JP4912208B2 - アンカー装置の施工方法およびアンカー装置 - Google Patents
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Description
(あ)一般に、地表(地面)に直接打ち込む方法、
(い)あるいは、地面に据削孔を予め形成し、この掘削孔にアンカー装置を挿入する方法、
(う)また、前記掘削孔にアンカー装置を挿入すると共に、モルタル、セメント、樹脂などの凝結効果を有する凝固剤を流しこむことでアンカー装置を地中に定着させる方法(このとき、アンカー装置によって、凝固剤とアンカーの挿入時期は前後するが地中部を定着層と位置づけ、定着層は主には岩盤層、安定した土層などの比較的安定した層で形成される)、がある。
そして、この様に設置されたアンカー装置の地表より上部に露出したアンカー上端部に、金具などで構成されたクリップを介してロープが固定される。
しかし、地表部に不安定な層が存在している斜面の場合には、アンカー装置と概ね直行する方向の荷重に対して耐力的な要素を望めないことから、場合によればアンカー上端部が荷重作用方向に傾くと考えられる。すなわち、アンカー上端部に取り付けられたクリップおよびロープがアンカー上端部と同様の挙動を示し、落石対策施設としての構造に余分な負荷が生じることになる。
このため、前記アンカー装置の倒れの防止を目的として、アンカーロッドまたはアンカーパイプ(本発明において「アンカー軸」と総称する)を打設後、アンカー軸が貫通した状態で、アンカー軸に沿って、スリーブ(本発明において「筒部」と称す)および羽部を有する羽装置を設置する発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
(イ)アンカー軸は長尺であるため地山に対して打設角度の管理が難しいことから、アンカー軸が地山の表面に対して垂直に打設されない場合には、打羽装置の筒部は地山の表面に対して傾くことになり、打羽装置の羽部の一部が地山の表面から突出する「浮き」が生じ、傾き防止効果が阻害され、目的を満足しない。
(ロ)また、アンカー軸は打設された後、羽装置の打設が困難になって(例えば、小石や礫等に衝突して)打設を断念した場合、羽装置の回収は比較的容易であるものの、アンカー軸の回収(引き抜き)が容易でないため、回収作業に所定の装置と相当の時間とを必要とし、施工コストの上昇や工期の延長の原因になる。
(ハ)さらに、筒部と複数の羽部から構成された羽装置は、相当の重量と見掛け上の嵩とを有することから、トラック輸送の際の積載できる数量が少ないため、運搬コストが上昇する原因や、法面(斜面)の高い位置にまで持ち上げる作業が容易でないため、施工コストの上昇や工期の延長の原因になっていた。
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなり、該上羽部の上縁に係止用突起部が設けられた上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下筒部の軸心と前記上筒部の軸心とが一致した状態で、前記下羽装置と前記上羽装置とを一体化する工程と、
前記一体化された前記下羽装置および前記上羽装置を地山に打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記一体化されて打設されている上羽装置の上筒部と下羽装置の下 筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
円周方向4箇所に等分配置され、前記係止用突起部が係止自在な係止用溝部が形成された天板を用意する工程と、
前記打設されている下羽装置の下羽部に設けられた係止用突起部および前記打設されている上羽装置の上羽部に設けられた係止用突起部が、前記係止用溝部に係止するように前記天板を載置する工程と、
を有する。
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の上縁と前記上羽装置の上縁とが略同一面になるように一体化することを特徴とする。
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽部が前記下位置決め手段に、前記下羽根が前記上位置決め手段に、それぞれ侵入した状態で一体化することを特徴とする。
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなり、該上羽部の上縁に係止用突起部が設けられた上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下羽装置を地山に打設する工程と、
前記上羽装置を、前記上筒部の軸心が前記打設されている下羽装置の下筒部の軸心と一致するように打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
円周方向4箇所に等分配置され、前記係止用突起部が係止自在な係止用溝部が形成された天板を用意する工程と、
前記打設されている下羽装置の下羽部に設けられた係止用突起部および前記打設されている上羽装置の上羽部に設けられた係止用突起部が、前記係止用溝部に係止するように前記天板を載置する工程と、
を有する。
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設し、前記上羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設することを特徴とする。
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽装置を、前記打設されている下羽装置の下位置決め手段に、前記上羽部が侵入するように打設することを特徴とする。
前記下羽装置において、前記下羽部が前記下筒部の軸心を含む面内に配置されることを特徴とする。
前記下羽装置の下羽部および下位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記下羽部が前記下筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記下位置決め手段が前記下羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記打設されている下羽装置の一対の下羽部と前記打設されている上羽装置の一対の上羽部とが互いに垂直に位置決めされた状態で、前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部に挿入して地山に打設する工程と、を有することを特徴とする。
前記天板を前記上羽部の上面および前記下羽部の上面に載置する工程の後、前記下係止用貫通孔および前記上係止用貫通孔にボルトまたはピンを挿入する工程を有することを特徴とする。
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなり、該上羽部の上縁に係止用突起部が設けられた上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、
前記下羽部に設けられた係止用突起部および前記上羽部に設けられた係止用突起部が係止する係止用溝部が形成された天板と、を有する。
(12)前記(11)において、前記下係止用突起部および前記上係止用突起部にそれぞれ下係止用貫通孔および上係止用貫通孔が形成され、
前記下係止用貫通孔および前記上係止用貫通孔にボルトまたはピンが挿入自在であることを特徴とする。
(i)本発明に係るアンカー装置の施工方法は、まず、羽装置を地山に打設する工程を実行し、これに続いて、既に打設されている羽装置の筒部にアンカー軸を挿入して、かかる挿入した状態でアンカー軸を地山に打設するから、(a)アンカー軸が地山の表面に対して垂直に打設されない場合であっても、既に打設されている打羽装置が倒されることがないから、羽装置の「浮き」が生じることがなく、目的が満足される。(b)また、羽装置の打設が困難になって打設を断念した場合であっても、まだ、アンカー軸は打設されていないから、羽装置のみを容易に回収(引き抜き)するだけで済み、対処が容易かつ迅速である。(c)さらに、アンカー軸を倒すような力が作用した場合でも、羽部が抵抗体として機能するから、アンカー装置の倒れが防止される。
なお、アンカーロッドまたはアンカーパイプ等は、単に「アンカー」と称すことができるものであるが、これと羽装置とからなる「アンカー装置」との混同を防止するため、本発明においては便宜上、「アンカー軸」と称す。
(ii)また、まず下羽装置を打設し、次に、上羽装置を打設し、最後にアンカー軸を、既に打設されている上羽装置の上筒部と既に打設されている下羽装置の下筒部とに挿入して、かかる挿入した状態でアンカー軸を打設するから、前記(i)における(a)、(b)および(c)の効果が得られると共に、(d)下羽装置および上羽装置それぞれが、嵩張らずに軽量になる。
(iii)さらに、下羽装置の下羽部および上羽装置の上羽部が、これに係止する天板によって位置決めされるから、配置された位置が変動することがないため、アンカー装置の倒れが確実に防止される(前記(c)参照)。
なお、羽装置の上縁とは、羽部の上縁が筒部の軸心に対して垂直である場合には当該上縁を、羽部の上縁が筒部から離れるほど下がるように筒部の軸心に対して傾斜する場合には、上縁の羽部と筒部との接続位置を、羽部の上縁が筒部から離れるほど上がるように筒部の軸心に対して傾斜する場合には、上縁の筒部から最も離れた位置を、それぞれ意味している。
(v)さらに、上羽部が下位置決め手段に、下羽根が上位置決め手段に、それぞれ侵入した状態で一体化するから、上羽部と下羽根との配置が正確になると共に、配置された位置が変動することがないため、アンカー装置の倒れが確実に防止される。
(vii)さらに、下羽装置の上縁と上羽装置の上縁とが略同一面になるように打設するから、打設した状態において、下羽装置の上縁と上羽装置の上縁とに高低差がなく地山への納まりがよい。
(x)さらに、下羽装置の一対の下羽部と上羽装置の一対の上羽部とが十字状に配置されるように打設されるから、アンカー装置の倒れが防止される(前記(c)参照)。また、一対の下羽部、および一対の上羽部は、いずれも平面を形成するから、下羽装置および上羽装置の見掛け上の嵩が大幅に小さくなり、運搬がさらに容易になる(前記(d)参照)。
(xii)また、下係止用貫通孔および上係止用貫通孔にボルトまたはピンを挿入するから、天板が離脱しないようになり、地表面の盛り上がり防止に寄与する。
(xiv)さらに、下係止用貫通孔および上係止用貫通孔にボルトまたはピンが挿入自在であるから、かかる挿入によって天板は離脱しないようになり、地表面の盛り上がり防止に寄与する。
図1は本発明の実施の形態1に係るアンカー装置の施工方法を工程を追って説明する模式図である。
図1の(a)において、筒部10と、筒部10の外周に固定された羽部20からなる羽装置1を、予め試掘7が実施され後記するアンカー軸2を打設することが可能であることが確認された地山8の表面(以下、「地表面」と称す)9の施工地点に位置決めする。
なお、図中、羽部20は台形状であって、左右に一対だけ図示しているが、本発明はその形状や数量を限定するものではない。たとえば、4枚の羽部を十字状に設けてもよい。
なお、羽部20の下縁(位置イと位置ロとを結ぶ線に同じ)は筒部10に近づくほど下方に突出するように傾斜しているため、打設が容易である。また、羽部20の上下方向の長さ(位置イと位置ニとの距離に同じ)は比較的短いため、打設中に傾くことがないだけでなく、羽部20が石や礫等に衝突して打設を中止せざるを得ない場合でも、羽装置1を容易に回収(引き抜く)ことができる。
また、打設手段は限定するものではなく、さらに、羽装置1にアダプタ(打設面が形成されている)を載置して、これを介して羽装置1を打設してもよい。
このとき、アンカー軸2の打設地点は、試掘7によって打設可能であることが確認されているから、アンカー軸2は所定の深さに打設することができる。また、仮に、アンカー軸c2の打設方向が偏位した(傾いた)としても、羽装置1は既に打設されているため、羽装置1の姿勢が変動する(傾く)ことがない。すなわち、羽部20の一部が地表面9から突出する「浮き」が生じることがない。
また、図1において、羽装置1の上縁が羽部20の上縁(図1の(b)において位置ハと位置ニとを結ぶ線に同じ)に同じであって、かかる上縁が、筒部10に軸心に対して垂直になっているが、本発明はこれに限定するものではなく、上縁が傾斜してもよい。
例えば、羽部20の上縁が筒部10から離れるほど下がるように筒部の軸心に対して傾斜する(ハ字状を呈す)場合には、羽部20と筒部10との接続位置(位置二)を羽装置1の上縁とし、反対に、羽部20の上縁が筒部10から離れるほど上がるように筒部の軸心に対して傾斜する(V字状を呈す)場合には、筒部10から最も離れた位置(位置ハ)を羽装置1の上縁とする。
図2は本発明の実施の形態2に係るアンカー装置の施工方法に用いられる羽装置を説明する、(a)は羽装置を構成する下羽装置を模式的に示す斜視図、(b)は羽装置を構成する上羽装置を模式的に示す斜視図、(c)は羽装置を模式的に示す斜視図である。
なお、実施の形態1(図1)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
図2の(a)において、下羽装置1aは、下筒部10aと、下筒部10aの外周に固定された一対の下羽部20aとからなる。
下筒部10aは、アンカー軸2が貫通自在な内径を具備する円筒であって、外周の下端寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の下位置決め用突起11aと、外周の上段寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の下位置決め用溝12aとが設けられている。一対の下位置決め用突起11aと一対の下位置決め用溝12aとは、何れも円周方向の同一位相に配置され、説明の便宜上、これらは、3時および9時の位置に配置されていると称す。
すなわち、一対の下位置決め用突起11a(一対の下位置決め用溝12aに同じ)と一対の下羽部20aとは、交互に、直交する面内配置されている(円周方向で等分に配置されている)。
さらに、上縁に突出するように下係止用突起部22a(位置ハ、位置ニ、位置ホ、位置ヘにて囲まれた範囲に同じ)が設けられ、下係止用突起部22aには下係止用貫通孔23aが形成されている。
図2の(b)において、上羽装置1bは、上筒部10bと、上筒部10bの外周に固定された一対の上羽部20bとからなる。
上筒部10bは、アンカー軸2が貫通自在な内径を具備する円筒であって、外周の上端寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の上位置決め用突起11bと、外周の下段寄りで軸心を挟んで対称位置に一対の上位置決め用溝12bとが設けられている。一対の上位置決め用突起11bと一対の上位置決め用溝12bとは、何れも円周方向の同一位相に配置され、説明の便宜上、これらは、12時および6時の位置に配置されていると称す。
すなわち、一対の上位置決め用突起11b(一対の上位置決め用溝12bに同じ)と一対の上羽部20bとは、交互に、直交する面内配置されている(円周方向で等分に配置されている)。
さらに、上縁に突出するように上係止用突起部22b(位置ハ、位置ニ、位置ホ、位置ヘにて囲まれた範囲に同じ)が設けられ、上係止用突起部22bには上係止用貫通孔23bが形成されている。
図2の(c)において、下羽装置1aと上羽装置1bとを組み立て、一体にしている。なお、説明の便宜上、かかる一体化されたものを組立羽装置4と称す。
すなわち、下筒部10aの軸心と上筒部10bの軸心とが一致した状態で、両者を重ねている。このとき、下羽装置1aの下羽部20aは上羽装置1bの上位置決め用突起11bに挾持され、下羽装置1aの下位置決め用突起部21aは上羽装置1bの上位置決め用溝12bに侵入している。同様に、上羽装置1bの上羽部20bは下羽装置1aの下位置決め用突起11aに挾持され、上羽装置1bの上位置決め用突起部21bは下羽装置1aの下位置決め用溝12aに侵入している。
したがって、合計4枚の下羽部20aおよび上羽部20bは堅固に位置決めされた状態で、それぞれ直交する面内に配置されている(円周方向で等分に配置されている)。
なお、本発明において「挾持」とは、下羽部20a両面に上位置決め用突起11bが当接するものに限定する意味ではなく、所定の間隔を設けて両者が対峙し、下羽部20aと上位置決め用突起11bとの相対位置が、所定の距離だけ変動するものを含む意味である(実施の形態3においても同様)。
実施の形態2に係るアンカー装置の施工方法、下羽装置1aと上羽装置1bとを組み立て、予め両者を一体化した組立羽装置4を完成した後、組立羽装置4を地山8に打設するものである。すなわち、打設の要領は、実施の形態1(図1)における羽装置1を組立羽装置4に置き換えたものに同じであるから、説明を省略する。つまり、アンカー軸2と組立羽装置4とによってアンカー装置(図示しない)が形成される。
特に、下羽装置1aは一対の下羽部20aが平面を形成し、同様に上羽装置1bの上羽部20bも平面を形成しているから、トラック等への積み込み時に嵩張ることがなく、搬送効率が向上する。また、法面の高い位置に持ち上げる際、一体化された組立羽装置4の重量の略半分の重量である下羽装置1aと上羽装置1bとを、それぞれ持ち上げれば済むため、持ち上げのための装置を小型にすることができたり、作業者の負担を軽減したりすることができる。
例えば、上羽部20bの上縁が上筒部10bから離れるほど下がるように上筒部10bの軸心に対して傾斜する(ハ字状を呈す)場合には、上羽部20bと上筒部10bとの接続位置(位置ト)を上羽装置1bの上縁とし、反対に、上羽部20bの上縁が上筒部10bから離れるほど上がるように上筒部10bの軸心に対して傾斜する(V字状を呈す)場合には、上筒部10bから最も離れた位置(位置へ、上係止用突起22bを除く)を上羽装置1bの上縁とする。
図3〜図6は本発明の実施の形態3に係るアンカー装置の施工方法を説明するものであって、図3および図4は工程を追って説明する模式図、図5は施工終了時の様子を模式的に示す斜視図、図6はアンカー装置を構成する天板を示す平面図である。なお、実施の形態1(図1)および実施の形態2(図2)と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。
なお、打設手段は限定するものではなく、また、下羽装置1aにアダプタ(打設面が形成されている)を載置して、これを介して下羽装置1aを打設してもよい。
そうすると、下降する上羽装置1bの上羽部20bは、既に打設されている下羽装置1aの下位置決め用突起11aに挾持され、上位置決め用突起部21bは下羽装置1aの下位置決め用溝12aに侵入する。同時に、既に打設されている下羽装置1aの下羽部20aは、下降する上羽装置1bの上位置決め用突起11bに挾持され、下位置決め用突起部21aは上位置決め用溝12bに侵入する。やがて、上羽装置1bの上筒部10bの下端が下羽装置1aの下筒部10aの上端に当接する。
よって、下羽装置1aおよび上羽装置1bが何れも一対の下羽部20aおよび上羽部20bを具備するだけであるため、合計4枚の羽部を具備する組立羽装置4の打設に比較して、地山8から受ける摩擦抵抗が略半減する。したがって、下羽装置1aおよび上羽装置1bをそれぞれ別個に打設するための容量(荷重)が略半減する。すなわち、打設のための装置が小型になり、特に、傾斜のきつい法面における設置や運搬(上下方向および水平方向)が容易になるため、施工が迅速になる。
また、下羽装置1aまたは上羽装置1bが打設不能にあった場合であっても、打設不能になった一方だけ、あるいは両方を別個に回収(引き抜く)すれば済み、しかも、何れも一対の羽部を具備するだけであるから、地山8の摩擦抵抗が小さく、回収(引き抜き)が容易である。
よって、実施の形態2と同様に、地中で組み立てられた組立羽装置4の姿勢が変動する(傾く)ことがない。
図6の(a)において、天板3は、中心に貫通孔32が形成された円盤30であって、円盤30の外周に到達する係止用溝部31が4箇所に設けられている。貫通孔32はアンカー軸2が貫通自在な内径を具備している。係止用溝部31は互いに直交する放射線上に配置され、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bが侵入自在な幅と長さを具備している。
なお、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bにそれぞれ形成された下係止用貫通孔23aおよび上係止用貫通孔23bに、ボルトまたピン(図示しない)を挿入して天板3が離脱しないようにしてもよい。このとき、地表面9が盛り上がろうとした際、天板3はかかる盛り上がりの防止に寄与することになる。
図6の(c)において、天板3yは、中心に貫通孔32yが形成された十字状板30yであって、十字状板30yの先端到達する係止用溝部31yが4箇所に設けられている。貫通孔32yはアンカー軸2が貫通自在な内径を具備している。係止用溝部31yは互いに直交する放射線上に配置され、下係止用突起部22aおよび上係止用突起部22bが侵入自在な幅と長さを具備している。
また、以上は、下羽部20aと上羽部20bとが十字状を呈する場合について説明しているが、本発明はこれに限定するものではないから、下羽部20aまたは上羽部20bの配置形態(枚数や配置角度)が変更された場合には、かかる変更された形態に合わせて天板の形状および係止用溝部の数量は変更されるものである。
1a 下羽装置
1b 上羽装置
2 アンカー軸
3 天板
3x 天板
3y 天板
4 組立羽装置
7 試掘
8 地山
9 地表面
10 筒部
10a 下筒部
10b 上筒部
11a 下位置決め用突起
11b 上位置決め用突起
12a 下位置決め用溝用溝
12b 上位置決め用溝用溝
20 羽部
20a 下羽部
20b 上羽部
21a 下位置決め用突起部
21b 上位置決め用突起部
22a 下係止用突起部
22b 上係止用突起部
23a 下係止用貫通孔
23b 上係止用貫通孔
30 円盤
30x 矩形板
30y 十字状板
31 係止用溝部
31x 係止用溝部
31y 係止用溝部
32 貫通孔
32x 貫通孔
32y 貫通孔
100 アンカー装置(実施の形態1)
300 アンカー装置(実施の形態3)
Claims (12)
- 下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなり、該下羽部の上縁に係止用突起部が設けられた下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなり、該上羽部の上縁に係止用突起部が設けられた上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下筒部の軸心と前記上筒部の軸心とが一致した状態で、前記下羽装置と前記上羽装置とを一体化する工程と、
前記一体化された前記下羽装置および前記上羽装置を地山に打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記一体化されて打設されている上羽装置の上筒部と下羽装置の下 筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
円周方向4箇所に等分配置され、前記係止用突起部が係止自在な係止用溝部が形成された天板を用意する工程と、
前記打設されている下羽装置の下羽部に設けられた係止用突起部および前記打設されている上羽装置の上羽部に設けられた係止用突起部が、前記係止用溝部に係止するように前記天板を載置する工程と、
を有することを特徴とするアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置の上筒部の長さが前記上羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記上筒部が前記上羽部の略上半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の上縁と前記上羽装置の上縁とが略同一面になるように一体化することを特徴とする請求項1記載のアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置の上筒部の外周に、前記下羽装置の下羽部が侵入自在な上位置決め手段が設けられ、
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽部が前記下位置決め手段に、前記下羽根が前記上位置決め手段に、それぞれ侵入した状態で一体化することを特徴とする請求項1または2記載のアンカー装置の施工方法。 - 下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなり、該下羽部の上縁に係止用突起部が設けられた下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなり、該上羽部の上縁に係止用突起部が設けられた上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、からなるアンカー装置の施工方法であって、
前記下羽装置を地山に打設する工程と、
前記上羽装置を、前記上筒部の軸心が前記打設されている下羽装置の下筒部の軸心と一致するように打設する工程と、
前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部とに挿入して地山に打設する工程と、
円周方向4箇所に等分配置され、前記係止用突起部が係止自在な係止用溝部が形成された天板を用意する工程と、
前記打設されている下羽装置の下羽部に設けられた係止用突起部および前記打設されている上羽装置の上羽部に設けられた係止用突起部が、前記係止用溝部に係止するように前記天板を載置する工程と、
を有することを特徴とするアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置の上筒部の長さが前記上羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記上筒部が前記上羽部の略上半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の下筒部の長さが前記下羽部の上下方向の長さの略半分であって、前記下筒部が前記下羽部の略下半分の範囲に固定され、
前記下羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設し、前記上羽装置の上縁が地山の表面と略同一面になるように打設することを特徴とする請求項4記載のアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置の上筒部の外周に、前記下羽装置の下羽部が侵入自在な上位置決め手段が設けられ、
前記下羽装置の下筒部の外周に、前記上羽装置の上羽部が侵入自在な下位置決め手段が設けられ、
前記上羽装置を、前記打設されている下羽装置の下位置決め手段に、前記上羽部が侵入するように打設することを特徴とする請求項4または5記載のアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置において、前記上羽部が前記上筒部の軸心を含む面内に配置され、
前記下羽装置において、前記下羽部が前記下筒部の軸心を含む面内に配置されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置の上羽部および上位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記上羽部が前記上筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記上位置決め手段が前記上羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記下羽装置の下羽部および下位置決め手段が、それぞれ一対であって、前記下羽部が前記下筒部の軸心に対して互いに対称に配置され、前記下位置決め手段が前記下羽部に対して垂直の位置に設けられ、
前記打設されている下羽装置の一対の下羽部と前記打設されている上羽装置の一対の上羽部とが互いに垂直に位置決めされた状態で、前記アンカー軸を、前記打設されている上羽装置の上筒部と前記打設されている下羽装置の下筒部に挿入して地山に打設する工程と、
を有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。 - 前記上羽装置および前記下羽装置に係止自在な天板を、前記上羽部の上面および前記下羽部の上面に載置する工程を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。
- 前記下係止用突起部および前記上係止用突起部にそれぞれ下係止用貫通孔および上係止用貫通孔が形成され、
前記天板を前記上羽部の上面および前記下羽部の上面に載置する工程の後、前記下係止用貫通孔および前記上係止用貫通孔にボルトまたはピンを挿入する工程を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載のアンカー装置の施工方法。 - 下筒部および該下筒部の外周に固定された下羽部からなり、該下羽部の上縁に係止用突起部が設けられた下羽装置と、
上筒部および該上筒部の外周に固定された上羽部からなり、該上羽部の上縁に係止用突起部が設けられた上羽装置と、
前記下筒部および前記上筒部を貫通自在な棒状または管状のアンカー軸と、
前記下羽部に設けられた係止用突起部および前記上羽部に設けられた係止用突起部が係止する係止用溝部が形成された天板と、
を有するアンカー装置。 - 前記下係止用突起部および前記上係止用突起部にそれぞれ下係止用貫通孔および上係止用貫通孔が形成され、
前記下係止用貫通孔および前記上係止用貫通孔にボルトまたはピンが挿入自在であることを特徴とする請求項11記載のアンカー装置。
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