JP4918021B2 - 形状記憶合金アクチュエータおよびそれを備える電子機器 - Google Patents
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Description
形状記憶合金は変態温度以上の熱を加えると変形していても元の形状に戻る性質があり、形状記憶合金アクチュエータはこの性質を利用して被駆動体を駆動するものである。
例えば、形状記憶合金ワイヤの電気抵抗値は、変態開始温度から変態終了温度までの範囲ではワイヤ長に略比例することから、抵抗値フィードバック制御を行うことで、形状記憶合金ワイヤ長を変化させて、比較的容易に被駆動体の位置制御を行うことができる。
特許文献1には、形状記憶合金材の電気抵抗値を検出し、変位量に変換してフィードバック制御を行う手段を具備する形状記憶合金アクチュエータが記載されている。
また、特許文献2には、形状記憶合金の線材の長さが線材の抵抗値に比例することを利用して、線材の通電時の電気抵抗を検出し、電気抵抗が所定値となるように、通電時間を制御するようにしたアクチュエータが記載されている。
特許文献1に記載の技術では、形状記憶合金材の初期的な電気抵抗値が経時的な特性変化や温度環境の影響により変化する場合には、良好な位置制御を行うことができなくなるという問題がある。
このため、特許文献2に記載の技術では、形状記憶合金の線材の常温における電気抵抗値を電源投入時に検出し、電気抵抗値が変化している場合に補正することができるようにしている。この場合、線材の特性の経年変化や外部環境の温度変化に応じて発生する電気抵抗値の変化は補正することができるが、例えば、落下時の衝撃力などを受けて線材が伸長される場合など、初期的な電気抵抗値が変化している場合には、適切な補正を行うことができないという問題がある。
すなわち、形状記憶合金の線材が衝撃力などを受けて伸長された場合、その電気抵抗値を基にして電気抵抗値を補正すると、駆動位置の誤差が発生してしまうおそれがある。
この発明によれば、抵抗指令値制御部によって抵抗指令値を変化させ、抵抗検出部によって形状記憶合金部材の電気抵抗を検出し、通電制御部によって形状記憶合金部材の電気抵抗の検出値が抵抗指令値に一致するように制御することで、被駆動体を目標位置まで移動させる前に、少なくとも1回プリドライブを行って形状記憶合金部材を収縮させてから伸長させるので、プリドライブ前の形状記憶合金部材が、例えば衝撃力などによって伸長されていても、形状記憶合金部材の長さを初期化してから、被駆動体の目標位置への移動を行うことができる。そして、抵抗指令値制御部が、初期抵抗値取得部、初期抵抗値記憶部を備え、最新の初期抵抗値がすでに記憶された初期抵抗値から一定値以上変化している場合に、プリドライブを行うので、初期抵抗値から形状記憶合金部材に何らかの変化が発生していると判定される場合にのみ、プリドライブを行って形状記憶合金部材の長さの初期化を行うことができる。そのため、プリドライブの回数を低減しつつ、良好な移動精度を得ることができる。
この発明によれば、プリドライブでの最小の抵抗指令値が、基準位置に対応する抵抗指令値より小さい値であるため、確実に基準位置を超えた状態まで、形状記憶合金部材が収縮されるので、被駆動体の基準位置での形状記憶合金部材の長さが初期化されるので、被駆動体の移動開始位置の位置精度が向上される。
この発明によれば、プリドライブでの最小の抵抗指令値が、形状記憶合金部材の加熱時の変態終了温度に対応する変態終了抵抗値に等しいので、形状記憶合金部材のすべての変態領域内で伸縮される。そのため、例えば衝撃力による変形などの影響が確実に除去される。
この発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の形状記憶合金アクチュエータを備えるので、請求項1〜3のいずれかに記載の発明と同様の作用効果を備える。
この発明によれば、少なくとも電源投入時には、前記形状記憶合金アクチュエータの前記抵抗指令値制御部によって前記プリドライブが行われるようにしたので、電源オフ時に形状記憶合金アクチュエータに衝撃力などが加わって、形状記憶合金部材が伸長した場合でも、電源投入とともに、形状記憶合金アクチュエータの状態を確実に初期化することができる。
本発明の第1の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータについて、それを備えた電子機器とともに説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータを備える電子機器の概略構成を示す模式的な構成図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータの概略構成を示す模式的な正面図である。図3(a)は、形状記憶合金ワイヤの温度変化に伴う長さと電気抵抗の関係について説明する模式的なグラフである。横軸は形状記憶合金ワイヤの長さ、縦軸は形状記憶合金ワイヤの電気抵抗を示す。図3(b)は、形状記憶合金ワイヤの温度変化に伴う電気抵抗の変化を示す模式的なグラフである。横軸は形状記憶合金ワイヤの温度、縦軸は形状記憶合金の電気抵抗を示す。図4は、本発明の第1の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータの駆動制御部の機能ブロック図である。
カメラ100の概略構成は、図1に示すように、カメラ筐体20に、撮像レンズユニット3(被駆動体)、撮像素子21、液晶モニタ22、リリーススイッチ23、撮像制御部24、目標位置設定部25、および形状記憶合金(Shape Memory Alloy、以下、SMAと略称する)アクチュエータ1などが配置されてなる。SMAアクチュエータ1は、駆動機構部であるアクチュエータ本体10とアクチュエータ本体10の動作を制御する駆動制御部11とからなる。
撮像レンズユニット3のレンズ鏡筒の形状は、適宜の形状を採用することができるが、本実施形態では、図2に示すように、一例として、側面3aが、駆動方向に一致する上下方向に延ばされた、例えば円筒面からなり、側面3aの径方向外側に、撮像レンズユニット3の駆動方向の中心軸O回りの回転を規制するガイド突起3bが突出された形状の例で説明する。
液晶モニタ22は、撮像素子21で光電変換された画像データや、カメラ100の操作や設定を行う操作画面などを表示する表示部である。
リリーススイッチ23は、不図示のシャッタを開放するための操作スイッチであり、撮像制御部24に電気的に接続されている。
また、リリーススイッチ23は、半押し操作によってオートフォーカス(以下、AFと略称する)動作を開始する制御信号を撮像制御部24に送出する。
本実施形態のAF動作は、通称フライバック方式と言われる方式を採用している。すなわち、撮像レンズユニット3を、予め設定された駆動パターンにしたがって、フォーカス位置を含む範囲で一定の基準位置から光軸方向の一方向に移動させるようなスキャン駆動を行い、このスキャン駆動において、少なくともフォーカス位置の近傍で、フォーカス位置の前後にわたって画像を取得し、各画像の高調波成分の変化を解析し、最も高調波成分が強くなる位置をフォーカス位置と判定し、撮像レンズユニット3を基準位置に戻してから、このフォーカス位置に移動させるような目標位置駆動を行う位置決め制御方式を採用している。
また、本実施形態では、一定の基準位置は、無限遠が焦点となる位置に設定している。このため、この基準位置から撮像レンズユニット3を被写体側に繰り出すように移動させることで、近距離側にピントが合うようになっている。
以下では、簡単のため、光軸上において、基準位置から被写体側の位置を前側の位置、撮像素子21側の位置を後側の位置と称する場合がある。
この確定されたフォーカス位置の情報は、目標位置設定部25によって駆動制御部11に通知される。
アクチュエータ本体10の概略構成は、支持体2、SMAワイヤ5、保持端子4A、4B、および付勢手段6からなる。なお、図2は、全体の概略構成を説明する模式図であり、細部の形状は、省略されたり誇張されたりしている。
また、アクチュエータ本体10の配置姿勢は、図示の態様に限定されるものではないが、以下では、説明の便宜上、図示のように、撮像レンズユニット3がアクチュエータ本体10の上端側に設けられ、図示上下方向を駆動方向とする場合の例で説明する。
支持体2の図示正面側の外周面である側面2bには、SMAワイヤ5の端部をそれぞれ保持して、張架するための保持端子4A、4Bが、撮像レンズユニット3の中心軸Oとガイド突起3bの中心を含む面(図示上下方向に延びる紙面垂直面)に対して、面対称に位置決めして取り付けられている。
SMAワイヤ5に通電されていないときは、例えば室温などの基準温度T0とすると、点q0に示すように、SMAワイヤ5の長さ、電気抵抗は、それぞれL0、r0である。この長さL0で決まる撮像レンズユニット3の光軸方向の位置を基準位置と称する。
SMAワイヤ5に通電を開始するとSMAワイヤ5の電気抵抗に応じてジュール熱が発生し、温度上昇とともにSMAワイヤ5の電気抵抗が増加し、点q1において、変態開始温度T1に到達する。さらに通電を続けると、SMAワイヤ5は変態して収縮し、点q2を通る略直線状の曲線にしたがって長さ、電気抵抗が変化する。そのため、長さに略比例して電気抵抗が増大する。点q3を超えると変態が終了するため、通電とともに電気抵抗は増大していく。変態が終了する温度T3(ただし、T3>T0)に到達した点q3で、通電を停止するとSMAワイヤ5は放熱により冷却され、点q4を通る加熱時と異なる曲線に沿って長さが増大していく。
このとき、SMAワイヤ5の温度と、電気抵抗は、図3(b)に示すような温度ヒステリシス特性を有するものの、加熱時、冷却時、それぞれにおいて比例する領域を備えるため、SMAワイヤ5の電気抵抗を制御することによって、SMAワイヤ5の温度を制御し、長さを変化させることができる。
そのため、通電制御部13とSMAワイヤ5との間には、SMAワイヤ5の抵抗を検出する抵抗検出部14が設けられ、通電制御部13にSMAワイヤ5の電気抵抗が通電制御部13にフィードバックされるようになっている。
通電制御部13には、供給電力が制御可能な適宜の電源を採用することができるが、本実施形態では、パルス駆動によって、電力を可変するパルス電源を採用している。
プリドライブを行うかどうかは、本実施形態では、初期抵抗値取得部12cにより、移動開始前のSMAワイヤ5の電気抵抗である初期抵抗値を抵抗検出部14から取得せしめ、その初期抵抗値の大きさによって判定するようにしている。
ただし、電源投入後に最初に移動する場合、および初期抵抗値記憶部12dに過去の初期抵抗値がまったく記憶されていない場合には、必ず第1駆動モードを選択する。
また、駆動モード設定部12aは、電源投入時には必ずプリドライブを1回行って、撮像レンズユニット3の位置を初期化する。
初期抵抗値記憶部12dは、初期抵抗値取得部12cから送出される初期抵抗値を時系列に沿って記憶するものである。
プリドライブにおける抵抗指令値データは、通電開始時に最初に設定する抵抗指令値もしくは通電状態の現在の抵抗指令値から、予め設定されたプリドライブ抵抗指令値まで抵抗指令値を減少させ、その状態から通電停止、もしくは抵抗指令値の増大を行ってSMAワイヤ5が変態開始温度T1以下になるように設定する。
なお、プリドライブ抵抗指令値まで抵抗指令値を減少させるには、通電開始時に、ただちにプリドライブ抵抗指令値を送出してもよいし、プリドライブ抵抗指令値に到るまで、時間とともに減少させるようにしてもよい。
プリドライブ抵抗指令値の大きさとしては、撮像レンズユニット3が基準位置に位置づけられるようなSMAワイヤ5の長さに応じた抵抗指令値(基準位置抵抗指令値と称する)よりも小さく、SMAワイヤ5の加熱時の変態終了温度T3に対応する変態終了抵抗値r3(図3(b)参照)以上となるように設定する。
なお、基準位置抵抗指令値は、加熱時の変態開始温度T1に対応する変態開始抵抗値r1より小さい設定とされる。
抵抗指令値生成手段12bでは、通電開始から一定時間内に、抵抗ピーク検出部12eによって電気抵抗変化の極大値(抵抗ピーク値)を検出し、この抵抗ピーク値を変態開始抵抗値r1とみなして、記憶された差分値を加算することで、任意位置への移動を行うための抵抗指令値データが生成されるようになっている。
これにより個々のSMAワイヤ5による変態開始抵抗値のバラツキが補正され、SMAアクチュエータ1の装置間の移動量のバラツキを低減することができる。また、同一装置でのSMAワイヤ5の経時劣化に伴う変態開始抵抗値のバラツキによる移動量のバラツキを低減することができる。
なお、この抵抗ピーク値は、抵抗指令値生成手段12bに記憶され、次に抵抗ピーク検出を行うまでの間、抵抗指令値を生成するために再利用される。
なお、撮像制御部24あるいは目標位置設定部25をコンピュータで構成する場合には、撮像制御部24あるいは目標位置設定部25に用いるコンピュータを駆動制御部11に兼用してもよい。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータの動作の第1駆動モードの動作を説明するフローチャートである。図6は、形状記憶合金ワイヤが伸び変形を起こした場合の加熱時の電気抵抗の変化を示す模式的なグラフである。横軸は形状記憶合金ワイヤの温度、縦軸は形状記憶合金ワイヤの電気抵抗を示す。図7は、形状記憶合金ワイヤの伸び変形を起こした場合の異常動作の例を説明する模式的なグラフである。横軸は時間、縦軸は被駆動体の位置を示す。図8は、本発明の第1の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータの動作の一例を示す模式的なグラフである。横軸は時間、縦軸は被駆動体の位置を示す。
そして、電源投入後、撮影者がリリーススイッチ23を半押しすると撮像制御部24によって目標位置設定部25に制御信号が送出され、AF動作が開始される。
目標位置設定部25は、駆動制御部11の抵抗指令値制御部12に対してSMAアクチュエータ1を駆動開始する制御信号を送出する。
この制御信号を受けて、抵抗指令値制御部12の駆動モード設定部12aでは、初期抵抗値取得部12cを介して、抵抗検出部14から現在のSMAワイヤ5の電気抵抗である初期抵抗値を取得させる。初期抵抗値取得部12cが取得した初期抵抗値は、初期抵抗値記憶部12dに記憶する。
駆動モード設定部12aは、初期抵抗値記憶部12dから過去の初期抵抗値を取得し、現在の初期抵抗値が過去の初期抵抗値から一定閾値以上変化した場合、SMAワイヤ5に何らかの異常が発生したと判断して、プリドライブを行う第1駆動モードを選択する。
また、初期抵抗値記憶部12dに過去の初期抵抗値が記憶されていなかった場合、および電源投入後の最初の駆動である場合には、第1駆動モードを選択する。
これ以外の場合で、現在の初期抵抗値と過去の初期抵抗値との差が閾値よりも小さい場合には、第2駆動モードを選択する。
なお、現在の初期抵抗値は、必要に応じて、過去の1つ以上の初期抵抗値と比較すれば十分であり、初期抵抗値記憶部12dは、比較する初期抵抗値のみを格納する容量を備えていればよい。
このとき、SMAワイヤ5の電気抵抗は増大し、加熱時の温度特性は、図3(b)に示す特性から変化してしまう。図6に、電気抵抗の正常な温度特性を曲線201で、伸び変形が生じた場合の電気抵抗の温度特性の例を曲線202、203で示した。
一方、曲線203は、SMAワイヤ5の伸長、変形が顕著な場合の例であり、加熱前の基準温度T0での電気抵抗r0’’は、r0’’>r0’>r0である。この場合、変態開始による明瞭な抵抗ピーク値は見られず、加熱とともに、徐々に電気抵抗が低下し、変形がすべて元に戻ると、曲線201と同じ曲線に沿って電気抵抗が変化する。
すなわち、抵抗指令値は、正常位置PNから移動目標位置PBに移動させるための差分値が、抵抗ピーク値r1’に加算されるが、r1’>r1であるから、図7に曲線205として示すように、移動開始位置PAが正常位置PNに対して後側となる。そして、抵抗指令値データの抵抗指令値が最小値となっても、撮像レンズユニット3は、移動目標位置PBよりも後側の位置PCまでしか移動されないことになり位置誤差が発生する。
位置PCで通電を停止し、SMAワイヤ5が冷却されると、SMAワイヤ5は、基準温度T0での長さに戻り、撮像レンズユニット3は、正常位置PNに復帰する。
この状態から2度目の駆動を行う場合、SMAワイヤ5の伸長や変形は解消されているため、移動は、正常位置PNから開始されるが、前回の駆動時に求めた抵抗ピーク値を使って駆動を行う場合は、正常位置PNにおけるSMAワイヤ5の電気抵抗が移動初期に低くなっているため、移動開始までに時間がかかり、図7に示す曲線205aのように、正常な動作である曲線205bと異なると共に位置PCまでしか移動しない動作不良となる。
ステップS1では、抵抗指令値生成手段12bは、通電開始後最初に設定する初期抵抗指令値、もしくは通電状態の現在の抵抗指令値から、予め設定されたプリドライブ抵抗指令値Rpまで抵抗指令値を減少させ、その状態から通電停止、もしくは抵抗指令値の増大を行ってSMAワイヤ5が変態開始温度T1以下になるような抵抗指令値データを通電制御部13に送出する。通電制御部13は、このような抵抗指令値データに基づいて、SMAワイヤ5への通電制御を行う。
これにより、図8に示すように、例えば、SMAワイヤ5に伸び変形があり撮像レンズユニット3が時刻t0で正常位置PNより後側の位置PAに位置している状態から、時刻t1でプリドライブ位置Ppに到達し、その後、SMAワイヤ5が放熱冷却されて、時刻t2で正常位置PNに戻る。なお、以下では、時刻tiの添字iの大小は、例えば、t1<t2のように、時間の前後関係を表すものとする。
以上でステップS1が終了する。
そのため、SMAワイヤ5の伸び変形により、SMAワイヤ5の電気抵抗の温度特性に、図6の曲線202、203のような異常が生じていた場合でも、少なくとも、プリドライブ後、基準位置P0において、SMAワイヤ5の長さが正常な長さとなり、付勢手段6との釣り合いが正常となり、基準位置P0に対する撮像レンズユニット3の位置ずれが解消される。
なお、プリドライブ抵抗指令値Rpの基準位置抵抗指令値R0からの偏差は、SMAワイヤ5の特性バラツキを考慮して、撮像レンズユニット3が確実に基準位置P0よりも前側に移動されるような大きさに設定することが好ましい。
抵抗ピーク値が時刻t3で検出されると、抵抗ピーク検出部12eは、抵抗指令値生成手段12bに抵抗ピーク値を通知する。
以上で、ステップS2が終了する。
抵抗指令値生成手段12bは、時刻t3で抵抗ピーク検出部12eから抵抗ピーク値を受信すると、所定の差分値を加算して、基準位置抵抗指令値R0を求めて、通電制御部13に送出し、撮像レンズユニット3を基準位置P0に位置づける。
次に、同様にして撮像レンズユニット3の前側の最大移動位置Pbに対応する抵抗指令値を求め、この抵抗指令値まで、連続的またはステップ状に減少させ、その後、通電を停止する抵抗指令データを生成して、通電制御部13に送出する。
これにより、図8に示すように、時刻t3〜t4で、撮像レンズユニット3が、位置PNから基準位置P0を経て、位置Pbに移動し、時刻t4〜t5で、撮像レンズユニット3が位置PNに戻されるスキャン駆動が行われる。
抵抗指令値生成手段12bでは、時刻t5〜t6までの間SMAワイヤ5を放熱冷却し、時刻t6から抵抗指令値Rfまで減少する抵抗指令値データを生成し、通電制御部13に送出する。
これにより、時刻t7において、撮像レンズユニット3がフォーカス位置Pfに移動され、AF動作が完了する。
そして、必要な時間だけフォーカス位置Pfにとどまった後、抵抗指令値を増大させるか、通電を停止するかして、撮像レンズユニット3を基準位置P0または正常位置PNに戻す。
以上で、ステップS3が終了する。
このようなSMAアクチュエータ1を備えるカメラ100では、携帯時に種々の衝撃力や振動を受けても、良好なAF精度を保つことができる。
本発明の第2の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータについて説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る形状記憶合金アクチュエータの機能ブロック図である。
駆動制御部11Aは、図9に示すように、上記第1の実施形態の駆動制御部11の抵抗指令値制御部12に代えて抵抗指令値制御部12Aを備えるものである。
抵抗指令値制御部12Aは、上記第1の実施形態の抵抗指令値制御部12の初期抵抗値記憶部12d、初期抵抗値取得部12cを削除したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
また、被駆動体の位置を、位置センサなどを用いて検出し、この位置センサ出力に応じて、抵抗指令値を変化させる制御を行うようにしてもよい。
2 支持体
3 撮像レンズユニット(被駆動体)
5 SMAワイヤ(形状記憶合金部材)
10 アクチュエータ本体
11、11A 駆動制御部
12、12A 抵抗指令値制御部
12a 駆動モード設定部
12b 抵抗指令値生成手段
12c 初期抵抗値取得部
12d 初期抵抗値記憶部
13 通電制御部
14 抵抗検出部
24 撮像制御部
25 目標位置設定部
100 カメラ(電子機器)
Claims (5)
- 支持体に設置された形状記憶合金部材に対して、被駆動体を付勢状態に係止し、通電によるジュール熱によって前記形状記憶合金部材を収縮変形させることで、前記被駆動体を一定の基準位置から目標位置に移動させる形状記憶合金アクチュエータであって、
前記形状記憶合金部材の電気抵抗を検出する抵抗検出部と、
前記被駆動体の移動を制御するため、前記形状記憶合金部材の電気抵抗の目標値である抵抗指令値を変化させる抵抗指令値制御部と、
前記抵抗検出部で検出された前記形状記憶合金部材の電気抵抗が前記抵抗指令値制御部で生成された前記抵抗指令値に一致するように、前記形状記憶合金部材への通電量を変化させる通電制御部とを備え、
前記抵抗指令値制御部は、
前記被駆動体を前記目標位置に移動させる前に、前記形状記憶合金部材に対する通電量を制御して、前記形状記憶合金部材を収縮させてから伸長させるプリドライブを少なくとも1回行うようにするとともに、
前記抵抗指令値制御部は、
前記目標位置に移動を開始する前に、前記形状記憶合金部材の電気抵抗を初期抵抗値として前記抵抗検出部から取得する初期抵抗値取得部と、
該初期抵抗値取得部が取得した前記初期抵抗値を記憶する初期抵抗値記憶部とを備え、
前記初期抵抗値取得部によって取得された最新の初期抵抗値が、前記初期抵抗値記憶部にすでに記憶された初期抵抗値から一定値以上変化している場合に、前記プリドライブを行うようにしたことを特徴とする形状記憶合金アクチュエータ。 - 前記プリドライブでの最小の抵抗指令値は、
前記基準位置に対応する抵抗指令値より小さい値であることを特徴とする請求項1に記載の形状記憶合金アクチュエータ。 - 前記プリドライブでの最小の抵抗指令値は、
前記形状記憶合金部材の加熱時の変態終了温度に対応する変態終了抵抗値に等しいことを特徴とする請求項2に記載の形状記憶合金アクチュエータ。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の形状記憶合金アクチュエータを備えることを特徴とする電子機器。
- 少なくとも電源投入時に、前記形状記憶合金アクチュエータの前記抵抗指令値制御部によって前記プリドライブが行われるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
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