以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、図5、及び図12に基づき説明する。
図3は遊技領域37を含む遊技盤ユニットの構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図であり、図12は遊技盤ユニットの構成部品を互いに分離した状態を示す分解斜視図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。遊技盤5は、所定の板厚(例えば9mm)の透明の板材(例えばポリカーボネート製)からなり、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図10参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着され、略円形の遊技領域37に相当する部分のみが透過状態となっている。
図3に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘100(本発明の障害部材に相当)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車(図示しない)が設けられている。また、遊技領域37を区画するための表示窓枠部材91が、遊技領域37の右側周縁部分に接した状態で配設され、その中央には表示窓91aが形成されている。なお、表示窓91a内には開口が形成されておらず、開口を有することなく遊技盤5を通して視認可能としている。
図12に示すように、センタ役物91は、遊技盤5の盤面(遊技領域37側)に装着された表側上方枠部80及び表側装飾枠部81と、遊技盤5の裏面に装着された裏側環状枠部82とから構成されている。表側上方枠部80は、表示窓91aの左側壁及び上壁を形成するL字形の部材であり、遊技盤5の盤面から前方に向かって突出した状態で配設されている。一方、表側装飾枠部81は、「木の幹」の形状を呈した装飾体から構成され、表示窓91aの右側壁を形成している。なお、表側装飾枠部81の上部は、表側上方枠部80の右端よりも表示窓91a内に入り込むように内側に湾曲しており、表側上方枠部80の右端との間に隙間を形成した状態で配設されている。なお、遊技盤5の盤面上には、表示窓91aの下壁を形成する部材が設けられておらず、下面が開放された形態の枠構成となっている。
これに対し、遊技盤5の裏面に装着された裏側環状枠部82は、額縁状の装飾体から構成され、その上面部分及び左右側面部分が、表側上方枠部80及び表側装飾枠部81と重なるように配設されている。つまり、遊技盤5上に装着された表側上方枠部80及び表側装飾枠部81と、遊技盤5を介して視認される裏側環状枠部82とを重ね合せることにより、全体として額縁状に形成されたセンタ役物91を構成している(図3参照)。
また、図3に示すように、表側上方枠部80の上面部における右端には、ワープ投入口83が形成され、表側装飾枠部81の内部に形成されたワープ通路(図示しない)を介して、表側装飾枠部81の下部に設けられたワーク放出口84に連通している。つまり、遊技領域37に沿って流下する遊技球がワープ投入口83に入り込むと、ワープ通路を通してワーク放出口84に送られるようになっている。また、表側装飾枠部81の下部左側には、上端がワーク放出口84に連通する球誘導部材161が形成されており、ワーク放出口84から放出された遊技球は、球誘導部材161によって遊技領域の下部中央に案内される。
遊技領域37の下部中央には、入球装置96が配置されており、この入球装置96に遊技球が入球すると始動入賞となる。入球装置96は左右一対の可動片97を有しており、これら可動片97を左右に拡開させて入球確率を高くすることが可能となっている。
また遊技領域37には、上記の入球装置96のさらに下方位置にアタッカ装置98が配設されており、このアタッカ装置98は開閉部材99を前後方向に開閉動作させることにより大入賞口を開閉させる。なお、これらのアタッカ装置98及び入球装置96は、図12に示すように、入球した遊技球を受け所定位置まで導く誘導装置107、入球した遊技球を検出する始動口センサ(図示しない)、及びカウントセンサ(図示しない)等とともに一体的に組付けられ、遊技盤5の下部に形成された挿入孔5bに前方から嵌め込まれている。つまり、挿入孔5bは、一体的に組み付けられた一つのユニット全体が挿通可能となる比較的大きな開口面積を有しており、これにより遊技盤5の軽量化が図られている。ここで、入球装置96が本発明の始動口に相当し、始動口センサが本発明の入賞状態検出手段に相当し、挿入孔5bが本発明の貫通孔に相当する。
また、アタッカ装置98の下方には、特別図柄表示器(詳細は後述する)として機能する四つのLED(図示しない)がアタッカ装置98等と一体的に組付けられている。その他、遊技領域37には始動ゲート口113や一般入賞口111等も配設されている。
さらに、表側装飾枠部81の下部には、抽選の保留状態を示す四つの保留球ランプ60と、始動ゲート口113への遊技球の通過による抽選結果を表示する普通図柄表示器160、及び抽選状態を表示する状態表示器等が設けられている。なお、四つの保留球ランプ60は、「大当り」の抽選において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっており、本例では、保留数に対応する数字が象られた四つの窓部を通して、内部に配設されたLEDの光を放射させるように構成されている。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能(誘導装置107を含む)とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[演出表示装置及び可動装飾物の構成について] 図10乃至図12に基づき説明する。図10は図3の遊技盤5等(以下遊技盤ユニットという)におけるA−A断面を示す断面図であり、図11は遊技盤ユニットに配設される可動装飾物の構成及び配置を示す正面図である。
主に図12に示すように、遊技盤5の後方には、演出表示装置115(本発明の表示手段に相当)が配設されており、この演出表示装置115では、例えば動画や映像等の画像による演出表示が行われる。なお、演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等の表示装置を例示することができる。この演出表示装置115は、略直方体形状のフラットな外観を呈しており、前面の略全体に亘って表示画面115aが形成されている。演出表示装置115の表示画面115aは、遊技盤5に装着されたセンタ役物91(特に裏側環状枠部82)よりも大きく、その上端及び左右端は、案内レール78で囲まれた遊技領域37(すなわち遊技盤5における透過部分)の上端及び左右端に略一致し、下端は、遊技盤5に形成された挿入孔5bの上側に相対している。つまり、演出表示装置115の表示画面115aは、遊技領域37の下部部分(すなわち、ボックス装着台118が設けられている部分)を除き、遊技領域37全体を投射できるように設けられている。すなわち、演出表示装置115は、センタ役物91の表示窓91aに対応する部分だけでなく、遊技領域37の略全体に亘って演出表示を行えるように構成されている。換言すれば、表示画面115aは、表示窓91a内で視認される主領域120と、センタ役物91の外部の遊技盤5を通して視認される副領域121とに区分されている。
また、演出表示装置115は、ケース部材124によって取り付けられている。ケース部材124は、透明な樹脂で形成され、演出表示装置115の表示画面115aを覆う平板状の表面被覆部125と、その表面被覆部125の周縁から後方に突出し、内部に演出表示装置115を収容可能とする環状の収容部126と、表面被覆部125から下方に延出されるとともにその下部周縁を含む全周から前方に突出し、立体形状装飾部材101及び四つの可動装飾物(詳しくは後述する)を収容可能とする第二収容部127とから構成されている。なお、第二収容部127の左右両側面及び上面には、細長い長方形状の開口部125aが形成されており、第二収容部127に収容された四つの可動装飾物と、各可動装飾物を作動させるための駆動機構(図示しない)とが、開口部125aを挿通して連結されている。また、第二収容部127の下部中央部分には、誘導装置107等を挿通させるための切欠部146が形成されている。また、ケース部材124の第二収容部127側には、鉛直方向に延出されたフランジ145が形成されており、このフランジ145が遊技盤5の背面に取り付けられられることによって、ケース部材124は遊技盤5に固定状態で装着されている。
立体形状装飾部材101は、遊技領域37の下部、すなわち演出表示装置115の表示画面115aが投射されない遊技盤5の非投射部分に対して配設されている。また、遊技盤5の非投射部分に対して配設された立体形状装飾部材101は、演出表示装置115の表示画面115aの下端と重なる部分まで延出されており、表示画面115aの下端が、立体形状装飾部材101によって遮蔽されている。立体形状装飾部材101は、例えば、「森林」の絵柄(図示しない)が前面に付された部材であり、森林の形状に合うように、大小複数の三角形状を左右方向に連ねてなる凹凸形状を呈している。特に立体形状装飾部材101は、前側に位置する第一装飾部102と、その後側に位置し第一装飾部102よりも背丈の高い第二装飾部103とから構成されており、奥行方向に対して輪郭形状が変化している。すなわち、奥行方向に向かって頂面が次第に高くなる階段形状を呈している。なお、立体形状装飾部材101の下部には、第二収容部127と同様、誘導装置107等を挿通させるための切欠部104が形成されている。
また、図3に示すように、立体形状装飾部材101の前方に位置する遊技盤5の背面、すなわち、アタッカ装置98が設けられている遊技領域37における下端付近には、意匠性を有する装飾シート105が貼着されている。この装飾シート105は、第一装飾部102よりも背丈が低く、例えば「岩」の模様等、立体形状装飾部材101の絵柄に関連する絵柄が付された不透明なシート状の部材である。このように、装飾シート105を遊技盤5の背面に貼着することにより、遊技領域37を転動する遊技球に影響を与えることがない。また、装飾シート105が障害釘100によって打ち込まれることもないため、例えばリサイクルの際でも、装飾シート105を容易に剥がすことができる。さらに、装飾シート105は、遊技盤5の一部にのみ貼着されるものであるため(すなわち比較的小さな面積であるため)、浮き上がったり、変形したりすることを抑制できる。
また、図12に示すように、第二収容部127には、四つの可動装飾物として、後方枝装飾物87、窓装飾物89、交番装飾物140、及び屋台装飾物141が配設されている。後方枝装飾物87は、裏側環状枠部82における表示窓91aの右側上部に常時配設され、裏側環状枠部82の裏面に形成された軸支部87aによって揺動可能に支持されている。この後方枝装飾物87は、「木の枝葉」の外観を呈した一対の装飾部材から構成されており、揺動させることにより、枝葉が上下に揺れ動く様子を表現する。なお、後方枝装飾物87の一端側には、図示しない駆動機構に連結される連結部88が形成されている。ところで、遊技盤5の盤面側には、後方枝装飾物87と同様の形状を呈した前方枝装飾物85が、表側装飾枠部81に取付けられるとともに、連結部(図示しない)を介して駆動機構に連結されている。図3に示すように、この前方枝装飾物85は、支軸部85bに軸支されることにより、表側装飾枠部81に対して揺動可能に取付けられている。特に、遊技盤5の前方に配設される前方枝装飾物85を下方に位置させ、遊技盤5の後方に配設される後方枝装飾物87をその上方に位置させることにより、上方に向かって遠くなるような遠近感を生じさせている。なお、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87はいずれも幹の形状を呈した表側装飾枠部81から延出した状態で配置されており、表側装飾枠部81との協働により意匠性をさらに向上させている。
窓装飾物89は、裏側環状枠部82における表示窓91aの右側上部に常時配設され、作動により、演出表示装置115の表示画面115aに対する視認可能領域の広さを変化させることを可能にしている。具体的には、図11に示すように、窓装飾物89は、中央部分が開口となった矩形の枠部891と、枠部891の開口内において縦方向に並設された複数枚の塞ぎ板892と、枠部891に対して各塞ぎ板892の両端を回動可能に支持する軸支部(図示しない)と、各塞ぎ板892の両端部分を上方から順に連結する紐状の開閉紐部894とを具備して構成されている。なお、枠部891は、ケース部材124に対して固定状態に取付けられている。また、軸支部は、夫々の塞ぎ板892の中央よりも上方に設けられ、一方、開閉紐部894は、夫々の塞ぎ板892の中央よりも下方に接続されている。このため、開閉紐部894を引き上げない通常の状態では、塞ぎ板892は自重によって垂下状態となり、枠部891の開口を塞ぐこととなる。つまり、窓装飾物89の後方の表示画面115aに表示される演出を部分的に遮蔽し視認不能な状態とする。そして、開閉紐部894を引き上げた場合には、塞ぎ板892の自重に抗して、塞ぎ板892を回転させる力が付与され、各塞ぎ板892は、その下端が前方に向くように略90度回転する。つまり、隣接する塞ぎ板892の前面と背面とが対向し、各塞ぎ板892の間に隙間が形成されるようになる(図26(b)参照)。このため、枠部891内の開口を通して、窓装飾物89の後方に位置する表示画面115aを視認させることが可能になる。
ところで、上記した後方枝装飾物87及び窓装飾物89は、表示窓91a内に常時配設される可動装飾物であるが、本例では、表示窓91aに対して出没可能な二つの可動装飾物も備えられている。具体的には、交番の建物の形状を呈し表示窓91aの左側下部において出没可能な交番装飾物140と、屋台の形状を呈し表示窓91aの右側下部において出没可能な屋台装飾物141とが設けられている。なお、交番装飾物140及び屋台装飾物141は、水平方向に摺動可能に支持されるとともに、図示しない駆動機構に連結され、往復運動させることが可能となっている。
また、交番装飾物140及び屋台装飾物141と、後方枝装飾物87とは、本発明の装飾物に相当するものであり、これらは、演出表示装置115に表示される演出、すなわち複数のキャラクタと複数の背景物とを含む演出のうち、少なくとも一つの背景物に同一または類似する外観形状を呈している。具体的には、交番装飾物140は、背景物として表示される「交番」142の画像(図27(a)参照)に類似しており、屋台装飾物141は、背景物として表示される「屋台」(図示しない)の画像に類似しており、後方枝装飾物87は、背景物として表示される「枝葉」Kの画像(図25(b)参照)に類似している。なお、背景物を含む夫々の演出の内容、及び演出と装飾物との関係については後述する。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンタ役物91の後部や演出表示装置115との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5の後方に配置された表示装置制御基板ボックス117(図11参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5の後方の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213Cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[特別図柄表示器の構成について] 図3に基づき説明する。
本実施形態では、センタ役物91の下縁部のうち、左側に4つのLED(図示しない)が配列されており、これらLEDの配列が特別図柄表示器として機能している。
本実施形態において、特別図柄表示器の機能はLEDの点灯・消灯によって実現することができる。例えば、始動入賞を契機として4つのLEDをいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示する。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLEDの点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止状態を表示する。これにより、抽選が行われると、その結果情報がLEDの点灯・消灯によって報知される。なおLEDの点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、主制御基板131により行われる。
具体的には、個々のLEDは1色(例えば赤色)の発光タイプであり、各LEDは「消灯」、及び「点灯」の2通りに表示パターンを切り替えることができる。したがって、4つのLEDを配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で16通り(24=16)のものを用意することができる。なお、ここでは説明の便宜のために1色だけとしているが、LEDの点灯色は2色以上であってもよい。また、LEDの配置は1箇所にまとまっている必要はなく、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは、特別図柄を5つ以上のLEDによって表示してもよいし、7セグメントLEDを用いて表示してもよい。
一方で、本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として2つの大当り態様が用意されており、これらは(1)「通常(非確変)大当り」、(2)「確変大当り」に区別される。
(1)「通常(非確変)大当り」は、例えば最大30秒間にわたってアタッカ装置98を一定パターンで開閉させるラウンド動作を15ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。
(2)「確変大当り」は、上記(1)と同様の大当り遊技を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後、次回大当りの抽選確率を通常時よりも高く設定(例えば、通常の大当り確率が320分の1のところ、5倍の64分の1に変更)する特典が付加される。このため遊技者が確変大当りを引き当てると、次の大当り確率が高くなって大当りを連続的に引き当てる(いわゆる連荘)ことが可能となる。
なお、以上の(1)及び(2)でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
また、上記(2)の「確変大当り」によって確率変動状態(高確率状態)になると、毎回の始動入賞を契機として確率変動状態の維持抽選(転落抽選)が行われるものとしてもよい。維持抽選は一定確率で行われ、この維持抽選で落選すると、内部的に高確率状態から低確率状態(通常確率)へ引き戻される処理が行われる。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図13に基づき説明する。
図13は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(可動装飾物、発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、ゲートセンサ317、始動口センサ318、カウントセンサ319、V入賞センサ330等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、ソレノイド331、特別図柄表示器332、普通図柄表示器112a等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338、波形制御基板339、及び可動装飾物制御基板340等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338、波形制御基板339、及び可動装飾物制御基板340との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主に保留球ランプ60と、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して保留球ランプ60や装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が各ランプ60,353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
可動装飾物制御基板340は、五つの可動装飾物、すなわち前方枝装飾物85、後方枝装飾物87、窓装飾物89、交番装飾物140、及び屋台装飾物141を作動させるための駆動手段(詳細は後述する)を有しており、サブ統合基板336から可動装飾物制御基板340に対して可動装飾物の作動信号が送信されると、これを受けて可動装飾物制御基板340が各可動装飾物を作動させる処理を行う。
なお、電飾制御基板337,338、波形制御基板339、及び可動装飾物制御基板340にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359,341、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372,342、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375,343を備えている。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[始動入賞処理について] 図14に基づき説明する。
図14は始動入賞処理のルーチンを示している。
この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の入球装置96に対応する始動口センサ318から検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され、一方検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101においてYES)、次に始動保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に始動保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、始動保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM316内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて保留球ランプ60(LED)の点灯個数が1つ増加される。
また、保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、例えば大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)、及び演出表示パターン乱数等が含まれている。このうち大当り判定用乱数は、大当りであるか否かを決定するための乱数である。次の大当り図柄用乱数は、大当り判定用乱数によって大当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示器332によって停止表示される表示パターン(四つのLEDにおける点灯状態の組合わせパターン)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、特別図柄表示器332による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。また、演出表示パターン乱数は、演出表示装置115に表示される演出表示の変動表示パターンを特定するための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAM316に格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[遊技作動処理について] 図15に基づき説明する。
図15は始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。
この遊技作動処理では、最初に始動保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留が有ると判断され(YES)、次に特別図柄表示器332における特別図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示器332にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAM316の保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて特図変動設定処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。なお、特図変動設定処理の内容については、さらに別のフローチャート(図16,図17)を用いて詳しく後述する。
特図変動設定処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板131からサブ統合基板336に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板336は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板131の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止表示態様、当り判定結果、確率変動の有無、及び演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
図15の遊技作動処理では、最後に当り判定処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201においてNO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示器332が変動中であったり(ステップS202においてNO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)、及び特図変動設定処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)及び当り判定処理(ステップS206)が実行される。
当り判定処理(ステップS206)では、特別図柄の変動開始時にセットされた当りフラグを参照し、当りフラグがセットされていればさらに別の処理(図18)を実行する。
[特図変動設定処理(ステップS204)の詳細について] 図16及び図17に基づき説明する。
図16は、上記の特図変動設定処理に含まれる特図変動設定処理Aの内容を示し、図17は特図変動設定処理Bの内容を示している。
この特図変動設定処理Aでは主に、抽選結果によって特別図柄表示器332による変動時間の設定や停止時の表示パターンの選択が行われる。具体的には、既に取得されている大当り判定用乱数に基づいて抽選の結果が判断され(ステップS301)、当選(大当り)であった場合(YES)は当り時変動設定処理(ステップS302)が実行される。なお、ここでいう「当選」は、上記(1)通常大当り、または(2)確変大当りのいずれかに該当していることを意味する。
これに対し、抽選の結果が外れ、つまり、(1)及び(2)のいずれの当りにも該当してないと判断された場合(NO)、既に取得されている可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値が所定値(例えば1024)と比較される(ステップS303)。可変変動用乱数は例えば0〜65535の範囲内で取得されており、この乱数値が1024未満であれば(YES)、可変変動設定処理(ステップS304)が実行される。逆に、可変変動用乱数の値が1024以上であれば(NO)、ステップS305またはステップS306の各判断を経て変動タイマがセットされる。変動タイマは、特別図柄表示器332による変動時間を設定するためのタイマであり、具体的には、現在の始動保留数が「0」〜「2」であれば(ステップS305においてYES)、所定の変動タイマが比較的長めの10秒にセットされる(ステップS307)。同様に、始動保留数が「3」であれば(ステップS306においてYES)、変動タイマが比較的中程度の8秒にセットされ(ステップS308)、そして始動保留数が「4」であれば(ステップS306においてNO)、変動タイマが比較的短めの6秒にセットされる(ステップS309)(いわゆる保留時短)。いずれにしても、変動タイマがセットされると、続いて特別図柄の停止パターンが選択される(ステップS310〜S312)。停止パターンは、四つのLEDにおける点灯状態の組合わせを、いずれの当り態様にも該当しないパターンの中から適宜選択する。
以上の特図変動設定処理Aをまとめると、抽選結果がいずれかの当りに該当している場合は、別の当り時変動設定処理(ステップS302)が実行された後に特別図柄の変動表示が開始される(ステップS313)。一方、抽選結果がいずれの当りにも該当しない(外れ)場合は、取得済みの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値によって64分の1の振り分け率で別の可変変動設定処理(ステップS304)が実行されるが、それ以外(64分の63)の場合は始動保留数に応じて変動タイマの時間が3段階に設定された後に特別図柄の変動表示(ステップS313)が開始されることとなる。
ここで、ステップS304の可変変動設定処理は、「外れリーチ変動」の考え方に基づくものである。すなわち、基本的に抽選で外れた場合は特別図柄の変動時間が始動保留数に応じて次第に短縮されるが(ステップS307〜S309)、外れの場合であっても、ときには始動保留数に関係なく変動時間を長短に変更したり、特別図柄の停止パターンを変更したりすることで、あからさまに外れ変動であることを遊技者に気付かせにくくするものである。なお、この「外れ」を通常の「外れ」と区別するため、「特殊外れ」と称している。この可変変動設定処理では、例えば以下の表1で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられている。
一方、ステップS302の当り時変動設定処理は、0〜65535までの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表2で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられる。なお、表1及び表2の比較から明らかなように、当り時における変動時間は、特殊外れ時における変動時間よりも長くなるように設定されている。換言すれば、変動時間が長いほど、大当りとなる期待値が高くなっている。この当り特変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「1」がセットされて、本ルーチンがリターンされる。
図17は上記の特図変動設定処理(図16中のステップS204)に含まれる特図変動実行処理Bの内容を示している。先の特図変動設定処理Aによって特別図柄の変動が開始されると、ここでは変動期間中であるか否かが判断される(ステップS401)。具体的には、変動期間中であるか否かは上記の変動タイマを参照することで判断可能であり、変動タイマが作動していると、それによって変動期間中である(YES)と判断され、逆に変動タイマが停止していれば、変動期間中でない(NO)と判断される。
ステップS401で特別図柄の変動期間中であると判断されると、次に変動表示制御処理(ステップS402)が実行される。ここでは、特別図柄表示器332を構成する4つのLEDについて、例えば0〜15のカウンタ値を取得しながらこれらを8ビットの値に割り当て、この値を用いて合計4つのスイッチ(LED4個分)のON/OFFを40ms毎に切り替える処理が行われる。これにより、4つのLEDが点滅しながら特別図柄表示器332による高速変動が実現される。なお、ここではカウンタ値を参照してLEDの点灯・消灯を制御しているが、例えば所定の変動パターンテーブルを用いてLEDの点灯・消灯パターンを切り替えることもできる。
この後、変動タイマがカウントアップして変動期間が終了すると、特別図柄の変動期間中ではない(NO)と判断されて、次に停止パターン表示制御(ステップS403)が実行される。この停止パターン表示制御では、先の特図変動設定処理A(図16)等で既に選択されている停止パターンの点灯・消灯表示パターンデータが特別図柄表示器332に送信される。なお、パターンデータの送信は毎回の割込周期(例えば4ms)で行う必要はなく、適宜サンプリングすることでLEDの発光輝度を調整することが好ましい。
[大当り処理について] 図18に基づき説明する。
図18は大当り処理の内容を示している。
内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS501)。このラウンドカウンタは例えばRAM内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS502)、続いて大入賞口(アタッカ装置98)が開放される(ステップS503)。そして、次のステップS504では大入賞口の開放期間が設定最大期間(例えば30秒)内であるか否かが判断される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS505)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS506)。大入賞口への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS507で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS504の判断が行われる。あるいは、ステップS506で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS504の判断が行われる。
「通常大当り」または「確変大当り」の場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS504またはステップS505の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために大入賞口が閉止(ステップS508)される。そして、次のステップS509でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(例えば15ラウンド)に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達していなければ(ステップS509においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS510)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS502)。
上記の処理は「通常大当り」または「確変大当り」中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達したと判断されると(ステップS509においてYES)、そこで大当り処理は終了となる。
[演出表示装置における演出表示、及び可動装飾物による演出の詳細について] 図19〜図28に基づき説明する。
図19はサブ統合基板336における制御処理の内容を示しており、図20は電飾制御基板338における制御処理の内容を示している。また、図21及び図22は演出表示制御における機能的な構成を示し、図23及び図24は各種テーブルの構成を示している。また、図25〜図27は可動装飾物による具体的な演出例を示す説明図であり、図28は表示画面の副領域における演出例を示す説明図である。
ところで、これまで説明してきた処理は、純粋に主制御基板131による遊技動作の制御に関するものであるが、サブ統合基板336は主制御基板131から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができるようになっている。
詳細に説明すると、前述したように主制御基板131では、保留格納処理(S103)において、大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数、及び演出表示パターン乱数等が取得され、これらの乱数を基に、大当りの有無に関する情報(当否コマンド)、大当たりの場合に「通常大当り」または「確変大当り」のいずれであるかを示す情報(確変・非確変コマンド)、及び演出表示パターンの種類に関する情報、すなわち特別図柄の変動時間に関する情報(変動表示パターンコマンド)が、変動開始コマンドとして設定され、主制御基板131からサブ統合基板336に送信される(S205)。
すなわち、図21に示すように、主基板310には、大当り判定用テーブル411、大当り図柄用テーブル412、当り時変動時間可変用テーブル413、及び外れ時変動時間可変用テーブル414が予め記憶されており、これらのテーブル411〜414を基に、抽選の当否、特別図柄表示器332における停止図柄、及び変動時間が決定される。詳しく説明すると、大当り判定用テーブル411は、図23(a)に示すように、大当り判定用乱数値と大当りの当否(大当りの種別を含む)との関係を示すものであり、例えば、大当り判定用乱数値のNA1〜NA2が「確変大当り」に対応し、NA3〜NA4が通常大当りに対応し、NA5〜NA6が「外れ」に対応している。また、大当り図柄用テーブル412は、図23(b)に示すように、大当り図柄用乱数値と特別図柄表示器332における停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と四つのLEDの点灯状態との対応付けがなされている。なお、当り時変動時間可変用テーブル413は前述の表2に示した通りであり、また外れ時変動時間可変用テーブル414は前述の表1に示した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主基板310には、入球状態検出手段(遊技状態検出手段)318によって入球装置96への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(図示しない)から、大当り判定用乱数を抽出する大当り判定用乱数抽出手段416と、大当り図柄用乱数を抽出する大当り図柄用乱数抽出手段417とが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する変動時間用乱数抽出手段418が設けられている。また、大当り判定用乱数抽出手段416によって大当り判定用乱数が抽出されると、大当り判定用テーブル411を用いて大当りの当否を決定する当否決定手段430、及び大当り図柄用乱数抽出手段417によって大当り図柄用乱数が抽出されると、大当り図柄用テーブル412を用いて特別図柄表示器332における停止図柄を決定する停止図柄決定手段431が設けられている。さらに、変動時間用乱数抽出手段418によって変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段430によって大当りであることが決定されると、当り時変動時間可変用テーブル413を用いて特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段430によって外れであることが決定されると、外れ時変動時間可変用テーブル414を用いて特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段432が設けられている。
また、主基板310には、特別図柄表示器332において特別図柄の変動を開始するとともに、変動時間決定手段432によって決定された変動時間の経過後、停止図柄決定手段431によって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段434と、当否決定手段430によって大当りであることが決定されると、特別図柄の変動停止後、遊技者に有利な遊技状態(すなわち図18の大当り処理)を発生させる有利遊技状態発生手段433と、特別図柄の変動開始前に、当否決定手段430によって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段435が設けられている。
これに対し、サブ統合基板336では、図19に示すように、主制御基板131から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS601においてYES)、受け取ったこれらの変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定する(ステップS602)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、当否コマンド及び確変・非確変コマンドに基づいて装飾図柄列における最終停止図柄を決定する。例えば、「確変大当り」の場合には、確変大当りに相当する複数の装飾図柄の中から一つの図柄を最終停止図柄として決定する。また、サブ統合基板336は、乱数発生手段(図示しない)を有しており、乱数を取得するとともに、取得された乱数に応じて大当り予告の演出態様を付加する。さらに、サブ統合基板336では、決定されたこれらの変動態様を、電飾制御基板337、338、波形制御基板339、及び可動装飾物制御基板340に対する変動開始コマンドとして設定する(ステップS603)。具体的には、変動表示パターンコマンド、最終停止図柄コマンド、及び演出パターンコマンド等を設定する。そして、設定されたこれらの変動開始コマンドを、各制御基板337,338,339,340に送信する(ステップS604)。これにより、これらの制御基板337,338,339,340では、抽選結果に応じた演出表示を行なったり、その演出表示に合せて音声等を発生させたり、各可動装飾物を作動させたりすることが可能になる。
特に、電飾制御基板338では、図20に示すように、サブ統合基板336から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS701においてYES)、その変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定(ステップS702)し、その後、演出表示装置115を制御する(ステップS703)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、最終停止図柄コマンドに基づいて、装飾図柄列の最終停止図柄を設定する。また、演出パターンコマンドに対応した演出を決定するとともに、後述するステップ演出や発展演出等、より具体的な演出態様を付加する。つまり、電飾制御基板338は、乱数発生手段(ランダムカウンタ)を有しており、演出表示装置115における夫々の変動パターンに対して、より具体的な演出態様を付加することを可能にしている。このように、本例では、変動パターンの選択処理が、主制御基板131、サブ統合基板111、及び電飾制御基板338において分担されており、これにより、主制御基板131及びサブ統合基板111における処理の負担を軽減するとともに、変動パターンの複雑化、ひいては演出の興趣を向上させている。
なお、図19及び図20に示すフローチャートでは、サブ統合基板336及び電飾制御基板338におけるコマンド受信処理のうち、特に演出の制御に関する変動開始コマンドの受信処理のみを説明している。すなわち、ここでは、電源投入時のコマンドや異常時のコマンドに対する処理は省略している。
ところで、本例の演出表示装置115では、図12を基に前述したように、表示画面115aは、センタ役物91の表示窓91a内で視認される主領域120と、センタ役物91の外側から遊技盤5を通して視認される副領域121とに区分けされており、主領域120と副領域121とで互いに異なる表示態様の演出が行われるようになっている。まず、主領域120に対する演出について説明する。
主領域120に表示される演出画像としては、周期性をもって変動表示される装飾図柄、装飾図柄の変動中(リーチ状態の前)に複数の画像を予め定めた順序に従って段階的に発展表示させることが可能なステップ演出が含まれている。以下、装飾図柄、及びステップ演出について詳細に説明する。
(装飾図柄について)
本例では、装飾図柄として、例えば、左・中・右の3つの装飾図柄列が設定されており、装飾図柄列毎に変動表示されるようになっている。一連の装飾図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄と、絵図柄からなる副装飾図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄が表示されると共に各主装飾図柄の間に副装飾図柄が配されて一連の装飾図柄列が構成されている。そして、主装飾図柄と副装飾図柄とが周期性を持って上から下へと変動表示されるようになっており、左装飾図柄列→右装飾図柄列→中装飾図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に三つの装飾図柄が大当り装飾図柄の組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)で揃えば大当りとして特別遊技動画が表示されるようになっている。特に、三つの装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列(中装飾図柄列)が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している二つの装飾図柄(左装飾図柄及び右装飾図柄)が互いに同じ図柄である場合には、これらの装飾図柄を第一リーチ形成図柄として、リーチ状態が成立する。また、主装飾図柄は、「通常大当り」を示す複数の通常図柄(例えば偶数の図柄)と、「確変大当り」を示す複数の確変図柄とからなり、通常図柄によって大当りの組合せが成立した場合には、「通常大当り」が発生し、確変図柄で大当りの組合せが成立した場合には、「確変大当り」が発生するようになっている。
なお、本例では、演出表示装置115における装飾図柄列の変動は、装飾図柄変動制御手段467(図22参照)によって制御され、変動開始時期を、特別図柄の変動開始後とし、装飾図柄列の変動停止を特別図柄の変動停止前としている。これにより、特別図柄の変動表示の開始時と停止時には、演出表示装置115での演出表示を行わないことで、特別図柄の変動表示に対して演出表示装置115での紛らわしい表示を行うことを防止するとともに、演出表示装置115の演出中に当りか否かを認識させること、すなわち演出の効果を損なうことを防止している。
(ステップ演出)
ステップ演出では、最初のステップから最後のステップまでの間が時系列的に分割されており、各ステップに対して互いに異なる画像(動画)が定められている。そして、段階的に発展表示されるステップの数が互いに異なるように複数の演出パターンが設定されている。つまり、ステップの数が互いに異なる複数の演出パターンがステップ演出として演出図柄記憶手段455(図22参照)に記憶されており、例えばステップの数が一つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップにおける画像のみが表示され、ステップの数が四つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップ〜第四ステップにおける画像を段階的に発展表示させることが可能となる。また、このステップ演出は、大当りの予告表示として、演出表示装置115における装飾図柄列の変動開始から、それらがリーチ状態となるまでの間の所定期間内において導出可能なものであり、段階的に発展表示されるステップの数が多いほど、大当りの信頼度が高くなるように出現率が振り分けられている。なお、大当りの信頼度とは、外れ時の演出として選択される確率が異なっている複数の演出がある場合、その選択率の異なりによって発生するものである。例えば、選択率が低い演出ほど大当りに対する信頼度が高くなり、期待値が高くなる。
次に、上記演出の演出表示制御における機能的な構成、すなわち演出プログラムとして実現される機能的な構成ついて説明する。図22に示すように、電飾制御基板338(副制御手段に相当)には、主基板310(主制御手段に相当)からサブ統合基板336を介して送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段451によって受信されると、これを基に演出表示装置115を制御するための各種機能が備えられている。
すなわち、当り時ステップ演出態様テーブル452(以下、当り時演出態様テーブル452と称する)と、外れ時ステップ演出態様テーブル453(以下、外れ時演出態様テーブル453と称する)とが予め記憶されており、これらのテーブル452,453を基に、ステップ演出における演出態様が決定されるようになっている。
まず、演出態様テーブル452,453について詳細に説明する。当り時演出態様テーブル452は、図24(a)に示すように、大当りの場合に用いられ、演出決定用乱数(後述する)と、演出態様(ここではステップ演出における演出パターン)との関係を示すものである。また、外れ時ステップ演出態様テーブル453は、外れの場合に用いられるテーブルであり、図24(b)に示すように、演出決定用乱数と演出パターンとの関係を示すものである。
図22に示すように、電飾制御基板338には、ランダムカウンタ(図示しない)からステップ演出決定用乱数を抽出する演出用乱数抽出手段457と、ステップ演出の演出パターンを決定する演出態様決定手段458とが設けられている。演出態様決定手段458は、本発明の演出表示制御手段の一部として機能するものであり、コマンド受信手段451を介して制御コマンドを受信すると、演出用乱数抽出手段457によってステップ演出用乱数を抽出するとともに、制御コマンドに含まれる当否コマンドが大当りを示すものである場合には、ステップ演出用乱数抽出手段457によって抽出されたステップ演出用乱数と、当り時演出態様テーブル452とからステップ演出パターンを決定し、一方、当否コマンドが外れを示すものである場合には、演出用乱数抽出手段457によって抽出されたステップ演出用乱数と、外れ時演出態様テーブル453とからステップ演出パターンを決定するものである。具体的に、当否コマンドが大当りを示すものであり、抽出されたステップ演出用乱数が「0」〜「55」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ乃至第四ステップからなるステップ演出パターン1(PT1)が選択され、また、同条件(受信した制御コマンドが同一)の場合において、抽出されたステップ演出用乱数が「56」〜「96」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ乃至第三ステップからなるステップ演出パターン2(PT2)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「97」〜「119」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ及び第二ステップからなるステップ演出パターン3(PT3)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「120」〜「127」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップのみからなるステップ演出パターン4(PT4)が選択される。一方、当否コマンドが外れを示すものであるときは、抽出されたステップ演出用乱数が「0」〜「7」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン1(PT1)が選択され、また、抽出されたステップ演出用乱数が「8」〜「39」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン2(PT2)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「40」〜「79」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン3(PT3)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「80」〜「127」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン4(PT4)が選択される。
なお、図24(a)に示すように、当り時には、ステップ演出パターン1(PT1)の振分率(例えば44%)が最も高く、次に、ステップ演出パターン2(PT2)の振分率(例えば32%)が高くなるように設定されている。これに対し、外れ時には、ステップ演出パターン4(PT4)の振分率(例えば38%)が最も高く、次に、ステップ演出パターン3(PT3)の振分率(例えば31%)が高くなるように設定されている。すなわち、当り時には、外れ時に比べ、第一ステップ乃至第四ステップを演出対象とするステップ演出パターン1が導出されやすくなっている。つまり、後半に出現可能な画像は、大当りの時に表示されやすくなっている。
そして演出態様決定手段458によって決定されたステップ演出の演出パターンは、演出パターン記憶手段(図示しない)から抽出されるとともに、演出表示制御手段475に送られる。演出表示制御手段475は、それらの演出の画像を演出画像記憶手段455から読出し演出表示装置115の主領域120に導出する。つまり、演出表示制御手段475は、動画像表示制御手段476を有しており、演出表示装置115の主領域120に対してステップ演出の動画を表示させる。
一方、装飾図柄列の演出に関する機能的な構成として、装飾図柄変動制御手段467が設けられている。装飾図柄変動制御手段467は、コマンド受信手段451によって受信された制御コマンドを基に三つの装飾図柄列を、演出表示装置115の主領域120に変動表示させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて装飾図柄列を順に停止させるものである。なお、複数の装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄(停止図柄)の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合、既に停止している装飾図柄を第一リーチ形成図柄として、リーチ状態を成立させる。なお、リーチ状態が成立した場合には、リーチ状態であることを示す演出が表示されるとともに、発展演出の導出が可能となる。
次に、演出表示装置115の副領域121に対する演出について説明する。副領域121に表示される演出画像には、静止画像と動画像とが含まれ、主領域120における演出内容(例えばステップ演出)に基づいて、静止画像から動画像に切り替えられるようになっている。つまり、図22に示すように、演出に関する機能的構成としては、静止画像表示制御手段477及び表示態様切替手段478が備えられている。静止画像表示制御手段477は、立体形状装飾部材101及び装飾シート105の絵柄(模様)に、類似する絵柄(同一を含む)または関連する絵柄の静止画像を、副領域121に表示させるものである。一方、表示態様切替手段478は、副領域121における表示態様を、主領域120に表示されている動画像に基づいて、静止画像から動画像に切り替えるものである。例えば、演出態様決定手段458によって決定されたステップ演出の演出パターンがPT1(第一ステップS1〜第四ステップS4からなる演出パターン)の場合に表示可能となる。
副領域121における演出の具体例を図28に基づき説明する。図28において(a)は通常時に表示される静止画像であり、(b)はステップ演出に基づいて表示可能な動画像である。(a)に示す静止画像では、副領域121に「山」の絵柄Y等、装飾シート105及び立体形状装飾部材101の背景として相応しい絵柄の静止図柄が表示される。一方、(b)に示す動画像では、「山」の絵柄Yが消されるとともに、キャラクタC3やキャラクタC4が動的に表示される演出が行われる。キャラクタC3は、浴衣を着て下駄を履いた男性でありホウキを用いて掃除している動作を行い、キャラクタC4は、腹巻と鉢巻をした男性であり、センタ役物91に沿って動き回る動作を行う。また、(b)に示すように、センタ役物91の表示窓91aに対応する主領域120から、表示窓91aの外部である副領域121に食み出すように、本遊技機1のロゴ「バカボン3」163が表示される場合もある。
(可動装飾物による演出について)
次に、可動装飾物制御基板340における機能的な構成、すなわち演出プログラムとして実現される機能的な構成について説明する。図22に示すように、可動装飾物制御基板340には、演出態様決定手段458によって決定される演出態様に基づいて、前方枝装飾物85、後方枝装飾物87、窓装飾物89、交番装飾物140、及び屋台装飾物141のうち少なくとも一つの可動装飾物を作動させる可動装飾物制御手段481が備えられている。
具体的に、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87に対しては、ソレノイド等から構成された前方枝駆動手段483及び後方枝駆動手段484を、可動装飾物制御手段481によって制御することにより、表側装飾枠部81に対して前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87を上下に揺動させる。つまり、木の枝葉が揺れ動く様子を演出する。そして、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87は、下限位置では、図25(a)に示すように、枝葉が略水平方向に延びた状態となり、上限位置では、図25(b)に示すように、枝葉の先端が上方に跳ね上がった状態となる。また、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87が上限位置に到達すると、後方枝装飾物87の大部分が表側装飾枠部81の後側に重なり、主領域120における視認可能領域が広くなる。そこで、本例では、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87を上限位置へ作動させる際には、その領域に特別な演出を表示させる場合がある。具体的な演出例としては、図25(b)に示すように、「枝葉」Kの画像と、この枝葉を使って楽しく遊ぶ子供のキャラクタC1,C2の画像とを例示することができる。つまり、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87は、演出で背景物として表示される「枝葉」Kの画像に、同一または類似する外観を呈しており、「枝葉」Kの画像及びキャラクタC1,C2を図のように表示させる場合に、上限位置に変位させられるようになっている。このように、前方枝装飾物85の下限位置に、「枝葉」Kの画像を表示させることにより、前方枝装飾物85及び後方枝装飾物87と、「枝葉」Kの画像との間で一体感を生じさせ、全体として立体的な背景を視認可能とする。なお、図25において、符号Sは装飾図柄列であり、矢印の図柄は変動中であることを示している。
窓装飾物89に対しては、ソレノイド等から構成された開閉窓駆動手段482(図22参照)を、可動装飾物制御手段481によって制御することにより、開閉紐部894の先端に連結された作動機構部を往復直線運動させ、開閉紐部894が上方に引き上げられた状態と、開閉紐部894の引き上げ動作が解除された状態とに切り替える。開閉紐部894の引き上げ動作が解除された場合には、図26(a)に示すように、複数の塞ぎ板892が垂下され、枠部891の開口が閉鎖された状態、すなわち、表示画面115aにおける主領域120の一部が遮蔽された状態となる。一方、開閉紐部894が引き上げられると、図26(b)に示すように、夫々の塞ぎ板892の下端が前方に持ち上げられることにより、隣接する塞ぎ板892同士の間に隙間が形成され、遮蔽されていた表示画面115aが視認可能となる。つまり、キャラクタC3が表示されている等、演出表示における情報を一層多く取得することが可能になる。
一方、屋台装飾物141に対しては、ソレノイド等から構成された屋台駆動手段486を、可動装飾物制御手段481によって制御することにより、センタ役物91の内部(センタ役物91内の右下部位)に位置する状態(図27(a)参照)と、センタ役物91の外部(センタ役物91の右側)に位置する状態との間で変位させる。つまり、表示窓91aの内部に対して出没するように変位させる。なお、屋台装飾物141が表示窓91a内に出現する際には、表示画面115にキャラクタC4が表示され、キャラクタC4が屋台を引張るような演出が、画像と装飾物との協働によってなされる。
また、交番装飾物140に対しては、ソレノイド等から構成された交番駆動手段485(図22参照)を、可動装飾物制御手段481によって制御することにより、センタ役物91の内部(センタ役物91内の左下部位)に位置する状態(図27(b)参照)と、センタ役物91の外部(センタ役物91の左側)に位置する状態との間で変位させる。つまり、表示窓91aの内部に対して出没するように変位させる。なお、図27(a)に示すように、通常演出時では表示画面115aに「交番」142の画像が背景物として表示されているが、交番装飾物140が表示窓91a内に出現する際には、「交番」142の画像が消去された後に出現されるようになっている。換言すれば、「交番」142の画像と、交番装飾物140の作動とが関連付けられており、「交番」142の画像が消去されると、交番装飾物140を出現させるようにしている(図27(b)参照)。これによれば、「交番」142の画像が画面から飛び出してくる印象を与えることができる。なお、その後、警察官のキャラクタC5が表示画面115aに表示される場合もあり、これによれば、交番装飾物140からキャラクタC5が現れるという場面を演じる。さらに、その後、交番装飾物140が表示窓91aの内部から外部へ没入することとなるが、この場合には、没入と同時に「交番」142の画像が表示画面115aに表示され、交番装飾物140が画面の中に吸込まれるという印象を与える。
このように、本例のパチンコ機1によれば、遊技盤5の後方に演出表示装置115が配設され、遊技盤5と演出表示装置115との間に装飾物として、前方枝装飾物85や交番装飾物140等が配設されているため、所定の板厚の遊技盤5を通して、これらの装飾物140等と演出表示装置115の表示画面115aとを視認させることが可能になる。つまり、表示画面115aの前方で、画像による演出と立体構造物による演出とを合成させた状態で視認させることが可能になる。特に、これらの装飾物140等は、演出に含まれる背景物と同一または類似の外観形状を呈するため、装飾物140等と背景物との一体感が生じ、全体として立体的な背景を実現することが可能になる。したがって、演出の現実みが高められ、装飾物を際立たせることができるとともに、演出全体の興趣を高めることができる。
また、これらの装飾物は、遊技盤5の後方に配設されているため、比較的大きく形成しても、遊技球の転動等に対して支障となることはない。換言すれば、装飾物140等の前方には、所定の板厚の遊技盤5が設けられているため、遊技盤5上の遊技球が装飾物140等に衝突すること、すなわち装飾物140等の作動によって遊技球の転動方向が変化したり、遊技球が装飾物に挟まれたりすることを確実に防止することができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、交番装飾物140や屋台装飾物141等は可動装飾物として構成され、抽選結果や演出内容に基づいて作動するため、画像による演出と、装飾物140等による演出とが互いに関連付けられ、装飾物140等の作動を基に、抽選結果における期待感を喚起させることが可能になる。したがって、装飾物に対しての関心が一層高くなる。また、画像による演出と装飾物140等による演出とが互いに関連付けて行われるため、両者の一体感が強くなる。
また、本例のパチンコ機1によれば、センタ役物91の表示窓91a内で、複数の装飾物140等及び表示画面115aが視認可能となる。したがって、注目すべき領域が明確となり、遊技球の転動等、遊技盤5上でなされる遊技状態を確認しながら、演出を十分に楽しませることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、画像による背景物(例えば交番142の画像)の変化と、装飾物(例えば交番装飾物140)の作動とが互いに関連付けられ、背景物の変化及び装飾物の作動を基に、抽選結果に対する期待感を喚起させることが可能になる。したがって、装飾物と背景物との関連付けを一層強調させるとともに、装飾物の作動に対しての関心をさらに高めることができる。特に、交番装飾物140及び屋台装飾物141は、表示窓91aの内部に対して出没可能となるように支持されているため、画像による背景物と立体構成物である装飾物とを合成させた状態で視認させる場合もあれば、装飾物を出現させずに背景物を視認させる場合もある。また、背景物を画面から消去した状態で装飾物を出現させる場合もある。したがって、演出全体における組合せパターンが多様化し、演出の興趣をさらに向上させることができる。なお、装飾物を出現させずに背景物が表示された状態から、背景物を消去するとともに装飾物を出現させるようにすると、背景物が画面から飛び出しくる印象を与え、逆に、背景物を表示することなく装飾物が出現した状態から、装飾物を没入させるとともに背景物を表示させると、装飾物が画面の中に吸込まれる印象を与える。つまり、背景を立体的に変化させることにより、背景の作動に躍動感を与えることが可能となる。
また、本例のパチンコ機1によれば、画像によるキャラクタC4の動作と、屋台装飾物141の作動とが互いに関連付けられ、キャラクタC4の動作及び屋台装飾物141の作動を基に、抽選結果に対する期待感を喚起させることができる。また、画像によるキャラクタC4の動作によって演出の流れを注目させつつ、屋台装飾物141の作動を認識させることができるため、演出表示装置115における演出効果を損なうことなく、屋台装飾物141による演出を楽しませることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、演出表示装置115は、表示窓91aよりも大きな演出表示装置115を有していることから、演出表示装置115おいて演出等の表示が行われると、表示画面115aの画像は、表示窓91aからはみ出た状態で前方に投射されることになる。また、遊技領域37を形成する遊技盤5は、透過性を有する板材から構成されているため、遊技者は、表示画面115aに表示された画像を、表示窓91a内で視認可能になるとともに、センタ役物91の外側においても視認可能となる。このため、表示画面115aを、センタ役物91の表示窓91aの大きさに制限されることのない大画面とすることが可能になるとともに、遊技盤5を介して、演出表示装置115の画像を視認させることから、遊技領域37での遊技性に影響を与えることなく、大画面による演出を楽しませることができる。特に、表示窓91a内で視認される主領域120と、センタ役物91の外部で視認される副領域121との表示態様を、互いに異ならせて演出表示を行うため、センタ役物91の内部と外部とで異なる演出を楽しませることが可能になるとともに、恰もセンタ役物91の外側に別の表示手段を装着した印象を与え、遊技機1の高級感を醸し出すことができる。さらに、センタ役物91の表示窓91aに対応する比較的小さな領域において、変動の多い演出が行われるため、画像による演出及び可動装飾物の作動を容易に視認させることができる。また、センタ役物91の外部である比較的広い領域においては、変動が少ないため、注意が散漫とならず、遊技に集中させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、立体形状装飾部材101が、遊技盤5の後方に配設されているため、奥行方向に変化のある背景、例えば立体的な風景を表現することができ、遊技領域37に対して遠近感のあるイルージョンを醸し出すことができる。さらに、立体形状装飾部材101の後方には演出表示装置115が配設されているため、立体形状装飾部材101と画像との合成によって、多彩な装飾を行うことができる。また、表示画面115aから投射された画像、及び立体形状装飾部材101と、遊技領域37を転動する遊技球とが重なった状態で視認されることから、遊技球の転動を注目させながら、表示画面115aに表示された画像及び立体形状装飾部材を楽しませることができる。つまり、画像及び立体形状装飾部材101を背景として機能させ、遊技領域37に対して多彩な雰囲気を醸し出すことが可能になる。
また、本例のパチンコ機1によれば、演出表示装置115及び立体形状装飾部材101が、遊技盤5と別体で構成されているため、演出表示装置115及び立体形状装飾部材101の取外しが容易となる。特に、演出表示装置115は、ケース部材124の収容部126に収容された状態で装着されているため、極めて容易に着脱できるとともに再利用が可能になる。したがって、環境への影響を配慮した環境にやさしい遊技機の提供が実現可能となる。
また、本例のパチンコ機1によれば、遊技盤5に装飾シート105が貼着され、その一部が立体形状装飾部材101と重なった状態で視認されるため、遊技領域37に対する遠近感がさらに強調され、装飾の見栄えを一層向上させることができる。特に、立体形状装飾部材101の絵柄と、装飾シート105の絵柄とが、互いに関連していることから、これらの装飾部材101,105を用いて、例えば一連の風景を造形することが可能になり、背景としての壮大さを演出することができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、装飾シート105が遊技盤5の背面に貼着されているため、遊技領域37を転動する遊技球に影響を与えることがない。また、装飾シート105が障害釘100によって遊技盤5に打ち込まれることもないため、例えばリサイクルの際でも、遊技盤5を容易に剥がすことができる。また、装飾シート105は、遊技盤5の一部のみに貼着される小面積のものであるため、一部分が浮き上がったり変形したりすることを抑制することもできる。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、表示画面115aと相対しない遊技盤5の非投射部分に対して、立体形状装飾部材101が配設されているため、遊技盤5全体に亘って意匠性を高めることができる。また、演出表示装置115の表示画面115aが立体形状装飾部材101によって遮蔽されないため、演出表示装置115の表示画面115aを最大限に用いた演出が可能となる。なお、遊技盤5の非投射部分に対して配設された立体形状装飾部材101を、表示画面115aと重なる部分まで延出したことにより、表示画面115aの縁部が、立体形状装飾部材101によって遮蔽される。このため、表示画面115aにおける画像と立体形状装飾部材101との境界を目立たなくさせ立体形状装飾部材101と画像との一体感を高めることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態では、遊技盤5と演出表示装置115との間に複数の可動装飾物を配設するものを示したが、1つの可動装飾物のみ配設するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように、複数の種類の可動装飾物を配設し、個別に作動させるようにすれば、可動装飾物による華やかさを大幅に向上させることができるとともに、演出全体としての興趣を一層高めることができる。
また、上記実施形態では、主領域120に動画を表示させるものを示したが、静止画像を表示させた状態で、可動装飾物を作動させることも可能である。これによれば、演出表示装置115の表示画面115aに導出される静止画像を背景として可動装飾物の作動を一層注目させることが可能になる。
また、上記実施形態では、演出態様決定手段458によって決定される演出態様に基づいて、後方枝装飾物87等の可動装飾物を制御するものを示したが、抽選結果に基づいて可動装飾物を制御するようにしてもよい。つまり、演出態様とは無関係に乱数を取得し、その乱数に基づいて可動装飾物の作動を決定するようにしても構わない。
また、上記実施形態では、通常時、副領域121において静止画像を表示させるものを示したが、常に動画像による演出を表示させるようにしてもよい。ただし、副領域121に、静止画像、特に立体形状装飾部材101に類似または関連する静止画像を表示させるようにすれば、センタ役物91の外側における表示が立体形状装飾部材101等と一体化され、表示画面115aの副領域121を立体形状装飾部材101の一部として視認させることができる。換言すれば、副領域121における画像を変化させた場合には、突拍子の変化によって遊技者に驚きを与えることができる。つまり、静止画像であった遊技領域の背景が動的に変化することから、予想外の展開によって遊技者の注意を引き付けることが可能になる。
また、上記実施形態では、主領域120における演出に基づいて、装飾物の作動状態を切り替えるものを示したが、遊技状態検出手段318等によって、所定の遊技状態が検出されたときに、作動状態を切り替えるように制御してもよい。さらに、定期的または遊技者の操作に応じて可動装飾物の作動状態を切り替えるようにしても構わない。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。すなわち、遊技盤と表示画面とを有する遊技機であれば、本発明を好適に適用することができる。