以下、本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」と称する。)を、各図を参照しつつ説明する。
[パチンコ機の全体構成]
図1を参照しつつ説明する。図1は、パチンコ機の外枠の一側に本体枠が開かれその本体枠の一側に前面枠が開かれた状態を示す斜視図である。なお、図1では、遊技領域37における装飾部材が省略されている。
パチンコ機1は、外枠2、本体枠3、前面枠4および遊技盤5等を備えて構成されている。外枠2は、上下左右の木製の枠材によって縦長四角形の枠状に形成され、同外枠2の前側下部には、本体枠3の下面を受ける下受板6を有している。外枠2の全面の片側には、ヒンジ機構7によって本体枠3が前方に開閉自在に装着されている。なお、外枠2は、樹脂やアルミニウム等の軽金属によって形成されていてもよい。
[本体枠の構成]
図2および図4を参照しつつ説明する。図2は、パチンコ機1の前側全体を示す正面図であり、図4は、パチンコ機1の本体枠3と遊技盤5とを分離して斜め右上前方から示す斜視図である。
本体枠3は、前枠体11、遊技盤装着枠12および機構装着体13を合成樹脂等によって一体成形することで構成されている。本体枠3の前枠体11は、外枠2(図1参照)の前側の下受板6を除く外郭形状に対応する大きさの矩形枠状に形成されている。前枠体11の片側の上下部には、本体枠側ヒンジ具15が固定されており、外枠2の片側の上下部に固定された外枠側ヒンジ具14に対してヒンジピンおよびヒンジ孔によって開閉回動自在に装着されている。即ち、外枠側ヒンジ具14、本体枠側ヒンジ具15、ヒンジピンおよびヒンジ孔によってヒンジ機構7が構成されている。
前枠体11の前側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の前下部左側領域にはスピーカボックス部16が一体に形成され、そのスピーカボックス部16の前側開口部には、同開口部を塞ぐようにしてスピーカ装着版17が装着されている。そして、スピーカ装着盤にはスピーカ18が装着されている。
前枠体11全面の下部領域内において、その上半部分には発射レール19が傾斜状に装着されている。また、前枠体11前面の下部領域内の下半部分には下部前面板30が装着されている。そして、下部前面板30の前面の略中央部には、遊技球を貯留可能な下皿31が設けられ、右側寄りには操作ハンドル32が設けられ、左側寄りには灰皿33が設けられている。なお、下皿31には、遊技球を下方に排出するための球排出レバー34が配設されている。
[前面枠の構成]
図1および図2を参照しつつ説明する。前枠体11の前面の片側には、その前枠体11の上端から下部前面板30の上縁にわたる部分を覆うようにして、前面枠4がヒンジ機構36によって前方に開閉可能に装着されている。
前面枠4の略中央部には、遊技盤5の遊技領域37を前方から透視可能な略円形の開口窓38が形成されている。前面枠4の後側には開口窓38よりも大きな矩形枠状をなす窓枠39が設けられ、その窓枠39にはガラス板、透明樹脂板等の透明板50が装着されている。前面枠4の前面の略全体は、ランプ等が内設された前面装飾部材によって装飾され、同前面枠4の前面の下部には上皿51が形成されている。詳しくは、開口窓38の周囲において、左右両側部にサイド装飾装置52が、下部に上皿51が、上部に音響電飾装置53が、それぞれ装着されている。
サイド装飾装置52は、ランプ基板が内部に配置され且つ合成樹脂材によって形成されたサイド装飾体54を主体として構成されている。サイド装飾体54には、横方向に長いスリット状の開口孔が上下方向に複数配列されており、この開口孔には、ランプ基板に配置された光源に対応するレンズ55が組み込まれている、音響電飾装置53は、透明カバー体56、スピーカ57、スピーカカバー58およびリフレクタ体(図示せず)等を備え、これらの構成部材が相互に組み付けられてユニット化されている。
また、上皿51の紙面左側には、押しボタン35が設けられている。この押しボタン35は、遊技者が自身が押下可能に構成されている。遊技者がこの押しボタン35を押下すると、後述する演出表示装置115における演出表示に、遊技者の意思を反映することができる。なお、この押しボタン35は、この発明の意思反映手段に相当する。なお、この押しボタン35に代えて、レバーまたはスイッチであってもよい。また、遊技者の音声を受け付ける音声入力手段であってもよい。即ち、遊技者の意思を反映できるものであれば、遊技者が操作できる手段に限られない。
[施錠装置の構成]
図1および図4を参照しつつ説明する。前枠体11のヒンジ機構36に対して反対側となる自由端側の後側には、外枠2に対し本体枠3を施錠する機能と、本体枠3に対し前面枠4を施錠する機能とを兼ね備えた施錠装置70が装着されている。
即ち、この実施形態において、施錠装置70は、外枠2に設けられた閉止具71に係脱自在に係合して本体枠3を閉じ状態に施錠する上下複数の本体枠施錠フック72と、前面枠4の自由端側の後側に設けられた閉止具73に係脱自在に係合して前面枠4を閉じ状態に施錠する上下複数の扉施錠フック74と、パチンコ機1の前方から鍵が挿入されて解錠操作可能に、前枠体11および下部前面板30を貫通して露出されたシリンダー錠75と、を備えている。そして、シリンダー錠75の鍵穴に鍵が挿入されて一方向に回動操作されることで本体枠施錠フック72と外枠2の閉止具71との係合が外れて本体枠3が解錠され、これとは逆方向に回動操作されることで、扉施錠フック74と前面枠4の閉止具73との係合が外れて前面枠4が解錠されるようになっている。
[遊技盤装着枠および遊技盤の構成]
図1、図3、図4および図5を参照しつつ説明する。図3は、遊技領域37の構成を示す拡大正面図であり、図5は、パチンコ機1の後側全体を示す背面図である。
図1および図4に示すように、本体枠3の遊技盤装着枠12は、前枠体11の後側に設けられかつ遊技盤5が前方から着脱交換可能に装着されるようになっている。
遊技盤5は、遊技盤装着枠12の前方から嵌込まれる大きさの略四角板状に形成されている(図11参照)。遊技盤5の盤面(前面)には、外レール76と内レール77とを備えた案内レール78が設けられ、その案内レール78の内側に遊技領域37が区画形成されている。
なお、発射レール19と案内レール78との間には、所定の隙間が設けられており、発射された遊技球が案内レール78を逆戻りした場合には、その遊技球は、その隙間から排出され、下皿31に案内されるように構成されている。
また、遊技盤5の前面には、その案内レール78の外側領域において、合成樹脂製の前構成部材79が装着されている。
図3に示すように、遊技領域37内には多数の障害釘(参照符号なし)が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、その途中の適宜位置に風車90が設けられている。遊技領域37のほぼ中央位置には、センター役物91のデザインによってパチンコ機1の機種やゲームコンセプト等が特徴付けられている。
センター役物91は全体として額縁状の装飾体から構成されており、その上縁部にはキャラクタの頭部をデザインした、キャラクタ体92が一体的に取り付けられている。なお、このキャラクタ体92は、旋回可能な可動役物として機能している。
また、センター役物91の上縁部または左右側縁部には、図示しないワープ入口とともにワープ通路が形成されており、遊技盤面に沿って流下する遊技球がワープ入口に入り込むと、ワープ通路を通じてセンター役物91の内側に取り込まれるようになっている。
センター役物91の内側には、その下縁部に球受け棚94(ステージとも称する)が形成されており、この球受け棚94は前後方向に一定の奥行きを有している。ワープ通路を通って取り込まれた遊技球はセンター役物91の内側へ放出され、球受け棚94に誘導される。球受け棚94はその上面にて遊技球を転動させ、その動きにいろいろな変化を与えて遊技に面白みを付加する。
また、センター役物91の下縁部には、その中央位置に球誘導路95が形成されており、この球誘導路95への入口(図示せず)は球受け棚94の上面に形成されている。球受け棚94から球誘導路95の入口に落下した遊技球は、そのまま球誘導路95を通って下方に案内される。
一方、球誘導路95の出口は正面に向けて開口しており、この出口から放出された遊技球は、ほぼ真下に向かって落下する。遊技領域37には、球誘導路95の直ぐ下方位置に入球装置96が配置されており、この入球装置96に遊技球が入球すると始動入賞となる。従って、球誘導路95から放出された遊技球は、相当高い確率で始動入賞することができるものとなっている。入球装置96は左右一対の可動片97を有しており、これら可動片97を左右に拡開させて入球確率を高くすることが可能となっている。
また、遊技領域37には、上記の入球装置96のさらに下方位置にアタッカ装置98が配設されており、このアタッカ装置98は開閉部材99を前後方向に開閉動作させることにより大入賞口を開閉させる。
また、センター役物91の下縁部には、特別図柄表示器(詳細は後述する)として機能する四つのLED110と、抽選の保留状態を示す四つのLED(保留球ランプ)111とが設けられている。四つの保留球ランプ111は、「大当たり」の抽選において、保留回数分(最大4回)だけ点灯するようになっている。また、これらの下方には、始動ゲート口113への遊技球の通過による抽選結果を表示する普通図柄表示器112aおよび抽選結果を表示する状態表示器112b等が設けられている。
その他、遊技領域37には始動ゲート口113や一般入賞口114等が配設されている。また、センター役物91の内側には演出表示装置115が配設されており、この演出表示装置115では、例えば動画や映像等の画像或いは可動部材の動作等による演出表示が行われる。この演出表示装置115をみた場合における可視画像については後述する。
演出表示装置115の表示面はセンター役物91(図3参照)の後側においてその開口窓38(図2参照)に臨んで装着されており、センター役物91(図3参照)の後部および演出表示装置115の表示装置制御基板116(図10参照)を有する表示装置制御基板ボックス117は遊技盤5の後側に突出して配設されている。
一方、図5に示すように、遊技盤5の後側下部には、その中央部から下部にわたる部分において、各種入賞装置に流入した遊技球を受けかつその遊技球を所定位置まで導く集合樋としての機能とボックス装着部としての機能を兼ね備えたボックス装着台118が設けられている。
ボックス装着台118には、音声制御基板、ランプ制御基板等の副制御基板119が収納された副制御基板ボックス130が装着され、その副制御基板ボックス130の後側に重ね合わされた状態で、主制御基板131が収納された主制御基板ボックス132が装着されている。
さらに、遊技盤5の後側に対しボックス装着台118、副制御基板ボックス130および主制御基板ボックス132がそれぞれ装着された状態において、本体枠3の遊技盤装着枠12の前方から遊技盤5を嵌込んで装着できるように、遊技盤5の外郭より外側にはみ出すことなくボックス装着台118、副制御基板ボックス130および主制御基板ボックス132が配置されている。
[演出表示装置をみた場合における可視画像について]
図12および図13を参照しつつ説明する。ここで、図12は、演出表示装置115の平面図であって、演出表示装置115の表示面を、この表示面に対して、紙面左側(以下、「第1視野角」と称する。)からおよび紙面右側(以下、「第2視野角」と称する。)から見ている概念図である。図13は、演出表示装置115の平面図であって、正面から演出表示装置115の表示面をみた場合に視認できる画像を説明するための概念図である。
この実施形態で用いられている演出表示装置115は、後方からの光を左右に分離させることによって、互いに異なる画像を、視野角が異なる2方向にそれぞれ表示可能としたものである。従来の三次元液晶では、視差バリアを利用して、左右の目に対して約6度の角度で画像を分離していたが、この演出表示装置115では、分離角度を40度以上に広げ、さらにピクセルの配置位置の最適化などにより2方向への表示を実現したものである。この2方向に表示される画像を互いに異なる画像とすれば、演出表示装置115をみる角度を変えることによって異なる画像を視認できる。
なお、この演出表示装置115は、一つの表示面で互いに異なる2画像を同時に表示することができるが、この2画像を実質的に同じ画像とすることによって、従来の液晶表示器のような表示を行うこともできる。
図12において、第1視野角から演出表示装置115の表示面をみた場合に視認できる画像(第1視野角からの可視画像)をA画像、第2視野角から演出表示装置115の表示面をみた場合に視認できる画像(第2視野角からの可視画像)をB画像とする。なお、正面から演出表示装置115の表示面をみた場合には、A画像およびB画像の両方を視認できる。即ち、A画像を視認できる視野角が第1視野角、B画像を視認できる視野角が第2視野角である。
次に、正面から演出表示装置115の表示面をみているとき、遊技者からはどのような画像を視認できるかについて、図13を参照しつつ説明する。
一般人の左右の眼の視点間距離Hの平均値は60〜65mm程度であるので、この実施形態における演出表示装置115は、水平方向(即ち、遊技者からみて横方向)の幅が65mmよりも大きいものが用いられている。
この演出表示装置115は、第1表示領域115a、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cを含んでいる。
第1表示領域115aは、左目よりも紙面右側であって且つ右目よりも紙面左側に位置している。第2表示領域115bは、左目よりも紙面左側に位置している。第3表示領域115cは、右目よりも紙面右側に位置している。即ち、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cが、第1表示領域115aを挟んで水平方向の端部に位置している。また、演出表示装置115は、第1表示領域115aが遊技盤5の略中央部に位置するように遊技盤5に配置されている。なお、これらの各領域115a,115b,115cは、遊技者の視点間距離Hによって変わる概念上のものである。
ただし、A画像とB画像とが互いに異なる画像を表示可能な領域を第2表示領域115bおよび第3表示領域115c、A画像とB画像とが実質的に同じ画像を表示可能な領域を第1表示領域115aとしてもよい。
なお、第1表示領域115a、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cは、水平方向に実施的に平行な方向に隣接している。また、これらの各領域115a,115b,115cに表示される画像は連続的に表示される。即ち、第1表示領域115aと第2表示領域115bとの境界部および第1表示領域115aと第3表示領域115cとの境界部が、遊技者によって認識できない。従って、この演出表示装置115をみるとき、遊技者は、従来の演出表示装置と同様の感覚で、演出表示装置115の表示面に表示される画像を視認することができる。
先ず、左目で視認できる画像について説明する。図13(a)に示されるように、第2表示領域115bにおいてはB画像のみを、第1表示領域115aおよび第3表示領域115cにおいてはA画像のみを、それぞれ視認できる。換言すれば、第2表示領域115bにおいてはA画像を視認することができず、第1表示領域115aおよび第3表示領域115cにおいてはB画像を視認することができない。ただし、第1表示領域115aと第2表示領域115bとの境界部(即ち、演出表示装置115の表示面と左目の視線とが直交する部位)においては、A画像およびB画像を視認することができる。
次に、右目で視認できる画像について説明する。図13(b)に示されるように、第1表示領域115aおよび第2表示領域115bにおいてはB画像のみを、第3表示領域115cにおいてはA画像のみを、それぞれ視認できる。換言すれば、第1表示領域115aおよび第2表示領域115bにおいてはA画像を視認できず、第3表示領域115cにおいてはB画像を視認できない。ただし、第1表示領域115aと第3表示領域115cとの境界部(即ち、演出表示装置115の表示面と右目の視線とが直交する部位)においては、A画像およびB画像を視認することができる。
従って、遊技者が正面から演出表示装置115の表示面をみたとき、遊技者の両目で視認できる画像は、第1表示領域115aにおいてはA画像およびB画像、第2表示領域115bにおいてはB画像のみ、第3表示領域115cにおいてはA画像のみとなる。
一方、図12に示すように、遊技者が、第1視野角から演出表示装置115の表示面をみたときはA画像のみを視認でき、第2視野角から演出表示装置115の表示面をみたときはB画像のみを視認できる。
なお、遊技者は、通常、正面から演出表示装置115の表示面をみて遊技を行っている。従って、通常時、遊技者からは、第2表示領域115bにおけるA画像および第3表示領域115cにおけるB画像を視認することができないので、この視認できない画像を用いて演出を行えば、所謂「隠れ演出」を行うことができる。
[本体枠の機構装着体、球タンクおよびタンクレールの構成]
図8および図9を参照しつつ説明する。図8は、パチンコ機1の本体枠3に各種部材が組み付けられた状態を斜め右上後方から示す斜視図であり、図9は、本体枠3単体を斜め右上後方から示す斜視図である。
本体枠3の機構装着体13には、タンク装着部133、レール装着部134および払出装置装着部135等がそれぞれ形成され、タンク装着部133には球タンク136が装着されている。
球タンク136は、透明な合成樹脂材よりなり、島設備から供給される多数の遊技球が貯留可能な上方に開口する箱形状に形成されている。そして、球タンク136の遊技球の貯留状態が球タンク136の後側壁を透して視認可能となっている。
また、球タンク136の底板部137の後側隅部には遊技球を放出する放出口138が形成されるとともに、底板部137は放出口138に向けて下傾する傾斜面に形成されている。
本体枠3の機構装着体13には、そのタンク装着部133に下方に接近してレール装着部134が一体に形成され、そのレール装着部134にレール構成部材139が装着されることでタンクレール150が構成されるようになっている。即ち、この実施形態において、レール装着部134は、本体枠3の上部横方向部分が所定深さ凹まされた状態で形成されており、その凹部の奥側壁をタンクレール150の前壁部151とし、その凹部の下縁部に沿って一端(図9に向かって左側)から他端(図9に向かって右端)に向けて下傾する傾斜状のレール棚155が形成されている。そして、レール棚155の横方向に伸びる上向き面をレール受け部158としている。
レール装着部134に装着されてタンクレール150を構成するレール構成部材139は、レール装着部134の前壁部151との間にレール通路を構成する後壁部152と、傾斜状をなす下板部と、その下板部の上面の前後方向中央部に沿って突設されレール通路を前後複数列(この実施形態では前後2列)に区画する仕切り壁(いずれも図示せず)とを一体に備えて形成されている。
レール構成部材139は、レール装着部134に対し適宜の取付手段によって装着され、これによって、前後複数列のレール通路を備えたタンクレール150が構成されている。そして、球タンク136の放出口138から放出(自重によって落下)された遊技球がタンクレール150の前後複数列のレール通路の一端部においてそれぞれ受けられた後、遊技球が自重によってレール通路に沿って転動することでレール通路の他端部に向けて流れるようになっている。
また、この実施形態において、レール構成部材139は、透明な合成樹脂材より形成され、これによって、レール通路内の遊技球の流れ状態が、レール構成部材139の後壁部152を透して視認可能となっている。
タンクレール150(レール装着部134)の前壁部151は、遊技盤5の後側に突出する装備品(例えばセンター役物91)における後部の上端部との干渉を避けるため第1空間部を隔てた状態で設けられている。
また、この実施形態において、本体枠3の後端部となるレール棚155の後端と、タンクレール150の後壁部は、球タンク136の後側壁と略同一面をなしている。換言すれば、球タンク136の後壁部に対しタンクレール150の後壁部が略同一面となる位置までタンクレール150が遊技盤5の後面より後方に離隔して配置されている。これによって、遊技盤5の後側とタンクレール150の前壁部151との間にセンター役物91の後部との干渉を避けるための第1空間部が設けられるようになっている。
タンクレール150の上方には、レール通路を流れる遊技球を上下に重なることなく整列させる整流体156がその上部において軸157を中心として揺動可能に装着されている。この整流体156には、その中央部から下部において錘が設けられている。
[払出装置装着部および球払出装置の構成]
図8および図9を参照しつつ説明する。本体枠3の機構装着体13の片側寄りの上下方向には、次に述べる球払出装置(球払出ユニット)170に対応する縦長の払出装置装着部135が形成されている。払出装置装着部135は、後方に開口部をもつ凹状に形成されている。
また、払出装置装着部135の段差状をなす奥壁部(図示しない)の所定位置には、球払出装置170の払出用モータ172(図4参照)が突出可能な開口部173が形成されている。
払出装置装着部135の凹部に球払出装置170が装着された状態において、遊技盤5との間には、第1空間部と前後方向に略同一レベルとなる第2空間部が設けられている。これによって、レール通路と球通路とが前後方向に略同一レベルで配置されている。
また、本体枠3の後端、即ち、払出装置装着部135の周壁部後端、レール棚155の後端、球タンク136、タンクレール150および球払出装置170のそれぞれの後面は略同一面をなしている。
球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部と略同じ大きさの縦長のボックス形状をなし、払い出しに関す各種部品が装着されることでユニット化されている。
なお、球払出装置170は、払出装置装着部135の凹部の後方開口部から嵌め込まれて適宜の取付手段(例えば、弾性クリップ、係止爪、ビス等の取付手段)によって装着されるようになっている。
また、図示しないが、球払出装置170は、タンクレール150におけるレール通路の出口にそれぞれ連通する流入口を有する球通路が前後複数列(例えば前後2列)に区画されて形成されている。また、その内部に形成された前後複数列の球通路の下流部が二股状に分岐されて前後複数列の賞球および貸球用球通路と球抜き用球通路とがそれぞれ形成されている。そして賞球および貸球用球通路と球抜き用球通路との分岐部には、遊技球をいずれかの通路に振り分けて払い出すための回転体よりなる払出部材(図示しない)が正逆回転可能に配設されている。
[本体枠の後側下部の装備について]
図4および図5を参照しつつ説明する。本体枠3の前枠体11の後側において、遊技盤装着枠12よりも下方に位置する前枠体11の後下部領域の片側(図5に向かって左側)には、発射レール19の下傾端部の発射位置に送られた遊技球を発射するための発射ハンマー(図示しない)、その発射ハンマーを差動する発射モータ192等が取付基板193に組み付けられてユニット化された発射装置ユニット194が装着されている。
前枠体11の後下部領域の略中央部には、電源基板195を収容する電源基板ボックス196が装着され、その電源基板ボックス196の後側に重ね合わされた状態で払出制御基板197を収容する払出制御基板ボックス198が装着されている。
払出制御基板197は、遊技球を払い出す数を記憶するRAMを備え、主制御基板131から送信される払出用信号に従って遊技球を払い出す制御信号を中継用回路基板(図示しない)に伝達して払出用モータ172を作動制御するようになっている。
[後カバー体の構成]
図5および図6を参照しつつ説明する。図6はパチンコ機1の後側全体を右上後方から示す斜視図である。
遊技盤5後面に配置された表示装置制御基板ボックス117(図11参照)および主制御基板ボックス132の後端部は機構装着体13の中央部に開口された窓開口部に向けて突出している。
機構装着体13の窓開口部の一側壁を構成する側壁部と他端壁を構成する払出装置装着部135の片側壁との間には、不透明な合成樹脂材によって略方形の箱形状に形成された後カバー体210がカバーヒンジ機構211によって開閉並びに着脱可能に装着されている。
後カバー体210は、略四角形状の後壁部212と、その後壁部212の外周縁から前方に向けて突出された周壁部213とから一体に構成されている。後カバー体210の周壁部213のうち、一側の壁部213aには、機構装着体13の後壁部の上下および中間の計3箇所に形成されたヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ着脱可能に嵌め込まれるヒンジピン215を下向きに有するヒンジ体216が一体に形成されている。
また、後カバー体210の周壁部213のうち、他側の壁部213bには、払出装置装着部135の片側壁に形成された係止孔に弾性的に係合可能な係止爪を有する弾性閉止体217が一体に形成されている。
即ち、後カバー体210は、その上下および中間のヒンジ体216の各ヒンジピン215が機構装着体13の側壁部のヒンジ体214のヒンジ孔の上方からそれぞれ嵌め込まれる。この状態で、ヒンジピン215を中心として後カバー体210が機構装着体13の他側に向けて回動されながら、その弾性閉止体217を払出装置装着部135の片側壁の係止孔に差し込んで弾性的に係合させることで、機構装着体13の後側に後カバー体210が閉じ状態で保持される。そして、後カバー体210によって、遊技盤5後面の表示装置制御基板ボックス117(図11参照)全体および主制御基板ボックス132の略中間部から上端にわたる部分が後カバー体210によって覆われるようになっている。これによって主制御基板ボックス132の上部に露出された主制御基板131の基板コネクタ(主として表示装置制御基板116と接続するための基板コネクタ)が後方から視認不能に隠蔽されている。
また、主制御基板ボックス132の略中間部から下端にわたる部分は後カバー体210によって覆われることなく露出されている。そして、主制御基板ボックス132の下部には、その主制御基板131上に配置された検査用コネクタ218が露出されており、後カバー体210が閉じられた状態で主制御基板131上の検査用コネクタ218に基板検査装置(図示しない)を接続して検査可能となっている。
後カバー体210には、多数の放熱孔230,231,232,233が貫設されており、これら多数の放熱孔230,231,232,233から内部の熱が放出されるようになっている。この実施形態において、後カバー体210には、その周壁部213から後壁部212に延びる多数のスリット状の放熱孔230が貫設され、後壁部212の略中間高さ位置から上部においては多数の長円形、楕円形等の放熱孔231が貫設され後壁部212の下部には多数の長円形、楕円形等の放熱孔232と所定数の横長四角形状の放熱孔233が貫設されている。
また、横長四角形状の放熱孔233は、主制御基板ボックス132の封印ねじ(封印部材)によって封印される複数の並列状の封印部235の列の大きさおよび配設位置に対応する大きさおよび位置に貫設されている。これによって、不透明な後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の複数の並列状の封印部235が放熱孔233の部分において視認可能に露出される。このため、後カバー体210が閉じられた状態であっても、主制御基板ボックス132の封印部235の封印状態を容易に視認することができる。また、不透明な合成樹脂材は、透明な合成樹脂材と比べ、リサイクル使用される合成樹脂材を材料として用いることが容易であるため、後カバー体210を安価に製作することができる。
後カバー体210の周壁部213のうち、上側壁部213cの所定位置(この実施形態では左右2箇所)には、電源コード(図示しない)を適宜に折り畳んだ状態で保持する略C字状でかつ弾性変形可能なコード保持体237が上方のタンクレール150の後壁面(レール構成部材139の後壁面)に向けて延出されている。このコード保持体237の先端部には、同コード保持体237を弾性変形させて電源コードを取り外すためのつまみが形成されている。
電源コードは、その一端が分電基板238の基板コネクタ239に取り外し可能に接続され、他端の電源プラグが電源コンセントに差し込まれる。前記したように、後カバー体210にコード保持体237を一体に形成して電源コードを保持することで、パチンコ機を運搬・保管する際に電源コードがぶらついて邪魔になったり、異物に引っ掛かる不具合を防止することができる。
[本体枠の後側下部の下皿用球誘導体等の構成]
図2および図7を参照しつつ説明する。図7は、図6に示すパチンコ機1の斜視図から後カバー体210および各種制御基板等を取り外した状態を示す斜視図である。
本体枠3の後下部領域の他側寄り部分(ヒンジ寄り部分)には、そのスピーカボックス部16の後段差部の凹み部分において下皿用球誘導体253が装着されている。この下皿用球誘導体253は、球払出装置170の賞球および貸球用球通路から上皿連絡路(図示しない)を経て上皿51に払い出された遊技球が満杯になったときに、上皿連絡路の遊技球を下皿31に導くためのものである。
なお、この実施形態において、下皿用球誘導体253の後壁外面には、インターフェース基板252を収納している基板ボックス254が装着されている。なお、インターフェース基板252は、パチンコ機1に隣接して設置される貸球機と払出制御基板197との間に介在され、球貸に関する信号を球貸機と払出制御基板197との間で送受信可能に電気的に接続するようになっている。
[特別図柄表示器の構成]
図3を参照しつつ説明する。本実施形態では、センター役物91の下縁部のうち、左側に四つのLED110が配列されており、これらLED110の配列が特別図柄表示器として機能している。また、その右側にある四つのLED111の配列は、保留球ランプとなっている。
本実施形態において、特別図柄表示器の機能はLED110の点灯・消灯によって実現することができる。例えば、始動入賞を契機として四つのLED110をいろいろなパターンで点滅させることにより、特別図柄の変動状態を表示する。そして、一定の変動時間が終了すると、4つのLED110の点灯・消灯表示パターンによって特別図柄の確定した停止図柄を表示する。これにより、抽選が行われると、その結果情報がLED110の点灯・消灯によって報知される。なおLED110の点灯・消灯による特別図柄の変動表示および停止表示の制御は、主制御基板131により行われる。
具体的には、個々のLED110は1色(例えば赤色)の発光タイプであり、各LED110は「消灯」および「点灯」の2通りに表示パターンを切り替えることができる。従って、四つのLED110を配列した場合の点灯・消灯表示パターンは、全部で16通り
(24 =16)のものを用意することができる。
なお、ここでは説明の便宜のために1色だけとしているが、LED110の点灯色は2色以上であってもよい。また、LED110の配置は1箇所にまとまっている必要はなく、ばらばらに配置されていてもよいし、特に盤面上に配置されている必要もない。あるいは特別図柄を五つ以上のLEDによって表示してもよいし、7セグメントLEDを用いて表示してもよい。
一方で、本実施形態のパチンコ機1では、遊技者に利益が付与される態様として2つの大当たり態様が用意されており、これらは「通常(非確変)大当たり」および「確変大当たり」に区別される。
「通常(非確変)大当たり」は、例えば最大30秒間にわたってアタッカ装置98を一定パターンで開閉させるラウンド動作を15ラウンドまで繰り返すものであり、このようなラウンド動作の繰り返しは「大当たり遊技」と称されている。
遊技者は、大当たり遊技の間に遊技球を大入賞口に入賞させることで、多くの賞球を獲得することができる。なお、各ラウンド動作は30秒間が経過するか、10個の入賞球がカウントされるかのいずれかの条件を満たすと終了する。また大当たり遊技は、ラウンド動作が15回終わると終了となる。
「確変大当たり」は、「通常(非確変)大当たり」と同様の大当たり遊技を可能とするものであるが、大当たり遊技の終了後、次回大当たりの抽選確率を通常時よりも高く設定
(例えば、通常の大当たり確率が320分の1のところ、5倍の64分の1に変更)する特典が付加される。このため遊技者が確変大当たりを引き当てると、次の大当たり確率が高くなって大当たりを連続的に引き当てる(いわゆる連荘)ことが可能となる。
なお、上記「通常(非確変)大当たり」および「確変大当たり」でいう具体的な数値は、本発明の実施において最良のものである。その上で、これら数値については各種の変更が可能であり、最良の数値によって限定されることはない。
また、上記の「確変大当たり」によって確率変動状態(高確率状態)になると、毎回の始動入賞を契機として確率変動状態の維持抽選(転落抽選)が行われるものとしてもよい。維持抽選は一定確率で行われ、この維持抽選で落選すると、内部的に高確率状態から低確率状態(通常確率)へ引き戻される処理が行われる。
[主基板および周辺基板の機能的構成]
図14を参照しつつ説明する。図14は制御構成を概略的に示すブロック図である。パチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板310のグループと周辺基板311のグループとで分担されており、このうち主基板310のグループが遊技動作(入賞検出や当たり判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板311のグループが演出動作
(発光装飾や音響出力、液晶表示等)を制御している。
主基板310は、主制御基板131と払出制御基板197とから構成されている。主制御基板131は、中央演算装置としてのCPU314、読み出し専用メモリとしてのROM315、読み書き可能メモリとしてのRAM316を備えている。
CPU314は、ROM315に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板311や払出制御基板197に出力するコマンド信号を作成したりする。
RAM316には、主制御基板131で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。
主制御基板131には、ゲートセンサ317、始動口センサ318、カウントセンサ319、V入賞センサ330等からの検出信号が入力される。一方、主制御基板131は、ソレノイド331、特別図柄表示器332、普通図柄表示器112a等への駆動信号を出力する。
また、払出制御基板197は、中央演算装置としてのCPU333、読み出し専用メモリとしてのROM334、読み書き可能メモリとしてのRAM335を備えている。
そして、払出制御基板197は、主制御基板131から入力したコマンド信号を処理し、球払出装置170に駆動信号を出力する。これにより、球払出装置170は、駆動信号に従って遊技球を払い出す。
主制御基板131と払出制御基板197との間では、それぞれの入出力インターフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板131が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板197から主制御基板131にACK信号が返される。
一方、周辺基板311には、サブ統合基板336の他に例えば複数の電飾制御基板337,338や波形制御基板339とが含まれる。上記の主制御基板131とサブ統合基板336との間では、それぞれの入出力インターフェースと入力インターフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板131からサブ統合基板336へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。
サブ統合基板336もまた、CPU350をはじめROM351やRAM352等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することができる。
サブ統合基板336とその他の電飾制御基板337,338や波形制御基板339との間では、それぞれの入出力インターフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一つ目の電飾制御基板337には主に保留球ランプ111と、サイド装飾装置52等を含む装飾ランプ353とが接続されており、サブ統合基板336から電飾制御基板337に対して保留球ランプ111や装飾ランプ353の点灯信号が送信されると、これを受けて電飾制御基板337が各ランプ111,353を点灯させる処理を行う。
二つ目の電飾制御基板338には演出表示装置115と共に演出ランプ354が接続されている。例えばサブ統合基板336から演出表示装置115に対する表示コマンドが電飾制御基板338に送信されると、これを受けて電飾制御基板338は実際に演出表示装置115を作動させる処理を行う。
また、図示していないが、これ以外にも、例えばキャラクタ体62等の可動体を駆動させるためのモータまたはソレノイド等の駆動部材が電飾制御基板337,338等に接続されている。
波形制御基板339は、音響出力としての可聴音波のほか、不可聴である超音波等の波形信号を生成・送受信する処理を実行している。例えば、サブ統合基板336から音響出力コマンドが波形制御基板339に送信されると、これを受けて波形制御基板339は上記のスピーカ18,57を駆動する処理を行う。
この他にも、波形制御基板339には超音波送受信装置356が接続されており、この超音波送受信装置356は、複数の台間で超音波による通信を可能とする。通常、ホールの島設備には複数台のパチンコ機1が並べて設置されるが、超音波送受信装置356を装備しているパチンコ機1同士の間では、相互に超音波通信が可能となる。この通信機能を用いて、複数のパチンコ機1で演出動作をシンクロナイズさせたり、特定の台間で遊技情報の交換を行ったりすることができる。
なお、電飾制御基板337,338、および波形制御基板339にも、それぞれ中央演算装置としてのCPU357,358,359、読み出し専用メモリとしてのROM370,371,372、および読み書き可能メモリとしてのRAM373,374,375を備えている。
次に、主制御基板131(特にCPU314)で実行される制御処理の例について説明する。
[始動入賞処理について]
図15を参照しつつ説明する。図15は始動入賞処理のルーチンを示している。この始動入賞処理では、遊技中に始動入賞が有るか否かが判断される(ステップS101)。具体的には、上記の入球装置96(図3参照)に対応する始動口センサ318(図14参照)から検出信号が入力されると始動入賞有りと判断される。一方、検出信号の入力がなければ、始動入賞は無いものと判断ささる。
始動入賞が有りと判断された場合(ステップS101においてYES)、次に、始動保留数が最大の4より少ないか否かが判断される(ステップS102)。このとき既に始動保留数が4に達していれば(NO)、そのまま始動入賞処理のルーチンがリターンされる。一方、始動保留数が4より少なければ(YES)、次に保留格納処理が行われる(ステップS103)。この保留格納処理では、例えばRAM316(図14参照)内に確保されている保留数カウンタに「1」が加算され、併せて保留球ランプ(LED)111(図3参照)の点灯個数が一つ増加される。
また、保留格納処理では、合わせて乱数値の取得が行われる。このとき取得される乱数値には、例えば大当たり判別用乱数、大当たり図柄用乱数、可変変動用乱数(可変変動カウンタ)および演出表示パターン乱数等が含まれている。このうち大当たり判定用乱数は、大当たりであるか否かを決定するための乱数である。次の大当たり図柄用乱数は、大当たり判定用乱数によって大当たりと判別された場合に使用されるものであり、具体的には、特別図柄表示器332(図14参照)によって停止表示される表示パターン(四つのLED110(図3参照)における点灯状態の組み合わせパターン)を特定するための乱数である。そして可変変動用乱数(可変変動カウンタ)は、特別図柄表示器332(図14参照)による図柄の変動時間を可変させるための乱数である。また、演出表示パターン乱数は、演出表示装置115(図3参照)に表示される演出表示の変動表示パターンを特定するための乱数である。以上の各乱数値が取得され、これらが例えばRAM316(図14参照)に格納されると、保留格納処理を終えて本ルーチンがリターンされる。
[遊技作動処理について]
図16を参照しつつ説明する。図16は始動入賞に伴う遊技作動処理のルーチンを示している。この遊技作動処理では、最初に始動保留が有るか否かが判断される(ステップS201)。具体的には、保留数カウンタの数値が0でない場合、始動保留があると判断され(YES)、次に特別図柄表示器332における特別図柄(点灯状態)が未変動状態か否かが判断される(ステップS202)。このとき特別図柄表示器332にて未だ変動表示が開始されていなければ(YES)、次に保留シフト処理が実行される(ステップS203)。
保留シフト処理では、保留数カウンタの値が「1」だけ減算されると共に、RAM316(図14参照)の保留格納領域に記憶されている各乱数値の内容をシフトする処理が行われる。そして、これに続いて特図変動設定処理が実行され(ステップS204)、ここでは特別図柄の変動時間の設定や、変動停止時の表示パターンが設定される。なお、特図変動設定処理の内容については、さらに別のフローチャート(図17,図18)を用いて詳しく後述する。
特図変動設定処理(ステップS204)が終了すると、次に情報出力処理(ステップS205)が実行され、ここでは主制御基板131(図14参照)からサブ統合基板336
(図14参照)に対して制御情報コマンドの生成・送信が行われる。サブ統合基板336
(図14参照)は、受信した制御情報コマンドに基づいて主制御基板131(図14参照)の制御情報(始動入賞・保留の有無、特別図柄の変動・停止表示態様、当たり判定結果、確率変動の有無、および演出画像の変動パターン等)を解釈し、所定の演出動作を制御する。
図16の遊技作動処理では、最後に当たり判定処理(ステップS206)が実行される。なお、遊技作動処理の開始時に保留数カウンタの値が0であったり(ステップS201においてNO)、保留数カウンタの値が0でなくとも特別図柄表示器332(図14参照)が変動中であったり(ステップS202においてNO)した場合は、いずれも保留シフト処理(ステップS203)、および特図変動設定処理(ステップS204)を迂回して情報出力処理(ステップS205)および当たり判定処理(ステップS206)が実行される。
当たり判定処理(ステップS206)では、特別図柄の変動開始時にセットされた当たりフラグを参照し、当たりフラグがセットされていればさらに別の処理(図19)を実行する。
[特図変動設定処理(ステップS204)の詳細について]
図17および図18を参照しつつ説明する。図17は、上記の特図変動設定処理に含まれる特図変動設定処理Aの内容を示し、図18は特図変動設定処理Bの内容を示している。
この特図変動設定処理Aでは主に、抽選結果によって特別図柄表示器332(図14参照)による変動時間の設定や停止時の表示パターンの選択が行われる。具体的には、既に取得されている大当たり判定用乱数に基づいて抽選の結果が判断され(ステップS301)、当選(大当たり)であった場合(YES)は、大当たり時変動設定処理(ステップS302)が実行される。なお、ここでいう「当選」は、上記通常大当たり、または確変大当たりのいずれかに該当していることを意味する。
これに対し、抽選の結果が外れ、つまり、通常大当たりおよび確変大当たりのいずれの当たりにも該当していないと判断された場合(NO)、既に取得されている可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値が所定値(例えば1024)と比較される(ステップS303)。可変変動用乱数は例えば0〜65535の範囲内で取得されており、この乱数値が1024未満であれば(YES)、可変変動設定処理(ステップS304)が実行される。逆に、可変変動用乱数の値が1024以上であれば(NO)、ステップS305またはステップS306の各判断を経て変動タイマがセットされる。
変動タイマは、特別図柄表示器332(図14参照)による変動時間を設定するためのタイマであり、具体的には、現在の始動保留数が「0」〜「2」であれば(ステップS305においてYES)、所定の変動タイマが比較的長めの10秒にセットされる(ステップS307)。同様に、始動保留数が「3」であれば(ステップS306においてYES)、変動タイマが比較的中程度の8秒にセットされ(ステップS308)、そして始動保留数が「4」であれば(ステップS306においてNO)、変動タイマが比較的短めの6秒にセットされる(ステップS309)(いわゆる保留時間)。
いずれにしても、変動タイマがセットされると、続いて特別図柄の停止パターンが選択される(ステップS310〜S312)。停止パターンは、四つのLED110における点灯状態の組み合わせを、いずれの当たり態様にも該当しないパターンの中から適宜選択する。
以上の特図変動設定処理Aをまとめると、抽選結果がいずれかの大当たりに該当している場合は、別の大当たり時変動設定処理(ステップS302)が実行された後に特別図柄の変動表示が開始される(ステップS313)。一方、抽選結果がいずれの大当たりにも該当しない(外れ)場合は、取得済みの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値によって64分の1の振り分け率で別の可変変動設定処理(ステップS304)が実行されるが、それ以外(64分の63)の場合は始動保留数に応じて変動タイマの時間が3段階に設定された後に特別図柄の変動表示(ステップS313)が開始されることになる。
ここで、ステップS304の可変変動設定処理は「外れリーチ変動」の考え方に基づくものである。即ち、基本的に抽選で外れた場合は特別図柄の変動時間が始動保留数に応じて次第に短縮されるが(ステップS307〜S309)、外れの場合であっても、ときには始動保留数に関係なく変動時間を長短に変更したり、特別図柄の停止パターンを変更したりすることで、あからさまに外れ変動であることを遊技者に気付かせにくくするものである。なお、この「外れ」を通常の「外れ」と区別するため、「特殊外れ」と称している。この可変変動設定処理では、例えば以下の表1で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられている。
一方、ステップS302の大当たり時変動設定処理は、0〜65535までの可変変動用乱数(可変変動カウンタ)の値を用いて、例えば以下の表2で表されるテーブルによって変動時間が6通りに振り分けられる。なお、表1および表2の比較から明らかなように、大当たり時における変動時間は、特殊外れ時における変動時間よりも長くなるように設定されている。換言すれば、変動時間が長いほど、大当たりとなる期待値が高くなっている。この大当たり時変動設定処理が実行されると、内部的な当たりフラグに「1」がセットされて、本ルーチンがリターンされる。
図18は上記の特図変動設定処理(図16中のステップS204)に含まれる特図変動実行処理Bの内容を示している。先の特図変動設定処理Aによって特別図柄の変動が開始されると、ここでは変動期間中であるか否かが判断される(ステップS401)。具体的には、変動期間中であるか否かは上記の変動タイマを参照することで判断可能であり、変動タイマが作動していると、それによって変動期間中である(YES)と判断され、逆に変動タイマが停止していれば、変動期間中でない(NO)と判断される。
ステップS401で特別図柄の変動期間中であると判断されると、次に変動表示制御処理(ステップS402)が実行される。ここでは、特別図柄表示器332(図14参照)を構成する四つのLED110(図3参照)について、例えば0〜15のカウンタ値を取得しながらこれらを8ビットの値に割り当て、この値を用いて合計四つのスイッチ(LED4個分)のON/OFFを40ms毎に切り替える処理が行われる。これにより、四つのLED110(図3参照)が点滅しながら特別図柄表示器332(図14参照)による高速変動が実現される。なお、ここではカウンタ値を参照してLED110(図3参照)の点灯・消灯を制御しているが、例えば所定の変動パターンテーブルを用いてLED110(図3参照)の点灯・消灯パターンを切り替えることもできる。
この後、変動タイマがカウントアップして変動期間が終了すると、特別図柄の変動期間中ではない(NO)と判断されて、次に停止パターン表示制御(ステップS403)が実行される。この停止パターン表示制御では、先の特図変動設定処理A(図17参照)等で既に選択されている停止パターンの点灯・消灯表示パターンデータが特別図柄表示器332(図14参照)に送信される。なお、パターンデータの送信は毎回の割り込み周期(例えば4ms)で行う必要はなく、適宜サンプリングすることでLED110(図3参照)の発光輝度を調整することが好ましい。
[大当たり処理について]
図19を参照しつつ説明する。図19は大当たり処理の内容を示している。内部的に条件装置が作動して大当たり処理が実行されると、先ず所定のラウンドカウンタが初期化される(ステップS501)。このラウンドカウンタは例えばRAM316(図14参照)内に確保されており、この初期化に伴ってラウンドカウンタの値はリセットされる。なお、ラウンドカウンタは大当たり遊技中のラウンド数をカウントするためのものであり、その値が設定最大回数に達すると大当たり処理が終了となる。
上記のラウンドカウンタが初期化された後、所定の入賞球数カウンタに「0」がセットされ(ステップS502)、続いて大入賞口(アタッカ装置98(図3参照))が開放される(ステップS503)。そして、次のステップS504では大入賞口の開放期間が設定最大期間(例えば30秒)内であるか否かが判断される。開放期間が設定最大期間内であれば(YES)、次に入賞球カウンタの値が10未満であるか否かが判断される(ステップS505)。このとき入賞球カウンタの値が10に満たなければ(YES)、大入賞口に対応するカウントセンサの検出信号がONになったか否かが判断される(ステップS506)。大入賞口への入賞によりカウントセンサがONになると(YES)、次のステップS507で入賞球数カウンタに「1」が加算され、再度ステップS504の判断が行われる。あるいは、ステップS506で大入賞口への入賞がなく、カウントセンサがONになっていなければ(NO)、入賞球数カウンタが加算されることなくステップS504の判断が行われる。
「通常大当たり」または「確変大当たり」の場合、通常は設定最大期間である30秒が経過するか、あるいは入賞球が10カウントに達するかのいずれかの条件を満たされると1ラウンドが終了となる。これら二つの条件のいずれかが満たされると、ステップS504又はステップS505の判断が否定(NO)されるので、ラウンド終了のために大入賞口が閉止(ステップS508)される。そして、次のステップS509でラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(例えば15ラウンド)に達したか否かが判断される。
ラウンドカウンタの値が設定最大継続回数(15ラウンド)に達していなければ(ステップS509においてNO)、次にラウンドカウンタの値に「1」が加算(ステップS510)されて入賞球数カウンタが「0」にリセットされる(ステップS502)。
上記の処理は「通常大当たり」または「確変大当たり」中における1ラウンド目の処理に相当する内容である。この後、ラウンド動作が繰り返されてラウンドカウンタの値が設定最大回数(15ラウンド)に達した判断されると(ステップS509においてYES)、そこで大当たり処理は終了となる。
[演出表示装置における演出表示の詳細について]
図20〜図29を参照しつつ説明する。図20は、サブ統合基板336(図14参照)における制御処理の内容を示しており、図21は、電飾制御基板338(図14参照)における制御処理の内容を示している。図22および図23は演出表示制御における機能的な構成を示し、図24〜図26は各種テーブルの構成を示している。図27〜図32は具体的な演出例を示している。
ところで、これまで説明してきた処理は、純粋に主制御基板131(図14参照)による遊技動作の制御に関するものであるが、サブ統合基板336(図14参照)は、主制御基板131(図14参照)から制御情報コマンドを受け取ると、これに基づいて各種の演出処理を実行することができるようになっている。
詳細に説明すると、前述したように主制御基板131(図14参照)では、保留格納処理(S103)において、大当たり判別用乱数、大当たり図柄用乱数、可変変動用乱数および演出表示パターン乱数等が取得される。そして、これらの乱数を基に、大当たりの有無に関する情報(当否コマンド)、大当たりの場合に「通常大当たり」または「確変大当たり」のいずれであるかを示す情報(確変・非確変コマンド)および演出表示パターンの種類に関する情報、即ち、特別図柄の変動時間に関する情報(変動表示パターンコマンド)が、変動開始コマンドとして設定され、主制御基板131(図14参照)からサブ統合基板336(図14参照)に送信される(S205)。
即ち、図22に示すように、主基板310には、大当たり判定用テーブル411、大当たり図柄用テーブル412、大当たり時変動時間可変用テーブル413、および外れ時変動時間可変用テーブル414が予め記憶されており、これらのテーブル411〜414を基に、抽選の当否、特別図柄表示器332(図14参照)における停止図柄、および変動時間が決定される。
詳しく説明すると、大当たり判定用テーブル411は、図24(a)に示すように、大当たり判定用乱数値と大当たりの当否(大当たりの種別を含む)との関係を示すものであり、例えば、大当たり判定用乱数値のNA1〜NA2が「確変大当たり」に対応し、NA3〜NA4が通常大当たりに対応し、NA5〜NA6が「外れ」に対応している。
また、大当たり図柄用テーブル412は、図24(b)に示すように、大当たり図柄用乱数値と特別図柄表示器332における停止図柄との関係を示すものであり、大当たり図柄用乱数値を複数のグループに区分した種々の範囲と四つのLED110の点灯状態との対応付けがなされている。
なお、大当たり時変動時間可変用テーブル413は前述の表2に示したとおりであり、また外れ時変動時間可変用テーブル414は前述の表1に示したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主基板310には、遊技状態検出手段(具体的には入球状態検出手段)318によって、入球装置96(図3参照)への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(図示しない)から、大当たり判定用乱数を抽出する大当たり判定用乱数抽出手段416と、大当たり図柄用乱数を抽出する大当たり図柄用乱数抽出手段417とが設けられている。
また、判定用乱数および大当たり図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する変動時間用乱数抽出手段418が設けられている。大当たり判定用乱数抽出手段416によって大当たり判定用乱数が抽出されると、大当たり判定用テーブル411を用いて大当たりの当否を決定する当否決定手段430、および大当たり図柄用乱数抽出手段417によって大当たり図柄用乱数が抽出されると、大当たり図柄用テーブル412を用いて特別図柄表示器332における停止図柄を決定する停止図柄決定手段431が設けられている。
さらに、変動時間用乱数抽出手段418によって変動時間用乱数が抽出されかつ当否決定手段430によって大当たりであることが決定されると、大当たり時変動時間可変用テーブル413を用いて特別図柄の変動時間を決定する。一方、変動時間用乱数が抽出されかつ当否決定手段430によって外れであることが決定されると、外れ時変動時間可変用テーブル414を用いて特別図柄の変動時間を決定する変動時間決定手段432が設けられている。
主基板310には、特別図柄表示器332(図14参照)において特別図柄の変動を開始すると共に、変動時間決定手段432によって決定された変動時間の経過後、停止図柄決定手段431によって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段434と、当否決定手段430によって大当たりであることが決定されると、特別図柄の変動停止後、遊技者に有利な遊技状態(すなわち図19の大当たり処理)を発生させる有利遊技状態発生手段433と、特別図柄の変動開始前に、当否決定手段430によって決定された大当たりの有無に関する当否コマンドおよび特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段435とが設けられている。
これに対し、サブ統合基板336では、図20に示すように、主制御基板131(図14参照)から変動開始コマンドを受け取ると(ステップS601においてYES)、受け取ったこれらの変動開始コマンドを基に、演出表示装置115(図3参照)における変動設定処理を行う(ステップS602)。
ここで、変動設定処理について説明する。変動設定処理は、変動表示パターンコマンドに対応した変動表示パターンを設定すると共に、当否コマンドおよび確変・非確変コマンドに基づいて装飾図柄列における最終停止図柄を決定する。例えば、「確変大当たり」の場合には、確変大当たりに相当する複数の装飾図柄の中から一つの図柄を最終停止図柄として決定する。さらに、大当たり予告の演出パターンを、これらに付加する。この演出パターンの付加は、サブ統合基板336(図14参照)に設けられた乱数発生手段(図示せず)で取得した乱数値が付加される。この乱数発生手段は、例えば、0〜49をランダムに発生させるものである。
大当たり予告の演出パターンは、第1演出のみ、または第1演出、選択演出および第2演出の全部またはこれらの一部の組み合わせであり、複数の演出パターンが用意されている。そして、大当たり予告の演出パターンは、これら複数の演出パターンのなかから決定される。
なお、第1演出は、図柄の変動開始後であって且つ特殊外れでない外れ時における図柄の変動停止前およびリーチ状態(特殊外れの場合および大当たり時の両方を含む)になる前の段階に表示制御される演出である。選択演出は、所定条件の下(この実施形態では、隠れ演出を行ったとき)、第1演出終了後に表示制御される演出である。第2演出は、選択演出終了後に表示制御される演出である。なお、隠れ演出は、第1演出のなかの一態様である。また、隠れ演出と選択演出とは一体不可分のものである(即ち、隠れ演出が行われると選択演出も行われる。)。さらに、選択演出および第2演出が行われる場合には、第1演出、選択演出および第2演出の順で行われる。
ここで、第1演出、選択演出および第2演出の詳細について説明する。
第1演出では、正面から演出表示装置115をみた場合に視認できない所謂「隠れ演出」が行われる。この隠れ演出は、演出表示制御手段475が、演出表示装置115の第2表示領域115bまたは/および第3表示領域115cにおけるA画像(第1視野角からの可視画像)とB画像(第2視野角からの可視画像)とが互いに異なる画像となるように表示制御する演出である。なお、このとき、演出表示制御手段475は、第1表示領域115aにおけるA画像とB画像とが実質的に同じ画像となるように表示制御する。
即ち、第2表示領域115bで隠れ演出が行われた場合には、正面から演出表示装置115をみた場合に視認できる可視画像と、第1視野角度から演出表示装置115をみた場合に視認できる可視画像とが異なる。換言すれば、遊技者が正面から演出表示装置115をみたとき、第2表示領域115bにおけるA画像を視認できない。
また、第3表示領域115cで隠れ演出が行われた場合には、正面から演出表示装置115をみた場合に視認できる可視画像と、第2視野角度から演出表示装置115をみた場合に視認できる可視画像とが異なる。換言すれば、遊技者が正面から演出表示装置115をみたとき、第3表示領域115cにおけるB画像を視認できない。
従って、第2表示領域115bおよび/または第3表示領域115cにおいてA画像とB画像とが異なる画像が表示された場合において、第2表示領域115bにおけるA画像および/または第3表示領域115cにおけるB画像で行われる演出(動画)が、隠れ演出となる。
このように、遊技者が正面から演出表示装置115をみている場合には、たとえ隠れ演出が行われている場合であっても、この隠れ演出を視認することができない。
なお、この実施形態では、「外れリーチ変動」であって且つサブ統合基板336(図14参照)に設けられた上述の図示しない乱数発生手段によって取得した乱数値が0であるときに隠れ演出が行われる。
選択演出は、第1演出において隠れ演出が行われたときに行われる演出であり、第1演出の終了後に表示制御される。この選択演出では、二以上の選択肢のうち少なくとも一つの選択肢の選択を促す選択画像が表示される。この二以上の選択肢には、正解肢と外れ肢とが含まれている。
なお、いずれの選択肢が正解肢であるかについては、隠れ演出を見ていれば容易に回答できるものである。また、選択画像が演出表示装置115(図14参照)に表示されたとき、予め決められた所定時間内に遊技者が押しボタン35(図2参照)を操作することによって、選択画像に表示された選択肢からいずれかの選択肢を選択できる。
第2演出は、選択演出が終了し、装飾図柄の変動がリーチ変動に移行したときに行われる表示制御である。第2演出の演出パターンには、遊技者の興趣を高める高興趣演出パターンと、この高興趣演出パターンよりも遊技者興趣が低い低興趣演出パターンとがある。
高興趣演出パターンは、例えば、いかにも大当たりが発生するのではないかといった心理を遊技者に与える演出であり、比較的華やかな演出パターンである。一方、低興趣演出パターンは、例えば、リーチ状態で最後に停止する装飾図柄が単調に回転しているのみで、到底、大当たりが発生するのではないかといった心理を遊技者に与えることができないような地味な演出パターンである。
なお、詳細は後述するが、ステップS602において第2演出が含まれる演出パターンが設定される場合には、この第2演出として低興趣演出パターンが設定される。
サブ統合基板336の制御処理に戻って、サブ統合基板336(図14参照)は、設定されたこれらの変動態様を、電飾制御基板337,338(図14参照)および波形制御基板339(図14参照)に対する変動コマンドとして設定する(ステップS603)。具体的には、変動表示パターンコマンド、最終停止図柄コマンドおよび演出パターンコマンド等を設定する。
変動コマンドが設定されると、サブ統合基板336(図14参照)は、変動コマンドを、各制御基板337,338,339(図14参照)に送信する(ステップS604)。これにより、これらの制御基板337,338,339(図14参照)では、抽選結果に応じた演出表示を行ったり、その演出表示に合わせて音声等を発生させることが可能になる。
ステップS604において、サブ統合基板336(図14参照)が電飾制御基板338
(図14参照)に対して出力した変動コマンドに含まれる演出パターンが選択演出を行う演出パターンである場合には(ステップS605におけるYES)、演出表示装置115
(図3参照)において選択演出にかかる選択画像が表示制御されるとほぼ同時にタイマによる計時が開始される(ステップS606)。ここで、選択画像は、正解肢と外れ肢とを含む二以上の選択肢が表示される画像である。
なお、サブ統合基板336は、演出表示装置115(図3参照)において装飾図柄の変動が開始してから何秒後に選択画像が表示制御されるかについて把握しており、これに基づいてタイマの計時が開始される(ステップS606)。
サブ統合基板336におけるタイマの計時が開始すると、所定時間の間、押しボタン35(図2参照)操作の入力待ち、即ち、選択画像に表示された選択肢のうちいずれかの選択肢の入力待ちが行われる(ステップS607)。
このとき、入力された選択肢、即ち、遊技者の意思に基づいて選択された選択肢が正解肢であるとき(ステップS608におけるYES)、第2演出の書換設定処理を行なう(ステップS609)。一方、入力された選択肢が外れ肢であるときまたはいずれの選択肢も選択されなかったときは(ステップS608におけるNO)、リターンされる(即ち、第2演出の書換設定処理を行わない)。
その後、書換設定された第2演出を、電飾制御基板337,338および波形制御基板339に対する第2演出書換コマンドとして設定する(ステップS610)。そして、この第2演出書換コマンドを、各制御基板337,338,339に送信する(ステップS611)。
一方、電飾制御基板338では、サブ統合基板336から変動開始コマンドを受信すると(ステップS701においてYES)、その変動開始コマンドを基に、演出表示装置115における変動態様を設定し(ステップS702)、その後、演出表示装置115を制御する(ステップS703)。
ここで、ステップS702において設定された演出パターンが第2演出を含まない演出パターンであった場合には(ステップS704におけるNO)、リターン、即ち、ステップS702で設定された演出パターンに基づいて変動制御する。一方、第2演出が設定されていた場合には(ステップS704におけるYES)、第2演出書換コマンドの受信待ち処理が行われる(ステップS705)。この第2演出書換コマンドの受信待ち処理は、選択演出が表示制御されているときに行われる。
サブ統合基板336から第2演出書換コマンドを受信した場合には(ステップS705におけるYES)、ステップS702において設定された演出パターンのうち、第2演出の書換設定が行われる(ステップS706)。そして、書換設定された演出に基づいて第2演出の変動制御処理が行われる(ステップS707)。一方、所定時間内に第2演出書換コマンドを受信しなかった場合には(ステップS705におけるNO)、リターン、即ち、ステップS702で設定された演出パターンに基づいて変動制御する。
このようにして、遊技者の意思によって選択された選択肢に基づいて第2演出の書換設定処理が行なわれる。
なお、この実施形態では、選択画像が表示されて、遊技者が押しボタン35操作によっていずれかの選択肢を選択し且つかかる選択肢が正解肢であれば、高興趣演出パターンに基づいて第2演出が表示制御される。一方、予め決められた所定時間内に遊技者がいずれの選択肢も選択しなかった場合、または上記時間内にいずれかの選択肢を選択したものの、その選択肢が外れであった場合には、低興趣演出パターンに基づいて第2演出が表示制御される。
ところで、図20および図21に示すフローチャートでは、サブ統合基板336および電飾制御基板338におけるコマンド処理のうち、とくに演出の制御に関する変動コマンドの受信処理のみを説明している。即ち、ここでは、電源投入時のコマンドや異常時のコマンドに対する処理は省略している。
また、この実施形態の演出表示装置115において周期性をもって変動表示される装飾図柄には、例えば、左・中・右の3つの装飾図柄列が設定されており、装飾図柄列毎に変動表示されるようになっている。この装飾図柄列の変動は、装飾図柄変動制御手段476
(図21参照)によって制御される。一連の装飾図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄と、絵図柄からなる副装飾図柄により構成されており、数字の昇順または降順に主装飾図柄が表示されると共に各主装飾図柄と副装飾図柄とが周期性を持って上から下への変動表示されるようになっている。そして、左装飾図柄列→右装飾図柄列→中装飾図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時に三つの装飾図柄が大当たり装飾図柄の組み合わせ(例えば「7」,「7」,「7」)で揃えば大当たりとして特別遊技画像(動画)が表示されるようになっている。
続いて、第1演出および選択演出の具体例を、図27〜図32を参照しつつ説明する。なお、この実施形態では、装飾図柄の図示を省略している。図27は、演出表示装置115を正面からみた場合の第1演出にかかる画像である。図28は、演出表示装置115を第1視野角からみた場合の第1演出にかかる画像であって、第2表示領域115bにおいて隠れ演出が行われていない場合の画像である。図29は、演出表示装置115を第2視野角からみた場合の第1演出にかかる画像であって、第3表示領域115cにおいて隠れ演出が行われていない場合の画像である。図30は、演出表示装置115を第1視野角からみた場合の第1演出にかかる画像であって、第2表示領域115bにおいて隠れ演出が行われている場合の画像である。図31は、演出表示装置115を第2視野角からみた場合の第1演出にかかる画像であって、第3表示領域115cにおいて隠れ演出が行われている場合の画像である。図32は、選択演出にかかる画像である。なお、図27〜図31はいずれも、バイクに乗ったライダーからの景色を表示している。
図27に示すように、演出表示装置115を正面からみたとき、前方の景色を視認することができる。また、図28に示すように、演出表示装置115を第1視野角からみたときは、前方の景色に加え、第2表示領域115bにバックミラー401を視認することができる。なお、第3表示領域115cには前方の景色が、第1表示領域115aにおける前方の景色と連続的に視認できる。さらに、図29に示すように、演出表示装置115を第2視野角からみたときは、前方の景色に加え、第3表示領域115cにバックミラー402を視認することができる。なお、第2表示領域115bには、前方の景色が第1表示領域115aにおける前方の景色と連続的に視認できる。即ち、遊技者が、正面から演出表示装置115をみた場合には図27の画像を視認でき、体を左側に傾けたときは図28の画像を視認でき、体を右側に傾けたときは図29の画像を視認できる。
隠れ演出は、演出表示装置115を、第1視野角からみたときに第2表示領域115bに視認できるバックミラー401または/および第2視野角からみたときに第3表示領域115cに視認できるバックミラー402において行われる。この実施形態では、図30および図31に示されるように、バイクに乗ったキャラクタ411,412がバックミラー401,402に映っている画像が、隠れ演出にかかる画像である。
例えば、図30では、第1視野角から演出表示装置115をみると、第2表示領域115bにバイクに乗ったキャラクタ411を視認できる。また、図31では、第2視野角から演出表示装置115をみると第3表示領域115cにバイクに乗ったキャラクタ412を視認できる。
隠れ演出は、図29と図30との組合せ(第1パターン)、図28と図31との組合せ
(第2パターン)および図30と図31との組合せ(第2パターン)が考えられる。即ち、隠れ演出が、第1パターンでは第2表示領域115bのみで行われ、第2パターンでは第3表示領域115cのみで行われ、第3パターンでは第2表示領域115bおよび第3表示領域115cの両領域で行われている。
隠れ演出が終了すると、図32に示す選択演出が表示制御される。この選択演出にかかる画像では、街に向かう左方向および山に向かう右方向のうちいずれかの方向の選択を促している。
このとき、第1演出において、第2表示領域115bにおいて隠れ演出が行われていれば左方向(街に向かう方向)が正解肢であり、第3表示領域115cにおいて隠れ演出が行われていれば右方向(山に向かう方向)が正解肢である。即ち、第2表示領域115bで隠れ演出が行われ且つ左方向を選択した場合または第3表示領域115cで隠れ演出が行われ且つ右方向を選択した場合には、第2演出が、高興趣演出パターンで行われる。
一方、第2表示領域115bでのみ隠れ演出が行われ且つ右方向を選択した場合または第3表示領域115cでのみ隠れ演出が行われ且つ左方向を選択した場合には、第2演出が、低興趣演出パターンで行われる。また、所定時間内にいずれの選択肢も選択しなかった場合にも、第2演出が低興趣演出パターンで行われる。
さらに、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cの両領域で隠れ演出が行われた場合には、右方向および左方向のいずれを選択した場合であっても、第2演出が、高興趣演出パターンで行われる。
また、この実施形態では、右方向を選択するときは押しボタン35(図2参照)を連打し、左方向を選択するときは押しボタン35を長押しするように構成されている。
次に、第1演出、選択演出および第2演出の演出表示制御における機能的な構成、即ち、演出プログラムとして実現される機能的な構成について、図23を参照しつつ説明する。図23は、電飾制御基板2(参照符号338)における演出表示制御に関する機能的な構成を示すブロック図である。
電飾制御基板338(副制御手段に相当)は、主基板310(主制御手段に相当、図14参照)からサブ統合基板336(図14参照)を介して送信された制御情報コマンドがコマンド手段451によって受信されると、これを基に演出表示装置115を制御する。
電飾制御基板338のROM371(図14参照)には、大当たりの場合に参照する大当たり時演出態様テーブル452と、特殊外れの場合に参照する特殊外れ時演出態様テーブル453とが記憶されている。大当たり時の演出態様テーブル452および特殊外れ時の演出態様テーブル453については、それぞれ、図25および図26に示す。なお、サブ統合基板336で付加された大当たりの演出パターンは、これらのテーブル452,453に基づいて決定され、演出表示装置115に表示制御される。
また、この実施形態では、コマンド手段451を介して受信した制御コマンドに含まれる当否コマンドが外れであるとき、演出パターンは、隠れ演出を行わない第1演出のみの演出パターンが設定されている。当否コマンドが大当たりである場合および特殊外れである場合については、以下において説明する。
当否コマンドが大当たりを示す場合には、大当たり時演出態様テーブル452を参照して演出パターンが決定される。なお、図25に示すように、第1演出では隠れ演出を行わない。隠れ演出と選択演出とは一体不可分の演出であるから、選択演出も行われない。また、第2演出においては高興趣演出パターンが行われる。
当否コマンドが特殊外れである場合には、外れ時演出態様テーブル453を参照して演出パターンが決定される。
ここで、特殊外れ時の演出パターンにおける第1演出には、図26に示すようにPT1〜PT4が用意されている。PT1は、隠れ演出が行われないパターンである。PT2は、第2表示領域115bで隠れ演出が行われ且つ第3表示領域115cで隠れ演出が行われないパターンである。PT3は、第3表示領域115cで隠れ演出が行われ且つ第2表示領域115bで隠れ演出が行われないパターンである。PT4は、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cのいずれにおいても隠れ演出が行われるパターンである。
即ち、第1演出においてPT1〜PT4のいずれの演出が行われるかは、サブ統合基板336(図14参照)に設けられた図示しない乱数発生手段によって決まるものである。
このようにして演出パターン決定手段459によって決定された演出パターンは、演出パターン記憶手段454から抽出されると共に、演出表示装置115の演出表示を制御する演出表示制御手段475に送られる。
演出表示制御手段475は、送られた演出パターンに基づいて、第1演出についての画像を第1演出画像記憶手段455から読み出して、演出表示装置115に導出する。また、選択演出および第2演出が行われる場合には、選択演出についての画像を選択画像記憶手段456から読み出し、第2演出が行われる場合には、第2演出についての画像を第2演出画像記憶手段457から読み出す。そして、それぞれ読み出された画像を、演出表示装置115に導出する。
なお、第2演出画像記憶手段457には、高興趣演出パターンに対応する演出画像と、低興趣演出パターンに対応する演出画像とが記憶されているが、ここでは、図26に示されるように、常に、低興趣演出パターンに対応する画像が読み出される。ここで、第1演出画像記憶手段455、選択演出画像記憶手段456および第2演出画像記憶手段457の全部または一部が、この発明の演出画像記憶手段に相当する。
第1演出において隠れ演出が行われるとき、演出表示制御手段475は、第1視野角からの可視画像と第2視野角からの可視画像とが異なる画像を、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cのうち少なくともいずれかの領域に表示制御し、第1視野角からの可視画像と第2視野角からの可視画像とが実質的に同じ画像を第1表示領域115aに表示制御する。
また、選択肢受信手段480を介して選択肢のコマンドを受信したとき、第2演出パターン書換手段481は、受信したコマンドに含まれる選択肢が正解であるか否かを判断する。ここで、受信したコマンドに含まれる選択肢が正解であれば、第2演出が高興趣演出パターンに書換決定される。なお、第2演出パターン書換手段481におけるコマンドの受信は、選択演出が行われ且つ所定時間内に遊技者が押しボタン35を操作したときに受信されるコマンドである。即ち、選択肢受信手段480は、選択演出を行っている時間を含む所定時間内にのみ、選択肢の入力を可能としている。
このようにして第2演出パターン書換手段481によって書換決定された第2演出の高興趣演出パターンは、高興趣演出パターン記憶手段482から抽出されると共に、演出表示制御手段475に送られる。演出表示制御手段475は、送られた高興趣演出パターンにもとづいて、第2演出についての画像、即ち、高興趣演出パターンに対応する演出画像を、第2演出画像記憶手段457から読み出す。なお、これらの処理は、第2演出が行われる前に行われる。そして、演出表示制御手段475は、書換設定された第2演出についての画像を、演出表示装置115に導出する。
一方、選択肢受信手段480を介して受信したコマンドに含まれる選択肢が不正解であるときおよび所定時間内に選択肢受信手段480からコマンドが受信されなかったときは、第2演出の書換処理が行われない。従って、図26からも理解できるように、第2演出では低興趣演出パターンについての画像(動画)が表示制御される。
このように、この実施形態のパチンコ機1によれば、第1視野角からの可視画像と第2視野角からの可視画像とが互いに異なる画像を表示可能な演出表示装置を用いている。従って、第2表示領域115bにおいてA視画像とB画像とが互いに異なる画像が表示されているとき、遊技者は、遊技盤を正面からみた場合と遊技盤を端部からみた場合とで、互いに異なる画像を視認できる。即ち、遊技者が正面から遊技盤5ひいては演出表示装置115の表示面をみる限りにおいては、第2表示領域115bにおけるA画像を視認できない。よって、第2表示領域115bにおけるA画像(動画演出)は、所謂「隠れ演出」となる。また、同様に、第3表示領域115cにおけるB画像(動画演出)も、「隠れ演出」となる。
以上より、この隠れ演出を行うことによって、バリエーションに富んだ演出を行うことができる。その結果、三次元演出を行うこともないので、遊技者の眼に与える肉体的な負担を軽減しつつ、興趣を高めた遊技機を提供することができる。とくに、「今、隠れ演出が行われているのではないか」といった興味を遊技者に抱かせることができるので、遊技者の興趣を高める効果は大きい。
また、演出表示装置115の第1表示領域115aの水平方向の幅は65mmを超える長さである。従って、遊技者の両面の間隔の平均を上回っているので、より多くの遊技者が、隠れ演出を体感することができる。
また、上述の実施形態において、特殊リーチが発生し且つ抽選に当選したときに隠れ演出を行っているが、隠れ演出と遊技球が多量に大入賞口の入賞し易い態様(即ち、大当たり処理)とを関連付けてもよい。これにより、より一層、隠れ演出に対する興趣を高めることができる。例えば、大当たり処理の予告として隠れ演出を行えば、隠れ演出が行われることによって、遊技者興趣を高めることができる。とくに、従来みられた大当たり予告のように、演出表示装置115をみていれば誰もが把握できた予告演出とは異なるので、その効果は大きい。
また、第2演出は、遊技者が選択した選択肢に基づいて第2演出パターン書換手段481によって書換設定されるので、遊技者自らの意思を第2演出に反映させることができる。とくに、隠れ演出と選択すべき選択肢(即ち正解の選択肢)とを関連付けることによって、隠れ演出に対する遊技者の興味をさらに惹きつけることができる。例えば、第1演出が行われているときに演出表示装置115を正面からしかみていなかったとき(即ち、隠れ演出の確認ができなかったとき)であって且つ選択演出が行われた場合には、遊技者は、隠れ演出の確認を行えばよかったという非常に残念な気持ちにかられる。一方、隠れ演出を確認した遊技者は、優越感に浸ることができる。従って、遊技者は、第1演出が行われているときは、隠れ演出が行われているのではないかといったことに常に興味がそそられる。その結果、第1演出と選択演出とを関連付けて楽しむことができ、より一層、興趣を高めることができる。
また、選択演出において表示制御される選択画像には、隠れ演出に関連する選択し、即ち、第2表示領域115bに対応する「左方向」、第3表示領域115cに対応する「右方向(山に向かう方向)」が含まれている。これにより、遊技者は、第1演出をみなければといった思いにより一層かられることとなる。とくに、隠れ演出が行われた表示領域に対応する選択肢を選択することによって、のちに行われる第2演出が低興趣演出パターンから高興趣演出パターンに書き換えられるので、その効果は非常に大きいものである。
また、演出表示装置115には、第2表示領域を挟むようにして第1表示領域および第3表示領域が設けられているので、隠れ演出を、第1表示領域のみで行うことができ、また、第3表示領域のみで行うこともできる。さらに、第1表示領域および第3表示領域の両方を使って行うこともできる。このように、演出表示装置115が、第1表示領域115a、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cを含み、第2表示領域115bおよび/または第3表示領域115cで隠れ演出を行うことによって、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cのいずれか一方で隠れ演出を行う場合に比べて、演出のバリエーションを増やすことができる。従って、演出のバリエーションが増えた分、遊技者の興趣を高めた演出を行うことが可能となる。
また、このように演出のバリエーションが増えると、選択演出における選択肢の数を増やすこともでき、相乗効果によって、より一層、隠れ演出および選択演出により効果を高めることができる。
また、隠れ演出は、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cのいずれの領域でも行われるので、時間的な制約等によって、遊技者は、第2表示領域115bおよび第3表示領域115cのいずれか一方しかみることができない可能性もある。これは、第1演出の表示時間には限りがあるからである。従って、いずれか一方の表示領域で隠れ演出が行われていた場合には、遊技者がたとえ隠れ演出の確認を行っても隠れ演出をみることができない場合があり、よりスリリングな隠れ演出を行うことができる。
また、演出表示装置115における各表示領域は、水平方向に実質的に平行に隣接して配置されているので、遊技者が体を左右に動かすことにとって隠れ演出を視認することができる。とくに、左右方向への体の移動は、例えば上下方向への体の移動と比べると容易である。また、これまでのように、三次元演出のような視覚に訴える演出のみでなく、体を動かすことによって初めて隠れ演出をみることができるので、より一層、遊技者の興趣が高められる。
このとき、遊技者が仮に隠れ演出を確認しなかった場合であっても、隣の遊技者から隠れ演出を視認できるため、この隣の遊技者に教えてもらうこともできる。とくに、近年は、カップルで遊技を行っている遊技者も多いことから、本人は隠れ演出が行われていることに気付かないものの、隣の彼氏または彼女が隠れ演出が行われていることに気付くことが多い。このように、1台の遊技機における演出を2人以上で楽しむことができるといった効果もある。
また、隠れ演出は、最も早い段階の第1演出で行われるため、その後に行われる選択演出および第2演出も含めた一連の演出として楽しむことができるだけでなく、早い段階(即ち第1演出)から最後(即ち第2演出)まで興味を持って楽しむことができる。
また、第2表示領域115bは、遊技者からみて左側に位置しており、第3表示領域115cは、遊技者からみて右側に位置している。そして、第2表示領域115bで隠れ演出が行われたときは「左方向」の選択肢が正解であり、第3表示領域115cで隠れ演出が行われたときは「右方向」の選択肢が正解である。従って、隠れ演出が行われた側と正解の選択肢とが同じ方向で一致しているため、遊技者が誤って操作してしまう可能性が低い。
また、隠れ演出は、リーチ状態となる前の段階である第1演出で行っているため、遊技者は、リーチ状態となる前であっても退屈感を感じるどころか、より一層の興味を抱いて表示装置の表示に集中することができる。しかも、隠れ演出が行われると選択演出および第2演出も行われるため、これら一連の演出をみながら抽選結果を楽しむことができる。また、リーチ変動に移行する前の変動時であっても、常に遊技者に興趣を与え続けることができる。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
例えば、上述の実施形態における演出表示装置は、後方から照射される光を左右に分離する液晶表示装置が用いられているが、必ずしも液晶表示装置に限られない。視野角が変わることによって異なる画像を表示できる表示装置であれば、EL表示装置、プラズマ表示装置およびCRT等の表示装置等であってもよい。
また、上述の実施形態では、第2表示領域115bまたは/および第3表示領域115cにおいて、A画像とB画像とが互いに異なる画像を表示制御することによって演出の興趣を高めているが、これに限られない。例えば、各表示領域に区分けして考えるのではなく、演出表示装置115の全表示面において、A画像とB画像とが互いに異なる画像を表示制御するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、隠れ演出が特殊外れの場合に行われるが、当否コマンドが大当たりであるときに行うようにしてもよい。さらに、当否コマンドが大当たりであって且つ所定の確率で隠れ演出を行うようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、第2表示領域115bで隠れ演出が行われた場合には「左方向」の選択肢を、第3表示領域115cで隠れ演出が行われた場合には「右方向」の選択肢を正解の選択肢とすることによって、選択演出における正解の選択肢と隠れ演出とを関連付けているが、これに限られない。即ち、遊技者が、隠れ演出と正解にかかる選択肢とに関連性があることを認識できればよい。
また、上述の実施形態では、隠れ演出を確認すれば正解の選択肢を容易に認識することができるが、これに限られない。例えばクイズ形式にして、いずれの選択肢を選択すると第2演出の書き換えが行われるかを、遊技者に予測させるような演出であってもよい。このとき、遊技者は、隠れ演出により一層興味を惹かれることとなる。また、この場合であっても、高確率で、第2演出を高興趣演出パターンに書き換えることができることが好ましい。
また、上述の実施形態では、選択肢を入力できる時間が遊技者に明示されていないが、残り秒数を、演出表示装置115にカウントダウン表示してもよい。このような場合であっても、選択肢を入力できる時間内にいずれの選択肢も選択しなかったとき、第2演出が、低興趣演出パターンで行われることが好ましい。
また、上述の実施形態における第2演出の書き換えは、低興趣演出パターンから高興趣演出パターンに書き換えているが、これに限られない。例えば、選択演出において不正解であったときに、高興趣演出パターンから低興趣演出パターンに書き換える態様であってもよい。これにより、選択演出においていずれかの選択肢を選択しなければ、高興趣演出パターンから低興趣演出パターンに書き換えられるかもしれないといった興趣を、遊技者に与えることができる。
また、上述の実施形態における演出パターン決定手段459が演出パターンを決定するとき、第2演出を低興趣演出パターンに決定しているが、このとき、所定の確率で高興趣演出パターンに決定されるようにしてもよい。
また、上述の実施形態における第2演出は、高興趣演出パターンと低興趣演出パターンとを有しているが、これに限られない。例えば中興趣演出パターンのような演出パターンを有する等、さらに複数種類の第2演出のパターンが用意されていてもよい。さらに、高興趣演出パターンおよび低興趣演出パターンが、それぞれ、複数種類の演出パターンを有していてもよい。
また、上述の実施形態の選択演出における選択肢の数は「左方向」、「右方向」および「いずれも選択せず」の3つであるが、選択肢の数がこれに限られないのはいうまでもない。
なお、第2表示領域115bおよび/または第3表示領域115cにおいて、A画像およびB画像の記憶の方法は一態様に限られない。例えば、各表示領域115a,115b,115c毎にA画像およびB画像を記憶する方法または演出表示装置115の全表示領域におけるA画像およびB画像を記憶する方法が考えられる。
また、上述の実施形態において、隠れ演出を採用するとき、遊技内容は、上記の遊技内容に限定されるものではなく、多種多様の遊技内容に採用することができる。
さらに、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等であっても本発明を適用することができる。
即ち、パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である遊技球等の投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、センター役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを備えるもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(即ち、遊技状態検出手段)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の装飾図柄からなる装飾図柄列を変動表示させるとともに、所定のタイミングでキャラクタ等を出現させる演出表示手段をさらに備えるもの」、一般に「ハネモノ」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段を備えたもの」、一般に「アレパチ」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
一方、パチスロ機とは、遊技媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させると共に、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させる、といった実質的な遊技を行うものであり、停止操作機能付きのスロットマシンである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別遊離状態を発生させたりするものである。
また、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合せが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別遊離状態を発生させたりするものである。
なお、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等のように、投入する媒体によっては実質的な遊技が行われない遊技機では、一見、遊技媒体が存在しないかのように思われるが、このような遊技機であっても、遊技内容の全体において、遊技球やその他の適宜の物品を用いて行われる遊技を含ませることが想定できる。よって、このような遊技機であっても、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機の対象とすることができる。