以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の適用された多層型光ディスクDKの初期化装置の全体概略図である。光ディスクDKは、図2にその断面図で示すように、複数の記録層N1〜Nzを有する。この光ディスクDKにおいては、レーザ光の入射側表面及び裏面が透明な保護層によって覆われているとともに、記録層N1〜Nzの各間にも透明な保護層がそれぞれ設けられている。以下の説明では、レーザ光の入射側表面をカバー層N0とするとともに、このカバー層N0から記録層Nzに向かう方向を下層側といい、その逆を上層側という。なお、記録層N1〜Nzの数は、「2」以上の整数であれば、いかなる整数でもよい。この光ディスクDKの初期化装置は、光ディスクDKを回転させるとともに径方向に駆動する回転駆動装置10と、光ディスクDKにレーザ光を照射するとともに同照射による光ディスクDKからの反射光を受光する光ピックアップ20とを備えている。
回転駆動装置10は、スピンドルモータ11及びフィードモータ12を備えている。スピンドルモータ11は、その回転により回転軸11aを回転させてターンテーブル13を回転させる。ターンテーブル13には、その上面に光ディスクDKが着脱可能に組み付けられるようになっている。また、スピンドルモータ11内には、エンコーダ11bが組み込まれており、エンコーダ11bは、スピンドルモータ11の回転を検出して同回転を表す回転検出信号をスピンドルモータ制御回路14及びコントローラ60に出力する。スピンドルモータ制御回路14は、後述するコントローラ60により制御されて、前記エンコーダ11bから供給される回転検出信号を用いて光ディスクDKが常に線速度一定で回転するようにスピンドルモータ11の回転を制御する。
フィードモータ12は、その回転によりスクリューロッド15及びナット(図示せず)からなるねじ送り機構を介してスピンドルモータ11、同スピンドルモータ11を固定支持する支持部材16、及びターンテーブル13を、光ディスクDKの径方向に変位させる。フィードモータ12内にも、エンコーダ12aが組み込まれている。エンコーダ12aは、フィードモータ11の回転を検出して同回転を表す回転検出信号をフィードモータ制御回路17及びコントローラ60に出力する。フィードモータ制御回路17は、コントローラ60からの径方向位置及び径方向移動速度を表す信号によって制御されて、エンコーダ12aから出力される回転検出信号を用いてフィードモータ12の回転を制御して、スピンドルモータ11、ターンテーブル13及び支持部材16の光ディスクDKの径方向への変位、すなわち、光ディスクDKの最内周と最外周との範囲内におけるレーザ光の照射位置の移動を制御する。
光ピックアップ20は、初期化用レーザ光源21及びサーボ用レーザ光源22を有する。初期化用レーザ光源21及びサーボ用レーザ光源22は、初期化用レーザ駆動回路41及びサーボ用レーザ駆動回路42によりそれぞれ駆動制御されて、互いに異なる波長のレーザ光を出射する。例えば、初期化用レーザ光源21は波長810nmの初期化用レーザ光を出射し、サーボ用レーザ光源22は波長670nmのサーボ用レーザ光を出射する。また、初期化用レーザ光源21から出射される初期化用レーザ光の出力パワーは、サーボ用レーザ光源22から出射されるサーボ用レーザ光の出力パワーに比べて大きい。初期化用レーザ駆動回路41及びサーボ用レーザ駆動回路42の作動は、コントローラ60により制御される。初期化用レーザ光源21から出射された初期化用レーザ光は、コリメートレンズ23、偏光ビームスプリッタ24、ダイクロイックミラー25、1/4波長板26及び対物レンズ27を介して光ディスクDKの記録層N1〜Nzに集光される。ダイクロイックミラー25は、入射するレーザ光の波長の相違により、初期化用レーザ光を透過し、サーボ用レーザ光を反射する。光ディスクDKの記録層N1〜Nzにて反射した初期化用レーザ光は、対物レンズ27、1/4波長板26及びダイクロイックミラー25を介して偏光ビームスプリッタ24に入射し、偏光ビームスプリッタ24にて反射される。なお、この反射光は、利用されない。
サーボ用レーザ光源22から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ28、偏光ビームスプリッタ29、ダイクロイックミラー25、1/4波長板26及び対物レンズ27を介して光ディスクDKの記録層N1〜Nzに集光される。光ディスクDKにて反射したサーボ用レーザ光は、対物レンズ27、1/4波長板26、ダイクロイックミラー25、偏光ビームスプリッタ29、集光レンズ31及びシリンドリカルレンズ32を介してフォトディテクタ33に集光される。この場合、シリンドリカルレンズ32は、透過した反射光に非点収差を生じさせる。フォトディテクタ33は、分割線で区切られた4つの同一正方形状の受光素子からなる4分割受光素子によって構成されており、各受光素子は受光量に比例した電気信号A〜Dをそれぞれ検出信号として信号増幅回路43に出力する。
また、この光ピックアップ20は、フォーカスアクチュエータ34も備えている。フォーカスアクチュエータ34は、ドライブ回路44から出力される駆動信号により制御されて、対物レンズ27をレーザ光の光軸方向(光ディスクDKの盤面と垂直方向)に駆動してサーボ用レーザ光及び初期化用レーザ光の焦点位置を光軸方向に変位させる。
信号増幅回路43は、フォトディテクタ33から出力される検出信号A〜Dを増幅してフォーカスエラー信号生成回路45に出力する。フォーカスエラー信号生成回路45は、信号増幅回路43を介したフォトディテクタ33からの検出信号A〜Dを用いた演算(具体的には、非点収差法の場合は(A+C)−(B+D)の演算)により、フォーカスエラー信号を生成して、フォーカスサーボ回路46に出力する。なお、検出信号A〜Dは、フォトディテクタ33において、時計回りに順に位置する4つの受光素子の受光量を表す。この場合、フォーカスエラー信号(A+C)−(B+D)は、対物レンズ26のカバー層N0及び記録層N1〜Nzに対するサーボ用レーザ光の焦点ずれ量を表している。フォーカスサーボ回路46は、コントローラ60により制御されて、フォーカスエラー信号に基づくフォーカスサーボ信号を生成して加算器47に出力する。
加算器47は、フォーカスサーボ信号に、コントローラ60によって制御されるフォーカスジャンプ信号発生回路48から出力されるフォーカスジャンプ信号を重畳してドライブ回路44に出力する。フォーカスジャンプ信号は、サーボ用レーザ光が合焦している記録層(レーザ光の焦点が合っている記録層)から隣接した他の記録層にサーボ用レーザ光の焦点を移動するための信号である。具体的には、焦点位置を下層側の記録層へ移動させる場合には、フォーカスジャンプ信号発生回路48は、焦点位置の下層側の記録層への移動のために正パルスを出力し、その所定時間後に前記焦点位置の移動を停止させるために負パルスを出力する。焦点位置を上層側の記録層へ移動させる場合には、フォーカスジャンプ信号発生回路48は、焦点位置の上層側の記録層への移動のために負パルスを出力し、その所定時間後に前記焦点位置の移動を停止させるために正パルスを出力する。ドライブ回路44は、加算器47からの信号に応じてフォーカスアクチュエータ34を駆動制御して、対物レンズ27をレーザ光の光軸方向(光ディスクDKの盤面と垂直方向)に変位させる。これらのフォーカスエラー信号生成回路45、フォーカスサーボ回路46及びドライブ回路44により、対物レンズ27は、光ディスクDKにおける複数の記録層N1〜Nzのうちの1つの記録層に選択的にサーボ用レーザ光を常に合焦させる、すなわちフォーカスサーボ制御する。なお、光ディスクDKの初期化を行っている場合、サーボ用レーザ光がいずれかの記録層に合焦されている状態では、初期化用レーザ光も前記と同一の記録層に合焦されて初期化用光スポットを形成する。
ドライブ回路44には、往復動信号発生回路51及び印加電圧検出回路52も接続されている。往復動信号発生回路51は、コントローラ60により制御されて、対物レンズ27を往復動させるための往復動信号をドライブ回路44に出力する。なお、この往復動信号の発生中には、フォーカスサーボ回路46及びフォーカスジャンプ信号発生回路48は動作を停止して、フォーカスサーボ信号及びフォーカスジャンプ信号をドライブ回路44に出力しない。往復動信号は、図3に示すように、対物レンズ27を所定の高さ位置から最下点位置まで下降させた後、同対物レンズ27を徐々に上昇させるために、所定電位から最下電位まで下がった後に徐々に上がる制御信号である。ドライブ回路44は、この往復動信号に比例した電圧をフォーカスアクチュエータ34に印加して、対物レンズ27を往復動させる。また、往復動信号発生回路51は、対物レンズ27を最下点位置まで下げたタイミングで、対物レンズ27の最下点位置を表す信号をコントローラ60に出力する。
印加電圧検出回路52は、ローパスフィルタ、A/D変換器などを内蔵し、コントローラ60により制御されて、ドライブ回路44からフォーカスアクチュエータ34に供給される印加電圧をローパスフィルタ処理して、コントローラ60によって指示されるサンプリング時間間隔でA/D変換してコントローラ60に出力する。このサンプリング時間間隔は、光ディスクDKが1回転する間に前記印加電圧を予め決められた所定数qだけサンプリングされるように定められた値であり、光ディスクDKの1秒当たりの回転数の逆数(すなわち光ディスクDKの1回転に必要な時間)を、前記所定数qで除算した値である。なお、所定数qは、2以上の整数である。
フォーカスエラー信号生成回路45から出力されるフォーカスエラー信号は、ゼロクロス点検出回路53及びA/D変換器54にも供給される。ゼロクロス点検出回路53は、コントローラ60によって作動制御されて、フォーカスエラー信号におけるゼロクロス点を検出するとともに、ゼロクロス点の検出によりサーボ用レーザ光が指定された記録層に合焦したことを意味する信号を出力する。ゼロクロス点の検出は、フォーカスエラー信号の波形がS字状(正弦波状)に変化して基準レベル「0」を横切った時点を検出するものである。具体的には、図3に示すように、フォーカスエラー信号が、所定の小さなレベルVzを超えた後に、基準レベル(0レベル)を上から下に横切ったことを検出する。このゼロクロスの検出は、各記録層N1〜Nzがサーボ用レーザ光の焦点位置に合致したことを意味する。なお、この場合、光ディスクDKのカバー層N0の表面からの反射光によってもゼロクロス点が検出される。
ゼロクロス点検出回路51は、コントローラ60により指示されて、サーボ用レーザ光の焦点位置が最下点位置からいずれかの記録層N1〜Nzに移動する層数(以降、移動層数という)を記憶するメモリと、ゼロクロス点の検出回数をカウントするためのカウンタを含む。なお、この移動層数には、カバー層N0が含まれる。そして、ゼロクロス点検出回路53は、ゼロクロスの検出回数をカウンタにより「0」からカウントし、そのカウント値がコントローラ60によって指示された移動層数に達したことを検出すると、サーボ用レーザ光の焦点位置の移動終了を表す移動終了信号をコントローラ60に出力する。A/D変換器54は、フォーカスエラー信号を所定の周期でサンプリングしてA/D変換し、コントローラ60に供給する。このA/D変換されたフォーカスエラー信号のサンプリング値は、フォーカスサーボ制御が機能している状態では基準レベルを中心に微変動するが、フォーカスサーボ制御が機能していない状態では大きく変動する。このフォーカスサーボ制御が機能している状態でフォーカスエラー信号が微変動する性質を利用して、コントローラ60は、後述するプログラム処理では、フォーカスサーボ制御が機能しているか(すなわち、フォーカス外れでないか)を判定する。
コントローラ60は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどからなるコンピュータによって構成されており、キーボード、マウスなどからなる入力装置61からの指示に従って、図4に示すディスク初期化プログラムを実行することにより、光ディスクDKの複数の記録層N1〜Nzを初期化する。また、コントローラ60には、作動指示及び作動状況を作業者に対して視覚的に知らせるための表示装置62も接続されている。
上記のように構成した光ディスク初期化装置の作動について説明する。作業者は、図示しない電源スイッチの投入により、コントローラ60を含む光ディスク初期化装置の作動を開始させるとともに、初期化対象となる光ディスクDKをターンテーブル13上に載置して固定する。次に、作業者は、入力装置61を操作して光ディスクDKの記録層数zを入力して、初期化開始の指示を入力する。なお、記録層数zが既に入力されている場合には、記録層数zの入力操作は不要である。前記初期化開始の指示に応答して、コントローラ60は、図4に示すステップS10〜S13からなるディスク初期化プログラムを実行する。このディスク初期化プログラムは、ステップS11の変位量検出ルーチン及びステップS12の初期化ルーチンを含む。変位量検出ルーチンは、サーボ用レーザ光を光ディスクDKの各記録層N1〜Nzに合焦させるための対物レンズ27の変位量として、ドライブ回路44からフォーカスアクチュエータ34に印加される印加電圧を記録層N1〜Nz毎に検出して記憶する。初期化ルーチンは、前記記憶した印加電圧を用いてサーボ用レーザ光が記録層N1〜Nzに確実に合焦していることを確認しながら、光ディスクDKの記録層N1〜Nzを順次初期化する。
変位量検出ルーチンの詳細は、図5A〜5Cに示されており、その実行がステップS100にて開始される。この開始後、コントローラ60は、ステップS101にて、記録層N1〜Nzを指定するための変数nを「1」に初期設定するとともに、後述するフォーカスジャンプ及びフォーカス引き込みを失敗した場合に利用される変数S,Pをそれぞれ「0」に初期設定する。次に、コントローラ60は、ゼロクロス点検出回路53に移動層数として「2」を出力する。ゼロクロス点検出回路53は、この出力された移動層数「2」を記憶する。次に、コントローラ60は、ステップS103にて、光ディスクDKの初期化開始半径位置である最内周トラック位置に初期化用レーザ光の端が照射されるようにフィードモータ制御回路17に指示する。フィードモータ制御回路17は、エンコーダ12からの回転検出信号から計算される半径値がコントローラ60により指示された半径値になるようにフィードモータ12を駆動制御して、初期化用レーザ光の端が最内周トラック位置に照射される位置まで光ディスクDKを移動する。ただし、この初期化開始半径位置は、光ディスクDKの最内周トラック位置でなくても記録層が存在する位置なら他の位置を採用することもできる。
前記ステップS103の処理後、コントローラ60は、ステップS104にてスピンドルモータ制御回路14を制御してスピンドルモータ11の作動を開始させる。スピンドルモータ制御回路14は、エンコーダ11aとの協働により、スピンドルモータ11を駆動して光ディスクDKを一定の線速度で回転させる。次に、コントローラ60は、ステップS105にて、サーボ用レーザ光駆動回路42を制御して、サーボ用レーザ光源22にサーボ用レーザ光の出射を開始させる。出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ28、偏光ビームスプリッタ29、ダイクロイックミラー25、1/4波長板26及び対物レンズ27を介して光ディスクDKに照射される。そして、光ディスクDKにて反射したサーボ用レーザ光は、対物レンズ27、1/4波長板26、ダイクロイックミラー25、偏光ビームスプリッタ29、集光レンズ31及びシリンドリカルレンズ32を介してフォトディテクタ33に集光される。フォトディテクタ33は、集光されたレーザ光に応じた検出信号を出力する。この検出信号は、信号増幅回路43によって増幅されてフォーカスエラー信号生成回路45に供給される。フォーカスエラー信号生成回路45は、非点収差法による演算により、供給された信号に応じてフォーカスエラー信号を生成して、フォーカスサーボ回路46、ゼロクロス点検出回路53及びA/D変換器54にそれぞれ出力する。なお、この時点では、フォーカスサーボ回路46及びフォーカスジャンプ信号発生回路48は作動しておらず、加算器47からドライブ回路44にフォーカスジャンプ信号を含むフォーカスサーボ信号は供給されない。
前記ステップS105の処理後、コントローラ60は、ステップS106〜S111からなるフォーカス引き込み処理を実行する。ステップS106においては、往復動信号発生回路51を作動させて往復動信号の発生開始を制御する。往復動信号発生回路51は、図3に示すように、所定電位から最下電位まで下降して、その後に連続的かつ徐々に上昇する電圧信号をドライブ回路44に出力する。また、往復動信号発生回路51は、前記電圧信号が最下電位に達した時点で、対物レンズ27が最下点位置にあることを表す最下点位置信号をコントローラ60に出力する。ドライブ回路44は、前記電圧信号に応じてフォーカスアクチュエータ34を駆動制御して、対物レンズ27を最下点位置まで下降させた後、連続的かつ徐々に上昇させる。一方、コントローラ60は、前記ステップS106の処理後、ステップS107にて、往復動信号発生回路51から最下点位置信号の入力を待つ。そして、コントローラ60は、最下点位置信号が入力されると、前記ステップS107にて「Yes」と判定して、ステップS108にてゼロクロス点検出回路53の作動を開始させ、ステップS109にてゼロクロス点検出回路53からの移動終了信号の入力を待つ。
ゼロクロス点検出回路51は、対物レンズ27が最下点位置から徐々に上昇すると、「0」から、サーボ用レーザ光の焦点位置がカバー層N0及び記録層N1〜Nzに一致するごとにカウント値をカウントアップさせて、カウント値が前記ステップS102の処理によって記憶されている移動層数「2」に達した時点で移動終了信号をコントローラ60に出力する。すなわち、サーボ用レーザ光の焦点位置が第1記録層N1に形成された時点で、移動終了信号をコントローラ60に出力する。コントローラ60は、この移動終了信号の入力により、ステップS109にて「Yes」と判定して、ステップS110にて往復動信号発生回路51による往復動信号の発生を停止させるとともに、ステップS111にてフォーカスサーボ回路46によるフォーカスサーボ制御を開始させる。したがって、ドライブ回路44は、往復動信号発生回路51からの往復動信号に代えて、フォーカスサーボ回路46からのフォーカスサーボ信号に応じてフォーカスアクチュエータ34を制御し始める。その結果、現段階では、対物レンズ27は、サーボ用レーザ光の焦点位置が第1記録層N1に位置するように、フォーカスサーボ制御される。
前記ステップS111の処理後、コントローラ60は、ステップS112にて、A/D変換器から入力されるフォーカスエラー信号のサンプリング値に基づいてフォーカスサーボ制御が機能しているかを判定する。フォーカスサーボ制御が機能していれば、コントローラ60は、ステップS112にて「Yes」と判定して、図5BのステップS114に進む。一方、フォーカスサーボ制御が機能していなければ(すなわち、フォーカス外れを起こしていれば)、コントローラ60は、ステップS112にて「No」と判定して、ステップS113にてフォーカスサーボ回路46によるフォーカスサーボ制御を停止させ、ステップS106に戻り、ステップS112にて「Yes」と判定されるまで、前述したステップS106〜S111からなるフォーカス引き込み処理を繰り返し実行する。
次に、図5BのステップS114以降の処理について説明するが、まず、前記ステップS106〜S113からなるフォーカス引き込み処理により、サーボ用レーザ光が第1記録層N1に正常に合焦し、かつ後述するフォーカスジャンプ処理が正常に行われる場合について説明する。この状態で、コントローラ60は、ステップS114にて、サンプリング時間間隔(光ディスクDKの1回転に必要な時間を所定数qで除した値)を印加電圧検出回路52に供給して、印加電圧検出回路52の作動を開始させる。印加電圧検出回路52は、前記指示されたサンプリング時間間隔で、ドライブ回路44の出力電圧をサンプリングするとともにA/D変換してコントローラ60に供給する。コントローラ60は、前記ステップS114の処理後、ステップS115にて前記印加電圧検出回路52から供給された印加電圧のサンプリング値を取込むとともに記憶し、この取込んだ印加電圧のサンプリング値の数が所定数qに達するまでステップS115の処理を実行し続ける。そして、コントローラ60内に所定数qの印加電圧が取り込まれると、コントローラ60は、ステップS115にて「Yes」と判定して、ステップS116にて印加電圧検出回路52による印加電圧の検出動作を停止させる。なお、サンプリング時間間隔は光ディスクDKの1回転に必要な時間を所定数qで除した値であるので、前記ステップS115,S116の処理に代えて、光ディスクDKの1回転を検出して、印加電圧検出回路52による印加電圧の検出動作を停止させるようにしてもよい。
次に、コントローラ60は、ステップS117にて、前記取込んだq個の印加電圧のサンプリング値の平均値を算出して、同平均値を、サーボ用レーザ光を第n記録層に合焦させる対物レンズ27の変位量V(n)として記憶する。この変位量V(n)の記憶処理及び後述する変位量V(n)の記憶処理においては、変位量V(n)は、コントローラ60のRAM内に記憶される。そして、コントローラ60は、ステップS118にて変数nが「1」であるかを判定する。変数nは「1」に初期設定されているので、コントローラ60は、最初、ステップS118にて「Yes」と判定して、ステップS122に進む。
ステップS122においては、コントローラ60は、フォーカスジャンプ信号発生回路48を制御して、同発生回路48に、サーボ用レーザ光の焦点位置を次の下側記録層へ移動するためのジャンプ信号を発生させる。フォーカスジャンプ信号発生回路48は、正パルスとその直後の負パルスからなるフォーカスジャンプ信号を加算器47に供給することにより、同フォーカスジャンプ信号をフォーカスサーボ回路46からのフォーカスサーボ信号に重畳して、ドライブ回路44に供給する。ドライブ回路44は、前記フォーカスジャンプ信号の重畳されたフォーカスサーボ信号により、フォーカスアクチュエータ34を駆動制御する。前記ステップS122の処理後、コントローラ60は、ステップS123にて、前記フォーカスジャンプが正常に行われて、フォーカスサーボ制御が機能しているかを判定する。この場合、前記フォーカスジャンプ処理は正常に行われ、フォーカスサーボ制御が機能していることを前提としているので、コントローラ60は、ステップS123にて「Yes」と判定し、ステップS124にて変数nに「1」を加算して、ステップS114に戻る。
そして、コントローラ60は、ステップS114〜S124からなる循環処理を繰り返し実行する。この循環処理においては、ステップS122のフォーカスジャンプ処理によりサーボ用レーザ光の焦点位置が「1」ずつ下層側の記録層に順次移動し、ステップS124の処理により変数nが「1」ずつ順次繰り上げられ、ステップS114〜S117の処理によりフォーカスアクチュエータ34に印加される印加電圧の平均値が複数の記録層N1〜Nzに対応した変位量V(1)〜V(z)にそれぞれこの順に記憶される。
しかし、ステップS122のフォーカスジャンプ処理を失敗することもあり、この失敗は、ステップS114〜S124の循環処理中に検出される。このフォーカスジャンプの失敗例は、原則的には、次のとおりである。第1の失敗例は、フォーカスサーボ制御は機能しているが、フォーカスジャンプ処理後も同一の記録層にサーボ用レーザ光が合焦していることである。この失敗判定は、ステップS119にて、フォーカスジャンプ処理後の変位量V(n)と、フォーカスジャンプ処理前に記憶しておいた変位量V(nー1)との差V(n)−V(n−1)が、所定値V1未満であるかを判定することにより行われる。この場合の所定値V1は、隣り合う記録層に関する変位量(印加電圧値)の差未満の正の値(例えば、隣り合う記録層の変位量の差の1/2程度の値)である。これは、次の理由による。すなわち、フォーカスジャンプが行われないでフォーカスジャンプ処理後も前回と同一の記録層にサーボ用レーザ光が合焦しているならば、両変位量V(n),V(n−1)はほぼ等しく、V(n)−V(n−1)<V1が成立する。一方、フォーカスジャンプが行われれば、前記差V(n)−V(n−1)は隣り合う記録層に関する変位量(印加電圧値)の差にほぼ等しく、又はそれ以上となり、V(n)−V(n−1)≧V1が成立する。なお、変数nが「1」である場合には、前回の変位量V(0)は存在しないので、このステップS119の判定処理は行われない。
第2の失敗例は、フォーカスサーボ制御は機能しているが、フォーカスジャンプ処理により次の記録層を飛び越えて、2層以上、下層側の記録層へサーボ用レーザ光の焦点位置が移動してしまった場合が考えられる。この失敗判定は、ステップS121にて、フォーカスジャンプ処理後の変位量V(n)と、フォーカスジャンプ処理前に記憶しておいた変位量V(nー1)との差V(n)−V(nー1)が、所定値V2以上であることを判定することにより行われる。所定値V2は、隣り合う記録層に関する変位量(印加電圧値)の差よりも大きく、かつその2倍よりも小さな値(例えば、隣り合う記録層の変位量の差の3/2程度の値)である。これは、次の理由による。すなわち、2層以上フォーカスジャンプされた場合には、前記変位量の差V(n)−V(nー1)が大きくなり、V(n)−V(n−1)≧V2が成立する。一方、フォーカスジャンプが1層だけ正確に行われれば、前記差V(n)−V(n−1)は所定値よりも小さく、V(n)−V(n−1)<V2が成立する。
第3に、フォーカスジャンプ処理後に、フォーカスサーボ制御が機能していないことが考えられる。これは、前述のステップS123の処理により判定される。
前述した正常な作動の場合、すなわち、最初にサーボ用レーザ光の焦点位置の移動が第1記録層N1に正常に行われ、かつ後述するフォーカスジャンプ処理も正常に行われた場合、前記ステップS119,S121の処理では共に「No」と判定される。そして、全ての記録層N1〜Nzに対する変位量V(1)〜V(z)の記憶が終了した時点では、変数nは記録層数zを示しているので、コントローラ60はステップS120にて「Yes」と判定して、ステップS125に進む。ステップS125においては、変数Pが「1」であるかが判定される。変数Pは「0」に初期設定されたままであるので、コントローラ60は、ステップS125にて「No」と判定して、ステップS126にて変位量V(1)〜V(n=z)を小さい順に並び換える(正常な作動の場合、変位量V(1)〜V(n=z)は小さい順になっているので、実質的な処理はなされない)。この並び換え後、コントローラ60は、ステップS127にて、変位量V(1)〜V(n)が所定値V1以上ずつ順次増加していることを確認した後に、ステップS128にてこの変位量検出ルーチンの実行を終了する。したがって、この変位量検出ルーチンの終了時点では、光ディスクDKの複数の記録層N1〜Nzに対応した変位量V(1)〜V(z)がコントローラ60のRAM内に記憶されている。なお、何らかの原因で、ステップS127にて「No」と判定された場合には、ステップS129にてフォーカスサーボ回路46の作動を停止制御して、ステップS101すなわち最初から変位量検出ルーチンを実行する。
一方、前記第1の失敗例のように、フォーカスジャンプ処理後も前回と同一の記録層にサーボ用レーザ光が合焦している場合には、コントローラ60は、ステップS119にて「Yes」と判定して、ステップS130〜S132の処理を実行する。ステップS130においては、変数Pが「1」であるかが判定されるが、この場合も、変数Pは「0」であるので、コントローラ60は、ステップS130にて「No」と判定し、ステップS131にて前記ステップS114〜S117の処理により記憶された変位量V(n)をクリアし、ステップS132にて変数nから「1」を減算する。そして、コントローラ60は、ふたたびステップS120〜S124及びステップS114〜S119の処理を実行する。したがって、フォーカスジャンプにより、サーボ用レーザ光の焦点位置は次の下層側の記録層へ移動され、次の下層側の記録層におけるq個の印加電圧のサンプリング値が平均されて変位量V(n)として記憶される。したがって、サーボ用レーザ光の焦点位置を第1記録層N1から最終記録層Nzまで移動させる間に、前記第1の失敗例のようなサーボ用レーザ光の焦点位置の移動失敗が生じても、ステップS130〜S132の処理により、この移動失敗は修正される。
また、前記第2の失敗例のように、フォーカスジャンプ処理により次の記録層を飛び越えて2層以上、下層側の記録層へサーボ用レーザ光の焦点位置が移動した場合には、コントローラ60は、ステップS121にて「Yes」と判定して、ステップS140〜S144の処理を実行する。なお、最初に、サーボ用レーザ光の焦点位置が誤ってカバー層N0に移動され、カバー層N0から第1記録層N1へフォーカスジャンプした場合も、カバー層N0は厚いので、このステップS121にて「Yes」と判定される。ステップS121にて「Yes」と判定されると、コントローラ60は、ステップS140にて変数nが「2」であるかを判定する。説明の便宜上、変数nが「2」でない場合を先に説明する。また、変数nが「1」である場合には、前記ステップS118にて「Yes」と判定されて、ステップS121の判定処理が実行されないので、変数nが「2」でないとは、「3」以上を意味する。
この場合、コントローラ60は、ステップS140にて「No」と判定して、ステップS141〜S143の処理を実行する。ステップS141においては、コントローラ60は、前記ステップS114〜S117の処理により記憶された変位量V(n)をクリアする。ステップS142においては、コントローラ60は、変数nから「1」を減算する。ステップS143においては、コントローラ60は、フォーカスジャンプ信号発生回路48を制御して、同発生回路48に、サーボ用レーザ光の焦点位置を1つ上層側の記録層へ移動させるためのジャンプ信号を発生させる。フォーカスジャンプ信号発生回路48は、負パルスとその直後の正パルスからなるフォーカスジャンプ信号を加算器47に供給することにより、同フォーカスジャンプ信号をフォーカスサーボ回路46からのフォーカスサーボ信号に重畳してドライブ回路44に供給する。ドライブ回路44は、このフォーカスジャンプ信号に基づいてフォーカスアクチュエータ34を駆動制御する。前記ステップS143の処理後、コントローラ60は、前述のように、ステップS123にてフォーカスサーボ制御が機能しているかを判定する。そして、フォーカスサーボ制御が機能していれば、ステップS123にて「Yes」と判定して、ステップS124にて変数nに「1」を加算し、ステップS114〜S124からなる循環処理をふたたび繰り返す。これにより、サーボ用レーザ光の焦点位置が下層側の記録層へ2層以上ジャンプしてしまった場合には、サーボ用レーザ光の焦点位置が1つ上層側の記録層に戻されて、変位量V(n)が記憶されるようになる。これにより、この場合も、サーボ用レーザ光の焦点位置の移動失敗が修正される。
次に、ステップS140の判定処理において「Yes」と判定された場合、すなわち変数nが「2」である場合について説明する。この変数nが「2」である場合とは、次の2つの場合である。第1の場合は、前述したステップS106〜S110の処理により、サーボ用レーザ光の焦点位置が最初第1記録層N1ではなくカバー層N0に移動してしまって、前記ステップS122のジャンプ処理により、サーボ用レーザ光の焦点位置が次にカバー層N0から第1記録層N1に移動した場合である。第2の場合は、第1記録層N1から第3記録層N3に移動した場合である。これらの場合は、サーボ用レーザ光の焦点位置が最初カバー層N0にあったか、第1記録層N1にあったかの判別が困難であること、及び変位量V(n)の記憶が行われてから間もないために変位量検出ルーチンを最初からやり直しても時間的な損失が少ないことから、コントローラ60は、ステップS140にて「Yes」と判定した後、ステップS144にてフォーカスサーボ回路46を制御してフォーカスサーボ制御を停止させ、図5AのステップS101すなわち最初から変位量検出ルーチンを実行する。
さらに、前記第3の失敗例のように、前記ステップS122のフォーカスジャンプ処理後に、フォーカスサーボ制御が機能していない場合には、コントローラ60は、ステップS123にて「No」と判定し、前記ステップS144の処理と同様なステップS150の処理によりフォーカスサーボ制御を停止させて、図5AのステップS151に進む。ステップS151においては、変数nが「1」または変数Sに等しいかが判定される。変数nが「1」であれば、ステップS101すなわち最初から変位量検出ルーチンを再度実行する。これは、前記フォーカスジャンプの失敗が、ステップS122の処理による最初のフォーカスジャンプ失敗であることを意味し、サーボ用レーザ光の焦点位置が最初カバー層N0に移動してしまい、前記ステップS122のジャンプ処理で第1記録層N1への移動が成功しなかった可能性が大きい(カバー層N0から第1記録層N1までの距離と記録層N1〜Nz間の距離は異なっているため、カバー層N0から第1記録層N1へのフォーカスジャンプは成功しない可能性が大きい)ために、変位量検出ルーチンを最初から行った方がよいことによる。なお、この状態では、変数Sは未だ「0」に初期設定されたままであるので、変数nが変数Sに等しくなることはない。
一方、変数nが「1」でなければ、ステップS151にて「No」と判定し、ステップS152にて変数nが記録層数zよりも「1」だけ小さい値であるかを判定する。まず、変数nが「2」〜「z−2」のいずれかの値である場合について説明する。この場合、コントローラ60は、ステップS152にて「No」と判定し、ステップS153にて変数nに「1」を加算し、ステップS154にて変数Sを現在の変数nの値に設定した後、ステップS155にてゼロクロス点検出回路53に値n+1を出力して、同回路53に値n+1を記憶させる。前記ステップS155の処理後、コントローラ60は、前述したステップS106〜S113のフォーカス引き込み処理を実行する。これにより、サーボ用レーザ光は第n記録層に合焦する。その後、コントローラ60は、図5BのステップS114〜S117の前述した処理により、変位量V(n)を計算して記憶する。これにより、ステップS122の処理により下層側の記録層へのジャンプに失敗しても、本来ジャンプされるべき記録層へサーボ用レーザ光の焦点位置が移動されて、同移動された記録層の変位量V(n)が計算されるとともに記憶される。前記ステップS117の処理後には、コントローラ60は前述したステップS118〜S124,S114〜S117からなる循環処理を続行する。
この循環処理中、ステップS123にて「No」すなわちフォーカスジャンプ失敗と判定されると、コントローラ60は、ステップS150の処理後、ふたたびステップS151の判定処理を実行する。この場合、前述したフォーカスジャンプの失敗後に連続してフォーカスジャンプを失敗した場合には、変数nが前記ステップS153にて設定した変数Sに等しく、コントローラ60は、ステップS151にて「Yes」と判定して、ステップS101すなわち最初から変位量検出ルーチンを実行する。これは、今後のフォーカスジャンプ処理の失敗の可能性が高いからである。
次に、変数nが記録層数zよりも「1」だけ小さい場合について説明する。この場合、次の2つのフォーカスジャンプ失敗の場合が考えられる。第1のフォーカスジャンプ失敗は、初期のステップS106〜S113の処理により、サーボ用レーザ光が第1記録層N1に合焦されるべきところ、第2記録層N1に合焦されてしまい、第2記録層N2〜第z記録層Nzの変位量が変位量V(1)〜V(z−1)として記憶されてしまった場合である。この場合、変数nが記録層数zよりも「1」だけ小さいにもかかわらず、サーボ用レーザ光の焦点位置は最終記録層Nz上にあり、ステップS122のフォーカスジャンプ処理が実行されると、必ずフォーカスジャンプ失敗を起こす。第2のフォーカスジャンプ失敗は、第1記録層N1〜第z-1記録層Nz-1の変位量が変位量V(1)〜V(z−1)として正常に記憶されたにもかかわらず、ステップS122の最終記録層Nzへのフォーカスジャンプを失敗した場合である。
前記第1のフォーカスジャンプ失敗の場合、コントローラ60は、ステップS151にて「No」と判定し、ステップS152にて「Yes」と判定して、ステップS156〜S158の処理を実行する。ステップS156においては、変数Pを「1」に設定する。ステップS157においては、変数nに「1」を加算する。ステップS158においては、ゼロクロス点検出回路53に「2」を出力して、同検出回路53に「2」を記憶させる。そして、コントローラ60は、前述したステップS106〜S113のフォーカス引き込み処理により、サーボ用レーザ光を第1記録層N1に合焦させる。次に、コントローラ60は、前述したステップS114〜S117の処理により、第1記録層N1の変位量を変位量V(n)として記憶する。この場合、変数nは記録層数zを表しており、また変位量V(n)と変位量(n−1)との差V(n)−(n−1)は、通常、負であって所定値V1よりも小さい。なぜならば、変位量V(n)は第1記録層N1の変位量であり、V(n−1)は最終記録層Nzの変位量であるからである。したがって、コントローラ60は、前記ステップS117の処理後、ステップS118にて「No」と判定し、ステップS119にて「Yes」と判定して、ステップS130にて変数Pが「1」であるかを判定する。この場合、変数Pは前記ステップS156の処理によって「1」に設定されているので、コントローラ60は、ステップS130にて「Yes」と判定して、ステップS120に進む。なお、変位量V(n)と変位量(n−1)との差V(n)−(n−1)が、所定値V1以上であっても、コントローラ60は、ステップS119にて「No」と判定して、ステップS120に進む。したがって、変数Pが「1」に設定された限り、ステップS114〜S117の処理後には、変位量V(n)はクリアされずに、プログラムは必ずステップS120に進められる。
前述のように、変数nは記録層数zであるので、コントローラ120は、ステップS120にて「Yes」と判定し、ステップS125にて「1」に設定されている変数Pに基づいて「Yes」と判定して、図5CのステップS160,S161に進む。ステップS160においては、変位量V(1)と変位量V(n)との差V(1)−V(n)が所定値V1(例えば、前述のように隣接記録層間の変位量の1/2)以上であるかを判定する。ステップS161においては、変位量V(1)と変位量V(n)との差V(1)−V(n)が所定値V2(例えば、前述のように隣接記録層間の変位量の3/2)未満であるかを判定する。この場合、前記仮定した第1のフォーカスジャンプ失敗であれば、変位量V(1)は第2記録層N2の変位量を表し、変位量V(n)は第1記録層N1の変位量を表しているので、V(1)−V(n)≧V1かつV(1)−V(n)<V2が成立する。したがって、この場合において、ステップS106〜S113の処理によるサーボ用レーザ光の焦点位置の移動が正常に行われれば、コントローラ60はステップS160,S161にてそれぞれ「Yes」と判定し、ステップS162にて変数nを「1」に変更して図5BのステップS126に進む。そして、コントローラ60は、前述したステップS126,S127の処理により変位量V(1)〜V(n)の並び換え及び変位量V(1)〜V(n)のそれぞれの増加量の確認後、ステップS128にてこの変位量検出ルーチンの実行を終了するか、ステップS129の処理を経てふたたび変位量検出ルーチンを最初から実行する。
また、前記第1のフォーカスジャンプ失敗の場合で、前述したステップS106〜S113の処理によりサーボ用レーザ光の焦点位置を第1記録層N1に移動させようとしたにもかかわらず、同焦点位置が第2記録層N2に移動してしまった場合も考えられる。この場合、両変位量V(1),V(n)はほぼ等しく、V(1)−V(n)≧V1が成立しないので、コントローラ60は、ステップS160にて「No」と判定して、ステップS164にてフォーカスジャンプ信号発生回路48を制御してサーボ用レーザ光の焦点位置を1層分だけ上層側の記録層へジャンプさせる、すなわちサーボ用レーザ光の焦点位置を第1記録層N1に移動させる。前記ステップS164の処理後、コントローラ60はステップS165にてフォーカスサーボ制御が機能しているか、すなわち前記ステップS164の処理による上層側の記録層へのフォーカスジャンプが成功したかを判定する。
そして、フォーカスジャンプが成功していたならば、コントローラ60は、ステップS165にて「Yes」と判定し、ステップS166にて変位量V(n)をクリアして、図5BのステップS114に進む。ステップS114〜S119,S130,S120,S125の処理を経て図5CのステップS160以降の処理を実行することは、前述した図5AのステップS158,S106〜S113の処理により、サーボ用レーザ光の焦点位置を第1記録層N1へ移動させた以降の処理と同じである。これにより、前述したステップS106〜S113の処理によりサーボ用レーザ光の焦点位置を第1記録層N1に移動させようとしたにもかかわらず、同焦点位置が第2記録層N2に記録層に移動してしまった場合にも、第2記録層N2〜第z記録層Nz及び第1記録層N1の変位量が変位量V(1)〜V(z)として記録される。
また、前記第2のフォーカスジャンプ失敗の場合のように最終記録層Nzへのフォーカスジャンプのみを失敗した場合には、変位量V(1)は第1記録層Nの変位量である。そして、前述した図5AのステップS156〜S158,S106〜S113の処理によりサーボ用レーザ光の焦点位置を第1記録層N1に移動し、図5BのステップS114〜S119,S130,S120の処理により記憶した変位量V(n)は変位量V(1)と同じであるので、ステップS125の「Yes」との判定後の図5CのステップS160においては、「No」すなわちV(1)−V(n)≧V1は不成立と判定される。そして、前述のように、ステップS164の処理によりサーボ用レーザ光の焦点位置が上層側の記録層へフォーカスジャンプされるが、サーボ用レーザ光の焦点位置は、現在、第1記録層N1上にあるので、前記フォーカスジャンプは失敗する。したがって、コントローラ60は、ステップS165にて「No」と判定し、ステップS166にて変位量V(n)をクリアし、ステップS167にてフォーカスサーボ回路46によるフォーカスサーボ制御を停止させ、ステップS168にて変数Pを「0」に変更した後、図5AのステップS155に進む。
コントローラ60は、ステップS155にて、変数nに「1」を加算した値n+1をゼロクロス点検出回路53に出力して記憶させ、ステップS106〜S113の処理により、サーボ用レーザ光の焦点位置を第n記録層Nnに移動する。この場合、変数nは記録層数zを表しているので、サーボ用レーザ光の焦点位置は最終記録層Nzに移動する。そして、コントローラ60は、図5BのステップS114〜S120の処理により、最終記録層Nzの変位量を変位量V(n=z)として記憶して、ステップS120の「Yes」との判定のもとにステップS125に進む。この場合、前記図5CのステップS168の処理により、変数Pは「0」に設定されているので、ステップS125にて「No」と判定して、前述したステップS126,S127の処理による変位量V(1)〜V(n)の並び換え及び変位量V(1)〜V(n)のそれぞれの増加量の確認後、ステップS128にてこの変位量検出ルーチンの実行を終了するか、ステップS129の処理を経てふたたび変位量検出ルーチンを最初から実行する。
さらに、前述した図5AのステップS106〜S113の処理により、サーボ用レーザ光の焦点位置が最初に第3記録層N3に移動してしまったり、前記図5AのステップS156〜S158,S106〜S113のサーボ用レーザ光の焦点位置の第1記録層N1への移動に失敗し、さらにステップS164でジャンプ処理を失敗する可能性もないわけではない。このよう場合、第z記録層Nzからのフォーカスジャンプを連続して失敗することになるため、前述した図5AのステップS154,S151の処理により、ふたたび変位量検出ルーチンが最初すなわちステップS101から実行される。
このようなサーボ用レーザ光の焦点位置の移動に関する各種失敗への対応処理により、第1記録層N1〜第z記録層Nzの変位量が変位量V(1)〜V(n)として正確に記憶される。また、図5BのステップS127の確認処理により、変位量V(1)〜V(n)はより正確なものとなる。さらに、後述する図6の初期化ルーチンも含めて前記のような各種失敗への対応処理によりディスク初期化プログラムが長い時間にわたって終了しない場合には、表示装置62にその旨を表示して、作業者に注意を促したり、ディスク初期化プログラムの実行を終了するとよい。この場合、図示しない時間計測を行うプログラムの実行をディスク初期化プログラムの開始とともに開始させ、ある程度長い所定時間が経過した場合には、前記処置をとるようにすればよい。
上記変位量検出ルーチンの終了後、コントローラ60は、図6のステップS200にて初期化ルーチンの実行を開始する。この初期化ルーチンの実行開始後、コントローラ60は、ステップS201にて変数mを記録層数zに設定し、ステップS202にてフォーカスジャンプ信号発生回路48を制御して、サーボ用レーザ光の焦点位置を第m記録層Nm(すなわち第z記録層Nz)にフォーカスジャンプさせる。このステップS202の処理においては、サーボ用レーザ光の焦点位置が初期化の開始記録層である第m記録層Nm上にあればフォーカスジャンプさせる必要はない。しかし、上述した変位量検出ルーチンの処理終了時に、サーボ用レーザ光の焦点位置は必ずしも第m記録層Nm上にあるとは限らない。この場合、変数nは、サーボ用レーザ光が合焦している記録層Nn上にあるので、コントローラ60は、フォーカスジャンプ信号発生回路48を制御して、サーボ用レーザ光の焦点位置をm−n層分だけ下層側の記録層にフォーカスジャンプさせる。例えば、サーボ用レーザ光の焦点位置が第1記録層N1上にあれば、m−1回(すなわちz−1回)だけサーボ用レーザ光の焦点位置を下層側の記録層にフォーカスジャンプさせて、サーボ用レーザ光を最終記録層Nzに合焦させる。
次に、コントローラ60は、上述した図5AのステップS112の処理と同様なステップS203にて、フォーカスサーボ制御が機能しているかを判定する。まず、前記ステップS202のフォーカスジャンプ処理が的確に行われた場合について説明する。この場合、コントローラ60は、ステップS203にて「Yes」と判定して、上述した図5BのステップS114〜S117の処理と同様なステップS204〜S207の処理により、第m記録層Nmに関して所定数qの印加電圧のサンプリング値における平均値Vaveを計算する。
そして、ステップS208にて、前記計算した平均値Vaveと上述した変位量検出ルーチンの処理により記憶しておいた第m記録層Nmの変位量V(m)との差の絶対値|Vave−V(m)|が所定の小さな値ΔV未満であるかを判定する。この場合、前記ステップS202のフォーカスジャンプ処理が正しく行われていれば、前記平均値Vaveと変位量V(m)はほぼ等しいので、|Vave−V(m)|<ΔVの関係が成立する。したがって、この場合には、コントローラ60は、ステップS208にて「Yes」と判定して、ステップS209以降の処理を実行する。
ステップS209においては、コントローラ60は、初期化用レーザ駆動回路41の作動を開始させる。これにより、初期化用レーザ駆動回路41は初期化用レーザ光源21を駆動するので、初期化用レーザ光源21は初期化用レーザ光を出射し始める。出射されたレーザ光は、コリメートレンズ23、偏光ビームスプリッタ24、ダイクロイックミラー25、1/4波長板26及び対物レンズ27を介して光ディスクDKの第m記録層Nmに集光されて合焦して、初期化用光スポットを形成する。なお、この状態では、初期化用光スポットの端は、光ディスクDKの径方向における初期化開始半径位置(最内周トラック位置)に位置している。
次に、コントローラ60は、ステップS210にて、フィードモータ制御回路17に径方向送り速度を表す信号を含む制御信号を供給して、初期化用光スポットの光ディスクの径方向送り制御を開始する。この径方向送り速度は、初期化用光スポットの径方向長さと光ディスクDKの回転速度との関係から計算されるもので、光ディスクDKが1回転する間に、初期化用光スポットが径方向に同光スポットの径方向長さ(正確には、初期化用光スポットの径方向の長さより若干短い長さ)だけ移動するように定められる。フィードモータ制御回路17は、エンコーダ12aからの回転検出信号から計算される送り速度が、前記制御信号として供給される径方向送り速度に一致するようにフィードモータ12の回転を制御する。したがって、初期化用光スポットは光ディスクDKの径方向に前記径方向送り速度で相対移動し始める。その結果、光ディスクDKの第m記録層Nmは、初期化開始半径位置(最内周トラック位置)から、径方向外側に向かって順に初期化される。
前記ステップS210の処理後、コントローラ60は、ステップS211にて、エンコーダ12aからの回転検出信号から計算される半径位置と初期化用光スポットの径方向長さとより、フィードモータ12による光ディスクDKの移動によって初期化用光スポットの端が初期化終了半径位置(最外周トラック位置)に達したかを判定する。初期化用光スポットの端が初期化終了半径位置に達するまで、ステップS211における「No」との判定のもとに、初期化用光スポットは初期化終了半径位置に向かって移動する。初期化用光スポットの端が初期化終了半径位置に達すると、コントローラ60は、ステップS211にて「Yes」と判定して、ステップS212〜S214の処理を実行する。この状態では、光ディスクDKの第m記録層Nmの初期化が終了している。ステップS212においては初期化用レーザ駆動回路41の作動が停止制御されて、初期化用レーザ光源21による初期化用レーザ光の出射が停止する。ステップS213においては、フィードモータ制御回路17が制御されて、フィードモータ12による初期化用光スポットの径方向送りが停止する。ステップS214においては、フォーカスサーボ回路46の作動が停止制御されて、フォーカスサーボ制御が停止する。前記ステップS214の処理後、コントローラ60は、図5AのステップS103と同様なステップS215の処理により、フィードモータ制御回路17を制御して、初期化開始位置に初期化用光スポットの端が形成されるように、光ディスクDKを移動させる。
次に、コントローラ60は、ステップS216にて、変数mが「1」すなわち第1記録層N1の初期化が終了したかを判定する。変数mが「1」でなければ、コントローラ60は、ステップS216にて「No」と判定し、ステップS220にて変数mから「1」を減算して、ステップS221に進む。ステップS221においては、コントローラ60は、変数m+1をゼロクロス点検出回路53に出力して記憶させる。そして、コントローラ60は、上述した図5AのステップS106〜S110の処理と同様なステップS222〜S226の処理を実行して、サーボ用レーザ光の焦点位置を前記減算した変数mによって指定される第m記録層Nmまで移動する。これにより、サーボ用レーザ光の焦点位置は、前記初期化した記録層よりも上層側へ1層だけ移動する。これらのステップS222〜S226の処理後、コントローラ60は、ステップS227にて、フォーカスサーボ回路46を制御してフォーカスサーボ制御を開始させる。
前記ステップS227の処理後、コントローラ60は、ステップS203に戻り、同ステップS203にてフォーカスサーボ制御が機能しているかを判定する。フォーカスサーボ制御が機能していれば、前述したステップS204〜S215の処理により、変数mによって指定される記録層Nmが初期化される。そして、変数mが「1」に達するまで、ステップS220の処理によって変数mが更新されて、ステップS221〜S227の処理によりサーボ用レーザ光の焦点位置が1つ上層側の記録層に移動されて、同移動された記録層にフォーカスサーボ制御される。このようにして、光ディスクDKの記録層が第z記録層Nzから上層側に向かって順次初期化されて、第1記録層N1まで初期化される。その結果、変数mが「1」に達すると、コントローラ60は、ステップS216にて「Yes」と判定し、ステップS217にてサーボ用レーザ駆動回路42を制御してサーボ用レーザ光の光ディスクDKに対する照射を停止し、ステップS218にてスピンドルモータ制御回路14を制御してスピンドルモータ12の作動を停止させて、ステップS219にてこの初期化ルーチンの実行を終了する。
一方、ステップS202,S221〜S227の処理によるサーボ用レーザ光の焦点位置の移動に失敗して、ステップS207の処理により計算した平均値Vaveと第m記録層Nmの変位量V(m)との差の絶対値|Vave−V(m)|が所定値ΔV以上であるときには、コントローラ60は、ステップS208にて「No」と判定してステップS230に進む。ステップS230においては、平均値Vaveが変数mによって指定される変位量V(m)よりも大きいかを判定する。サーボ用レーザ光の焦点位置が変数mによって指定される記録層Nmより下層側にあれば、平均値Vaveは変数V(m)よりも大きい。したがって、この場合には、コントローラ60は、ステップS230にて「Yes」と判定し、上述した図5BのステップS143の処理と同様なステップS231の処理により、フォーカスジャンプ信号発生回路48を制御して、サーボ用レーザ光の焦点位置を1層だけ上層側の記録層へ移動させる。逆に、サーボ用レーザ光の焦点位置が変数mによって指定される記録層Nmより上層側にあれば、平均値Vaveは変数V(m)よりも小さい。したがって、この場合には、コントローラ60は、ステップS230にて「No」と判定し、上述した図5BのステップS122と同様なステップS231の処理により、フォーカスジャンプ信号発生回路48を制御して、サーボ用レーザ光の焦点位置を1層だけ下層側の記録層へ移動させる。そして、前述したステップS203〜S208の処理を実行して、ステップS207の処理により計算した平均値Vaveと第m記録層Nmの変位量V(m)との差の絶対値|Vave−V(m)|が所定値ΔV未満になるまで、ステップS230〜S232の処理を実行する。前記差の絶対値|Vave−V(m)|が所定値ΔV未満になれば、ステップS209〜S211の処理により、サーボ用レーザ光が合焦してている記録層Nmが初期化される。その結果、前記サーボ用レーザ光の焦点位置の移動に失敗しても、記録層Nzから記録層N1までが順に初期化される。
また、前記ステップS202,S227,S231,S232の処理後のフォーカス引き込みの失敗により、フォーカスサーボ制御が機能しない場合には、コントローラ60は、ステップS203にて「No」と判定してステップS230に進む。ステップS230においては、コントローラ60は、フォーカスサーボ回路46を制御してフォーカスサーボ制御を停止する。そして、コントローラ60は、前述したステップS221〜S227の処理を実行して、サーボ用レーザ光の焦点位置を変数mによって指定される記録層Nmに再度移動させるとともにフォーカスサーボ制御して、前述したステップS204〜S215の処理により同記録層Nmを初期化する。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、変位量検出ルーチンによって光ディスクDKの記録層N1〜Nzに対応した対物レンズ34の変位量V(1)〜V(z)が予め検出されて記憶される。そして、光ディスクDKの複数の記録層N1〜Nzの初期化においては、前記変位量V(1)〜V(z)を用いて、サーボ用レーザ光の焦点位置の各記録層N1〜Nzへの移動を確認するようにした。そして、サーボ用レーザ光の焦点位置と初期化用レーザ光の焦点位置とは対応しているので、各記録層N1〜Nzへの初期化用レーザ光の焦点位置の移動も確実に行われて、各記録層N1〜Nzの初期化も確実に行われる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記実施形態においては、対物レンズ27及びフォーカスアクチュエータ34の変位量を、ドライブ回路44からフォーカスアクチュエータ34に印加される印加電圧の複数のサンプリング値(瞬時値)を平均して検出するようにした。しかし、これに代えて、図1に破線で示すように、フォーカスアクチュエータ34aに対物レンズ27の変位量を検出するポジションセンサ34aを設ける。さらに、コントローラ60により制御されてポジションセンサ34aから検出値を入力してコントローラ60に出力するポジション検出回路71を設け、対物レンズ27及びフォーカスアクチュエータ34の変位量の検出に用いるようにしてもよい。この場合、図5BのステップS114〜S117及び図6のステップS204〜S207にて、前記印加電圧に代えて、所定時間ごとにポジションセンサ34aによる複数の検出値をポジション検出回路71から取り込んで平均値を計算するようにすればよい。
また、上記実施形態においては、図5BのステップS122,S143、図5CのステップS164、図6のステップS202,S231,S232においては、フォーカスジャンプ処理を実行するようにした。しかし、これに代えて、これらのステップの処理においても、図5AのステップS102(又はS155,S157),S106〜S110、及び図6のステップS221〜S226のようなフォーカス引き込み処理を採用してもよい。
また、上記実施形態では、光ディスクDKの複数の記録層N1〜Nzを初期化する際、最下記録層Nzから上層側の記録層に向かって順番に初期化するようにした。しかし、これに代えて、最上記録層N1から下層側の記録層に向かって順番に初期化するようにしてもよい。この場合、初期化の開始時に変数mを「1」に設定して、図6のステップS220の処理により変数mを「1」ずつ増加させて、ステップS221にて変数mが記録層数zに達した時点で、初期化ルーチンの実行を終了するようにすればよい。さらに、初期化する順番を作業者が入力して、作業者が指定した順に記録層を初期化するようにしてもよい。この場合、予め初期化する記録層の順番を事前に入力しておいてもよいし、初期化ルーチンにて1つの記録層の初期化を終了するごとに次に初期化する記録層を指定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、サーボ用レーザ光源22からのレーザ光を用いてフォーカスサーボ制御及びフォーカスサーボ引き込み制御を行うようにした。しかし、これに代えて、初期化用レーザ光源21からのレーザ光を用いてフォーカスサーボ制御及びフォーカスサーボ引き込み制御を行うようにしてもよい。この場合、対物レンズ27を駆動するためのフォーカスアクチュエータ34の変位量の検出時など、光ディスクDKを初期化するための制御時以外における初期化用レーザ光のレーザ強度を、光ディスクDKが初期化されない程度に弱くするようにする。
さらに、上記実施形態においては、多層型光ディスクDKの各記録層N1〜Nzをそれぞれ初期化する初期化装置に本発明を適用した例について説明した。しかし、本発明は、前記初期化装置以外においても、多層型光ディスクDKの指定された記録層へのデータの書込み又は指定された記録層からのデータの読み出しの際に、指定された記録層にレーザ光を合焦させる場合にも適用できる。例えば、多層型光ディスクDKのそれぞれの記録層にBCA(Burst Cutting Area)データを記録するBCA記録装置にも適用できる。
DK…光ディスク、10…回転駆動装置、14…スピンドルモータ制御回路、17…フィードモータ制御回路、20…光ピックアップ、21…初期化用レーザ光源、22…サーボ用レーザ光源、27…対物レンズ、34…フォーカスアクチュエータ、34a…ポジションセンサ、45…フォーカスエラー信号生成回路、46…フォーカスサーボ回路、48…フォーカスジャンプ信号発生回路、51…往復動信号発生回路、52…印加電圧検出回路、53…ゼロクロス点検出回路、60…コントローラ、71…ポジション検出回路。