JP4909975B2 - 麺類の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、麺類の製造方法およびその製造装置に関する。より詳細には、本発明は、茹でどけがなく、しかも滑らかさおよび粘弾性に優れる麺類を良好な作業性で円滑に製造することのできる麺類の製造方法およびその製造装置に関する。
手打ち麺類や手延べ麺類は、粘弾性や滑らかさなどの点で良好な食感を有するが、麺類の製造に手間および時間がかかるため、製造コストが高く、消費者に麺類を経済的な価格で提供することが困難である。
これに対して、機械製麺は、麺生地の調製、圧延ロールなどによる麺生地からの麺帯の調製、麺帯から麺線や麺皮などへの切り出しという一連の工程を機械によって行うため、麺類を短時間で生産性よく製造することができ、それに伴って麺類を経済的な価格で消費者に提供することができる。
しかしながら、機械製麺によって得られる麺類は、手打ち麺類や手延べ麺類に比べて、滑らかさ、粘弾性などに劣ることが多く、また場合によっては茹でたときに茹でどけが大きくて茹で湯の汚れ、食感の低下などが生ずることがある。
かかる点から、機械製麺によって、手打ち麺と同じように、滑らかさや粘弾性に優れる麺類を製造しようとする試みが従来から色々行われているが、従来技術による場合は、麺類の滑らかさや粘弾性などの品質の向上が未だ不十分であったり、工程や装置が複雑であることが多い。
一方、即席麺類の復元性の向上、麺帯を麺線に切断する際の切断性の改良、長期保存可能な麺類の提供、麺類の食感の向上などを目的として、麺生地、麺帯または麺線を水、食塩水、酸性水溶液などの水性液体で処理して麺類を製造する技術が知られている。
具体的には、特許文献1には、常法により製造した麺帯または麺線を60〜130℃の高温食塩水中に浸漬した後、乾燥して即席乾燥麺類を製造する方法が記載されている。この方法では、約100℃の熱湯または水を注ぐだけで容易に復元する即席乾燥麺類を得ることを目的として、麺帯または麺線を前記した60〜130℃という高温食塩水に浸漬して澱粉をα化しており、そのため高温食塩水への浸漬時間も10〜30分と長い。
また、特許文献2には、生地を蒸したり、蒸練して得られる粘着性の強いゲル状麺帯(α化麺帯)に水を供給しながら切断するか或いは当該ゲル状麺帯の切断直後に水を供給するゲル状麺帯の切断方法が記載されていて、この特許文献2の実施例3には、蒸練したゲル状生地(α化生地)を加圧押し出して得られる麺帯を、0.1重量%の酢酸溶液に浸漬して引き上げた後に麺線に切断したことが記載されている。この方法では、α化してゲル状となった粘着性の強い麺帯を、添加剤を用いずに効率よく切断することを目的として、α化した麺帯に水が供給されている。
特許文献3には、第1原料のα化温度の低い澱粉に約100℃の熱湯を添加してα化し糊化させた後、第2原料としてアミロペクチン100%の澱粉を加えてミキシングし、次いで第3原料として小麦粉などの穀粉を加えて再度ミキシングを行った後、高圧押出機で生地を得、この生麺からゆで麺を製造する過程で、酢の希釈液に麺を浸漬させて、麺のpHを酸性域に調整する工程を含むゆで麺類の製造法が記載されている。この方法では、酢の希釈液への浸漬は、ゆで麺のpHを酸性域に調整することによってゆで麺を長期保存可能にすることを目的としており、そのため酢の希釈液への浸漬は、麺を常法によりα化処理し、水洗した後に行われている。
また、特許文献4には、多加水の麺線群を熱水の流れる桶中で熱水中に浸漬しながら移行させた後、所定の長さにカットして本茹で処理して茹で麺類を連続的に製造する方法が記載されている。この方法では、熱水中への麺線群の浸漬は、麺線の表面をα化して、後段の本茹で時に麺線同士の付着を防止する目的で行われている。
特許文献5には、常法により製麺された生麺線を60〜100℃の湯に浸漬、シャワー及び/又は噴霧をする湯処理をし、これを蒸煮した後に0〜40℃の水で冷却処理し、次いで熱風乾燥する即席麺類の製造方法が記載されている。この方法では、60〜100℃の湯による湯処理は、次の蒸煮処理と相俟って麺線に吸湯させて麺線中の澱粉を糊化膨潤させることによって即席麺の復元性を向上させるために行われている。
また、特許文献6には、麺類の製造に用いる生地の一部を水に1時間以上浸漬した後に水から取り出し、これに残りの原料穀粉を添加して混捏し、常法により製麺することによって、良好な食感、食味、風味を有する麺類が得られることが記載されている。この方法では、水中への浸漬は、麺類の製造に用いる麺生地の一部だけであり、しかも水中での浸漬時間は1時間〜36時間と長い。
上記した特許文献1〜6の従来技術では、麺生地、麺帯または麺線の水性液体による処理は、高温の水性液体を用いて麺帯や麺線をα化するために行われているか、α化した後の麺帯や麺線に対して行われているか、または麺類の製造に用いる生地の一部に対してだけ行われており、麺生地から麺帯を調製し、当該麺帯を未糊化状態に保ちながら低温の水性液体で処理した後、未糊化状態で所定の厚さの麺帯にする際に圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら更に圧延して麺類を製造することは行われていない。
特開昭53−81641号公報 特開昭54−160764号公報 特開2001−128632号公報 特開昭60−83554号公報 特開平11−276105号公報 特開平8−23905号公報
本発明の目的は、茹でたときに茹でどけがなくて、茹で湯の汚れず、食感の低下がなく、しかも滑らかさや粘弾性に優れる、高品質の麺類を、機械製麺によって良好な作業性で、円滑に且つ生産性良く製造する方法および装置を提供することである。
本発明者らは上記の目的を達成すべく種々検討を重ねてきた。その結果、加水し混捏して得られる麺生地から所定の厚みの未糊化状態の麺帯を調製し、当該麺帯を切り出して麺線、麺皮、その他の麺製品を製造する機械製麺において、麺生地から調製した未糊化状態の麺帯をα化の生じない温度の水性液体中に浸漬した後、水性液体から取り出して、更に圧延する際に圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら圧延ロールで所定の厚さになるまで圧延し、それを麺線、麺皮、その他の麺製品として所望の形状にするために切り出すと、麺帯の裂け、切れ、折れなどを生ずることなく、茹でたときに茹でどけがなく、しかも滑らかさ、粘弾性に優れる高品質の麺類を、良好な作業性で、円滑に生産性よく製造できることを見出した。
即ち、本発明者らは、未糊化状態の麺帯を水性液体に浸漬するに当っては、水性液体として、水(水道水、井戸水など)、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体を用いるのがよく、特に酸性水溶液を用いると、麺類の食感の滑らかさが増し、粘弾性がより高くなり、モチモチ感がより大きくなり、しかも茹でどけがより少なくなり、更に製麺性が向上すること、またアルカリ性水溶液を用いると、麺類の粘弾性がより大きくなり、硬めの食感となること、そのため麺帯を浸漬する水性液体の種類を水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液のうちから選択することで、麺類の種類などに応じて、所望の食感を麺類に発現させ得ることを見出した。
さらに、本発明者らは、上記した方法において、水性液体から取り出した麺帯を圧延ロールで更に圧延する際に、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら圧延すると、圧延ロールなどへの麺帯の付着、麺帯の損傷などを防止しながら良好な作業性で圧延できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)製麺原料に加水し混捏して得られる麺生地を用いて麺類を製造する方法であって、
(i)麺生地から未糊化状態の麺帯を調製する工程;
(ii)工程(i)で得られる麺帯を、5〜50℃の温度の水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体に0.5〜10分間浸漬する工程;次いで、
(iii)麺帯を水性液体から取り出して、圧延ロールにて、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら所定の厚さまで麺帯を圧延する工程;
を含むことを特徴とする麺類の製造方法である。
そして、本発明は、必要に応じて工程(iii)の後に、麺帯を所望の形状に成型する工程を有する前記(1)の麺類の製造方法である。
さらに、本発明は、
(2)(I)麺生地から麺帯を調製する麺帯調製部;
(II)麺帯調製部を経て得られる麺帯を水性液体に浸漬するための水槽;並びに、
(III)水槽から取り出した麺帯を、所定の厚さまで圧延する圧延ロールと、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施すための装置を備える圧延部;
を有することを特徴とする麺類の製造装置である。
そして、本発明は、必要に応じて圧延部(III)の下流に、麺帯を所望の形状に成型するための装置を備える前記(2)の麺類の製造装置である。
本発明の麺類の製造方法およびその製造装置により、茹でどけがなくて茹で湯の濁りや麺の食感の低下が生じず、しかも滑らかさ、粘弾性に優れる高品質の麺類を、良好な作業性(製麺性)で、円滑に生産性よく製造することができる。
未糊化状態の麺帯を水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体(pH範囲でいうと好ましくはpH3〜12の水)からなる5〜50℃の水性液体を用いる本発明において、水性液体として酸性水溶液を用いた場合には、麺類の食感の滑らかさが増し、粘弾性がより高くなり、モチモチ感がより大きくなり、しかも茹でどけのより少なくい麺類を良好な製麺性で円滑に製造することができ、またアルカリ性水溶液を用いた場合には、麺類の粘弾性のより大きな、硬めの食感を有する麺類を製造することができる。そのため、本発明では、麺帯を浸漬する水性液体の種類を水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液のうちから選択することによって、麺類の種類、形態などに応じて、所望の食感を有する麺類を得ることができる。
本発明の麺類の製造方法およびその製造装置では、水性液体から取り出した麺帯を圧延部(III)において圧延ロールで圧延する際に、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら圧延を行うため、圧延ロールなどへの麺帯の付着、麺帯の裂け、切れ、折れなどの麺帯の損傷を防止しながら、より良好な作業性(製麺性)で、茹でどけが少なく、しかも滑らかさ、粘弾性に優れる高品質の麺類を円滑に生産性良く製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明では、製麺原料に加水し混捏して得られる麺生地から麺帯を調製する工程(i)、前記の工程(i)で得られる麺帯を水性液体に浸漬する工程(ii)、および前記の工程(ii)で水性液体に浸漬した麺帯を、水性液体から取り出して所定の厚さまで圧延ロールにより圧延する工程(iii)を少なくとも経て麺類を製造する。
本発明では、前記の工程(i)〜(iii)を、麺生地および麺帯の糊化(α化)が生じないようにして行う。
本発明では、麺類を製造するための製麺原料として、麺類の製造に用いられている製麺原料のいずれもが使用できる。そのうちでも、製麺原料としては、小麦粉を主体とする製麺原料(小麦粉の割合が50質量%以上である穀粉原料)またはそば粉を含有する製麺原料(例えば、そば粉の割合が30質量%以上である穀粉原料)が好ましく用いられる。小麦粉を主体とする製麺原料は、必要に応じて、大麦粉、米粉、澱粉類、大豆粉、そば粉、コーンフラワーなどの他の穀粉などの1種または2種以上を含有していてもよく、またそば粉を含有する製麺原料は、小麦粉、大麦粉、米粉、澱粉類、大豆粉、コーンフラワーなどの他の穀粉の1種または2種以上を含有していてもよい。
製麺原料は、上記した穀粉以外に、麺類の種類などに応じて、麺類の製造に従来から用いられている副原料や添加剤を必要に応じて含有してもよく、具体例としては、食塩、かん水(かん粉)、乳化剤、ゲル化剤、増粘剤、着色料、防腐剤、栄養強化剤(ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸など)、山芋粉、卵または卵製品、茶粉末、海草粉末などを挙げることができる。本発明の製麺原料は、前記した副原料や添加剤の1種または2種以上を含有してもよい。
製麺原料に加水し、混捏して麺生地を調製する。
麺生地を調製する際の加水量は、機械製麺において通常採用されている加水量(低加水または多加水)であればよく、いずれの場合も、良好な製麺性で、茹でどけが少なく、滑らかさ、粘弾性に優れる麺類を得ることができる。低加水の麺生地を調製する場合は、一般に穀粉100質量部に対して水を30〜40質量部の割合で加えるのがよい。また、多加水の麺生地を調製する場合は、穀粉100質量部に対して水を40〜60質量部の割合で加えることが好ましく、45〜55質量部の割合で加えることがより好ましい。
製麺原料に加水し混捏して調製した麺生地を用いて、工程(i)において麺帯を調製する。
工程(i)における麺帯の調製法は特に制限されず、常法に従って麺帯を調製することができ、例えば圧延ロールによる圧延法、押し出し法およびこれらの組み合わせによって麺帯を調製することができる。
圧延ロールによって麺帯を調製する場合は、機械製麺において通常用いられている圧延ロールであればいずれでもよく、特に制限されず、少なくとも1段の圧延ロール、通常は2〜6段の圧延ロールを用いて麺帯を調製すればよい。また、必要により、圧延ロールによる圧延の前に成型ロール、複合ロールを用いて成型、複合してもよい。
押し出しによって麺帯を調製する場合は、機械製麺において通常用いられている麺帯の押出装置を使用することができる。この場合、麺帯が所望の厚さになるように押出機で押し出してもよいし、押出機と圧延ロールを組み合わせて、押出機で厚めに押し出し、次いで圧延ロールにより所望の厚さまで圧延してもよい。
工程(i)における麺帯の調製は、厚さが3〜15mm、特に5〜10mmの麺帯が得られるようにして行うことが好ましい。
工程(i)で調製された麺帯の厚さが薄すぎると、次の工程(ii)(水性液体への浸漬工程)において、麺帯の形状保持が困難になって、麺帯の切断、折れ、ねじれなどが生じ、また作業効率が低下する。一方、工程(i)で調製された麺帯の厚さが大きすぎると、工程(ii)での麺帯の浸漬時間が長くなり、作業効率が低下する。
工程(i)で調製した麺帯を、次いで工程(ii)で水性液体に浸漬する。
工程(ii)では水性液体として、水(水道水、井戸水など)、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体を用いる。
工程(ii)では、水性液体として、好ましくはpHが3〜12の範囲、より好ましくはpHが3〜11の範囲の水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体を用いる。工程(ii)で用いる水性液体の酸性が強いほど又はアルカリ性が強いほど製麺性は向上するが、pHが低すぎるとまたはpHが高すぎると得られる麺類の食感が低下する。
水性液体として酸性水溶液を用いる場合は、pHが3〜6、特にpHが3〜5.5の酸性水溶液が好ましく用いられる。当該pHを有する酸性水溶液を用いることによって、中性またはほぼ中性の水を用いた場合に比べて、得られる麺類の茹でどけが一層少なくなり、しかも滑らかさ、粘弾性、モチモチ感が一層増し、更に製麺性がより良好になる。酸性水溶液を調製するための酸としては、食品に使用可能な有機酸および/または無機酸のいずれもが使用でき、そのうちでも有機酸が好ましく用いられ、特に乳酸、クエン酸、リンゴ酸のうちの1種または2種以上がより好ましく用いられる。
水性液体としてアルカリ性水溶液を用いる場合は、pHが8〜12、特にpHが9〜11のアルカリ性水溶液が好ましく用いられる。前記したpHを有するアルカリ性水溶液を用いることによって、中性またはほぼ中性の水を用いた場合に比べて、弾性により優れる麺類を、より良好な製麺性で得ることができる。
アルカリ性水溶液を調製するためのアルカリ性化合物としては、食品に使用可能なアルカリ性化合物のいずれもが使用でき、そのうちでも、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどの、かん水(かん粉)として通常用いられているアルカリ性化合物の1種または2種が好ましく用いられる。
工程(ii)における水性液体の温度は、麺帯の糊化(α化)が生じない温度であることが必要である。水性液体の種類、麺帯の厚さ、製造する麺類に求める食感などによって、水性液体の温度は適宜調節すればよいが、一般的には、5〜50℃の温度の水性液体を用いる。水性液体の温度は、10〜40℃の範囲内であることが好ましい。
水性液体の温度が低過ぎると、麺帯を水性液体に浸漬する効果が奏されにくくなり、また浸漬時間が長くなって作業性が低下する。一方、水性液体の温度が高すぎると、麺帯の糊化(α化)が生じたり、糊化しない場合であっても、麺帯のべたつき、ねじれ、折れが生じやすくなって作業性が低下し、また次の工程(iii)(圧延ロールによる更なる圧延工程)において、麺帯が圧延ロールに付着して圧延作業が円滑に行われなくなったり、得られる麺類の滑らかさや粘弾性の低下、茹でどけの増加などが生じ易くなる。
水性液体への麺帯の浸漬時間は、麺帯の厚さ、麺の種類、水性液体の種類や温度などによって適宜調節すればよいが、一般的には0.5〜10分間であり、1〜5分間が好ましい。水性液体への浸漬時間が短すぎると、滑らかさおよび粘弾性に優れる麺類が得られにくくなり、一方浸漬時間が長すぎると、麺帯の表面がベタついて、次の工程(iii)への麺帯の移送や次の工程(iii)での圧延ロールによる圧延が行いにくくなったり、麺帯切れを生じて製麺ができなくなったり、得られる麺類の茹でどけが大きくなったり、滑らかさ、粘弾性の低下などが生じ易くなる。
工程(ii)で水性液体中に浸漬した麺帯を、水性液体から取り出して工程(iii)で圧延ロールにより所望の厚さまで圧延する。
工程(iii)で使用する圧延ロールは、機械製麺において通常用いられている圧延ロールであればいずれでもよく、特に制限されない。工程(iii)では、少なくとも1段の圧延ロール、通常2〜6段の圧延ロールを用いる。
工程(iii)の圧延処理を終了した時点での麺帯の厚さは、麺の種類や形態などによって適宜調節すればよいが、一般的には、麺帯の厚さが1〜5mm、特に2〜3mm程度になるように圧延することが好ましい。
工程(ii)の浸漬処理を行った麺帯は、表面部分が水性液体により膨潤しているため、そのまま圧延ロールで押圧すると、麺帯が圧延ロールに付着して圧延作業が円滑に行われないことがあり、場合によっては麺帯の肌荒れ、裂け、切れなどが生ずることがある。そのため、工程(iii)では、圧延ロールに水性液体を施しながら、麺帯に水性液体を直接施しながら、または圧延ロールと麺帯の両方に水性液体を施しながら圧延を行う。その際に、少なくとも圧延ロールに水性液体を施しながら圧延を行うのが好ましい。圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら圧延することで、圧延ロールへの麺帯の付着およびそれに伴う麺帯の損傷などを防いで、麺帯を円滑に圧延することができる。
水性液体を施す方法としては、工程(iii)における圧延ロールおよび/または麺帯の表面が水性液体で湿潤すればいずれの方法でもよく、例えば噴霧、吹き付け、撒水、滴下などが挙げられる。
圧延ロールおよび/または麺帯に施す水性液体は、水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体のいずれであってもよく、そのうちでも、廃水処理の問題、圧延ロールや他の設備への影響などの点から、酸やアルカリを添加していない通常の水を用いることが好ましい。
本発明では、上記の工程(i)〜(iii)をバッチ方式で行ってもよいし、または麺帯を連続的に移送しながら連続方式で行ってもよい。そのうちでも、麺帯を連続的に移送しながら工程(i)〜(iii)を連続して行って麺類を製造することが、茹でどけがなく、しかも滑らかさおよび粘弾性に優れる高品質の麺類を、良好な作業性(製麺性)で円滑に生産性よく製造できる点から好ましい。
前記した工程(i)〜(iii)を有する本発明の麺類の製造方法は、
(I)麺生地から麺帯を調製する麺帯調製部;
(II)麺帯調製部を経て得られる麺帯を水性液体に浸漬するための水槽;並びに、
(III)水槽から取り出した麺帯を、所定の厚さまで圧延する圧延ロールと、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施すための装置を備える圧延部;
を備える麺類の製造装置(以下「製麺装置」ということがある)を使用して、円滑に実施することができる。
前記した製麺装置において、麺帯調製部(I)は、麺帯を調製するための装置として、圧延ロール、麺帯製造用の押出機などを備えている。また、必要により、整形ロール、複合ロールなどを更に備えていてもよい。
麺帯調製部(I)が圧延ロールを備えている場合は、必要に応じて成型ロールおよび/または複合ロールと、1段の圧延ロール(1対の圧延ロール)または複数段の圧延ロール(複数の圧延ロール)を備えており、通常、圧延ロールは、2段〜6段の圧延ロールを備えている。各圧延ロールは所定の間隔を設けて対向させた1対のロールからなっている。圧延ロールの材質は特に制限されず、製麺装置において一般に使用されている圧延ロールと同様の素材から形成されている。
麺帯調製部(I)が麺帯製造用の押出機を備えている場合は、麺帯の製造に通常使用されている押出機などを用いることができる。また、必要に応じて、押し出した麺帯をさらに圧延する1段の圧延ロールまたは複数段の圧延ロールを備え、押出機と圧延ロールとを組み合わせて用いてもよい。
製麺原料に加水し混捏して得られる麺生地は、麺帯調製部(I)において所定の厚さの麺帯とされた後、水性液体を収容した水槽(II)に移送される。
麺帯調製部(I)を出た麺帯は、移送手段などを用いずにそのまま水槽(II)に直接移送してもよいし、または必要に応じて麺帯調製部(I)と水槽(II)との間に移送手段を配置しておき、その移送手段によって移送しながら水槽(II)へと移送してもよい。当該移送手段の種類は特に制限されず、麺帯調製部(I)を出た麺帯を水槽(II)へと円滑に移送し得る移送手段であればいずれでもよく、例えば、麺帯をその両側から挟み込みながら移送する挟み込み式コンベア、麺帯を載置しながら移送する載置式コンベア、移送ロールなどを挙げることができる。
水槽(II)に移送されてきた麺帯を、水槽(II)内に収容されている水性液体中に導入して、水性液体中で移動させながら浸漬処理を行う。麺帯を水槽(II)内の水性液体中に浸漬している時間が、前記した0.5〜10分間、好ましくは1〜5分間程度になるように、麺帯の移送速度および水性液体中での滞留時間を調節することが望ましい。
水槽(II)内には、麺帯の支持手段や移送手段を配置しておいて、麺帯を当該支持手段や移送手段で支持または保持しながら水性液体中を移動させてもよいし、または水槽(II)に麺帯の支持手段や移送手段を配置せずに麺帯をフリーな状態で水性液体中を移動させてもよい。水槽(II)内に麺帯の支持手段や移送手段を配置しておくと、麺帯を水性液体中で安定した状態で浸漬処理しながら移動させることができる。
また、水槽(II)に、水槽(II)内に収容した水性液体の温度を調節するための温度調節手段を設けておくと、水槽(II)内に収容した水性液体の温度を麺帯の浸漬処理に適した5〜50℃の範囲内の所定の温度に維持しながら、水性液体への浸漬を円滑に実施することができる。
次いで、麺帯を水槽(II)から導出させて、圧延部(III)に移送する。水槽(II)から出た麺帯は、移送手段などを用いずにそのまま直接圧延部(III)へと移送してもよいし、または水槽(II)と圧延部(III)の間に移送手段を配置しておき、その移送手段によって移送させながら圧延部(III)へと移送してもよい。当該移送手段としては、例えば、挟み込み式コンベア、載置式コンベアなどを挙げることができる。
圧延部(III)は、1段の圧延ロール(1対の圧延ロール)または複数段の圧延ロール(複数の圧延ロール)を備えており、通常、2段〜6段の圧延ロールを備えている。各圧延ロールは所定の間隔を設けて対向させた1対のロールからなっている。圧延ロールの材質は特に制限されず、製麺装置において一般に使用されている圧延ロールと同様の素材から形成されている。
圧延部(III)は、圧延ロールへの麺帯の付着、圧延時の麺帯の損傷などを防止するために、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施すための装置を備えている。
水性液体を施すための装置は、圧延ロールの長さ方向(幅方向)全体および/または麺帯の幅方向全体にわたって水性液体を均一またはほぼ均一に施し、圧延ロールおよび/または麺帯の表面を湿潤させ得る装置であればいずれでもよく、例えば、水性液体の噴霧装置、吹き付け装置、撒水装置、滴下装置などを挙げることができる。
水性液体を施す装置は、麺帯の一方の面に接する圧延ロールのみもしくはこの圧延ロールと麺帯のもう一方の面に接する圧延ロールの両方に水性液体を施すようにして配置するかおよび/または麺帯の一方の面のみもしくはこの面ともう一方の面の両方に水性液体を施すようにして配置することができる。
工程(iii)[圧延部(III)]の下流には、必要に応じて切出装置など、麺帯を所望の形状に成型するための装置を設けておいて、工程(iii)[圧延部(III)]で所定の厚さに圧延された麺帯を、麺線、麺皮、ひっつみ、すいとん、そばがきなどのようなそれぞれの麺類の形状に成型することができる。
切出装置は、製造する麺類の種類などに応じて、圧延部(III)のすぐ後に設けてもよいし、または圧延部(III)の後に、必要に応じて、麺帯の表面に凹凸や溝などを付与する装置を設けておいて、圧延部(III)で圧延された麺帯に凹凸や溝などを付与した後に、切出装置でそれぞれの麺製品への切り出しを行うようにしてもよい。
何ら限定されるものではないが、麺帯調製部(I)、水槽(II)および圧延部(III)を少なくとも備える本発明の製麺装置の一例を図1に模式的に示す。
図1において、1aおよび1bは麺帯調製部(I)に設けた圧延ロール、2は水槽(II)内に収容した水性液体、3aおよび3bは圧延部(III)に設けた圧延ロール、4は麺生地、5は麺帯、6は圧延部(III)に設けた水散布装置、7は切出装置を示す。
図1の製麺装置では、麺帯調製部(I)に圧延ロールを配置しているが、圧延ロールに限定されず、麺帯の押出機または押出機と圧延ロールの組み合わせであってもよい。
また、図1の製麺装置では、麺帯調製部(I)および圧延部(III)において圧延ロールを横方向(水平方向)に配置して、麺帯を横方向(水平方向)に移送しながら製麺するようにしているが、それに限定されず、麺帯調製部(I)における圧延ロールや麺帯の押出機、および/または圧延部(III)における圧延ロールは、上下方向(高さ方向)や傾斜状態に配置して、麺帯を上下方向や斜め方向に移送しながら麺類を製造してもよい。
また、図1の製麺装置では、水槽(II)内に麺帯の支持手段や移送手段を設けていないが、水槽(II)内に麺帯の支持手段や移送手段を配置して、麺帯をそれらの手段で支持しながら水性液体中を移送するようにしてもよい。
さらに、図1の製麺装置では、圧延部(III)のすぐ後に切出装置を設けているが、圧延部(III)の後に、必要により、麺帯の表面に凹凸や溝などを付与する装置などを配置し、その後に切出装置などの成型装置を配置してもよい。
本発明の麺類の製造方法および製造装置で製造する麺類の種類は特に限定されず、いずれでもよい。そのうちでも、本発明の製造方法および製造装置は、比較的太いうどん、太めの中華麺類、幅の広いきしめんやほうとう、ギョウザ、ワンタン、シュウマイ、春巻きなどの麺皮類、ひっつみ、すいとん、そばがきなどの製造に適している。なお、ひっつみは、岩手県など北東北地方の郷土料理である。
本発明の製造方法および製造装置で製造される麺類は、生麺、乾麺、半乾燥麺、茹で麺、蒸し麺、冷凍麺などの形態で流通、販売することができ、生麺、茹で麺または冷凍麺の形態で流通、販売することが好ましく、茹で麺または冷凍麺の形態で流通、販売することがより好ましい。
以下に本発明を実施例などによって具体的に説明するが、本発明は以下の実施例などにより何ら制限されるものではない。
以下の実施例および比較例において、製麺により得られた茹でる前の麺の水分含量は、乾燥減量法により求めた。具体的には、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製「FD−610」)を使用して水分含量を測定した。
また、以下の実施例および比較例において、製麺性、得られた麺の茹でどけ、滑らかさおよび粘弾性は、以下の表1に記載した評価基準に従って評価した。
Figure 0004909975
《実施例1》[うどんの製造]
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)100質量部に、食塩3質量部を水35質量部に溶かした食塩水を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を複合ロールおよび2段の圧延ロールを配置した麺帯調製部に送って、常法により複合、圧延して厚さ10mmの麺帯にし、当該麺帯を、水道水(温度15℃)を収容した水槽中に連続的に移送し、水道水への浸漬時間が2分間になるようにして水槽中を連続移送し、次いで水槽から導出した麺帯を3段の圧延ロールを配置した圧延部に移送して、圧延ロールに水を散布しながら圧延して厚さ2.4mmの麺帯にし、続いて10番の角の切刃を用いて麺線(幅約3mm、厚さ約2.5mm)に切り出して、うどんを製造した。このうどん製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
また、これにより得られたうどんの水分含量を測定したところ、以下の表2に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られたうどんを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが290〜300%の茹でうどんを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹でうどんを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹でうどんを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
《比較例1》
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)100質量部に、食塩3質量部を水35質量部に溶かした食塩水を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を複合ロールおよび4段の圧延ロールを配置した圧延装置に送って、常法により複合、圧延して厚さ2.4mmの麺帯にし、続いて10番の角の切刃を用いて麺線に切り出して、うどん(幅約3mm、厚さ約2.5mm)を製造した。このうどん製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。また、これにより得られたうどんの水分含量を測定したところ、以下の表2に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られたうどんを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが290〜300%の茹でうどんを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹でうどんを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹でうどんを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
《比較例2》
(1) 食塩3質量部を水35質量部に溶かした食塩水の代わりに、食塩3質量部を水40質量部に溶かした食塩水を用いた以外は、比較例1の(1)と同じ操作を行ってうどん(幅約3mm、厚さ約2.5mm)を製造した。このうどん製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られたうどんを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが290〜300%の茹でうどんを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。また、これにより得られたうどんの水分含量を測定したところ、以下の表2に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹でうどんを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹でうどんを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表2に示すとおりであった。
Figure 0004909975
上記の表2の結果にみるように、実施例1では、麺生地を圧延して調製した麺帯を、水性液体(水)中に浸漬した後、更に圧延してうどんを製造したことにより、茹でどけが少なく、しかも水性液体への浸漬処理を行わなかった比較例1および比較例2に比べて滑らかさおよび粘弾性により優れる高品質の麺類が、良好な製麺性で得られた。
《実施例2〜5》[きしめんの製造]
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)100質量部に、食塩3質量部を水35質量部に溶かした食塩水を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を複合ロールおよび2段の圧延ロールを配置した麺帯調製部に送って、常法により複合、圧延して厚さ8mmの麺帯にし、当該麺帯を、下記の表3に示す温度の水道水を収容した水槽中に連続的に移送し、水道水への浸漬時間が下記の表3に示す時間になるようにして水槽中を連続移送し、次いで水槽から導出した麺帯を3段の圧延ロールを配置した圧延部に移送して、圧延ロールに水を散布しながら圧延して厚さ1.5mmの麺帯にし、続いて6番の角の切刃を用いて麺線に切り出して、きしめん(幅約5mm、厚さ約1.5mm)を製造した。このきしめん製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。また、これによって得られたきしめんの水分含量を測定したところ、以下の表3に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られたきしめんを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが280〜290%の茹できしめんを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹できしめんを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹できしめんを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
《実施例6》[きしめんの製造]
(1) 麺生地の調製時に中力小麦粉100質量部に、食塩3質量部を水40質量部に溶かした食塩水を加え、また麺帯調製部で調製された麺帯を浸漬する水道水の温度を40℃にした以外は、実施例2の(1)と同様の操作を行って、厚さ1.5mmの麺帯をつくり、それを6番の角の切刃を用いて麺線に切り出して、きしめん(幅約5mm、厚さ約1.5mm)を製造した。このきしめん製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。また、これによって得られたきしめんの水分含量を測定したところ、以下の表3に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られたきしめんを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが280〜290%の茹できしめんを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹できしめんを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹できしめんを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
なお、この実施例6において、麺帯を浸漬する水道水の温度を60℃に変えると共に水道水への浸漬時間を4分に変えて、この実施例6と同様の操作を行ったところ、その後の圧延の段階で麺帯切れが発生して、きしめんを製造することができなかった。
《比較例3》
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)100質量部に、食塩3質量部を水35質量部に溶かした食塩水を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を4段の圧延ロールを配置した圧延装置に送って、常法により複合、圧延して厚さ1.5mmの麺帯にし、続いて6番の角の切刃を用いて麺線に切り出して、きしめん(幅約5mm、厚さ約1.5mm)を製造した。このきしめん製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。また、これにより得られたきしめんの水分含量を測定したところ、以下の表3に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られたうどんを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが280〜290%の茹できしめんを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表3に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹できしめんを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹できしめんを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表3に示すとおりであった。
Figure 0004909975
《実施例7〜10》[ひっつみの製造]
(1) 中力小麦粉(日清製粉株式会社製「金すずらん」)100質量部に、食塩3質量部を水35質量部に溶かした食塩水を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を2段の圧延ロールを配置した麺帯調製部に送って、常法により複合、圧延して厚さ7mmの麺帯にし、当該麺帯を、下記の表4に示す水道水、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液からなる水性液体を収容した水槽中に連続的に移送し、水性液体への浸漬時間が下記の表4に示す時間になるようにして水槽中を連続移送し、次いで水槽から導出した麺帯を3段の圧延ロールを配置した圧延部に移送して、圧延ロールに水を散布しながら圧延して厚さ2mmの麺帯にした。
(2) 上記(1)で得られた麺帯に凹凸加工を施した後、2番の角の切刃を用いて幅広の麺線に切り出し、当該麺線を長さ方向に対して横方向に切断して、ひっつみ(縦約5cm、横約3cm)を製造した。このひっつみ製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(3)(i) 上記(2)で得られたひっつみを約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが290〜300%の茹でひっつみを得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表4に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹でひっつみを、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹でひっつみを冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で1分間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表4に示すとおりであった。
Figure 0004909975
上記の表4の結果にみるように、麺帯を浸漬するための水性液体としてpHが3〜12の範囲の水を使用した際に、前記pH範囲において、pHが低いほど、またはpHが高いほど、製麺性がより良好で、茹でどけがより少なく、しかも麺の滑らかさおよび粘弾性がより向上している。
具体的には、酸性水溶液(1%乳酸水溶液または0.1%リンゴ酸/リンゴ酸塩水溶液)に浸漬した実施例8および9では、非常に滑らかで、粘弾性に優れ、しかもモチモチとした食感であった。一方、アルカリ性水溶液に浸漬した実施例10では、非常に滑らかでありながら、粘弾性に優れ、しかも噛みごたえのあるしっかりとした食感であった。
《実施例11および12》[中華麺の製造]
(1) 準強力小麦粉(日清製粉株式会社製「特ナンバーワン」)100質量部に、かん水(炭酸ナトリウム/炭酸カリウム=40/60の質量比の混合物)1.5質量部を水35質量部に溶かした水溶液を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を複合ロールおよび2段の圧延ロールを配置した麺帯調製部に送って、常法により複合、圧延して厚さ7mmの麺帯にし、下記の表5に示す水道水(実施例11)またはかん水(炭酸ナトリウム/炭酸カリウム=40/60の質量比の混合物)の水溶液(実施例12)をからなる水性液体を収容した水槽中に連続的に移送し、水性液体への浸漬時間が2分になるようにして水槽中を連続移送し、次いで水槽から導出した麺帯を3段の圧延ロールを配置した圧延部に移送して、圧延ロールに水を散布しながら圧延して厚さ1.5mmの麺帯をつくり、それを16番の角の切刃を用いて麺線に切り出して、中華麺(幅約1.8mm、厚さ約1.5mm)を製造した。この中華麺製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られた中華麺を約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが220〜230%の茹で中華麺を得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹で中華麺を、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹で中華麺を冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で30秒間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
《比較例4》
(1) 準強力小麦粉(日清製粉株式会社製「特ナンバーワン」)100質量部に、かん水(炭酸ナトリウム/炭酸カリウム=40/60の質量比の混合物)1.5質量部を水35質量部に溶かした水溶液を加えて、横型ミキサーで均一に混捏して、麺生地を調製し、当該麺生地を複合ロールおよび4段の圧延ロールを配置した圧延装置に送って、常法により複合、圧延して厚さ1.5mmの麺帯にし、続いて16番の角の切刃を用いて麺線に切り出して、中華麺(幅約1.8mm、厚さ約1.5mm)を製造した。この中華麺製造時の製麺性を上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(2)(i) 上記(1)で得られた中華麺を約100℃の熱湯で茹でて、歩留りが220〜230%の茹で中華麺を得た。その際に茹でどけを上記の表1に記載した評価基準にしたがって評価したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(ii) 上記(i)で得られた茹で中華麺を、密封容器に入れて5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
(iii) 24時間後に茹で中華麺を冷蔵庫から取り出して、約100℃の熱湯で30秒間茹でて、10名のパネラーに食してもらって上記の表1に記載した評価基準に従って滑らかさおよび粘弾性についての官能試験を行い、その平均値を採ったところ、下記の表5に示すとおりであった。
Figure 0004909975
上記の表5の結果にみるように、実施例11および実施例12では、麺生地を圧延して調製した麺帯を、水中に浸漬した後、更に圧延して中華麺を製造したことにより、茹でどけが少なく、しかも水性液体への浸漬処理を行わなかった比較例4に比べて、滑らかさおよび粘弾性により優れる高品質の中華麺が、良好な製麺性で得られた。
本発明の製造方法および製造装置によって、茹でどけが少なく、滑らかさおよび粘弾性に優れる麺類を、良好な製麺性で円滑に製造することができるので、本発明は、消費者の要望にマッチする高品質な麺類の製造方法および製造装置として産業上有用である。
本発明の麺類の製造装置の一例を模式的に示した図である。
符号の説明
1a 麺帯調製部(I)に設けた圧延ロール
1b 麺帯調製部(I)に設けた圧延ロール
2 水槽(II)内に収容した水性液体
3a 圧延部(III)に設けた圧延ロール
3b 圧延部(III)に設けた圧延ロール
4 麺生地
5 麺帯
6 圧延部(III)に設けた水散布装置
7 切出装置

Claims (2)

  1. 製麺原料に加水し混捏して得られる麺生地を用いて麺類を製造する方法であって、
    (i)麺生地から未糊化状態の麺帯を調製する工程;
    (ii)工程(i)で得られる麺帯を、5〜50℃の温度の水、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液から選ばれる水性液体に0.5〜10分間浸漬する工程;次いで、
    (iii)麺帯を水性液体から取り出して、圧延ロールにて、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施しながら所定の厚さまで麺帯を圧延する工程;
    を含むことを特徴とする麺類の製造方法。
  2. (I)麺生地から麺帯を調製する麺帯調製部;
    (II)麺帯調製部を経て得られる麺帯を水性液体に浸漬するための水槽;並びに、
    (III)水槽から取り出した麺帯を、所定の厚さまで圧延する圧延ロールと、圧延ロールおよび/または麺帯に水性液体を施すための装置を備える圧延部;
    を有することを特徴とする麺類の製造装置。
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