以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、光ディスクDKに記録されたBCAコードの半径方向位置を測定することにより、BCAコードが記録された光ディスクDKの半径方向位置を検査する光ディスクの検査装置の全体概略図である。この装置は、光ディスクDKを回転駆動する駆動装置10と、光ディスクDKにレーザ光を照射するとともに同照射による光ディスクDKからの反射光を受光する光ピックアップ装置30とを備えている。
駆動装置10は、光ディスクDKを回転駆動するためのスピンドルモータ11及び光ディスクDKを半径方向に移動させるフィードモータ12を備えている。スピンドルモータ11の回転軸11bにはターンテーブル13が固定されており、同ターンテーブル13上に光ディスクDKが着脱可能に組み付けられるようになっている。
スピンドルモータ11内には、スピンドルモータ11の回転すなわちターンテーブル13(光ディスクDK)の回転を検出して、同回転を表す回転検出信号を出力するエンコーダ11aが組み込まれている。この回転検出信号は、ターンテーブル13(光ディスクDK)の回転位置が一つの基準回転位置に来るごとに発生されるインデックス信号Indexと、所定の微小な回転角度ずつハイレベルとローレベルを繰返すパルス列信号からなるとともに互いにπ/2だけ位相のずれたA相信号φA及びB相信号φBとからなる。インデックス信号Indexは、後述する記録用信号生成回路42及びコントローラ60に供給される。A相信号φA及びB相信号φBはスピンドルモータ制御回路21及びクロック信号発生回路22に供給される。
スピンドルモータ制御回路21は、コントローラ60の指示により、コントローラ60によって指定される回転速度(単位時間当たりの回転数)で光ディスクDKが回転するようにスピンドルモータ11の回転を制御する。具体的には、エンコーダ11aから供給されるA相信号φA又はB相信号φBをカウントすることにより、単位時間当たりのカウント数を導出し、この導出されたカウント数と、予め決められている光ディスクDKの1回転当りのA相信号φA又はB相信号φBの出現回数とを用いて、光ディスクDKの回転速度(単位時間当たりの回転数)を計算する。そして、この計算した回転速度がコントローラ60によって指定された回転速度に等しくなるように、スピンドルモータ11の回転を制御する。クロック信号発生回路22は、エンコーダ11aから供給されるA相信号φA及びB相信号φBを用いて、BCAコードの記録の単位となる所定の周波数のクロック信号を発生する。このクロック信号の周波数は、例えば、光ディスクDKが1回転する間に14,400個のパルスが出力される周波数である。
フィードモータ12は、スクリューロッド14を介して、スピンドルモータ11を固定支持するとともに光ディスクDKの半径方向の移動のみが許容された支持部材15に連結されている。スクリューロッド14は、その一端にてフィードモータ12の回転軸に一体回転するように連結され、その他端に支持部材15に固着されたナット(図示しない)に螺合している。したがって、フィードモータ12が回転すると、スピンドルモータ11、ターンテーブル13及び支持部材15は、スクリューロッド14及びナットからなるねじ機構により光ディスクDKの半径方向に移動する。
フィードモータ12内にも、フィードモータ12の回転を検出して、前記エンコーダ11aと同様な回転検出信号を出力するエンコーダ12aが組み込まれている。この回転検出信号中のA相信号φA及びB相信号φBが、フィードモータ制御回路23及び半径値検出回路24に出力される。フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24及びコントローラ60にも接続されて、これらの回路12a,24,60からの信号に基づいてフィードモータ12を駆動制御する。具体的には、フィードモータ制御回路23は、コントローラ60によって初期作動の開始が指示されると、フィードモータ12の駆動を開始して、支持部材15を初期位置まで移動させる。なお、この初期位置は、フィードモータ12によって駆動される支持部材15の駆動制限位置である。
その後、フィードモータ制御回路23は、コントローラ60からの指示に従って、エンコーダ12aからのA相信号φA及びB相信号φB、半径値検出回路24から入力される光スポットSPの半径方向位置を表す半径値、並びにコントローラ60からの半径送り速度に応じてフィードモータ12の回転を制御する。なお、前記半径値は、光ディスクDKにおける中心から光スポットSPの形成位置までの半径方向距離(すなわち半径)を表すものである。具体的には、コントローラ60によって光スポットSPの指定半径方向位置への移動が指示されると、フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24から入力される半径値がコントローラ60によって指定された光スポットSPの半径値に等しくなるように、フィードモータ12を駆動制御する。また、コントローラ60によって光スポットSPの半径方向への送りが指示されると、フィードモータ制御回路23は、エンコーダ12aから供給されるA相信号φA又はB相信号φBを用いて光スポットSPの半径方向の送り速度(単位時間当たりの光スポットSPの半径方向への移動距離)を計算し、前記計算した送り速度がコントローラ60から供給される半径送り速度に等しくなるようにフィードモータ12の回転を制御する。
半径値検出回路24は、初期設定によって光スポットSPの半径方向位置を表す半径値を初期設定するとともに、その後には、前記半径値を検出してフィードモータ制御回路23及びコントローラ60に供給する。具体的には、コントローラ60によって初期作動の開始が指示されると、前記初期作動によるフィードモータ12の回転によってエンコーダ12aから供給されるA相信号φA及びB相信号φBを入力して、A相信号φA及びB相信号φBの入力停止を検出し始める。そして、支持部材15が初期位置まで移動して移動不能になり、A相信号φA及びB相信号φBの入力停止を検出すると、内蔵のカウント値を「0」にリセットする。これと同時に、半径値検出回路24は、フィードモータ制御回路23に駆動停止信号を出力して、フィードモータ12の駆動制御を停止させる。
その後、半径値検出回路24は、A相信号φA及びB相信号φBによって規定されるフィードモータ12の回転方向に応じて正方向又は負方向にA相信号φA又はB相信号φBをカウントすることによりカウント値を導出し、このカウント値を用いて光スポットSPの初期位置からの移動量を計算し、光ディスクDKにおける中心から初期位置までの半径方向距離(初期半径値)に前記移動量を加算することにより光スポットSPの半径値を計算する。なお、この半径値の計算は、初期半径位置(支持部材15の初期位置に対応)が光ディスクDKの内周端側にある場合である。初期半径位置が光ディスクDKの外周端側にある場合には、初期半径値から前記移動量を減算することにより光スポットSPの半径値を計算する。また、このようにして計算される半径値は、長円状の光スポットSPの内側端近傍位置であって、レーザ照射強度が光ディスクDKにバーを形成するのに充分な強度以上となる位置である(図8参照)。この光スポットSPの内側端近傍位置が、本発明の半径値検出点に相当する。
光ピックアップ装置30は、レーザ光源31、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34、対物レンズ35、集光レンズ36、ナイフエッジ37及びフォトディテクタ38を備えている。そして、この光ピックアップ装置30においては、レーザ光源31からのレーザ光を、コリメートレンズ32、偏光ビームスプリッタ33、1/4波長板34及び対物レンズ35を介して、光ディスクDKの記録層に集光させ、光ディスクDKの記録層上に長円状の光スポットSP(図8参照)を形成する。
また、この光ディスクDKに形成された光スポットSPからの反射光は、対物レンズ35、1/4波長板34、偏光ビームスプリッタ33、集光レンズ36及びナイフエッジ37を介して、フォトディテクタ38に導かれて受光される。フォトディテクタ38は、分割線で区切られた2つの同一長方形状の受光素子からなる2分割受光素子によって構成されており、各受光素子は受光量に比例した検出信号Sa,Sbをそれぞれ受光信号として出力する。また、この光ピックアップ装置30は、対物レンズ35をレーザ光の光軸方向(光ディスクDKの盤面に対して垂直方向)に駆動するフォーカスアクチュエータ39も備えている。
レーザ光源31は、データ変換回路41、記録用信号生成回路42及びレーザ駆動回路43によって制御される。データ変換回路41は、コントローラ60によって用意されてコントローラ60から入力される、光ディスクDKの個別情報を表すBCAデータをBCAコードに変換(エンコード)して記録用信号生成回路42に供給する。この場合、光ディスクDKの個別情報は、光ディスクを管理するための製造番号、識別番号、データ開始位置半径などを表す情報である。また、BCAコードは、バーとバーとの間隔が複数種類の異なる間隔の組み合わせからなるデータである。例えば、この複数種類の異なる間隔として、DVDの場合には1T〜4Tが用いられ、Blu-ray Diskの場合には2T〜5Tが用いられる。
記録用信号生成回路42は、データ変換回路41から前記供給されたBCAコードを記憶しておき、エンコーダ11aからのインデックス信号Indexが入力するごとに、前記記憶しておいたBCAコードからパルス列信号を生成し始めてレーザ駆動回路43に出力する。この場合、パルス列信号における各パルス間隔は、DVDの場合には1T〜4Tのうちのいずれかに設定され、Blu-ray Diskの場合には2T〜5Tのうちのいずれかに設定される。また、このパルス列信号の生成においては、BCAコードを再生したときの波形が最適になるような波形(例えば、ハイレベルの立上がり部分の瞬時値を大きくした波形)からなるパルス列信号に補正される。そして、記録用信号生成回路42は、クロック信号発生回路22から出力されるクロック信号に同期させて、パルス列信号を出力する。このパルス列信号の同期においては、例えば、クロック信号が光ディスクDKの1回転当たり14,400個のパルスを含むものであるとき、BCAコードのバーの幅に相当するハイレベルのパルスの幅はクロック信号の10パルス分の幅に設定される。BCAコードのバーとバーとの間隔に相当するローレベルのパルスの幅は、1T当たり、クロック信号の31パルス分の幅に設定される。なお、このパルス列信号は、光ディスクDKの1回転より短い所定長さのパルス列であり、この長さのパルス列の終了時から次のインデックス信号Indexの到来まではローレベルに保たれる。
レーザ駆動回路43は、コントローラ60の指示に応じてレーザ光源31を駆動制御して、レーザ光源31に、BCAコードの記録用のレーザ光を出射させるとともに、BCAコードの再生用及びフォーカス制御用のレーザ光(以下、非記録用のレーザ光という)を出射させる。記録用のレーザ光の出射においては、レーザ駆動回路43は、記録用信号生成回路42からパルス列信号を入力し、光ディスクDKにバーが形成される程度に大きな記録用強度In1を最大強度とするレーザ光であって、前記パルス列信号に対応したレーザ光をレーザ光源31に出射させる。非記録用のレーザ光の出射においては、レーザ駆動回路43は、光ディスクDKにバーが形成されない程度に小さな非記録用強度In2のレーザ光をレーザ光源31に連続的に出射させる。ただし、この非記録用強度In2は、光ディスクへのレーザ光の照射により、後述するBCAコードの再生及びフォーカスサーボ制御の実行のためには十分なレーザ強度である。
また、この光ディスクDKの検査装置は、フォトディテクタ38に接続されてその検出信号Sa,Sbをそれぞれ増幅する信号増幅回路44を備えている。この信号増幅回路44には、フォーカスエラー信号生成回路45及び再生信号生成回路46が接続されている。
フォーカスエラー信号生成回路45は、信号増幅回路44を介したフォトディテクタ38からの検出信号Sa,Sbを用いた演算(具体的には、ナイフエッジ法によるSa−Sbの演算)により、フォーカスエラー信号を生成して、フォーカスサーボ回路47に出力する。フォーカスサーボ回路47は、コントローラ60により作動制御され、フォーカスエラー信号に基づいてフォーカスサーボ信号を生成してドライブ回路48に供給する。ドライブ回路48は、このフォーカスサーボ信号に応じてフォーカスアクチュエータ39を駆動制御して、対物レンズ35をレーザ光の光軸方向に変位させる。これらのフォーカスエラー信号生成回路45、フォーカスサーボ回路47及びドライブ回路48により、対物レンズ35によって集光されたレーザ光は、光ディスクDKにおける記録層に合焦され続ける。なお、前記ナイフエッジ法に限らず、スポットサイズディテクション法(SSD法)などの他のフォーカスエラー信号を用いてフォーカスサーボ制御を行うようにしてもよい。この場合、ナイフエッジ37に代えてビームスプリッタを配置し、ビームスプリッタを透過した光をフォトディテクタ38で受光し、ビームスプリッタで反射した光を別のフォトディテクタで受光する。そして、これらのフォトディテクタを2つの3分割受光素子で構成し、前記2つの3分割受光素子で検出された各受光量を表す検出信号Sa,Sb,Sc,Sd,Se,Sfを用いて、(Sa+Sc−Sb)−(Sd+Sf−Se)の演算によりフォーカスエラー信号を生成するようにすればよい。
再生信号生成回路46は、サム信号生成回路からなり、信号増幅回路44にて増幅された検出信号Sa,Sbを合算して、合算信号Sa+Sbをサム信号として2値化回路51に出力する。なお、前記スポットサイズディテクション法(SSD法)を用いてフォーカスサーボ信号を生成する場合には、全ての検出信号Sa,Sb,Sc,Sd,Se,Sfを合算した合算信号Sa+Sb+Sc+Sd+Se+Sfがサム信号とされる。2値化回路51は、入力されたサム信号を基準レベルと比較して、ハイレベル及びローレベルからなる2値化信号すなわちパルス列信号を生成して復号回路52に出力する。このパルス列信号は、BCAコードのバーの位置がローレベルとなり、BCAコードのバーとバーとの間の位置がハイレベルとなる信号である。復号回路52は、コントローラ60の指示により、供給された2値化信号を復号(デコード)すなわちBCAコードをBCAデータに復号してコントローラ60に供給する。具体的には、復号回路52は、入力されたパルス列信号から、DVDの場合には1T〜4T、Blu-ray Diskの場合には2T〜5Tを表す一連のデータからなるBCAコードを作成する。そして、作成したBCAコードをデータ変換回路41が行う変換(エンコード)とは逆の変換を行い、元のBCAデータに相当するデータにする。
また、再生信号生成回路46から出力されたサム信号は、アナログ/ディジタル変換器(以下、A/D変換器という)53にも供給される。A/D変換器53は、クロック信号発生器を内蔵しており、コントローラ60からの作動開始の指示により、サム信号を所定レートでサンプリングして、同サンプリングした再生信号の瞬時値をA/D変換して、BCA端検出回路54に順次出力する。このA/D変換されたディジタルデータは、前記サンプリング時における再生信号の電圧値を表す。図9は、光ディスクDKに形成されたバーに対応させて、サム信号とサンプリング値(黒丸)とを示す。なお、図9においては、サンプリング間隔を実際よりも広く示している。
BCA端検出回路54は、CPU,ROM,RAMなどからなるマイクロコンピュータを内蔵している。マイクロコンピュータは、コントローラ60からの比較値の設定の指示により図5のプログラムを実行して、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内外端の検出のための比較値を設定する。また、マイクロコンピュータは、コントローラ60からのバースト・カッティング・エリアの内外端(以下、BCA端という)の検出の指示により、図6の瞬時値取込みプログラム及び図7のBCA端検出プログラムを実行してBCA端を検出する。なお、このBCA端検出回路54には、光ディスクDKの基準回転位置を表すインデックス信号Indexもエンコーダ11aから供給されている。
コントローラ60は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどの不揮発性メモリなどからなるコンピュータによって構成されており、キーボード、マウスなどからなる入力装置61からの指示に従って、図2A及び図2Bの半径値計算プログラムを実行することにより、バースト・カッティング・エリアの内外端の半径値を計算する。また、コントローラ60は、図3の回転速度計算プログラムを所定の短時間ごとに繰返し実行して、スピンドルモータ11の回転を制御する。また、コントローラ60は、図4の送り速度計算プログラムも所定の短時間ごとに繰返し実行して、フィードモータ12の回転を制御する。このコントローラ60には、作動指示及び作動状況を作業者に対して視覚的に知らせるための液晶表示器、CRT表示器などの表示装置62も接続されている。
次に、上記のように構成した光ディスクの検査装置の作動について説明する。作業者は、BCAコードを記録するとともに前記記録したBCAコードの記録位置を検査しようとする光ディスクDKをターンテーブル13上に載せて、同光ディスクDKをターンテーブル13上に固定する。そして、図示しない電源スイッチの投入により、コントローラ60を含む各種回路の作動を開始させる。ただし、図1のコントローラ60からの信号を表す矢印が記載されている回路の作動開始及び停止、又は作動態様に関してはコントローラ60の指示に従う。コントローラ60は、まず、フィードモータ制御回路23及び半径値検出回路24に前述した初期設定動作を実行させる。この初期設定動作により、半径値検出回路24によって検出される半径値が初期設定されるとともに、光ディスクDKの半径方向位置が初期位置に設定される。そして、以降、半径値検出回路24は、フィードモータ12の作動に連動して、光スポットSPが照射される半径方向位置を表す半径値を出力し続ける。
次に、作業者は、入力装置61を操作して、コントローラ60に図2A及び図2Bの半径値計算プログラムを実行させる。この半径値計算プログラムの実行はステップS100にて開始され、コントローラ60は、ステップS102にてスピンドルモータ制御回路21にスピンドルモータ11が記録用回転速度で回転するようにスピンドルモータ11の回転開始を指示する。このスピンドルモータ11の回転開始の指示処理に連動して、コントローラ60は、図3の回転速度計算プログラムを所定の短時間ごとに実行し始めて、記録用回転速度の計算及び同計算した回転速度のスピンドルモータ制御回路21への出力を開始し始める。
回転速度計算プログラムの実行はステップS200にて開始され、コントローラ60は、ステップS202にて半径値検出回路24から半径値を入力し、ステップS204にて入力した半径値を用いて光ディスクDKの回転速度を計算する。この回転速度の計算においては、コントローラ60内に予め記憶されている、記録用の光スポットSPの周方向移動速度が用いられる。この周方向移動速度は線速度で表されており、回転速度は下記式1に従って計算される。
回転速度=線速度/(2π・半径値) …式1
この場合、回転速度は、光ディスクDKの単位時間当たりの回転数を表す。前記ステップS204の処理後、コントローラ60は、ステップS206にて前記計算した回転速度をスピンドルモータ制御回路21に出力して、ステップS208にてこの回転速度計算プログラムの実行を終了する。以降、この回転速度計算プログラムの所定の短時間ごとの実行により、スピンドルモータ制御回路21には光スポットSPの半径方向位置に応じて変化する記録用の回転速度が繰返し供給される。
前記図2AのステップS102のスピンドルモータ11の回転開始の指示により、スピンドルモータ制御回路21はスピンドルモータ11の回転を開始させる。この回転開始後、スピンドルモータ制御回路21は、図3の回転速度計算プログラムの実行によってコントローラ60から供給される回転速度を用いて、スピンドルモータ11の回転を制御し始める。これにより、光スポットSPが形成されている半径方向位置が変化しても、光スポットSPは、常に前記予め決められた記録用の線速度で光ディスクDK上を周方向に移動するようになる。
ふたたび、図2Aの説明に戻ると、コントローラ60は、ステップS104にて、コントローラ60内に予め用意されているBCAデータをデータ変換回路41に出力する。データ変換回路41は、入力したBCAデータをBCAコードにエンコードして記録用信号生成回路42に出力する。記録用信号生成回路42は、この出力されたBCAコードを一旦内部のメモリに記憶しておく。
前記ステップS104の処理後、コントローラ60は、ステップS106にて、BCAコードの記録開始半径位置を表す半径値をフィードモータ制御回路23に出力して、光スポットSPが形成される半径方向位置が前記記録開始半径位置になるようにフィードモータ12の回転開始を指示する。フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24から入力される半径値が前記記録開始半径位置を表す半径値に等しくなるまで、フィードモータ12の回転を制御して光ディスクDKを半径方向に移動する。次に、コントローラ60は、ステップS108にて、非記録用のレーザ光の出射開始をレーザ駆動回路43に指示する。レーザ駆動回路43は、非記録用の駆動信号をレーザ光源31に連続的に出力し始めて、非記録用強度In2のレーザ光をレーザ光源31に連続的に出射させる。したがって、光ディスクDKには、非記録用のレーザ光が照射され始める。
次に、コントローラ60は、ステップS110にて、図示しないフォーカスアクチュエータ駆動回路及びS字検出回路からなるフォーカス引き込みのための回路と、フォーカスサーボ回路47とにフォーカスサーボ制御の開始を指示する。このとき、前記非記録用のレーザ光の照射により、フォトディテクタ38は受光量を表す検出信号Sa,Sbを信号増幅回路44を介してフォーカスエラー信号生成回路45に供給している。そして、フォーカスエラー信号生成回路45は、この検出信号Sa,Sbに基いてフォーカスエラー信号を生成してフォーカスサーボ回路47に供給している。コントローラ60からの指示があると、フォーカスサーボ回路47は、フォーカス引き込みの後、このフォーカスエラー信号に基づいて作成したフォーカスサーボ信号を用いて、ドライブ回路48を介してフォーカスアクチュエータ39の駆動制御を開始する。このフォーカスサーボ制御の開始により、非記録用のレーザ光の焦点位置が光ディスクDKの表面に保たれ始める。
前記ステップS110の処理後、コントローラ60は、ステップS112の判定処理により、エンコーダ11aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。そして、インデックス信号Indexを入力した時点で、コントローラ60は、ステップS112にて「Yes」と判定して、ステップS114にて、記録用のレーザ光の出射への切換えをレーザ駆動回路43に指示する。このとき、記録用信号生成回路42は、インデックス信号Indexが入力するごとに、BCAコードを表す一連のパルス列信号をレーザ駆動回路43に供給し続けている。そして、レーザ駆動回路43は、前記記録用のレーザ光の出射への切換え指示により、記録用信号生成回路42から供給されるパルス列信号に対応した記録用の駆動信号をレーザ光源31に出力し始めて、記録用強度In1のレーザ光をレーザ光源31に前記パルス列信号に対応させて出射させる。したがって、光ディスクDKには記録用のレーザ光が照射され始めて、光ディスクDKのBCAコード記録開始半径位置にBCAコードに対応したバーが記録され始める。
次に、コントローラ60は、前記ステップS112と同様なステップS116の判定処理により、エンコーダ11aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。そして、インデックス信号Indexを入力した時点で、コントローラ60は、ステップS116にて「Yes」と判定して、ステップS118にて光スポットSPの半径方向への送り開始、すなわちフィードモータ制御回路23にフィードモータ12の回転開始を指示する。前記ステップS114による記録用レーザ光への切換えからステップS116の判定処理によるインデックス信号Indexの入力を待って、光スポットSPの移動を開始するのは、記録用のレーザ光が光ディスクDKのBCAコード記録開始半径位置に1回転分だけ照射されるようにするためである。
前記光スポットSPの送り開始の指示処理に連動して、コントローラ60は、図4の送り速度計算プログラムを所定の短時間ごとに実行し始めて、BCAコードの記録時おける光スポットSPの半径方向への送り速度の計算及び同計算した送り速度のフィードモータ制御回路23への出力を開始し始める。
送り速度計算プログラムの実行はステップS210にて開始され、コントローラ60は、ステップS212にて前記図3の回転速度計算プログラムの実行により直前に計算されたスピンドルモータ11の回転速度(単位時間当たりの回転数)を用いて光スポットSPの送り速度を計算する。この回転速度の計算においては、コントローラ60内に予め記憶されていて、BCAコードの記録時に光ディスクDKが1回転するごとに光スポットSPの半径方向への送りピッチ(送り長さ)が用いられる。この送り速度は、単位時間当たりの光スポットSPの半径方向への移動距離を表すもので、下記式2に従って計算される。
送り速度=回転速度・送りピッチ …式2
前記ステップS212の処理後、コントローラ60は、ステップS214にて前記計算した送り速度をフィードモータ制御回路23に出力して、ステップS216にてこの送り速度計算プログラムの実行を終了する。以降、この送り速度計算プログラムの所定の短時間ごとの実行により、フィードモータ制御回路23には光スポットSPの半径方向位置に応じて変化する送り速度が繰返し供給される。
前記図2AのステップS118による光スポットSPの半径方向への送り開始の指示により、フィードモータ制御回路23はフィードモータ12の回転を開始させる。この回転開始後、フィードモータ制御回路23は、前述した図4の送り速度計算プログラムの実行によってコントローラ60から供給される送り速度を用いて、フィードモータ12の回転を制御し始める。これにより、光スポットSPが形成されている半径値が変化しても、光スポットSPは、光ディスクDKの1回転当たり同一のピッチで半径方向に移動するようになる。
したがって、記録用のレーザ光がBCAコードの記録開始半径位置から半径方向に移動しながら、BCAコードが光ディスクDK上に記録される。このBCAコードの記録について、図8を用いて説明する。図8においては、右側が光ディスクDKの外側に対応しており、下側が光スポットSPの光ディスクDKに対する回転方向(移動方向)に対応している。また、本実施形態においては、BCAコードの記録開始半径位置はバースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端位置すなわち光ディスクDKの中心に近い側に設定されているとともに、BCAコードの記録終了位置はバースト・カッティング・エリアの外周端位置すなわち光ディスクDKの中心から遠い側に設定されている。そして、前述のように、半径値検出回路24により検出される半径値は長円状の光スポットSPの内側端近傍位置であるので、前記ステップS114〜S118の処理により、BCAコードは、バースト・カッティング・エリアの内周端位置である記録開始半径位置から外側に向かって順次形成されていく。なお、BCAコードの記録開始半径位置をバースト・カッティング・エリアの外周端位置としてもよく、この場合には、BCAコードの記録終了位置はバースト・カッティング・エリアの内周端位置となり、光スポットSPはBCAコードの記録時に光ディスクDKの外側から内側に向かって半径方向に移動する。
ふたたび、図2Aの説明に戻ると、前記ステップS118の処理後、コントローラ60は、ステップS120にて、半径値検出回路24から半径値を取込み続け、取込んだ半径値がBCAコードの記録終了半径位置を表す半径値から所定値Lを減算した値(記録終了半径値−L)以上であるかを判定する。所定値Lは、図8に示すように、光スポットSPの長手方向において、レーザ照射強度が光ディスクDKにバーを形成するのに充分な強度以上である領域の長さ(光スポットSPの長手方向の実効長)である。なお、この長さLに対して、バースト・カッティング・エリア(BCA)の半径方向の幅は、数倍から10数倍程度長い。すなわち、ステップS120の処理は、光ディスクDKの記録終了半径位置にBCAコードが記録され始めたことを検出する判定処理である。
前記ステップS120にて「Yes」と判定されると、コントローラ60は、ステップS122にて、フィードモータ制御回路23に光スポットSPの半径方向への送り停止、すなわちフィードモータ12の回転停止を指示して、フィードモータ12の回転を停止させる。また、このステップS122においては、前記図4の送り速度計算プログラムの実行も停止させて、以降、コントローラ60からフィードモータ制御回路23に送り速度が出力されないようにする。これにより、記録用のレーザ光が光ディスクDKの記録終了半径位置に照射され続けるようになる。
そして、コントローラ60は、ステップS124の判定処理により、エンコーダ11aからのインデックス信号Indexが2回入力されるまで待つ。そして、インデックス信号Indexが2回入力された時点で、コントローラ60は、ステップS124にて「Yes」と判定して、ステップS126,S128の処理を実行する。このステップS124の判定処理は、記録用のレーザ光が光ディスクDKの記録終了半径位置に、光ディスクDKの1回転以上照射されるようにするためである。ステップS126においては、コントローラ60は、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の停止を指示して、前述したフォーカスサーボ制御を停止させる。ステップS128においては、コントローラ60は、レーザ駆動回路43に記録用のレーザ光の出射停止を指示して、レーザ光源31に記録用のレーザ光の出射を停止させる。なお、この状態では、レーザ光源31は非記録用のレーザ光も出射しない。
前記ステップS102〜S128の処理により、光ディスクDKのバースト・カッティング・エリア(BCA)には、光スポットSPの長手方向の長さLよりも広い幅にわたって、BCAコードが記録、すなわちBCAコードに対応したバーが形成される。次に、BCAコードが、前述の処理によって光ディスクDKに正しく記録されたことを検査する検査方法について説明する。
この場合、コントローラ60は、ステップS130にて、BCAコードの記録中心半径位置(BCAコードの記録開始半径位置と記録終了半径位置の中間位置)を表す半径値をフィードモータ制御回路23に出力して、光スポットSPが形成される位置が前記記録中心半径位置になるようにフィードモータ12の回転開始を指示する。フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24から入力される半径値が前記記録中心半径位置を表す半径値に等しくなるまで、フィードモータ12の回転を制御して光ディスクDKを径方向に移動する。
次に、コントローラ60は、ステップS132にて、スピンドルモータ11の回転速度を再生用回転速度に切換える切換え処理を実行する。このスピンドルモータ11の回転速度の切換え処理は、図3の回転速度計算プログラムによるスピンドルモータ11の回転速度の計算において、再生用の回転速度が計算されるようにする処理である。すなわち、コントローラ60は、ステップS202の半径値の入力後のステップS204にて、コントローラ60内に予め記憶されている、再生用の光スポットSPの周方向移動速度(線速度)を用いて、スピンドルモータ11の回転速度を上記式1に従って計算する。なお、この再生用の光スポットSPの周方向移動速度は、前記記録用の光スポットSPの周方向移動速度よりも速い。そして、コントローラ60は、ステップS206にて、前記計算した再生用の回転速度をスピンドルモータ制御回路21に出力する。
以降、この回転速度計算プログラムは所定の短時間ごとに実行されるが、フィードモータ12による半径方向送りが行われていない間は、スピンドルモータ制御回路21には常に一定の回転速度が繰返し供給され、光スポットSPは常に予め決められた再生用の線速度で光ディスクDKの周方向に移動する。後述するバースト・カッティング・エリア(BCA)の半径方向端の検出においてはフィードモータ12による半径方向送りが行われるので、このときはスピンドルモータ制御回路21には光スポットSPの半径方向位置に応じて変化する再生用の回転速度が繰返し供給され、光スポットSPは形成されている半径方向位置が変化しても常に予め決められた再生用の線速度で光ディスクDK上を周方向に移動する。
前記ステップS132の処理後、コントローラ60は、前記図2AのステップS108,S110と同様なステップS134,S136の処理により、レーザ光源31による非記録用のレーザ光の出射を開始させるとともに、フォーカスサーボ回路47によるフォーカスサーボ制御を開始させる。
次に、コントローラ60は、ステップS138にて、復号回路52にその作動開始を指示する。これにより、復号回路52は、作動を開始して、2値化回路51から供給されたパルス列信号からBCAコードを作成し、作成したBCAコードを復号(デコード)すなわちBCAコードをBCAデータに変換して、復号回路52に内蔵のメモリにBCAデータを記憶する。前記ステップS138の処理後、コントローラ60は、ステップS140にてBCA端検出回路54に比較値の設定動作の開始を指示し、ステップS142にてA/D変換器53にその作動開始を指示する。これにより、A/D変換器53は、作動を開始して、再生信号生成回路46からのサム信号を所定レートでサンプリングして、同サンプリングした再生信号の瞬時値をA/D変換して、BCA端検出回路54に順次出力する。
一方、BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、前記比較値の設定動作の開始の指示により、図5の比較値設定プログラムを実行する。この比較値設定プログラムの実行はステップS300にて開始され、マイクロコンピュータは、ステップS302の判定処理により、エンコーダ11aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。そして、インデックス信号Indexを入力した時点で、コントローラ60は、ステップS302にて「Yes」と判定して、ステップS304にてA/D変換器53によりA/D変換されたデータすなわちサム信号の瞬時値データの取込みを開始する。取込んだデータは、BCA端検出回路54に内蔵のメモリに順次記憶される。前記ステップS304の処理後、マイクロコンピュータは、前記ステップS302と同様なステップS306の判定処理により、エンコーダ11aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。そして、インデックス信号Indexを入力した時点で、コントローラ60は、ステップS306にて「Yes」と判定して、ステップS308にてA/D変換器53からのデータの取込みを停止する。これにより、BCA端検出回路54のメモリ内には、光ディスクDKの1回転分に相当する、前記A/D変換されたサム信号の瞬時値データが記憶される。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS310にて光ディスクDKの1回転分の瞬時値データの度数分布を導出する。この場合、瞬時値データは、バースト・カッティング・エリア(BCA)に形成されたバーとバーとの間の高反射率部分の瞬時値(サンプリング値)を表すデータと、バーからなる低反射率部分の瞬時値(サンプリング値)を表すデータとからなる。したがって、前記度数分布においては、図10に示すように、前記バーとバーとの間の高反射率部分に対応した第1度数分布G1と、前記バーからなる低反射率部分に対応した第2度数分布G2とが、大きな度数を有する分布として現れる。ステップS310においては、前記第1及び第2度数分布G1,G2における最大度数の瞬時値を抽出して、それぞれバー間の高反射率部分の瞬時値X1及びバーからなる低反射率部分の瞬時値X2とする。なお、前記方法に代えて、前記第1及び第2度数分布G1,G2において、所定範囲内(例えば、2σ)にある瞬時値の平均値をそれぞれ前記瞬時値X1,X2としてもよい。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS312にて、前記瞬時値X1,X2の平均値(X1+X2)/2を計算して、この計算した平均値を比較値KとしてBCA端検出回路54の内蔵のメモリに記憶する。この比較値Kは、光スポットSPの長手方向の中央位置がバーからなる低反射率部分の端部上にある際の瞬時値(サンプリング値)に等しい。図11の実線で示す光スポットSPは、光スポットSPの長手方向の中央位置がバースト・カッティング・エリアの内周端位置にある状態を示している。なお、この中央位置が、バースト・カッティング・エリアの半径方向端を検出するための、本発明の光スポットSP内の特定点に対応する。前記ステップS312の比較値Kの設定後、マイクロコンピュータはステップS314にて比較値設定プログラムの実行を終了する。
ふたたび図2Bの説明に戻ると、ステップS142の処理後、コントローラ60は、ステップS144にインデックス信号Indexが3回入力されるまで待つ。インデックス信号Indexが3回入力されると、コントローラ60は、ステップS144にて「Yes」と判定して、ステップS146にて復号回路52から復号(デコード)されたBCAデータを入力する。前記ステップS144によるインデックス信号Indexの3回待ち処理は、前記ステップS138〜S142の指示処理後に光ディスクDKの少なくとも2回転を待って、BCA端検出回路54による比較値Kの設定処理及び復号回路52によるBCAコードの復号処理の終了を待つためである。
前記ステップS146によるBCAデータの入力後、コントローラ60は、ステップS148にて、予め記憶されていて前記図2AのステップS104の処理によりデータ変換回路41に出力されたBCAデータと、前記ステップS146の処理により復号回路52から入力したBCAデータとを比較して、比較結果を表示装置62に表示する。これにより、作業者は、バースト・カッティング・エリア(BCA)にBCAコードが正しく記録された否かを確認できる。前記ステップS148の処理後、コントローラ60は、ステップS150にて、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の停止を指示して、フォーカスサーボ制御を停止させる。
次に、コントローラ60は、ステップS152にて、BCAコードの記録開始半径位置よりも所定距離Aだけ内側の半径値をフィードモータ制御回路23に出力して、光スポットSPが形成される半径方向位置が前記半径値によって示された半径位置になるようにフィードモータ12の回転開始を指示する。フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24から入力される半径値が前記コントローラから入力された半径値に等しくなるまで、フィードモータ12の回転を制御して光ディスクDKを半径方向に移動する。これにより、光ディスクDKの前記BCAコードの記録開始半径位置よりも所定距離Aだけ内側の半径位置に、非記録用のレーザ光が照射され始める。この場合、半径値検出回路24で検出される半径値は光スポットSPの内側端近傍位置の半径位置を表しているので、光スポットSPの長手方向の中央位置は、前記記録開始半径位置よりも距離A−L/2だけ内側の位置となる(図11の破線参照)。なお、前記所定距離Aは、光スポットSPの長手方向の長さLに等しい又は前記長さLよりも若干大きな値である。
次に、コントローラ60は、ステップS154にて、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の開始を指示して、フォーカスサーボ制御を開始させる。前記ステップS154の処理後、コントローラ60は、ステップS156にて、BCA端検出回路54にバースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端の検出動作の開始を指示する。これにより、BCA端検出回路54は、図6の瞬時値取込みプログラム及び図7のBCA端検出プログラムの実行を開始し始める。次に、コントローラ60は、ステップS158にて、光スポットSPを半径方向外側へ低速移動させるためのフィードモータ12の回転開始をフィードモータ制御回路23に指示する。そして、コントローラ60は、ステップS160の判定処理により、BCA端検出回路54からのバースト・カッティング・エリアの内周端の検出信号の入力を待つ。
前記フィードモータ12の回転開始の指示処理に連動して、コントローラ60は、図4の送り速度計算プログラムの所定の短時間ごとの実行を再開する。この場合、ステップS212の送り速度の計算においては、コントローラ60内に予め記憶されている、BCAコードの半径方向端の検出時における光ディスクDKの1回転当たりの光スポットSPの半径方向への送りピッチ(送り長さ)が用いられる。そして、このBCAコードの半径方向端の検出用送り速度は、この送りピッチを用いて上記式2に従って計算される。なお、この送りピッチは、前記BCAコードの記録時の送りピッチよりも小さく、BCAコードの半径方向端の検出用送り速度は前記BCAコードの記録用送り速度よりも遅い。そして、コントローラ60は、ステップS214にて、前記計算した検出用送り速度をフィードモータ制御回路23に出力する。
以降、この送り速度計算プログラムの所定の短時間ごとの実行により、フィードモータ制御回路23には光スポットSPの半径方向位置に応じて変化する検出用送り速度が繰返し供給される。そして、フィードモータ制御回路23はフィードモータ12を前記繰返し供給される検出用送り速度で回転制御する。これにより、光スポットSPが形成されている半径値が変化しても、光スポットSPは、常に前記予め決められた検出用送りピッチで光ディスクDK上を半径方向外側に移動するようになる。
前記図6の瞬時値取込みプログラムの実行は、ステップS320にて開始され、BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、ステップS322にて、サム信号の瞬時値(サンプリング値)を表すデータを所定数ずつ記憶するための記憶領域であって、BCA端検出回路54に内蔵のメモリの記憶領域を指定するための変数mを初期値「1」に設定する。次に、マイクロコンピュータは、ステップS324にて、A/D変換器53からサム信号の瞬時値を表すデータの取込みを開始する。そして、取込んだデータは、変数mによって指定される記憶領域に順次記憶される。
前記ステップS324の処理後、マイクロコンピュータは、ステップS326にて変数mによって指定される記憶領域に記憶されているデータ数(m)が所定数以上になったかを判定する。なお、この所定数は、光ディスクDKが1/4〜1回転する間にA/D変換器53から出力されるデータ数に設定されている。データ数(m)が所定数以上でなければ、マイクロコンピュータは、ステップS326にて「No」と判定し、ステップS328にてバースト・カッティング・エリア(BCA)の半径方向端が検出されたか否かを判定する。このバースト・カッティング・エリア(BCA)の半径方向端の検出は、図7のBCA端検出プログラムによって行われる。バースト・カッティング・エリアの半径方向端が検出されない状態では、マイクロコンピュータは、ステップS328にて「No」と判定して、ステップS326の判定処理に戻る。そして、マイクロコンピュータは、ステップS326,S328からなる循環処理を繰返し実行する。
この循環処理中、データ数(m)が所定数以上になると、マイクロコンピュータは、ステップS326にて「Yes」と判定し、ステップS330にて変数mに「1」を加算して、ステップS332にて変数mによって指定されるデータの記憶領域を変更する。このようなステップS326〜S332の循環処理により、変数m(1,2,3・・)によって順次指定される記憶領域に、所定数ずつサム信号の瞬時値(サンプリング値)を表すデータが順次記憶される。
この図6の瞬時値取込みプログラムの実行と並行して、図7のBCA端検出プログラムの実行もステップS340にて開始されている。この実行開始後、BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、ステップS342にて、バースト・カッティング・エリア(BCA)の半径方向端の検出処理のために前記記憶領域を指定する変数nを初期値「1」に設定して、ステップS344以降の処理を実行する。ステップS344においては、マイクロコンピュータは、変数nによって指定されるn番目記憶領域に前記所定数のデータが記憶されているかを判定する。n番目記憶領域に前記所定数のデータが記憶されていなければ、マイクロコンピュータは、ステップS344の判定処理を続ける。
一方、n番目記憶領域に前記所定数のデータが記憶されていれば、マイクロコンピュータは、ステップS344にて「Yes」と判定し、ステップS346の処理を実行する。ステップS346においては、前記図5のステップS310の処理同様に、まず、n番目記憶領域に記憶されている瞬時値データの度数分布を導出する。この場合、図10に示すように、バーからなる低反射率部分に対応した第2度数分布G2における最大度数の瞬時値を抽出して、瞬時値Xとして設定する。なお、この場合も、前記第2度数分布G2において、所定範囲内(例えば、2σ)にある瞬時値の平均値をそれぞれ前記瞬時値Xとしてもよい。
次に、マイクロコンピュータは、ステップS348にて、前記瞬時値Xが図5の比較値設定プログラムによって設定された比較値K以下であるかを判定する。この場合、光スポットSPは、前記図2BのステップS152の処理により、最初、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端よりも内側の図11の破線で示す位置にある。そして、光スポットSPはバースト・カッティング・エリア外の高反射率部分にあるので、第2度数分布G2は前記第1度数分布G1にほぼ重なっている。したがって、この場合の前記瞬時値Xは比較値Kよりも大きく、マイクロコンピュータは、ステップS348にて「No」と判定し、ステップS350にて変数nに「1」を加算して、前述したステップS344〜S348からなる処理を実行する。
前記ステップS344〜S350からなる循環処理中、前記図2BのステップS158の半径方向移動開始の指示により、フィードモータ制御回路23がフィードモータ12を回転制御して、光スポットSPを光ディスクDKの外側方向へ徐々に移動させる。したがって、第2度数分布G2は、図10の実線で示す第1度数分布G1から第2度数分布G2に向かって移動する。そして、光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)が図11に実線で示すバーの内周端位置まで来ると、バーからなる低反射率部分の瞬時値データは第1及び第2度数分布G1,G2における最大度数の平均値(X1+X2)/2すなわち比較値Kに等しくなる。
このとき、マイクロコンピュータは、ステップS348にて「Yes」すなわち瞬時値Xは比較値K以下であると判定して、ステップS352にて、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端を検出したことを表す検出信号を、コントローラ60に供給する。そして、マイクロコンピュータは、ステップS354にて、BCA端検出プログラムの実行を終了する。また、マイクロコンピュータは、図6の瞬時値取込みプログラムのステップS328にて「Yes」と判定して、ステップS334にてA/D変換器53からの瞬時値データの取込みを終了するとともに、BCA端検出回路54の内蔵のメモリに記憶した瞬時値データをクリアする。その後、マイクロコンピュータは、ステップS336にて、この瞬時値取込みプログラムの実行も終了する。
ふたたび図2Bの説明に戻ると、コントローラ60は、前記BCA端検出回路54からの検出信号に応答して、ステップS160にて、「Yes」すなわちバースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端が検出されたとして、ステップS162に進む。ステップS162においては、コントローラ60は、半径値検出回路24から現在の検出半径値Rを取込んで、バースト・カッティング・エリアの内周端の半径値Riを計算する。この場合、検出半径値Rは、長円状の光スポットSPの内側端近傍位置(半径値検出点)が位置する光ディスクDKの半径を示しており、かつ光スポットSPの長手方向の長さ(実効長)はLであるので、バースト・カッティング・エリアの内周端の半径値Riは下記式3の演算の実行により計算される。
Ri=R+L/2 …式3
前記ステップS162の処理後、マイクロコンピュータは、ステップS164にて、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の停止を指示してフォーカスサーボ制御を停止させるとともに、フィードモータ制御回路23に低速の半径方向送りの停止を指示してフィードモータ12の回転を停止させる。この場合も、前記図4の送り速度計算プログラムの実行も停止する。
次に、コントローラ60は、ステップS166にて、BCAコードの記録終了半径位置よりも所定距離A−Lだけ外側の半径値をフィードモータ制御回路23に出力して、光スポットSPが形成される位置が前記半径値によって示された半径方向位置になるようにフィードモータ12の回転開始を指示する。フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24から入力される半径値が前記コントローラから入力された半径値に等しくなるまで、フィードモータ12の回転を制御して光ディスクDKを径方向に移動する。これにより、光スポットSPの内側端は光ディスクDKの前記BCAコードの記録終了半径位置よりも所定距離A−Lだけ外側の半径方向位置に位置して、同半径方向位置に非記録用のレーザ光が照射され始める。この場合、所定距離Aは前記ステップS152で用いた値であり、長さLは光スポットSPの長手方向の長さであり、半径値検出回路24で検出される半径値は光スポットSPの内側端近傍位置の半径位置を表しているので、光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)は、前記記録終了半径位置よりも距離A−L/2だけ外側位置となる。なお、前述のとおり、所定距離Aは、光スポットSPの長手方向の長さLに等しい又は前記長さLよりも若干大きな値である。
次に、コントローラ60は、ステップS168にて、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の開始を指示して、フォーカスサーボ制御を開始させる。前記ステップS168の処理後、コントローラ60は、ステップS170にて、BCA端検出回路54にバースト・カッティング・エリア(BCA)の外周端の検出動作の開始を指示する。これにより、BCA端検出回路54は、図6の瞬時値取込みプログラム及び図7のBCA端検出プログラムの実行を開始し始める。次に、コントローラ60は、ステップS172にて、光スポットSPを前記ステップS158の処理とは逆方向である光ディスクDKの内側方向へ低速移動させるためのフィードモータ12の回転開始をフィードモータ制御回路23に指示する。そして、コントローラ60は、ステップS174の判定処理により、BCA端検出回路54からのバースト・カッティング・エリアの外周端の検出信号の入力を待つ。
前記フィードモータ12の回転開始の指示処理に連動して、コントローラ60は、図4の送り速度計算プログラムの所定の短時間ごとの実行を再開する。この場合も、コントローラ60は、前記ステップS158の処理時と同様に、BCAコードの端の検出用送り速度を計算して、前記計算した検出用送り速度をフィードモータ制御回路23に所定の短時間ごとに出力する。したがって、フィードモータ制御回路23はフィードモータ12を検出用送り速度で回転制御する。ただし、この場合のフィードモータ12の回転方向は、前記ステップS158の処理時の場合とは逆方向である。これにより、光スポットSPが形成されている半径方向位置が変化しても、光スポットSPは、常に前記予め決められた検出用送りピッチで光ディスクDK上を半径方向内側に移動するようになる。
BCA端検出回路54によって実行される図6の瞬時値取込みプログラム及び図7のBCA端検出プログラムの処理内容は、前記ステップS156の指示による場合と全く同じである。ただし、この場合には、光スポットSPは、前記図2BのステップS166の処理により、最初、バースト・カッティング・エリア(BCA)の外周端よりも外側位置にあり、光スポットSPはバースト・カッティング・エリア外の高反射率部分にある。そして、ステップS172の半径方向移動開始の指示により、フィードモータ制御回路23がフィードモータ12を回転制御して、光スポットSPを光ディスクDKの内側方向へ徐々に移動させると、光スポットSPはバースト・カッティング・エリアに近づいて来る。したがって、この場合も、バーに対応した低反射率部分の瞬時値データ(サンプリング値データ)に関する第2度数分布G2は、図10の実線で示す第1度数分布G1から第2度数分布G2に向かって移動する。そして、光スポットSPの長手方向の中央位置がバーの外周端位置まで来ると、バーからなる低反射率部分の瞬時値データは第1及び第2度数分布G1,G2における最大度数の平均値(X1+X2)/2すなわち比較値Kに等しくなる。したがって、BCA端検出回路54は、前記ステップS156の指示処理の場合と同様にして、バースト・カッティング・エリア(BCA)の外周端を検出する。
この外終端の検出に応答して、コントローラ60は、ステップS174にて「Yes」と判定して、ステップS176にて半径値検出回路24から現在の検出半径値Rを取込んで、バースト・カッティング・エリアの外周端の半径値Roを計算する。この場合も、検出半径値Rは長円状の光スポットSPの内側端近傍位置(半径値検出点)が位置する光ディスクDKの半径を示しており、かつ光スポットSPの長手方向の長さはLであるので(図8参照)、バースト・カッティング・エリアの外周端の半径値Roは、内終端の半径値Riと同様に、下記式4の演算の実行により計算される。
Ro=R+L/2 …式4
次に、コントローラは、ステップS178にて、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端の半径値Ri,Roを表示装置32に表示する。また、このステップS178においては、これらの半径値Ri,Roが予め決められて内蔵のメモリに記録されているBCAコードの記録開始半径位置及び記録終了半径位置から所定範囲(例えば、DVDであれば60μm)以内であるかの合否を判定して、判定結果も表示装置32に表示する。これにより、作業者は、BCAコードが正しい半径方向位置に記録されているかを確認できる。
前記ステップS178の処理後、コントローラ60は、ステップS180にて、復号回路52に作動停止を指示して復号回路52による復号動作を停止させ、A/D変換器53に作動停止を指示してA/D変換器53によるA/D変換動作を停止させ、かつフィードモータ制御回路23に光スポットSPの低速の半径方向送りの停止を指示してフィードモータ12の回転を停止させる。前記ステップS180の処理後、コントローラ60は、ステップS182にて、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の停止を指示してフォーカスサーボ制御を停止させ、レーザ駆動回路43にレーザ光源31の駆動制御の停止を指示してレーザ光源31によるレーザ光の出射を停止させ、かつスピンドルモータ制御回路21にスピンドルモータ11の回転停止を指示してスピンドルモータ11の回転を停止させる。そして、コントローラ60は、ステップS184にて、半径値計算プログラムの実行を終了する。
上述のように上記実施形態においては、レーザ光の照射位置が、記録されたBCAコードの内周端及び外周端から外れた初期半径方向位置からBCAコードの内周端及び外周端である半径方向位置に向かって、光ディスクDKの半径方向にそれぞれ移動される。そして、このレーザ光の照射位置を移動させている状態で、BCAコードのバー部分に関する瞬時値が抽出され、前記抽出された瞬時値がBCAコードの半径方向端を示す設定値(比較値K)になった時点で、BCAコードの内周端及び外周端の半径値がそれぞれ計算される。これにより、上記実施形態によれば、BCAコードの内周端及び外周端の半径値を短時間で精度よく測定でき、BCAコードが正しい半径方向位置に記録されているか否かを検査することができる。また、上記実施形態においては、瞬時値が所定数になるごとに、瞬時値の分布に基づいて光ディスクのBCAコードのバー部分に関する瞬時値が決定される。しがって、レーザ光の反射光に基づく信号の瞬時値が変動しても、BCAコードの内周端及び外周端が精度よく検出される。
また、上記実施形態においては、BCAコードの記録位置の検査の前に、BCAコードを記録するようにした。これにより、1台の装置でBCAコードの記録と、BCAコードが記録された半径方向位置の検査を行うことができる。また、BCAコードが正しい半径方向位置に記録されなかった光ディスクを廃棄しても、次の光ディスクに同じBCAコードを記録すればよいので、BCAデータに欠番が生じることがなくなる。
以上、本発明の一実施形態について詳しく説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
例えば、上記実施形態では、BCAコードを光ディスクDKに記録した後、BCAコードが正しく記録されたか否かの検査と、BCAコードの記録半径位置の検査を行うようにした。しかし、これに代えて、BCAコードが既に記録済みの光ディスクDKについて、BCAコードが正しく記録されているか否かの検査と、BCAコードの記録半径位置の検査を行うようにしてもよい。この場合、作業者は検査しようとする光ディスクDKをターンテーブル13上にセットした後、入力装置61を操作してコントローラ60に検査開始を指示する。この場合、コントローラ60は、図2Bに示すステップS130〜S182の処理を実行する。これにより、BCAコードが既に記録済みの光ディスクDKについて、BCAコードが正しく記録されているか否かの検査と、BCAコードの記録半径位置の検査とが実行される。また、BCAコードの記録半径位置の検査のみを希望する場合には、作業者は、ステップS138,S146,S148の処理を除くステップS130〜S182の処理をコントローラ60に実行させればよい。
また、上記実施形態では、BCAコードを光ディスクDKに記録した後、光ディスクDKをターンテーブル13にセットしたまま、BCAコードが正しく記録されたか否かの検査と、BCAコードの記録半径位置の検査を行うようにした。しかし、これに代えて、光ディスクDKのターンテーブル13へのセット及び取外しを自動で行う光ディスクDKの着脱機構を備えている場合には、BCAコードを光ディスクDKに記録した後、光ディスクDKをターンテーブル13から一旦取外し、その後に、光ディスクDKをターンテーブル13に再度セットし直して、BCAコードが正しく記録されたか否かの検査及び/又はBCAコードの記録半径位置の検査を行うようにしてもよい。これによれば、光ディスクDKが正しくセットすなわちクランプされていなかったことにより、BCAコードが正しい記録半径位置に記録されなかった場合でも、光ディスクDKの不合格を検出することができる。
前記のように光ディスクDKの不合格が検出される場合としては、BCAコードの記録の際には光ディスクDKが正しくクランプされ、BCAコードの記録半径位置の検査の際に光ディスクDKが正しくクランプされなかった場合もある。このため、BCAコードの記録半径位置の検査で光ディスクDKが不合格となった場合には、光ディスクDKをターンテーブル13から再度取外した後、ふたたびターンテーブル13にセットして、BCAコードの記録半径位置の検査を行うようにするとよい。そして、2回の検査のうちのどちらか一方の検査で合格が判定された場合には、光ディスクDKが連続して正しくクランプされない可能性が極めて低いため、この光ディスクDKに関しては合格とするとよい。
また、上記実施形態では、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端の半径値を検出する際には、光スポットSPを半径方向に所定速度で移動させ、瞬時値Xが比較値K以下になる半径値を検出するようにした。しかし、前記のように、BCAコードの記録済みの光ディスクDKのバースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端の半径値を検出する場合には、BCAコードの記録時の光ディスクDK(バースト・カッティング・エリア)の回転中心と、バースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端の半径値検出時の回転中心がずれている場合がある。すなわち、前記光ディスクDK(バースト・カッティング・エリア)の回転中心が偏心していることがある。この場合には、バースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端の半径値を検出する際に、同一の半径方向位置であっても、再生信号の瞬時値が光ディスクDKの1回転の間に変動するので、前記内周端及び外周端の半径値の検出精度が悪化する。
この検出精度の悪化を改善するためには、次の変形例が提案される。この変形例に係る光ディスクの検査装置のハード構成は、図1に示す上記実施形態のハード構成と同じである。ただし、BCA端検出回路54は、コントローラ60による指示によって、実行開始及び実行停止が制御される図13の瞬時値取込みプログラム及び図14の瞬時値出力プログラムを実行する。また、コントローラ60は、図3の回転速度計算プログラム、図4の送り速度計算プログラム及び図12A〜図12Cの半径値計算プログラムを実行する。
この変形例においても、作業者は、上記実施形態の場合と同様に、BCAコードを記録済みの光ディスクDKをターンテーブル13上に載せて、同光ディスクDKをターンテーブル13上に固定して、コントローラ60を含む各種回路の作動を開始させる。そして、作業者は、入力装置61を操作して、コントローラ60に図12A〜図12Cの半径値計算プログラムを実行させる。以下、この変形例の上記実施形態とは異なる動作についてのみ説明し、同一部分に関する説明は省略する。
コントローラ60は、この半径値計算プログラムの実行を図12AのステップS400にて開始し、ステップS402にて、上記図2BのステップS132の処理と同様にして、スピンドルモータ11の回転速度を非記録用回転速度に設定する。ただし、この場合、前記ステップS132の場合とは、スピンドルモータ11を回転開始させる点で相違する。次に、コントローラ60は、上記図2BのステップS130,S134,S136,S142と同様なステップS404〜S410の処理により、光スポットSPが形成される位置をBCAコードの記録中心半径位置に移動し、レーザ光源31に非記録用レーザ光を出射させ、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御を開始させ、A/D変換器53にA/D変換動作を開始させる。
次に、コントローラ60は、ステップS412にてエンコーダ11aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。インデックス信号Index信号が入力されると、コントローラ60は、ステップS412にて「Yes」と判定して、ステップS414にて、BCA端検出回路54に作動開始を指示するとともに、BCA端検出回路54から出力される瞬時値X1,X2の入力を開始する。
BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、前記作動開始の指示により、図13の瞬時値取込みプログラム及び図14の瞬時値出力プログラムの実行を開始する。図13の瞬時値取込みプログラムのステップS500〜S516は、上記図6のステップS320〜S336にそれぞれ対応するもので、次の2点で相違する。第1の相違点は、ステップS506の所定数に関する。すなわち、上記図6のステップS326における所定数は、光スポットSPが光ディスクDK上を1/4〜1回転する間にA/D変換器53から出力されるデータ数である。これに対して、ステップS506の所定数は、光スポットSPが光ディスクDK上を回転角にして1〜5度程度回転する間にA/D変換器53から出力されるデータ数であり、前記ステップS326の所定数に比べて小さい。これにより、変数m(1,2,3・・)によりそれぞれ指定される各記憶領域に記憶されるデータ数(瞬時値数)は、上記実施例に比べて少なくなる。第2の相違点は、瞬時値取込みプログラムの終了条件に関する。すなわち、上記図6のステップS328の判定処理はバースト・カッティング・エリアの半径方向端(BCA端)の検出の有無を判定して、検出時に、ステップS334を介してステップS336にて瞬時値取込みプログラムの実行を終了する。これに対して、ステップS508の判定処理は、コントローラ60からの停止指令の有無を判定して、停止指令時に、ステップS514を介してステップS516にて瞬時値取込みプログラムの実行を終了する。
図14の瞬時値出力プログラムは、ステップS520にてその実行が開始される。そして、BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、上記図7のステップS342,S344,S350の処理と同様な、ステップS522,S524,S530の処理により、変数nにより指定される記憶領域ごとに、ステップS526,S528の処理を実行する。ステップS526においては、n番目記憶領域に記憶されている瞬時値データの度数分布を導出する。そして、大きな度数分布を有する第1及び第2度数分布G1,G2における最大度数の瞬時値X1,X2(図10参照)を抽出する。なお、この場合も、前記第1及び第2度数分布G1,G2において、所定範囲内(例えば、2σ)にある瞬時値の平均値をそれぞれ前記瞬時値X1,X2としてもよい。そして、マイクロコンピュータは、ステップS528にて前記計算した瞬時値X1,X2をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、前記図12AのステップS414による瞬時値X1,X2の入力開始の処理により、このBCA端検出回路54から出力される瞬時値X1,X2を順次入力して記憶する。また、BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、前記瞬時値取込みプログラムと同様に、コントローラ60からの停止指令が入力されるまで、ステップS524〜S532からなる循環処理を繰返し実行し、前記停止指令が入力された時点で、ステップS534にて瞬時値出力プログラムの実行を終了する。
ふたたび図12Aの説明に戻ると、前記ステップS414の処理後、コントローラ60は、ステップS416にてエンコーダ11aからのインデックス信号Indexの入力を待つ。インデックス信号Index信号が入力されると、コントローラ60は、ステップS416にて「Yes」と判定して、ステップS418にて、BCA端検出回路54に作動停止を指示するとともに、BCA端検出回路54から出力される瞬時値X1,X2の入力を停止する。これにより、BCA端検出回路54内のマイクロコンピュータは、前述のように、図13の瞬時値取込みプログラム及び図14の瞬時値出力プログラムの実行を停止する。また、前記瞬時値X1,X2の入力停止により、コントローラ60内には、光ディスクDK(すなわち光スポットSP)の1回転分の瞬時値X1,X2(所定の回転角領域ごとの複数の瞬時値X1,X2)が記憶される。
次に、コントローラ60は、ステップS420にて、前記変数nによって指定される記憶領域(回転角領域に対応)ごとに瞬時値X1,X2の中間値(X1+X2)/2をそれぞれ計算する。ただし、バースト・カッティング・エリアのバーは光ディスクDKの1回転分はなく、このバーのない部分に関しては前記中間値(X1+X2)/2は計算されない。さらに、コントローラ60は、前記計算した記憶領域ごとの中間値(X1+X2)/2の平均値を計算して、計算した平均値を比較値Kとして設定する。上記実施形態では、比較値Kは光ディスクDKの1回転分の瞬時値X1,X2の中間値(X1+X2)/2であったのに対して、この場合の比較値Kは、光ディスクDKの1回転を複数領域に分割した分割領域ごとの中間値(X1+X2)/2の平均値である。前記ステップS420の処理後、コントローラ60は、ステップS422にて上記図2BのステップS150と同様なステップS422の処理により、フォーカスサーボ回路47によるフォーカスサーボ制御を停止する。
次に、コントローラ60は、ステップS424にて、上記図2BのステップS152の処理と同様にして、光スポットSPをBCAコードの記録開始半径位置よりも所定距離Aだけ内側の半径方向位置に移動する。この内側の半径方向位置の半径値は、「記録開始半径位置−所定値A」により表される。前記ステップS424の処理後、コントローラ60は、ステップS426にてフォーカスサーボ回路47によるフォーカスサーボ制御を開始させ、ステップS428にて光スポットSPを半径方向外側に微小量ずつ移動させるための変数iを「0」に初期設定する。
次に、コントローラ60は、前記ステップS412〜S418と同様なステップS430〜S436の処理により、前記半径方向位置における光スポットSPの1回転分の最大度数の瞬時値X1、X2を取得する。ただし、この場合には、後述の処理に利用する瞬時値X2のみを取得してもよい。そして、コントローラ60は、ステップS438にて、前記1回転分の第2度数分布G2における最大度数の瞬時値X2の極大値及び極小値を導出し、導出した極大値と極小値の中間瞬時値Yを計算する。中間瞬時値Yを計算する理由は、バースト・カッティング・エリア(BCA)の回転中心が偏心していることによる、再生信号の瞬時値の変動を是正するためである。すなわち、BCAコードが偏心して記録されている場合には、BCAコードと重なる光スポットSPの部分の極大値及び極小値は、光ディスクDKが1回転する間において、偏心の影響を最大に受ける180度離れた周方向位置の瞬時値に対応している。したがって、前記中間瞬時値Yの計算が前記偏心を是正する。
しかし、BCAコードは、バースト・カッティング・エリア(BCA)の全周にわたって記録されているものではなく、全周の一部にしか記憶されていない。すなわち、図15(a)〜(c)に示すように、最大度数の瞬時値X2の計算が不能である区間(計算不能区間)が存在する場合がある。最大度数の瞬時値X2の周方向の分布曲線が、図15(a)に示すように、極大値及び極小値の両者を含む場合には、コントローラ60は、前記分布曲線に基づいて極大値A及び極小値Bを求め、求めた極大値A及び極小値Bの平均値(A+B)/2を中間瞬時値Yとして計算する。
最大度数の瞬時値X2の周方向の分布曲線が、図15(b)に示すように、極大値A及び極小値Bの一方のみを含む場合には、コントローラ60は、前記分布曲線に基づく前記極大値A及び極小値Bの一方の値に対応したデータ番号から、光ディスクDKの1回転分の瞬時値Xの全データ数(瞬時値の計算不能区間も含む)の4分の1だけ離れたデータ番号に対応した瞬時値X2を中間瞬時値Yとする。これは、前記全データ数の4分の1だけ離れたデータ番号に対応した瞬時値X2は、前記極大値A又は極小値Bに対応した周方向位置から周方向にπ/2だけずれた周方向位置の瞬時値を示すもので、バースト・カッティング・エリアが偏心している場合における前記極大値A及び極小値Bの中間瞬時値に対応するからである。
また、最大度数の瞬時値Xの周方向の分布曲線が、図15(c)に示すように、極大値A及び極小値Bの両方とも含まない場合には、コントローラ60は、前記分布曲線を正弦関数、2次関数、3次関数などを用いた補間演算により、極大値A又は極小値Bを推定演算する。そして、前記場合のように、この推定演算した極大値A又は極小値Bに対応したデータ番号から、光ディスクDKの1回転分の瞬時値X2の全データ数(瞬時値の計算不能区間も含む)の4分の1だけ離れたデータ番号に対応した瞬時値X2を中間瞬時値Yとする。
次に、コントローラ60は、ステップS440にて、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)であるか、すなわち光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)が記録されたBCAコードの内周端位置に対応しているかを判定する。光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)が記録されたBCAコードの内周端位置に達していない場合には、コントローラ60は、ステップS440にて「No」と判定して、ステップS442に進む。
コントローラ60は、ステップS442にて変数iに「1」を加算し、ステップS444にて、前記初期の光スポットSPの半径方向位置を表す半径値(記録開始半径位置−A)にi・roを加算することにより、光スポットSPの移動半径方向位置を表す半径値(記録開始半径位置−A)+i・roを計算する。この場合、roは予め決められた微小値である。そして、コントローラ60は、前記ステップS444にてフィードモータ制御回路23に半径値(記録開始半径位置−A)+i・roを出力するとともに、光スポットSPの移動を指示する。フィードモータ制御回路23は、半径値検出回路24からの半径値を用いてフィードモータ12の回転を制御して、光スポットSPを前記半径値(記録開始半径位置−A)+i・roにより表された半径方向位置に移動する。この光スポットSPの移動位置は、前記半径値(記録開始半径位置−A)により表された半径方向位置よりも値i・roだけ外側の半径方向位置である。
前記ステップS444の処理後、コントローラ60は、ステップS430に戻り、前述したステップS430〜S438の処理を実行して前記光スポットSPの移動半径方向位置における中間瞬時値Yを計算して、ステップS440の前述した判定処理を実行する。そして、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)になるまで、ステップS430〜S444からなる循環処理を実行し続ける。この循環処理により、変数iを「1」ずつ増加させながら、光スポットSPは、前記半径値(記録開始半径位置−A)から値roずつ光ディスクDKの外側方向に移動する。
そして、光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)が記録されたBCAコードの内周端位置に達して、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)になると、コントローラ60は、ステップS440にて「Yes」と判定して、ステップS446に進む。ステップS446においては、コントローラ60は、前記ステップS444にて設定した現在の半径値(記録開始半径位置−A)+i・roを上記式3の半径値Rに代入して、バースト・カッティング・エリアの内周端の半径値Riを計算する。前記ステップS446の処理後、コントローラ60は、ステップS448にて、前述の場合と同様に、フォーカスサーボ回路47によるフォーカスサーボ制御を停止する。
次に、コントローラ60は、ステップS450にて、上記図2BのステップS166の処理と同様にして、光スポットSPをBCAコードの記録終了半径位置よりも所定距離A−Lだけ外側の半径方向位置に移動する。このとき、光スポットSPの内側端の半径方向位置の半径値は、「記録終了半径位置+A−L」により表される。なお、この半径値は、光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)がBCAコードの記録終了半径位置よりも外側に位置する半径位置を示す。前記ステップS450の処理後、コントローラ60は、前記ステップS426,S428と同様なステップS452,S454の処理により、フォーカスサーボ回路47によるフォーカスサーボ制御を開始させるとともに、光スポットSPを半径方向内側に微小量ずつ移動させるための変数iを「0」に初期設定する。
次に、コントローラ60は、前記ステップS430〜S438と同様なステップS456〜S464の処理により、前記半径方向位置における光スポットSPの1回転分の最大度数の瞬時値X1,X2(回転角領域ごとの複数の瞬時値X1,X2)を取得して、中間瞬時値Yを計算する。この場合も、瞬時値X2のみを取得するようにしてもよい。次に、コントローラ60は、前記ステップS440と同様なステップS466の処理により、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)であるかを判定する。そして、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)でなければ、コントローラ60は、ステップS468にて変数iに「1」を加算し、ステップS470にて、前記初期の光スポットSPの半径方向位置を表す半径値(記録終了半径位置+A−L)からi・roを減算することにより、光スポットSPの移動半径方向位置を表す半径値(記録終了半径位置+A−L)−i・roを計算する。この場合も、roは予め決められた微小値である。そして、コントローラ60は、前記ステップS470にて、前記ステップS444の場合と同様に、フィードモータ制御回路23に半径値(記録終了半径位置+A−L)−i・roを出力して、光スポットSPを前記半径値(記録終了半径位置+A−L)−i・roにより表された半径方向位置に移動する。この光スポットSPの移動位置は、前記半径値(記録終了半径位置+A−L)により表された半径方向位置よりも値i・roだけ内側の半径方向位置である。
前記ステップS470の処理後、コントローラ60は、ステップS456に戻り、前述したステップS456〜S464の処理を実行して前記光スポットSPの移動半径方向位置における中間瞬時値Yを計算して、ステップS466の前述した判定処理を実行する。そして、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)になるまで、ステップS456〜S470からなる循環処理を実行し続ける。この循環処理により、変数iを「1」ずつ増加させながら、光スポットSPは、前記半径値(記録終了半径位置+A−L)から値roずつ内側に移動する。
そして、光スポットSPの長手方向の中央位置(特定点)が記録されたBCAコードの外周端位置に達して、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)になると、コントローラ60は、ステップS466にて「Yes」と判定して、ステップS472に進む。ステップS472においては、コントローラ60は、前記ステップS470にて設定した現在の半径値(記録終了半径位置+A−L)−i・roを上記式4の半径値Rに代入して、バースト・カッティング・エリアの外周端の半径値Roを計算する。
次に、コントローラ60は、上記図2BのステップS178の処理と同様なステップS474の処理により、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端の半径値Ri,Roを表示装置32に表示するとともに、BCAコードの記録開始半径位置及び記録終了半径位置の合否を判定して判定結果も表示装置32に表示する。
前記ステップS474の処理後、コントローラ60は、ステップS476にて、フォーカスサーボ回路47にフォーカスサーボ制御の停止を指示してフォーカスサーボ制御を停止させ、レーザ駆動回路43にレーザ光源31の駆動制御の停止を指示してレーザ光源31によるレーザ光の出射を停止させ、かつスピンドルモータ制御回路21にスピンドルモータ11の回転停止を指示してスピンドルモータ11の回転を停止させる。そして、コントローラ60は、ステップS478にて、半径値計算プログラムの実行を終了する。
上記のように動作する変形例によれば、BCAコードが偏心して記録されている場合でも、すなわちBCAコードを記録した際の回転中心が半径方向位置の検査時における回転中心からずれている場合でも、バースト・カッティング・エリアの半径方向端がより精度よく検出され、BCAコードが正しい半径方向位置に記録されているか否かを検査することができる。
なお、上記変形例では、中間瞬時値Yが比較値K以下(Y≦K)になったとき、バースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端の各半径値を計算した。しかし、これに代え又はこれに加えて、最大度数の瞬時値Xの周方向の分布曲線の最大及び最小の瞬時値A,B(前記極大値A及び極小値Bに対応)が前記比較値K以下になったときにおける、バースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端の各半径値を計算して、これらの各半径値の合否を判定して表示するようにしてもよい。これによれば、バースト・カッティング・エリア(BCA)の偏心が大きい場合に、BCAコードが記録された全ての内周端及び外周端が所定の範囲内に収まっているかを評価することも可能となる。
また、上記実施形態及び変形例では、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端を検出するための比較値Kを、図5の比較値検出プログラムの実行、並びに図14の瞬時値出力プログラム及び図12Aの半径値計算プログラムの実行により、光スポットSPをバースト・カッティング・エリアの半径方向の中央部分に形成してそれぞれ決定するようにした。しかし、これらに代えて、この比較値Kを実測により予め定めてコントローラ60に内蔵のメモリに記憶しておき、この記憶された比較値K(すなわち、バースト・カッティング・エリアの半径方向端を示す設定値)を用いて、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端を検出するようにしてもよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端を検出するために、光スポットSPの初期位置を光スポットSPの全体がバースト・カッティング・エリア外に位置するようにした。しかし、光スポットSPの長手の方向の長さが長い場合、光スポットSPの一部がバースト・カッティング・エリアに重なった状態から検出を開始するようにしてもよい。ただし、光スポットSPの長手方向の中央位置は、バースト・カッティング・エリア外に位置する必要がある。
また、上記実施形態及び変形例においては、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端を検出する際には光スポットSPをバースト・カッティング・エリア外の前記内周端よりも半径方向の内側位置から外側方向に移動させるとともに、バースト・カッティング・エリアの外周端を検出する際には光スポットSPをバースト・カッティング・エリア外の前記外周端よりも半径方向の外側位置から内側方向に移動させるようにした。しかし、これに代えて、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端を検出する際には、光スポットSPをバースト・カッティング・エリア内の前記内周端よりも半径方向の外側位置から内側に移動させるようにしてもよい。また、バースト・カッティング・エリアの外周端を検出する際には、光スポットSPをバースト・カッティング・エリア内の前記外周端よりも半径方向の内側位置から外側方向に移動させるようにしてもよい。この場合、上記図7のステップS348の判定処理においては、ステップS346にて計算した瞬時値Xが比較値K以上(X≧K)であるかを判定するようにするとよい。また、図12BのステップS440及び図12CのステップS466においても、ステップS438,S464にて計算した中間瞬時値Yが比較値K以上(Y≧K)であるかを判定するようにするとよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、半径値検出回路24によって検出される半径値すなわち光スポットSP内の半径値検出点は、光スポットSPの内側端近傍位置とした。しかし、これに代えて、半径値検出点を光スポットSPの長手方向の中央位置、外側端近傍位置などの他の位置としてもよい。半径値検出点を光スポットSPの長手方向の中央位置とする場合、図2BのステップS152及び図12BのステップS424のバースト・カッティング・エリアの内周端の検査のための光スポットSPの初期半径方向位置への移動処理において、光スポットSPの初期半径方向位置をBCAコードの記録開始半径位置よりも所定距離A−L/2だけ内側に設定する。また、図2BのステップS166及び図12CのステップS450のバースト・カッティング・エリアの外周端の検査のための光スポットSPの初期半径方向位置への移動処理において、光スポットSPの初期半径方向位置をBCAコードの記録終了半径位置よりも所定距離A−L/2だけ外側に設定する。また、この場合、図2BのステップS162,S176のBCAコードの内周端及び外周端の半径値の計算においては、半径値検出回路24によって検出される半径値そのものが、前記BCAコードの内周端及び外周端の半径値となる。図12BのステップS446及び図12CのステップS472のBCAコードの内周端及び外周端の半径値の計算においては、図12BのステップS444及び図12CのステップS470の処理によって計算された半径値そのものが、前記BCAコードの内周端及び外周端の半径値となる。
半径値検出点を光スポットSPの長手方向の外側端近傍位置とする場合、図2BのステップS152及び図12BのステップS424のバースト・カッティング・エリアの内周端の検査のための光スポットSPの初期半径方向位置への移動処理において、光スポットSPの初期半径方向位置をBCAコードの記録開始半径位置よりも所定距離A−Lだけ内側に設定する。また、図2BのステップS166及び図12CのステップS450のバースト・カッティング・エリアの外周端の検査のための光スポットSPの初期半径方向位置への移動処理においは、光スポットSPの初期半径方向位置をBCAコードの記録終了半径位置よりも所定距離Aだけ外側に設定する。また、この場合、図2BのステップS162,S176のBCAコードの内周端及び外周端の半径値の計算においては、半径値検出回路24によって検出される半径値Rから所定距離L/2を減算した値R−L/2が、前記BCAコードの内周端及び外周端の半径値となる。図12BのステップS446及び図12CのステップS472のBCAコードの内周端及び外周端の半径値の計算においては、図12BのステップS444及び図12CのステップS470の処理によって計算された半径値Rから所定距離L/2を減算した値R−L/2が、前記BCAコードの内周端及び外周端の半径値となる。
さらに、他の位置を半径値検出点とする場合には、その位置に応じて、光スポットSPの長手方向においてバースト・カッティング・エリアが重ならず、かつバースト・カッティング・エリアの半径方向端に光スポットSPの端が近い位置になるように、前述した光スポットSPの初期半径方向位置を設定するようにすればよい。また、他の位置と光スポットSPの長手方向の中央位置(BCAコードの内外周端の検出のための特定点)との距離の差に応じて、前述したBCAコードの内周端及び外周端の半径値を計算するようにすればよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、BCAコードの内外周端の検出のための特定点を、光スポットSPの中央位置とした。しかし、この特定点は、中央位置ではなく、光スポットSPの長手方向のいずれかの箇所にあればよい。ただし、この場合には、上記実施形態の図5のステップS312の処理により設定されて、図7のステップS348の処理により瞬時値Xと比較される比較値Kと、図12AのステップS420の処理により設定されて、図12BのステップS440及び図12CのステップS466にて中間瞬時値Yと比較される比較値K、すなわち本発明のバースト・カッティング・エリアの半径方向端を示す設定値を、上記実施形態の中間値(X1+X2)/2から次のように変更する必要がある。
この場合、図16(a)で示すように、光スポットSPをバースト・カッティング・エリア外の内周端よりも半径方向内側位置から半径方向外側へ移動させて内周端を検出する場合、特定点P1が内周端上にある状態では、バー部分に関する瞬時値Xすなわち度数分布G2における瞬時値Xは、次のようにして計算される。すなわち、図16(b)に示すように、光スポットSPの長手方向の内側端から特定点P1までの距離をL1とするとともに、特定点P1から光スポットSPの長手方向の外側端までの距離をL2とすると、前記瞬時値Xは、(X1・L1+X2・L2)/Lとなる。なお、Lは光スポットSPの長手方向の実効長であり、X1,X2は前記比較値Kの計算のために使われた値である(図10参照)。したがって、上記実施形態及び変形例の比較値K(=(X1+X2)/2)に代えて、図5のステップS312及び図12AのステップS420にて前記値(X1・L1+X2・L2)/Lが比較値として計算される。そして、図7のステップS348及び図12BのステップS440にて、瞬時値X及び中間瞬時値Yが比較値(X1・L1+X2・L2)/L以下であることが判定される。
また、図16(a)で示すように、光スポットSPをバースト・カッティング・エリア外の外周端よりも半径方向外側位置から半径方向内側へ移動させて外周端を検出する場合、特定点P1が外周端上にある状態では、バー部分に関する瞬時値Xすなわち度数分布G2における瞬時値Xは、(X1・L2+X2・L1)/Lとなる。したがって、上記実施形態及び変形例の比較値K(=(X1+X2)/2)に代えて、図5のステップS312及び図12AのステップS420にて前記値(X1・L2+X2・L1)/Lが比較値として計算される。そして、図7のステップS348及び図12CのステップS466にて、瞬時値X及び中間瞬時値Yが比較値(X1・L2+X2・L1)/L以下であることが判定される。
また、これらの場合も、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端を検出する際には、光スポットSPをバースト・カッティング・エリア内の内周端よりも半径方向外側位置から半径方向内側に移動させるようにしてもよい。また、バースト・カッティング・エリアの外周端を検出する際には、光スポットSPをバースト・カッティング・エリア内の外周端よりも半径方向内側位置から半径方向外側に移動させるようにしてもよい。そして、記録されているBCAコードの内周端を判定する場合には、瞬時値X及び中間瞬時値Yが比較値(X1・L1+X2・L2)/L以上であることを判定するとよい。また、記録されているBCAコードの外周端を判定する場合には、瞬時値X及び中間瞬時値Yが比較値(X1・L2+X2・L1)/L以上であることを判定するとよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、光スポットSPの長手方向の形状及びレーザ強度分布が左右対称であるとして比較値Kを(X1+X2)/2又は(X1・L1+X2・L2)/L、(X1・L2+X2・L1)/Lの式を用いて設定したが、前記比較値Kとして他の値を用いる場合もある。すなわち、レーザ光の光軸を光ディスクDKの盤面の垂直方向から傾けるなどにより、光スポットSPの長手方向の形状及びレーザ強度分布が左右対称にならない場合がある。この場合には、比較値Kは前記式では計算できないので、特定点がバースト・カッティング・エリアの半径方向端にある場合のバーによる瞬時値X3を前記瞬時値X1,X2と共に実験により求めて、演算式X3/(X1+X2)=aを用いて比率aを計算して記憶しておき、比較値Kを演算式(X1+X2)/aを用いて計算するとよい。
また、上記実施形態及び変形例においては、バースト・カッティング・エリア(BCA)の内周端及び外周端を検出するために、BCAコードの記録のために長円状の光スポットSPを用いた。しかし、これに代えて、BCAコードの記録のために用いた長円状の光スポットSPとは独立した円形又は微小の光スポットSPを用いて、バースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端を検出するようにしてもよい。この場合、光ピックアップ装置30内に、レーザ光源31とは別の独立したレーザ光源を設けたり、レーザ光源31から円形又は微小の光スポットを形成させるための他のレンズを設けたりするとよい。これによれば、反射光の再生信号の瞬時値(サンプリング値)がBCAコードにより急激に変化するので、バースト・カッティング・エリアの内周端及び外周端の検出精度をさらに向上させることができる。
また、上記実施形態及び変形例では、光ディスクDK(すなわち、ターンテーブル13)を移動させることにより、光ディスクDKに対するレーザ光照射位置を光ディスクDKの半径方向に移動させるようにした。しかし、これに代えて、光ピックアップ装置30を光ディスクDKの半径方向に移動させることにより、光ディスクDKに対するレーザ光照射位置を光ディスクDKの半径方向に移動させるようにしてもよい。
11…スピンドルモータ、12…フィードモータ、13…ターンテーブル、21…スピンドルモータ制御回路、23…半径値検出回路、23…フィードモータ制御回路、30…光ピックアップ装置、41…データ変換回路、42…記録用信号生成回路、43…レーザ駆動回路、47…フォーカスサーボ回路、52…復号回路、53…A/D変換器、54…BCA端検出回路、60…コントローラ、61…入力装置、62…表示装置