JP4910609B2 - 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法 - Google Patents

成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4910609B2
JP4910609B2 JP2006271591A JP2006271591A JP4910609B2 JP 4910609 B2 JP4910609 B2 JP 4910609B2 JP 2006271591 A JP2006271591 A JP 2006271591A JP 2006271591 A JP2006271591 A JP 2006271591A JP 4910609 B2 JP4910609 B2 JP 4910609B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
resin
molded
slit
multilayer sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006271591A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008087829A (ja
Inventor
洋平 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2006271591A priority Critical patent/JP4910609B2/ja
Publication of JP2008087829A publication Critical patent/JP2008087829A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4910609B2 publication Critical patent/JP4910609B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Packages (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)

Description

本発明は、成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法に関する。
液体状、顆粒状、粉体状等の内容物を収納する包装形態として、成形包装体が広く知られている。このような成形包装体用材料として、従来から透明性・成形性・剛性・蓋材とシール後のカール性等の性能の優秀さ及びコスト面から、主としてポリ塩化ビニル樹脂が使用されてきた。しかしながら、内容物が吸湿を嫌う場合には、ポリ塩化ビニル樹脂は防湿性に劣るため、ポリ塩化ビニル樹脂シートに防湿性の優れるポリ塩化ビニリデン樹脂をコーティングすることによって、防湿性を向上させるという方法が行われているが、ポリ塩化ビニリデン樹脂の使用はコストアップとなる。またポリ塩化ビニル樹脂以外では、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂等様々な樹脂が用いられてきたが、なかでも防湿性、耐薬品性に優れ、低コストであるポリプロピレン系樹脂シートが使用されるようになってきた。
成形包装体として、熱可塑性プラスチックシートを成形し、内容物を充填した後、蓋材で密封することより得られ、カット線(折り曲げ線)を有するものが知られている。この成形包装体は、使用時にカット線で折り曲げ、内容物を取り出す(注出する)ことによって使用されるものであり、例えば、比較的少量の化粧品、薬品、食品、調味料等の包装に用いることが提案されている。このような成形包装体は、試供品サンプル、旅行等の用途への適用が期待されるものである。
従来、ポリプロピレン系樹脂シートを用いてカット線を有する成形包装体を製造した場合、使用時にカット線で折り曲げると、カット部分で材料が伸びてしまい、良好なカット性(折り曲げ開封性)が得られなかった。また、ポリプロピレン系樹脂シートにカット線を設けた後、シートのカット線を含む部分を加熱成形して収納部を形成し、内容物の充填、蓋材の密封を行って成形包装体を製造する場合、シートの加熱成形時において、既にシートに設けられたカット線が融着し、カット線としての機能を発揮させられなくなるという問題も生じていた。このため、加熱成形後にレーザーカッターでカット線を設ける手法が用いられていたが、コスト面で不利であった。従って、上述したような問題点を解決することが望まれていた。
具体的な成形包装体としては、種々のものが提案されている。例えば、熱可塑性プラスチックシートを成形してなる収納部に、薬品等の内容物を充填した後、蓋材で密封したもので、カット線が設けられたブリスター包装体が記載されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかし、これらはポリプロピレン系樹脂シートを成形したものではない。また、石油樹脂を用いたシートを成形したものでもない。更に、特許文献1に記載されているブリスターパックは、シートの成形部にカット線を設けたものではない。
特許文献3には、ポリプロピレンシートを成形してなる収納部と外周部からなり、収納部に内容物を収納後、蓋体を熱接着して封止したブリスター包装体で、カット線が設けられたものが記載されている。しかし、これは、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を用いたシートを成形したものではない。また、シートの厚みが実質的に100μm程度であることからカット性が不充分となる。
特許文献4には、ポリプロピレン単独重合体及び石油樹脂からなるPTP用ポリプロピレン系シート、特許文献5には、ポリプロピレンを主成分として得られ、スリット刃が挿入されたポリプロピレン系シートからなるPTP包装体が開示されている。しかし、これらには、ブリスターパックにおけるシートの成形部にカット線を設けることは記載されていない。また、シートの厚みは、実質的に300μm程度のものである。
特許文献6には、ポリプロピレン樹脂等が配されたベースシート層と被覆層とを積層してなる開封ノッチ付ポーション用シートが開示されている。しかし、これは、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を用いたシートを成形したものではない。また、ブリスターパックにおけるシートの成形部にカット線を設けることは記載されていない。
特開2002−179137号公報 特開2002−179140号公報 特開2005−8259号公報 特開平8−157659号公報 特開2005−47600号公報 特開2006−56545号公報
本発明は、上記現状に鑑み、成形包装体のスリット線(折り曲げ線)において良好な折り曲げ開封性を有し、シートのスリット線を含む部位を加熱成形して成形包装体を製造する場合、加熱成形時のスリット線の融着を防止できるとともに、成形性、防湿性、ガスバリア性等の性能にも優れた成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
発明は、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層上に、更に1又は2以上の他の層を設けた成形包装体用多層シートであって、上記成形包装体用多層シートは、シート面に対して略垂直方向にスリット線を有し、前記シートのスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、上記スリット線が、上記他の層の最外層側から、上記他の層を貫通し、かつ、上記樹脂層内に形成され、上記樹脂層内に形成されたスリット線の深さh2が、上記樹脂層の厚みh1に対して、0.05h1≦h2≦0.85h1の範囲内であり、上記成形包装体用多層シートのスリット線が形成されていない厚みh3が、80〜500μmの範囲内であることを特徴とする成形包装体用多層シートである。
上記成形包装体用多層シートの総厚みhは、350〜1100μmであることが好ましい。
上記成形包装体用多層シートは、ガスバリア層(A)、接着性樹脂層(C)、及び、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層(B)をこの順に有するシートであることが好ましい。
上記成形包装体用多層シートは、樹脂層(D)、接着性樹脂層(C)、ガスバリア層(A)、接着性樹脂層(C)、及び、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層(B)をこの順に有するシートであることが好ましい。
上記石油樹脂は、ジシクロペンタジエン系水添石油樹脂であることが好ましい。
上記成形包装体用多層シートは、シートのスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成されることよって製造される成形包装体に用いられるものであることが好ましい。
本発明は、上述した成形包装体用多層シートを加熱成形することによって得られることを特徴とする成形包装体でもある。
本発明はまた、上述した成形包装体用多層シートにおけるスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成される工程(I)、上記工程(I)によって形成された収納部に内容物が充填される工程(II)、並びに、蓋材で封止される(III)を含むことを特徴とする成形包装体の製造方法でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成形包装体用多層シート(以下、単に「シート」ともいう)は、特定成分からなり、かつ、使用時に特定の深さのスリット線が設けられるシート(未だスリット線が設けられていないシート、第1の本発明)、及び、特定成分からなり、かつ、特定の深さのスリット線を有するシート(既にスリット線が設けられているシート、第2の本発明)である。従って、スリット線を有するシートを加熱成形して成形包装体を製造する場合において、加熱成形時に設けられたスリット線が融着することを良好に防止することができる。
本発明は、使用時にスリット線(カット線)から折り曲げて使用する成形包装体を製造するための多層シートであって、シートのスリット線上を加熱成形した場合でもカット性(折り曲げ開封性)が損なわれないという優れた特徴を有するものである。通常、シートのスリット線上を加熱成形すると、樹脂の熱変形時にスリット線の形状が崩れてしまい、カット性が大きく損なわれる。このため、シートを加熱成形した後にスリット線が設けられていたが、立体形状の上にスリット線を設けるには、レーザー加工等が必要となるため、コストアップの要因となっていた。
本発明では、特定のコントロールされたスリット線を設けることによって、加熱成形を行った後でも良好なカット性を維持できるため、加熱成形前のスリット線の形成が可能である。この場合のスリット線の形成は、平坦なシートに対して行われるため、レーザー加工等のコストがかかる方法ではなく、切れ刃等の低コストな方法で行うことができる。特に、本発明は、本来折り曲げ開封性が不充分であるポリプロピレン系基材において、上述したような問題を改善したシートであり、使用時において、内容物を良好に取り出す(注出する)ことが可能である。
また本発明においては、折り曲げ開封性とガスバリア性(特に水蒸気バリア性)という両立困難な課題を解決することが可能である。上記で説明したように、加熱成形時のスリット線の融着を防止すれば、優れた折り曲げ開封性を得ることができるが、その一方で、融着が防止されると、スリット線の開いた状態が維持されることに起因して、ガスバリア性が悪くなる。このように、折り曲げ開封性とガスバリア性は背反する効果であるが、それにも拘らず、本発明では両立が可能となったのである。両立が可能となった理由は明らかではないが、スリット挿入時にスリットの角度分シートが開くことになるが、使用する石油樹脂の粘着性に起因して、加熱成形後において、スリット線(亀裂)が開いている状態ではなく軽く密着した状態で残存しているためであると推察される。
更に、本発明のシートは、成形性にも優れている。
上記成形包装体用多層シートは、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層を有する。これにより、スリット線を含む部分の加熱成形時において、スリット線の融着を防止することができる。また、得られる成形包装体のスリット線において、良好な折り曲げ開封性を得ることができる。更に、成形性、防湿性、ガスバリア性等の性能を向上させることも可能となる。
上記ポリプロピレン系樹脂(PP)しては、ポリプロピレン単独重合体が好ましい。
上記ポリプロピレン単独重合体としては、立体規則性の観点から、アイソタクチックPP、アタクチックPP、シンジオタクチックPPを挙げることができ、なかでも、アイソタクチックPPが折れ曲げ開封性、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)の観点から好ましい。
上記ポリプロピレン単独重合体の配合量は、上記樹脂組成物の全量100質量%に対して99〜75質量%であることが好ましく、97〜80質量%であることがより好ましく、95〜85質量%であることが更に好ましい。
上記石油樹脂を配合することにより、スリット線の折り曲げ開封性、成形性、防湿性、ガスバリア性、剛性を向上させることができる。
上記石油樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン留分を熱重合したジシクロペンタジエン系樹脂、炭素数9の芳香族オレフィン類混合物をカチオン重合した芳香族系(C9系)石油樹脂、炭素数5の鎖状オレフィン類混合物をカチオン重合した脂肪族系(C5系)石油樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。また、これら各樹脂のモノマーの少なくとも2種の共重合体、上記石油樹脂の混合物、これらを酸変性又は水素添加した石油樹脂、水素添加した石油樹脂の2種以上の混合物等が挙げられる。
なかでも、スリット線の折り曲げ開封性、スリット線の融着防止性、防湿性、ガスバリア性の観点から、水素添加石油樹脂が好ましく、ジシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂が特に好ましい。ジシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂が粘着性が低い石油樹脂であることに起因して、スリット線の融着を防止できるとともに、優れた折り曲げ開封性が得られると推察される。また、ポリプロピレン系樹脂に石油樹脂を添加すると、常温付近の弾性率が向上し、アルミ箔等の蓋材とのヒートシール時のカールを小さくすることもできる。
上記石油樹脂の軟化点は、50〜160℃であることが好ましく、100〜150℃であることがより好ましい。50℃未満であると、常温付近での弾性率の向上が小さくなるおそれがある。160℃を超えると、熱成形性が低下するおそれがある。上記軟化点は、JIS K2207の方法により測定される値である。また、上記石油樹脂の数平均分子量は3000以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。3000を超えると、成形性が悪くなるおそれがある。本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の値である。
上記石油樹脂の配合量は、上記樹脂組成物の全量100質量%に対して1〜25質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが更に好ましい。1質量%未満であると、比率は折り曲げ開封性やシーティング時の厚み精度が悪くなるおそれがある。25質量%を超えると、耐衝撃性に劣り包装体が割れやすくなること、常温でスリット線を入れる際に割れてしまうこと、加熱時再融着すること等の問題が生じるおそれがある。
上記樹脂組成物は、エチレン系共重合体を含有するものであってもよい。これにより、成形性、アルミ蓋材とシールする際のヒートシール性が良好になる。
上記エチレン系共重合体としては、例えば、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等)との共重合体を挙げることができる。なかでも、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。
上記エチレン系共重合体の配合量は、上記ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂との合計100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましく、8〜20質量部であることが更に好ましい。1質量部未満であると、改良効果が充分でなく、30質量部を超えると、熱成形する際の熱板付着が大きくなるとともに防湿性悪化につながるおそれがある。
上記樹脂組成物は、熱可塑性エラストマーを含むものであってもよい。これにより、耐衝撃性を向上させることができる。
上記熱可塑性エラストマーは、室内において弾性を示す天然及び合成の重合物であり、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロブタジエン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等すべて含む)、スチレン−イソプレン共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等すべて含む)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、イソプレン−イソブチレン共重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三元共重合体、チオロールゴム、多加硫ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロルヒドリンゴム等及びこれらの熱可塑性エラストマーに水添加した重合体(例えば、水添スチレン−ブタジエン共重合体、水添スチレン−イソプレン共重合体)等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマーとしては、特にスチレン含有率5〜35質量%、数平均分子量10000〜130000のスチレン系共重合体が好ましい。これにより、耐衝撃性とシート剛性のバランスに優れたシートを得ることができる。
また、上記樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲内で、結晶核剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、染料、顔料、難燃剤、可塑剤等の添加剤を含むものであってもよい。例えば、着色顔料を配合することにより、シート及び得られる成形包装体を着色できる。上記着色顔料としては特に限定されず、例えば、酸化チタン等の無機系の着色顔料、キナクリドン系顔料等の有機系の着色顔料を挙げることができる。
上記樹脂組成物を調製する方法としては、ドライブレンド方式でも可能であるが、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のバッチ式混練機、単軸押出機、2軸押出機、カレンダーロール等の連続式混練機を使用する方法を用いることが好ましい。なかでも、真空脱気装置を備えた2軸混練機を用いる方法が好ましい。得られた樹脂組成物を、T−ダイ押出、カレンダー法等の従来公知のシート成形方法を用いてシート状に製膜することにより、シート(上記樹脂層)が得られる。
上記成形包装体用多層シートは、上記樹脂層上に、更に1又は2以上の他の層を設けたものである。上記他の層としては、特に限定されず、ガスバリア層、接着性樹脂層、他の樹脂層等、任意の層を用いることができる。
上記成形包装体用多層シートの層構成としては、上記樹脂層上に任意の層を1層又は2層以上設けたものであれば、特に限定されないが、〔1〕ガスバリア層(A)、接着性樹脂層(C)、及び、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層(B)をこの順に有するシート、又は、〔2〕樹脂層(D)、接着性樹脂層(C)、ガスバリア層(A)、接着性樹脂層(C)、及び、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層(B)をこの順に有するシートであることが好ましい。上記構成の場合、ガスバリア層(A)を有することにより、防湿性、ガスバリア性を向上させられるため、このような特性が要求される用途(例えば、化粧品)に好適に用いることができる。
上記ガスバリア層(A)に用いる樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)が好ましい。これにより、ガスバリア性及び保香性を向上させることができる。上記EVOHは、融点が160〜195℃、エチレン含量が25〜50モル%のものであることが好ましい。上記EVOH溶液の溶媒としては、EVOHを溶解する水性、非水性のいずれの溶媒も用いることができる。上記非水性の溶媒としては、アルコール類、水とアルコールの混合物を挙げることができる。
上記樹脂層(B)は、上述した樹脂層である。
上記接着性樹脂層(C)は、接着性を付与する層であり、上記構成〔1〕においては、上記(A)及び(B)間を、上記構成〔2〕においては、上記(D)及び(A)間、(A)及び(B)間、を良好に接着させる機能を有するものである。
上記接着性樹脂層(C)に用いる樹脂としては、接着性を有するものであれば特に限定されず、例えば、アクリル酸及びそのエステルとエチレンの共重合体(EAA、EEA)、メタクリル酸及びそのエステルとエチレンの共重合体(EMAA、EMMA)、EMAAの金属配位体(ION)、酢酸ビニルとエチレンの共重合体(EVA)、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸とエチレンの共重合体、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸とプロピレンの共重合体、エチレン・エチルアクリレート・無水マレイン酸三共重合体及びこれらの混合物を挙げることができる。なかでも、PP及びEVOHの両者に対する接着性が良好である点から、無水マレイン酸ポリプロピレンが好ましい。なお、上記構成〔2〕の場合において、接着性樹脂層(C)は、それぞれの同一のものであっても、異なるものであってもよい。
上記樹脂層(D)としては特に限定されないが、例えば、上述したポリプロピレン系樹脂を用いて得られる層であることが好ましい。
上記構成〔2〕の場合、上記樹脂層(D)は、上述した着色顔料を用いて着色したものであってもよく、パール顔料等で着色したものであってもよい。また、更に、上記樹脂層(D)の表面に所望の印刷を施したものであってもよい。これらの手法により、シートや得られる成形包装体に所望の意匠性を付与することができる。
上記成形包装体用多層シートは、それぞれの層を構成する樹脂を用いて、共押出、ラミネート加工等の方法により、多層シートを製造することができる。上記ラミネート加工としては、共押出ラミネート、ドライラミネート、サーマルラミネート、コート法等の任意の方法を用いることができる。
本発明の成形包装体用多層シートは、使用の際において、シート面に対して略垂直方向にスリット線が形成されるものであり、上記スリット線が、上記他の層の最外層側から、上記他の層を貫通し、かつ、上記樹脂層内に形成されるもの(第1の本発明)、及び、シート面に対して略垂直方向にスリット線を有し、上記スリット線が、上記他の層の最外層側から、上記他の層を貫通し、かつ、上記樹脂層内に形成されたもの(第2の本発明)である。即ち、シート面に対して略垂直方向のスリット線は、他の層は突き抜け、樹脂層内に到達している。ここで、上記樹脂層とは、上述した構成〔1〕、〔2〕の多層シートの場合、樹脂層(B)を意味する。図1は、スリット線が形成された成形包装体用多層シートの概略図の一例を示したものである。図1の(i)は上述した構成〔1〕の多層シート((A)/(C)/(B))の場合、(ii)は上述した構成〔2〕の多層構造シート((D)/(C)/(A)/(C)/(B))の場合を、それぞれ示している。(i)(a)は、シート面に対して略垂直方向に形成されたスリット線131が、ガスバリア層(A)101側から、ガスバリア層(A)101及び接着性樹脂層(C)102を貫通し、樹脂層(B)103内に達している状態を示している。(i)(b)は、スリット線131に沿って切断した断面図の一例であり、破線部までスリット線131が達している。また、(ii)(a)は、シート面に対して略垂直方向に形成されたスリット線132が、樹脂層(D)104側から、樹脂層(D)104、接着性樹脂層(C)105、ガスバリア層(A)106及び接着性樹脂層(C)107を貫通し、樹脂層(B)108内に達している状態を示している。(ii)(b)は、スリット線132に沿って切断した断面図の一例であり、破線部までスリット線132が達している。
上記スリット線は、シート面に対する垂直方向からの角度が±10°の範囲内で形成されることが好ましい。この範囲から外れると、折り曲げ開封性が悪くなるおそれがある。
上記成形包装体用多層シートは、上記樹脂層内に形成されるスリット線の深さh2(第1の本発明)、上記樹脂層内に形成されたスリット線の深さh2(第2の本発明)が、上記樹脂層の厚みh1に対して、0.05h1≦h2≦0.85h1の範囲内である。即ち、樹脂層の厚みのうち、スリット線が形成されている割合は5〜85%である。上記範囲内であることにより、優れたスリット線の折り曲げ開封性、スリット線の融着防止性を得ることができる。h2が0.05h1未満であると、加熱成形時、融着し、ノッチ効果が小さくなり折り曲げ開封性が悪くなる。0.85h1を超えると、樹脂層の厚みが薄い場合には、シート残厚(h3)が小さくなり、シート残厚部で材料が伸びてしまい折り曲げ開封性が悪くなる。また、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)も悪くなり、内容物によっては要求を満たさなくなる。なお、上記スリット線の深さの範囲内において、シート残厚部が加熱成形後に若干伸びる場合もあるが、このように伸びたとしても、石油樹脂の効果によって、良好な折り曲げ開封性を維持することができる。ここでも同様に、上記樹脂層とは、上述した構成〔1〕、〔2〕の多層シートの場合、樹脂層(B)を意味する。上述した構成〔1〕、〔2〕の多層シートの場合、図1(i)、(ii)で示されているように、上記h1は、上記樹脂層(B)の厚み(シート面に対して垂直方向の厚み)であり、上記h2は、上記樹脂層(B)内においてスリット線が形成された深さ(シート面に対して垂直方向の深さ)である。上記h2は0.1h1≦h2≦0.75h1の範囲内であることが好ましい。
上記成形包装体用多層シートは、上記成形包装体用多層シートのスリット線が形成されていない厚みh3(以下、「シート残厚」ともいう)が80〜500μmの範囲内である。即ち、上記ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層内におけるスリット線が形成されていない厚みが80〜500μmである。上記範囲内であることにより、優れたスリット線の折り曲げ開封性を得ることができる。80μm未満であると、シート残厚(h3)が小さくなり、シート残厚部で材料が伸びてしまい折り曲げ開封性が悪くなる。また、ガスバリア性(特に水蒸気バリア性)も悪くなり、内容物によっては要求を満たさなくなる。500μmを超えると、シート残厚部の弾性が高くなり、折れに要する力が必要となり、またノッチ効果が効かなくなる等で折れ曲げ開封性が悪くなる。図1(i)、(ii)で示されているように、上記シート残厚h3は、樹脂層(B)内のスリット線が形成されていない厚み(シート面に対して垂直方向の厚み)である。上記h3は100μm≦h3≦430μmの範囲内であることが好ましい。
上記h1、h2、h3(スリット線の深さ)は、スリット線を設けるために使用する切れ刃等を適宜選択することによりコントロールすることができる。
上記切れ刃としては特に限定されず、適切な形状等を選択して使用すればよい。上記切れ刃は、片刃、両刃のどちらでも使用できるが、両刃であることがより好ましい。上記切れ刃は、刃先の正面角度が5°〜60°(好ましくは10°〜50°)のもの、側面角度が5°〜60°(好ましくは10°〜50°)のものが好適に用いられる。刃先の角度(正面、側面とも)が5°より小さいものは、シートにスリット傷を入れる際に、刃が欠ける等の不具合が発生する可能性がある。正面角度が50°より大きいものは、成形時にスリット線が開いてシート残厚部が伸びる傾向が強くなり、折り曲げ開封性が悪化する可能性がある。側面角度が60°より大きいと、刃のスムーズな移動が妨げられる場合がある。刃厚は0.3〜1.0mmのものが好適に使用される。0.3mm未満のものは、シートにスリット傷を入れる際に刃先が欠ける可能性があり、1.0mmを超えるものは、成形時にスリット線が開いてしまいシート残厚部の樹脂が伸びる傾向が強くなり、折り曲げ開封性が悪化する可能性がある。
図3は、切れ刃(スリット刃)の形状の概略図の一例を示したものであり、両刃の一例である。図3の(i)が切れ刃の正面図、(ii)が側面図の概略図の一例である。図3の切れ刃においては、上記正面角度は(i)で示される角度、上記側面角度は(ii)で示される角度を意味し、刃厚は(i)の正面図における刃の厚みを意味する。片刃の場合の正面角度、側面角度も刃先における同様の角度であり、刃厚も正面図における同様の厚みである。
上記成形包装体用多層シートにおいて、上記ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層の厚みh1は、250〜800μmであることが好ましい。
上記成形包装体用多層シートの総厚みhは、350〜1100μmであることが好ましい。これにより、優れたスリット線の折り曲げ開封性、スリット線の融着防止性を得ることができる。上記総厚みhは、多層シート全体の厚み(シート面に対して垂直方向の厚み)である。350μm未満であると、内容物によってはガスバリア性が不充分となるおそれがある。1100μmを超えると、成形型によっては成形性に劣るおそれがある。600〜900μmがより好ましい。
上記ガスバリア層(A)の厚みは、5〜50μmであることが好ましく、5μm未満であると、内容物によってはガスバリア性が不十分となり、またシーティング時の厚み精度を出すための調整が困難となり厚みがばらつく傾向にある。上記接着性樹脂層(C)の厚みは、5〜50μmであることが好ましい。5μm未満であると、層間密着強度が不十分となり、またシーティング時の厚み精度を出すための調整が困難となり厚みがばらつく傾向にある。また、上記樹脂層(D)の厚みは、0〜500μmであることが好ましく、1〜500μmであることがより好ましい。
上記厚みの測定方法は、以下のとおりである。
マイクロメータ(ミツトヨ社製、「331−451」)を用いて、180mmのシートの幅方向に等間隔で10点の厚みを測定し、これら測定値の平均値として算出した。各層厚みは、シートの幅方向に等間隔で10点においてカミソリ刃を用いてシートの厚み方向が観察できるよう薄くスライスし、偏光顕微鏡(ニコン社製、「OPTIPHOT−POL」)により各層の厚みを計測後、観察倍率を乗じて算出した各層厚みの平均値とした。
本発明の成形包装体用多層シートは、水蒸気透過速度が1.0g/m・day・atm以下であることが好ましく、0.6g/m・day・atm以下であることがより好ましく、0.3g/m・day・atm以下であることが更に好ましい。これにより、防湿性が内容物によって要求される用途に好適に適用できる。
上記水蒸気透過速度の測定方法は、JIS K7129 A法に準拠し、MOCON社製「PERMATRAN−W3/31」を用いて、温度23℃、湿度50%RHの環境下で各シートから切り出した5つの試験片を測定し、これら試験片の測定値の平均値として算出した。
本発明の成形包装体用多層シートは、酸素ガス透過速度が1.5ml/m・day・atm以下であることが好ましく、1.0ml/m・day・atm以下であることがより好ましく、0.5ml/m・day・atm以下であることが更に好ましい。これにより、防湿性が内容物によって要求される用途に好適に適用できる。
上記酸素ガス透過速度の測定方法は、JIS K7126 B法(等圧法)に準拠し、MOCON社製OX−TRAN PL200を用いて、温度23℃、湿度50%RHの環境下で各シートから切り出した5つの試験片を測定し、これら試験片の測定値の平均値として算出した。
上記成形包装体用多層シートは、シートのスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成されることよって製造される成形包装体に用いられるものであることが好ましい。即ち、シート面に対して略垂直方向に設けられたスリット線を有する多層シートにおいて、そのスリット線を含む部分を加熱成形して成形包装体を得る製造方法に好適に適用できる。上記成形包装体用多層シートは、特定成分からなり、かつ、使用時に特定の深さのスリット線が設けられるシート(第1の本発明)、及び、特定成分からなり、かつ、特定の深さのスリット線を有するシート(第2の本発明)であるため、加熱成形時において、設けられたスリット線が融着することを良好に防止できる。このような成形包装体の製造方法として、例えば、上述した成形包装体用多層シートにおけるスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成される工程(I)、上記工程(I)によって形成された収納部に内容物が充填される工程(II)、並びに、蓋材で封止される(III)を含む方法を挙げることができる。
以下、本発明のシートを用いた上記工程(I)〜(III)を含む成形包装体の製造方法の一例を図を用いて説明する。
図2は、上記製造方法において用いられる製造装置1の概略図の一例である。
図2に示されているように、成形包装体の製造に使用される成形包装体用多層シート11が巻き取られた原反ロール12は、製造装置1の上流側に回転自在に配設される。
原反ロール12から連続して引き出された成形包装体用多層シート11は、スリット線形成ゾーン13に送られ、このゾーンにおいて、適当なスリット線形成手段14を使用してスリット線(図示せず)が形成される。スリット線は、成形包装体用多層シート11に形成される切欠部(切込部)であり、製造された成形包装体の内容物の取り出し時(注出時)に、折り曲げ開封される箇所である。
スリット線は、成形包装体用多層シート11に対して略垂直方向(シートの厚さ方向、図の矢印で示した方向)に挿入されることによって形成される。また、スリット線は、成形包装体用多層シート11の流れ方向、その垂直方向等、いずれの方向に形成されてもよいが、成形包装体用多層シート11の流れ方向又はその垂直方向が好ましく、流れ方向(シーティング時の流れ方向)がより好ましい。これにより、優れたスリット線の折り曲げ開封性、スリット線の融着防止性を得ることができる。
上記スリット線形成手段14は、成形包装体用多層シート11内にスリット線を形成できるものであれば特に限定されず、例えば、切れ刃、レーザーカッター、等を挙げることができる。なかでも、折り曲げ開封性、メンテナンス性、管理のし易さから切れ刃が好ましい。
次に、スリット線が形成された成形包装体用多層シート11が加熱成形ゾーン15に送られ、このゾーンにおいて、成形包装体用多層シート11に形成されたスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成される(上記工程(I))。
加熱成形は、加熱板圧空(プラグアシスト付き)成形法、ドラム加熱真空成形法等の方法で行うことができる。図2においては、成形包装体用多層シート11は、収納部に相当する部位の両面を加熱するため加熱板16を通過させる。このとき、例えば、加熱板16の上板又は下板のいずれか、又は、両者が昇降移動して、成形包装体用多層シート11を上板と下板で挟み込み、間欠的に収納部に相当する部分の両面を加熱することにより、成形包装体用多層シート11を加熱する。加熱板16の温度は、好ましくは140〜180℃、より好ましくは150〜180℃、更に好ましくは160〜170℃である。140℃未満であると、収納部の形成が困難になる場合があり、180℃を超えると、シートが溶融し、収納部の成形が困難になる場合がある。
その後、加熱板16で充分に加熱された成形包装体用多層シート11は、収納部成形型17の作用により、成形包装体用多層シート11に収納部(図示せず)が形成される。収納部の形成時に、成形包装体用多層シート11の部分のうち、スリット線形成ゾーン13で形成されたスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成される。即ち、スリット線の一部又は全部が加熱、成形されて収納部が形成されるが、スリット線の融着を充分に防止でき、得られた成形包装体において、良好な折り曲げ開封性が得られる。
次に、収納部が形成された成形包装体用多層シート11が充填ゾーン18に送られ、上記のようにして形成されたシートの収納部に内容物が充填される(上記工程(II))。上記内容物としては特に限定されず、例えば、化粧品、医薬品、食品、調味料等を挙げることができる。なかでも、化粧品であることが好ましく、液状の化粧品(化粧水、乳液等)であることが特に好ましい。上記充填剤の充填は、従来公知の方法で行うことができる。
続いて、収納部に内容物が充填された成形包装体用多層シート11が封止ゾーン19に送られ、このゾーンにおいて、蓋材を使用してシートが封止(密封)される(上記工程(III))。図2においては、配設された蓋材の原反ロール20から引き出された蓋材21を、成形包装体用多層シート11の収納部の開口部を覆うように供給し、成形包装体用多層シート11のフランジ部(収納部以外の領域部)を介してヒートシールし、内容物が収納部に封止される。
上記蓋材としては、例えば、金属薄膜等を挙げることができる。上記金属薄膜の材質としては、硬質アルミニウム等が挙げられる。また、金属薄膜は、ポリエチレン等の樹脂によって被覆されたものであってもよい。上記蓋剤の厚さは、特に限定されないが、10〜50μmであることが好ましい。
密封された成形包装体は、必要に応じて冷却され、所望の大きさに切断され、目的の成形包装体が得られる。
上述の成形包装体用多層シートを用いて得られる成形包装体も本発明の1つである。上記成形包装体は、医薬品、化粧品等の種々の用途に用いることができる。また、上述の工程(I)〜(III)を含む製造方法も本発明の1つである。
本発明の成形包装体用多層シートは、上述した構成であるため、得られる成形包装体において、良好な折り曲げ開封性を有している。また、加熱成形時において、シートに形成されたスリット線の融着を良好に防止できる。更に、成形性、防湿性、ガスバリア性等の性能にも優れている。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
実施例及び比較例
図2に示した製造ライン構成を有する製造装置を用いて、成形包装体を作製した。表1に示した成形包装体用多層シート(総厚み、スリット線の深さ、シート残厚、樹脂層(B)に入ったスリット深さ(%)等)をそれぞれ用いて、サンプル(1)〜(5)を作製した。図1(ii)の構成の多層シートを使用した。作製した試験に供するため、収納部への内容物の充填は行わなかった。
ポリプロピレン系多層シートの条件は以下の通りであった(図1(ii)の符号を使用)。
104:ポリプロピレン単独重合体(アイソタクチックPP)/ジシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂(軟化点125℃)=100/8
105、107:無水マレイン酸ポリプロピレン樹脂、融点160℃
106:エチレン含量32mol%、融点182〜183℃であるエチレン−ビニルアルコール共重合体
108:ポリプロピレン単独重合体(アイソタクチックPP)/ジシクロペンタジエン系水素添加石油樹脂(軟化点125℃)=100/8
104、108の厚さは表1の数値から算出
105/106/107=30/20/30μm(合計80μmに固定)
幅:180mm、全長:200mの原反コイル
製造ラインの各装置の条件は以下の通りであった。
スリット部(切除部);刃温度23℃
切れ刃(スリット刃)形状;図3の形状の両刃(刃先の正面角度18°、側面角度30°、刃厚0.35mm)
加熱板及び収納部成形機;シート加熱温度(収納部)160〜170℃
収納部の形状;カマボコ形状(先端にノズル付)、長径40mm、短径20mm、深さ10mm
ヒートシールドラム;シール温度160〜190℃
蓋材;アルミ箔(形状90μm、PET/AL/CPPドライラミ品)
〔評価〕
スリット線の折り曲げ開封性、成形性、ガスバリア性について、以下の方法により評価した。結果を表1に示した。
(スリット線の折り曲げ開封性)
成形後24〜30時間経過した成形品を、任意の試験者10名に、スリット線の部分に力が加わるようゆっくりと折り曲げてもらい、成形品が開封できるかどうかを確認した。(n=10/人、合計n=100)
○:全ての成形品でシール層(樹脂層(b))が伸びることなく開封することができた。
×:シール層(樹脂層(b))が伸びたために開封できなかったものがあった。
(成形性)
CKD社製「CFF200」を用い、シートを160〜170℃の熱板で加熱し、0.4MPaの圧空を用いて圧空成形した際の成形品の美観について評価した(n=100)。
○:胴体、ノズル部の各コーナーがシャープに出ており良好な成形状態にあった。
×:胴体、ノズル部の各コーナーの成形が甘かったり、伸びムラが発生した。あるいは、成形時にスリット線が開いてしまった。
(ガスバリア性)
成形前のシートから小片5枚を切り出し、酸素バリア性と水蒸気バリア性を前述の方法で測定し、これは測定値の平均値として評価した。
◎:酸素ガス透過速度が0.5ml/m・day・atm以下で、かつ水蒸気透過速度が0.3g/m・day・atm以下
○:酸素ガス透過速度が0.5ml/m・day・atm以下で、かつ水蒸気透過速度が0.4〜0.6g/m・day・atm
△:酸素ガス透過速度が0.6〜1.5ml/m・day・atm以下、又は、水蒸気透過速度が0.7〜1.0g/m・day・atm以下
×:酸素ガス透過速度が1.5ml/m・day・atmを超えるか、又は、水蒸気透過速度が1.0g/m・day・atm以下を超える
Figure 0004910609
表1から、本発明により得られた成形包装体は、優れたスリット線の折り曲げ開封性を有することが明らかとなった。また、本発明のシートは、優れた成形性、ガスバリア性を有していた。
本発明の成形包装体用多層シートは、化粧品、医薬品、食品、調味料等、種々の用途に使用することができる。
スリット線が形成された本発明の成形包装体用多層シートの概略図の一例。 本発明の成形包装体の製造方法において使用される製造装置の概略図の一例。 図3は、切れ刃(スリット刃)の形状の概略図の一例。
符号の説明
1 成形包装体の製造装置
11 成形包装体用多層シート
12 成形包装体用多層シートの原反ロール
13 スリット線形成ゾーン
14 スリット線形成手段
15 加熱成形ゾーン
16 加熱板
17 収納部成形型
18 充填ゾーン
19 封止ゾーン
20 蓋材の原反ロール
21 蓋材
101、106 ガスバリア層(A)
102、105、 107接着性樹脂層(C)
103、108 樹脂層(B)
104 樹脂層(D)
131、132 スリット線

Claims (8)

  1. ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層上に、更に1又は2以上の他の層を設けた成形包装体用多層シートであって、
    前記成形包装体用多層シートは、シート面に対して略垂直方向にスリット線を有し、
    前記シートのスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、
    前記スリット線が、前記他の層の最外層側から、他の層を貫通し、かつ、樹脂層内に形成され、
    前記樹脂層内に形成されたスリット線の深さh2が、樹脂層の厚みh1に対して、
    0.05h1≦h2≦0.85h1
    の範囲内であり、
    前記成形包装体用多層シートのスリット線が形成されていない厚みh3が、80〜500μmの範囲内である
    ことを特徴とする成形包装体用多層シート。
  2. 成形包装体用多層シートの総厚みhは、350〜1100μmである請求項記載の成形包装体用多層シート。
  3. ガスバリア層(A)、接着性樹脂層(C)、及び、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層(B)をこの順に有するシートである請求項1又は2記載の成形包装体用多層シート。
  4. 樹脂層(D)、接着性樹脂層(C)、ガスバリア層(A)、接着性樹脂層(C)、及び、ポリプロピレン系樹脂及び石油樹脂を含有する樹脂組成物から得られる樹脂層(B)をこの順に有するシートである請求項1、2又は3記載の成形包装体用多層シート。
  5. 石油樹脂は、ジシクロペンタジエン系水添石油樹脂である請求項1、2、3又は4記載の成形包装体用多層シート。
  6. シートのスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成されることによって製造される成形包装体に用いられる請求項1、2、3、4又は5記載の成形包装体用多層シート。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の成形包装体用多層シートを加熱成形することによって得られることを特徴とする成形包装体。
  8. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の成形包装体用多層シートにおけるスリット線の一部又は全部を含む部分が加熱成形され、収納部が形成される工程(I)、
    前記工程(I)によって形成された収納部に内容物が充填される工程(II)、並びに、
    蓋材で封止される(III)
    を含むことを特徴とする成形包装体の製造方法。
JP2006271591A 2006-10-03 2006-10-03 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4910609B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006271591A JP4910609B2 (ja) 2006-10-03 2006-10-03 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006271591A JP4910609B2 (ja) 2006-10-03 2006-10-03 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008087829A JP2008087829A (ja) 2008-04-17
JP4910609B2 true JP4910609B2 (ja) 2012-04-04

Family

ID=39372381

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006271591A Expired - Fee Related JP4910609B2 (ja) 2006-10-03 2006-10-03 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4910609B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5376143B2 (ja) * 2009-06-05 2013-12-25 キユーピー株式会社 分配包装体
KR101650952B1 (ko) * 2009-06-05 2016-08-24 큐피가부시키가이샤 분배 포장체
JP5376144B2 (ja) * 2009-06-11 2013-12-25 キユーピー株式会社 分配包装体
JP5376145B2 (ja) * 2009-06-29 2013-12-25 キユーピー株式会社 分配包装体詰め製品
JP5376148B2 (ja) * 2009-07-24 2013-12-25 キユーピー株式会社 分配包装体詰め製品
JP5357693B2 (ja) * 2009-10-05 2013-12-04 キユーピー株式会社 分配包装体詰め食品
JP6645019B2 (ja) * 2015-03-23 2020-02-12 住友ベークライト株式会社 多層フィルムおよび包装体
KR101711451B1 (ko) * 2015-10-05 2017-03-02 양승철 나이프 가공에 의한 프리커팅라인 형성장치

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3695897B2 (ja) * 1997-05-30 2005-09-14 住友ベークライト株式会社 Pp系ptp用シート
JP2005008259A (ja) * 2003-06-20 2005-01-13 Dainippon Printing Co Ltd ブリスター包装体
JP2006027086A (ja) * 2004-07-16 2006-02-02 Toppan Printing Co Ltd 容器成型用積層シート材及びシート成型容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008087829A (ja) 2008-04-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4910609B2 (ja) 成形包装体用多層シート、成形包装体及びその製造方法
JP5884553B2 (ja) 積層フィルム
JP4919625B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂積層シートおよびこれを用いたptp包装体
CN101052569B (zh) 易开封袋
JPWO2019131168A1 (ja) 積層フィルム及び食品包装袋
JP4907115B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂積層シートおよびこれを用いたptp包装体
JP7459986B2 (ja) 植物由来ポリエチレンを含むシーラント層を有する手切り開封包装体用の積層体
CN107531381A (zh) 层叠膜及包装袋
JP5820562B2 (ja) プレススルーパック用蓋材フィルム及び包装体
JP4213174B2 (ja) 包装容器、その製造方法および製造装置
JP2012224071A (ja) 多層フィルム及び該フィルムからなる包装材
DE102017201449A1 (de) Flächenförmiger Verbund zum Herstellen formstabiler Nahrungsmittelbehälter mit einer Barriereschicht, die eine Barrieresubstratschicht und eine nach innen weisende Barrierematerialschicht aufweist
CN113474398B (zh) 密封剂用薄膜
JP6292928B2 (ja) 積層発泡シート、積層発泡シート製造方法、及び、容器
JP2005199514A (ja) 多層積層樹脂フィルムおよびそれを使用した積層材
JP6093975B2 (ja) 発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体
JP4906662B2 (ja) 易切開性多層容器
US11884466B2 (en) Sustainable barrer containers and methods
JP2015098108A (ja) 発泡積層体の製造方法及びその発泡積層体
JP2018069683A (ja) 発泡用積層体及び発泡積層体
JP6657993B2 (ja) 蓋材用積層体、蓋材、分配包装容器、分配包装体、及び蓋材用積層体の製造方法
JPH11320774A (ja) 食品包装用フィルム
JP6822198B2 (ja) シーラント用接着剤及び易剥離性フィルム
CN113573989A (zh) 包装材料及包装体
US20240116688A1 (en) Sustainable barrer containers and methods

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080617

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090618

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111004

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111220

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4910609

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees