JP4911236B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は画像形成装置に関するものである。
特許文献1に従来の画像形成装置の例が開示されている。この画像形成装置は、装置本体と、装置本体に対して装着及び引き出し可能に設けられたドロワーと、ドロワーに保持され、静電潜像が形成される像担持体と、ドロワーに対して移動可能に設けられ、像担持体にトナーを供給して、静電潜像を可視像化する現像ユニットとを備える。
また、この画像形成装置は、装置本体に設けられ、ドロワーが装置本体に装着された状態において、現像ユニットが像担持体と接触する位置である接触位置と、現像ユニットが像担持体から離間する位置である離間位置とに、現像ユニットを移動させる接触離間機構と、装置本体に設けられ、接触離間機構との連結状態において、接触離間機構を駆動する駆動手段と、装置本体の前面を覆い、ドロワーを装置本体から引き出す際に開放されるカバーとを備える。
装置本体の前面側上方には、初期位置から前方に移動することにより、駆動手段と接触離間機構との連結状態を解除するクラッチ切換レバーと、カバーの閉鎖時には、カバーに設けられた操作片と係合することにより、クラッチ切換レバーを初期位置に保持する一方、カバーの開放時には、前記操作片と離反することにより、クラッチ切換レバーを前方に移動させるレバー進退機構とが設けられている。
また、装置本体の前面側下方には、図示しないリンク機構を介してカバーに連結され、カバーの開放動作に連動して前方に移動するカバー連動移動部材と、カバー連動移動部材の移動動作を接触離間機構に駆動力として伝達することにより、ドロワーを装置本体に対して装着及び引き出し可能とするための像担持体に対する現像ユニットの位置である引き出し位置(特許文献1の例では、離間位置。)に、現像ユニットを移動させる第2クラッチ機構とが設けられている。
この画像形成装置では、ドロワーを装置本体から引き出すため、ユーザがカバーを開放すると、操作片を介してレバー進退機構及びクラッチ切換レバーが動作して、駆動手段と接触離間機構との連結状態を解除するとともに、リンク機構を介してカバー連動移動部材及び第2クラッチ機構が動作して、現像ユニットを引き出し位置(離間位置)に移動させるようになっている。
特開2007−178656号公報
しかし、上記従来の画像形成装置は、カバーの開放動作に対して、「操作片〜レバー進退機構〜クラッチ切換レバー」という機構群と、「リンク機構〜カバー連動移動部材〜第2クラッチ機構」という機構群とが別々に動作する構成であることから、装置が複雑、かつ部品点数が多くならざるを得ない。そして、それらの機構群を配置するためのスペースを装置本体内に確保しなければならず、装置の小型化が難しい、という問題がある。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、像担持体及び現像ユニットが設けられたドロワーを装置本体から引き出す作業を容易に行えるとともに、装置の小型化を実現できる画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の画像形成装置は、装置本体と、
前記装置本体に対して装着及び引き出し可能に設けられたドロワーと、
前記ドロワーに保持され、静電潜像が形成される像担持体と、
前記ドロワーに対して移動可能に設けられ、前記像担持体にトナーを供給して、前記静電潜像を可視像化する現像ユニットと、
前記装置本体及び/又は前記ドロワーに設けられ、前記ドロワーが前記装置本体に装着された状態において、前記現像ユニットが前記像担持体と接触する位置である接触位置と、前記現像ユニットが前記像担持体から離間する位置である離間位置とに、前記現像ユニットを移動させる接触離間機構と、
前記装置本体に設けられ、前記接触離間機構との連結状態において、前記接触離間機構を駆動する駆動手段と、
前記ドロワーを前記装置本体から引き出す際に開放されるカバーとを備え
前記接触離間機構は、直線的に往復動作することにより、前記接触位置と前記離間位置とに、前記現像ユニットを移動させる直動カム機構を有し、
前記駆動手段は、電動モータと、前記電動モータの駆動力を前記直動カム機構に伝達する駆動伝達部と、前記駆動伝達部による前記直動カム機構への駆動力の伝達を解除するクラッチ機構とを有する画像形成装置であって、
前記カバーに連結され、前記カバーの閉鎖時には初期位置にあり、前記カバーの開放に連動して動作完了位置まで変位するアームを備える連動機構を備え、
前記アームは、第1作用部と第2作用部とを有し、
前記第1作用部は、前記アームが前記初期位置から前記動作完了位置に向けて変位することにより、前記クラッチ機構に作用して前記駆動伝達部による前記直動カム機構への駆動力の伝達を解除し、前記駆動手段と前記接触離間機構との連結状態を解除する第1の動作を行うように構成され、
前記第2作用部は、前記第1作用部が前記連結状態を解除した後、さらに前記アームが前記動作完了位置に向けて変位することにより、前記直動カム機構に直に接触して前記往復動作の一方の方向に変位させ、前記接触位置及び前記離間位置の一方であって、前記ドロワーを前記装置本体に対して装着及び引き出し可能とするための前記像担持体に対する前記現像ユニットの位置である引き出し位置に、前記現像ユニットを移動させる第2の動作行うように構成されていることを特徴とする(請求項1)。
本発明の画像形成装置では、動作状況に応じて駆動手段及び接触離間機構が適宜作動して、接触位置と離間位置とに、現像ユニットを移動させる。そして、ドロワーを装置本体から引き出す際には現像ユニットが引き出し位置に移動した状態となっている必要があるが、例えば、画像形成動作の途中において、何らかの都合により電源が切られてしまうと、現像ユニットが引き出し位置に移動していない事態が生じ得る。
この場合でも、ユーザがカバーを開放すると、連動機構が備えるアームは、カバーの開放に連動して動作完了位置まで変位する。この変の際、アームが有する第1作用部は、アームが初期位置から動作完了位置に向けて変位することにより、クラッチ機構に作用して駆動伝達部による直動カム機構への駆動力の伝達を解除し、駆動手段と接触離間機構との連結状態を解除する第1の動作を行う。そして、アームが有する第2作用部は、第1作用部が連結状態を解除した後、さらにアームが動作完了位置に向けて変位することにより、直動カム機構に直に接触して往復動作の一方の方向に変位させ、接触位置及び離間位置の一方であって、ドロワーを装置本体に対して装着及び引き出し可能とするための像担持体に対する現像ユニットの位置である引き出し位置に、現像ユニットを移動させる第2の動作行う。このため、ユーザは、カバーを開放する際、駆動手段と接触離間機構との連結状態を解除する操作や、引き出し位置に現像ユニットを移動させる操作を行わなくてもよい。
また、この画像形成装置では、連動機構が第1の動作と第2の動作とを連動させて行うように構成されている。このため、「操作片〜レバー進退機構〜クラッチ切換レバー」という機構群と、「リンク機構〜カバー連動移動部材〜第2クラッチ機構」という機構群とが別々に動作する構成である従来技術と比較して、装置の簡略化や部品点数の削減を実現できるので、連動機構の構成要素等を配置するために確保すべき装置本体内のスペースを小さくできる。
したがって、本発明の画像形成装置は、像担持体及び現像ユニットが設けられたドロワーを装置本体から引き出す作業を容易に行えるとともに、装置の小型化を実現できる。
特に、アームが第1作用部と第2作用部とを有する構成により、カバーを開放する際に上記の煩わしい操作をユーザに行わせないようにすることを確実に実現できる。また、アームが第1作用部と第2作用部とを有する構成により、従来技術と比較して、装置の簡略化や部品点数の削減を確実に実現でき、第1、2作用部等を配置するために確保すべき装置本体内のスペースを確実に小さくできる。
また、第2作用部が接触離間機構に接触して、引き出し位置に現像ユニットを移動させる際、接触離間機構との連結状態が解除された駆動手段から抵抗を受けないので、ユーザはスムーズにカバーを開放できる。また、この際、仮に駆動手段と接触離間機構との連結状態が解除されていなければ、接触離間機構から駆動手段に対して逆方向に駆動力が伝達されることにより駆動手段が故障するおそれがあるが、上記構成により、このような不具合も防止できる。
本発明の画像形成装置において、第1作用部は、カバーの閉鎖に連動して、アームが動作完了位置から初期位置に向けて変位することにより、クラッチ機構に作用して駆動手段と接触離間機構との連結状態を復元するように構成されていることが望ましい(請求項)。この構成によれば、ユーザがカバーを閉鎖する動作により、駆動手段と接触離間機構との連結状態を復元できるので、ユーザは、その復元のための特別な操作を行わなくてもよくなり、ドロワーを装置本体に装着する作業を容易に行える。
本発明の画像形成装置において、直動カム機構は、往復動作の方向に延びて、駆動伝達部により電動モータの駆動力が伝達されるラックギヤ部と、第2作用部により押圧を受けて、往復動作の方向に変位する受動部とを有し、クラッチ機構は、駆動伝達部によるラックギヤ部への駆動力の伝達を解除することが望ましい(請求項)。この構成によれば、簡易な直動カム機構により、接触位置と離間位置とに、現像ユニットを移動させることができる。また、受動部の変位する方向と、ラックギヤ部の変位する方向とが一致するので、駆動手段からの駆動力により直動カム機構が往復動作する場合と、カバーの開放動作により直動カム機構がスライドする場合とに対応する装置構成を容易に実現できる。
また、この構成によれば、クラッチ機構により、駆動手段と接触離間機構との連結状態の解除及び復元を良好に行える。
本発明の画像形成装置において、アームの下端側には、直動カム機構の往復動作に伴う受動部の変位の軌跡より下方において、装置本体に揺動可能に支持された揺動軸が設けられ、アームの上端側には、受動部の変位の軌跡より上方においてカバーの開放動作が入力される入力部が設けられ、第2作用部は、揺動軸と入力部との間に位置していることが望ましい(請求項)。この構成によれば、支点(揺動軸)と入力点(入力部)との間に出力点(第2作用部)が位置する。このため、カバーの開放動作の入力が小さくても、てこの原理により、第2作用部が大きな押圧力で受動部を押圧して、直動カム機構を確実に移動させることができる。
上記(請求項3又は4)の場合において、クラッチ機構は、駆動伝達部において電動モータからラックギヤ部に駆動力を伝達する経路の途中に配設される差動ギヤと、第1作用部に連結され、第1作用部の変位に伴って変位して差動ギヤに対して係合又は離反する変位部材とにより構成されることが望ましい。そして、クラッチ機構は、変位部材が差動ギヤから離反して、その回動を許容することにより、駆動力の伝達を解除する一方、変位部材が差動ギヤに係合して、その回動を禁止することにより、駆動力の伝達を復元することが望ましい(請求項)。この構成によれば、差動ギヤによりクラッチ機構を小型化でき、よって装置の小型化を実現できる。
また、上記(請求項3又は4)の場合において、クラッチ機構は、駆動伝達部において電動モータからラックギヤ部に駆動力を伝達する経路の途中に直列に配設される第1ギヤ及び第2ギヤと、第1作用部の変位に伴って第1ギヤと第2ギヤとを接近又は離反させるギヤ間隔変更機構とにより構成されることが望ましい。そして、クラッチ機構は、ギヤ間隔変更機構が第1ギヤと第2ギヤとを離反させることにより、第1ギヤと第2ギヤとを噛合させなくして駆動力の伝達を解除する一方、ギヤ間隔変更機構が第1ギヤと第2ギヤとを接近させることにより、第1ギヤと第2ギヤとを噛合させて駆動力の伝達を復元することが望ましい(請求項)。この構成によれば、第1ギヤ及び第2ギヤとギヤ間隔変更機構とによりクラッチ機構を小型化でき、よって装置の小型化を実現できる。また、上記請求項に係るクラッチ機構における差動ギヤは、一般的に入力ギヤと遊星ギヤと出力ギヤとからなる。このため、部品点数が多く、構成が複雑であるため、製造コストの低廉化が難しい。これに対して、上記構成であるクラッチ機構では、第1ギヤ及び第2ギヤにより部品点数を削減でき、構成も簡素化できるので、製造コストの低廉化を実現できる。また、上記請求項に係るクラッチ機構における差動ギヤは、入力ギヤと遊星ギヤと出力ギヤとが3層に重なるのに対して、上記構成であるクラッチ機構では、第1ギヤと第2ギヤとが2層に重なるだけので、装置の機幅を狭くし易い。
上記(請求項)の場合において、ギヤ間隔変更機構は、装置本体に設けられ、第1ギヤを回転可能に支持しつつ、第1ギヤの第2ギヤに対する接近又は離反を許容する第1ギヤ支持部と、第1作用部に設けられ、アームが初期位置から動作完了位置に向けて変位することにより、第1ギヤに摺接して、第1ギヤを第2ギヤに対して離反させるように押圧する第1ガイド面と、第1作用部に設けられ、アームが動作完了位置から初期位置に向けて変位することにより、第1ギヤに摺接して、第1ギヤを第2ギヤに対して接近させるように押圧する第2ガイド面とを有することが望ましい(請求項)。この構成によれば、第1ギヤ支持部と、第1ガイド面と、第2ガイド面とにより、ギヤ間隔変更機構の部品点数を削減でき、構成も簡素化できるので、製造コストの一層の低廉化を実現できる。
本発明の画像形成装置において、引き出し位置は接触位置であり、ドロワーには、接触離間機構を構成し、ドロワーが装置本体に装着された状態において、接触位置に現像ユニットを移動させるとともに、ドロワーを装置本体から引き出す途中にも、現像ユニットを接触位置に保持する接触機構が設けられていることが望ましい(請求項)。この構成によれば、ドロワーを装置本体から引き出す際、像担持体に対して現像ユニットが接触する状態となっていることにより、ドロワーが通過する開口部の上下方向の高さを小さくできるので、装置の薄型化を実現できる。
実施例1の画像形成装置の概略断面図である。 実施例1の画像形成装置に係り、ドロワーに1つの現像ユニットが装着された状態を示す斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、ドロワーから1つの現像ユニットが取り外された状態を示す斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、全ての現像ユニットが接触位置にある状態を示す要部斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、現像ユニットが接触位置にある状態における、現像ユニット、像担持体及び接触離間機構の相対位置関係を示す模式的な側面図である。 実施例1の画像形成装置に係り、離間機構、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、左側の直動カムを示す斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(直動カムが最前方にあり、アームが初期位置にある状態。)。 実施例1の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(直動カムが最後方にあり、アームが初期位置にある状態。)。 実施例1の画像形成装置に係り、駆動伝達部とクラッチ機構とを示す要部拡大断面図である。 実施例1の画像形成装置に係り、ブラックの現像ユニットのみが接触位置にある状態を示す要部斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、現像ユニットが離間位置にある状態における、現像ユニット、像担持体及び接触離間機構の相対位置関係を示す模式的な側面図である。 実施例1の画像形成装置に係り、全ての現像ユニットが離間位置にある状態を示す要部斜視図である。 実施例1の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(直動カムが最後方にあり、アームが初期位置から動作完了位置に向かって変位する途中の状態。)。 実施例1の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(アームが動作完了位置まで変位して、直動カムを最前方まで移動させた状態。)。 実施例2の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(直動カムが最後方にあり、アームが初期位置にある状態。)。 実施例2の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段及び第1作用部を抜き出して示す斜視図である。 実施例2の画像形成装置に係り、駆動手段及び第1作用部を抜き出して示す斜視図である。 実施例2の画像形成装置に係り、第1作用部、大径ギヤ(第1ギヤは大径ギヤの右側に一体形成され、図18では隠れている。)、第2ギヤ及び入力ラックギヤ部を抜き出して示す斜視図である。 実施例2の画像形成装置に係り、ギヤ間隔変更機構が第1ギヤと第2ギヤとを接近させることにより、第1ギヤと第2ギヤとが噛合して駆動力の伝達が復元された状態を示す模式図である。 実施例2の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(直動カムが最後方にあり、アームが初期位置から動作完了位置に向かって変位する途中の状態。)。 実施例2の画像形成装置に係り、ギヤ間隔変更機構が第1ギヤと第2ギヤとを離反させることにより、第1ギヤと第2ギヤとが噛合しなくなって駆動力の伝達が解除された状態を示す模式図である。 実施例2の画像形成装置に係り、直動カム、駆動手段、アーム、第1作用部及び第2作用部を示す側面図である(アームが動作完了位置まで変位して、直動カムを最前方まで移動させた状態。)。
以下、本発明の画像形成装置を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタ1は、電子写真方式により被記録媒体としての用紙(OHPシート等を含む。)にカラー画像を形成するカラーレーザプリンタである。図1では、紙面右側を装置の前側と規定し、紙面左側を装置の後側と規定する。また、装置を前側から見た場合に左手に来る側(紙面手前側)を左側と規定し、その反対側を右側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、図2以降の各図に示す各方向は、全て図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、図1に基づいて、プリンタ1が備える各構成要素について説明する。
1.概略構成
ハウジング2は略箱状体であり、その内側にはフレーム部材(図4等に、フレーム部材を構成する右側の本体側板81を示す。)が設けられている。フレーム部材には、給紙部220、画像形成部10、搬送ユニット11及び定着器13等が組み付けられている(図1参照)。
ハウジング2の上面側には、画像形成を終えた用紙が排出される排出トレイ14が設けられている。ハウジング2内において、下方の給紙部220から画像形成部10、搬送ユニット11及び定着器13等を介して上方の排出トレイ14に到る略「S」字状の経路(図1中、太い二点鎖線で示す。)が用紙の搬送経路Pである。ハウジング2の前面には、下端側を揺動中心軸として開閉可能なフロントカバー3が設けられている。
2.給紙部
給紙部220は、ハウジング2の下方に着脱可能に収納された給紙トレイ221、給紙トレイ221の前端部上方に設けられて給紙トレイ221に載置された用紙を搬送経路Pに送り出す給紙ローラ222、及び用紙に所定の搬送抵抗を与えることで給紙ローラ222により送り出される用紙を1枚毎に分離する分離パッド223等を有している。
そして、用紙の搬送経路Pのうち、前方の略U字状に転向する部位には、画像形成部10に向けて用紙を搬送する搬送ローラ224、225と、用紙の先端に接触することでその用紙の斜行を補正し、さらに画像形成部10に向けて搬送するレジストローラ226、227とが設けられている。
3.搬送ユニット
搬送ユニット11は、給紙トレイ221と画像形成部10との間に配置されており、搬送ベルト11C及び4つの転写ローラ12等を有している。
搬送ベルト11Cは、画像形成部10の後端側下方に位置する駆動ローラ11Aと、画像形成部10の前端側下方に位置する従動ローラ11Bとの間に巻き付けられている。そして、駆動ローラ11Aが給紙部220と同期して回転することにより、搬送ベルト11Cが駆動ローラ11Aと従動ローラ11Bとの間を循環する。搬送ベルト11Cの上側の面は、画像形成部10の直下において略水平に配置されており、用紙の裏面と当接して、用紙を搬送経路P(略U字状部分から続く直線部分)に沿って搬送する用紙搬送面11Dとされている。
各転写ローラ12は、用紙搬送面11Dの裏面側から搬送ベルト11Cに当接する状態で、搬送ユニット11に設けられている。導電性ゴム製の搬送ベルト11Cは、各転写ローラ12に転写電圧が印加されることにより負帯電し、その静電気力で用紙を用紙搬送面11Dに吸着させつつ、搬送経路Pに沿って搬送する。
4.画像形成部
画像形成部10は、スキャナ部9、本発明の像担持体の一例としての4つの感光体ドラム5、及び本発明の現像ユニットの一例としての4つのプロセスカートリッジ8等により構成されている。
スキャナ部9は、ハウジング2内の最上方に位置しており、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等を有している。そして、レーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が折り返され、さらに、反射鏡によって光路が下方に屈曲されることにより、各感光体ドラム5の表面上に照射され、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色に対応する静電潜像を形成する。
各感光体ドラム5及び各プロセスカートリッジ8は、ブラック、イエロー、マゼンダ、シアンの4色に対応しており、スキャナ部9の下方、かつ用紙搬送面11Dの上方において、用紙搬送面11Dの搬送方向上流から下流に向けて直列に配設されている。このように、各感光体ドラム5及び各プロセスカートリッジ8が用紙の搬送経路P中の所定範囲内において搬送方向に沿って直列に配設された構成を「タンデム式」という。
各感光体ドラム5は、樹脂製円筒体(図2等に示すドラム本体47。)の最表層に正帯電性の感光層が形成されたものである。各感光体ドラム5の近傍には、感光体ドラム5の感光層に対向するように、周知の帯電器6が配設されている。
各プロセスカートリッジ8は、後側下方が開口されたボックス形状の現像フレーム51、現像フレーム51の内部上方に設けられ、トナーが収容されるトナー収容室7A、現像フレーム51の下方に設けられた供給ローラ7B、及び現像フレーム51の開口から露出して、感光体ドラム5と対面する現像ローラ7C等を有している。そして、トナー収容室7A内のトナーは、供給ローラ7Bの回転によって現像ローラ7C側に供給されて、現像ローラ7Cの表面に担持され、層厚規制ブレード7Dにより所定の厚みに調整された後、感光体ドラム5の表面に供給される。
5.定着器
定着器13は、用紙の搬送経路Pにおいて画像形成部10より搬送方向下流側に位置しており、用紙の画像形成面側に配設された加熱ローラ13Aと、用紙を挟むように加熱ローラ13Aと反対側に配設された加圧ローラ13Bとを有している。加熱ローラ13Aは、搬送ベルト11C等と同期して回転し、用紙に転写されたトナーを加熱しつつ、用紙に搬送力を付与する。一方、加圧ローラ13Bは、用紙を加熱ローラ13A側に押圧しながら従動回転する。これにより、定着器13は、用紙に転写されたトナーを加熱溶融させて用紙に定着させるとともに、用紙を搬送経路Pの下流側に搬送する。なお、搬送経路Pは、定着器13より下流側で、上方に向けて略U字形状にカーブしている。そして、搬送経路Pの搬送方向最も下流側には、排出ローラ228、229と排出トレイ14とが位置している。
6.画像形成動作の概略
プリンタ1において画像形成動作が開始されると、給紙部220及び搬送ユニット11が稼動して用紙が画像形成部10に搬送され、スキャナ部9、各感光体ドラム5及びプロセスカートリッジ8等が稼動する。そうすると、回転する各感光体ドラム5の表面が帯電器6により一様に正帯電された後、スキャナ部9から照射されるレーザビームにより露光されて、各感光体ドラム5の表面に画像形成用データに対応する静電潜像が形成される。
一方、現像ローラ7C上に担持され、かつ、正帯電されているトナーは、現像ローラ7Cが各感光体ドラム5に対向して接触しつつ回転することにより、各感光体ドラム5の表面上に形成されている静電潜像に供給される。これにより、各感光体ドラム5の静電潜像は可視像化され、各感光体ドラム5の表面には反転現像によるトナー像が担持される。
その後、各感光体ドラム5の表面上に担持されたトナー像は、各転写ローラ12に印加される転写電圧によって用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙が定着器13に搬送されると、加熱ローラ13A及び押圧ローラ13Bにより加熱加圧されて、トナー像が用紙に定着する。最後に、画像が形成された用紙が排出トレイ14に排出されて、画像形成動作が終了する。
7.ドロワー
図1に示すように、プリンタ1では、保守や消耗品の交換を容易にするため、以下に詳述する通り、各感光体ドラム5がドロワ−4に保持されているとともに、各プロセスカートリッジ8がドロワ−4に対して着脱可能に保持されている。そして、ドロワー4は、フロントカバー3を開放した状態で、ハウジング2内から手前に向かって引き出されたり、手前からハウジング2内の奥側に向かって挿入されることにより、プリンタ1の装置本体に対して装着及び引き出し可能とされている。具体的には、装着位置はドロワー4が印字可能な位置であり、その位置からハウジング2の外側へ引き出し可能に構成され、ドロワー4は、装着位置から引き出し位置との間を移動可能に構成されている。そして、ドロワー4を引き出すことで、プロセスカートリッジ8が交換可能となる。ここで、装置本体とは、各感光体ドラム5と、各プロセスカートリッジ8と、ドロワー4とを除いたプリンタ1の上記構成要素(ハウジング2、フレーム部材、給紙部220、スキャナ部9、搬送ユニット11及び定着器13等)のことである。また、ドロワー4は、ハウジング2の外側まで引き出された状態で装置本体から取り外すこともできる。なお、ドロワー4がハウジング2の外側まで引き出された状態でドロワー4を装置本体から取り外せない構成も本発明に含まれる。
図2及び図3に示すように、単体としてのドロワー4は、前方のフロントビーム21と、後方のリヤビーム22と、フロントビーム21とリヤビーム22との間で前後方向に並ぶ4つの中間ビーム20と、前後方向に延在し、かつ幅方向(各図に示す左右方向と同じ方向。)で対向する1対の第1側板23(図4に示す。)と、各第1側板23の幅方向外側に添設された1対の第2側板24とが一体に組み付けられたものである。
フロントビーム21は本実施例では樹脂製であり、1対の第1側板23の前端部間に架設されている。フロントビーム21は、支持軸25を保持している。支持軸25は、フロントビーム21を幅方向に沿って貫通するように配置され、フロントビーム21から幅方向外方に突出し、さらに第1側板23の支持軸挿通孔30(図4参照)及び第2側板24の支持軸挿通孔35(図2参照)を貫通して幅方向外方に突出している。フロントビーム21の幅方向中央には、上方に向けて突出する手前側把持部26が設けられている。
リヤビーム22は本実施例では樹脂製であり、1対の第1側板23の後端部間に架設されている。リヤビーム22の幅方向中央には、後方から斜め上方に向けて突出する奥側把持部27が設けられている。手前側把持部26と奥側把持部27とは、ドロワー4の着脱時にユーザにより把持される。
4つの中間ビーム20は本実施例では樹脂製であり、1対の第1側板23間において、前後方向に間隔を空けて架設されている。各中間ビーム20は幅方向に細長く、前側下方が開放された略三角柱状に成形されている。各中間ビーム20には、帯電器6(図1に示す。)と、感光ドラム5の表面をクリーニングするためのクリーニング部材(図示せず)が保持されている。
図4に右側の第1側板23を左方向から見た図を示す。なお、左右の第1側板23は、本実施例では同一のプレス型を用いた金属板のプレス加工により、同一形状に作製されるものである。第1側板23は、前後方向に延びる略細長矩形板状に形成されている。図示は省略するが、各第1側板23の前端部及び後端部は、それぞれフロントビーム21及びリヤビーム22を幅方向外側から挟むように対向している。
第1側板23の後端側には、後ろ方向斜め上に向かって延びる傾斜部と、傾斜部の後端から略真上に向けて延びる直線部とが形成されている。そして、傾斜部と直線部との境界付近には、略V字状に切り欠いた形状の切欠部31が形成されている。また、第1側板23には、前後方向に並ぶ4つの円形のドラム支持孔32が形成されている。
図2及び図3に示すように、第2側板24は、本実施例では繊維強化樹脂製であり、左右に一対設けられている。第1側板23(図4参照。)と比較して、上下方向に幅広かつ前後方向にほぼ同じ長さを有する側面視略細長矩形板状に形成されている。第2側板24の前端部及び後端部は、それぞれフロントビーム21及びリヤビーム22を第1側板23を介して幅方向外側から挟むように対向している。
第2側板24の上端部には、幅方向外側に延びる鍔部33が前後方向にわたって形成されている。鍔部33の前端部には、その下面から前側上方に向けて傾斜する傾斜面34が形成されている。
第2側板24の後端部であって、鍔部33の下方は、第2側板24の前方側よりも上下方向に幅狭に形成されている。具体的に、第2側板24の下端縁は後方に向かうに従って、上向きになるように傾斜している。この第2側板24の後端部には、第1側板23の切欠部31(図4参照。)と幅方向に対向する位置に、切欠部31とほぼ同じ形状の切欠部36が形成されている。
図4に右側の第2側板24を左方向から見た図を示す。第2側板24の幅方向内側を向く面には、左右の第2側板24間に対するプロセスカートリッジ8の着脱(図2及び図3参照。)を案内するための4つのカートリッジ案内部37が前後方向に互いに一定間隔を空けて形成されている。カートリッジ案内部37は、第2側板24の内側面から幅方向内側に向かって突出し、互いに間隔を隔てて形成される2本の突条から形成される。カートリッジ案内部37は、第2側板24の上端部から後方向斜め下に向けて一定勾配で傾斜し、カートリッジ保持部38と連結する。カートリッジ保持部38は、感光ドラム5の中心と現像ローラ7Cの中心とを結ぶ直線H(図1に示す。)に平行に形成され、その下端部が感光ドラム5に向けて開放されている。
図3及び図4に示すように、第2側板24の内側面の上端部には、後述する押圧カム76を揺動可能に支持する4つの第2支持軸39が前後方向に互いに一定間隔を空けて突設されている。また、図3に示すように、第2側板24の内側面の上端部には、4つの当接溝50が前後方向に互いに一定間隔を空けて形成されている。図5に、ドロワー4に装着されたプロセスカートリッジ8を幅方向から見た場合における、第2支持軸39、当接溝50、及びカートリッジ保持部38の相対位置関係を示す。
図2及び図3に示すように、左側の第2側板24には、各感光ドラム5の軸方向左端部を露出させる4つのドラムカップリング挿通孔40が前後方向に一定間隔を空けて並んで形成されている。ドラムカップリング挿通孔40は、各感光ドラム5の軸方向左端部及び右側の第1側板23に設けられたドラム支持孔32と幅方向に対向する位置において、第2側板24を厚さ方向に貫通する丸孔として形成されている。また、左側の第2側板24にも、右側の第2側板24の各カートリッジ案内部37に対向する位置に、カートリッジ案内部37が形成されている。各カートリッジ案内部37の上下方向の途中部に、それぞれ現像カップリング挿通孔41が形成されている。図2に示すように、左右の第2側板24間に各プロセスカートリッジ8が装着された状態で、各現像カップリング挿通孔41には、プロセスカートリッジ8の左側面に設けられた現像カップリング64が対向する。
図示は省略するが、右側の第2側板24には複数個の電極が設けられている。これらの電極は、ドロワー4が装置本体に対して装着された状態で、右側の本体側板81の幅方向内側面から対向する右側の第2側板24に向けて突出する複数個のバネ状の電極と接触することにより、装置本体に設けられた電源と、プロセスカートリッジ8及び帯電器6等とを電気的に接続する。
図2及び図3に示すように、感光ドラム5は、円筒状のドラム本体47の両端部にそれぞれ相対回転不能に嵌合される2つのフランジ部材48を有している。左右のフランジ部材48は、それぞれ軸受部材(図示せず)によって、左右の第1側板23のドラム支持孔32(図4参照)に対して回転可能に支持されている。また、左側のフランジ部材48の左側端面には、ハウジング2内に設けられた駆動伝達部(図示せず。)と結合されて、感光ドラム5を回転させる結合溝49(図3参照)が設けられている。
図3及び図5に示すように、現像フレーム51は、左右1対の側壁55と、1対の側壁55を連結する前壁56、後壁57及び上壁58とを有している。現像ローラ7Cのローラ軸59の軸方向両端部は、側壁55の下端部を貫通し、幅方向外側に突出している。
各側壁55における前側上方の位置には、支持軸60が設けられている。支持軸60は、側壁55から幅方向外側に向けて突設されている。支持軸60には、移動部材61が揺動可能に支持されている。支持軸60に対して前側上方の位置には、円柱状の現像押圧ボス62が側壁55から幅方向外側に向けて突設されている。さらに、支持軸60回りには図示しないバネが設けられ、バネの付勢力によって移動部材61が図5における反時計回り方向に付勢されている。
図3に示すように、支持軸60の上方には、移動部材61の揺動範囲を規制するための規制ボス63が側壁55から幅方向外側に向けて突設されている。左側の側壁55において、ローラ軸59に対して前側上方の位置には、現像カップリング64が配置されている。現像カップリング64は、現像ローラ7C及び供給ローラ7B(図1参照)に対して回転駆動力を伝達するための複数のギヤ(図示せず)に接続されている。
図3及び図5に示すように、移動部材61は、プロセスカートリッジ8の幅方向における両側に1対設けられており、支持軸60の軸方向と直交する方向に延びる本体部70を有している。本体部70の一端部は、支持軸60に回動可能に支持される作用部71をなしている。本体部70の他端部は、幅方向外側に屈曲して、さらに幅方向外側に突出しており、その突出した部分が入力部72とされている。本体部70の途中部には、幅方向外側に向けて突出する円柱形状のボス73が形成されている。
8.接触機構
図3〜図5に示すように、ドロワー4の各第2側板24には、プロセスカートリッジ8がドロワー4に装着される途中及び装着された状態で、各現像押圧ボス62に作用する接触機構75が設けられている。接触機構75は、4つの押圧カム76と、各押圧カム76を各現像押圧ボス62に弾性的に押圧する4つの押圧ばね77(図5に示す。)とを備えている。
図5に示すように、押圧カム76は、側面視略三角形板状に形成されている。押圧カム76の一角部には、第2側板24の幅方向内側に突出する第2支持軸39が挿通され、押圧カム76は、この第2支持軸39により、揺動可能に支持されている。押圧カム76は、支持軸39に支持された一角部から後側斜め上方に延びる姿勢に設けられている。押圧ばね77は、第2支持軸39に巻き回されており、その一端部が第2側板24の鍔部33上に係止され、その他端部が押圧カム76に係止されている。これにより、押圧カム76は、その先端部が後側下方に向けて付勢され、プロセスカートリッジ8がドロワー4に装着された状態で、現像押圧ボス62に対して前側上方から当接して、現像押圧ボス62を下方に向けて付勢する。
9.現像カートリッジのドロワーへの装着動作
各色のプロセスカートリッジ8は、図3に示すように、左右の第2側板24の間に、上方から装着される。このとき、プロセスカートリッジ8の現像フレーム51の両側壁55から突出するローラ軸59の両端部がカートリッジ案内部37に上方から導入される。そして、ローラ軸59の両端部がカートリッジ案内部37に案内されることにより、プロセスカートリッジ8が下方に移動する。
そして、図5に示すように、プロセスカートリッジ8が、カートリッジ保持部38に案内され、現像ローラ7Cが感光ドラム5に接触すると、それ以上のプロセスカートリッジ8の押し込みが規制され、現像ローラ7Cが感光ドラム5に対し位置決めされる。この際、プロセスカートリッジ8の現像押圧ボス62は、左右方向(図5の紙面手前側から紙面奥側に向かう方向)から見て、押圧カム76と移動部材61の作用部71との間を通って、押圧カム76の下側に潜り込む。そうすると、現像押圧ボス62が押圧ばね77及び押圧カム76により下方に付勢され、その結果、プロセスカートリッジ8が下方に押圧されて、現像ローラ7Cが感光ドラム5と接触し、さらに感光ドラム5を押圧する状態となる。この状態では、移動部材61のボス73は、第2側板24の当接溝50内に入り込み(図2参照)、当接溝50の下面に対してわずかに間隔を空けた位置に配置される。
図5に示すプロセスカートリッジ8の位置、すなわち、現像ローラ7Cが感光ドラム5と接触する位置が「接触位置」である。上述したように、本実施例では、この「接触位置」において現像ローラ7Cが感光ドラム5を押圧する構成となっているが、「接触位置」において現像ローラ7Cが感光ドラム5と単に接触する構成も本発明に含まれる。また、この「接触位置」は、ドロワー4を装置本体に対して装着及び引き出し可能とするための感光ドラム5に対する現像ローラ7Cの位置、すなわち、「引き出し位置」でもある。なお、後述する通り、図12に示すプロセスカートリッジ8の位置、すなわち、現像ローラ7Cが感光ドラム5から離間する位置が「離間位置」である。
図2に示すように、各プロセスカートリッジ8がドロワー4に装着されると、各現像カップリング64は、各現像カップリング挿通孔41に対向する。そして、このような状態のドロワー4がハウジング2に対して装着され、上記した装着位置に到達すると、各現像カップリング挿通孔41に対して、ハウジング2(図1参照)内に設けられたモータ(図示せず)からの駆動力を伝達するための駆動伝達部(図示せず)が挿通される。各駆動伝達部が各現像カップリング64に結合されることにより、各駆動伝達部及び現像カップリング64を介して、現像ローラ7C及び供給ローラ7B(図1参照)に回転駆動力が伝達される。
10.ドロワーを装置本体に対して装着する際の位置決め構造及び装着動作
図4に示すように、ハウジング2内には、幅方向に互いに間隔を空けて対向する1対の本体側板81(右側の本体側板81のみを示す。)が設けられている。本体側板81の前端部には、各第2側板24の鍔部33に下側から当接し、ドロワー4をハウジング2内に対してスライド自在に案内するためのころ部材82が回転可能に支持されている。また、左右の本体側板81の後端部間には、1本の本体基準軸83が架設されている。
ドロワー4を装置本体に対して装着する際には、まず、フロントカバー3(図1参照。)を開いた状態で、第2側板24の鍔部33の後端縁をころ部材82に対して上側から当接させる。その後、ドロワー4をハウジング2内の奥側に向けて挿入すると、鍔部33がころ部材82上をスライドして、ドロワー4がハウジング2内の奥まで案内される。この際、各入力部72は、後述する直動カム92の各カム部96の上方を移動する。そして、ころ部材82が鍔部33の前側に設けられた傾斜面34(図2等参照。)に当接すると、ドロワー4が全体的に下方に移動した後、第1側板23の切欠部31が本体基準軸83に上方及び前方から当接する。そして、支持軸25の両端部が本体側板81の前縁に設けられた溝部130を後側かつ下側に押すことによって、それ以上のドロワー4の押し込みが規制される。この際、各入力部72は、後述する各カム部96の間に入るように下方に移動する。こうして、ドロワー4の装置本体に対する装着動作が完了する。
なお、ドロワー4を装置本体から引き出す動作は、上述した装着動作の逆となる。ここで、ドロワー4を装置本体から引き出す途中においても、接触機構75は、押圧ばね77の付勢力により、プロセスカートリッジ8を引き出し位置(接触位置)に保持する。このため、ドロワー4が通過するハウジング2内の開口部の上下方向の高さを小さくでき、装置の薄型化を実現している。また、ドロワー4がハウジング2の外側まで引き出された状態で装置本体から取り外された後においても、接触機構75は、押圧ばね77の付勢力により、プロセスカートリッジ8を引き出し位置に保持する。このため、プロセスカートリッジ8のガタツキが生じ難く、ユーザがドロワー4を引っくり返しても、プロセスカートリッジ8の意図しない落下が生じ難い。
11.離間機構
図4に示すように、ハウジング2内において本体側板81の上方には、離間機構91が設けられている。離間機構91は、ドロワー4が装置本体に対して装着された状態において、接触機構75と連携動作することにより、各プロセスカートリッジ8が各感光ドラム5と接触する位置である「接触位置」(図5に示す位置。)と、各プロセスカートリッジ8が各感光ドラム5から離間する位置である「離間位置」(図12に示す位置。)とに移動させるものである。
離間機構91は、1対のレール93と、1対のレール93により前後方向に直線移動可能に保持された1対の直動カム92と、各直動カム92を同期して直線移動させるための同期移動機構94とを有している。
各レール93(右側のレール93のみを示す。)は、ハウジング2内の左右方向両側において本体側板81に固定され、前後方向に延びる側面視略矩形状の本体部99と、本体部99の上端縁から幅方向内側に向けて延びる第1鍔部100と、本体部99の下端縁から幅方向内側に向けて延びる第2鍔部101とを有している。第2鍔部101には、その幅方向内側端縁からさらに上方へ向けて延びる止め部102が形成されている。止め部102の前後方向途中部には、その上端から切り欠かれた形状の4つの凹部103が形成されている。
本体部99及び第1鍔部100の後端部には、上面から側面視矩形状に切り欠かれた切欠部104が形成されている。第2鍔部101上には、直動カム92が、幅方向内側にカム部96を突出させた状態で配置されている。直動カム92は、レール93に沿ってスライド自在に設けられており、直動カム92の後端部は、直動カム92の位置にかかわらず、切欠部104から上方に常に露出している。
図6に示すように、左右の直動カム92は、基本的には、勝手違いの同一形状である。但し、図7に示すように、左側の直動カム92の左側面の略中央には、前後方向に延在する入力ラックギヤ部92Aが一体に形成されている。また、左側の直動カム92の左側面の前端部には、幅方向外側に向けて突出する柱状の受動部92Dが一体に形成されている。受動部92Dは、後述する通り、アーム500が図9に示す位置から図15に示す位置まで変位する際、第2作用部520に接触して、前方に押される。
図6及び図7に示すように、直動カム92は、前後方向に延びる側面視略細長矩形状の本体部95と、本体部95の内側面において前後方向に並ぶ4つのカム部96とを一体的に備えている。各カム部96は、各色のプロセスカートリッジ8の上方に突出する各入力部72に対応して設けられている。カム部96の後端部には、その上端縁から前側下方へ向けて傾斜する第1傾斜面97が形成されている。また、カム部96の下面側には、第1傾斜面97に連続し、前方に向けて水平に延在する第2傾斜面98が形成されている。図示は省略するが、第2傾斜面98は、本体部95側から幅方向内側上方へ向けて僅かに傾斜している。
後側3つのカム部(最前方のカム部96以外の3つのカム部96)は、互いに隣り合うカム部96の間隔が等しくなるように形成されている。一方、最前方のカム部96は、これに隣り合うカム部96との間隔が後側3つのカム部96間の間隔よりも大きい間隔となるように形成されている。
図6に示すように、同期移動機構94は、左側の直動カム92の後端部の上面に形成された左側ラックギヤ部92Bと、左側ラックギヤ部92Bと噛合する左側ピニオンギヤ110と、右側の直動カム92の後端部の上面に形成された右側ラックギヤ部92Cと、右側ラックギヤ部92Cと噛合する右側ピニオンギヤ111と、左側ピニオンギヤ110及び右側ピニオンギヤ111を相対回転不能に連結する連結軸112とを備えている。
12.駆動手段
図6、図8及び図9に示すように、ハウジング2の左側の外壁(図示せず。)と、左側の本体側板(図示せず。)との間には、離間機構91を駆動する駆動手段300が設けられている。図8に示す状態は、駆動手段300に駆動されて直動カム92が最前方に移動した状態を示している。一方、図9に示す状態は、駆動手段300に駆動されて直動カム92が最後方に移動した状態を示している。
駆動手段300は、電動モータ301と、入力ラックギヤ部92Aに電動モータ301の駆動力を伝達する駆動伝達部310と、クラッチ機構400とを有している。電動モータ301と、駆動伝達部310と、クラッチ機構400とは、ホルダ部材309に保持されている。クラッチ機構400は、変位部材441と、本発明の差動ギヤの一例としての遊星差動クラッチ412とを有している。
変位部材441は、前後方向に延在する樹脂製の板状体であり、その上側中間部がホルダ部材309に形成された支持軸に揺動可能に支持されている。変位部材441の後端部には、上方の遊星差動クラッチ412に向けて突出する係止爪447が形成されている。係止爪447は、ホルダ部材309と変位部材441との間に配設された付勢ばねにより下方に付勢されている。ただし、画像形成動作が可能な状態、すなわち、ドロワー4が装置本体に装着されて、フロントカバー3が閉鎖された状態では、後述する第1作用部510の後端部510Cが変位部材441の後端部に対して下方から当接して、係止爪447の下方への変位を規制するため、係止爪447が後述する固定用ギヤ436に係合する状態となっている。
遊星差動クラッチ412は、駆動伝達部310において電動モータ301から入力ラックギヤ部92Aに駆動力を伝達する経路の途中に配設されており、大ギヤ311と、大ギヤ311に一体に形成され、入力ラックギヤ部92Aと噛み合う小ギヤ312とともに、駆動伝達部310を構成している。図10(図10において、紙面手前側が装置前面側である。)に示すように、遊星差動クラッチ412は、ホルダ部材309から幅方向外側に延びる2段円筒状のギヤ支持軸421を有している。ギヤ支持軸421には、駆動入力ギヤ422、駆動出力ギヤ423及び遊星ギヤベース部材424が回転可能に支持されている。
駆動入力ギヤ422は、ギヤ支持軸421の左端部に回転可能に支持されている。駆動入力ギヤ422は、ギヤ支持軸421に外嵌された円筒状のギヤボス部425と、ギヤボス部425の右端部から周方向に張り出すフランジ状の張出部426とを一体的に有している。ギヤボス部425の右端部の外周面には、後述する各遊星ギヤ435と噛合する太陽ギヤ部427が形成されている。張出部426の周縁部は、左右方向に厚みを有しており、その外周面には、電動モータ301のピニオンギヤ301Aが噛合される入力ギヤ部428が形成されている。
駆動出力ギヤ423は、ギヤ支持軸421の右端部に回転可能に支持されて、駆動入力ギヤ422に対して左右方向に間隔を隔てて配置されている。駆動出力ギヤ423は、ギヤ支持軸421に外嵌された円筒状のギヤボス部429と、ギヤボス部429の左端部から周方向に張り出すフランジ状の張出部430とを一体的に有している。ギヤボス部429の左端部の外周面には、大ギヤ311(図8及び図9に示す。)と噛合する出力ギヤ部431が形成されている。張出部426の左側面には、その径方向の途中部から駆動入力ギヤ422に向けて突出する円筒部432が形成されている。円筒部432は、ギヤ支持軸421を中心にその周囲を取り囲む円筒状に形成され、駆動入力ギヤ422の太陽ギヤ部427と対向している。この円筒部432の内周面(太陽ギヤ部427との対向面)には、後述する各遊星ギヤ435と噛合する内ギヤ部433が形成されている。
遊星ギヤベース部材424は、駆動入力ギヤ422と駆動出力ギヤ423との間に配置され、ギヤ支持軸421を中心として回転可能に設けられている。この遊星ギヤベース部材424は、側面視穴あき円板形状に形成されている。遊星ギヤベース部材424には、ギヤ支持軸421を中心とする円周上に、右側(駆動出力ギヤ423側)に向けて突出する複数の遊星ギヤ支持部434が一体的に形成されている。各遊星ギヤ支持部434には、遊星ギヤ435が回転可能(自転可能)に支持されており、各遊星ギヤ435は、駆動入力ギヤ422の太陽ギヤ部427及び駆動出力ギヤの内ギヤ部433と噛合している。
また、遊星ギヤベース部材424には、その周縁部に、ギヤ支持軸421を中心とする円筒状のギヤ形成部437が右側に向けて突出して形成されている。ギヤ形成部437の外周面には、後述する変位部材441の係止爪447が噛合可能な固定用ギヤ436が形成されている。
画像形成動作が可能な状態、すなわち、ドロワー4が装置本体に装着されて、フロントカバー3が閉鎖された状態では、変位部材441の係止爪447が遊星ギヤベース部材424の固定用ギヤ436に係合して、遊星ギヤベース部材424の回転を禁止している。このため、中間ギヤ409から駆動入力ギヤ422の入力ギヤ部428に回転力が入力され、駆動入力ギヤ422が回転すると、各遊星ギヤ435がギヤ支持軸421を中心とする周方向位置を変えずに自転し、この各遊星ギヤ435の自転によって、遊星ギヤ435と噛合する内ギヤ部433を有する駆動出力ギヤ423がギヤ支持軸421まわりに回転する。そして、駆動出力ギヤ423の回転力が大ギヤ311(図8等参照。)に伝達され、それに伴って、小ギヤ312(図8等参照。)も回転する。こうして、電動モータ301の駆動力が入力ラックギヤ部92Aに伝達されて、入力ラックギヤ部92Aと一体に形成されている直動カム92が前方又は後方に直線移動する。
一方、後述する通り、ドロワー4を装置本体から引き出す際には、フロントカバー3の開放に連動して、変位部材441の係止爪447が遊星ギヤベース部材424の固定用ギヤ436から離間して、遊星ギヤベース部材424の回転を許容する。このため、中間ギヤ409から駆動入力ギヤ422の入力ギヤ部428に回転力が入力されても、駆動入力ギヤ422の回転に伴って、各遊星ギヤ435がギヤ支持軸421の周囲を自転しながら公転(遊星ギヤベース部材424がギヤ支持軸421を中心に回転)するので、駆動出力ギヤ423は回転しない。逆に、駆動入力ギヤ422が停止した状態(電動モータ301の停止により駆動入力ギヤ422に制動力が作用している状態)で、駆動出力ギヤ423が回転されても、変位部材441が遊星ギヤベース部材424から離間されていれば、その回転に伴って、各遊星ギヤ435がギヤ支持軸421の周囲を自転しながら公転(遊星ギヤベース部材424がギヤ支持軸421を中心に回転)する。このように、係止爪447が固定用ギヤ436から離間した状態では、駆動入力ギヤ422と駆動出力ギヤ423とが無関係となり、電動モータ301から大ギヤ311への駆動力の伝達が遮断される。その結果、電動モータ301から入力ラックギヤ部92Aへの駆動力の伝達が解除される。
なお、上記のような小型化し易いクラッチ機構400を採用することにより、装置の小型化を確実に実現している。
13.ドロワーが装置本体に対して装着された状態における接触離間動作
ドロワー4が装置本体に対して装着された状態において、駆動手段300、接触機構75及び離間機構91は、装置起動後の動作チェック時、画像形成動作時(例えば、カラーモードとモノクロモードとの切り替え。)、停止時その他の動作状況に応じて、以下の通り動作する。
図4に示すように、ハウジング2内にドロワー4が装着され、直動カム92が最前方位置に移動している状態では、各カム部96の第1傾斜面97とそれらの各後方に配置される移動部材61の入力部72とが、前後方向に間隔を隔てた非接触状態で対向している。最前方のカム部96の第1傾斜面97とその後方に配置される移動部材61の入力部72との間には、後側3つのカム部96の第1傾斜面97とそれらの各後方に配置される移動部材61の入力部72との間の間隔よりも大きな間隔が形成されている。この際、各押圧カム76は、各プロセスカートリッジ8の現像押圧ボス62に上方から当接して、各現像押圧ボス62を下方に向けて押圧している。この状態では、各プロセスカートリッジ8は接触位置にあり、現像ローラ7Cが感光ドラム5と接触し、さらに感光ドラム5を押圧している(カラーモード。)。
この状態から、駆動手段300の駆動力が入力ラックギヤ部92Aに入力されて、左右の直動カム92が後方に移動し始めると、図11に示すように、後側3つのカム部96の第1傾斜面97が、それらの各後下方に配置される後側3つの移動部材61の入力部72に当接して、入力部72を後側下方に向けて押圧する。
この押圧により、図12に示すように、後側3つの移動部材61は、支持軸60を支点として、後側下方に回動する。移動部材61の回動の途中で、各移動部材61のボス73は、第2側板24の当接溝50の下面に上方から当接する。このとき、当接溝50には、後側かつ下側方向への分力をもつ力が作用する。
直動カム92の後方への移動が進み、後側3つの移動部材61の入力部72がカム部96の第1傾斜面97に対して相対的に前方に移動すると、入力部72がさらに後側下方に移動する。そうすると、作用部71は、ボス73を支点として前側上方へと持ち上げられる。このため、作用部71を回動可能に支持している支持軸60を介して、後側3つのプロセスカートリッジ8に前側上方へ向かう押圧力が付与され、押圧カム76から付与される押圧力に抗して、プロセスカートリッジ8が上方に持ち上げられていく。
そして、直動カム92の後方への移動がさらに進み、後側3つのカム部96の第2傾斜面98に移動部材61の入力部72が当接すると、後側3つのプロセスカートリッジ8は離間位置に移動し、現像ローラ7Cが感光ドラム5から大きく離間する。このとき、最前方のブラックに対応するプロセスカートリッジ8の現像押圧ボス62は、押圧カム76により押圧されている。これにより、ブラックのプロセスカートリッジ8の現像ローラ7Cのみが感光ドラム5と接触し、さらに感光ドラム5を押圧する状態(モノクロモード。)となる。
その後、図13に示すように、直動カム92の後方への移動がさらに進むと、最前のカム部96の第1傾斜面97が、その後方に配置される最前の移動部材61の入力部72に当接して、最前の移動部材61の一端部を後側下方に向けて押圧する。この押圧により、移動部材61は、支持軸60を支点として、後方に回動する。移動部材61の回動の途中で、移動部材61のボス73は、第2側板24の当接溝50の下面に上方から当接する。そして、入力部72がカム部96の第1傾斜面97に対して相対的に前方に移動すると、入力部72がさらに後側下方に移動する。そうすると、作用部71は、ボス73を支点として前側上方へと持ち上げられる。このため、作用部71を回動可能に支持している支持軸60を介して、最前方のプロセスカートリッジ8に前側上方へ向かう押圧力が付与され、押圧カム76から付与される押圧力に抗して、プロセスカートリッジ8が上方に持ち上げられていく。
そして、直動カム92が最後方まで移動して、最前のカム部96の第2傾斜面98に最前の移動部材61の入力部72が当接すると、ブラックのプロセスカートリッジ8は離間位置に移動し、現像ローラ7Cが感光ドラム5から大きく離間する。これにより、すべてのプロセスカートリッジ8の現像ローラ7Cが感光ドラム5から離間した状態となる。
なお、入力部72が第2傾斜面98に当接して、レール93の凹部103に入り込んだ状態になると、本体部95側から幅方向内側上方へ向けて傾斜する第2傾斜面98から、入力部72に対して幅方向内側に向かう方向の力成分を含む押圧力が作用する。その結果、プロセスカートリッジ8を幅方向で位置決めすることができる。
14.連動機構(アーム、第1作用部及び第2作用部)の構成及び動作
プリンタ1では、ドロワー4を装置本体から引き出す際、各プロセスカートリッジ8と装置本体との干渉を防止するために、各プロセスカートリッジ8を引き出し位置(本実施例では、接触位置。)に移動させておく必要がある。しかしながら、例えば、画像形成動作の途中において、何らかの都合により電源が切られてしまうと、ドロワー4を引き出そうとしたときに、各プロセスカートリッジ8が引き出し位置に移動していない事態が生じ得る。この場合でも、プリンタ1は、以下に詳述する連動機構(アーム500、第1作用部510及び第2作用部520)等により、各プロセスカートリッジ8を引き出し位置に移動させるようになっている。
図1に示すように、フロントカバー3のハウジング2内を向く面の左側下方には、円弧状の連結部材3Aの下端部が連結されている。図8及び図9に示すように、フロントカバー3が閉鎖された状態では、連結部材3Aは、上方に傾斜しつつ、ハウジング2の後側に延在している。連結部材3Aの上端部には、連結部材3Aの長手方向に沿う長穴3Bが形成されている。
図6、図8及び図9に示すように、連動機構はアーム500を備えている。アーム500は、樹脂製の細長い板状体であり、ホルダ部材309の前方に配設されている。アーム500の下端側には、装置本体に揺動可能に支持された揺動軸501が設けられている。一方、アーム500の上端側には、幅方向外側に向けて突設され、連結部材3Aの長穴3Bに挿通される入力部502が設けられている。図8及び図9に示すように、直動カム92が最前方と最後方とに移動する際、直動カム92に一体に形成されている受動部92Dは前後方向に水平な軌跡を描く。この受動部92Dの軌跡に対して、揺動軸501は下方に位置し、入力部502は上方に位置している。また、図9に示すように、揺動軸501は、左側の直動カム92が最後方に移動した際における受動部92Dの位置に対して後方に位置しており、後述する第2作用部520も、最後方に移動した受動部92Dに対して後方に離反している。
図8及び図9に示すアーム500の位置が「初期位置」である。この状態では、入力部502は、揺動軸501の上方に位置し、長穴3Bの前端部に当接している。そして、図14及び図15に示すように、フロントカバー3が開放されると、入力部502は、長穴3Bの後端部に当接し、フロントカバー3の変位が連結部材3Aを介して入力部502に伝達されるようになる。さらに、フロントカバー3が開放されると、連結部材3Aを介して、アーム500は揺動軸501周りで揺動し、前方に徐々に変位する。そして、アーム500は、最終的に図15に示す位置まで移動する。図15に示すアーム500の位置が「動作完了位置」である。このように移動するアーム500を備える連動機構は、フロントカバー3の開放に連動して、位置、姿勢及び形態の少なくとも1つの変化が生じる本発明の「連動機構」の一例である。
第1作用部510は、アーム500に設けられたリンク部材である。第1作用部510は、アーム500の上下方向の中間部に連結された前端部510Aと、前端部510Aから後方に向けて略水平に延在する中間部510Bと、中間部510Bから、下方に屈曲して、変位部材441の後端部の下側に延在する後端部510Cとを有している。後端部510Cは、ホルダ部材309の下部に凹設された前後方向に細長い長孔309Aに係合することにより、前後方向の移動が許容される一方、上下方向の移動が規制されている。
第2作用部520は、アーム500の前面に形成された側面視略円弧形状の曲面である。第2作用部520は、前方に緩やかに膨らみつつ、揺動軸501側から上方の入力部502に向けて延在し、さらに、入力部502の直下において、後方にカーブしている。
図8及び図9に示すように、アーム500が「初期位置」である状態では、第1作用部510は、後端部510Cが変位部材441の後端部に対して下方から当接することにより、係止爪447が固定用ギヤ436と係合する状態を維持している。一方、第2作用部520は、直動カムが最前方に位置するか否かに関わらず、受動部92Dに対して間隔を有して後方に位置している。
そして、フロントカバー3が開放され始めて、アーム500が図14に示す位置まで揺動すると、アーム500の変位が、前端部510Aを介して第1作用部510に伝達されて、第1作用部510が前方に変位する。そうすると、後端部510Cも変位部材441の後端部に対して前方に離反するので、付勢ばねの付勢力により、変位部材441の後端部が下方に変位して、係止爪447が固定用ギヤ436から離反する。その結果、上述したクラッチ機構400の作用により、駆動手段300と離間機構91との連結状態が解除される(本発明の「第1の動作」の一例)。
その後、アーム500が図15に示す動作完了位置まで移動すると、それに伴って、第1作用部510もさらに前方に変位するが、この間、第1作用部510は、変位部材441の後部から離間したままである。
ここで、全てのプロセスカートリッジ8が引き出し位置(接触位置)に移動していない場合、直動カム92は、図8に示す最前方の位置まで移動しておらず、図9に示す最後方の位置、又は図8と図9との中間の位置にある。このため、第2作用部520は、アーム500が図14に示す位置から図15に示す動作完了位置まで変位するのに伴って、受動部92Dに接触し、受動部92Dを最前方まで移動させる。
直動カム92が図9に示す最後方の位置にある場合を例として、より詳しく説明する。第1作用部510が駆動手段300と離間機構91との連結状態を解除した直後に、第2作用部520は、その下端側で受動部92Dに接触する状態となる。そして、アーム500がさらに前方に変位すると、第2作用部520と受動部92Dとの接触位置が揺動軸501に対して前方に移動して、直動カム92を前方に押す。そして、アーム500が図15に示す動作完了位置まで変位すると、揺動軸501から最も離れた第2作用部520の上端側が受動部92Dに接触する状態となり、直動カム92を最前方の位置まで移動させる。その結果、上述した接触機構75と離間機構91との連携動作により、全てのプロセスカートリッジ8が引き出し位置(接触位置)に移動した状態となる(本発明の「第2の動作」の一例)。
ここで、第1作用部510が駆動手段300と離間機構91との連結状態を解除した後に、第2作用部520が受動部92Dに接触して、直動カム92を最前方に移動させるので、ユーザは、電動モータ301から抵抗を受けることなく、スムーズにフロントカバー3を開放できる。また、この際、仮に駆動手段300と離間機構91との連結状態が解除されていなければ、直動カム92の移動により電動モータ301に対して逆方向に駆動力が伝達されてしまい、電動モータ301や駆動伝達部310が故障するおそれがあるが、上記構成により、このような不具合も防止できる。
また、支点(揺動軸501)と入力点(入力部502)との間に出力点(第2作用部520)が位置しているので、フロントカバー3の開放動作の入力が小さくても、てこの原理により、第2作用部520が大きな押圧力で受動部92Dを押圧して、直動カム92を確実に移動させることができる。
一方、ドロワー4を装置本体に装着した後、フロントカバー3を閉鎖する際におけるアーム500、第1作用部510及び第2作用部520等の動作は、フロントカバー3の開放時の逆である。この際、入力部502が連結部材3Aの長孔3Bの前端部に当接して、後方に押されることにより、アーム500が図14に示す状態から図8又は図9に示す初期位置まで変位する。このため、アーム500の変位が、前端部510Aを介して第1作用部510に伝達されて、第1作用部510が後方に変位する。そうすると、後端部510Cが変位部材441の後端部の下側に入り込み、付勢ばねの付勢力に抗して、変位部材441の後端部を上方に変位させるので、係止爪447が固定用ギヤ436に係合する。その結果、上述したクラッチ機構400の作用により、駆動手段300と離間機構91との連結状態が復元される。この構成により、ユーザは、その復元のための特別な操作を行わなくてもよくなっており、ドロワー4を装置本体に装着する作業を容易に行える。
<作用効果>
実施例1のプリンタ1において、ドロワー4を装置本体から引き出す際にフロントカバー3を開放すると、連動機構は、フロントカバー3の開放に連動して位置及び姿勢の変化(アーム500の揺動軸501周りの揺動)が生じる。この変化の際、連動機構は、アーム500、第1作用部510及び第2作用部520により、上述した第1の動作(駆動手段300と接触離間機構91との連結状態を解除する動作)と、第2の動作(各プロセスカートリッジ8を引き出し位置(接触位置)に移動させる動作)とを連動させて行う。このため、ユーザは、フロントカバー3を開放する際、駆動手段300と接触離間機構91との連結状態を解除する操作や、引き出し位置に各プロセスカートリッジ8を移動させる操作を行わなくてもよい。
特に、このプリンタ1では、連動機構がアーム500を備え、そのアーム500が第1、2作用部510、520を有している。このため、「操作片〜レバー進退機構〜クラッチ切換レバー」という機構群と、「リンク機構〜カバー連動移動部材〜第2クラッチ機構」という機構群とが別々に動作する構成である上記従来技術と比較して、装置の簡略化や部品点数の削減を実現できるので、アーム500及び第1、2作用部510、520等を配置するために確保すべき装置本体内のスペースを小さくできる。
したがって、実施例1のプリンタ1は、感光体ドラム5及びプロセスカートリッジ8が設けられたドロワー4を装置本体から引き出す作業を容易に行えるとともに、装置の小型化を実現できる。
また、このプリンタ1では、プロセスカートリッジ8の接触離間動作を簡易な直動カム92により実現している。この際、受動部92Dの変位する方向と、入力ラックギヤ部92Aの変位する方向とを一致させることにより、駆動手段300からの駆動力により直動カム92が往復動作する場合と、フロントカバー3の開放動作により直動カム92がスライドする場合とに対応する装置構成を容易に実現している。
(実施例2)
図16〜図19に示すように、実施例2のプリンタは、実施例1のプリンタ1の駆動手段300の代わりに駆動手段600を採用し、クラッチ機構400の代わりにクラッチ機構700を採用し、第1作用部510の代わりに第1作用部810を採用している。その他の構成は実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略又は簡略する。
図17に示すように、実施例2のプリンタにおいて、ハウジング2の左側の本体側板81Lの直動カム92と対向する側面には、ホルダ部材609が固定されている。
図17〜図19に示すように、第1作用部810は、その後端部810Cが本体側板81L及びホルダ部材609により区画される空間内に収容され、その前端部810Bが前記空間から細長くかつ扁平に突出している。前端部810Bには、上下方向に長い長穴810Aが貫設されている。この長穴810Aには、図16及び図19に示すように、アーム500から突出する円柱軸509が挿通され、長穴810A内を上下に移動可能とされている。
図19に示すように、第1作用部810の後端部810Cは、前端部810Bから二股に別れて、対向しつつ後方に延在する一対の平板部である。後端部810Cの右側は、後端部810Cの左側と勝手違いの同一形状であるので、図19には後端部810Cの左側のみを図示して、右側の図示は省略する。
各後端部810Cの左右外側を向く側面には、左右方向に突出する一対の円柱凸部810Dと、各円柱凸部810Dの後方に離れて左右方向に突出する一対の円柱凸部810Eとが形成されている。図17に示すように、ホルダ部材609には、前後方向に延在する長穴609Aが貫設されており、その長穴609A内に、右側の円柱凸部810D、810Eが挿通され、長穴609A内を前後に移動可能とされている。また、図18に示すように、本体側板81Lにも、前後方向に延在する長穴81Aが貫設されており、その長穴81A内に、左側の円柱凸部810D、810Eが挿通され、長穴81A内を前後に移動可能とされている。アーム500が揺動軸501周りで揺動すると、その変位が円柱軸509及び長穴810Aを介して第1作用部810に伝達される。この際、各円柱凸部810D、810E及び長穴609A、81Aに案内されることにより第1作用部810は、図16(最後方の位置)、図21及び図23(最前方の位置)に示すように、前後にスライド可能となっている。
図19に示すように、各後端部810Cの左右外側を向く側面において、各円柱凸部810D、810Eの下方には、前後方向に延在する左右一対のガイド穴810Fが貫設されている。各ガイド穴810Fは、その前端側でクランク状に屈曲している。より詳しくは、図20に示すように、各ガイド穴810Fの内壁面のうち、前端側から後方に向けて水平に短く伸びた後、上方に傾斜し、さらに後方に向けて水平に長く伸びる面が第1ガイド面701である。また、各ガイド穴810Fの内壁面のうち、前端側から後方に向けて水平に短く伸びた後、上方に傾斜し、さらに後方に向けて水平に長く伸びる面が第2ガイド面702である。第2ガイド面702は、第1ガイド面701に対して所定の間隔を有して下方に位置している。この第1ガイド面701と第2ガイド面702との間隔は、後述する第1ギヤ回転軸611Cの軸径より僅かに大きくされている。第1ガイド面701及び第2ガイド面702は、後述するクラッチ機構700を構成するものである。
図16及び図17に示すように、離間機構91を駆動する駆動手段600は、本体側板81L及びホルダ部材609により区画される空間内に収容されている。図16に示す状態は、駆動手段600に駆動されて直動カム92が最後方に移動した状態を示している。
駆動手段600は、電動モータ601(図18参照)と、入力ラックギヤ部92Aに電動モータ601の駆動力を伝達する駆動伝達部610(図16参照)と、クラッチ機構700(図16参照)とを有している。
電動モータ601は、図18に示すように、本体側板81Lにおいてホルダ部材609とは反対側の側面に固定されており、ピニオンギヤ601A(図16及び図19参照)をホルダ部材609側に突出させている。
図16及び図19に示すように、駆動伝達部610は、ピニオンギヤ601Aと噛み合う駆動力入力ギヤ611Aと、駆動力入力ギヤ611Aと同軸に一体形成され、駆動力入力ギヤ611Aより小径の第1ギヤ611B(図16参照。図16において、第1ギヤ611Bは駆動力入力ギヤ611Aに対して紙面奥側に位置する。)と、駆動力入力ギヤ611A及び第1ギヤ611Bと同軸に一体形成され、左右方向に突出する左右一対の第1回転軸611Cとを有する。
また、駆動伝達部610は、第1ギヤ611Bの斜め下方に、第2ギヤ612Aと、第2ギヤ612Aと同軸に一体形成され、第2ギヤ612Aより小径の駆動力出力ギヤ612B(図16参照。図16において、駆動力出力ギヤ612Bは第2ギヤ612Aに対して紙面奥側に位置する。)と、第2ギヤ612A及び駆動力出力ギヤ612Bと同軸に一体形成され、左右方向に突出する左右一対の第2回転軸612Cとを有する。駆動力出力ギヤ612Bは、入力ラックギヤ部92Aと噛み合っている。
図17に示すように、右側の第2回転軸612Cは、ホルダ部材609に設けられた軸穴609Bに回転可能に支持されている。また、図18に示すように、左側の第2回転軸612Cは、本体側板81Lに設けられた軸穴81Bに回転可能に支持されている。
一方、各第1回転軸611Cは、図19に示すように、各ガイド穴810Fに挿通されている。各第1回転軸611Cは、上方の第1ガイド面701と、下方の第2ガイド面702とに挟まれた状態で、各ガイド穴810Fに対して相対移動可能となっている。図17及び図18に示すように、ホルダ部材609において長穴609Aの下方と、本体側板81Lにおいて長穴81Aの下方とは、左右一対の第1ギヤ支持部703が貫設されている。各第1ギヤ支持部703は短い長穴形状とされ、その上端側が第2ギヤ612Aから離反するように前方に傾斜している。そして、各第1ギヤ支持部703内に、各第1回転軸611Cの端部が挿通されている。上記構成である各第1ギヤ支持部703は、各第1回転軸611Cを回転可能に支持しつつ、各第1回転軸611Cが各第1ギヤ支持部703内で長穴形状の長手方向に移動すること、すなわち、各第1回転軸611Cと一体である第1ギヤ611Bが第2ギヤ612Aに対して接近又は離反することを許容している。
画像形成動作が可能な状態、すなわち、ドロワー4が装置本体に装着されて、フロントカバー3が閉鎖された状態では、図16に示すように、アーム500が初期位置にあり、第1作用部810が最後方に位置している。この場合、図20に拡大して示すように、各第1ガイド面701の前側の水平面が各第1回転軸611Cを上方から押し下げるので、各第1回転軸611Cが各第1ギヤ支持部703内の長穴形状の下端縁に当て止まる。この状態では、第1ギヤ611Bが第2ギヤ612Aに接近して噛合するので、電動モータ601から入力ラックギヤ部92Aまで駆動力を伝達する経路が繋がる。このため、電動モータ601が回転すると、電動モータ601の駆動力が入力ラックギヤ部92Aに伝達されて、入力ラックギヤ部92Aと一体に形成されている直動カム92が前方又は後方に直線移動する。
ここで、直動カム92が後方に直線移動する場合、ピニオンギヤ601A、第2ギヤ612A及び駆動力出力ギヤ612Bが図16の紙面に向かって時計方向に回転する。そうすると、第1ギヤ611Bに噛み合いによる下向きの反力が作用して、第1ギヤ611Bが下方に押圧される。この際、各第1回転軸611Cが各第1ギヤ支持部703内の長穴形状の下端縁に当て止まることにより、第1ギヤ611Bと第2ギヤ612Aとの間隔が適正範囲に維持される。
また、直動カム92が前方に直線移動する場合、ピニオンギヤ601A、第2ギヤ612A及び駆動力出力ギヤ612Bが図16の紙面に向かって反時計方向に回転する。そうすると、第1ギヤ611Bに噛み合いによる上向きの反力が作用して、第1ギヤ611Bが上方に押圧される。この際、各第1回転軸611Cが各第1ガイド面701の前方の水平面に当て止まることにより、第1ギヤ611Bと第2ギヤ612Aとの間隔が適正範囲に維持される。
一方、ドロワー4を装置本体から引き出す際には、フロントカバー3の開放に連動して、図21に示すように、アーム500が揺動軸501周りで前方に揺動し、それに伴って、第1作用部810も前方に移動する。そうすると、図22に拡大して示すように、各第2ガイド面702の傾斜面及び後方の水平面が各第1回転軸611Cを下方から押し上げるので、各第1回転軸611Cが各第1ギヤ支持部703内の長穴形状の上端縁に当て止まる。この状態では、第1ギヤ611Bが第2ギヤ612Aから離反して噛合しなくなるので、電動モータ601から入力ラックギヤ部92Aまで駆動力を伝達する経路が遮断される。その結果、電動モータ601から入力ラックギヤ部92Aへの駆動力の伝達が解除される(本発明の「第1の動作」の一例)。
さらに、フロントカバー3が完全に開放されると、アーム500が図23に示す動作完了位置まで移動する。それに伴って、第1作用部810もさらに前方に変位する。この間、第1ガイド面701及び第2ガイド面702の後方の水平面が第1回転軸611Cと摺接しつつ前方に移動するだけであり、第1ギヤ611Bと第2ギヤ612Aとが離反したままである。
なお、第2作用部520は、アーム500が図21に示す位置から図23に示す動作完了位置まで変位するのに伴って、受動部92Dに接触し、受動部92Dを最前方まで移動させる。その結果、実施例1で説明したように、上述した接触機構75と離間機構91との連携動作により、全てのプロセスカートリッジ8が引き出し位置(接触位置)に移動した状態となる(本発明の「第2の動作」の一例)。
また、フロントカバー3を閉鎖する際には、図21及び図16に示すように、アーム500が揺動軸501周りで後方に揺動し、それに伴って、第1作用部810も後方に移動する。そうすると、図20に拡大して示すように、各第1ガイド面701の前側の傾斜面及び水平面が各第1回転軸611Cを上方から押し下げるので、第1ギヤ611Bと第2ギヤ612Aとが噛合して、電動モータ601から入力ラックギヤ部92Aへの駆動力の伝達が復元される。
第1ギヤ支持部703、第1ガイド面701及び第2ガイド面702により、本発明の「ギヤ間隔変更機構」が構成されている。また、このギヤ間隔変更機構と、第1ギヤ611Bと、第2ギヤ612Aとにより、クラッチ機構700が構成されている。
<作用効果>
実施例2のプリンタにおいて、ドロワー4を装置本体から引き出す際にフロントカバー3を開放すると、連動機構は、アーム500、第1作用部810及び第2作用部520により、上述した第1の動作(駆動手段600と接触離間機構91との連結状態を解除する動作)と、第2の動作(各プロセスカートリッジ8を引き出し位置(接触位置)に移動させる動作)とを連動させて行う。このため、ユーザは、フロントカバー3を開放する際、駆動手段600と接触離間機構91との連結状態を解除する操作や、引き出し位置に各プロセスカートリッジ8を移動させる操作を行わなくてもよい。
特に、このプリンタでは、連動機構がアーム500を備え、そのアーム500が第1、2作用部810、520を有している。このため、上記従来技術と比較して、装置の簡略化や部品点数の削減を実現できるので、アーム500及び第1、2作用部810、520等を配置するために確保すべき装置本体内のスペースを小さくできる。
したがって、実施例2のプリンタも、実施例1のプリンタと同様に、感光体ドラム5及びプロセスカートリッジ8が設けられたドロワー4を装置本体から引き出す作業を容易に行えるとともに、装置の小型化を実現できる。
また、このプリンタでは、第1ギヤ611B及び第2ギヤ612Aとギヤ間隔変更機構(第1ギヤ支持部703、第1ガイド面701、第2ガイド面703)とによりクラッチ機構700を小型化でき、よって装置の小型化を実現できる。また、上記構成であるクラッチ機構700では、第1ギヤ611B及び第2ギヤ612Aにより部品点数を大幅に削減でき、構成も大幅に簡素化できるので、製造コストの一層の低廉化を実現できる。また、上記構成であるクラッチ機構700では、第1ギヤ611Bと第2ギヤ612Aとが2層に重なるだけので、プリンタの機幅を狭くし易い。
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されず、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できる。
例えば、連動機構は、カバーの開放に連動して、拡大、縮小又は撓み等の形態の変化を生じるものであってもよい。
また、実施例2の第2ギヤ612Aが第1ギヤ611Bに対して接近又は離反する構成であってもよい。
本発明は画像形成装置に利用可能である。
1…画像形成装置(プリンタ)、4…ドロワー、5…像担持体(感光体ドラム)、
3…カバー(フロントカバー)、8…現像ユニット(プロセスカートリッジ)、
75、91…接触離間機構(75…接触機構、91…離間機構)、
300、600…駆動手段、500…アーム、501…揺動軸、502…入力部、
510、810…第1作用部、520…第2作用部、
92…直動カム機構(直動カム)、92A…ラックギヤ部(入力ラックギヤ部)、
92D…受動部、301、601…電動モータ、310、610…駆動伝達部、
400、700…クラッチ機構、412…差動ギヤ(遊星差動クラッチ)、
441…変位部材、611B…第1ギヤ、612A…第2ギヤ、
703、701、702…ギヤ間隔変更機構(703…第1ギヤ支持部、701…第1ガイド面、702…第2ガイド面)

Claims (8)

  1. 装置本体と、
    前記装置本体に対して装着及び引き出し可能に設けられたドロワーと、
    前記ドロワーに保持され、静電潜像が形成される像担持体と、
    前記ドロワーに対して移動可能に設けられ、前記像担持体にトナーを供給して、前記静電潜像を可視像化する現像ユニットと、
    前記装置本体及び/又は前記ドロワーに設けられ、前記ドロワーが前記装置本体に装着された状態において、前記現像ユニットが前記像担持体と接触する位置である接触位置と、前記現像ユニットが前記像担持体から離間する位置である離間位置とに、前記現像ユニットを移動させる接触離間機構と、
    前記装置本体に設けられ、前記接触離間機構との連結状態において、前記接触離間機構を駆動する駆動手段と、
    前記ドロワーを前記装置本体から引き出す際に開放されるカバーとを備え
    前記接触離間機構は、直線的に往復動作することにより、前記接触位置と前記離間位置とに、前記現像ユニットを移動させる直動カム機構を有し、
    前記駆動手段は、電動モータと、前記電動モータの駆動力を前記直動カム機構に伝達する駆動伝達部と、前記駆動伝達部による前記直動カム機構への駆動力の伝達を解除するクラッチ機構とを有する画像形成装置であって、
    前記カバーに連結され、前記カバーの閉鎖時には初期位置にあり、前記カバーの開放に連動して動作完了位置まで変位するアームを備える連動機構を備え、
    前記アームは、第1作用部と第2作用部とを有し、
    前記第1作用部は、前記アームが前記初期位置から前記動作完了位置に向けて変位することにより、前記クラッチ機構に作用して前記駆動伝達部による前記直動カム機構への駆動力の伝達を解除し、前記駆動手段と前記接触離間機構との連結状態を解除する第1の動作を行うように構成され、
    前記第2作用部は、前記第1作用部が前記連結状態を解除した後、さらに前記アームが前記動作完了位置に向けて変位することにより、前記直動カム機構に直に接触して前記往復動作の一方の方向に変位させ、前記接触位置及び前記離間位置の一方であって、前記ドロワーを前記装置本体に対して装着及び引き出し可能とするための前記像担持体に対する前記現像ユニットの位置である引き出し位置に、前記現像ユニットを移動させる第2の動作行うように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第1作用部は、前記カバーの閉鎖に連動して、前記アームが前記動作完了位置から前記初期位置に向けて変位することにより、前記クラッチ機構に作用して前記駆動手段と前記接触離間機構との連結状態を復元するように構成されている請求項記載の画像形成装置。
  3. 記直動カム機構は、前記往復動作の方向に延びて、前記駆動伝達部により前記電動モータの駆動力が伝達されるラックギヤ部と、前記第2作用部により押圧を受けて、前記往復動作の方向に変位する受動部とを有し、
    前記クラッチ機構は、前記駆動伝達部による前記ラックギヤ部への駆動力の伝達を解除する請求項1又は2記載の画像形成装置。
  4. 前記アームの下端側には、前記直動カム機構の前記往復動作に伴う前記受動部の変位の軌跡より下方において、前記装置本体に揺動可能に支持された揺動軸が設けられ、
    前記アームの上端側には、前記受動部の変位の軌跡より上方において前記カバーの開放動作が入力される入力部が設けられ、
    前記第2作用部は、前記揺動軸と前記入力部との間に位置している請求項記載の画像形成装置。
  5. 前記クラッチ機構は、前記駆動伝達部において前記電動モータから前記ラックギヤ部に前記駆動力を伝達する経路の途中に配設される差動ギヤと、前記第1作用部に連結され、前記第1作用部の変位に伴って変位して前記差動ギヤに対して係合又は離反する変位部材とにより構成され、前記変位部材が前記差動ギヤから離反して、その回動を許容することにより、前記駆動力の伝達を解除する一方、前記変位部材が前記差動ギヤに係合して、その回動を禁止することにより、前記駆動力の伝達を復元する請求項3又は4記載の画像形成装置。
  6. 前記クラッチ機構は、前記駆動伝達部において前記電動モータから前記ラックギヤ部に前記駆動力を伝達する経路の途中に直列に配設される第1ギヤ及び第2ギヤと、前記第1作用部の変位に伴って前記第1ギヤと前記第2ギヤとを接近又は離反させるギヤ間隔変更機構とにより構成され、前記ギヤ間隔変更機構が前記第1ギヤと前記第2ギヤとを離反させることにより、前記第1ギヤと前記第2ギヤとを噛合させなくして前記駆動力の伝達を解除する一方、前記ギヤ間隔変更機構が前記第1ギヤと前記第2ギヤとを接近させることにより、前記第1ギヤと前記第2ギヤとを噛合させて前記駆動力の伝達を復元する請求項3又は4記載の画像形成装置。
  7. 前記ギヤ間隔変更機構は、装置本体に設けられ、前記第1ギヤを回転可能に支持しつつ、前記第1ギヤの前記第2ギヤに対する接近又は離反を許容する第1ギヤ支持部と、
    前記第1作用部に設けられ、前記アームが前記初期位置から前記動作完了位置に向けて変位することにより、前記第1ギヤに摺接して、前記第1ギヤを前記第2ギヤに対して離反させるように押圧する第1ガイド面と、
    前記第1作用部に設けられ、前記アームが前記動作完了位置から前記初期位置に向けて変位することにより、前記第1ギヤに摺接して、前記第1ギヤを前記第2ギヤに対して接近させるように押圧する第2ガイド面とを有する請求項記載の画像形成装置。
  8. 前記引き出し位置は前記接触位置であり、
    前記ドロワーには、前記接触離間機構を構成し、前記ドロワーが前記装置本体に装着された状態において、前記接触位置に前記現像ユニットを移動させるとともに、前記ドロワーを前記装置本体から引き出す途中にも、前記現像ユニットを前記接触位置に保持する接触機構が設けられている請求項1乃至のいずれか1項記載の画像形成装置。
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