JP4914028B2 - 高分子ゲルの溶解法 - Google Patents

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Description

本発明は粘土鉱物を含む高分子ゲルの溶解法に関する。
高分子ゲルはネットワーク中に多量の溶媒(例:水)を含むことができるため、吸水性、透過性、及び柔軟性に優れており、分析、化学工業、農業、土木、建築、医療分野を始めとする多くの分野で、ソフトマテリアル、吸水材料、吸着剤、選択的分離材、振動吸収材などとして広く用いることが期待されている。しかし、これまでの高分子ゲルは、優れた機能性と力学物性とを兼ね備えたものはほとんど無く、特に高分子ゲルの多くは力学的に弱い、脆いという欠点を有していた。例えば、高吸水性樹脂として知られるポリアクリル酸ナトリウム架橋体やポリアクリルアミド系有機架橋ゲル(例:メチレンビスアクリルアミドにより架橋して得られるポリ(N、N−ジメチルアクリルアミド)ゲル)などは極めて低い力学物性を示し、例えば、数十%以下の延伸による弱い力で脆性破壊することが知られている。
これに対して、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(以下、PNIPAと略称する)やポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(以下、PDMAAと略称する)のようなアミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルは、優れた機能性(透明性、高膨潤性)と共に、極めて優れた力学物性を示すことが報告されている(特許文献1,2)。例えば、PDMAAと粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルは1500%に達する破断伸びと高い破断強度を有し、またPNIPAと粘土鉱物が三次元網目を形成してなる高分子ゲルは1000%近くの破断伸びを含む優れた力学物性に加えて、温度変化による迅速な膨潤/収縮などの優れた機能性を有するものである。従って、該高分子ゲルは、かかる優れた力学物性、機能性により数多くの産業分野で有効に用いられることが期待されている。
高分子ゲルを使用する場合、もし、使用後の高分子ゲルを液状に戻して回収することが可能となれば、大きく利用の範囲が広がり、また、環境に与える廃棄物としての影響も小さくなり、有効と予測されている。しかし、通常の有機架橋ゲルは共有結合による三次元網目が形成されているため、高分子ゲルを液状態(ゾル)に戻すことは困難である。また、前記の優れた力学物性を示すアミド基含有高分子化合物と粘土鉱物からなる高分子ゲルについても、液状に戻す、つまり高分子ゲルを溶解させる手法に関する知見はこれまで一切なかった。
特開2002−053629号公報 特開2004−091775号公報
本発明が解決しようとする課題は、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルを溶解し、液状化する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究に取り組んだ結果、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルを、HLB値が11以上であるノニオン界面活性剤水溶液、ポリオキシエチレン鎖やポリオール鎖を有する水溶性高分子水溶液、アミド基含有極性溶媒のいずれかと接触させることにより、該高分子ゲルが溶解し、液状化することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の溶解法によれば、均一性、膨潤性、温度応答性、力学的性質などに優れた、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルを、必要に応じて溶解して液状化させることができ、該高分子ゲルを除去したり、回収したり、廃棄したりするのに有効である。
本発明で用いる高分子ゲルは、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルであり、好ましくは高分子を架橋するのに通常用いられる有機架橋剤や放射線による架橋を用いることなく前記三次元網目を形成したものである。
高分子ゲルを形成するアミド基含有高分子化合物は、水に溶解するアミド基含有モノマーを重合して得られるものであり、水に溶解するアミド基含有ビニルモノマーを重合して得られるものが好ましく、得られるアミド基含有高分子化合物が水に溶解または膨潤するものは特に好ましい。また、アミド基含有高分子化合物はアミド基以外に水と親和性を有する官能基(例えば、水酸基、アミノ基、カルボン酸基など)を併せて有するものであってもよい。
アミド基含有高分子化合物の例としては、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアミド基含有重合性モノマーの中から選択される1種又は2種以上を重合して得られる高分子が挙げられる。
アミド基含有高分子化合物の具体例として、例えば、ポリ(N−メチルアクリルアミド)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(N−メチルメタクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N−アクリロイルピロリディン)、ポリ(N−アクリロイルモルフォリン)、ポリ(N−アクリロイルピペリディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルホモピペラディン)、ポリ(N−アクリロイルメチルピペラディン)、ポリ(アクリルアミド)等が例示される。
なかでも、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)などのように相転移を示す臨界温度を有し、外部刺激でゲル体積を変化させるような刺激応答性水溶性高分子からなるものは特に好ましく用いられる。
また上記アミド基含有重合性モノマーとその他の重合性モノマーの併用も可能である。
高分子ゲルを形成する粘土鉱物としては、粘土層表面に荷電を有し、且つ水中で膨潤または層状に解離する水膨潤性粘土鉱物であることが好ましく、より好ましくは単層または複数層の小さい単位に水中で微細に分散するものである。好ましい粘土鉱物の具体例としては、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
本発明で用いる高分子ゲルを形成するアミド基含有高分子化合物と粘土鉱物の量は、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成出来れば良く、特に限定されないが、粘土鉱物/アミド基含有高分子化合物の質量比が0.001〜10であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜1である。
本発明で用いる高分子ゲルはその三次元網目の中に溶媒を含有する。その溶媒として、水または水と混和する有機溶媒またはそれらの混合溶媒などの溶媒が用いられる。好ましくは水または水を主成分とする溶媒である。
本発明は、特定の水溶液や溶媒と接触させることにより高分子ゲルを溶解させ、液状化するものである。高分子ゲルを溶解することができる水溶液としては、ノニオン界面活性剤の水溶液、ポリオキシエチレン鎖やポリオール鎖を有する水溶性高分子の水溶液が挙げられ、また溶媒としてはアミド基含有極性溶媒が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、該高分子ゲルを溶解することのできるものであれば良く、必ずしも限定されないが、好ましくは、ポリオキシエチレン鎖やソルビタン鎖を有するノニオン界面活性剤が用いられ、特に好ましくはHLB=(親水性ポリエチレン鎖部の含有率:単位は質量%)/5で定義されるHLBが11以上のノニオン界面活性剤が用いられる。またHLBが高く20に近いものが高分子ゲルの溶解速度が一般的に大きい。かかるノニオン界面活性剤は溶液、好ましくは水溶液で用いられる。高分子ゲルを溶解するための最適濃度はノニオン界面活性の種類により異なり一概に規定されないが、好ましくはノニオン界面活性剤を0.05〜50質量%含む水溶液が、特に好ましくはノニオン界面活性剤を0.1〜20質量%含む水溶液が用いられる。濃度が0.05質量%以上では良好に溶解が進行する。また、溶解速度、操作性、コストなどの観点から、50質量%以下のものが好ましく、特に好ましくは20質量%以下である。
前記ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(n=10)オクチルフェニルエーテル(TritonX−100:和光純薬(株)製)、ポリオキシエチレン(n=20)ソルビタンモノラウレート(Tween20:和光純薬(株)製)、ニューコール520、ニューコール564、ニューコール504、ニューコール1120(いずれも日本乳化剤(株)製)などが挙げられる。
該高分子ゲルを溶解する水溶性高分子としては、ポリオキシエチレン鎖やポリオール鎖を有するものが好ましく、具体的にはポリエチレングリコール(PEG)やポリビニルアルコール(PVA)が挙げられる。より好ましくは分子量が1,000以上のものであり、特に好ましくは分子量が2,000から2,000,000のものである。分子量が1,000以上であれば、溶解力が十分に得られ、分子量が1,000,000以下であれば、水溶性高分子と高分子ゲルとの接触が分子レベルで良好に働き、溶解時間が短くなる。水溶液中の水溶性高分子の濃度は、0.05〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。水溶性高分子の濃度が0.05質量%以上であれば溶解に作用する水溶性高分子の量が十分な量となり、また40質量%以下では、水溶液の粘度を溶解に適した粘度とすることができるため、溶解時間が長くなりすぎることがない。
上記ノニオン界面活性剤及び水溶性有機高分子化合物は、溶媒として水を使用できるため、環境対応の観点から好ましく使用できる。
高分子ゲルを溶解する溶媒としてはアミド基を含有するアミド系極性溶媒が用いられる。該アミド系極性溶媒を単独または水を含む他の溶媒と一緒にして、高分子ゲルと接触させることにより、ゲルの溶解が生じる。アミド系極性溶媒の種類としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミドなどが挙げられ、単独または混合して用いられる。
高分子ゲルを溶解させるためには、ノニオン界面活性剤、水溶性高分子、アミド系極性溶媒などとの接触条件をより好ましく設定することが有効である。例えば、接触する際の温度は一般的に高い方が好ましく、例えば50℃〜100℃が好ましく用いられる。但し、PNIPAと粘土鉱物からなる高分子ゲルの場合は、PNIPAのLCST温度より低い温度である方が好ましい。その他、ノニオン界面活性剤、水溶性高分子、アミド系極性溶媒との接触確率を増す意味で、強制撹拌すること、超音波をかけること、オートクレーブ処理をすることは有効に用いられる。また、高分子ゲルを予め、細分化しておくことも有効である。
該高分子ゲルと接触させる溶液には、ノニオン界面活性剤、及び/または水溶性高分子、及び/またはアミド系極性溶媒を溶質として含むものが用いられる。この溶液の溶媒としては、水または水と混和する有機溶媒、またはそれらの混合溶媒などの溶媒が用いられる。水と混和する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどが例示される。
本発明で用いる高分子ゲルは、前記アミド基含有重合性モノマーと必要に応じて前記その他の重合性モノマーとを粘度鉱物の共存下において水性溶媒中で重合させることにより製造することができる。
本発明において高分子ゲルに前記化合物またはそれを含む溶液を接触させることで、高分子ゲルは構成物質である粘土鉱物とアミド基含有高分子化合物との三次元網目が壊され、一部または全体が徐々にゲルの形を失い、液状化していく。
次いで本発明を実施例により、より具体的に説明するが、もとより本発明は、以下に示す実施例にのみ限定されるものではない。
(参考例1及び2)
粘土鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する水膨潤性合成ヘクトライト(商標ラポナイトXLG)を用いた。有機モノマーはN−イソプロピルアクリルアミド(NIPA:興人株式会社製)をトルエンとヘキサンの混合溶媒を用いて再結晶し、無色針状結晶に精製してから用いた。重合開始剤は、ペルオキソ二硫酸カリウム(KPS:関東化学株式会社製)をKPS/水=0.20/10(g/g)の割合で脱酸素した純水中に溶解し、水溶液にして使用した。触媒は、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED:関東化学株式会社製)を使用した。純水は含有酸素を除去してから使用した。
20℃の恒温室において、内部を窒素置換した丸底ガラス容器に、純水19.02g、ラポナイトXLGを(参考例1)では0.152g、または(参考例2)では0.381g、NIPA2.26gからなる無色透明の溶液を調製した。次いで、KPS水溶液1.0gとTEMED16μlを加え、この溶液の一部を底の閉じた内径5.5mm、長さ150mmのガラス管容器に酸素に触れないようにして移した後、上部に密栓をし、20℃の恒温水槽中で20時間静置して重合を行った。これらの溶液調製から、重合までの操作は、全て酸素を遮断した窒素雰囲気下で行った。重合後に、均一・透明で弾力性のある高分子ゲル(1)(参考例1)及び高分子ゲル(2)(参考例2)が得られた。なお、高分子ゲルおよびその乾燥物に対する熱重量分析(セイコー電子工業株式会社製TG−DTA220:室温〜600℃)、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル測定(日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−550)、乾燥重量測定により、得られた高分子ゲル(1)、高分子ゲル(2)のいずれもモノマー(NIPA)の99.5%以上が重合し、初期反応溶液とほぼ同じ割合の粘土鉱物(ラポナイトXLG)を含む高分子ゲルであることが確認された。広角X線回折(理学機器製:X線回折装置RINTULTIMA)および透過型電子顕微鏡観察(日本電子株式会社製JEM−200CX:加速電圧100KV)により、ゲル内部で粘土鉱物が層状剥離して分子状に分散していることが確認された。また、力学延伸試験(引っ張り試験装置、島津製作所製:卓上型万能試験機AGS−H)の結果、強度、弾性率、破断伸びがそれぞれ、高分子ゲル(1)では50kPa、2.5kPa、1200%であり、高分子ゲル(2)では145kPa、12kPa、1,000%であり、いずれも柔らかさと強靱さを有していることが確認された。以上のことより、参考例1および2において、合成により得られたものは、ポリN−イソプロピルアクリルアミド(PNIPA)と粘土鉱物(ラポナイトXLG)と水からなり、合成過程において有機架橋剤を添加していないにもかかわらず、水に溶解することなく、水中で温度に応じて膨潤/収縮をする透明・均一な高分子ゲルであること、高分子ゲル中では、層状剥離した粘土鉱物とそれらを結合したPNIPAからなる三次元網目が形成されていると結論された。
本参考例で得られた高分子ゲル(1)、(2)は、共に、特定の温度(Tc)以下では膨潤し、Tc以上の温度では収縮する性質を示した。膨潤・収縮の体積変化から、Tcは32℃であった。
(実施例1〜4及び比較例1)
参考例1で得られた透明・均一な高分子ゲル(1)を直径5.5mm、長さ約1mmの円盤状にきりとり、合計で約1gずつを、超純水中にノニオン界面活性剤(ニューコール520:日本乳化剤(株)製:HLB=19.0)を0.05質量%(実施例1)、0.1質量%(実施例2)、1質量%(実施例3)、5質量%(実施例4)溶解した各水溶液100gの中に、およびノニオン界面活性剤を含まない超純水(比較例1)100gの中に入れ、20℃恒温水槽中で、ゆっくりと撹拌して保持した。一定時間毎に、ゲルが入らないようにして取得した少量の液をスクリューキャップ付き光学用石英セルに取り、50℃恒温水槽中で約4分間保持し、液温が40℃となったのを確認して、その温度で光透過率(波長600nm)を測定した。ブランクは40℃の超純水を使用した。以上の測定を500時間までの保持時間に関して行った。その結果、実施例1〜4のいずれにおいても、20℃恒温水槽中での保持時間経過と共に、40℃液温の光透過率が低下していった。このことは、高分子ゲルから構成高分子であるPNIPAが周りの液中に溶け出し、そのため(PNIPAの相転移温度(32℃)以上である40℃では)液が白濁したことを意味しており、高分子ゲルが液中のノニオン界面活性剤の効果により溶解していると結論された。光透過率が50%となる時間(t50)は、水溶液のノニオン界面活性剤濃度に依存し、14時間(実施例1)、8時間(実施例2)、5時間(実施例3)、3時間(実施例4)であった。また、実施例4では約5時間で透過率が0%に低下した。更に、実施例1〜4のいずれの場合も、500時間後において高分子ゲルは全て溶解したため目視で観測されず、20℃で透明、40℃で白濁する液体のみであった。これに対し同じ参考例1のゲルに対して水を用いた比較例1では、光透過率は100%のまま500時間まで一切変化せず、目視での観察も含めて、高分子ゲルが純水中で溶解することなく安定に存在していることが確認された。
(実施例5〜9)
ノニオン界面活性として日本乳化剤(株)製ニューコール564(HLB=12.3)(実施例5)、ニューコール504(HLB=16.0)(実施例6)、ニューコール1120(HLB=16.4)(実施例7)、和光純薬(株)製TritonX−100(HLB=13.5)(実施例8)、和光純薬(株)製Tween20(HLB=16.7)(実施例9)を用いる以外は、実施例2と同様にして高分子ゲルの溶解試験を行った。光透過率変化およびゲルの目視観察から、実施例5〜9のいずれの場合も、高分子ゲルが溶解しているのが観測された。
(実施例10〜12)
ノニオン界面活性剤のかわりに水溶性高分子としてポリエチレングリコール(分子量:M=1000)(実施例10)、ポリエチレングリコール(分子量:M=20,000)(実施例11)、ポリビニルアルコール(分子量:M=83000:けん化度88モル%)(実施例12)を用い、その水溶液濃度を0.5質量%とする以外は、実施例2と同様にして高分子ゲルの溶解試験を行った。その結果、実施例10〜12では高分子ゲルが溶解していることが確認された。
(実施例13)
参考例1の高分子ゲル(1)の代わりに参考例2の高分子ゲル(2)を用いる以外は、実施例2と同様にして高分子ゲルの溶解試験を行った。その結果、50%光透過率になる時間(t50)が9時間であり、ほとんど実施例2と同じようにして保持時間により光透過率は低下していき、最終的に溶解した。
(実施例14〜17)
参考例1で得られた透明・均一な高分子ゲル(1)を直径5.5mm、長さ約1mmの円盤状にきりとり、合計で約1gずつを、アミド系極性溶媒であるN,N−ジメチルアセトアミド(実施例14)、N、N−ジメチルホルムアミド(実施例15)、N−メチルアセトアミド(実施例16)、N−メチルホルムアミド(実施例17)の中に20℃で計500時間保持した。その結果、いずれの場合も高分子ゲルは目視観察により溶解し、系全体が溶液となっているのが確認された。
(比較例2〜6)
ノニオン界面活性剤の代わりにグリセリン(比較例2)、ポリアクリル酸(比較例3)、メタノール(比較例4)、エタノール(比較例5)を用いる以外は、実施例2と同様にして高分子ゲルの溶解試験を行った。その結果、比較例6〜10では高分子ゲルが溶解していないことが確認された。
(比較例6、7)
粘土鉱物0.152gの代わりに、有機架橋剤(N,N‘メチレンビスアクリルアミド)を0.03g(モノマーの1モル%相当)用いる以外は、参考例1と同様にして有機架橋高分子ゲル(以下ORゲルと略す)を合成した。高分子ゲルとして、このORゲルを用いる以外は、実施例4および実施例11と同様の条件にて、ノニオン界面活性剤水溶液(比較例6)およびポリエチレングリコール水溶液(比較例7)中に高分子ゲルを浸漬し、溶解試験を行った。その結果、比較例6および7のいずれにおいても、200時間以上の浸漬後においてORゲルの溶解は一切観測されなかった。
実施例1〜17までの溶解挙動を表1に、比較例1〜6の溶解挙動を表2に示した。溶解したものを○、溶解が全く見られなかったものを×とした。表より明らかなように、本願発明の溶解方法によれば、アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルの溶解が可能であった。
Figure 0004914028
Figure 0004914028


Claims (6)

  1. アミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルに、HLB値が11以上であるノニオン界面活性剤の水性溶媒溶液、ポリオキシエチレン鎖又はポリオール鎖を有する水溶性高分子化合物の水性溶媒溶液、又はアミド基含有極性溶媒を接触させることを特徴とする高分子ゲルの溶解法。
  2. 前記ノニオン界面活性剤水溶液中のノニオン界面活性剤濃度が、0.05〜50質量%の範囲にある請求項記載の高分子ゲルの溶解法。
  3. 前記水溶性高分子化合物がポリエチレングリコール又はポリビニルアルコールのいずれかである請求項1に記載の高分子ゲルの溶解法。
  4. 前記水溶性高分子化合物の分子量が、1,000〜1,000,000の範囲にある請求項に記載の高分子ゲルの溶解法。
  5. 前記水溶性高分子化合物の水性溶媒溶液中の水溶性高分子化合物濃度が0.05〜40質量%の範囲にある請求項3又は4に記載の高分子ゲルの溶解法。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の溶解方法を用いるアミド基含有高分子化合物と粘土鉱物とが三次元網目を形成してなる高分子ゲルの回収方法。
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