JP4918720B2 - 耐熱性に優れる重合体 - Google Patents
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Description
本発明の重合体はその分子構造に応じて熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーとしての性質を有し、そのいずれもが耐熱性、光学特性および力学的特性に優れ、エラストマー構造を有するものは弾性特性においても優れている。そのため、本発明の重合体は、それらの特性を活かして、種々の光学材料、ランプユニット、電気・電子材料、家電製品の筐体、OA機器、食品包装、梱包材料、発泡体、自動車部品、フィルム、シート、医療材料、伸縮部材などの種々の用途に好適に使用することができる。
また、アクリル系重合体は、透明性が高く、複屈折率が小さいという特徴を有しているが、靭性に欠けていて脆く、しかもカルボニル基を有するために紫外線吸収が大きく、更に極性基含量が多いために吸水率が高くて寸法変化が大きいなどの欠点を有する。
更に、耐熱性および透明性に優れた樹脂として、上記した以外にも、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物やノルボルネン系の単量体とエチレンとの付加重合体が知られている(特許文献1〜4を参照)。しかしながら、これらの重合体は、有機金属錯体または各種有機金属化合物を組み合わせた触媒を使用する必要があるため、触媒の調製に手間や時間を要し、製造工程が煩雑であるという問題点を有している。
高温特性が要求される用途分野としては、例えば、自動車部品、電気・電子部品、フィルム、シート、医療材料などを挙げることができ、熱可塑性エラストマーに求められる高温特性としては、高温に曝されても劣化や分解などが生じにくい耐熱特性を有すること、高温時に引張り強度、引張り伸び、応力緩和特性などの機械的特性に優れること、加硫ゴムにより近い圧縮永久ひずみや動的ヒステリシスなどを示すことなどが挙げられる。
また、高度な光学特性が要求される用途分野としては、例えば、ランプユニット、電気・電子部品、フレキシブルディスプレイ、レンズ、封止材、フィルム、シートなどを挙げることができる。
かかる点から、熱可塑性エラストマーに対して、耐熱性に優れると共に、透明性が高く且つ複屈折率が低くて光学特性に優れること、更には低吸水性で寸法変化が小さいことが求められている。
また、アクリル系熱可塑性エラストマーは、複屈折率が小さいという点で光学特性に優れるものの、メタクリル酸メチルに由来する重合体ブロックのガラス転移温度が100℃前後であるため、100℃を超える高温条件下では弾性が著しく低下する。しかも、アクリル系熱可塑性エラストマーは、極性基を多く含有するために、吸水率が高く、寸法変化が大きいという欠点を有している。
さらに、本発明の目的は、特別に調製した触媒を使用することなく、更には煩雑な重合工程や温度管理を要せず、汎用の触媒を用いて、簡単な重合工程及び単純な温度管理の下で簡単に且つ円滑に製造することのできる重合体およびその製造方法を提供することである。
そして前記知見を踏まえて更に研究を続けたところ、多環構造を有する脂環式炭化水素基からなる置換基を有する共役ジエン系誘導体を用いると、単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体などの、種々の耐熱性および光学特性に優れる重合体が、汎用の重合開始剤を用いて簡単な工程で、しかも複雑な温度管理を要せずに円滑に製造できることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記した多環構造を有する脂環式炭化水素基からなる置換基を有する共役ジエン系誘導体に由来する構造単位および/または当該構造単位に水素を添加した構造単位を有する重合体ブロックとそれよりもガラス転移温度の低い重合体ブロックを有するブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーとしての特性を有し、引張り強度、引張り伸び、応力緩和特性などに優れ、しかも高温下において加硫ゴムにより近い圧縮永久ひずみや動的ヒステリシスなどを有し、優れたエラストマー特性を有することを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
(1) 下記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または下記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を有することを特徴とする重合体である。
CH2=C(R1)−C(R2)=CH2 (I)
(式中、R1は多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
(2) 下記の一般式(Ia−1)で表される構造単位(Ia−1)および/または下記の一般式(Ib−1)で表される構造単位(Ib−1)を有する、前記(1)の重合体;
−CH2−C(R1)=C(R2)−CH2− (Ia−1)
−CH2−C(H)(R1)−C(H)(R2)−CH2− (Ib−1)
(式中、R1は多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
(3) 一般式(I)、一般式(Ia−1)および一般式(Ib−1)におけるR1が多環構造を有する1価の橋架け脂環式炭化水素基である前記(1)または(2)の重合体;および、
(4) 2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位および/または2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位に水素を添加した構造単位を有する前記(1)〜(3)のいずれかの重合体;
である。
(5) 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位のみを有するか、或いは共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位と共に他の重合性単量体に由来する構造単位を有する前記(1)〜(4)のいずれかの重合体;
(6) 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を、重合体の質量に基づいて10質量%以上の割合で有する前記(1)〜(5)のいずれかの重合体;および、
(7) 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を、重合体の質量に基づいて10質量%以上の割合で有する前記(1)〜(6)のいずれかの重合体;
である。
(8) 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を有する重合体ブロックAと、他の重合性単量体に由来する構造単位よりなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体である前記(1)〜(7)のいずれかの重合体;
(9) 重合体ブロックAの含有割合が、ブロック共重合体の質量に基づいて10質量%以上である前記(8)の重合体;および、
(10) 重合体ブロックBのガラス転移温度が、重合体ブロックAのガラス転移温度よりも低いブロック共重合体である前記(8)または(9)の重合体;
である。
(11) 下記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I);
CH2=C(R1)−C(R2)=CH2 (I)
(式中、R1は多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
を単独で用いるかまたは前記共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を用いて重合を行って重合体を製造するか、或いは前記共役ジエン系誘導体(I)を単独で用いるかまたは前記共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を用いて重合を行った後に水素を添加することを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかの重合体の製造方法;および、
(12) 有機リチウム化合物および/または有機カリウム化合物を重合開始剤として用いてアニオン重合を行う前記(11)の製造方法;
である。
さらに、本発明は、
(13) 前記(1)〜(10)のいずれかの重合体を構成成分とする成形体である。
本発明の重合体は、光線透過率が高くて透明度が高く、紫外線吸収が少なく、しかも複屈折率が低く、光学特性に優れている。特に、本発明の重合体のうちでも、上記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/またはそれに水素を添加した構造単位のみからなる重合体、上記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/またはそれに水素を添加した構造単位と共に芳香族基やカルボキシル基などの紫外線を吸収する官能基を持たない他の重合性単量体に由来する構造単位からなる重合体(共重合体)は、前記した光学特性に一層優れている。
さらに、本発明の重合体は、特別の触媒(重合開始剤)などを別途調製する必要が無く、従来から用いられている汎用の重合開始剤を使用して、しかも煩雑な温度管理などを要することなく、簡単に且つ円滑に製造することができる。
本発明の重合体は、前記した優れた特性を活かして、例えば、家電製品の筐体、OA機器、食品容器、包装材用発泡体、自動車部品、電気・電子部品、フィルム、シート、ランプユニット、フレキシブルディスプレイ、レンズ、その他の光学部材、封止材、フィルム、シート、医療材料、伸縮部材などの広範な用途に有効に利用することができる。
本発明の重合体は、下記の一般式(I);
CH2=C(R1)−C(R2)=CH2 (I)
(式中、R1は多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
で表される共役ジエン系誘導体(I)を単独で用いるか、または共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を用いて重合して得られる重合体或いは当該重合体に水素を添加した重合体であって、重合体分子中に、共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位、および共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位のいずれか一方または両方を有する[以下、共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位を「共役ジエン系誘導体(I)単位」および当該共役ジエン系誘導体(I)単位に水素を添加した構造単位を「水添共役ジエン系誘導体(I)」ということがある。また、「共役ジエン系誘導体(I)単位および/または水添共役ジエン系誘導体(I)単位」を総称して「(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位」ということがある]。
特に、本発明の重合体は、水添共役ジエン系誘導体(I)単位を、重合体の全質量に基づいて、10質量%以上の割合で含有することが好ましく、15質量%以上の割合で含有することがより好ましく、20質量%以上の割合で含有することが特に好ましい。
また、本発明の重合体は、耐熱性の点から、重合体の全質量に基づいて、上記の一般式(Ib−1)で表される構造単位(Ib−1)を、5質量%以上の割合で有していることが好ましく、10質量%以上の割合で有していることより好ましく、20質量%以上の割合で有していることが更に好ましく、50質量%以上の割合で有していることが一層好ましい。
ここで、「多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基」とは、2個以上の脂肪族環(脂環)を有する1価の炭化水素基を意味する。多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基(以下「多脂環式炭化水素基」ということがある)R1は、多環構造を有する橋架け脂環式炭化水素基、すなわち隣り合う2つの脂環が2個以上の炭素原子を互いに共有している多脂環式炭化水素基であることが、重合体の耐熱性が良好になる点から好ましい。多脂環式炭化水素基R1は、場合によりR1を構成している2個以上の脂環のうちの1個または2個以上に脂肪族不飽和結合を有していてもよい。但し、脂環中に存在する脂肪族不飽和結合は、重合に関与しないか又は共役ジエン系誘導体(I)中の不飽和結合よりも重合性が低いことが必要である。そうでないと、共役ジエン系誘導体(I)の円滑な重合が阻害されて、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位を有する本発明の重合体を円滑に得ることが困難になる。
多脂環式炭化水素基R1の具体例としては、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.13,7]デシル基)、ビアダマンチル基、ジアマンタン基、トリアマンタン基、テトラマンタン基、ペンタマンタン基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ビシクロノニル基、ビシクロ[2.1.0]ペンチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、トリシクロ[2.2.1.02,6]ペンチル基などを挙げることが出来る。これらの多脂環式炭化水素基は、場合によりアルキル基、ハロゲン基、アルコキシル基などにより置換されていてもよい。
そのうちでも、R2は、原料の製造容易性、コスト、重合反応性等の点から、水素原子または炭素数1〜3の直鎖状アルキル基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
その際の水素添加率としては、重合体中における、共役ジエン系誘導体(I)単位に含まれるオレフィン性炭素−炭素間二重結合の50モル%以上、更には90〜100モル%、特に95〜100モル%が水素添加によって水添共役ジエン系誘導体(I)単位になるような水素添加率であることが好ましい。
本発明の重合体が、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位のみから構成される重合体である場合は、一般に重合体のガラス転移温度が100℃を越えるようになり、使用可能温度域が広がり、より高温での使用に耐えることができる。
また、本発明の重合体が、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位と共に他の重合性単量体に由来する構造単位を有する共重合体である場合は、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位のみからなる重合体に比べてガラス転移温度は低いものの、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位の存在により、そのガラス転移温度は汎用の共役ジエン系重合体に比べて大幅に高く、やはり汎用の共役ジエン系重合体に比べて高温での使用に耐えることができる。
本発明の共重合体を形成するのに用いることの出来る他の重合性単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンなどの不飽和ハロゲン化化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル化合物;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アダマンチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸アダマンチルなどの(メタ)アクリル酸エステル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジイソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジイソプロピルメタクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系化合物;無水マレイン酸、フマル酸ジエチル等の2重結合含有ジカルボン酸誘導体;スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、1,1−ジフェニルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどの芳香族ビニル化合物;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエンなどの共役ジエン化合物;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランなどの環状エーテル化合物;ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物;ヘキサメチルシクロトリシロキサンなどの含ケイ素へテロ化合物などを挙げることができる。
本発明の重合体は、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位と共に前記した重合性単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。
そして、共役ジエン系誘導体(I)と共重合させる他の重合性単量体が共役ジエン化合物である場合は、重合体に含まれる当該共役ジエン化合物に由来する構造単位中の不飽和二重結合は水素添加されていてもまたは水素添加されていなくてもよく、そのうちでも水素添加されていることが好ましく、水素添加率は50モル%以上、更には90〜100モル%、特に95〜100モル%であることが、耐熱性、耐候性などの点から好ましい。
(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位を有する重合体ブロックAをAで表し、重合体ブロックBをBで表すと、本発明の重合体(ブロック共重合体)の具体例としては、A−B型のジブロック共重合体、A−B−A型またはB−A−B型のトリブロック共重合体、A−B−A−B型のテトラブロック共重合体、A−B−A−B−A型またはB−A−B−A−B型のペンタブロック共重合体などを挙げることができる。前記したブロック共重合体のうちでも、製造の容易性、力学的物性などの点から、A−B型のジブロック共重合体、A−B−A型のトリブロック共重合体、A−B−A−B型のテトラブロック共重合体またはA−B−A−B−A型のペンタブロック共重合体が好ましい。
更に、本発明の重合体は、重合体ブロックAおよびBと異なる第3の重合体ブロックCを有する、A−B−C型、B−A−C型などのトリブロック共重合体であってもよい。
そして、他の重合性単量体が共役ジエン化合物である場合は、前述にように、当該共役ジエン化合物に由来する構造単位中の不飽和二重結合は水素添加されていてもまたは水素添加されていなくてもよく、水素添加されていることが好ましく、水素添加率は50モル%以上、更には90〜100モル%、特に95〜100モル%であることが、耐熱性、耐候性などの点から好ましい。
重合体ブロックAよりもガラス転移温度の低い重合体ブロックBを形成するための重合性単量体の種類は特に制限されず、ガラス転移温度の低い重合体ブロックBを形成し得る重合性単量体であればいずれでもよく、そのうちでも共役ジエン、特に1,3−ブタジエン、イソプレンまたはこれらの混合物が、耐寒性および柔軟性に優れるブロック共重合体を形成し得ることから好ましく用いられる。
また、本発明の重合体がブロック共重合体である場合は、(水添)共役ジエン系誘導体(I)単位を有する重合体ブロックAの数平均分子量が3000〜100000、特に4000〜50000で、重合体ブロックBの数平均分子量が5000〜400000、特に10000〜350000であることが、力学物性、成形性の点から好ましい。
なお、本明細書における数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した標準ポリスチレン換算による数平均分子量をいう。
また、本明細書における分子量分布(Mw/Mn)は、前記と同様にして測定した質量平均分子量(Mw)と前記した方法で測定した数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)をいう。
CH2=C(R1)−C(R2)=CH2 (I)
(式中、R1は多環構造を有する1価の脂環式炭化水素基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
を単独で用いるかまたは前記共役ジエン系誘導体(I)と共に他の重合性単量体を用いて重合を行うことによって製造することができ、或いは前記共役ジエン系誘導体(I)を単独で用いるかまたは前記共役ジエン系誘導体(I)と共に他の重合性単量体を用いて重合を行った後に水素添加することによって製造することができる。
本発明の重合体がブロック共重合体である場合は、前記共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を用いて、リビングアニオン重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合などのいわゆるリビング重合を行うことによって製造することができる。
本発明の重合体をアニオン重合によって製造するに当たっては、共役ジエン系誘導体(I)を単独で有機溶媒中に溶解するか、または共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を有機溶媒中に溶解し、そこにアニオン重合開始剤を添加し、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下に、常圧ないし加圧条件下で−100〜100℃、特に−78〜78℃の温度範囲で重合を行う方法が好ましく適用される。
有機溶媒の使用量は特に限定されないが、一般的には、全重合性重合体100質量部に対して、100〜10000質量部が好ましく、150〜5000質量部がより好ましく、200〜3000質量部が更に好ましい。有機溶媒の使用量が少なすぎると、重合開始剤の均一な混合が困難になるため、反応が不均一となり、均一な重合体が得られにくくなり、更に反応の制御が困難になり易い。一方、有機溶媒の使用量が多すぎると、得られた重合体の回収操作、重合後の有機溶媒の除去操作などに手間や時間を要するようになり、生産性の低下などを招き易くなる。
また、有機溶媒としては、上記で挙げた有機溶媒の1種または2種以上、特にシクロヘキサン、ベンゼンなどの炭化水素溶媒が好ましく用いられる。重合温度は一般に−100℃〜100℃、特に−78℃〜70℃が好ましく採用され、重合圧力は一般に0.1〜5MPa、特に0.1〜1MPaが好ましい。
生成した重合体は、例えば、再沈澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)などのような、重合体溶液から重合体を分離・取得するために従来から採用されているのと同様の方法で、反応混合物から分離して取得することができる。
水素添加によって、共役ジエン系誘導体(I)単位[前記した構造単位(Ia−1)、(Ia−2)および(Ia−3)]は、前記した構造単位(Ib−1)、(Ib−2)および(Ib−3)に変換される。
水素添加触媒としては、例えば、アルキルアルミニウム化合物とコバルト、ニッケルなどからなるチーグラー触媒、ラネーニッケルなどのニッケル系触媒、ラネーコバルトなどのコバルト系触媒、ルテニウム炭素などのルテニウム系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒、白金系触媒およびこれらの混合物、オクチル酸ニッケルをsec−ブチルリチウムで還元して得られた触媒、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物およびアルコキシリチウムから調製された触媒などを挙げることができる。また、トシルヒドラジドに代表される化学水添の適用も可能であり、その場合には理論上等量反応となるため以下に記述の触媒反応の定義から除外され使用量の制限を受けることは無い。
有機溶媒の使用量は、水素添加処理を施す重合体を溶解し得る量であれば特に制限されないが、一般的には、重合体1質量部に対して、2〜1000質量部の範囲内であることが好ましく、安全性、経済性の点で3〜100質量部の範囲内であることがより好ましい。
水素添加反応の反応温度は、60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましい。
ここで、「重合体の水素添加率」とは、重合体中に含まれるオレフィン性炭素−炭素間二重結合の総量に対する、水素化されたオレフィン性炭素−炭素間二重結合のモル分率を意味する。水素添加率は1H−NMRなどの公知の手段によって測定することができる。
上記の化学式(I−a)においてR2が水素原子である2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンは、例えば非特許文献1に記載されている方法により製造することができる。
具体的には、下記の反応式(II)に示すように、1−アダマンタンカルボン酸に塩化チオニルを反応させて1−アダマンタンカルボン酸クロライドを生成させ、それにより得られた1−アダマンタンカルボン酸クロライドに乾燥ジエチルエーテルおよび塩化第一銅を加えた後、メチルマグネシウムアイオダイドのジエチルエーテル溶液を加えて反応させて1−アダマンチルメチルケトンにした後、それにより得られた1−アダマンチルメチルケトンとCH2=CHMgBr(グリニヤール試薬)をテトラヒドロフラン中で反応させて3−(1−アダマンチル)−3−ヒドロキシ−1−ブテンを生成させ、それに触媒量のp−トルエンスルホン酸を加えて、ベンゼン中で脱水反応を行うことによって、2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンを製造することができる。
以下の参考例1および実施例1で生成した生成物(中間化合物、最終化合物、重合体)を重クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴装置(ブルカー社製「BRUCKER DPX300」)を使用して、プロトン核(1H)、炭素核(13C)を27℃で測定して、その構造の確認を行った。
以下の実施例または比較例で生成した重合反応液または重合体を重クロロホルムに溶解させ、核磁気共鳴分光装置(日本電子データム社製「JNMLA400」)を使用してプロトン核(1H)を30℃で測定して、重合度の測定を行った。
ピーク分子量が既知の標準ポリスチレンを用い、該標準で校正したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、HLC−8020(品番)、カラムとして東ソー株式会社製、TSKgel GMH−Mを2本とG2000H1本を直列に繋いだもの)を用い、重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定する(溶媒:テトラヒドロフラン、温度:40℃)と共に、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
DSC装置(メトラー社製「DSC822e」)を用いて測定した。測定は、一旦280℃まで試料を加熱し、同温度で5分間アニールを施した後、降温速度を10℃/分として0℃まで冷却した。この後、再度10℃/分で昇温して、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
重合体(下記の実施例10または比較例3で得られた水添トリブロック共重合体)をトルエンに溶解し、平らな台上に設置したテフロン(登録商標)シート上にキャストした後、乾燥して厚さ1mmのシートを製造し、そのシートから、縦×横×厚さ=20mm×5mm×1mmの試験片を採取し、該試験片を用い、広域動的粘弾性測定装置(レオロジ社製「DVE−V4FTレオスペクトラー」)を使用して、引張りモード(周波数 11Hz、ひずみ0.1%)で、昇温速度3℃/分で、−100〜200℃での、貯蔵粘弾性E’、損失弾性率E’’および損失正接tanδを測定した。
上記した反応式(II)にしたがって、2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンの合成を次のようにして行った。
(1)1−アダマンチルメチルケトンの合成:
(i) 窒素雰囲気下で、2口ナスフラスコ(容量300ml)に、塩化チオニル40ml(0.2モル)と1−アダマンタンカルボン酸18.4g(102mmol)を加え、2時間加熱還流を行って1−アダマンタンカルボン酸クロライドを調製した。過剰に用いた塩化チオニルを減圧留去した後、乾燥トルエン40mlを加えて減圧留去することで、共沸により完全に塩化チオニルを除去した。
(ii) 上記(i)で得られた1−アダマンタンカルボン酸クロライドに、乾燥ジエチルエーテル100mlおよび塩化第一銅0.57g(5.7mmol)を加え、室温で攪拌しながら、別途2口ナスフラスコ(容量300ml)で合成しておいたメチルマグネシウムアイオダイドのジエチルエーテル溶液[マグネシウム4.23g(174mmol)、ヨウ化メチル16.7g(118mmol)およびジエチルエーテル130mlより合成]を30分かけて滴下した。反応の進行と共に沈殿物を生じ、滴下終了後には黄緑色の懸濁液となった。得られた溶液を更に30分間攪拌した後、混合物を水に投入して反応を停止させ、2Nの塩化水素水溶液で中和した。ジエチルエーテルで3回抽出し、得られた有機相を併せ無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を留去し固体を得た。
(iii) 上記(ii)で得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン=9/1)で分離精製して、1−アダマンチルメチルケトン15.6g(収率86質量%)(固体)を得た。その融点は53℃であり、NMRスペクトルにおけるピークは以下のとおりであった。
・1H−NMR(300MHz、CDCl3):δ=1.6−1.9(m、12H、C(2)H2、C(4)H2)、2.0−2.1(m、6H、C(3)H、CH3)。
・13C−NMR(75MHz、CDCL3):δ=24.4(−CH3)、28.0(C3)、36.6(C4)、38.3(C2)、46.6(C1)、214.3(C=O)。
(i)グリニャール試薬の調製:
窒素雰囲気下に、2口ナスフラスコ(容量500ml)にマグネシウム5.5g(260mmol)と脱水テトラヒドロフラン30mlを加えた後、1,2−ジブロモエタンを数滴加え、マグネシウムの表面を活性化した。次いで、1Mビニルブロマイドのテトラヒドロフラン溶液151ml(151mmol)を氷水浴中0℃で滴下して0℃で1時間し、更に室温に戻し1時間攪拌してグリニャール試薬を調製した。
(ii) 上記(i)で得られたグリニャール試薬に、1−アダマンチルメチルケトン24.3g(137mmol)を脱水テトラヒドロフラン溶液100mlに溶解した溶液をゆっくりと滴下し、室温で24時間攪拌した後、得られた混合物を水に投入し反応を停止させ、2Nの塩化水素水溶液で中和した。テトラヒドロフランを減圧下で留去した後、ジエチルエーテルで3回抽出し、それにより得られた有機相を一緒にして無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで減圧下で溶媒を留去して、3−(1−アダマンチル)−3−ヒドロキシ−1−ブテンの粗生成物27.6gを得た。これにより得られた混合物を薄層クロマトグラフィーにより確認したところ、原料との分離が困難であったため、精製は行わず次の脱水反応[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンの合成反応]に使用した。
(i) 窒素雰囲気下で、2口ナスフラスコ(容量300ml)に、上記(2)で得られた粗3−(1−アダマンチル)−3−ヒドロキシ−1−ブテン27.6g(137mmol相当)、ベンゼン150mlおよび触媒量のp−トルエンスルホン酸を加えて、2時間加熱還流を行った。ガスクロマトグラフィーにより原料の消費を確認し、反応液を室温に戻した後、1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで無水硫酸マグネシウムで乾燥した。有機溶媒を減圧下に留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により分離精製して2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン12.6g(67mmol)を得た。これをカルシウムハイドライドの存在下に、減圧蒸留して更に精製して精製2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン8.9g[47.2mmol、沸点:53〜56℃/0.25mmHg、上記(2)との合成収率34質量%]を得た。
(ii) 上記(i)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンの1H−NMRスペクトルは図1に示すとおりであり、また13C−NMRスペクトルは図2に示すとおりであり、それらのピークは次のとおりであった。
・1H−NMR(300MHz、CDCl3):δ=1.63−1.79(m、12H、C(2)H2、C(4)H2)、2.01(s、3H、C(3)H)、4.72(s、1H、C(a)H2=trans)、4.98−4.99(d、1H、C(d)H2=trans、J=12.9Hz)、5.08(s、1H、C8(a)H2=cis)、5.35−5.41(d、C(d)H2=cis、J=19.2Hz)、6.40−6.49(dd、1H=CH、trans、J=12.9 and 19.2Hz)。
・13C−NMR(75MHz、CDCl3):δ=28.7(C3)、36.8(C1)、37.0(C4)、41.2(C2)、107.1(Ca)、114.8(Cd)、136.5(Cc)、157.3(Cb)。
アルゴン気流下で、室温にて金属カリウム3.76g(96.2mmol)とナフタレン14.38g(112mmol)をテトラヒドロフラン130ml中で48時間反応させてカリウムナフタレンの溶液を調製し、重合開始剤として使用した。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体(単独重合体)の製造:
乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液3.09ml(0.103mmol)を加え、参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.605g(3.22mmol)をヘプタン10mlに溶解させた溶液を加え、得られた溶液を攪拌下に40℃に加温した。重合の進行に伴い反応液は不均一化し白濁する傾向にあった。添加後、40℃にて3時間攪拌した後、少量の脱気メタノールを添加して重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)2000および分子量分布(Mw/Mn)1.25であった。さらに、これにより得られた重合体における1,4−結合による構造単位の含有割合は95モル%であった。これらの結果を下記の表1に示す。
また、得られた重合体の1H−NMRスペクトルを図3の(A)に、13C−NMRスペクトルを図4の(A)に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、真空凍結脱気を30分間行った。次いで、反応容器内に窒素ガスを導入し、110℃に加熱して4時間還流を行ったところ、反応液は当初は懸濁状態であったが、反応の進行に伴い黄色均一溶液となると共に窒素ガス、水素ガスの発生による気泡発生が確認された。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入し、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体をトルエンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して精製を行った後、ベンゼン溶液より凍結乾燥を行い水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。
また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ123℃であった。これらの結果を下記の表1に示す。
得られた水添重合体の1H−NMRスペクトルを図3の(B)に、13C−NMRスペクトルを図4の(B)に示す。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体(単独重合体)の製造:
乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液2.07ml(0.0586mmol)を加え、参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.603g(3.21mmol)をシクロヘキサン13.8mlに溶解させた溶液を加え、得られた溶液を攪拌下に40℃に加温した。反応溶液は重合中均一であった。添加後、40℃にて3時間攪拌した後、少量の脱気メタノールを添加して重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)4000および分子量分布(Mw/Mn)1.32であった。また、これにより得られた重合体における1,4−結合による構造単位の含有割合は95モル%であった。これらの結果を下記の表1に示す
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例1の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体98mg(収率98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。
また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、134℃であった。これらの結果を下記の表1に示す。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体(単独重合体)の製造:
乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、−78℃で参考例2で調製したカリウムナフタレンの溶液4.2ml(0.11mmol)を加え、参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.656g(3.49mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶解させた溶液を加えて−78℃で24時間撹拌下に重合させ、次いで少量の脱気メタノールを添加して重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。得られた重合体溶液の一部を用いて前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)9200および分子量分布(Mw/Mn)1.23であった。また、これにより得られた重合体における1,4−結合による構造単位の含有割合は95モル%であった。これらの結果を下記の表1に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例1の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。
また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、139℃であった。これらの結果を下記の表1に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液0.14ml(0.18mmol)およびスチレン3g(28.8mmol)をシクロヘキサン40mlに溶解させた溶液を加えて、攪拌しながら40℃に加温して3時間重合し、次いで少量の脱気メタノールを添加して重合反応を停止させた。
(ii) 上記(i)で得られた重合体溶液の一部を用いて、前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)17000および分子量分布(Mw/Mn)1.01であった。また、前記した方法でガラス転移温度を測定したところ、98℃であった。これらの結果を下記の表1に示す。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液5.30ml(0.150mmol)、並びに参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.547g(2.91mmol)およびイソプレン0.836g(12.3mmol)をシクロヘキサン12.15mlに溶解させた溶液を加えて、40℃に加温して撹拌下に3時間重合し、次いで少量の脱気メタノールを添加して重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた重合体溶液の一部を用いて、前記した方法で[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位]:[イソプレンに由来する構造単位]の含有比率を測定したところ、49:51(質量比)であった。また、前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)11000および分子量分布(Mw/Mn)1.05であった。さらに、前記した方法でガラス転移温度を測定したところ、−57℃であった。これらの結果を下記の表2に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、真空凍結脱気を30分間行った。次いで、反応容器内に窒素ガスを導入し、110℃に加熱して4時間還流を行ったところ、反応液は当初は懸濁状態であったが、反応の進行に伴い黄色均一溶液となると共に窒素ガス、水素ガスの発生による気泡発生が確認された。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入して、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体を沈殿させて回収した。これにより得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体をトルエンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して精製を行った後、ベンゼン溶液より凍結乾燥を行い水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すように、−47℃であった。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液3.28ml(0.0928mmol)、並びに参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.846g(4.50mmol)およびイソプレン0.303g(4.46mmol)をシクロヘキサン16.2mlに溶解させた溶液を加えて、40℃に加温して撹拌しながら3時間重合し、次いで少量の脱気メタノールを添加し重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた重合体溶液の一部を用いて、前記した方法で[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位]:[イソプレンに由来する構造単位]の含有比率を測定したところ、78:22(質量比)であった。また、前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)8900および分子量分布(Mw/Mn)1.13であった。さらに、前記した方法でガラス転移温度を測定したところ−8℃であった。これらの結果を下記の表2に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例4の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すように、13.9℃であった。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液2.80ml(0.0792mmol)、並びに参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン1.16g(6.16mmol)およびイソプレン0.165g(2.43mmol)をシクロヘキサン17.9mlに溶解させた溶液を加えて、40℃に加温して撹拌しながら3時間重合し、次いで少量の脱気メタノールを添加し重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた重合体溶液の一部を用いて、前記した方法で[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位]:[イソプレンに由来する構造単位]の含有比率を測定したところ、85:15(質量比)であった。また、前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)6000および分子量分布(Mw/Mn)1.15であった。さらに、前記した方法でガラス転移温度を測定したところ52.1℃であった。これらの結果を下記の表2に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例4の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン/イソプレン共重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すように、97℃であった。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体(単独重合体)の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液4.35ml(0.123mmol)および参考例1で製造した2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン1.28g(6.74mmol)をシクロヘキサン23.8mlに溶解させた溶液を加えて、40℃に加温して撹拌しながら3時間重合し、次いで少量の脱気メタノールを添加し重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた重合体溶液の一部を用いて、前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)5300および分子量分布(Mw/Mn)1.50であった。さらに、前記した方法でガラス転移温度を測定したところ106℃であった。これらの結果を下記の表2に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例4の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すように、122.1℃であった。
(1)ポリイソプレン(単独重合体)の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液4.75ml(0.134mmol)およびイソプレン0.775g(11.4mmol)をシクロヘキサン4.69mlに溶解させた溶液を加えて、40℃に加温して撹拌しながら3時間重合し、次いで少量の脱気メタノールを添加し重合反応を停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた重合体溶液の一部を用いて、前記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)11000および分子量分布(Mw/Mn)1.05であった。また、前記した方法でガラス転移温度を測定したところ−70℃であった。本結果を表2に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られたポリイソプレン100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例4の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添ポリイソプレン98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添ポリイソプレンの水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添重合体のガラス転移温度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すように、−65.7℃であった。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリスチレンブロックよりなるジブロック共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液2.93ml(0.0894mmol)および2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.506g(2.69mmol)をシクロヘキサン6.67mlに溶解させた溶液を加えて、40℃に加温して撹拌しながら3時間重合して、反応液の一部をサンプリングして上記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)6300および分子量分布(Mw/Mn)1.05の2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体が生成していた。続いて反応容器にスチレン0.652g(6.27mmol)を加えて1時間重合を行った後、脱気したメタノールを少量添加して重合を完全に停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた反応液(重合液)を用いて上記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)17000および分子量分布(Mw/Mn)1.09の2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリスチレンブロックよりなるジブロック共重合体が生成していた。得られたジブロック共重合体の反応液を水で洗浄した後、メタノール/アセトン混合溶媒で沈殿させてジブロック共重合体1.1gを回収した。これらの結果を下記の表3に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリスチレンブロックよりなるジブロック共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、真空凍結脱気を30分間行った。次いで、反応容器内に窒素ガスを導入し、110℃に加熱して4時間還流を行ったところ、反応液は当初は懸濁状態であったが、反応の進行に伴い黄色均一溶液となると共に窒素ガス、水素ガスの発生による気泡発生が確認された。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、大過剰のメタノールに投入して、水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリスチレンブロックよりなるジブロック共重合体]を沈殿させて回収した。これにより得られた水添ジブロック共重合体をトルエンに溶解させた後、メタノールで再沈殿させる作業を3回繰り返して精製を行い、更にベンゼン溶液より凍結乾燥を行って、水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリスチレンよりなるジブロック共重合体]98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリスチレンブロックよりなるジブロック共重合体]の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。
(1)ポリスチレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるジブロック共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液5.10ml(0.144mmol)およびスチレン0.748g(7.19mmol)をシクロヘキサン7.33mlに溶解した溶液を加えて、40℃に加温して撹拌しながら1時間重合し、次いで反応容器に2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.57g(3.03mmol)を加えて3時間重合を行った後、脱気したメタノールを少量添加し重合を完全に停止させた。
(ii) 上記(i)で得られた重合液(反応液)を用いて上記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)11000および分子量分布(Mw/Mn)1.05のポリスチレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるジブロック共重合体が生成していた。得られたジブロック共重合体の反応液を水で洗浄した後、メタノール/アセトン混合溶媒で沈殿させてジブロック共重合体1.3gを回収した。これらの結果を下記の表3に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られたポリスチレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるジブロック共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例8の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添[ポリスチレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるジブロック共重合体]98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添[ポリスチレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるジブロック共重合体]の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添ジブロック共重合体の分子量を上記した方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)15000および分子量分布(Mw/Mn)1.15であった。これらの結果を表3に示す。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリイソプレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液2.88ml(0.0878mmol)、および2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.987(5.25mmol)をシクロヘキサン12.8mlに溶解した溶液を加え、40℃に加温して撹拌しながら3時間重合し、続いて反応容器にイソプレン2.50g(36.7mmol)を加えて4時間重合を行った後に更に2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.771g(4.1mmol)を加えて3時間重合を行い、続いて脱気したメタノールを少量添加し重合を完全に停止させた。
(ii) 上記(i)で得られた重合液(反応液)を用いて上記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)51000および分子量分布(Mw/Mn)1.06の2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリイソプレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体が生成していた。得られたトリブロック共重合体の反応液を水で洗浄した後、メタノール/アセトン混合溶媒で沈殿させてトリブロック共重合体4.1gを回収した。これらの結果を下記の表3に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリイソプレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例8の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリイソプレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体]98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリイソプレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体]の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。また、この水添トリブロック共重合体の分子量を上記した方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)51000および分子量分布(Mw/Mn)1.06であった。これらの結果を表3に示す。
また、この実施例10で得られた水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロック/ポリイソプレンブロック/2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体]の貯蔵粘弾性E’、損失弾性率E’’および損失正接tanδを上記した方法で測定したところ、図5に示すとおりであった。
(1)2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックとポリスチレンブロックよりなるブロック共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、参考例2で調製したカリウムナフタレン溶液2.98ml(0.118mmol)および2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.643g(3.42mmol)をテトラヒドロフラン9.85mlに溶解させた溶液を加えて、−78℃で撹拌しながら24時間重合し、続いてスチレン0.543g(5.22mmol)を加えて1時間重合を行った後、脱気したメタノールを少量添加して重合を完全に停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた反応液(重合液)を用いて上記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)24000および分子量分布(Mw/Mn)1.04の2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックとポリスチレンブロックよりなるブロック共重合体が生成していた。得られたブロック共重合体の反応液を水で洗浄した後、メタノール/アセトン混合溶媒で沈殿させてブロック共重合体1.1gを回収した。これらの結果を下記の表3に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られた2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックとポリスチレンブロックよりなるブロック共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例8の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックとポリスチレンブロックよりなるブロック共重合体]98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添[2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックとポリスチレンブロックよりなるブロック共重合体]の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。これらの結果を表3に示す。
(1)ポリスチレンブロックと2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるブロック共重合体の製造:
(i) 乾燥したガラス製反応容器内の気体を窒素ガスで完全に置換した後、参考例2で調製したカリウムナフタレン溶液7.32ml(0.212mmol)およびスチレン1.05g(10.1mmol)をテトラヒドロフラン9.98mlに溶解させた溶液を加えて、−78℃で撹拌しながら1時間重合し、続いて2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン0.662g(3.31mmol)を加えて24時間重合を行った後、脱気したメタノールを少量添加して重合を完全に停止させた。重合の進行度を前記した方法で測定したところ99%以上であった。
(ii) 上記(i)で得られた反応液(重合液)を用いて上記した方法で分子量を測定したところ、数平均分子量(Mn)21000および分子量分布(Mw/Mn)1.04のポリスチレンブロックと2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるブロック共重合体が生成していた。得られたブロック共重合体の反応液を水で洗浄した後、メタノール/アセトン混合溶媒で沈殿させてブロック共重合体1.6gを回収した。これらの結果を下記の表3に示す。
(i) 乾燥したガラス製反応容器に、上記(1)で得られたポリスチレンブロックと2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるブロック共重合体100mg、o−キシレン5ml、p−トルエンスルホン酸ヒドラジド1.0g(4.9mmol)および少量の酸化防止剤(日本チバ・ガイギー社製「Irganox1010」)を加え、以後、実施例8の(2)におけるのと同様の操作を行って、水添[ポリスチレンブロックと2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるブロック共重合体]98mg(収率約98質量%)を得た。
(ii) 上記(i)で得られた水添[ポリスチレンブロックと2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエン重合体ブロックよりなるブロック共重合体]の水素添加率を1H−NMRで測定したところ、二重結合に由来するピークが消失し、水素添加率は99%以上であった。これらの結果を表3に示す。
水添ポリスチレンブロック/ポリイソプレンブロック/ポリスチレンよりなるトリブロック共重合体を実施例10と同様の操作で製造し、その貯蔵粘弾性E’、損失弾性率E’’および損失正接tanδを上記した方法で測定したところ、図6に示すとおりであった。
Claims (12)
- 下記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または下記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を有することを特徴とする重合体。
CH2=C(R1)−C(R2)=CH2 (I)
(式中、R1はアダマンチル基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。) - 下記の一般式(Ia−1)で表される構造単位(Ia−1)および/または下記の一般式(Ib−1)で表される構造単位(Ib−1)を有する、請求項1に記載の重合体。
−CH2−C(R1)=C(R2)−CH2− (Ia−1)
−CH2−C(H)(R1)−C(H)(R2)−CH2− (Ib−1)
(式中、R1はアダマンチル基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。) - 2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位および/または2−(1−アダマンチル)−1,3−ブタジエンに由来する構造単位に水素を添加した構造単位を有する請求項1または2に記載の重合体。
- 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位のみを有するか、或いは共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位と共に他の重合性単量体に由来する構造単位を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体。
- 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を、重合体の質量に基づいて10質量%以上の割合で有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体。
- 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を、重合体の質量に基づいて10質量%以上の割合で有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体。
- 共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位および/または共役ジエン系誘導体(I)に由来する構造単位に水素を添加した構造単位を有する重合体ブロックAと、他の重合性単量体に由来する構造単位よりなる重合体ブロックBを有するブロック共重合体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体。
- 重合体ブロックAの含有割合が、ブロック共重合体の質量に基づいて10質量%以上である請求項7に記載の重合体。
- 重合体ブロックBのガラス転移温度が、重合体ブロックAのガラス転移温度よりも低いブロック共重合体である請求項7または8に記載の重合体。
- 下記の一般式(I)で表される共役ジエン系誘導体(I);
CH2=C(R1)−C(R2)=CH2 (I)
(式中、R1はアダマンチル基、R2は水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基を示す。)
を単独で用いるかまたは前記共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を用いて重合を行って重合体を製造するか、或いは前記共役ジエン系誘導体(I)を単独で用いるかまたは前記共役ジエン系誘導体(I)と他の重合性単量体を用いて重合を行った後に水素を添加することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合体の製造方法。 - 有機リチウム化合物および/または有機カリウム化合物を重合開始剤として用いてアニオン重合を行う請求項10に記載の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の重合体を構成成分とする成形体。
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