以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を、図面に基づいて詳細に説明する。
[パチンコ機の全体構成について] 図1に基づき説明する。
図1はパチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1においては遊技領域における装飾部材が省略された図を示している。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4、及び透明遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の前面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉可能に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成について] 図2及び図4に基づき説明する。
図2はパチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4はパチンコ機1の本体枠3と透明遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12及び機構装着体13を合成樹脂材によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。そして、前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピン及びヒンジ孔によって開閉回動可能に装着されている。すなわち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピン及びヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着板17が装着されている。そして、スピーカ装着板17にはスピーカ18が装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成について] 図1及び図2に基づき説明する。
前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。また、前面枠4の略中央部には、透明遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。また、前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。また、前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が装着されている。サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、該開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている。音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58、及びリフレクタ体(図示しない)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
[施錠装置の構成について] 図1及び図4に基づき説明する。
前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。すなわち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱可能に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱可能に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11及び下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠及び透明遊技盤の構成について] 図1、図3、図4、及び図5に基づき説明する。
図3は遊技領域37を含む遊技盤ユニットの構成を示す拡大正面図であり、図5はパチンコ機1の後側全体を示す背面図である。
図1及び図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ透明遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。透明遊技盤5は、透明の板材からなり、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図11参照)。透明遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され下皿31に案内されるように構成されている。また、透明遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着され、略円形の遊技領域37に相当する部分のみが透過状態となっている。ここで、透明遊技盤5が本発明の遊技盤に相当する。
図3に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘100が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車90が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置に形成された嵌合孔5c(図12参照)には、センター役物91が嵌め込まれている。ここで、このセンタ役物91が本発明の表示窓枠部材に相当し、その中央には開口窓91aが形成されている。
センター役物91は全体として額縁状の装飾体から構成され、その上縁部または左右側縁部には、図示しないワープ入口とともにワープ通路が形成されており、遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口に入り込むと、ワープ通路を通じてセンター役物91の内側に取り込まれるようになっている。
センタ役物91における開口窓91aの上部側には、センタ役物91のフレームと一体に成形された文字枠80が設けられており、この文字枠80によって、開口窓91aの内部空間が、通常表示窓91bと特別表示窓91cとに区切られている。文字枠80は、遊技機で用いられているキャラクタや遊技機等の名前(例えば「バカボン」)をデザイン化した枠部材から構成されている。すなわち、ロゴタイプの文字の輪郭を象った部材からなり、内部に特別表示窓91cが形成されている。ここで、文字枠80が本発明の空間区切り部材に相当する。
また、センター役物91の内側には、その下縁部に球受け棚94(ステージとも称する)が形成されており、この球受け棚94は前後方向に一定の奥行きを有している。ワープ通路を通って取り込まれた遊技球はセンター役物91の内側へ放出され、球受け棚94に誘導される。球受け棚94はその上面にて遊技球を転動させ、その動きにいろいろな変化を与えて遊技に面白みを付加する。
また、センター役物91の下縁部には、その中央位置に球誘導路(図示しない)が形成されており、この球誘導路への入口は球受け棚94の上面に形成されている。球受け棚94から球誘導路の入口に落下した遊技球は、そのまま球誘導路を通って下方に案内される。
一方、球誘導路の出口は正面に向けて開口しており、この出口から放出された遊技球は、ほぼ真下に向かって落下する。遊技領域37には、球誘導路の直ぐ下方位置に入球装置96が配置されており、この入球装置96に遊技球が入球すると始動入賞となる。したがって、球誘導路から放出された遊技球は、相当高い確率で始動入賞することができるものとなっている。入球装置96は左右一対の可動片97を有しており、これら可動片97を左右に拡開させて入球確率を高くすることが可能となっている。
また遊技領域37には、上記の入球装置96のさらに下方位置にアタッカ装置98が配設されており、このアタッカ装置98は開閉部材99を前後方向に開閉動作させることにより大入賞口を開閉させる。なお、これらのアタッカ装置98及び入球装置96は、図12に示すように、入球した遊技球を受け所定位置まで導く誘導装置107、入球した遊技球を検出する始動口センサ(図示しない)、及びカウントセンサ(図示しない)等とともに一体的に組付けられ、透明遊技盤5の下部に形成された挿入孔5bに前方から嵌め込まれている。
また、アタッカ装置98の下方には、特別図柄表示器(詳細は後述する)として機能する四つのLED(図示しない)と、抽選の保留状態を示す四つの保留球ランプ(図示しない)とが、アタッカ装置98等と一体的に組付けられている。四つの保留球ランプは、「大当り」の抽選において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。また、これらの下方には、始動ゲート口113への遊技球7の通過による抽選結果を表示する普通図柄表示器、及び抽選状態を表示する状態表示器(いずれも図示しない)等が設けられている。その他、遊技領域37には始動ゲート口113や一般入賞口111等が配設されている。
一方、図5に示すように、透明遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能(誘導装置107を含む)とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。このボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。さらに、透明遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から透明遊技盤5を嵌込んで装着できるように、透明遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130及び主制御基板ボックス132が配置されている。
[演出表示装置及び装飾部材の構成について] 図10乃至図12に基づき説明する。図10は図3の透明遊技盤5等(以下遊技盤ユニットという)におけるA−A断面を示す断面図であり、図11は同じく遊技盤ユニットのB−B断面を示す断面図であり、図12は遊技盤ユニットの構成部品を互いに分離した状態を示す分解斜視図である。
主に図12に示すように、透明遊技盤5の後方には、演出表示装置115(本発明の表示手段に相当)が配設されており、この演出表示装置115では、例えば動画や映像等の画像による演出表示が行われる。なお、演出表示装置115としては、液晶表示装置、EL表示装置、プラズマ表示装置、及びCRT等の表示装置を例示することができる。この演出表示装置115は、略直方体形状のフラットな外観を呈しており、前面の略全体に亘って表示画面115aが形成されている。演出表示装置115の表示画面115aは、透明遊技盤5に装着されたセンタ役物91よりも大きく、その上端及び左右端は、案内レール78で囲まれた遊技領域37(すなわち透明遊技盤5における透過部分)の上端及び左右端に略一致し、下端は、透明遊技盤5に形成された挿入孔5bの上側に相対している。つまり、演出表示装置115の表示画面115aは、遊技領域37の下部部分(すなわち、ボックス装着台118が設けられている部分)を除き、遊技領域37全体を投射できるように設けられている。すなわち、演出表示装置115は、センタ役物91の開口窓91aに対応する部分だけでなく、遊技領域37の略全体に亘って演出表示を行えるように構成されている。換言すれば、表示画面115aは、開口窓91aを通して視認される主領域120と、センタ役物91の外部の透明遊技盤5を通して視認される副領域121とに区分されている。
特に、主領域120においては、開口窓91aにおける通常表示窓91bを通して視認される通常領域122と、文字枠80によって囲まれた特別表示窓91cを通して視認される特別領域123とに区分けされている。なお、詳細は後述するが、通常領域122には、従来の遊技機と同様、装飾図柄列の変動表示、及び抽選に基づいた演出表示が行われ、特別領域123では、それとは異なる特別表示態様での表示が行われるようになっている。
また、演出表示装置115は、ケース部材124によって取り付けられている。主に図11に示すように、ケース部材124は、透明な樹脂で形成され、演出表示装置115の表示画面115aを覆う平板状の表面被覆部125と、その表面被覆部125の周縁から後方に突出し、内部に演出表示装置115を収容可能とする環状の収容部126と、表面被覆部125から下方に延出されるとともにその下部周縁を含む全周から前方に突出し、装飾部材101(詳しくは後述する)を載置可能とする載置部127とから構成されている。なお、載置部127の中央部分には、誘導装置107等を挿通させるための切欠部141が形成されている。また、表面被覆部125には、前方に向かって突出する一対の嵌合部128が左右方向に並んで形成されており、センタ役物91のフレームから後方に突出した一対の突起部129と嵌合することにより、ケース部材124に対するセンタ役物91の位置決め、ひいては表示画面115aに対する開口窓91aの位置決めが行われている。なお、図11に示すように、突起部129は円柱状に形成され、これに対応する嵌合部128が円筒状に形成されているため、センタ役物91を嵌合孔5cに前方から嵌め込むと、突起部129が嵌合部128に挿入され、互いに位置決めがなされる。また、嵌合部128及び突起部129は、主領域120と副領域121との境界部分、すなわちセンタ役物91におけるフレームの後方に配設されているため、前方から視認されることはない。つまり、演出を阻害することもなく、且つ見栄えを低下させることのない位置に形成されている。また、ケース部材124の載置部127側には、鉛直方向に延出されたフランジ140が形成されており、このフランジ140が透明遊技盤5の背面に取り付けられられることによって、ケース部材124は透明遊技盤5に固定状態で装着されている。なお、この際、透明遊技盤5とケース部材124の表面被覆部125との間には一定の隙間が設けられ、透明遊技盤5の後方に突出するセンタ役物91におけるフレームの後端面、及び文字枠80の後端面が表面被覆部125に当接した状態となっている。つまり、特別表示窓91cを通して通常領域122の画像が視認されることがなく、また通常表示窓91bを通して特別領域123の画像が視認されることのないように、文字枠80の後端が表面被覆部125に当接し、開口窓91aの内部空間を奥行方向全体に亘って区画している。
さらに、詳しく説明すると、文字枠80は、各文字「バ」,「カ」,「ボ」,「ン」を区画する区切りとして開口窓91aの奥側まで延出された区画壁81と、各文字の輪郭に沿って形成され開口窓91aの表面側に架設された薄板状の輪郭形成部82とから構成されている。ここで、区画壁81は開口窓91aの奥側まで延出されているため、隣接する文字との間で仕切られ、一つの文字に対する特別表示窓91cを覗き込んでも、他の文字に対応する特別領域123への視界を遮ることができる。つまり、開口窓91aに対して遊技者が斜めから見てた場合でも、文字の外観に応じた仕切りを意識させることで、ロゴタイプのインパクトを確保することが可能になる。一方、輪郭形成部82は、開口窓91aの表面側に架設された薄板状の部材から構成され、後側に壁のない形状となっているため、開口窓91aの正面側から見た場合には、文字の線分に対応する部分(輪郭に沿った部分)において画像を視認させることができ、少し斜めから文字枠80の内部を覗き込むと、輪郭形成部82によって遮られることなく、区画壁81で囲まれた範囲で特別領域123の表示を全体的に視認することが可能になる。すなわち、覗き込むことにより遊技に関する情報を容易に認識することが可能となるため、文字枠80への興味を一層高めることができるとともに、覗き込むことにより有利な情報を確認できた場合には、遊技者の満足感を高めることができる。
一方、ケース部材124の載置部127には、装飾部材101が設けられている。この装飾部材101は、遊技領域37の下部、すなわち演出表示装置115の表示画面115aが投射されない透明遊技盤5の非投射部分に対して配設されている。また、透明遊技盤5の非投射部分に対して配設された装飾部材101は、演出表示装置115の表示画面115aの下端と重なる部分まで延出されており、表示画面115aの下端が、装飾部材101によって遮蔽されている。装飾部材101は、例えば、「森林」の絵柄(図示しない)が前面に付された立体装飾部材であり、森林の形状に合うように、大小複数の三角形状を左右方向に連ねてなる凹凸形状を呈している。特に装飾部材101は、前側に位置する第一装飾部102と、その後側に位置し第一装飾部102よりも背丈の高い第二装飾部103とから構成されており、奥行方向に対して輪郭形状が変化している。なお、装飾部材101の下部には、載置部127と同様、誘導装置107等を挿通させるための切欠部104が形成されている。
また、図11及び図3に示すように、装飾部材101の前方に位置する透明遊技盤5の背面、すなわち、アタッカ装置98が設けられている遊技領域37における下端付近には、意匠性を有する装飾シート105が貼着されている。この装飾シート105は、第一装飾部102よりも背丈が低く、例えば「岩」の模様が付された不透明なシート状の部材である。なお、装飾シート105の厚みは、遊技領域37を転動する遊技球に影響を与えることのない極めて薄い厚みに設定されている。
[本体枠の機構装着体、球タンク及びタンクレールの構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
図8はパチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134、及び払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。すなわち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左端)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に延びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示しない)とを一体に備えて形成されている。このレール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、透明遊技盤5の後側に突出する装備品における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。言い換えると、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が透明遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、透明遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物91の後部や演出表示装置115との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
また、タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部及び球払出装置の構成について] 図8及び図9に基づき説明する。
本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、透明遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。また、本体枠3の後端、すなわち払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150及び球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関する各種部品が装着されることでユニット化されている。なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球及び貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について] 図4及び図5に基づき説明する。
本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを作動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。また、前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成について] 図5及び図6に基づき説明する。
図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
透明遊技盤5の後方に配置された表示装置制御基板ボックス117(図11参照)及び主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。そして、機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他側壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の側壁部の上下及び中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
すなわち、後カバー体210は、その上下及び中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、透明遊技盤5の後方の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体及び主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって、主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230、231、232、233が貫設されており、これら多数の放熱孔230、231、232、233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され、後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさ及び配設位置に対応する大きさ及び位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213Cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成について] 図2及び図7に基づき説明する。
図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後ろカバー210及び各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球及び貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インタフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インタフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される球貸機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[特別図柄表示器の構成について] 図3に基づき説明する。
本実施形態では、センター役物91の下縁部のうち、左側に4つのLED(図示しない)が配列されており、これらLEDの配列が特別図柄表示器として機能している。また、センタ役物91の下方に配設された4つのLED111の配列は、保留球ランプとなっている。
本実施形態において、特別図柄表示器の機能はLEDの点灯・消灯によって実現することができる。例えば、始動入賞を契機として4つのLEDをいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示する。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLEDの点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止状態を表示する。これにより、抽選が行われると、その結果情報がLEDの点灯・消灯によって報知される。なおLEDの点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、主制御基板131により行われる。
具体的には、個々のLEDは1色(例えば赤色)の発光タイプであり、各LEDは「消灯」、及び「点灯」の2通りに表示パターンを切り替えることができる。したがって、4つのLEDを配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で16通り(24=16)のものを用意することができる。なお、ここでは説明の便宜のために1色だけとしているが、LEDの点灯色は2色以上であってもよい。また、LEDの配置は1箇所にまとまっている必要はなく、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは、特別図柄を5つ以上のLEDによって表示してもよいし、7セグメントLEDを用いて表示してもよい。
一方で、本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として2つの大当り態様が用意されており、これらは(1)「通常(非確変)大当り」、(2)「確変大当り」に区別される。
(1)「通常(非確変)大当り」は、例えば最大30秒間にわたってアタッカ装置98を一定パターンで開閉させるラウンド動作を15ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当り遊技」と称されている。遊技者は、大当り遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当り遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。
(2)「確変大当り」は、上記(1)と同様の大当り遊技を可能とするものであるが、大当り遊技の終了後、次回大当りの抽選確率を通常時よりも高く設定(例えば、通常の大当り確率が320分の1のところ、5倍の64分の1に変更)する特典が付加される。このため遊技者が確変大当りを引き当てると、次の大当り確率が高くなって大当りを連続的に引き当てる(いわゆる連荘)ことが可能となる。
なお、以上の(1)及び(2)でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
また、上記(2)の「確変大当り」によって確率変動状態(高確率状態)になると、毎回の始動入賞を契機として確率変動状態の維持抽選(転落抽選)が行われるものとしてもよい。維持抽選は一定確率で行われ、この維持抽選で落選すると、内部的に高確率状態から低確率状態(通常確率)へ引き戻される処理が行われる。
[主基板及び周辺基板の機能的構成について] 図13に基づき説明する。
図13は制御構成を概略的に示すブロック図である。
パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。主制御基板131には、ゲートセンサ317、始動口センサ318、カウントセンサ319、V入賞センサ330等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、ソレノイド331、特別図柄表示器332、普通図柄表示器112a等へ駆動信号を出力する。また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336のほかに例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339等が含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。1つ目の電飾制御基板337には主に保留球ランプ111と、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して保留球ランプ111や装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が各ランプ111,353を点灯させる処理を行う。2つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115とともに演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。また、図示していないが、これ以外にも、例えばキャラクタ体62等の可動体を駆動させるためのモータまたはソレノイド等の駆動部材が電飾制御基板337,338等に接続されている。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。このほかにも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、及び波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、及び読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[始動入賞処理について] 図14に基づき説明する。
図14は始動入賞処理のルーチンを示している。
この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の入球装置96に対応する始動口センサ318から検出信号が入力されると、始動入賞有りと判断され、一方検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断される。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101においてYES)、次に始動保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に始動保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、始動保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM316内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、合わせて保留球ランプ(LED)111の点灯個数が1つ増加される。
また、保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、例えば大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)、及び演出表示パターン乱数等が含まれている。このうち大当り判定用乱数は、大当りであるか否かを決定するための乱数である。次の大当り図柄用乱数は、大当り判定用乱数によって大当りと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示器332によって停止表示される表示パターン(四つのLEDにおける点灯状態の組合わせパターン)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、特別図柄表示器332による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。また、演出表示パターン乱数は、演出表示装置115に表示される演出表示の変動表示パターンを特定するための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAM316に格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[遊技作動処理について] 図15に基づき説明する。
図15は始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。
この遊技作動処理では、最初に始動保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留が有ると判断され(YES)、次に特別図柄表示器332における特別図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示器332にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されるとともに、RAM316の保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて特図変動設定処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。なお、特図変動設定処理の内容については、さらに別のフローチャート(図16,図17)を用いて詳しく後述する。
特図変動設定処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板131からサブ統合基板336に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板336は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板131の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止表示態様、当り判定結果、確率変動の有無、及び演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
図15の遊技作動処理では、最後に当り判定処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201においてNO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示器332が変動中であったり(ステップS202においてNO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)、及び特図変動設定処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)及び当り判定処理(ステップS206)が実行される。
当り判定処理(ステップS206)では、特別図柄の変動開始時にセットされた当りフラグを参照し、当りフラグがセットされていればさらに別の処理(図18)を実行する。
[特図変動設定処理(ステップS204)の詳細について] 図16及び図17に基づき説明する。
図16は、上記の特図変動設定処理に含まれる特図変動設定処理Aの内容を示し、図17は特図変動設定処理Bの内容を示している。
この特図変動設定処理Aでは主に、抽選結果によって特別図柄表示器332による変動時間の設定や停止時の表示パターンの選択が行われる。具体的には、既に取得されている大当り判定用乱数に基づいて抽選の結果が判断され(ステップS301)、当選(大当り)であった場合(YES)は当り時変動設定処理(ステップS302)が実行される。なお、ここでいう「当選」は、上記(1)通常大当り、または(2)確変大当りのいずれかに該当していることを意味する。
これに対し、抽選の結果が外れ、つまり、(1)及び(2)のいずれの当りにも該当してないと判断された場合(NO)、既に取得されている可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値が所定値(例えば1024)と比較される(ステップS303)。可変変動用乱数は例えば0〜65535の範囲内で取得されており、この乱数値が1024未満であれば(YES)、可変変動設定処理(ステップS304)が実行される。逆に、可変変動用乱数の値が1024以上であれば(NO)、ステップS305またはステップS306の各判断を経て変動タイマがセットされる。変動タイマは、特別図柄表示器332による変動時間を設定するためのタイマであり、具体的には、現在の始動保留数が「0」〜「2」であれば(ステップS305においてYES)、所定の変動タイマが比較的長めの10秒にセットされる(ステップS307)。同様に、始動保留数が「3」であれば(ステップS306においてYES)、変動タイマが比較的中程度の8秒にセットされ(ステップS308)、そして始動保留数が「4」であれば(ステップS306においてNO)、変動タイマが比較的短めの6秒にセットされる(ステップS309)(いわゆる保留時短)。いずれにしても、変動タイマがセットされると、続いて特別図柄の停止パターンが選択される(ステップS310〜S312)。停止パターンは、四つのLEDにおける点灯状態の組合わせを、いずれの当り態様にも該当しないパターンの中から適宜選択する。
以上の特図変動設定処理Aをまとめると、抽選結果がいずれかの当りに該当している場合は、別の当り時変動設定処理(ステップS302)が実行された後に特別図柄の変動表示が開始される(ステップS313)。一方、抽選結果がいずれの当りにも該当しない(外れ)場合は、取得済みの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値によって64分の1の振り分け率で別の可変変動設定処理(ステップS304)が実行されるが、それ以外(64分の63)の場合は始動保留数に応じて変動タイマの時間が3段階に設定された後に特別図柄の変動表示(ステップS313)が開始されることとなる。
ここで、ステップS304の可変変動設定処理は、「外れリーチ変動」の考え方に基づくものである。すなわち、基本的に抽選で外れた場合は特別図柄の変動時間が始動保留数に応じて次第に短縮されるが(ステップS307〜S309)、外れの場合であっても、ときには始動保留数に関係なく変動時間を長短に変更したり、特別図柄の停止パターンを変更したりすることで、あからさまに外れ変動であることを遊技者に気付かせにくくするものである。なお、この「外れ」を通常の「外れ」と区別するため、「特殊外れ」と称している。この可変変動設定処理では、例えば以下の表1で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられている。
一方、ステップS302の当り時変動設定処理は、0〜65535までの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表2で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられる。なお、表1及び表2の比較から明らかなように、当り時における変動時間は、特殊外れ時における変動時間よりも長くなるように設定されている。換言すれば、変動時間が長いほど、大当りとなる期待値が高くなっている。この当り特変動設定処理が実行されると、内部的な当りフラグに「1」がセットされて、本ルーチンがリターンされる。
図17は上記の特図変動設定処理(図15中のステップS204)に含まれる特図変動実行処理Bの内容を示している。先の特図変動設定処理Aによって特別図柄の変動が開始されると、ここでは変動期間中であるか否かが判断される(ステップS401)。具体的には、変動期間中であるか否かは上記の変動タイマを参照することで判断可能であり、変動タイマが作動していると、それによって変動期間中である(YES)と判断され、逆に変動タイマが停止していれば、変動期間中でない(NO)と判断される。
ステップS401で特別図柄の変動期間中であると判断されると、次に変動表示制御処理(ステップS402)が実行される。ここでは、特別図柄表示器332を構成する4つのLEDについて、例えば0〜15のカウンタ値を取得しながらこれらを8ビットの値に割り当て、この値を用いて合計4つのスイッチ(LED4個分)のON/OFFを40ms毎に切り替える処理が行われる。これにより、4つのLEDが点滅しながら特別図柄表示器332による高速変動が実現される。なお、ここではカウンタ値を参照してLEDの点灯・消灯を制御しているが、例えば所定の変動パターンテーブルを用いてLEDの点灯・消灯パターンを切り替えることもできる。
この後、変動タイマがカウントアップして変動期間が終了すると、特別図柄の変動期間中ではない(NO)と判断されて、次に停止パターン表示制御(ステップS403)が実行される。この停止パターン表示制御では、先の特図変動設定処理A(図16)等で既に選択されている停止パターンの点灯・消灯表示パターンデータが特別図柄表示器332に送信される。なお、パターンデータの送信は毎回の割込周期(例えば4ms)で行う必要はなく、適宜サンプリングすることでLEDの発光輝度を調整することが好ましい。
[大当り処理について] 図18に基づき説明する。
図18は大当り処理の内容を示している。
内部的に条件装置が作動して大当り処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS501)。このラウンドカウンタは例えばRAM内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当り遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当り処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS502)、続いて大入賞口(アタッカ装置98)が開放される(ステップS503)。そして、次のステップS504では大入賞口の開放期間が設定最大期間(例えば30秒)内であるか否かが判断される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS505)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS506)。大入賞口への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS507で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS504の判断が行われる。あるいは、ステップS506で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS504の判断が行われる。
「通常大当り」または「確変大当り」の場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件が満たされると1ラウンドが終了となる。これら2つの条件のいずれかが満たされると、ステップS504またはステップS505の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために大入賞口が閉止(ステップS508)される。そして、次のステップS509でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(例えば15ラウンド)に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達していなければ(ステップS509においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS510)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS502)。
上記の処理は「通常大当り」または「確変大当り」中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達したと判断されると(ステップS509においてYES)、そこで大当り処理は終了となる。
[演出表示装置における演出表示の詳細について] 図19〜図26に基づき説明する。
図19はサブ統合基板336における制御処理の内容を示しており、図20は電飾制御基板338における制御処理の内容を示している。また、図21及び図22は演出表示制御における機能的な構成を示し、図23及び図24は各種テーブルの構成を示している。また、図25及び図26は具体的な演出例を示している。
ところで、これまで説明してきた処理は、純粋に主制御基板131による遊技動作の制御に関するものであるが、サブ統合基板336は主制御基板131から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができるようになっている。
詳細に説明すると、前述したように主制御基板131では、保留格納処理(S103)において、大当り判別用乱数、大当り図柄用乱数、可変変動用乱数、及び演出表示パターン乱数等が取得され、これらの乱数を基に、大当りの有無に関する情報(当否コマンド)、大当たりの場合に「通常大当り」または「確変大当り」のいずれであるかを示す情報(確変・非確変コマンド)、及び演出表示パターンの種類に関する情報、すなわち特別図柄の変動時間に関する情報(変動表示パターンコマンド)が、変動開始コマンドとして設定され、主制御基板131からサブ統合基板336に送信される(S205)。
すなわち、図21に示すように、主基板310には、大当り判定用テーブル411、大当り図柄用テーブル412、当り時変動時間可変用テーブル413、及び外れ時変動時間可変用テーブル414が予め記憶されており、これらのテーブル411〜414を基に、抽選の当否、特別図柄表示器332における停止図柄、及び変動時間が決定される。詳しく説明すると、大当り判定用テーブル411は、図23(a)に示すように、大当り判定用乱数値と大当りの当否(大当りの種別を含む)との関係を示すものであり、例えば、大当り判定用乱数値のNA1〜NA2が「確変大当り」に対応し、NA3〜NA4が通常大当りに対応し、NA5〜NA6が「外れ」に対応している。また、大当り図柄用テーブル412は、図23(b)に示すように、大当り図柄用乱数値と特別図柄表示器332における停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と四つのLEDの点灯状態との対応付けがなされている。なお、当り時変動時間可変用テーブル413は前述の表2に示した通りであり、また外れ時変動時間可変用テーブル414は前述の表1に示した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主基板310には、遊技状態検出手段(具体的には入球状態検出手段)318によって入球装置96への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(図示しない)から、大当り判定用乱数を抽出する大当り判定用乱数抽出手段416と、大当り図柄用乱数を抽出する大当り図柄用乱数抽出手段417とが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する変動時間用乱数抽出手段418が設けられている。また、大当り判定用乱数抽出手段416によって大当り判定用乱数が抽出されると、大当り判定用テーブル411を用いて大当りの当否を決定する当否決定手段430、及び大当り図柄用乱数抽出手段417によって大当り図柄用乱数が抽出されると、大当り図柄用テーブル412を用いて特別図柄表示器332における停止図柄を決定する停止図柄決定手段431が設けられている。さらに、変動時間用乱数抽出手段418によって変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段430によって大当りであることが決定されると、当り時変動時間可変用テーブル413を用いて特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ当否決定手段430によって外れであることが決定されると、外れ時変動時間可変用テーブル414を用いて特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段432が設けられている。
また、主基板310には、特別図柄表示器332において特別図柄の変動を開始するとともに、変動時間決定手段432によって決定された変動時間の経過後、停止図柄決定手段431によって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段434と、当否決定手段430によって大当りであることが決定されると、特別図柄の変動停止後、遊技者に有利な遊技状態(すなわち図18の大当り処理)を発生させる有利遊技状態発生手段433と、特別図柄の変動開始前に、当否決定手段430によって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段435が設けられている。
これに対し、サブ統合基板336では、図19に示すように、主制御基板131から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS601においてYES)、受け取ったこれらの変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定する(ステップS602)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、当否コマンド及び確変・非確変コマンドに基づいて装飾図柄列における最終停止図柄を決定する。例えば、「確変大当り」の場合には、確変大当りに相当する複数の装飾図柄の中から一つの図柄を最終停止図柄として決定する。また、サブ統合基板336は、乱数発生手段(図示しない)を有しており、乱数を取得するとともに、取得された乱数に応じて大当り予告の演出態様を付加する。さらに、サブ統合基板336では、決定されたこれらの変動態様を、電飾制御基板337、338及び波形制御基板339に対する変動開始コマンドとして設定する(ステップS603)。具体的には、変動表示パターンコマンド、最終停止図柄コマンド、及び演出パターンコマンド等を設定する。そして、設定されたこれらの変動開始コマンドを、各制御基板337,338,339に送信する(ステップS604)。これにより、これらの制御基板337,338,339では、抽選結果に応じた演出表示を行なったり、その演出表示に合せて音声等を発生させることが可能になる。
特に、電飾制御基板338では、図20に示すように、サブ統合基板336から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS701においてYES)、その変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定(ステップS702)し、その後、演出表示装置115を制御する(ステップS703)。具体的には、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定するとともに、最終停止図柄コマンドに基づいて、装飾図柄列の最終停止図柄を設定する。また、演出パターンコマンドに対応した演出を決定するとともに、後述するステップ演出や発展演出等、より具体的な演出態様を付加する。つまり、電飾制御基板338は、乱数発生手段(ランダムカウンタ)を有しており、演出表示装置115における夫々の変動パターンに対して、より具体的な演出態様を付加することを可能にしている。このように、本例では、変動パターンの選択処理が、主制御基板131、サブ統合基板111、及び電飾制御基板338において分担されており、これにより、主制御基板131及びサブ統合基板111における処理の負担を軽減するとともに、変動パターンの複雑化、ひいては演出の興趣を向上させている。
なお、図19及び図20に示すフローチャートでは、サブ統合基板336及び電飾制御基板338におけるコマンド受信処理のうち、特に演出の制御に関する変動開始コマンドの受信処理のみを説明している。すなわち、ここでは、電源投入時のコマンドや異常時のコマンドに対する処理は省略している。
ところで、本例の演出表示装置115では、図12を基に前述したように、表示画面115aは、センタ役物91の開口窓91aを通して視認される主領域120と、センタ役物91の外側から透明遊技盤5を通して視認される副領域121とに区分けされ、さらに、主領域120においては、通常表示窓91bを通して視認される通常領域122と、特別表示窓91cを通して視認される特別領域123とに区分けされ、これらの通常領域122と、特別領域123と、副領域121とで互いに異なる表示態様の演出が行われるようになっている。まず、主領域120の通常領域122に対する演出について説明する。
通常領域122に表示される演出画像としては、周期性をもって変動表示される装飾図柄、装飾図柄の変動中(リーチ状態の前)に複数の画像を予め定めた順序に従って段階的に発展表示させることが可能なステップ演出が含まれている。以下、装飾図柄、及びステップ演出について詳細に説明する。
(装飾図柄について)
本例では、装飾図柄として、例えば、左・中・右の3つの装飾図柄列が設定されており、装飾図柄列毎に変動表示されるようになっている。一連の装飾図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄と、絵図柄からなる副装飾図柄とにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄が表示されると共に各主装飾図柄の間に副装飾図柄が配されて一連の装飾図柄列が構成されている。そして、主装飾図柄と副装飾図柄とが周期性を持って上から下へと変動表示されるようになっており、左装飾図柄列→右装飾図柄列→中装飾図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に三つの装飾図柄が大当り装飾図柄の組合せ(例えば「7」,「7」,「7」)で揃えば大当りとして特別遊技動画が表示されるようになっている。特に、三つの装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列(中装飾図柄列)が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している二つの装飾図柄(左装飾図柄及び右装飾図柄)が互いに同じ図柄である場合には、これらの装飾図柄を第一リーチ形成図柄として、リーチ状態が成立する。また、主装飾図柄は、「通常大当り」を示す複数の通常図柄(例えば偶数の図柄)と、「確変大当り」を示す複数の確変図柄とからなり、通常図柄によって大当りの組合せが成立した場合には、「通常大当り」が発生し、確変図柄で大当りの組合せが成立した場合には、「確変大当り」が発生するようになっている。
なお、本例では、演出表示装置115における装飾図柄列の変動は、装飾図柄変動制御手段476(図22参照)によって制御され、変動開始時期を、特別図柄の変動開始後とし、装飾図柄列の変動停止を特別図柄の変動停止前としている。これにより、特別図柄の変動表示の開始時と停止時には、演出表示装置115での演出表示を行わないことで、特別図柄の変動表示に対して演出表示装置115での紛らわしい表示を行うことを防止するとともに、演出表示装置115の演出中に当りか否かを認識させること、すなわち演出の効果を損なうことを防止している。
(ステップ演出)
ステップ演出では、最初のステップから最後のステップまでの間が時系列的に分割されており、各ステップに対して互いに異なる画像(動画)が定められている。そして、段階的に発展表示されるステップの数が互いに異なるように複数の演出パターンが設定されている。つまり、ステップの数が互いに異なる複数の演出パターンがステップ演出として演出態様記憶手段455(図22参照)に記憶されており、例えばステップの数が一つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップにおける画像のみが表示され、ステップの数が四つの演出パターンが選択された場合には、第一ステップ〜第四ステップにおける画像を段階的に発展表示させることが可能となる。また、このステップ演出は、大当りの予告表示として、演出表示装置115における装飾図柄列の変動開始から、それらがリーチ状態となるまでの間の所定期間内において導出可能なものであり、段階的に発展表示されるステップの数が多いほど、大当りの信頼度が高くなるように出現率が振り分けられている。なお、大当りの信頼度とは、外れ時の演出として選択される確率が異なっている複数の演出がある場合、その選択率の異なりによって発生するものである。例えば、選択率が低い演出ほど大当りに対する信頼度が高くなり、期待値が高くなる。
ステップ演出の具体例を図25に基づき説明する。この演出の第一ステップでは、図25(a)に示すように、「浴衣を着て下駄を履いた男性がホウキで掃除している図柄C1」が表示され、第二ステップでは、図25(b)に示すように、「腹巻と鉢巻をした男性の図柄C2」が表示され、第三ステップでは、図25(c)に示すように、「着物を着た小太りな少年の図柄C3」が表示され、第四ステップでは、図25(d)に示すように、「エプロンをした婦人の図柄C4」が表示されるようになっている。
次に、上記演出の演出表示制御における機能的な構成、すなわち演出プログラムとして実現される機能的な構成ついて説明する。図22に示すように、電飾制御基板338(副制御手段に相当)には、主基板310(主制御手段に相当)からサブ統合基板336を介して送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段451によって受信されると、これを基に演出表示装置115を制御するための各種機能が備えられている。
すなわち、当り時ステップ演出態様テーブル452(以下、当り時演出態様テーブル452と称する)と、外れ時ステップ演出態様テーブル453(以下、外れ時演出態様テーブル453と称する)とが予め記憶されており、これらのテーブル452,453を基に、ステップ演出における演出態様が決定されるようになっている。
まず、演出態様テーブル452,453について詳細に説明する。当り時演出態様テーブル452は、図24(a)に示すように、大当りの場合に用いられ、演出決定用乱数(後述する)と、演出態様(ここではステップ演出における演出パターン)との関係を示すものである。また、外れ時ステップ演出態様テーブル453は、外れの場合に用いられるテーブルであり、図24(b)に示すように、演出決定用乱数と演出パターンとの関係を示すものである。
図22に示すように、電飾制御基板338には、ランダムカウンタ(図示しない)からステップ演出決定用乱数を抽出する演出用乱数抽出手段457と、ステップ演出の演出パターンを決定する演出態様決定手段458とが設けられている。演出態様決定手段458は、コマンド受信手段451を介して制御コマンドを受信すると、演出用乱数抽出手段457によってステップ演出用乱数を抽出するとともに、制御コマンドに含まれる当否コマンドが大当りを示すものである場合には、ステップ演出用乱数抽出手段457によって抽出されたステップ演出用乱数と、当り時演出態様テーブル452とからステップ演出パターンを決定し、一方、当否コマンドが外れを示すものである場合には、演出用乱数抽出手段457によって抽出されたステップ演出用乱数と、外れ時演出態様テーブル453とからステップ演出パターンを決定するものである。具体的に、当否コマンドが大当りを示すものであり、抽出されたステップ演出用乱数が「0」〜「55」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ乃至第四ステップからなるステップ演出パターン1(PT1)が選択され、また、同条件(受信した制御コマンドが同一)の場合において、抽出されたステップ演出用乱数が「56」〜「96」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ乃至第三ステップからなるステップ演出パターン2(PT2)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「97」〜「119」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップ及び第二ステップからなるステップ演出パターン3(PT3)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「120」〜「127」の範囲内に含まれている場合には、第一ステップのみからなるステップ演出パターン4(PT4)が選択される。一方、当否コマンドが外れを示すものであるときは、抽出されたステップ演出用乱数が「0」〜「7」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン1(PT1)が選択され、また、抽出されたステップ演出用乱数が「8」〜「39」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン2(PT2)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「40」〜「79」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン3(PT3)が選択され、抽出されたステップ演出用乱数が「80」〜「127」の範囲内に含まれている場合には、ステップ演出パターン4(PT4)が選択される。
なお、図24(a)に示すように、当り時には、ステップ演出パターン1(PT1)の振分率(例えば44%)が最も高く、次に、ステップ演出パターン2(PT2)の振分率(例えば32%)が高くなるように設定されている。これに対し、外れ時には、ステップ演出パターン4(PT4)の振分率(例えば38%)が最も高く、次に、ステップ演出パターン3(PT3)の振分率(例えば31%)が高くなるように設定されている。すなわち、当り時には、外れ時に比べ、第一ステップ乃至第四ステップを演出対象とするステップ演出パターン1が導出されやすくなっている。つまり、後半に出現可能な画像は、大当りの時に表示されやすくなっている。
そして演出態様決定手段458によって決定されたステップ演出の演出パターンは、演出パターン記憶手段455から抽出されるとともに、ステップ演出表示制御手段475に送られる。ステップ演出表示制御手段475は、それらの演出の画像を画像記憶手段454から読出し演出表示装置115の通常領域122に導出する。つまり、演出表示制御手段475は、動画像表示制御手段476を有しており、演出表示装置115の通常領域122に対してステップ演出の動画を表示させる。
一方、装飾図柄列の演出に関する機能的な構成として、装飾図柄変動制御手段476が設けられている。装飾図柄変動制御手段476は、コマンド受信手段451によって受信された制御コマンドを基に三つの装飾図柄列を、演出表示装置115の通常領域122に変動表示させるとともに、その制御コマンドに含まれる変動時間及び当否コマンド等(すなわち抽選結果)に基づいて装飾図柄列を順に停止させるものである。なお、複数の装飾図柄列のうち最後に停止される最終停止図柄列が停止する前の段階で、有効ライン上で既に停止している装飾図柄(停止図柄)の組合せが、特定の装飾図柄の組合せを充足する場合、既に停止している装飾図柄を第一リーチ形成図柄として、リーチ状態を成立させる。なお、リーチ状態が成立した場合には、リーチ状態であることを示す演出が表示されるとともに、発展演出の導出が可能となる。
次に、演出表示装置115の特別領域123に対する演出について説明する。特別領域123に表示される演出画像には、静止画像と動画像とが含まれ、通常領域122における演出内容(例えばステップ演出)に基づいて、静止画像から動画像に切り替えられるようになっている。つまり、図22に示すように、演出に関する機能的構成としては、静止画像表示制御手段477及び表示態様切替手段478が備えられている。静止画像表示制御手段477は、文字枠80に対応する特別領域123から光を放射させることにより、文字枠80で囲まれた空間(即ち特別表示窓91c)を所定の色または模様で装飾するものであり、これによれば、文字の内部を電飾として機能させることが可能になる。なお、本例の文字枠80には、複数の文字(例えば4文字)が含まれ、各文字は、互いに区画されていることから、各文字に対する色が互いに異なるように光を放射すれば、一層際立った電飾効果を得ることが可能になる。また、一つまたは複数の文字に対して、複数の光の色(例えば7色)を層状に表示するようにしてもよく、この場合には、色のグラデーションによってイリュージョンを高めることができる。
また、静止画像表示制御手段477には、表示色変更制御手段477a、模様変更制御手段477b、及びキャラクタ表示制御手段477cが備えられている。表示色変更制御手段477aは、遊技状態や遊技者の操作等に応じて、特別領域123で表示される色を変化させるものであり、模様変更制御手段477bは、特別領域123で表示される静止画像の模様(すなわち文字の柄)を変化させるものである。また、キャラクタ表示制御手段477cは、特別領域123にキャラクタの静止画像を表示させるものである。つまり、特別領域123では、発光色や模様が適宜変化することに加え、キャラクタが表示される場合もあり、これによれば遊技者に大きなインパクトを与えるとともに、文字枠80の中からキャラクタが現れるという意外性に遊技者を驚かせることができる。
表示態様切替手段478は、通常領域122に表示される演出(例えば上記のステップ演出)に基づいて、特別領域123の静止画像を動画に切り替えるものである。具体的には、キャラクタ表示制御手段477cと関連付けられており、演出態様決定手段458によって決定されたステップ演出の演出パターンがPT1(第一ステップS1〜第四ステップS4からなる演出パターン)の場合に、キャラクタを表示させるとともに、そのキャラクタを動的に表示させる。
特別領域123における具体的な演出を、図26に基づき説明する。図26(a)に示すように、通常の遊技中では、特別領域123全体に亘って、同一発光色による表示が行われる。これによれば、「バカボン」というロゴタイプの文字が、一様の形態で発光する状態となる。一方、通常領域122における演出が所定の状態となったとき、例えばキャラクタC3が表示された場合には、図26(b)に示すように、特別領域123の表示形態が、文字毎に異なるように表示制御される。これによれば、「バカボン」というロゴタイプの文字が、複数の色または模様の組合せで表示される。
さらに、通常領域122における演出が所定の状態となったとき、例えばキャラクタC4が表示された場合には、図26(c)に示すように、特別領域123の一部に、「賢そうな幼児の図柄C5」が出現し、特別領域123内を歩きまわる動的な演出が行われる。
次に、演出表示装置115の副領域121に対する演出について説明する。副領域121に表示される演出画像には、静止画像と動画像とが含まれ、主領域120における演出内容(例えばステップ演出)に基づいて、静止画像から動画像に切り替えられるようになっている。
具体的に、通常時は静止画像が表示され、副領域121に「山」の絵柄や、「雲」の絵柄等、装飾シート105及び装飾部材101の背景として相応しい絵柄の静止図柄が表示される。一方、ステップ演出が所定の状態になると、「雲」の絵柄が消されるとともに、「日の出」を示す絵柄が表示される。つまり、山の谷間から太陽が昇る演出が動的に行われ、表示画面115a全体(すなわち主領域120及び副領域121)が次第に明るくなる演出が行われる。
このように、本例のパチンコ機1によれば、センタ役物91における開口窓91aの内部が、文字枠80によって通常領域122と特別領域123とに区切られているため、開口窓91aの後方に配設された演出表示装置115において演出等が行われると、遊技者は、表示画面115aに表示された画像を、通常表示窓91bと特別表示窓91cとに分割された状態で視認することになる。特に、文字枠80で囲まれた空間(特別表示窓91c)を通して特別領域123が視認されるため、特別領域123に図柄の輪郭を表示させなくても文字(ロゴ)を認識させることができるとともに、文字(輪郭を除く)の色や模様を演出表示装置115によって任意に変化させることができる。つまり、定められた輪郭の中で、文字の色や模様を無制限に変化させることが可能になり、文字における多彩な変化を強調することができる。また、センタ役物91における開口窓91aの一部を利用してロゴタイプの文字を認識させることから、遊技性を損なうことなく遊技機1におけるコンセプトを特徴付けることができる。さらに、文字枠80の奥行が比較的長く、且つ特別表示窓91cの大きさ(開口面積)が比較的小さいため、特別領域123に対する視角範囲が文字枠80によって制限される。つまり、この遊技機1の遊技者だけが特別領域123を視認することができ、他の遊技者等の視界から遮ることが可能になる。すなわち、特別領域123の表示を独占することが可能になり、例えば特別領域123における演出内容の変化(特に、滅多に出現することのない特別な演出)に対して、遊技者に独占による優越感を与えることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、特別表示窓91cを通して静止画像を視認させることが可能になるため、特別表示窓91cに静的な印象を与え、通常表示窓91bとの差異を明確にすることができる。また、特別領域123における表示色や模様が所定のタイミングで変化するため、特別領域123におけるインパクトをさらに高めることができる。さらに、特別領域123にキャラクタC5の画像が動的に表示されるため、キャラクタC5の形状を印象付けることが可能になるとともに、その変化を際立たせることが可能になる。つまり、静止画像では表示されることのないキャラクタC5が、突然現れ、それが動的に変化することから、突拍子の変化によって遊技者の注意を大きく引き付けることができる。また、通常領域122に表示される動画像に基づいて、特別領域123における表示態様が、静止画像から動画像に切り替えられるため、二つの領域122,123における演出を互いに関連させながら、全体の演出を楽しませることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、演出表示装置115が、センタ役物91の後方に配設され、しかもセンタ役物91よりも大きな表示画面115aを有していることから、演出表示装置115において演出等の表示が行われると、表示画面115aの画像は、センタ役物91からはみ出た状態で前方に投射されることになり、遊技者は、表示画面115aに表示された画像を、センタ役物91の開口窓91aを通して視認可能になるとともに、センタ役物91の外側においても視認可能となる。このため、演出表示装置115の表示画面115aを、センタ役物91の開口窓91aの大きさに制限されることのない大画面とすることができる。また、透明遊技盤5を介して、演出表示装置115の画像を視認させることから、遊技領域37での遊技性に影響を与えることなく、大画面による演出を視認させることができる。特に、少なくともセンタ役物91の外側では、表示画面115aから投射された画像と、遊技領域37を転動する遊技球とが重なった状態で視認されることから、遊技球の転動を注目させながら、表示画面115aに表示された画像を楽しませることができる。つまり、表示画面115aにおける画像を背景として機能させ、遊技領域37に対する雰囲気を適宜変化させることが可能になる。
また、本例のパチンコ機1によれば、センタ役物91の開口窓91aを通して視認される主領域120と、センタ役物91の外側で視認される副領域121との表示態様を、互いに異ならせて演出表示を行うことから、センタ役物91の内部と外部とで異なる演出を楽しませることが可能になるとともに、センタ役物91の外側に別の表示手段を装着した印象を与え、遊技機1の高級感を醸し出すことができる。特に、センタ役物91は、有色で不透明の部材から形成されているため、主領域120と副領域121との境界を際立たせ、二つの演出を明確に区別化させることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、表示画面115aと相対しない透明遊技盤5の非投射部分に対して、装飾部材101及び装飾シート105が配設されているため、透明遊技盤5全体に亘って意匠性を高めることができる。なお、装飾シート105を不透明部材で形成するようにすれば、透明遊技盤5の後方に配設された誘導装置107等を遮蔽することが可能になり、見栄えを向上させることができる。また、透明遊技盤5の非投射部分に対して配設された装飾部材101を、演出表示装置115の表示画面115aの下端と重なる部分まで延出したことにより、表示画面115aの縁部を、装飾部材101によって遮蔽することができ、ひいては、表示画面115aにおける画像と装飾部材101との境界を目立たなくさせ装飾部材101と画像との一体感を高めることができる。
また、本例のパチンコ機1によれば、演出表示装置115は、透明のケース部材124によって表示画面115a側から覆われた状態で収容されているため、センタ役物91の誘導部94に入球した遊技球が表示画面115a側に跳ね返っても、ケース部材124によって表示画面115aへの衝突を防ぎ、表示画面115aを保護することができる。なお、ケース部材124は透明であるため、表示画面115aの視認性を損ねることはない。また、演出表示装置115は、ケース部材124の収容部126に収容された状態で装着されているため、容易に着脱できるとともに再利用が可能になる。したがって、環境への影響を配慮した遊技機の提供が実現される。
さらに、本例のパチンコ機1によれば、ケース部材124の前面に形成された位置決め用の嵌合部128によって、演出表示装置115に対するセンタ役物91の位置が定められるため、透明遊技盤5に装着されたセンタ役物91と、演出表示装置115との相対位置関係を適切に合せた状態で組付けることができる。このため、センタ役物91の開口窓91a(通常表示窓91b及び特別表示窓91c)と表示画面115aの主領域120(通常領域122及び特別領域123)とを合致させることができる。また、センタ役物91の背面側から表示画面115a側に向かって突出した複数の突起部129と、表面被覆部125に形成された嵌合部128とが嵌合することにより、表示画面115aに対するセンタ役物91の位置決めがなされるため、極めて簡単な構成を用いて容易に位置決めさせることが可能になる。また、ケース部材124に形成される嵌合部128は、表示画面115aの主領域120と副領域121との間、すなわち、センタ役物91におけるフレームの後方に形成されているため、演出を阻害することなく、また、見栄えを低下させることもない。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
上記実施形態では、表示窓枠部材として、センタ役物91を適用するもの、すなわち入球した遊技球を左右方向に転動するための誘導部94を備えたものを示したが、誘導部94を備えない部材、すなわち窓枠としてのみ機能する部材であっても適用することができる。この場合、透明遊技盤5から後方への突出がなくなるため、演出表示装置115を透明遊技盤5に接近させるとともに、表面被覆部125に相当する部材を省くことができ、表示画面115aから投射された画像の透過性を高めることができる。
また、上記実施形態では、主領域120における演出に基づいて、特別領域123における静止画像を動画像に切り替えるものを示したが、遊技状態検出手段318等によって、所定の遊技状態が検出されたときに、動画像に切り替えるように制御してもよい。これによれば、遊技領域の背景を遊技状態と関連付けて視認させることが可能になり、背景に対する興味を高めることができる。さらに、定期的または遊技者の操作に応じて表示態様を切り替えるようにしても構わない。
また、上記実施形態では、特別表示窓91cを形成するための空間区切り部材として、ロゴタイプの文字枠80を適用する場合を示したが、空間区切り部材の形状は特に限定されるものではなく、例えばキャラクタの輪郭を象った形状であってもよく、あるいは、円形、四角形または星形等、一般に周知の形状の枠体を適用するようにしてもよい。ただし、本例のように、空間区切り部材の形状自体に意味を持たせることにより、空間区切り部材の形状と特別領域123での画像とが組合せられ、意匠性を大幅に向上させることができる。
また、上記実施形態では、遊技盤として透明遊技盤5を設け、センタ役物91の外側で副領域121の画像を視認させるものを示したが、演出表示装置115の表示画面115aの大きさを、センタ役物91の開口窓91aに合せ、透明遊技盤5を不透明とする遊技機、すなわち従来と同様の遊技盤、を備えた遊技機においても適用することができる。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させてなる遊技機等であっても本発明を適用することができる。すなわち、遊技盤と表示画面とを有する遊技機であれば、本発明を好適に適用することができる。