JP4914793B2 - 画像形成装置、着弾位置ずれ補正方法 - Google Patents

画像形成装置、着弾位置ずれ補正方法 Download PDF

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Description

本発明は液滴を吐出する記録ヘッドを備える画像形成装置、記録ヘッドから吐出される液滴の着弾位置を補正する方法に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)で構成した記録ヘッドを含む液体吐出装置を用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体としての記録液(以下、インクという。)を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行なうものがある。
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を吐出して着弾させること)をも意味し、捺染装置や金属配線を形成する装置なども含むものである。また、「インク」とは、画像形成を行うことができる液体であれば特に限定されるものではない。
このような液体吐出方式の画像形成装置において、特に、液滴を吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジを往復移動させて、往路及び復路の双方向で印字を行うようにした場合、印字画像が罫線であるとき、往路と復路で罫線の位置ずれが発生し易いという問題がある。また、異なる色を重ねるときに色重ねずれが発生し易いという問題がある。
そのため、一般的に、インクジェット記録装置などでは、着弾位置ズレ調整用のテストチャートを出力し、ユーザが最適値を選んで入力し、入力された結果に基づいて吐出タイミングの調整などを行うようにすることが行われているが、テストチャートの見方には個人差があり、また、操作に不慣れなためデータ入力ミスの発生などが考えられるので、逆に調整の不具合を招いてしまうことが考えられる。
そこで、従来、特許文献1、同2には、搬送ベルト上にテストパターンを形成し、このテストパターンをセンサにて読取ることが記載されている。
特公平4−39041号公報 特開2005−342899号公報
また、特許文献3には、記録紙にテストパターンを形成し、このテストパターンをセンサにて読取ることが記載されている。
特開2004−314361号公報
しかしながら、上述したように搬送ベルト上にテストパターンを形成してセンサにて読取る場合、例えば搬送ベルトの色とインクの色の組合せによっては色の差が小さいため正確に読取ることが困難である。そこで、色検出を正確に行うために色ごとに波長を変化させた光源を使用し検出するなどの構成が必要であり、実際上、従来の技術では搬送ベルト上にテストパターンを形成して、これを正確に読取ることはできない。
例えば、搬送ベルトが静電吸着ベルトであって、表面の絶縁層と裏面の中抵抗層とで形成されており、中抵抗層の導電性を得るためにカーボンが練りこまれているような場合、ベルトの外観上の色は黒となることから、色による反射だけでパターンを検出しようとしても黒インクと区別がつかなくなり、パターンを検出することはできない。
そこで、本出願人は、先に、搬送ベルト面上に独立したインク滴で構成されるパターンを形成し、そのインク滴が半球形状になる特性を生かして、単波長の光をインク滴に照射し、パターンが形成されていることによる正反射光量の減衰量を検出することで、パターンの位置検出及び位置ずれの検出を正確に行うことを提案している。
また、このようにして搬送ベルト上に液滴着弾位置ずれ検出用のパターンを形成して、正確にパターンの読取が行えるようにしても、搬送ベル面上にキズや曇りなど、インク滴の反射特性を損なうような状態が生じていると、パターンを形成しても搬送ベルト面との差異が小さくなり、検出感度が下がり、正確なパターンが検出できなってしまうという別の課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、予め搬送ベルトの表面状態を読取ることでパターンを形成することが可能な領域を検出して、当該パターンを形成することが可能な領域に液滴着弾位置ずれ検出用のパターンを形成できるようにして、パターンの検出精度を高めることを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
液滴を吐出する記録ヘッドをキャリッジに搭載して、撥水性を有する搬送ベルトで搬送される被記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
前記搬送ベルト上に、着弾位置ずれ検出用の基準パターンと被測定パターンとを所定の間隔で形成するパターン形成手段と、
前記キャリッジに搭載され、前記各パターンを読取るパターン読取り手段と、
前記パターン読取り手段の読取り結果に基づいて前記記録ヘッドからの液滴の着弾位置ずれを補正する手段と、
前記各パターンを形成する前に、前記搬送ベルトの表面状態を前記パターン読取り手段で読取るプレ読取りを行わせ、この読取り結果に基づいて前記搬送ベルト上の前記各パターンを形成することが可能なパターン形成可能領域を判別する手段と、を備え、
前記パターン形成可能領域に前記パターン形成手段で前記各パターンを形成し、
前記各パターンはそれぞれ、前記パターン読取り手段の検出領域内で独立した複数の液滴が配置されて構成されており、
前記パターン読取り手段は正反射光の受光量の変化で各パターンを読取る
構成とした。
本発明に係る着弾位置ずれ補正方法は、
記録ヘッドから吐出される液滴の着弾位置を補正する方法であって、
被記録媒体を搬送する撥水性を有する搬送ベルトの表面状態を、前記記録ヘッドが搭載されたキャリッジに備えられたパターン読取りセンサによって読取り、この読取り結果に応じて着弾位置ずれ検出用パターンを形成することが可能なパターン形成可能領域を判別する工程と、
前記判別結果で得られたパターン形成可能領域に、前記パターン読取りセンサの検出領域内で独立した複数の液滴が配置されて構成された、着弾位置ずれ検出用の基準パターンと被測定パターンとを所定の間隔で形成する工程と、
前記パターン読取りセンサが正反射光の受光量の変化で前記各パターンを読取る工程と、
この読取り結果に基づいて前記記録ヘッドからの液滴の着弾位置ずれ補正をする工程とを行う
構成とした。
本発明によれば、高い精度で着弾位置ズレの補正を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る着弾位置ずれ補正方法を実施する本発明に係る画像形成装置の一例の概要について図1ないし図5を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成を示す概略構成図、図2は同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図、図3は同じく一部透過状態で示す側面説明図である。
この画像形成装置は、装置本体1の内部(筺体内)に、用紙を搬送しながら画像を形成するための画像形成部(手段)2及び用紙を搬送するための副走査搬送部(手段)3等を有し、装置本体1の底部に設けた給紙カセットを含む給紙部(手段)4から用紙5を1枚ずつ給紙して、副走査搬送部3によって用紙5を画像形成部2に対向する位置で搬送しながら、画像形成部2によって用紙5に液滴を吐出して所要の画像を形成(記録)した後、排紙搬送部(手段)7を通じて装置本体1の上面に形成した排紙トレイ8上に用紙5を排紙する。
また、この画像形成装置は、画像形成部2で形成する画像データ(印刷データ)の入力系として、装置本体1の上部で排紙トレイ8の上方には画像を読み取るための画像読取部(スキャナ部)11を備えている。この画像読取部11は、照明光源13とミラー14とを含む走査光学系15と、ミラー16、17を含む走査光学系18とが移動して、コンタクトガラス12上に載置された原稿の画像の読取りを行い、走査された原稿画像がレンズ19の後方に配置した画像読取り素子20で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化され画像処理され、画像処理した印刷データを印刷することができる。
ここで、この画像形成装置の画像形成部2は、図2にも示すように、ガイドロッド21及び図示しないガイドレールでキャリッジ23を片持ちで主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28Aと従動プーリ28B間に架け渡したタイミングベルト29を介して主走査方向に移動走査する。
ここで、この画像形成装置の画像形成部2は、図2にも示すように、前側板101Fと後側板101Rとの間に横架した主ガイド部材であるキャリッジガイド(ガイドロッド)21と後ステー101B側に設けた従ガイド部材であるガイドステー22で、キャリッジ23を主走査方向に移動可能に保持し、主走査モータ27で駆動プーリ28Aと従動プーリ28B間に架け渡したタイミングベルト29を介して主走査方向に移動走査する。
そして、このキャリッジ23上には、それぞれブラック(K)インクを吐出する2個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24k1、24k2と、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクを吐出するそれぞれ1個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド24c、24m、24y(色を区別しないとき及び総称するときは「記録ヘッド24」という。)の計5個の液滴吐出ヘッドを搭載し、キャリッジ23を主走査方向に移動させ、副走査搬送部3によって用紙5を用紙搬送方向(副走査方向)に送りながら記録ヘッド24から液滴を吐出させて画像形成を行うシャトル型としている。
また、キャリッジ23には各記録ヘッド24に所要の色の記録液を供給するためにサブタンク25を搭載している。一方、図1に示すように、装置本体1の前面からカートリッジ装着部26Aに、ブラック(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した記録液カートリッジである各色のインクカートリッジ26を着脱自在に装着でき、各色のインクカートリッジ26から各色のサブタンク25に図示しないチューブを介してインク(記録液)を補充供給する。なお、ブラックインクは1つのインクカートリッジ26から2つのサブタンク25に供給する構成としている。
なお、記録ヘッド24としては、インク流路内(圧力発生室)のインクを加圧する圧力発生手段(アクチュエータ手段)として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどを用いることができる。
また、キャリッジ23の主走査方向に沿って前側板101Fと後側板101Rとの間に、スリットを形成したリニアスケール128を張装し、キャリッジ23にはリニアスケール128のスリットを検知する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ129を設け、これらのリニアスケール128とエンコーダセンサ129によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダを構成している。
また、キャリッジ23の一側面には、本発明に係る着弾位置ずれ検出用パターン(調整パターンという。)の読取りを行うための発光手段及び受光手段を含む反射型フォトセンサで構成した読取り手段(検出手段)であるパターン読取りセンサ401を備え、このパターン読取りセンサ401によって後述するように搬送ベルト31上に形成された着弾位置ずれ検出用の調整パターンを読み取る。また、キャリッジ23の他側面には、搬送される被搬送部材の先端を検出するシート材検出手段であるシート材検知センサ(先端検知センサ)330を備えている。
さらに、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド24のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(装置)121を配置している。この維持回復機構121は、5個の記録ヘッド24の各ノズル面24aをキャッピングするキャップ部材である、1個の保湿用を兼ねた吸引用キャップ122aと、4個の保湿用キャップ122b〜122eと、記録ヘッド24のノズル面24aをワイピングするためのワイピング部材であるワイパーブレード124と、空吐出を行うための空吐出受け125とが配置されている。また、キャリッジ23の走査方向の他方側の非印字領域には、空吐出を行うための空吐出受け126を配置している。この空吐出受け126には開口127a〜127eを形成している。
副走査搬送部3は、図3にも示すように、下方から給紙された用紙5を略90度搬送方向を転換させて画像形成部2に対向させて搬送するための、駆動ローラである搬送ローラ32とテンションローラである従動ローラ33間に架け渡した無端状の搬送ベルト31と、この搬送ベルト31の表面を帯電させるために高圧電源から交番電圧である高電圧が印加される帯電手段である帯電ローラ34と、搬送ベルト31を画像形成部2の対向する領域でガイドするガイド部材35と、保持部材136に回転自在に保持されて、用紙5を搬送ローラ32に対向する位置で搬送ベルト31に押し付ける加圧コロ36、37と、画像形成部2によって画像が形成された用紙5の上面側を押えるガイド板38と、画像が形成された用紙5を搬送ベルト31から分離するための分離爪39とを備えている。
搬送ベルト31は、DCブラシレスモータを用いた副走査モータ131によって、タイミングベルト132及びタイミングローラ133を介して搬送ローラ32が回転されることで用紙搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。なお、搬送ベルト31は、例えば、図4に示すように、抵抗制御を行っていない純粋な樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層31Aと、この表層31Aと同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)31Bとの2層構造としているが、これに限るものではなく、1層構造あるいは3層以上の構造でも良い。
また、従動ローラ33と帯電ローラ34との間に、搬送ベルト31の移動方向上流側から、搬送ベルト31の表面に付着した紙粉等を除去するためのクリーニング手段とし搬送ベルト31表面に当接する当接部材であるPETフィルムからなるマイラ(紙粉除去手段)191と、同じく搬送ベルト31表面に当接するブラシ形状のクリーニングブラシ192と、搬送ベルト31表面の電荷を除去するための除電ブラシ193とを備えている
さらに、搬送ローラ32の軸32aには高分解能のコードホール137を取り付け、このコードホイール137に形成したスリット137aを検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ138を設けて、これらのコードホイール137とエンコーダセンサ138によってロータリエンコーダを構成している。
給紙部4は、装置本体1に抜き差し可能で、多数枚の用紙5を積載して収納する収容手段である給紙カセット41と、給紙カセット41内の用紙5を1枚ずつ分離して送り出すための給紙コロ42及びフリクションパッド43と、給紙される用紙5をレジストするレジストローラ対44とを有している。
また、この給紙部4は、多数枚の用紙5を積載して収容するための手差しトレイ46及び手差しトレイ46から1枚ずつ用紙5を給紙するための手差しコロ47と、装置本体1の下側にオプションで装着される給紙カセットや両面ユニットから給紙される用紙5を搬送するための縦搬送コロ48を備えている。給紙コロ42、レジストローラ44、手差しコロ47、縦搬送コロ48などの副走査搬送部3へ用紙5を給送するための部材は図示しない電磁クラッチを介してHB型ステッピングモータからなる給紙モータ(駆動手段)49によって回転駆動される。
排紙搬送部7は、副走査搬送部3の分離爪39で分離された用紙5を搬送する3個の搬送ローラ71a、71b、71c(区別しないときは「搬送ローラ71」という。)及びこれに対向する拍車72a、72b、72c(同じく「拍車72」という。)と、用紙5を反転してフェイスダウンで排紙トレイ8へ送り出すための反転ローラ対77及び反転排紙ローラ対78とを備えている。また、
また、1枚手差し給紙を行なうために、図1にも示すように、装置本体1の一側部側に、1枚手差し給紙トレイ141を装置本体1に対して開閉可能(開倒可能)に設け、1枚手差しを行なうときには1枚手差し給紙トレイ141を仮想線図示の位置に開倒する。この1枚手差し給紙トレイ141からの手差し給紙される用紙5は、ガイド板110の上面でガイドされてそのまま副走査搬送部3の搬送ローラ32と加圧コロ36との間に直線的に差し込むことができる。
一方、画像形成が行われた用紙5をフェイスアップでストレートに排紙するため、装置本体1の他側部側にストレート排紙トレイ181を開閉可能(開倒可能)に設けている。このストレート排紙トレイ181を開く(開倒)ことで、排紙搬送部7から送り出される用紙5を直線的にストレート排紙トレイ181に排紙することができる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5のブロック図を参照して説明する。
この制御部300は、CPU301と、CPU301が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行なう画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを含む、この装置全体の制御を司るとともに本発明に係る調整パターンの形成、調整パターンの検出、着弾位置調整(補正)などに関わる制御を司る主制御部310を備えている。
また、この制御部300は、ホスト側と主制御部310との間に介在して、データ、信号の送受を行なうための外部I/F311と、記録ヘッド24を駆動制御するためのヘッドデータ生成配列変換用ASICなどで構成されるヘッドドライバ(実際には記録ヘッド24側に設けられる。)を含むヘッド駆動制御部312と、キャリッジ23を移動走査する主走査モータ27を駆動するための主走査駆動部(モータドライバ)313と、副走査モータ131を駆動するための副走査駆動部(モータドライバ)314と、給紙モータ49を駆動するための給紙駆動部315と、排紙部7の各ローラを駆動する排紙モータ79を駆動するための排紙駆動部316と、帯電ベルト34にACバイアスを供給するACバイアス供給部319と、その他図示しないが、維持回復機構121を駆動する維持回復モータを駆動するための回復系駆動部、両面ユニットが装着された場合に両面ユニットを駆動する両面駆動部、各種のソレノイド(SOL)類を駆動するソレノイド類駆動部(ドライバ)と、電磁クラック類などを駆動するクラッチ駆動部と、画像読取部11を制御するスキャナ制御部325とを備えている。
また、主制御部に310は、搬送ベルト31の周囲の温度及び湿度(環境条件)を検出する環境センサ234などの各種検出信号を入力する。なお、主制御部310には、その他の図示しない各種センサの検出信号も入力されるが図示を省略している。また、主制御部310は、装置本体1に設けたテンキー、プリントスタートキーなどの各種キー及び各種表示器を含む操作/表示部327との間で必要なキー入力の取り込み、表示情報の出力を行なう。
また、この主制御部310には、前述したキャリッジ位置を検出するリニアエンコーダを構成するフォトセンサ(エンコーダセンサ)129からの出力信号が入力され、主制御部310は、この出力信号に基づいて主走査駆動部315を介して副走査モータ27を駆動制御することでキャリッジ23を主走査方向に往復移動させる。また、この主制御部310には、前述した搬送ベルト31の移動量を検出するロータリエンコーダを構成するフォトセンサ(エンコーダセンサ)138からの出力信号(パルス)が入力され、主制御部310は、この出力信号に基づいて副走査駆動部314を介して副走査モータ131を駆動制御することで搬送ローラ32を介して搬送ベルト31を移動させる。
また、主制御部310は、搬送ベルト31上に調整パターンを形成する処理を行い、形成した調整パターンに対し、キャリッジ23に搭載したパターン読取りセンサ401の発光手段を発光させる発光駆動制御を行うとともに、受光手段の出力信号を入力して調整パターンを読取り、この読取り結果から着弾位置ずれ量を検出し、更に着弾位置ずれ量に基づいて記録ヘッド24の液滴吐出タイミングを着弾位置ずれがなくなるように補正する制御を行う。なお、この詳細については後述する。
このように構成した画像形成装置における画像形成動作について簡単に説明すると、搬送ベルト31を駆動する搬送ローラ32の回転量を検出して、この検出した回転量に応じて副走査モータ131を駆動制御するとともに、ACバイアス供給部319から帯電ローラ34に交番電圧である正負極の矩形波の高電圧を印加し、これによって、搬送ベルト31には正と負の電荷が搬送ベルト31の搬送方向に対して交互に帯状に印加され、搬送ベルト31上に所定の帯電幅で帯電が行われて不平等電界が生成される。
そこで、用紙5が給紙部4から給紙されて、搬送ローラ32と第1加圧コロ36との間に送り込まれて、正負極の電荷が形成されることによって不平等電界が発生している搬送ベルト31上へと送り込まれると、用紙5は電界の向きにならって瞬時に分極し、静電吸着力で搬送ベルト31上に吸着され、搬送ベルト31の移動に伴って搬送される。
そして、この搬送ベルト31で用紙5を間歇的に搬送し、キャリッジ23を主走査方向に移動しながら停止している用紙5上に記録ヘッド24から記録液の液滴を吐出して画像を記録(印刷)し、印刷が行われる用紙5の先端側を分離爪39で搬送ベルト31から分離して排紙搬送部6に送り出し、排紙トレイ7に排出させる。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ23は維持回復機構121側に移動されて、キャップ122で記録ヘッド24のノズル面がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、吸引及び保湿用キャップ122aで記録ヘッド24をキャッピングした状態でノズルから記録液を吸引し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行い、この回復動作によって記録ヘッド24のノズル面に付着したインクを清掃除去するためにワイパーブレード124でワイピングを行なう。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを空吐出受け125に向けて吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド24の安定した吐出性能を維持する。
次に、この画像形成装置における液滴着弾位置ずれ補正制御に係わる部分について図6及び図7を参照して説明する。なお、図6は液滴着弾位置ずれ補正部を機能的に説明するブロック説明図、図7は同じく液滴着弾位置ずれ補正動作の説明に供する説明図である。
まず、キャリッジ23には、図7及び図8にも示すように、パターン形成部材である撥水性部材である搬送ベルト31上に形成される着弾位置ずれ検出用パターン(調整パターンというが、テストパターン、検出パターンなども同義で使用する。)400を検知する読取り手段であるパターン読取りセンサ401が備えられている。なお、調整パターン400は、図7に示す、少なくとも基準パターン400aと被測定パターン400bとで構成される全体を意味する。
このパターン読取りセンサ401は、主走査方向と直交する方向に並ぶ、搬送ベルト31上の調整パターン400に対して発光する発光手段である発光素子402と、調整パターン501からの正反射光を受光する受光手段である受光素子403とをホルダ404に保持してパッケージ化したものである。なお、ホルダ404の出射部及び入射部にはレンズ405が設けられている。
なお、パターン読取りセンサ401内での発光素子402及び受光素子403は、図2に示すように、キャリッジ23の走査方向に対して直交する方向に配置している。これにより、キャリッジ23の移動速度変動による検出結果への影響を低減することができる。また、発光素子402としてはLEDなど赤外領域や可視光など比較的単純かつ安価な光源を用いることできる。また、光源のスポット径(検出範囲、検出領域)は高精度のレンズを使用せずに安価なレンズを使用するためにmmオーダーの検出範囲となっている。
調整パターン形成/読取り制御手段501は、着弾位置ずれ補正が指示されたときには、後述するパターン形成可能領域判別手段506で判別された搬送ベルト31上のパターン形成可能領域に対して、キャリッジ23を主走査方向に走査するとともに液滴吐出制御手段502を介して液滴吐出手段である記録ヘッド24から液滴を吐出させて、複数の独立した液滴500で構成されるライン状の基準パターン400aと被測定パターン400b(これらを調整パターン400という。)を形成する。
また、調整パターン形成/読取り制御手段501は、搬送ベルト31上に形成した調整パターン400をパターン読取りセンサ401で読取る制御を行う。この調整パターン読取り制御は、キャリッジ23を主走査方向に移動させながらパターン読取りセンサ401の発光素子402を発光駆動し、搬送ベルト31上の調整パターン400に対して発光素子402からの出射光を照射させる。
パターン読取りセンサ401は、搬送ベルト31上の調整パターン400に発光素子402からの射出光が照射されることで、調整パターン400から反射される正反射光が受光素子403に入射され、受光素子403からは調整パターン400からの正反射光の受光量に応じた検知信号が出力されて着弾位置補正手段505の着弾位置ずれ量演算手段503に入力される。
着弾位置補正手段505の着弾位置ずれ量演算手段503は、パターン読取りセンサ401の受光素子403の出力結果に基づいて調整パターン400の位置を検出して基準位置に対するずれ量(液滴着弾位置ずれ量)を算出する。この着弾位置ずれ量演算手段503で算出された着弾位置ずれ量は吐出タイミング補正量演算手段504に与えられ、吐出タイミング補正量演算手段504は着弾位置ずれ量がなくなるように液滴吐出制御手段502が記録ヘッド24を駆動するときの吐出タイミングの補正量を算出して、この算出した吐出タイミング補正量を液滴吐出制御手段502に設定する。これにより、液滴吐出制御手段502は、記録ヘッド24を駆動するときに、補正量に基づいて吐出タイミングを補正した上で記録ヘッド24を駆動するので、液滴着弾位置のずれが低減する。
また、パターン形成可能領域判別手段506は、搬送ベルト31上に調整パターン400を形成する前に、調整パターン形成/読取り制御手段501を介して、キャリッジ23を主走査方向に移動走査させて、パターン読取りセンサ401の発光手段402を発光駆動し、搬送ベルト31からの正反射光を受光素子403で受光させるプレ読取りを行わせ、そのときの受光素子403の出力に基づいて搬送ベルト31上のパターンを形成可能な領域(パターン形成可能領域)を判別し、この判別結果を調整パターン形成/読取り制御手段501に与えることで、調整パターン形成/読取り制御手段501は前述したように搬送ベルト31上のパターン形成可能領域に調整パターン400を形成することができる。
ここで、パターン形成可能領域は、搬送ベルト31上の傷や汚れ、曇りなどがなく、調整パターン400を形成しても、高精度な読取りを行うことができる領域(正常な表面状態の領域)である。
ここで、パターン400の形成とその検出原理について図9ないし図13をも参照して説明する。
まず、図9(b)に示すように、搬送ベルト31上に複数の独立したインク滴500でパターン400を形成する(着弾状態ではインク滴500は半球状となる。)。ここで、1つのインク滴500について、図11にも示すように、発光素子402からの光が照射された場合、インク滴500に入射光601が当たると、インク滴500が丸みを帯びた光沢表面であるため、大部分は拡散反射光602となり正反射光603として検出されるものは僅かとなる。
この場合、搬送ベルト31の表面(ベルト表面)は光沢を帯びており、発光素子401からの光が照射された場合に正反射光を返し易いものとすると、搬送ベルト31上に形成された独立した複数のインク滴500で構成されるパターン400を含めて読取りセンサ401の発光素子402から光を照射して走査した場合、半球状で光沢をもつインク滴500表面にて光が拡散されるためパターン400の部分では正反射光603の量が減少し、正反射光603を受光する受光素子403の出力(センサ出力電圧So)が相対的に小さくなる。
したがって、この読取りセンサ401のセンサ出力電圧Soに基づいて搬送ベルト31上に形成されたパターン400の位置を検出することができる。
これに対し、図10(b)に示すように、搬送ベルト31上でインク滴が隣同士接触してつながってしまった場合、つながったインク滴500の上面はフラット(平坦)になってしまうので、これにより正反射光603が増加し、同図(a)に示すように、センサ出力電圧Soは搬送ベルト31面と略同様な出力値となってしまい、インク滴500の位置を検出することが困難になる。なお、インク滴がくっついてしまった場合でも、つながったインク滴の端部では散乱光が発生するが、範囲が極めて限られるため、検出が困難であり、仮に検出しようとすると、受光素子403で見る面積(検出する領域)を絞り込まなければならず、搬送ベルト31の表面の極わずかな傷やごみなどのノイズ要因に反応してしまうおそれが発生し、検出精度の低下や検出結果の信頼性が低下することになる。
なお、図12に示すように、インク滴500は時間経過とともに乾燥するため表面から光沢が失われ、更に半球形状から徐々に平らになってくるため、正反射光603が生じる範囲及び割合が拡散反射光602に対して相対的に多くなり、搬送ベルト31の表面から反射光と区別がつかなくなる。したがって、正反射光603を受光素子403で受光するとき、図13に示すように、時間の経過と共にセンサ出力電圧Soは搬送ベルト31面からの反射光を受光したときの出力電圧に近づくことになり、時間の経過と共に検知精度が低下することになるので、パターン400を形成した後インク滴500が平坦になる前にパターン400の検出を行うことが好ましい。
このように、インク滴からの正反射光を受光する受光手段からの出力の内の正反射光が減衰している部分を判別することによって、パターンを検出するので、高精度に検出することができる。そして、この場合、パターン400としては、パターン読取りセンサ401の検出領域内で、独立した複数の液滴で構成されていることが好ましい。さらにいえば、インク滴は密集している(検出領域内で液滴の付着面積に対して液滴間の面積が小さい)ことが好ましい。
ここでは、液滴の特有の性質の上に立って、パターンを形成する部材として、撥水性を有する搬送ベルト上に、独立した複数の液滴で構成されるパターンを形成することによって、パターンからの正反射光の受光量の変化でパターンを高精度に検出でき、その結果、高精度にギャップ偏差を検出することができるようになる。
次に、搬送ベルト31上に形成したパターン400の位置検出処理及びパターン400a、400b間の距離算出処理の異なる例について図14ないし図16を参照して説明する。
図14に示す第1例において、図14(a)に示すように搬送ベルト31上に基準パターン400aと400bが形成されているとき、これをセンサ走査方向(キャリッジ主走査方向)にパターン読取りセンサ401で走査することにより読み取ると、パターン読取りセンサ401の受光素子403の出力結果から、同図(b)に示すように、基準パターン400aと被測定パターン400bで立ち下がるセンサ出力電圧Soが得られる。
そこで、このセンサ出力電圧Soと予め定めた閾値Vrとを比較することで、センサ出力電圧Soが閾値Vrを下回った位置を基準パターン400a、被測定パターン400bのエッジとして検出することができる。このとき、閾値Vrとセンサ出力電圧Soとで囲まれた領域(図に斜線を施して示す部分)の面積重心を算出し、この面積重心をパターン400a、400bの中心とすることができ、重心を用いることによって、センサ出力電圧の微小な振れによる誤差を低減することができる。
図15に示す第2例においては、第1例と同様な基準パターン400a、被測定パターン400bをパターン読取りセンサ401で走査することにより、図15(a)に示すようなセンサ出力電圧Soが得られる。センサ出力電圧Soの立ち下がり部分を拡大したものを図15(b)に示している。
ここで、センサ出力電圧Soの立下り部分について、図15(b)の矢示Q1方向に探索して、センサ出力電圧Soが下限閾値Vrdを切る(以下になる)点を点P2として記憶する。次に、点P2より矢示Q2方向に探索して、センサ出力電圧Soが上限閾値Vruを超える点を点P1として記憶する。そして、点P1と点P2の間の出力電圧Soより回帰直線L1を算出し、求めた回帰直線式を用いて、回帰直線L1と上下閾値の中間値Vrcとの交点を算出し交点C1とする。同様にして、センサ出力電圧Soの立上り部分について回帰直線L2を算出し、回帰直線L2と上下閾値の中間値Vrcとの交点を算出し交点C2とする。そして、交点C1と交点C2との中間点から、(交点C1+交点C2)/2にてラインセンタC12を算出する。
図16に示す第3例においては、図16(a)に示すように、第1例と同様に搬送ベルト31上に形成された基準パターン400a、被測定パターン400bを形成し、これを主走査方向にパターン読取りセンサ401で走査することにより、図16(b)に示すようなセンサ出力電圧(光電変換出力電圧)Soが得られる。
このとき、例えば、IIRフィルタで高調波ノイズを除去する処理を行い、次いで検出信号の品質評価(欠落、不安定、余剰の有無)を行い、閾値Vr近傍の傾斜部を検出して回帰曲線を算出する。そして、回帰曲線と閾値Vrとの交点a1、a1、b1、b2を算出し(実際には位置カウンタで演算する。)、交点a1、a2の中間点A、交点b1、b2の中間点Bを演算する。
次に、この画像形成装置における調整パターン400を構成する着弾位置ずれを検出する最小単位(基本パターンともいう。)について図18を参照して説明する。
前述したようにこの画像形成装置における着弾位置ずれ補正方法では、基準となる記録ヘッド(色)で搬送ベルトの送り方向にライン状のパターンを送り方向と直交する方向に形成し、その他の記録ヘッド(色)を一定間隔で同様なライン状のパターンを形成して、基準ヘッドとの距離を算出(計測)する。
ここで、最小項目ごとの基本パターンとしては、図17(a)に示すように、往路(第1スキャン)時における記録ヘッド24k1で形成する基準パターンFK1を基準として記録ヘッド24k2で形成する被測定パターンFK2の着弾位置ずれを検出するパターンと、同図(b)に示すように復路(第2スキャン)時における記録ヘッド24k1で形成する基準パターンBK1を基準として記録ヘッド24k2で形成する被測定パターンBK2の着弾位置ずれを検出するパターン、同図(c)に示すように往路(第3スキャン)時における記録ヘッド24k1で形成する基準パターンFK1を基準として、記録ヘッド24c、24m、24yでそれぞれ形成する各色(C,M,Y)の被測定パターンFC、FM、FYの着弾位置ずれを検出するパターン、同図(d)に示すように復路(第4スキャン)時における記録ヘッド24k1で形成する基準パターンFK1を基準として、記録ヘッド24c、24m、24yでそれぞれ形成する各色(C,M,Y)の被測定パターンFC、FM、FYの着弾位置ずれを検出するパターン、の4種類のパターンを最小基本項目毎のブロックパターン(基本パターン)として、このブロックパターンの組合せによって多様な検出内容を得る調整パターンを構成する。
特に、この上述した画像形成装置においては、ブラックを吐出する2つの記録ヘッド24k1、24k2を備えていることから、1つの記録ヘッドの双方向印字における着弾位置ずれだけでなく、2つの記録ヘッド24k1、24k2間で着弾位置ずれが生じる可能性があることから、記録ヘッド24k1で形成するパターンFK1を基準として記録ヘッド24k2で形成するパターンFK2の着弾位置ずれを検出するパターンも備えている。
次に、このブロックパターンによるモノクロ罫線ずれの調整パターン及びカラー色ずれの調整パターンについて図18及び図19を参照して説明する。
図18に示す罫線ずれ調整パターン400Bは、基準方向(往路とする)のパターンFK1の位置を基準にして(パターンK1を基準パターンとして)決められた間隔で復路のパターンBK1、往路のパターンFK1、復路のパターンBK2(これらが被測定パターンとなる。)を印字することで、これらのパターンFK1、BK1、FK1、BK2の各位置情報から基準パターンであるパターンK1に対しての着弾位置ずれを検出することができる。なお、センサ走査方向(読取り方向)は片方向だけで読取る場合の例を示している。
図19(a)、(b)に示すカラー色ずれ調整パターン400C1、400C2は、基準となる色(ここでは、記録ヘッド24k1によるパターンFK1が基準パターンとなる。)に対して規定間隔でそれぞれ各カラーのパターンFY、FM、FC(これらが被測定パターンとなる。)を印字して、パターンFK1とFY、FK1とFM、FK1とFCの着弾位置を検出することで、基準パターンFK1に対する各色の着弾位置を検出することができる。なお、センサ走査方向(読取り方向)は片方向だけで読取る場合の例を示している。
次に、調整パターンの具体的な形成例について図20を参照して説明する。
まず、キャリッジ23の走査方向は、図2に示すように装置背面側から装置正面側に向かう方向を往路方向、装置正面側から装置背面側に向かう方向を復路方向とし、キャリッジ23には往路方向下流側(装置正面側)から記録ヘッド24c、24k1、24k2、24m、24yの順に配置されているものとする。
そして、この例では、搬送ベルト31の両端部側に罫線位置ずれ調整パターン400B1、400B2を形成し、搬送ベルト31の中央部分に色ずれ調整パターン400C1、400C2を形成している。つまり、この例では、ブロックパターンは搬送ベルトの送り方向と直交する方向での印字領域の幅内に複数個配列されるようにしている。なお、このとき、搬送ベルト31上に直接印字するためベルト面上の凹凸が大きい部分(特に被記録媒体を分離する分離爪39が搬送ベルト31と当接している箇所)を除いたところに配置するようにしている。
そして、パターン読取りセンサ401による読取りは、各調整パターン400B、400C毎に印字しその後複数回行う。この場合、読取り方向は片方向(同一方向)での複数回読取り、または双方向で複数回読取りを行うことができる。
そこで、主制御部310によって実行される液滴着弾位置ずれ調整(補正)処理について図21及び図22のフロー図及び図23の説明図を参照して説明する。
先ず、図21を参照して、搬送ベルト31の表面のクリーニングを実施する。そして、調整パターン400を形成する前の処理として、キャリッジ23を移動させながらパターン読取りセンサ401の発光素子402から搬送ベルト31上に光を照射し、その正反射光を受光素子403で受光するプレ読取り(これを「プレスキャン」という。)を行う。
このプレスキャンによってパターン読取りセンサ401からは、例えば、図23に示すように、搬送ベルト31の表面状態に応じたベルト面検出電圧(センサ出力電圧)が得られる。この場合、搬送ベルト31の表面状態がキズや汚れなどがないきれいな状態であれば、ベルト面検出電圧は搬送ベルト31の主走査方向全域にわたって平坦な電圧となるが、キズや汚れなどがあるときには、図23に示すようにキズや汚れの部分でベルト面検出電圧が低下することになる。このようにキズや汚れがある部分に調整パターン400を形成しても、正確に調整パターン400を読み取ることができないので、ベルト面検出電圧が一定の電圧(正常な表面状態に対応する電圧)である領域を調整パターン400の形成が可能な領域(パターン形成可能領域、又は印字可能領域という。)とする。
そこで、図21に戻って、プレスキャンによってパターン読取りセンサ401から得られるベルト面検出電圧からパターン形成可能領域(印字可能領域)を判別する。この場合、ベルト面検出電圧が一定であっても、その幅(主走査方向の幅)が調整パターン400の図17で説明した最小単位である基本パターンの幅(パターン幅)未満であれば調整パターン400の形成には使用できないので、印字可能領域がパターン幅以上であるか否かを判別も併せて行う。つまり、パターン幅以上の幅を有するベルト面検出電圧が一定の電圧である領域を印字可能領域として判別する。
そして、キャリッジ23の1走査で得られた主走査方向全域における得られた印字可能領域の主走査方向位置を内部メモリに記憶(格納する)。その後、当該印字可能領域に合わせた調整パターン400の仕様(例えば図18、図19などで説明したモノクロ罫線ずれパターン、カラー色ずれパターン)を選択して、各印字可能領域に印字可能な仕様の調整パターン400を印字することになる。
例えば、印字可能領域が広いと、各ヘッドのずれを検出できるパターン(カラーの色ずれパターン)を搬送ベルト31面に印字し、印字領域が狭いと必要最小限のパターン(モノクロの往路、復路のずれを検出するパターン)のみを印字することになる。
そこで、キャリッジ23を主走査方向に往路走査しながら各記録ヘッド24から液滴を吐出して、選択したパターンのうちの往路で形成すべきパターンを形成し、次いで、復路走査しながら各記録ヘッド24から液滴を吐出して、復路で形成すべきパターンを形成する。
その後、図22に示す処理に移行して、パターン読取りセンサ401の発光素子402を発光させた状態で、キャリッジ23を主走査方向に往路走査して調整パターン400を読取り、パターン読取りセンサ401の受光素子403の出力に基づいて着弾位置を検出してパターン間距離から液滴着弾位置のずれ量を算出する。
そして、パターン読取りセンサ401による読取り値が正常であるか否かを判別し、正常であれば、N回の読取りを行うか否かを判別して、N回の読取りを行う場合には読取り処理に戻る。つまり、ここでは、往路方向での読取りをN回繰り返して行う。N回の読取が完了した場合には、キャリッジ23の往路と復路とのずれ量(往復ずれ量)を紙厚分の補正を行ったずれ量から印字吐出タイミングの補正値を算出し、算出した液滴吐出タイミングの補正値によって印字吐出タイミングを補正する。その後、後処理として、搬送ベルト31の表面を清掃するクリーニングを実施する。
なお、パターン読取りセンサ401による読取り値が正常でない場合には、リトライが1回目か否か判別し、リトライが1回目であれば再度調整パターン400の読取りを行い、リトライが1回目でなければリトライがn回か否かを判別し、リトライがn回でなければ再度調整パターン400の形成処理に戻り、リトライがn回になったときには、後処理として、搬送ベルト31の表面を清掃するクリーニングを実施してエラー処理に移行する。
このように、ここでは、パターン形成部材としての撥水性を有する撥水性部材である搬送ベルト上に、独立した複数の液滴で構成され、着弾位置ずれを検出する最小項目毎のブロックパターンからなる基準パターンと被測定パターンで構成される調整用パターンを形成し、この調整パターンに光を照射して調整パターンからの正反射光を受光して調整パターンを読取り、調整パターンの読取り結果に基づいて記録ヘッドから吐出される液滴の着弾位置を補正することによって、液滴の着弾位置を簡単な構成で高精度に検出して、液滴着弾位置ずれを高精度に補正することができる。
そして、予め搬送ベルトの表面状態をプレスキャンして正常な状態のパターン形成可能領域を判別して、このパターン形成可能領域にパターンを形成するので、パターンの検出精度が向上して、着弾位置ずれの補正をより高精度に行うことができる。
次に、本発明の他の実施形態における着弾位置ずれ補正処理について図24及び図25を参照して説明する。
この実施形態では、キャリッジ23の1走査中に、先行する(キャリッジ移動方向下流側の)パターン読取りセンサ401で搬送ベルト31の表面状態を読取ってパターン形成可能領域を判別しながら、後行の(キャリッジ移動方向上流側の)キャリッジ23の記録ヘッド24から液滴を吐出して判別されたパターン形成可能領域にパターンを形成する例である。
そのため、図24に示すように、キャリッジ23の記録ヘッド24とパターン読取りセンサ401とは、キャリッジ移動方向において、パターン読取りセンサ401が下流側、記録ヘッド24が上流側になるように配置されるか、キャリッジ23の移動方向が選択される。
例えば、前記実施形態のように、キャリッジ23のホーム位置側(維持回復機構121側)にパターン読取りセンサ401が配置されている構成では、往路方向(ホーム位置から離れる方向)の移動では記録ヘッド24が下流側になるので、この実施形態を適用するときには、キャリッジ23を復路方向に移動させることになる。これに対し、キャリッジ23のホーム位置側(維持回復機構121側)と反対側にパターン読取りセンサ401が配置されている構成では、往路方向に移動させるときにこの実施形態を適用することができる。
そこで、図25を参照して、搬送ベルト31の表面のクリーニングを実施する。そして、キャリッジ23の移動(走査)を介してパターン読取りセンサ401の発光素子402から搬送ベルト31上に光を照射し、その正反射光を受光素子403で受光するプレ読取り(プレスキャン)を開始する。
そして、パターン読取りセンサ401で検出されたベルト面電圧検出結果によってパターン形成可能領域(印字可能領域)の始まりのポイント(図24中のパターン印字可能領域)と終了ポイント(次の印字不可領域の開始点)が確定した時点で、最小パターンのパターン幅L2以上の印字可能領域か否かを判別し、パターン幅L2以上の印字可能領域であれば、その印字可能領域に合わせた調整パターン400(基準パターンと被測定パターン)を選択して、後行する記録ヘッド24から液滴を吐出させて、選択した調整パターン400を印字(形成)させる。
この場合、図24に示すように、パターン読取りセンサ400と隣接する記録ヘッド24までの距離(間隔)L1とパターン幅L2とは、L1>L2の関係があれば、印字可能領域を確定した直後にパターン形成を開始して調整パターン400を印字することが可能になる。なお、図24に示す例では、記録ヘッド24k1によるパターンK1で記録ヘッド24k2によるパターンK2を挟んだ調整パターン400を形成している。
引き続き、次の印字可能領域を探索し、可能領域があれば上記の同じ方法で調整パターン400を印字し、キャリッジ23の1走査(スキャン)が終了すれば、一旦待機位置に戻り、そこから前述した図23で説明した着弾位置ずれ検出補正処理に移行する。なお、プレスキャン時に印字可能領域が見つからない場合は、エラーとし、ずれ補正処理を抜けることになる。
このように、キャリッジの1走査中に、プレ読取りを行いながら、パターン形成可能領域を判別して、判別の結果得られたパターン形成可能領域に各パターンを形成することによって、着弾位置ずれ補正に要する時間を短縮することができる。
次に、本発明の更に他の実施形態における着弾位置ずれ補正処理について図26を参照して説明する。
この実施形態は、キャリッジ23の1走査(1スキャン)の範囲内でパターン形成可能領域が得られない場合などに搬送ベルト31を移動させて別の副走査方向位置における1走査領域でパターン形成可能領域の検出を行うようにした例である。
つまり、図26を参照して、パターン書込み前に、搬送ベルト31のクリーニングをした後、第1実施形態と同様に、キャリッジ23を移動させてパターン読取りセンサ401にて搬送ベルト31の表面の状態をスキャンするモードに入る。そして、パターン読取りセンサ401から得られるベルト面電圧検出結果により印字可能領域の判別を行うが、このとき、印字可能領域(図17の基本パターンなどのパターン幅より広い領域)が得られないときには、搬送ベルト31を予め定めた一定量回転させて停止させ、当該新たなベルト面にて再度プレスキャンを行う。
そして、印字可能領域が検出されれば、その幅に合わせた調整パターン400を選択し、おのおのの印字可能領域に印字する。例えば、印字可能領域が広いと、各記録ヘッド24のずれを検出できるパターン(カラーの色ずれパターン:図19)を搬送ベルト31面に印字し、印字領域が狭いと必要最小限のパターン(モノクロの往路、復路のずれを検出するパターン:図18)のみを印字する。その後は前述した図22で説明した着弾位置ずれ検出補正処理に移行する。
このように、搬送ベルトを移動させてパターン形成可能領域を検出(判別)を行うようにすることで、より確実に高精度の検出を行うことができるパターン形成領域を得ることができる。
また、ここでは、1走査の領域内でパターン形成領域が見つからない場合に搬送ベルト31を移動させてパターンを形成する領域を変更しているが、例えば搬送ベルト31の端部のみを使用して調整パターン400を形成するようにした場合でも、同様に、搬送ベルト31の端部領域でパターン形成可能領域を検出(判別)し、パターン形成可能領域が江得られるまで搬送ベルト31の移動/停止を行うようにすることもできる。
なお、上記実施形態におけるパターン形成に関する構成は、搬送ベルトだけでなく、撥水性を有するシート材を用いる場合にも適用できる。
本発明を適用した画像形成装置の一例の全体構成を示す概略構成図である。 同装置の画像形成部及び副走査搬送部の平面説明図である。 同じく一部透過状態で示す正面説明図である。 搬送ベルトの一例を示す断面説明図である。 同じく制御部の概要を説明するブロック図である。 同装置における液滴着弾位置検出及び液滴着弾位置補正に係わる部分を機能的に示すブロック説明図である。 同じくその説明に供する説明図である。 パターン読取りセンサの説明図である。 搬送ベルトでのパターンの形成及びその検出の原理の説明に供する説明図である。 比較例におけるパターンの説明に供する説明図である。 パターン検出の原理の説明に供する液滴からの光が拡散する様子を示す説明図である。 同じく液滴が平坦化した場合に光が拡散する様子を示す説明図である。 同じく液滴着弾からの経過時間とセンサ出力電圧変化の関係の説明に供する説明図である。 調整パターン位置検出処理の第1例の説明に供する説明図である。 調整パターン位置検出処理の第2例の説明に供する説明図である。 調整パターン位置検出処理の第3例の説明に供する説明図である。 ブロックパターン(基本パターン)の説明に供する説明図である。 罫線ずれ調整パターンの説明図である。 色ずれ調整パターンの説明図である。 調整パターンの形成位置の説明に供する説明図である。 液滴着弾位置ずれ補正処理の説明に供するフロー図である。 図21の着弾位置ずれ検出補正処理のサブルーチンの説明に供するフロー図である。 搬送ベルト面検出電圧の変化の一例を説明する説明図である。 本発明の他の実施形態の説明に供する説明図である。 同実施形態における液滴着弾位置ずれ補正処理の説明に供するフロー図である。 本発明の更に他の実施形態における液滴着弾位置ずれ補正処理の説明に供するフロー図である。
符号の説明
1…装置本体
2…画像形成部
3…副走査搬送部
4…給紙部
5…用紙(被記録媒体)
6…排紙搬送部
8…排紙トレイ
7…画像読取部
23…キャリッジ
24…記録ヘッド
27…主走査モータ
31…搬送ベルト
32…搬送ローラ
131…副走査モータ
400…調整パターン
401…パターン読取りセンサ(読取り手段)
402…発光素子
403…受光素子
500…液滴(インク滴)
501…調整パターン形成/読取り制御手段
502…液滴吐出制御手段
503…着弾位置ずれ量演算手段
504…吐出タイミング補正量演算手段
505…着弾位置補正手段
506…パターン形成可能領域判別手段

Claims (10)

  1. 液滴を吐出する記録ヘッドをキャリッジに搭載して、撥水性を有する搬送ベルトで搬送される被記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
    前記搬送ベルト上に、着弾位置ずれ検出用の基準パターンと被測定パターンとを所定の間隔で形成するパターン形成手段と、
    前記キャリッジに搭載され、前記各パターンを読取るパターン読取り手段と、
    前記パターン読取り手段の読取り結果に基づいて前記記録ヘッドからの液滴の着弾位置ずれを補正する手段と、
    前記各パターンを形成する前に、前記搬送ベルトの表面状態を前記パターン読取り手段で読取るプレ読取りを行わせ、この読取り結果に基づいて前記搬送ベルト上の前記各パターンを形成することが可能なパターン形成可能領域を判別する手段と、を備え、
    前記パターン形成可能領域に前記パターン形成手段で前記各パターンを形成し、
    前記各パターンはそれぞれ、前記パターン読取り手段の検出領域内で独立した複数の液滴が配置されて構成されており、
    前記パターン読取り手段は正反射光の受光量の変化で各パターンを読取る
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、前記キャリッジの1走査によって前記搬送ベルトの主走査方向全域のプレ読取りを行って、前記パターン形成可能領域を判別した後、前記各パターンを形成することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記パターン形成可能領域は前記各パターンで構成される最小単位の幅以上の領域であることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ない3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記パターン形成可能領域に基づいて形成する各パターンの仕様を変更することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1に記載の画像形成装置において、前記キャリッジの1走査中に、前記プレ読取りを行いながら、前記パターン形成可能領域を判別して、判別の結果得られたパターン形成可能領域に前記各パターンを形成することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項5に記載の画像形成装置において、前記パターン読み取りセンサと前記記録ヘッドとの間隔が、前記各パターンで構成される最小単位の最大幅よりも広いことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項5に記載の画像形成装置において、
    前記パターン形成手段で形成されるパターンは、前記被測定パターンを前記基準パターンで挟んだパターンであり、
    前記パターン読取り手段と隣接する前記記録ヘッドとの間隔が、前記パターンの幅よりも大きい
    ことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1に記載の画像形成装置において、前記搬送ベルトの移動方向の複数個所について前記プレ読取りを行うことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項に記載の画像形成装置において、前記各パターンを前記搬送ベルトの移動方向の異なる複数個所に形成することを特徴とする画像形成装置。
  10. 記録ヘッドから吐出される液滴の着弾位置を補正する方法であって、
    被記録媒体を搬送する撥水性を有する搬送ベルトの表面状態を、前記記録ヘッドが搭載されたキャリッジに備えられたパターン読取りセンサによって読取り、この読取り結果に応じて着弾位置ずれ検出用パターンを形成することが可能なパターン形成可能領域を判別する工程と、
    前記判別結果で得られたパターン形成可能領域に、前記パターン読取りセンサの検出領域内で独立した複数の液滴が配置されて構成された、着弾位置ずれ検出用の基準パターンと被測定パターンとを所定の間隔で形成する工程と、
    前記パターン読取りセンサが正反射光の受光量の変化で前記各パターンを読取る工程と、
    この読取り結果に基づいて前記記録ヘッドからの液滴の着弾位置ずれ補正をする工程とを行う
    ことを特徴とする着弾位置ずれ補正方法。
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