれらを触媒として用いた不斉合成反応は知られていない。
【0004】
【化18】
【化19】
[式中のR1Sは、
【0005】
【化20】
【化21】
(式中、R2は炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキル基を示し、R3はフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、炭素数3〜8からなるシクロアルキル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換されたフェニル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキルオキシ基で1〜5置換されたフェニル基、ハロゲンで1〜5置換されたフェニル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換された1−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキルオキシ基で1〜5置換された1−ナフチル基、ハロゲンで1〜5置換された1−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換された2−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキルオキシ基で1〜5置換された2−ナフチル基、ハロゲンで1〜5置換された2−ナフチル基を示す。)
【0006】
【化22】
又は
【0007】
【化23】
で表される基を示し、Cp*はη5−C5Me5(ペンタメチルシクロペンタジエン)を示す。]
また、本発明の光学活性ルテニウム錯体に類似したルテニウム錯体としては、下記一般式(6)
【0008】
【化24】
(式中、Cp*は前記に同じ。)で示される触媒が知られているが、光学活性な触媒ではなく、また不斉合成反応への適用例も知られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規な光学活性触媒及びそれを用いた新規な不斉合成反応を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、新規な光学活性触媒及びそれを用いた不斉合成反応の開発について鋭意検討した結果、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される光学活性触媒を見出し、さらにそれを用いた反応において不斉誘起が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち本発明は、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される光学活性ルテニウム錯体及びそれらの製法、並びにそれらを触媒として用いた光学活性化合物の製造方法である。
【0012】
以下本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の光学活性ルテニウム錯体は、上記一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物である。
【0014】
上記一般式(1)又は一般式(2)中、R1S基は、
【0015】
【化25】
【化25】
(式中、R2、R3は前記に同じ。)
【0016】
【化26】
又は
【0017】
【化27】
で示される基であり、具体的には(1R)−1−フェニルエチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−メチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−メチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−メチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−イソプロピルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−イソプロピルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−イソプロピルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−tert−ブチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−tert−ブチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−メトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−メトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−イソプロポキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−イソプロポキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−イソプロポキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−tert−ブトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−tert−ブトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−tert−ブトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−フルオロフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−クロロフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−ブロモフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−フルオロフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−クロロフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(3−ブロモフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−フルオロフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−クロロフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(4−ブロモフェニル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(1−ナフチル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−(2−ナフチル)エチル−1−チオ基、(1R)−1−シクロヘキシルエチル−1−チオ基、(1R,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル−1−チオ基、(1S)−1−フェニルエチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−メチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−メチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−メチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−イソプロピルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−イソプロピルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−イソプロピルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−tert−ブチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−tert−ブチルフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−メトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−メトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−メトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−イソプロポキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−イソプロポキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−イソプロポキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−tert−ブトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−tert−ブトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−tert−ブトキシフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−フルオロフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−クロロフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−ブロモフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−フルオロフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−クロロフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(3−ブロモフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−フルオロフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−クロロフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(4−ブロモフェニル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(1−ナフチル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−(2−ナフチル)エチル−1−チオ基、(1S)−1−シクロヘキシルエチル−1−チオ基、(1S,2S,5R)−2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキシル−1−チオ基等を示す。
【0018】
本発明の上記一般式(1)で示される光学活性ルテニウム錯体の製法としては、特に限定するものではないが、例えば、以下の方法により簡便に製造することができる。
【0019】
すなわち、
▲1▼ ビス[ペンタメチルシクロペンタジエニルルテニウムジクロライド](Cp*RuCl2)2
(ここで、Cp*は前記に同じ。)
と、R1SH
[ここで、R1Sは、
【0020】
【化28】
【化29】
(ここで、R2、R3は前記に同じ。)
【0021】
【化30】
又は
【0022】
【化31】
で表される基を示す。]で示されるチオールを反応させることにより調整することができる。この際、テトラハイドロフラン(以下THFと略す)等の反応に不活性な溶媒中、ビス[ペンタメチルシクロペンタジエニルルテニウムジクロライド]と前記したチオールを、0℃〜100℃の温度範囲で、2〜24時間反応させることが好ましい。
【0023】
また、
▲2▼ テトラキス[ペンタメチルシクロペンタジエニルルテニウムクロライド](Cp*RuCl)4
(ここで、Cp*は前記に同じ。)
と、R1SSR1
[ここで、R1Sは、
【0024】
【化32】
【化33】
(ここで、R2、R3は前記に同じ。)
【0025】
【化34】
又は
【0026】
【化35】
で表される基を示す。]で示されるジスルフィドを反応させることによっても調製できる。この場合も、THF等の反応に不活性な溶媒中、テトラキス[ペンタメチルシクロペンタジエニルルテニウムクロライド]と前記したジスルフィドを、0℃〜100℃の温度範囲で、2〜24時間反応させることが好ましい。
【0027】
本発明の光学活性ルテニウム錯体は、調製後、単離同定し、そのまま不斉合成反応用の触媒として用いても良いし、後処理後、直ちに不斉合成反応用の触媒として用いてもよい。反応終了後の後処理法としては、特に限定するものではないが、安定な触媒については溶剤を留去、ジクロロメタンで抽出、次いで再結晶する等の方法により得ることができる。不安定な触媒については反応終了後、溶媒を留去し、そのまま次の反応に用いることが好ましい。
【0028】
本発明の光学活性ルテニウム錯体を不斉合成反応触媒として用いた一例として、下記一般式(3)
【0029】
【化36】
(式中、R4は炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、炭素数3〜8からなるシクロアルキル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換されたフェニル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキルオキシ基で1〜5置換されたフェニル基、ハロゲンで1〜5置換されたフェニル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換された1−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキルオキシ基で1〜5置換された1−ナフチル基、ハロゲンで1〜5置換された1−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換された2−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキルオキシ基で1〜5置換された2−ナフチル基、ハロゲンで1〜5置換された2−ナフチル基を示す。)で示されるプロパギルアルコール類と、下記一般式(4)
【0030】
【化37】
(式中、R5、R6は各々独立して、水素、炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルキニル基、炭素数1〜10の直鎖又は分岐したアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換されたフェニル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルコキシ基で1〜5置換されたフェニル基、ハロゲン原子で1〜5置換されたフェニル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換された1−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルコキシ基で1〜5置換された1−ナフチル基、ハロゲン原子で1〜5置換された1−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルキル基で1〜5置換された2−ナフチル基、炭素数1〜5の直鎖又は分岐したアルコキシ基で1〜5置換された2−ナフチル基、ハロゲン原子で1〜5置換された2−ナフチル基を示す。)で示されるケトン類を反応させることにより、下記一般式(5)
【0031】
【化38】
(式中、R4、R5、R6は前記に同じ、*は不斉炭素を示す。)で示されるケトン誘導体を得る方法につき以下に説明する。
【0032】
本発明の方法において、上記一般式(3)で示される化合物としては、特に限定するものではないが、具体的には、3−ブチン−2−オール、1−ペンチン−3−オール、4−メチル−1−ペンチン−3−オール、4,4−ジメチル−1−ペンチン−3−オール、1−ヘキシン−3−オール、1−オクチン−3−オール、1−シクロヘキシル−2−プロピン−1−オール、1−フェニル−2−プロピン−1−オール、1−(2−メチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1−(3−メチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1−(4−メチルフェニル)−2−プロピン−1−オール、1−(2−クロロフェニル)−2−プロピン−1−オール、、1−(3−クロロフェニル)−2−プロピン−1−オール、、1−(4−クロロフェニル)−2−プロピン−1−オール、1−(1−ナフチル)−2−プロピン−1−オール、1−(2−ナフチル)−2−プロピン−1−オール等のプロパギルアルコール類が挙げられる。
【0033】
本発明の方法において、上記一般式(4)で示される化合物としては、特に規定するものではないが、例えば、アセトン、メチル エチルケトン、メチル tert−ブチルケトン、メチル ビニルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン、1−ナフトフェノン、2−ナフトフェノン等のケトン類が挙げられる。
【0034】
本発明の方法により生成する上記一般式(5)で示される化合物としては、上記一般式(3)で示されるプロパギルアルコール類と、上記一般式(4)で示されるケトン類を反応させて得られる化合物であればあらゆる化合物が包含され、特に限定するものではないが、例えば、4−メチル−5−ヘキシン−2−オン、4−イソプロピル−5−ヘキシン−2−オン、4−フェニル−5−ヘキシン−2−オン、4−(1−ナフチル)−5−ヘキシン−2−オン、4−(2−ナフチル)−5−ヘキシン−2−オン等が挙げられる。
【0035】
本発明の方法において、不斉合成反応における光学活性ルテニウム錯体の使用量は、特に限定するものではないが、反応に具するプロパギルアルコール類に対して、通常0.1〜50モル%使用される。
【0036】
本発明の方法に適用可能な溶剤としては、反応に不活性な溶剤であれば特に限定されない。反応に具するケトン類が、不斉合成反応における反応温度で液体であれば、そのケトン類を溶剤として用いても良い。
【0037】
本発明の方法において、反応温度及び時間は、反応に具する基質の種類により異なるため、特に限定するものではないが、通常−20℃〜100℃で1〜96時間の範囲で反応は完結する。
【0038】
本発明の方法においては、反応終了後、溶剤を留去し、次いでシリカゲル薄層クロマトグラフィーやカラムクロマトグラフィー等の定法により精製し、生成物を得る。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、新規な光学活性ルテニウム錯体及びその製法が提供される。また、本発明の光学活性ルテニウム錯体は、新規な不斉合成反応用触媒であり、それを用いて合成される光学活性化合物は、医薬・農薬中間体、電子材料用原料として有用であり、本発明は工業的に極めて有意義である。
【0040】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0041】
実施例1 ルテニウム錯体(1)の合成
【0042】
【化39】
ルテニウム錯体(Cp*RuCl)4(ここで、Cp*は前記に同じ。)(0.25mmol)を入れたシュレンク管を窒素置換し、THF(10ml)を加え、その溶液に光学活性なジスルフィド(R)−[PhCH(CH3)S]2(0.5mmol)を加えて、室温下、12時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧下、留去した後、ジクロロメタン10mlで抽出し、次いでジクロロメタン/n−ヘキサンで再結晶することにより黒色の結晶(0.32mmol、収率65%)を得た。
【0043】
1H NMR (THF−d8)δ1.25(s,30H,C5Me5),1.68(d,6H,SCHMePh,J=10Hz),5.71(q,2H,SCHMePh,J=10Hz),7.10−7.74(m,Ph,10H)
元素分析 (%)C36H4S2Cl2Ru2
計算値 C:52.86%,H5.91%
実測値 C:53.11%,H6.30%。
【0044】
得られたルテニウム錯体(1)のX線結晶構造解析から得られたORTEP図を図1に示す。
【0045】
実施例2 ルテニウム錯体(2)の調製
【0046】
【化40】
実施例1で得られたルテニウム錯体(1)[Cp*RuCl(SCHMePh)2](ここで、Cp*は前記に同じ。)(0.23mmol)を入れたシュレンク管を窒素置換し、トリフルオロメタンスルホン酸銀(0.23mmol)、THF(20ml)を加え室温で20時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、セライトでろ過し、次いでジクロロメタン/n−ヘキサンで再結晶することにより、黒色結晶(0.17mmol、収率72%)を得た。
【0047】
元素分析 (%)C37H50O4S3ClF3Ru2
計算値 C:46.80%,H5.31%
実測値 C:46.90%,H5.66%。
【0048】
得られたルテニウム錯体(2)のX線結晶構造解析から得られたORTEP図を図2に示す。
【0049】
実施例3 ルテニウム錯体(3)の調製
【0050】
【化41】
実施例1の光学活性なジスルフィドを、(R)−[(2−ナフチル)CH(CH3)S]2に替えた以外、実施例1と同じ操作で光学活性ルテニウム錯体(3)を黒色結晶として得た。
【0051】
1H NMR (THF−d8)δ1.24(s,30H,C5Me5),1.80(d,6H,SCHMeAr,J=7Hz),6.12(q,2H,SCHMeAr,J=7Hz),7.40−8.21(m,Ar,14H)
元素分析 (%)C44H52S2Cl2Ru2
計算値 C:57.56%,H5.71%
実測値 C:56.27%,H5.72%
実施例4 ルテニウム錯体(4)の調製
【0052】
【化42】
ルテニウム錯体[Cp*RuCl2]2(ここで、Cp*は前記に同じ。)(0.56mmol)を入れたシュレンク管を窒素置換し、THF(20ml)を加え、その溶液に(R)−1−(1−ナフチル)エチルチオール(1.11mmol)を加え、室温下、15時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧下留去し、黒色固体を得た。得られた錯体は不安定なためそのまま次反応に用いた。
【0053】
実施例5 プロパギルアルコールとアセトンの反応
実施例1で調製したルテニウム錯体(1)(0.005mmol)とNH4BF3(0.010mmol)を入れたシュレンク管を窒素置換し、アセトン(5ml)を加え均一溶液とした後、1−フェニル−2−プロパギル−1−オール(0.100mmol)を添加し、還流下、3時間反応を行った。反応終了後、溶媒を留去、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=10/90vol/vol)で精製することにより、目的物(0.095mmol、収率95%)を得た。得られた生成物の光学選択性は、光学活性カラム(米国カドレック社製、GTA,30m)を用いて、ガスクロマトグラフィーで分析し、11%eeであった。
【0054】
1H NMR(CDCl3)δ2.13(s,3H),2.26(s,1H),2.80(dd,1H,J=5.2 and 16Hz),3.00(dd,1H,J=8.4 and 16Hz),4.20(dd,1H,J=5.2 and 8.4Hz),7.22−7.39(m,5H)
13C NMR(CDCl3)δ30.4,32.4,51.5,71.0,84.8,127.1,127.2,128.6,140.1,205.4
IR(KBr,cm-1)1720,2118,3291
元素分析C12H12O
計算値 C,83.69%;H,7.02%
実測値 C,83.41%;H,7.00%
実施例6〜実施例15
実施例1と同じ方法で、表1中に示した条件下、プロパギルアルコール類とアセトンの反応を行った。結果を表1中に示す。
【0055】
【表1】
実施例16
実施例4で調製したルテニウム触媒(4)を触媒として用い、反応基質を1−(1−ナフチル)−2−プロピン−1−オールに替えた以外、実施例6と同じ操作を行い、目的物を41%収率、35%eeで得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたルテニウム錯体(1)のX線結晶構造解析から得られたORTEP図である。
【図2】実施例2で得られたルテニウム錯体(2)のX線結晶構造解析から得られたORTEP図である。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で示される光学活性ルテニウム錯体。
- 下記一般式(2)で示される光学活性ルテニウム錯体。
- 請求項1に記載の光学活性ルテニウム錯体を、トリフルオロメタンスルホン酸銀と反応させることを特徴とする請求項3に記載の光学活性ルテニウム錯体の製造法。
- 請求項1又は請求項3に記載の光学活性ルテニウム錯体からなる不斉合成反応用触媒。
- 請求項5に記載の触媒の存在下、下記一般式(3)
で示されるプロパギルアルコール類と、下記一般式(4)
で示されるケトン類を反応させることを特徴とする下記一般式(5)
で示されるケトン誘導体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001070359A JP4918736B2 (ja) | 2001-03-13 | 2001-03-13 | 新規光学活性ルテニウム錯体、その製法並びにそれを用いた光学活性化合物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001070359A JP4918736B2 (ja) | 2001-03-13 | 2001-03-13 | 新規光学活性ルテニウム錯体、その製法並びにそれを用いた光学活性化合物の製造方法 |
Publications (2)
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