しかし、特許文献1に記載の遊技機を含むいずれの遊技機においても、「遊技盤の中央に表示手段が配設され、その表示画面上で画像情報による演出が行われる」という構成は、同様であることから、遊技演出として表示手段において何らかの導出させるようにしても、代わり映えのない演出しか行うことができなかった。つまり、いずれも新鮮さや独創性に欠け、演出の興趣を低下させることが懸念されていた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、新規な遊技演出によって、遊技演出における興趣の低下を抑制する遊技機の提供を課題とするものである。
手段1:「遊技に伴う少なくとも第一画像情報及び第二画像情報が表示される第一表示手段であって、前記第一画像情報を、遊技者が視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、前記第二画像情報を、遊技者が視認することのできない第二の観察方向に方向付けることが可能な第一表示手段と、
前記第二の観察方向に方向付けられた前記第二画像情報を、反射させて映し出す第二表示手段と、
遊技領域内に配置され遊技媒体が入賞可能な始動口と、
該始動口に遊技媒体が入賞したことを検出する入賞状態検出手段と、
該入賞状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段の抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と、
所定の遊技状態か否かを判定する遊技状態判定手段と、
該遊技状態判定手段によって所定の遊技状態になったことが判定されると、表示状態を切り替え、前記第一画像情報を視認する遊技者に、前記第二表示手段を介して前記第二画像情報を視認可能とさせる表示切替制御手段と
を具備する」ことを特徴とする。
なお、手段1における「第一表示手段」及び「第二表示手段」の構成は、以下のように言い換えることができる。
すなわち、「第一表示手段」は、「遊技に伴う少なくとも第一画像情報及び第二画像情報が表示される第一表示手段であって、前記第一画像情報を表示させるために放射される光の向きを、遊技者が前記第一画像情報を視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、前記第二画像情報を表示させるために放射される光の向きを、前記第一画像情報を視認する遊技者が前記第二画像情報を視認することのできない第二の観察方向に方向付けることが可能なもの」である。
また、「第二表示手段」は、「前記第二の観察方向に方向付けられた光の向きを反射させて前記第二画像情報を映し出す」ものである。
なお、手段2以降の発明においても、同様に言い換えることが可能である。
ここで、「第一表示手段」とは、画像情報を表示させるための光を放射することが可能な表示手段であって、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、またはCRT等を例示することができる。また、「遊技状態判定手段」としては、大当り状態、確率変動状態、またはリーチ状態等、遊技の進行状態を認識する認識手段を例示することができる。なお、入賞口や始動口への入球状態を検出するスイッチ、入賞に基づく抽選結果を認識する認識手段、または大当りの回数をカウントするカウント手段等を、遊技状態判定手段とすることも可能である。
また、「画像情報を表示させるために放射される光」は、画像情報に対応する画素から光を直接放射させるようにしてもよく、例えば液晶表示装置のように、他の光源から第一画像情報に対応する画素に光を照射または透過させ、間接的に放射させるようにしてもよい。また、「第二表示手段」としては、常に反射状態となる鏡面部材を用いてもよく、反射動作状態と透過動作状態とを有する、所謂ハーフミラーを用いてもよい。また、「第一画像情報を視認する遊技者」とは、通常の姿勢で遊技を行う遊技者を対象とすることを意味しており、実際に遊技者が存在するか否かは問わない。つまり、言う間でもないが、「遊技者」の存在は、発明の構成要件ではない。
また、「有利遊技状態」とは、通常の遊技状態よりも遊技者に有利となる状態を意味するものであり、以下のように種々の状態を例示できる。
(1)パチンコ機等の遊技機において、開閉駆動される入賞口を、所定回数繰返し開閉させたり、所定時間、あるいは遊技球が所定個数入賞するまで継続して開放させて、遊技球が多量に入賞口に入賞し易くした状態(所謂「大当り状態」)。
(2)パチンコ等の遊技機において、大当り状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
(3)パチンコ機等の遊技機において、遊技球の入賞や通過により大当り状態を発生させるか否かの抽選を行う抽選用の入球装置を、通常よりも遊技球が入球し易い状態とし、大当りの抽選が通常よりも頻繁に行われるようにした状態、所謂「時間短縮状態」。
(4)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲームの間、遊技媒体であるメダルの払出しを行う絵柄にてドラムが停止され易くした状態、所謂「ボーナスゲーム状態」。
(5)パチスロ機等の遊技機において、次回以降のゲーム状態をボーナスゲーム状態にさせるための条件であるボーナス絵柄にてドラムを停止可能とした状態、所謂「ボーナス成立状態」。
(6)パチスロ機等の遊技機において、所定ゲーム数の間、役を成立させるためのドラムの停止順序や図柄を案内する等して、役の成立を手助けする状態、所謂「アシストゲーム状態」。
(7)パチスロ機等の遊技機において、ボーナスゲーム状態、ボーナス成立状態、アシストゲーム状態等の特典状態が発生する確率を通常よりも高確率とした状態、所謂「確率変動状態」。
手段1の構成によれば、遊技領域には、少なくとも始動口が設けられており、始動口に遊技媒体が入賞したことが検出されると、それに基づいて抽選手段による抽選が行われる。そして、抽選結果が所定の結果の場合には、遊技者に有利な有利遊技状態が発生する。一方、遊技に伴う画像情報を表示する第一表示手段が設けられており、抽選手段の抽選結果等に基づいて決定された第一画像情報及び第二画像情報を単一の第一表示手段に並行して導出可能とする。詳しくは、第一表示手段では、遊技者が第一画像情報を視認することができるように、第一画像情報を第一の観察方向に方向付け、一方、第一画像情報を視認する遊技者が第二画像情報を視認することができなくなるように、第二画像情報を第二の観察方向に方向付ける。これにより、第一画像情報は直視することが可能となり、一方、第二画像情報は直視することができなくなる。
ところが、第二の観察方向には光を反射可能な第二表示手段が配設されており、第二の観察方向に方向付けられた第二画像情報は第二表示手段によって反射させられ、映し出される。つまり、第一画像情報を視認する遊技者に、第二表示手段を介して第二画像情報を視認させることを可能にする。したがって、画像情報を直接表示させる表示手段として、単一の表示手段(第一表示手段)しか使用しないにも拘わらず、互いに異なる方向において視認可能となる少なくとも二つの画像情報によって、新規で且つ効果的な演出表示を行うことが可能となる。特に第一表示手段の表示領域よりも広い範囲で画像情報が表示されるため、迫力のある演出を行うことが可能になる。
また、本発明によれば、遊技状態判定手段によって所定の遊技状態になったことが判定されると、表示状態を切り替え、第一画像情報を視認する遊技者に、第二表示手段を介して第二画像情報を視認可能とさせる。つまり、第二画像情が視認不能な状態から視認可能な状態へと切り替えられる。したがって、第二画像情報を所定の遊技状態と関連付けながら、第二画像情報の内容を認識させることが可能になり、遊技者の視覚的な興趣が高められる。また、第二表示手段を介して第二画像情報を視認させる状態と、視認させない状態とでは、表示領域全体の大きさが互いに異なることから、表示領域の大きさの変化によって高い趣向性を与えることができるとともに、所定の遊技状態の際に多くの情報を提供することが可能になる。さらに、通常時に何も演出表示が行われていない部位が、所定の遊技状態になると、突然演出表示を映し出すことから、その出現によって遊技者に驚きを与え、遊技に対する気分を高揚させることができる。
手段2:「遊技に伴う少なくとも第一画像情報及び第二画像情報が表示される第一表示手段であって、前記第一画像情報を、遊技者が前記第一画像情報を視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、前記第二画像情報を、遊技者が視認することのできない第二の観察方向に方向付けることが可能な第一表示手段と、
前記第二の観察方向に方向付けられた前記第二画像情報を、反射させて映し出す第二表示手段と、
遊技領域内に配置され遊技媒体が入賞可能な始動口と、
該始動口に遊技媒体が入賞したことを検出する入賞状態検出手段と、
該入賞状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段の抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と、
所定の遊技状態か否かを判定する遊技状態判定手段と、
該遊技状態判定手段によって所定の遊技状態になったことが判定されると、前記第一表示手段において前記第二画像情報を表示させるための光を放射させない状態から、放射させる状態へと切り替えることにより、前記第一画像情報を視認する遊技者に、前記第二表示手段を介して前記第二画像情報を視認可能とさせる表示切替制御手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段2の構成は、手段1の構成における表示切替制御手段を具現化したものである。すなわち、第一表示手段で第二画像情報を表示させることにより、第二表示手段を介して第二画像情報を視認させ、一方、第一表示手段で第二画像情報を表示させなくすることにより、第二画像情報を視認できなくする。したがって、第二画像情報に関する表示態様の切替を、極めて簡単に実現することができる。
手段3:「遊技に伴う少なくとも第一画像情報及び第二画像情報が表示される第一表示手段であって、前記第一画像情報を、遊技者が視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、前記第二画像情報を、遊技者が視認することのできない第二の観察方向に方向付けることが可能な第一表示手段と、
前記第二の観察方向に方向付けられた前記第二画像情報を、反射させて映し出す反射動作状態と、遊技者と対向する側からの光を透過させ、後側に配設された構造物を視認可能とする透過動作状態と、の間で状態の切替が可能な第二表示手段と、
遊技領域内に配置され遊技媒体が入賞可能な始動口と、
該始動口に遊技媒体が入賞したことを検出する入賞状態検出手段と、
該入賞状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段の抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と、
所定の遊技状態か否かを判定する遊技状態判定手段と、
該遊技状態判定手段によって所定の遊技状態になったことが判定されると、前記第二表示手段を前記透過動作状態から前記反射動作状態に切り替えることにより、前記第一画像情報を視認する遊技者に、前記第二表示手段を介して前記第二画像情報を視認可能とさせる表示切替制御手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段3の構成によれば、手段1の構成に加え、第二表示手段は、反射動作状態と透過動作状態との間で、状態が切り替えられるようになっている。反射動作状態では、第二の観察方向に方向付けられた第二画像情報の光を反射させ、遊技者が視認可能な観察方向に方向付ける。すなわち、第一画像情報及び第二画像情報を同時に視認させることが可能になる。一方、第二表示手段が透過動作状態になると、譬え、第一表示手段で第二画像情報が表示されていても、視認できない状態となる。つまり、第一画像情報のみを視認させることが可能になる。特に、この際、第二表示手段は透過動作状態となるため、第二表示手段の後方に配設された構造物を、第二表示手段を通して視認させることが可能になる。すなわち、単一の第二表示手段を使用しているにも拘わらず、一方では第二画像情報を映し出す表示領域として機能させ、他方では透過窓として機能させ得ることから、第二表示手段への関心を一層高めることが可能となる。
手段4:手段3の構成において、「前記第二表示手段はハーフミラーであり、前記表示切替制御手段は、前記ハーフミラーの後方に配設された光源を点灯させることにより、前記第二表示手段を前記透過動作状態にする」ことを特徴とする。
手段4の構成によれば、第二表示手段はハーフミラーから構成されている。つまり、板ガラスに金属膜を薄く塗ってガラスを重ねたものであり、明るい側から暗い側は透視できず表面が鏡面状態となるが、その逆は透視することが可能となる。そこで、本発明によれば、ハーフミラーの後方に光源を配設し、その光源を点灯してハーフミラーの後方の照度を前方(遊技者側)よりも高めることにより透過動作状態とする。したがって、極めて簡単な構成により、反射動作状態と透過動作状態との切替を実現することが可能になる。また、光源を点灯させた場合、その光源の光が構造物に照射されるため、装飾体としての見栄えを高めることができる。
手段5:手段3または手段4の構成において、「前記第二表示手段の後側に配設された前記構造物は、遊技媒体の通路を有する」ことを特徴とする。
手段5の構成によれば、第二表示手段が透過動作状態になると、第二表示手段の後方に形成された遊技媒体の通路、及びその通路で転動する遊技媒体の挙動を視認させることが可能になる。つまり、予め作り込まれた演出表示(第二画像情報)と、実際に行われる物理的な現象(遊技媒体の挙動)とを、遊技状態に基づいて選択的に視認させることが可能になる。したがって、全く異種の演出が単一の第二表示手段を介して行われるため、その意外性のある変化によって、新規な演出態様であることを遊技者に実感させることができる。
手段6:手段5の構成において、「前記通路には、遊技媒体の転動方向を変化させる役物が設けられている」ことを特徴とする。
手段6の構成によれば、通路を通過する遊技媒体の転動方向が役物によって変化させられる。したがって、遊技媒体の転動方向が一層複雑になり、遊技媒体の挙動によって遊技者の注意を引きつけることが可能になる。
手段7:手段5または手段6の構成において、「前記通路の下流側に配設され、該通路に入賞した遊技媒体を、特別入口または普通入口の何れか一方に振り分ける振分装置と、
遊技媒体が前記特別入口に入球したことを検出する特別入球検出手段と、
該特別入球検出手段によって前記特別入口に遊技媒体が入球したことが検出された場合、遊技者に有利な第二有利遊技状態を発生させる第二有利遊技状態発生手段と
をさらに備える」ことを特徴とする。
手段7の構成によれば、通路の下流側に振分装置が設けられており、通路に入賞した遊技媒体は、特別入口または普通入口の何れかに振り分けられる。そして、特別入口に遊技媒体が入球したことが、特別入球検出手段によって検出されると、遊技者に有利な第二有利遊技状態が発生する。なお、第二有利遊技状態は、前述の有利遊技状態(すなわち大当り状態)と同様であってもよく、互いに異なる有利性を有する遊技状態であってもよい。このように、通路に入賞した球技媒体の振分に基づいて第二有利遊技状態が発生する可能性があることから、通路に遊技媒体が入賞することを強く願うようになり、遊技媒体の挙動に対する興味を大きく向上させることができる。
手段8:「遊技に伴う少なくとも第一画像情報及び第二画像情報が表示される第一表示手段であって、前記第一画像情報の観察方向、及び第二画像情報の観察方向を互いに異なる方向に方向付けることが可能な第一表示手段と、
前記第一表示手段の表示画面を遊技者に対向させる通常位置と、前記第一表示手段の表示画面を遊技者に対して傾斜させ、前記第一画像情報を、遊技者が視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、前記第二画像情報を、遊技者が視認することのできない第二の観察方向に方向付ける傾斜位置と、の間で前記第一表示手段を回動させる回動駆動手段と、
前記第二の観察方向に方向付けられた前記第二画像情報を、反射させて映し出す第二表示手段と、
遊技領域内に配置され遊技媒体が入賞可能な始動口と、
該始動口に遊技媒体が入賞したことを検出する入賞状態検出手段と、
該入賞状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段の抽選結果が所定の結果である場合、遊技者に有利な有利遊技状態を発生させる有利遊技状態発生手段と、
所定の遊技状態か否かを判定する遊技状態判定手段と、
該遊技状態判定手段によって所定の遊技状態になったことが判定されると、前記第一表示手段の位置を前記通常位置から前記傾斜位置に切替えることにより、前記第一画像情報を視認する遊技者に、前記第二表示手段を介して前記第二画像情報を視認可能とさせる表示切替制御手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
ところで、第一表示手段の表示画面が平面形状であり、その表示画面が遊技者に対向している場合には、第一画像情報が放射される第一の観察方向と、第二画像情報が放射される第二の観察方向とを互いに異ならせた場合でも、第一の観察方向と第二観察方向とは少なくとも表示画面よりも前方すなわち遊技者側となる。このため、第一の観察方向を視認可能な方向とし、第二の観察方向を視認不能な方向とすることは極めて困難である。換言すれば、第二画像情報は第二表示手段を介して視認可能となる情報であることから、第一表示手段から直接に視認できないようにすることが好ましいが、例えば、遊技者が遊技機の側方から第一表示手段の表示画面を覗き込むような姿勢をとれば、第二画像情報を直接に認識することが可能になる虞があり、これによれば、第二の観察方向と第三の観察方向とで第二画像情報が視認され、効果的な演出表示ができなくなる。また、第二の観察方向が斜め前方である場合には、その観察方向を、遊技者の方向に反射させることが困難となる。つまり、第二の観察方向に放射される第二画像情報を遊技者側に反射させるためには、その反射面が第一表示手段の表示画面に対して垂直に近い状態となるように配置しなければならず、遊技者にとって極めて視認し難い状態となる。
これに対し、手段8の構成によれば、手段1の構成に加え、第一表示手段を通常位置と傾斜位置との間で回動させることが可能となっている。通常位置では、第一表示手段の表示画面が遊技者と対向した位置となり、傾斜位置では第一表示手段の表示画面が遊技者に対して傾斜した位置となる。つまり、第二画像情報を表示させない場合には、遊技者と対応する表示画面によって従来と同様に演出表示を楽しませ、一方、第一画像情報及び第二画像情報をともに表示させる場合には、第一の観察方向が遊技者側に向かい、且つ第二の観察方向が遊技者の視線に対して略直交するように(すなわち遊技機の側面を向くように)、表示手段を傾斜させる。すると、第一の観察方向と遊技者の視線とが対向し、第一画像情報を明確に視認させることが可能になるとともに、第二画像情報が直視されることを回避できる。しかも、第二の観察方向を遊技者の視線に対して略直交させることから、第二表示手段の反射面を遊技者に対して僅かに斜めに傾けるだけで、第二の観察方向を、遊技者が視認可能な観察方向に反射させることが可能になる。すなわち、第二表示手段を介して認識される第二画像情報の視認性を大幅に高めることが可能になる。なお、第一表示手段の位置は、遊技状態判定手段によって判定された遊技状態に基づいて切り替えられるため、表示手段の変位と遊技状態とが関連づけられ、遊技状態の変化を強調させることが可能になる。
手段9:手段1〜手段8のいずれか一つの構成において、「前記所定の遊技状態は、前記有利遊技状態発生手段によって発生させられる前記有利遊技状態(大当り状態)である」ことを特徴とする。
手段9の構成によれば、大当り状態等の有利遊技状態が発生すると、第二画像情報を視認できない状態から視認可能とする状態へと切り替えられる。つまり、有利遊技状態の発生と第二表示手段における第二画像情報の表示処理とが関連付けられる。このため、有利遊技状態における特有の情報(例えば大当り遊技状態の進行状況)を、第二表示手段を介して視認させることが可能となり、一層多くの情報を分かり易く提供することが可能になる。
手段10:手段1〜手段9のいずれか一つの構成において、「前記有利遊技状態には、通常大当りと、大当りの終了後、次回の大当りが発生する確率を通常時よりも高く設定した確率変動大当りとが含まれ、
該確率変動大当り後の遊技状態を、前記所定の遊技状態とする」ことを特徴とする。
手段10の構成によれば、確率変動大当り後の遊技状態、すなわち、「少なくとも次回の大当りが発生する確率を通常時よりも高く設定した確変遊技状態」を、特定の遊技状態として処理が行われる。したがって、確変遊技状態になると、表示態様が切り替わるようになり、次回の大当りが発生するまでの間、第二画像情報によって通常とは異なる演出内容を楽しませることが可能になる。つまり、確変遊技状態における優越感を高め、遊技意欲を一層向上させることができる。
手段11:手段1〜手段10のいずれか一つの構成において、「前記有利遊技状態(大当り状態)の終了後、前記抽選手段による抽選が所定回数行われるまでの間、抽選結果の導出時間を短縮させるようにした時短遊技状態を有し、
該時短遊技状態を、前記所定の遊技状態とする」ことを特徴とする。
手段11の構成によれば、大当り状態終了後の時短遊技状態を、所定の遊技状態として処理が行われる。したがって、始動口への入賞に基づいて行われる抽選の間隔を短縮するとともに、その短縮された間に、通常では視認できない第二画像情報が、第一表示手段以外の領域で表示されることから、特別の遊技状態が発生していることを明確に認識させることができる。
手段12:手段1〜手段11のいずれか一つの構成において、「前記第一表示手段に複数の装飾図柄列を変動させるとともに、前記抽選手段の抽選結果に基づいて前記装飾図柄列を所定の停止図柄で順に停止させる装飾図柄変動制御手段と、
前記複数の装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合、該装飾図柄をリーチ形成図柄としてリーチ状態を成立させるリーチ状態成立手段と
をさらに備え
前記リーチ状態が成立した遊技状態を、前記所定の遊技状態とする」ことを特徴とする。
手段12の構成によれば、第一表示手段では、複数の装飾図柄列が変動表示されるとともに、抽選手段の抽選結果に基づいて所定の停止図柄で順に停止される。ここで、複数の装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合がある。この場合には、既に停止している装飾図柄がリーチ形成図柄となりリーチ状態が成立する。
そして、このリーチ状態が成立した際、第二画像情報の有無が切り替えられる。このため、リーチ状態の発生と第二表示手段を介する第二画像情報の表示とが関連付けられ、リーチ状態の発生に対する期待感を向上させることが可能となる。また、表示態様の切替が比較的頻繁に行われることとなり、演出表示の単調さを防止することができる。
手段13:手段1〜手段12のいずれか一つの構成において、「前記第一画像情報は遊技状態に基づいて動的に変化する演出画像からなり、前記第二画像情報は遊技状態を示す状態表示画像からなる」ことを特徴とする。
手段13の構成によれば、第一画像情報が演出画像で、第二画像情報が状態表示画像であるため、第一表示手段の表示領域において演出画像を認識させ、第二表示手段を介して状態表示画像を認識させることが可能となる。つまり、互いに異なる内容の画像が、夫々異なる領域で視認可能となるため、画像情報に対する内容の把握が容易になり、多くの情報を取得させることが可能になる。また、遊技者は、取得したい情報の種類に応じて視認すべき表示領域を選択すればよいため、表示領域が広すぎることによって注意力が散漫となることを、抑制することが可能となる。
手段14:手段1〜手段12のいずれか一つの構成において、「前記第一画像情報は遊技状態に基づいて動的に変化する第一演出画像からなり、前記第二画像情報は前記第一演出画像に関連付けられて動的に変化する第二演出画像からなる」ことを特徴とする。
手段14の構成によれば、第一演出画像を第一表示手段の表示領域で直接に視認させ、第一演出画像に関連付けられた第二演出画像を、第二表示手段を介して視認可能とする。このため、全体の演出表示が立体的に表示され、臨場感のある演出を行わせることが可能となる。
手段15:手段1〜手段14のいずれか一つの構成において、「前記有利遊技状態には、通常大当りと、大当りの終了後、次回の大当りが発生する確率を通常時よりも高く設定した確率変動大当りとが含まれ、
前記有利遊技状態及び前記確率変動大当り後の遊技状態を、前記所定の遊技状態とし、
前記第一画像情報は遊技状態に基づいて動的に変化する第一演出画像からなり、一方、前記有利遊技状態の際に導出される前記第二画像情報は大当り状態を示す状態表示画像からなり、前記確率変動大当り後の遊技状態の際に導出される前記第二画像情報は前記第一演出画像に関連付けられて動的に変化する第二演出画像からなる」ことを特徴とする。
手段15の構成によれば、有利遊技状態(大当り状態)及び確率変動大当り後の遊技状態を所定の遊技状態として処理が行われる。ここで、第一表示手段の表示領域において直接に視認される第一画像情報は、遊技状態に基づいて動的に変化する第一演出画像からなるが、第二表示手段を介して視認可能となる第二画像情報は、所定の遊技状態の種類に基づいて互いに異なる画像となる。具体的には、有利遊技状態(大当り状態)の場合には、大当り状態を示す状態表示画像(例えば、入球数やラウンド情報を示す画像)が導出され、確率変動大当り後の遊技状態の場合には、第一演出画像に関連付けられた第二演出画像が導出される。このため、有利遊技状態では遊技に関する情報を明確に認識させ、一方、その後の遊技状態では、演出画像によって次回への大当りの意欲を大幅に高めることが可能になる。
手段16:「遊技に伴う少なくとも第一画像情報及び第二画像情報が表示される第一表示手段であって、前記第一画像情報を、遊技者が前記第一画像情報を視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、前記第二画像情報を、遊技者が視認することのできない第二の観察方向に方向付けることが可能な第一表示手段と、
前記第二の観察方向に方向付けられた前記第二画像情報を、反射させて映し出す反射動作状態と、遊技者と対向する側からの光を透過させ、後側に配設された遊技媒体の通路及び役物を視認可能とする透過動作状態と、の間で状態の切替が可能な第二表示手段と、
前記通路の入口に対して開閉可能に設けられ、開放されると前記通路に対して遊技媒体を入球させることを可能にする開閉部材と、
前記通路の下流側に配設され、該通路に入賞した遊技媒体を、特別入口または普通入口の何れか一方に振り分ける振分装置と、
遊技領域内に配置され遊技媒体が入賞可能な始動口と、
該始動口に遊技媒体が入賞したことを検出する入賞状態検出手段と、
該入賞状態検出手段による前記遊技媒体の検出に基づいて抽選を行う抽選手段と、
該抽選手段の抽選結果が第一所定結果の場合、通常大当り、または大当りの終了後、次回の大当りが発生する確率(第一所定結果となる割合)を通常時よりも高く設定した確率変動大当り、の何れか一方を発生させる第一有利遊技状態発生手段と、
前記抽選手段の抽選結果が第二所定結果の場合、前記開閉部材を一定時間開放させる開閉部材制御手段と、
遊技媒体が前記特別入口に入球したことを検出する特別入球検出手段と、
該特別入球検出手段によって前記特別入口に遊技媒体が入球したことが検出された場合、遊技者に有利な第二有利遊技状態を発生させる第二有利遊技状態発生手段と、
前記確率変動大当り後の遊技状態の時、前記第二表示手段を前記透過動作状態から前記反射動作状態に切り替えることにより、前記第二画像情報を視認可能とさせる表示切替制御手段と
を具備する」ことを特徴とする遊技機。
手段16の構成によれば、抽選手段の抽選結果が第一所定結果の場合には、通常大当りまたは確率変動大当りの何れか一方が発生し、一方、当該抽選手段の抽選結果が第二所定結果の場合には、開閉部材が一定時間開放する。また、確率変動大当り後の遊技状態の時(所謂「確率変動状態」の時)は、第二表示手段が透過動作状態から反射動作状態に切り替えられる。つまり、通常の遊技状態の場合には透過動作状態となって、第二表示手段の後方に配設された遊技媒体の通路や役物を視認させることが可能になり、一方、確率変動状態になると第二表示手段が反射動作状態となり、第二表示手段を介して第二画像情報を視認させることが可能となる。なお、確率を変動させる前の通常状態では、抽選結果が第一所定結果となる確率、すなわち通常大当りや確率変動大当りが発生する可能性が比較的低いことから、その分、抽選結果が第二所定結果となる確率、すなわち、開閉部材が開放されて第二表示手段の後方の通路に遊技媒体を入球させることが可能となる確率が、割合高くなる。これに対し、確率変動大当り後の遊技状態では、第一所定結果となる確率が大幅に高くなることから、開閉部材が開放される確率が低減される。本発明によれば、開閉部材を開放させる頻度が少なくなる確率変動大当り後の遊技状態において、第二表示手段を透過動作状態から反射動作状態に切り替えるため、通路に入球する遊技媒体の可能性と、第二表示手段の状態とを整合させることが可能になり、第二表示手段を用いた効果的な演出を行うことができる。また、短い間隔で第二表示手段の状態が切替わることがなくなり、第二画像情報が細切れ状態で視認されること、すなわち断続的に表示され演出内容の把握が困難になることを防止することができる。
手段17:手段1〜手段16のいずれか一つの構成において、「前記第一表示手段は、複数のピクセルを有して構成され、前記第一画像情報及び前記第二画像情報を互いに異なるピクセルから放射する光放射手段と、
前記第一画像情報をを放射する第一ピクセルの観察方向を前記第一の観察方向に制限し、前記第二画像情報を放射する第二ピクセルの観察方向を前記第二の観察方向に制限する観察方向制限部材と
を有する」ことを特徴とする。
手段17の構成によれば、第一表示手段は、複数のピクセルを有する光放射手段と、光の観察方向を制限する観察方向制限部材とを具備して構成されている。光放射手段では、第一画像情報及び第二画像情報をが、互いに異なるピクセルから放射され、夫々の画像情報を放射する各ピクセルの観察方向が観察方向制限部材によって設定される。このように、夫々のピクセルとその観察方向とを対応付けることにより、各画像情報の観察方向を容易に設定することが可能となる。
手段18:手段1〜手段17のいずれか一つの構成において、「前記遊技機は、パチンコ機である」ことを特徴とする。パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、センター役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを具備するもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(すなわち遊技状態検出手段)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の装飾図柄からなる装飾図柄列を変動表示させるとともに、所定のタイミングでキャラクタ等を出現させる演出表示手段を更に具備するもの」、一般に「ハネモノ」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
手段18によると、パチンコ機において、手段1〜手段17までのいずれかの作用効果を奏することができる。
手段19:手段1〜手段17のいずれか一つの構成において、「前記遊技機は、パチスロ機である」ことを特徴とする。パチスロ機とは、遊技媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させる、といった実質的な遊技を行うものであり、停止操作機能付きのスロットマシーンである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
手段19によると、パチスロ機において、手段1〜手段17までのいずれかの作用効果を奏することができる。
手段20:手段1〜手段17のいずれか一つの構成において、「前記遊技機は、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機である」ことを特徴とする。ここで、「パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機」とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
手段20によると、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機において、手段1〜手段17までのいずれかの作用効果を奏することができる。
なお、上記に例示したパチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等のように、投入する媒体によっては実質的な遊技が行われない遊技機では、一見、遊技媒体が存在しないかのように思われるが、このような遊技機であっても、遊技内容の全体において、遊技球やその他の適宜の物品を用いて行われる遊技を含ませることが想定できる。よって、このような遊技機であっても、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機の対象とすることができる。
このように、本発明によれば、画像情報を表示させるための光を放射する表示手段として、単一の第一表示手段しか使用しないにもかかわらず、互いに異なる方向で視認可能となる少なくとも二つの画像情報によって効果的な演出表示を行うことができる。特に所定の遊技状態になった際、第二画像情報が第二表示手段に映し出されるため、演出の独創性を高め、興趣の低下を抑制することができる。
以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、図5、及び図11に基づき説明する。
図3は遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図11は遊技領域37の構成を示す斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3及び図11に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(図示しない)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車90が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、センター役物91が配設されており、このセンター役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
センタ役物91は、遊技球を誘導する誘導壁20aを外周部に有するとともに、孔20bが中央部に形成され、額縁状の外観を呈している。センタ役物91の下部には、遊技球を揺動させながら落下させるステージ22が設けられている。ステージ22には、入球装置96の上部に配置されている球導出口22aが設けられている。センタ役物91の誘導壁20aの側部には、流入口21が設けられている。また、流入口21に連通している流出口(図示省略)が、ステージ22の近傍に設けられている。これにより、流入口21に流入した遊技球は、流出口からステージ22上に流出され、ステージ22上を揺動しながら落下し、球導出口22aから放出される。
また、誘導壁20aの上部には開口部(図示省略)が形成されているとともに、開口部を開閉する開閉部材23が設けられている。開閉部材23は、遊技球が開口部を通過可能な開放位置と遊技球が通過不能な閉鎖位置との間で開閉可能に設けられている。開閉部材23は、開閉部材駆動機構340(図16参照)により、遊技球が入球装置96に入球したことに起因して行われる抽選の結果が当たりである場合に所定時間、開制御あるいは開閉制御される。
また、センタ役物91には、装飾誘導部材24と、振分装置25と、装飾部材26とが設けられている。また、開閉部材23が設けられている開口部を通過した遊技球を、装飾部材26の後方を通して装飾誘導部材24の上部に誘導する誘導通路(ワープ通路)(図示省略)が設けられている。図3及び図11では、装飾誘導部材24の詳細な形状を図示していないが、この装飾誘導部材24は、螺旋状の形状を呈しており、開口部から誘導通路(ワープ通路)を介して誘導された遊技球を、螺旋状に回転させながら下部に誘導する。
振分装置25は、回転体駆動装置(図示しない)によって回転駆動される回転体(図示しない)を有している。回転体の外周側には、遊技球を収容可能な複数の球収容部が形成されており、装飾誘導部材24によって下部に案内された遊技球が回転体の球収容部に収容されるように、装飾誘導部材24に対して振分装置25が配置されている。なお、回転体は透明なケースによって覆われており、内部に設けられた回転体及び球収容部の構造と、それらの部位を通過する遊技球の挙動とを外部から視認させることが可能となっている。
また、振分装置25には、特別入口(V入賞口)と普通入口が設けられている。振分装置25は、回転体の球収用部に収容した遊技球を、特別入口あるいは普通入口のいずれかに振り分けるように配設されている。回転体の球収容部に収容された遊技球を、特別入口あるいは普通入口に振り分ける方法としては適宜の振り分け方法を用いることができる。
以上の構成により、開閉部材23が開放位置に制御されている時に開口部を通過した遊技球は、ワープ通路を介して装飾誘導部材24に誘導され、装飾誘導部材24により振分装置25に誘導され、振分装置25の回転体に形成されている球収容部に収容されて特別入口あるいは普通入口に振り分けられる。遊技球の振り分け態様は、遊技球が装飾誘導部材24から導出されるタイミングと回転体の回転位置等によって決定される。なお、遊技球が特別入口に入球したことを検出して特別入球検出信号を出力する特別入球検出手段421(図24参照)が設けられている。また、開口部を通過した遊技球を検出して入賞球検出信号を出力する入球検出装置(図示省略)が設けられている。
また、センタ役物91の孔20bの箇所には、抽選結果を演出表示する演出表示装置115が設けられている。演出表示装置115は、装飾図柄画像情報、背景画像情報、キャラクタ画像情報等を合成した画像情報を表示可能な適宜の表示装置が用いられる。本実施の形態では、演出表示装置115として液晶表示装置が用いられている。さらに、センタ役物91には、演出表示装置115に隣接してハーフミラー40が設けられている。特にハーフミラー40は、装飾誘導部材24を前方から覆うように配設されており、反射動作状態と透過動作状態との間で、状態を切り替えることが可能になっている(詳細は後述する)。ここで、演出表示装置115が本発明の第一表示手段に相当し、ハーフミラー40が本発明の第二表示手段に相当する。
一方、球導出口22aの出口は正面に向けて開口しており、この出口から放出された遊技球は、ほぼ真下に向かって落下する。遊技領域37には、球導出口22aの直ぐ下方位置に入球装置96が配置されており、この入球装置96に遊技球が入球すると始動入賞となる。したがって、球導出口22aから放出された遊技球は、相当高い確率で始動入賞することができるものとなっている。入球装置96は左右一対の可動片97を有しており、これら可動片97を左右に拡開させて入球確率を高くすることが可能となっている。ここで、入球装置96が本発明の始動口に相当する。
また遊技領域37には、上記の入球装置96のさらに下方位置にアタッカ装置98が配設されており、このアタッカ装置98は開閉部材99を前後方向に開閉動作させることにより大入賞口を開閉させる。
また、図示しないが、センター役物91の下縁部には、特別図柄表示器(詳細は後述する)として機能する四つのLEDと、抽選の保留状態を示す四つのLED(保留球ランプ)とが設けられている。四つの保留球ランプは、「大当り」の抽選において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。また、これらの下方には、始動ゲート口113への遊技球の通過による抽選結果を表示する普通図柄表示器、及び抽選状態を表示する状態表示器等が設けられている。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[演出表示装置及びハーフミラーの構成について] 図13、図14、及び図15に基づき説明する。
図13及び図14は演出表示装置の動作を説明するための説明図であり、図15は演出表示装置を傾斜させた場合の動作を説明するための説明図である。
本実施形態では、演出表示装置115として、互いに異なる少なくとも二つの画像情報、すなわち第一画像情報及び第二画像情報を表示可能な第一表示手段が用いられている。そして、異なる二つの画像情報が演出表示装置115に表示されている状態で、異なる二つの方向の一方から演出表示装置115を見た時には、第一画像情報のみを視認することができ、異なる二つの方向の他方から演出表示装置115を見た時には、第二画像情報のみを視認することができる構成を備えている。
このような表示手段の一例を図13及び図14に示す。
図13及び図14に示す第一表示手段は、液晶表示部80と観察方向制限部材60とを有している。液晶表示部80は、所謂TFT液晶ディスプレイであり、画像情報を形成する複数のピクセル(画素あるいはドットと言う場合もある)80a〜80jにより構成されている。各ピクセルは、R(赤)G(緑)B(青)を組み合わせた色を表示可能である。観察方向制限部材60は、液晶表示部80上に配置され、光を遮蔽する遮蔽部60aと、光を透過する透過部60bにより構成されている。つまり、観察方向制限部材60によって、1ピクセルごとにバックライトからの光の進行方向を振り分けることにより、第一画像情報を表示させるために放射される光の向き(以下、単に「第一画像情報の光」という)」を、第一の観察方向に方向付けるとともに、第二の画像情報を表示させるために放射される光の向き(以下、単に「第二画像情報の光」という)」を、第二の観察方向に方向付けることを可能にしている。ここで、液晶表示部80が本発明の光放射手段に相当する。なお、観察方向制限部材60の遮蔽部60aと透過部60bの配設位置は固定でもよいし、可変でもよい。また、観察方向制限部材60は、例えば、液晶表示部等により構成することもできる。
いま、液晶表示部80のピクセル80a〜80jと、観察方向制限部材60の遮蔽部60a及び透過部60bが図13に示すような位置関係にある場合には、位置X1に存在する人の目には、ピクセル80a〜80jからの光が到達する。この場合には、X1に存在する人は、ピクセル80a〜80jにより構成される画像情報を視認することができる。一方、液晶表示部80のピクセル80a〜80jと、観察方向制限部材60の遮蔽部60a及び透過部60bが図14に示すような位置関係にある場合には、位置X4に存在する人の目には、ピクセル80b、80d、80f、80h、80jからの光は到達するが、ピクセル80a、80c、80e、80g、80iからの光は到達しない。また、位置X5に存在する人の目には、ピクセル80a、80c、80e、80g、80iからの光は到達するが、ピクセル80b、80d、80f、80h、80jからの光は到達しない。この場合、位置X4に存在する人の目、すなわち、位置X4の方向から表示手段を見た時には、ピクセル80b、80d、80f、80h、80jによって構成される画像情報は視認することができるが、ピクセル80a、80c、80e、80g、80iによって構成される画像情報は視認することができない。また、位置X5に存在する人の目、すなわち、位置X5の方向から表示手段を見た時には、ピクセル80a、80c、80e、80g、80iによって構成される画像情報は視認することができるが、ピクセル80b、80d、80f、80h、80jによって構成される画像情報は視認することができない。
図14では、位置X4及び位置X5に存在する人は、液晶表示部80を構成するピクセルの半分の数のピクセルにより形成される画像情報を視認することになるが、液晶表示部80のピクセルの数や大きさを適宜設定することにより、画像情報の解像度の低下を抑えることができる。なお、表示手段に表示されている異なる二つの画像情報それぞれのみを視認することができる異なる二つの方向、すなわち第一の観察方向及び第二の観察方向は、ピクセルの大きさや観察方向制限部材60の遮蔽部60a及び透過部60bの配設位置によって適宜設定することができる。
ここで、第一画像情報Aがピクセル80b、80d、80f、80h、80jによって構成され、第二画像情報Bがピクセル80a、80c、80e、80g、80iによって構成されるように、液晶表示部80の表示状態を制御した場合を考える。この場合には、位置X4の方向から見た時には、第一画像情報Aのみを視認することができ、位置X5の方向から見た時には、第二画像情報Bのみを視認することができるようになる。このように、液晶表示部80のピクセルの位置や大きさと観察方向制限部材60の遮蔽部60a及び透過部60bの配設位置や大きさ等を設定することにより、表示手段80に複数の画像情報が表示されている状態において、互いに異なる二つの方向の一方から表示手段80を見た場合には、第一画像情報Aのみを視認することができ、異なる二つの方向の他方から表示手段80を見た場合には、第二画像情報Bのみを視認することができるようになる。
表示部80に、複数の画像情報を、第一の観察方向からは第一画像情報Aのみを視認することができ、第二の観察方向からは第二画像情報Bのみを視認することができるように表示する場合には、視認方向調整部材60の遮蔽部60a及び透過部60bの配設位置や大きさの設定を容易にするために、各画像情報を、列単位あるいは行単位のピクセル群によって構成するのが好ましい。例えば、液晶表示部80を構成するピクセル80a〜80jの列毎に、異なる画像情報を形成するピクセルの列を割り当てるようにすればよい。
本実施形態では、図15に示すように、演出表示装置115の表示領域を第一表示領域41と第二表示領域42とに分割している。なお、図15では、図13及び図14で示した観察方向制限部材60の図示を省略している。そして、第一表示領域41には、一つの第三画像情報Cを、パチンコ機1に対向して通常の姿勢で遊技を行っている遊技者が視認することができるように表示する。すなわち、第一表示領域41の全ピクセル41a〜41nからの光が遊技者の目に到達するように構成する。この場合、第一表示領域41の観察方向制限部材60は、省略することもできる。
一方、第二表示領域42には、互いに異なる第一画像情報A及び第二画像情報Bを表示する。特に、一方の第一画像情報Aは、通常の姿勢で遊技を行っている遊技者が視認可能となり、他方の第二画像情報Bは、直接に視認することができなくなるように構成する。例えば、第一画像情報Aを第二表示領域42のピクセル42b、42d、42fにより表示し、第二画像情報Bを第二表示領域42のピクセル42a、42c、42eにより表示する。この際、表示領域を構成するピクセルの列毎に第一画像情報A及び第二画像情報Bを形成するピクセルの列を割り当てる。そして、遊技者の目に、第一画像情報Aを形成するピクセル42b、42d、42fからの光は到達するが、第二画像情報Bを形成するピクセル42a、42c、42fからの光は到達しないように構成する。
ところで、演出表示装置115の表示画面は平面形状であり、その表示画面が遊技者に対向していることから、第一画像情報Aの光が放射される第一の観察方向と、第二画像情報Bの光が放射される第二の観察方向とを互いに異ならせた場合でも、第一の観察方向と第二観察方向とは少なくとも表示画面よりも前方すなわち遊技者側となる。このため、第一の観察方向を視認可能とし、第二の観察方向を視認不可能とすることは困難となる。換言すれば、第二画像情報Bは演出表示装置115から直接に視認させることのない情報であるが、例えば、演出の最中に、遊技者が大きく移動した場合には、第二画像情報Bを直接に認識することが可能になる虞があり、この場合には効果的な演出表示ができなくなる。
そこで、本実施形態では、図15の二点鎖線に示すように、演出表示装置115で第二画像情報Bを表示する際には、演出表示装置115を傾斜させるようにしている。詳細に説明すると、演出表示装置115は、第二表示領域42側の端部を回転軸として軸心周りに回動(旋回)可能に支持されており、傾斜駆動機構342(図16参照)によって、演出表示装置115の表示画面が遊技者と対向する通常位置(実線で示す位置)と、表示画面が遊技者に対して傾斜する位置(二点鎖線で示す位置)との間で、回動させることが可能となっている。そして、第二画像情報Bを表示させる場合には、演出表示装置115を傾斜位置に回動させる。これによれば、第二画像情報Bの観察方向である第二の観察方向が遊技者の視線に対して略直交するように、すなわちパチンコ機1の側面を向くようになる。この結果、遊技者が大きく移動した場合であっても、第二画像情報Bを直接に視認することができなくなる。なお、第二表示領域42で表示される第一画像情報A、及び第一表示領域41で表示される第三画像情報Cは、演出表示装置115を傾斜位置に回動させた状態でも、十分に視認させることが可能である。特に、第一画像情報Aの観察方向は、演出表示装置115を傾斜位置に回動させると、遊技者の視線と対向する側に変化するため、視認性が一層良くなる。
一方、第二の観察方向には、ハーフミラー40が設けられている。ハーフミラー40は、入射光を反射及び透過する特性を有しており、鏡のように動作する状態(反射動作状態)と、透明ガラスのように動作する状態(透過動作状態)とに設定することができる。つまり、反射動作状態では、図15及び図12に示すように、第二の観察方向に方向付けられた第二画像情報Bの光を反射させ、遊技者が視認可能な第三の観察方向に方向付けることが可能になる。すなわち、ハーフミラー40は、第二の観察方向に方向付けられた光の向きを反射させて第二画像情報Bを映し出す。これにより、第一画像情報A及び第二画像情報Bを同時に視認させることが可能になる。一方、ハーフミラー40が透過動作状態になると、譬え、演出表示装置115から第二画像情報Bの光が第二の観察方向に放射されていても、第三の観察方向には反射されず、視認できない状態となる。なお、この際、ハーフミラー40は透過動作状態となるため、図11に示すように、ハーフミラー40の後方に配設された装飾誘導部材24や振分装置25、さらにはこれらの部材間に形成された通路を転動する遊技球を、ハーフミラー40を通して視認させることが可能になる。すなわち、単一のハーフミラー40を用いながらも、一方では第二画像情報Bの表示領域として機能させ、他方では透過窓として機能させ得ることから、ハーフミラー40への関心を一層高めることが可能となる。なお、ハーフミラー40は、板ガラスに金属膜を薄く塗ってガラスを重ねたものである。
なお、演出表示装置115を傾斜位置に回動させた場合、第二の観察方向が遊技者の視線に対して略直交する状態となることから、ハーフミラー40の反射面を遊技者に対して僅か斜めに傾けた状態でも、第二の観察方向を、遊技者が視認可能な第三の観察方向に反射させることが可能になる。すなわち、ハーフミラー40を介して認識される第二画像情報Bの視認性を大幅に高めることが可能になる。
ハーフミラー40を反射動作状態あるいは透過動作状態に設定する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、ハーフミラー40に入射する入射光の入射角度を調整する方法を用いることができるが、本例では、ハーフミラー40の後側(反遊技者側)の照度を調整する方法を用いている。具体的には、ハーフミラー40の後側が暗い場合には、ハーフミラー40に入射する入射光の大部分がハーフミラー40で反射し、一方、ハーフミラー40の後側が明るい場合には、ハーフミラー40の後側から光が透過する状態となるため、この特性を利用して、反射動作状態と透過動作状態とを切り替えるようにしている。すなわち、ハーフミラー40の後方には、光源43が配設されており、その光源43を点灯してハーフミラー40の後方の照度を前方(遊技者側)よりも高くすることにより、透過動作状態としている。なお、光源43を点灯させると、その光源43から放射される光が装飾誘導部材24等に照射されるため、装飾体としての見栄えを高めることができる。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えばセンター役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図11参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213Cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[特別図柄表示器の構成について] 図3に基づき説明する。
本実施形態では、センター役物91の下縁部のうち、左側に4つのLED(図示しない)が配列されており、これらLEDの配列が特別図柄表示器として機能している。
本実施形態において、特別図柄表示器の機能はLEDの点灯・消灯によって実現することができる。例えば、始動入賞を契機として4つのLEDをいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示する。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLEDの点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止状態を表示する。これにより、抽選が行われると、その結果情報がLEDの点灯・消灯によって報知される。なおLEDの点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、主制御基板131により行われる。
具体的には、個々のLEDは1色(例えば赤色)の発光タイプであり、各LEDは「消灯」、及び「点灯」の2通りに表示パターンを切り替えることができる。したがって、4つのLEDを配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で16通り(24=16)のものを用意することができる。なお、ここでは説明の便宜のために1色だけとしているが、LEDの点灯色は2色以上であってもよい。また、LEDの配置は1箇所にまとまっている必要はなく、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは、特別図柄を5つ以上のLEDによって表示してもよいし、7セグメントLEDを用いて表示してもよい。
一方で、本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として2つの大当り態様が用意されており、これらは(1)「通常(非確変)大当り」、(2)「確変大当り」に区別される。
(1)「通常(非確変)大当り」は、例えば最大30秒間にわたってアタッカ装置98を一定パターンで開閉させるラウンド動作を15ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。
(2)「確変大当り」は、上記(1)と同様の大当り遊技を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後、次回大当りの抽選確率を通常時よりも高く設定(例えば、通常の大当り確率が320分の1のところ、5倍の64分の1に変更)する特典が付加される。このため遊技者が確変大当りを引き当てると、次の大当り確率が高くなって大当りを連続的に引き当てる(いわゆる連荘)ことが可能となる。
なお、以上の(1)及び(2)でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
また、上記(2)の「確変大当り」によって確率変動状態(高確率状態)になると、毎回の始動入賞を契機として確率変動状態の維持抽選(転落抽選)が行われるものとしてもよい。維持抽選は一定確率で行われ、この維持抽選で落選すると、内部的に高確率状態から低確率状態(通常確率)へ引き戻される処理が行われる。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図16に基づき説明する。
図16は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出、開閉部材23の開閉制御等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示、演出表示装置115の回動等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、ゲートセンサ317、始動口センサ318、カウントセンサ319、V入賞センサ330等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、ソレノイド331、特別図柄表示器332、普通図柄表示器112a、開閉部材駆動機構340等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338、波形制御基板339、及び表示手段駆動回路341等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主に保留球ランプ111と、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して保留球ランプ111や装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が各ランプ111,353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。また、図示していないが、これ以外にも、例えばキャラクタ体62等の可動体を駆動させるためのモータまたはソレノイド等の駆動部材が電飾制御基板337,338等に接続されている。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
表示手段駆動回路341は、モータ(図示しない)、及びそのモータの駆動力を演出表示装置115に伝達する伝達部材(図示しない)とを具備して構成された傾斜駆動機構342を制御するものである。詳しくは、演出表示装置115の表示画面を遊技者に対向させる通常位置(図15にて実線で位置)と、演出表示装置115の表示画面を遊技者に対して傾斜させ、第一画像情報Aの光の向きを、遊技者が第一画像情報Aを視認することのできる第一の観察方向に方向付けるとともに、第二画像情報Bの光の向きを、第一画像情報Aを視認する遊技者が第二画像情報Bを視認することのできない第二の観察方向に方向付ける傾斜位置(図15にて二点鎖線で示す位置)との間で、演出表示装置115を回動させるものである。つまり、表示手段駆動回路341及び傾斜駆動機構342を組合せたものが、本発明の回動駆動手段に相当する。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[始動入賞処理について] 図17に基づき説明する。
図17は始動入賞処理のルーチンを示している。
この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の入球装置96に対応する始動口センサ318から検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され、一方検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101においてYES)、次に始動保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に始動保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、始動保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM316内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて保留球ランプ(LED)111の点灯個数が1つ増加される。
また、保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、例えば大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)、及び演出表示パターン乱数等が含まれている。このうち大当り判定用乱数は、大当りであるか否かを決定するための乱数である。次の大当り図柄用乱数は、大当り判定用乱数によって大当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示器332によって停止表示される表示パターン(四つのLEDにおける点灯状態の組合わせパターン)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、特別図柄表示器332による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。また、演出表示パターン乱数は、演出表示装置115に表示される演出表示の変動表示パターンを特定するための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAM316に格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[遊技作動処理について] 図18に基づき説明する。
図18は始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。
この遊技作動処理では、最初に始動保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留が有ると判断され(YES)、次に特別図柄表示器332における特別図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示器332にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAM316の保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて特図変動設定処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。なお、特図変動設定処理の内容については、さらに別のフローチャート(図19,図20)を用いて詳しく後述する。
特図変動設定処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板131からサブ統合基板336に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板336は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板131の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止画像情報、当り判定結果、確率変動の有無、及び演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
図18の遊技作動処理では、最後に当り判定処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201においてNO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示器332が変動中であったり(ステップS202においてNO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)、及び特図変動設定処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)及び当り判定処理(ステップS206)が実行される。
当り判定処理(ステップS206)では、特別図柄の変動開始時にセットされた当りフラグを参照し、当りフラグがセットされていればさらに別の処理(図21)を実行する。
[特図変動設定処理(ステップS204)の詳細について] 図19及び図20に基づき説明する。
図19は、上記の特図変動設定処理に含まれる特図変動設定処理Aの内容を示し、図20は特図変動設定処理Bの内容を示している。
この特図変動設定処理Aでは主に、抽選結果によって特別図柄表示器332による変動時間の設定や停止時の表示パターンの選択が行われる。具体的には、既に取得されている大当り判定用乱数に基づいて抽選の結果が判断され(ステップS301)、当選(大当り)であった場合(YES)は当り時変動設定処理(ステップS302)が実行される。なお、ここでいう「当選」は、上記(1)通常大当り、または(2)確変大当りのいずれかに該当していることを意味する。
これに対し、抽選の結果が外れ、つまり、(1)及び(2)のいずれの当りにも該当してないと判断された場合(NO)、既に取得されている可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値が所定値(例えば1024)と比較される(ステップS303)。可変変動用乱数は例えば0〜65535の範囲内で取得されており、この乱数値が1024未満であれば(YES)、可変変動設定処理(ステップS304)が実行される。逆に、可変変動用乱数の値が1024以上であれば(NO)、ステップS305またはステップS306の各判断を経て変動タイマがセットされる。変動タイマは、特別図柄表示器332による変動時間を設定するためのタイマであり、具体的には、現在の始動保留数が「0」〜「2」であれば(ステップS305においてYES)、所定の変動タイマが比較的長めの10秒にセットされる(ステップS307)。同様に、始動保留数が「3」であれば(ステップS306においてYES)、変動タイマが比較的中程度の8秒にセットされ(ステップS308)、そして始動保留数が「4」であれば(ステップS306においてNO)、変動タイマが比較的短めの6秒にセットされる(ステップS309)(いわゆる保留時短)。いずれにしても、変動タイマがセットされると、続いて特別図柄の停止パターンが選択される(ステップS310〜S312)。停止パターンは、四つのLED110における点灯状態の組合わせを、いずれの当り態様にも該当しないパターンの中から適宜選択する。
以上の特図変動設定処理Aをまとめると、抽選結果がいずれかの当りに該当している場合は、別の当り時変動設定処理(ステップS302)が実行された後に特別図柄の変動表示が開始される(ステップS313)。一方、抽選結果がいずれの当りにも該当しない(外れ)場合は、取得済みの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値によって64分の1の振り分け率で別の可変変動設定処理(ステップS304)が実行されるが、それ以外(64分の63)の場合は始動保留数に応じて変動タイマの時間が3段階に設定された後に特別図柄の変動表示(ステップS313)が開始されることとなる。
ここで、ステップS304の可変変動設定処理は、「外れリーチ変動」の考え方に基づくものである。すなわち、基本的に抽選で外れた場合は特別図柄の変動時間が始動保留数に応じて次第に短縮されるが(ステップS307〜S309)、外れの場合であっても、ときには始動保留数に関係なく変動時間を長短に変更したり、特別図柄の停止パターンを変更したりすることで、あからさまに外れ変動であることを遊技者に気付かせにくくするものである。なお、この「外れ」を通常の「外れ」と区別するため、「特殊外れ」と称している。この可変変動設定処理では、例えば以下の表1で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられている。
一方、ステップS302の当り時変動設定処理は、0〜65535までの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表2で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられる。なお、表1及び表2の比較から明らかなように、当り時における変動時間は、特殊外れ時における変動時間よりも長くなるように設定されている。換言すれば、変動時間が長いほど、大当りとなる期待値が高くなっている。この当り特変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「1」がセットされて、本ルーチンがリターンされる。
図20は上記の特図変動設定処理(図18中のステップS204)に含まれる特図変動実行処理Bの内容を示している。先の特図変動設定処理Aによって特別図柄の変動が開始されると、ここでは変動期間中であるか否かが判断される(ステップS401)。具体的には、変動期間中であるか否かは上記の変動タイマを参照することで判断可能であり、変動タイマが作動していると、それによって変動期間中である(YES)と判断され、逆に変動タイマが停止していれば、変動期間中でない(NO)と判断される。
ステップS401で特別図柄の変動期間中であると判断されると、次に変動表示制御処理(ステップS402)が実行される。ここでは、特別図柄表示器332を構成する4つのLEDについて、例えば0〜15のカウンタ値を取得しながらこれらを8ビットの値に割り当て、この値を用いて合計4つのスイッチ(LED4個分)のON/OFFを40ms毎に切り替える処理が行われる。これにより、4つのLEDが点滅しながら特別図柄表示器332による高速変動が実現される。なお、ここではカウンタ値を参照してLEDの点灯・消灯を制御しているが、例えば所定の変動パターンテーブルを用いてLEDの点灯・消灯パターンを切り替えることもできる。
この後、変動タイマがカウントアップして変動期間が終了すると、特別図柄の変動期間中ではない(NO)と判断されて、次に停止パターン表示制御(ステップS403)が実行される。この停止パターン表示制御では、先の特図変動設定処理A(図19)等で既に選択されている停止パターンの点灯・消灯表示パターンデータが特別図柄表示器332に送信される。なお、パターンデータの送信は毎回の割込周期(例えば4ms)で行う必要はなく、適宜サンプリングすることでLEDの発光輝度を調整することが好ましい。
[大当り処理について] 図21に基づき説明する。
図21は大当り処理の内容を示している。
内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS501)。このラウンドカウンタは例えばRAM内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS502)、続いて大入賞口(アタッカ装置98)が開放される(ステップS503)。そして、次のステップS504では大入賞口の開放期間が設定最大期間(例えば30秒)内であるか否かが判断される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS505)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS506)。大入賞口への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS507で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS504の判断が行われる。あるいは、ステップS506で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS504の判断が行われる。
「通常大当り」または「確変大当り」の場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS504またはステップS505の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために大入賞口が閉止(ステップS508)される。そして、次のステップS509でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(例えば15ラウンド)に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達していなければ(ステップS509においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS510)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS502)。
上記の処理は「通常大当り」または「確変大当り」中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達したと判断されると(ステップS509においてYES)、そこで大当り処理は終了となる。
[演出表示装置における演出表示の詳細について] 図22〜図28に基づき説明する。
図22は、サブ統合基板336における制御処理の内容を示しており、図23は、電飾制御基板338における制御処理の内容を示している。また、図24及び図25は演出表示制御における機能的な構成を示し、図26及び図27は各種テーブルの構成を示している。また、図28は具体的な演出例を示している。
ところで、これまで説明してきた処理は、純粋に主制御基板131による遊技動作の制御に関するものであるが、サブ統合基板336は主制御基板131から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができるようになっている。
詳細に説明すると、前述したように主制御基板131では、保留格納処理(S103)において、大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数、及び演出表示パターン乱数等が取得され、これらの乱数を基に、大当りの有無に関する情報(当否コマンド)、大当たりの場合に「通常大当り」または「確変大当り」のいずれであるかを示す情報(確変・非確変コマンド)、及び演出表示パターンの種類に関する情報、すなわち特別図柄の変動時間に関する情報(変動表示パターンコマンド)が、変動開始コマンドとして設定され、主制御基板131からサブ統合基板336に送信される(S205)。
すなわち、図24に示すように、主基板310には、大当り判定用テーブル411、大当り図柄用テーブル412、当り時変動時間可変用テーブル413、及び外れ時変動時間可変用テーブル414が予め記憶されており、これらのテーブル411〜414を基に、抽選の当否、特別図柄表示器332における停止図柄、及び変動時間が決定される。詳しく説明すると、大当り判定用テーブル411は、図26(a)に示すように、大当り判定用乱数値と大当りの当否(大当りの種別を含む)との関係を示すものであり、例えば、大当り判定用乱数値のNA1〜NA2が「確変大当り」に対応し、NA3〜NA4が通常大当りに対応し、NA5〜NA6が「外れ」に対応している。また、大当り図柄用テーブル412は、図26(b)に示すように、大当り図柄用乱数値と特別図柄表示器332における停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と四つのLEDの点灯状態との対応付けがなされている。なお、当り時変動時間可変用テーブル413は前述の表2に示した通りであり、また外れ時変動時間可変用テーブル414は前述の表1に示した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主基板310には、入賞状態検出手段318によって入球装置96への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(図示しない)から、大当り判定用乱数を抽出する大当り判定用乱数抽出手段416と、大当り図柄用乱数を抽出する大当り図柄用乱数抽出手段417とが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する変動時間用乱数抽出手段418が設けられている。また、大当り判定用乱数抽出手段416によって大当り判定用乱数が抽出されると、大当り判定用テーブル411を用いて大当りの当否を決定する当否決定手段430、及び大当り図柄用乱数抽出手段417によって大当り図柄用乱数が抽出されると、大当り図柄用テーブル412を用いて特別図柄表示器332における停止図柄を決定する停止図柄決定手段431が設けられている。さらに、変動時間用乱数抽出手段418によって変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段430によって大当りであることが決定されると、当り時変動時間可変用テーブル413を用いて特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段430によって外れであることが決定されると、外れ時変動時間可変用テーブル414を用いて特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段432が設けられている。
また、主基板310には、特別図柄表示器332において特別図柄の変動を開始するとともに、変動時間決定手段432によって決定された変動時間の経過後、停止図柄決定手段431によって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段434と、当否決定手段430によって大当りであることが決定されると、特別図柄の変動停止後、遊技者に有利な遊技状態(すなわち図21の大当り処理)を発生させる第一有利遊技状態発生手段433と、特別図柄の変動開始前に、当否決定手段430によって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段435が設けられている。
なお、当否決定手段430では、センタ役物91の上部開口部を開閉するために設けられた開閉部材23(図3参照)を一定時間開放させるか否か、すなわちセンタ役物91の内側の通路に遊技球が入賞可能となる状態を形成させるか否か、の抽選も行われる。特に、本例では、大当り判定用乱数抽出手段416によって抽出された大当り判定用乱数が「外れ」である場合(すなわち大当りでない場合)において、開閉部材23を開閉させるか否かを、大当り判定用乱数に基づいて決定している。そして、当否決定手段430において開閉部材23を開放させることが決定されると、開閉部材制御手段423によって開閉部材駆動機構340(図16参照)を制御し、開閉部材23を一定時間開放させ、その後閉鎖させる。
なお、開閉部材23の開放によって通路内に入賞した遊技球は、装飾部材26の後方のワープ通路を通って、装飾誘導部材24に誘導され、装飾誘導部材24の螺旋形状に従って螺旋状に回転しながら下部に誘導される。装飾誘導部材24の下流側には、振分装置25が配設されており、遊技球は、特別入口(V入賞口)と普通入口とのいずれか一方に振り分けられる。そして、特別入口に入球した場合には、主基板310に接続された特別入球検出手段421によって検出される。主基板310では、第二有利遊技状態発生手段422が備えられており、特別入球検出手段421によって遊技球が特別入口に入球したことが検出されると、第二有利遊技状態を発生させる。第二有利遊技状態としては、第一有利遊技状態と異なる遊技状態、すなわち有利性の異なる遊技状態であってもよいが、本例では、第一有利遊技状態と同一の遊技状態、すなわち、通常大当り状態または確変大当り状態のいずれか一方が発生するようになっている。このように、開閉部材23を介して遊技球が通路に入球すると、通常大当りや確変大当りが発生する可能性が生じることから、遊技者は、センタ役物91内の通路に遊技球が入球されることを強く願うようになり、遊技球の挙動に対する興味が大きくなる。つまり、センタ役物91内に遊技球が入球していない状態では、ハーフミラー40を介して第二画像情報Bを視認することを望むが、センタ役物91内の通路に遊技球が入球した場合には、ハーフミラー40を通して装飾誘導部材24や遊技球の挙動を視認することを望むようになる。
また、主基板310には、遊技状態判定手段424が設けられており、これにより、特定の遊技状態(大当り状態及び確率変動状態)か否かを判定されるようになっている。
一方、サブ統合基板336では、図22に示すように、主制御基板131から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS601においてYES)、受け取ったこれらの変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定する(ステップS602)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、当否コマンド及び確変・非確変コマンドに基づいて装飾図柄列における最終停止図柄を決定する。例えば、「確変大当り」の場合には、確変大当りに相当する複数の装飾図柄の中から一つの図柄を最終停止図柄として決定する。また、サブ統合基板336は、乱数発生手段(図示しない)を有しており、乱数を取得するとともに、取得された乱数に応じて大当り予告の演出態様を付加する。さらに、サブ統合基板336では、決定されたこれらの変動態様を、電飾制御基板337、338及び波形制御基板339に対する変動開始コマンドとして設定する(ステップS603)。具体的には、変動表示パターンコマンド、最終停止図柄コマンド、及び演出パターンコマンド等を設定する。そして、設定されたこれらの変動開始コマンドを、各制御基板337,338,339に送信する(ステップS604)。これにより、これらの制御基板337,338,339では、抽選結果に応じた演出表示を行なったり、その演出表示に合せて音声等を発生させることが可能になる。
特に、電飾制御基板338では、図23に示すように、サブ統合基板336から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS701においてYES)、その変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定(ステップS702)し、その後、演出表示装置115を制御する(ステップS703)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、最終停止図柄コマンドに基づいて、装飾図柄列の最終停止図柄を設定する。また、演出パターンコマンドに対応した演出を決定するとともに、後述するステップ演出等、より具体的な演出態様を付加する。つまり、電飾制御基板338は、乱数発生手段(ランダムカウンタ)を有しており、演出表示装置115における夫々の変動パターンに対して、より具体的な演出態様を付加することを可能にしている。このように、本例では、変動パターンの選択処理が、主制御基板131、サブ統合基板111、及び電飾制御基板338において分担されており、これにより、主制御基板131及びサブ統合基板111における処理の負担を軽減するとともに、変動パターンの複雑化、ひいては演出の興趣を向上させている。
なお、図22及び図23に示すフローチャートでは、サブ統合基板336及び電飾制御基板338におけるコマンド受信処理のうち、特に演出の制御に関する変動開始コマンドの受信処理のみを説明している。すなわち、ここでは、電源投入時のコマンドや異常時のコマンドに対する処理は省略している。
ところで、本例の演出表示装置115に表示される演出画像には、周期性をもって変動表示される装飾図柄、及び装飾図柄の変動中に複数の画像を予め定めた順序に従って段階的に発展表示させることが可能なステップ演出等が含まれている。以下、装飾図柄、及びステップ演出について詳細に説明する。
(装飾図柄について)
本例では、装飾図柄S(図28参照)として、例えば、左・中・右の3つの装飾図柄列が設定されており、装飾図柄列毎に変動表示されるようになっている。一連の装飾図柄Sは、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄と、絵図柄からなる副装飾図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄が表示されると共に各主装飾図柄の間に副装飾図柄が配されて一連の装飾図柄列が構成されている。そして、主装飾図柄と副装飾図柄とが周期性を持って上から下へと変動表示されるようになっており、左装飾図柄列→右装飾図柄列→中装飾図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に三つの装飾図柄が大当り装飾図柄の組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)で揃えば大当りとして「大当り演出」が表示されるようになっている。特に、三つの装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列(中装飾図柄列)が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している二つの装飾図柄(左装飾図柄及び右装飾図柄)が互いに同じ図柄である場合には、これらの装飾図柄をリーチ形成図柄として、リーチ状態が成立する。また、主装飾図柄は、「通常大当り」を示す複数の通常図柄(例えば偶数の図柄)と、「確変大当り」を示す複数の確変図柄(確率変動図柄)とからなり、通常図柄によって大当りの組合せが成立した場合には、「通常大当り」が発生し、確変図柄で大当りの組合せが成立した場合には、「確変大当り」が発生するようになっている。また、大当りの組合せが成立しない場合には、予め定めた特別当りの組合せが成立することがあり、この組合せが成立した場合には、開閉部材23が所定時間開放し、センタ役物91内の通路に遊技球を入賞させることが可能になる。なお、特別当りの組合せは、大当りの組合せよりも多く、例えば大当りの組合せの約10倍の組合せが設定されている。すなわち、開閉部材23を開放させる特別当りの当選確率は、「大当り」が発生する確率の約10倍となっている。
なお、本例では、演出表示装置115における装飾図柄列の変動は、装飾図柄変動制御手段443(図25参照)によって制御され、変動開始時期を、特別図柄の変動開始後とし、装飾図柄列の変動停止を特別図柄の変動停止前としている。これにより、特別図柄の変動表示の開始時と停止時には、演出表示装置115での演出表示を行わないことで、特別図柄の変動表示に対して演出表示装置115での紛らわしい表示を行うことを防止するとともに、演出表示装置115の演出中に当りか否かを認識させること、すなわち演出の効果を損なうことを防止している。
(ステップ演出)
ステップ演出では、最初のステップから最後のステップまでの間が時系列的に分割されており、各ステップに対して互いに異なる画像(動画)が定められている。そして、段階的に発展表示されるステップの数が互いに異なるように複数の演出パターンが設定されている。つまり、ステップの数が互いに異なる複数の演出パターンがステップ演出として演出パターン記憶手段455(図25参照)に記憶されており、例えばステップの数が一つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップにおける画像のみが表示され、ステップの数が四つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップ〜第四ステップにおける画像を段階的に発展表示させることが可能となる。また、このステップ演出は、大当りの予告表示として、演出表示装置115における装飾図柄列の変動開始から、それらがリーチ状態となるまでの間の所定期間内において導出可能なものであり、段階的に発展表示されるステップの数が多いほど、大当りの信頼度が高くなるように出現率が振り分けられている。なお、大当りの信頼度とは、外れ時の演出として選択される確率が異なっている複数の演出がある場合、その選択率の異なりによって発生するものである。例えば、選択率が低い演出ほど大当りに対する信頼度が高くなり、期待値が高くなる。
ステップ演出の具体例としては、図28に示す演出を例示することができる。図28において(a)はステップ演出を開始する前の初期演出画面、(b)は第二ステップの画像が表示された画面の一例である。このステップ演出では、オートバイに乗ったキャラクタC1が他のキャラクタのオートバイと競い合うという、一連の画像から構成されている。なお、図中Sは装飾図柄である。
ところで、通常の遊技状態における演出画像は、演出表示装置115の第一表示領域41(図15参照)で表示される第三画像情報Cと、第二表示領域42で表示される第一画像情報Aとの合成によって作られる。換言すれば、第二表示領域42に第二画像情報Bを表示させない状態で演出表示が行われる。また、演出表示装置115は、図15で実線に示すように、遊技者に対して対向する通常位置において各種演出を表示する。また、この際、光源43を点灯させることにより、ハーフミラー40を透過動作状態とする。つまり、演出表示装置115の第一表示領域41及び第二表示領域42で直接に演出画像を視認させるとともに、その右側に配設されたハーフミラー40を通して、装飾誘導部材24や遊技球の挙動を視認させることを可能とする。
これに対して、大当り遊技状態、及び確変大当り終了後の確率変動状態では、演出表示装置115は、傾斜位置(図15の二点鎖線参照)に回動させた状態になるとともに、第二表示領域42では第二画像情報Bが表示される。また、この際、光源43が消灯し、ハーフミラー40が透過動作状態から反射動作状態に切り替わる。これにより、第二の観察方向に方向付けられて放出される第二画像情報Bの光は、ハーフミラー40によって第三の観察方向に反射し、遊技者に視認させることが可能になる。なお、第二画像情報Bとしては特に限定されるものではないが、本例では、大当り遊技状態の際には、大当り状態を示す状態表示画像、例えば、ラウンド数や入球数、または確率変動大当りの継続数を示す文字情報が導出され、一方、確率変動状態では、第一画像情報Aとして導出される演出画像に関連付けられた演出画像が導出される。
なお、確率変動状態における演出画像の一例としては、図28(c)に示すものを挙げることができる。この演出例では、演出表示装置115から直接に視認することが可能な第一画像情報A及び第三画像情報Cとしては、車両(オートバイ)を運転しているドライバから見える前方の風景が表示され、一方、ハーフミラー40を介して視認することが可能な第二画像情報Bとしては、車両のサイドミラーに映っている後方の風景が表示される。なお、図28(c)に示す画像では、後方の背景として、オートバイに乗ったキャラクタC2が追いかけてくる画像が含まれている。
次に、上記演出の演出表示制御における機能的な構成、すなわち演出プログラムとして実現される機能的な構成ついて説明する。図25に示すように、電飾制御基板338(副制御手段に相当)には、主基板310(主制御手段に相当)からサブ統合基板336を介して送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段451によって受信されると、これを基に演出表示装置115を制御するための各種機能が備えられている。
すなわち、当り時演出態様テーブル452と、外れ時演出態様テーブル453とが予め記憶されており、これらのテーブル452,453を基に、ステップ演出における演出態様が決定されるようになっている。
まず、演出態様テーブル452,453について詳細に説明する。当り時演出態様テーブル452は、図27(a)に示すように、大当りの場合に用いられ、演出決定用乱数(後述する)と、演出態様(ここではステップ演出における演出パターン)との関係を示すものである。また、外れ時演出態様テーブル453は、外れの場合に用いられるテーブルであり、図27(b)に示すように、演出決定用乱数と演出パターンとの関係を示すものである。
図25に示すように、電飾制御基板338には、ランダムカウンタ(図示しない)からステップ演出決定用乱数を抽出する演出用乱数抽出手段457と、ステップ演出の演出パターンを決定する演出態様決定手段458とが設けられている。演出パターン決定手段458は、コマンド受信手段451を介して制御コマンドを受信すると、演出用乱数抽出手段457によって演出用乱数を抽出するとともに、制御コマンドに含まれる当否コマンドが大当りを示すものである場合には、演出用乱数抽出手段457によって抽出された演出用乱数と、当り時演出態様テーブル452とから演出パターンを決定し、一方、当否コマンドが外れを示すものである場合には、演出用乱数抽出手段457によって抽出された演出用乱数と、外れ時演出態様テーブル453とから演出パターンを決定するものである。具体的に、当否コマンドが大当りを示すものであり、抽出された演出用乱数が「0」〜「55」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ乃至第四ステップからなる演出パターン1(PT1)が選択され、また、同条件(受信した制御コマンドが同一)の場合において、抽出された演出用乱数が「56」〜「96」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ乃至第三ステップからなる演出パターン2(PT2)が選択され、抽出された演出用乱数が「97」〜「119」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ及び第二ステップからなる演出パターン3(PT3)が選択され、抽出された演出用乱数が「120」〜「127」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップのみからなる演出パターン4(PT4)が選択される。一方、当否コマンドが外れを示すものであるときは、抽出された演出用乱数が「0」〜「7」の範囲内に含まれている場合には、演出パターン1(PT1)が選択され、また、抽出された演出用乱数が「8」〜「39」の範囲内に含まれている場合には、演出パターン2(PT2)が選択され、抽出された演出用乱数が「40」〜「79」の範囲内に含まれている場合には、演出パターン3(PT3)が選択され、抽出された演出用乱数が「80」〜「127」の範囲内に含まれている場合には、演出パターン4(PT4)が選択される。
なお、図24(a)に示すように、当り時には、演出パターン1(PT1)の振分率(例えば44%)が最も高く、次に、演出パターン2(PT2)の振分率(例えば32%)が高くなるように設定されている。これに対し、外れ時には、演出パターン4(PT4)の振分率(例えば38%)が最も高く、次に、演出パターン3(PT3)の振分率(例えば31%)が高くなるように設定されている。すなわち、当り時には、外れ時に比べ、第一ステップ乃至第四ステップを演出対象とする演出パターン1が導出されやすくなっている。つまり、後半に出現可能な画像は、大当りの時に表示されやすくなっている。
そして演出態様決定手段458によって決定されたステップ演出の演出パターンは、演出パターン記憶手段455から抽出されるとともに、演出表示制御手段475に送られる。演出表示制御手段475は、それらの演出の画像を画像記憶手段454から読出し演出表示装置115に導出する。特に、演出表示制御手段475には、第一画像情報A、第二画像情報B、及び第三画像情報Cを個別に作成するための、第一画像情報作成手段475a、第二画像情報作成手段475b、第三画像情報作成手段475cが設けられている。つまり、演出表示装置115の第二表示領域42のうち、第一の観察方向に方向付けられたピクセルを用いて表示される第一画像情報Aと、同じく第二表示領域42のうち、第二の観察方向に方向付けられたピクセルを用いて表示される第二画像情報Bと、演出表示装置115の第一表示領域41で表示される第三画像情報Cと、を夫々区別して作成している。
また、電飾制御基板338には、表示切替制御手段441が設けられており、第一画像情報A及び第三画像情報Cのみを表示させる状態、すなわち演出表示装置115において直接に視認させることが可能な画像のみを表示させる状態と、第一画像情報A、第二画像情報B、及び第三画像情報Cを全て表示させる状態、すなわち演出表示装置115及びハーフミラー40の両方で視認させることが可能な状態とを切り替えることを可能としている。また、表示切替制御手段441は、第二画像情報Bを表示させないように切り替える場合、光源点灯回路442を作動させて光源43を点灯させ、これにより、ハーフミラー40を透過動作状態とする。なお、図25には図示していないが、第二画像情報Bを表示する際には、表示手段駆動回路341(図16参照)によって、演出表示装置115は傾斜位置に回動させられる。
一方、装飾図柄列の演出に関する機能的な構成として、装飾図柄変動制御手段443、及びリーチ状態成立手段444が設けられている。装飾図柄変動制御手段443は、コマンド受信手段451によって受信された制御コマンドを基に三つの装飾図柄列を変動させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて装飾図柄列を順に停止させるものである。なお、装飾図柄も画像情報の一部として表示される。特に、ここでは、演出表示装置115において装飾図柄を直接に視認させるため、第一画像情報A及び第二画像情報Bによって装飾図柄を表示させるようにしている。なお、第二画像情報Bによって装飾図柄を表示させるようにしてもよく、この場合には、演出表示装置115で直接に視認させる演出画像と、ハーフミラー40を介して視認させる装飾図柄とが重ならないため、演出画像の関する設計の自由度が増し、一層、臨場感の高い演出を表示させることが可能になる。
なお、リーチ状態成立手段444は、複数の装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄(停止図柄)の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合、既に停止している装飾図柄を第一リーチ形成図柄として、リーチ状態を成立させるものである。なお、リーチ状態が成立した場合には、リーチ状態であることを示す演出が表示されるとともに、発展演出の導出が可能となる。
このように、本例のパチンコ機1によれば、遊技に伴う画像情報を表示する演出表示装置115が設けられており、抽選結果等に基づいて決定された第一画像情報A、第二画像情報B、及び第三画像情報Cを単一の演出表示装置115で並行して導出可能とする。特に、演出表示装置115の第二表示領域42では、第一画像情報Aの光を第一の観察方向に方向付け、一方、第二画像情報Bの光を第二の観察方向に方向付けることが行われ、さらに第二の観察方向に方向付けられた光を、ハーフミラー40によって遊技者が視認可能な第三の観察方向に反射させている。したがって、画像情報を表示させるための光を放出する表示手段として、単一の演出表示装置115のみを使用するにも拘わらず、互いに異なる方向において視認可能となる第一画像情報A及び第二画像情報Bによって、新規で且つ効果的な演出表示を行うことができる。特に演出表示装置115の表示領域よりも広い範囲で画像情報が認識されるため、臨場感のある演出を簡単に行うことが可能になる。
また、本例のパチンコ機1によれば、所定の遊技状態になると、第二画像情報Bを視認させるため、第二画像情報Bを所定の遊技状態と関連付けながら第二画像情報Bの内容を認識させることが可能になり、遊技者の視覚的な興趣を高めることができる。また、ハーフミラー40を介して第二画像情報Bを視認させる状態と、視認させない状態とでは、表示領域全体の大きさが互いに異なることから、表示領域の大きさの変化によって高い趣向性を与えることができる。さらに、通常時に何も演出表示が行われていない部位が、所定の遊技状態になると、突然演出表示を映し出すことから、その出現によって遊技者に驚きを与え、遊技に対する気分を高揚させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、第二表示手段としてハーフミラー40を用いているため、反射動作状態では、第二の観察方向に方向付けられた第二画像情報Bの光を反射させ、一方、ハーフミラー40が透過動作状態になると、ハーフミラー40の後方に配設された装飾誘導部材24や遊技球の挙動を視認させることが可能になる。すなわち、単一の第二表示手段のみを使用するにも拘わらず、一方では第二画像情報Bを映し出す表示領域として機能させ、他方では透過窓として機能させ得ることから、ハーフミラー40への関心を一層高めることが可能となる。特に、ハーフミラー40の後方に光源43を配設し、その光源43を点灯してハーフミラー40の後方の照度を前方よりも高めることによって透過動作状態とするため、反射動作状態と透過動作状態との切替を容易に実現することができるとともに、光源43の光が装飾誘導部材24等に照射されるため、装飾体としての見栄えを高めることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、通常の遊技状態では、ハーフミラー40の後方における遊技球の転動を視認可能とさせることにより、遊技球の挙動等を楽しませることができ、一方、ハーフミラー40の後方での遊技球の挙動が遊技に影響を及ぼさなくなる大当り状態では、その領域、すなわち無駄となる領域を用いて第二画像情報が映し出されるため、十分な遊技領域を確保しつつ、多彩な遊技演出を楽しませることができる。また、予め作り込まれた演出表示(第二画像表示B)と、実際に行われる物理的な現象(遊技球の挙動)とを、遊技状態に基づいて選択的に視認させることが可能になる。したがって、全く異種の演出が単一のハーフミラー40を介して行われるため、その意外性のある変化によって、新規な演出態様であることを遊技者に実感させることができる。特に、通路の下流側には振分装置25が設けられており、通路に遊技球が入賞すると、その遊技球が振分装置25によって特別入口に入球する可能性、すなわち第二有利遊技状態(大当り)が発生する可能性が生じることから、遊技者は通路に遊技球が入球することを強く願うようになる。つまり、遊技球の挙動に対する興味を大きく向上させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、演出表示装置115を通常位置と傾斜位置との間で回動させることが可能となっている。つまり、第二画像情報Bを表示させない場合には、遊技者と対向する表示画面によって従来と同様に演出表示を楽しませ、一方、第二画像情報Bも表示させる場合には、第一の観察方向が遊技者側に向かい、且つ第二の観察方向が遊技者の視線に対して略直交するように、演出表示装置115を傾斜させるため、第一の観察方向と遊技者の視線とが対向し、第一画像情報Aを明確に視認させることが可能になるとともに、第二画像情報Bが直接に視認されることを回避できる。しかも、第二の観察方向を遊技者の視線に対して略直交させることから、ハーフミラー40の反射面を遊技者に対して僅かに斜めに傾けた状態でも、第二の観察方向を、遊技者が視認可能な第三の観察方向に反射させることができる。すなわち、ハーフミラー40に映し出される第二画像情報Bの視認性を大幅に高めることが可能になる。
また、本例のパチンコ機1によれば、確変遊技状態を、特定の遊技状態として第二画像情報Bを表示させるため、次回の大当りが発生するまでの間、ハーフミラー40に映し出される第二画像情報Bによって、通常とは異なる演出内容を楽しませることが可能になる。つまり、確変遊技状態における優越感を高め、遊技意欲を一層向上させることができる。また、大当り状態が発生した場合も、第二画像情報Bを視認可能となるため、大当りに関する特有の情報を、ハーフミラー40を介して視認させることが可能となり、一層多くの情報を分かり易く提供することが可能になる。特に、演出表示装置115の表示領域において直接に視認される第一画像情報Aは、遊技状態に基づいて動的に変化する第一演出画像からなるが、ハーフミラー40に映し出される第二画像情報Bは、特定の遊技状態の種類によって互いに異なっており、大当り状態の場合には、大当り状態を示す状態表示画像が導出され、確率変動状態の場合には、第一演出画像に関連付けられた第二演出画像が導出される。このため、大当り状態では、ラウンド数、入賞数、及び連荘回数等の遊技の情報を明確に認識させ、一方、その後の確変遊技状態では、臨場感の高い演出によって次回への大当りの意欲を大幅に高めることが可能になる。
また、本例のパチンコ機1によれば、抽選手段の抽選結果が第一所定結果の場合には、通常大当りまたは確変大当りの何れか一方が発生させられ、当該抽選手段の抽選結果が第二所定結果の場合には、開閉部材23が一定時間開放させられる。また、確率変動状態のときは、ハーフミラー40が透過動作状態から反射動作状態に切り替えられる。つまり、通常の遊技状態の場合には透過動作状態となり、ハーフミラー40の後方に配設された遊技球の通路等を視認させることが可能になり、一方、確率変動状態になるとハーフミラー40が反射動作状態となり、ハーフミラー40を介して第二画像情報Bを視認させることが可能となる。なお、確率を変動させる前の通常状態では、抽選結果が第一所定結果となる確率、すなわち通常大当りや確率変動大当りが発生する可能性が比較的低いことから、その分、抽選結果が第二所定結果となる確率、すなわち、ハーフミラー40の後方に形成された通路に遊技球を入球させることが可能となる確率が、割合高くなる。これに対し、確変遊技状態では、第一所定結果となる確率が大幅に高くなることから、開閉部材23が開放される確率が低減される。本例では、開閉部材23を開放させる頻度が少なくなる確変遊技状態において、ハーフミラー40を透過動作状態から反射動作状態に切り替えるため、通路に入球する遊技球の可能性と、ハーフミラー40の状態とを整合させることが可能になり、ハーフミラー40を用いた効果的な演出を行うことができる。また、通路に対して遊技球が入球する毎にハーフミラー40の状態を切り替えるものに比べ、比較的長い間隔で切り替えることが可能になり、第二画像情報Bが細切れ状態で視認されること、すなわち断続的に表示され演出内容の把握が困難になることを防止することができる。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、演出表示装置115は、複数のピクセルを有する液晶表示部80と、光の観察方向を制限する観察方向制限部材60とを具備して構成されているため、夫々のピクセルとその観察方向とを対応付けることにより、各画像情報の観察方向を容易に設定することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態では、第二表示手段としてハーフミラー40を用いるものを示したが、反射動作状態のみを有し第二画像情報Bを映し出す鏡面部材を用いるようにしてもよい。但し、上記実施形態のようにハーフミラー40を用いれば、第二画像情報Bを表示させない場合、透過動作状態とし、その後方の状況を視認させることができるため、視覚的な興趣を高めることができる。
また、上記実施形態では、第二画像情報Bを表示させる場合、演出表示装置115を回動させ傾斜位置とするものを示したが、演出表示装置115を傾斜位置にしなくても、第二画像情報Bの光の放射方向が、第二画像情報Bを視認不能とする方向であり、且つ、第二画像情報Bをハーフミラー40によって映し出すことが可能であれば、回動させる手段を省略することもできる。また、通常遊技状態及び特定の遊技状態(大当り状態や確変遊技状態)に拘わらず、常に傾斜位置に配置させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、演出表示装置115の表示領域を第一表示領域41と第二表示領域42とに分割し、第二表示領域42において第一画像情報Aと第二画像情報Bとを表示させるものを示したが、演出表示装置115の表示領域を分割することなく、全体の表示領域において第一画像情報Aと第二画像情報Bとを表示させるようにしてもよい。これによれば、第三画像情報Cの作成が不要となり、制御の簡略化を図ることができる。
また、上記実施形態では、ハーフミラー40を演出表示装置115の右側に配設するものを示したが、第二観察方向の方向付けを変えることにより、演出表示装置115の左側、上側または下側のいずれにおいても配置することが可能である。さらに、上記実施形態では、遊技者に視認不能な観察方向として一方向のみを示したが、第二画像情報Bとして互いに異なる複数の画像を表示させるとともに、夫々の画像情報を互いに異なる観察方向に方向付け、さらに、夫々の観察方向に対して個別の第二表示手段を配設するようにしてもよい。これによれば、複数の第二表示手段を介して互いに異なる複数の画像情報を認識することが可能になり、表示領域が一層広くなるとともに、より立体的な演出画像を導出させることができる。
また、上記実施形態では、大当り判定用の抽選手段を用いて、開閉部材23を開放させるか否かの判定を行うものを示したが、別の抽選手段を用いて判定するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように、大当り判定用の抽選手段を用いれば、抽選手段によって大当り状態が発生しない場合でも、その抽選手段によって開閉部材23を開放させることが可能になる。換言すれば、「大当り」に対し、開閉部材23の開放を「小当り」として位置付けることが可能となり、抽選への期待感を一層高めることができる。また、当選の種類及び頻度の増加によって抽選に対する期待感を高めることもできる。
また、上記実施形態では、所定の遊技状態として、大当り遊技状態と確変遊技状態とを示したが、所謂「時短遊技状態」を、特定の遊技状態とすることも可能である。これによれば、抽選間隔の短縮された間に導出される表示態様を、通常とは異ならせることが可能になり、通常の遊技状態とは異なる特別の遊技状態であることを意識付けることができる。
また、リーチ状態が成立した遊技状態を、特定の遊技状態とすることも可能である。これによれば、リーチ状態が成立した際、第二画像情報の有無が切り替えられるため、リーチ状態の発生とハーフミラー40を介する表示態様の切替とが関連付けられ、リーチ状態の発生に対する期待感を向上させることが可能となる。また、表示態様の切替が比較的頻繁に行われることとなり、演出表示の単調さを防止することができる。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。