JP4906328B2 - 電源装置及び該電源装置を備える記録装置 - Google Patents

電源装置及び該電源装置を備える記録装置 Download PDF

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Description

本発明は電源装置及び該電源装置を備える記録装置に関し、特に、例えば、DC/DCコンバータのような電源装置を内部に備えるインクジェット記録装置に関する。
従来より、外部から入力されるデジタル制御信号によって出力電圧値を可変するDC/DCコンバータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図7は従来のDC/DCコンバータの構成例を示すブロック図である。
図7によれば、デジタル/アナログコンバータ(以下、D/Aコンバータ)715の出力を、DC/DCコンバータのエラーアンプ(コンパレータ)706の基準電圧として使用して、DC/DCコンバータの出力電圧と比較する。そして、その比較結果を制御回路(CNTL)705により、フィードバックをかけて出力電圧を安定化する。
なお、図7において、701は電圧入力端子、703はスイッチ、704はダイオード、709は入力側ローパスフィルタ(LPF)、710は出力側LPF、712は電圧出力端子、716はデジタル制御信号入力端子である。
ところが、この技術により出力電圧の設定を可変するDC/DCコンバータは、その回路内部に、D/Aコンバータを内蔵しているため、D/AコンバータにDC/DCコンバータ自身のスイッチングノイズが、回路基板内で回り込んで誤動作を引き起こす。その結果、設定電圧が変化してしまうといった問題が発生する。
従来の技術でも、D/Aコンバータを内蔵するDC/DCコンバータでは、しばしば起こる問題として、このスイッチングノイズによる誤動作を防止する技術が以下に示すようにいくつか開示されている。
例えば、特許文献2は、同一プリント基板内にDC/DCコンバータを内蔵する場合の電源ノイズによる回路動作の誤動作を防止する電源配線パターンの引き回しに関して、共通インピーダンスを低減するように、所謂「一点アース」の構成を提案している。
特許文献3は、アナログ部とデジタル部の回路基板を分離して特に回り込みによるノイズで誤動作を防止する技術を開示している。
上記の2つの例は、回路実装の工夫によるノイズ防止策の提案である。
また、電子回路そのものをノイズによる誤動作を防止する技術として、特許文献4は、デジタルオーディオの技術分野での所謂PLL(フェーズド・ロック・ループ)を構成する技術を開示している。
また、機械接点などのチャタリングによるノイズを防止する回路として、特許文献5は積分フィルタの使用を提案している。
特開平6−006969号公報 特開平9−062815号公報 特開平7−170184号公報 特開平8−055429号公報 特開平8−237087号公報
しかしながら、特許文献2に示される提案は、電源配線パターンの引き回しにある程度の余裕がある場合に対しては有効であるが、電源配線パターンの引き回しに大きな制約がある場合は適用することができない。例えば、インクジェット記録装置に用いる記録ヘッドを搭載するキャリッジのキャリッジ基板のように、設計上、基板の面積に大きな制限がある場合には、有効な解決策とは言えない。
また、特許文献3に示される提案も、回路基板の大きさに制約がある場合には適用することができない。
さらに、特許文献4に示される提案も回路構成が複雑となり、DC/DCコンバータのコストが上昇してしまうという問題がある。また、PLL回路を実装するためにそれなりの実装面積も必要となってしまい適用が困難である。
上述のように、DC/DCコンバータにおけるD/Aコンバータの誤動作に関わるノイズの原因はデジタル信号の伝送に伴って発生する信号ノイズである。また、特許文献2〜4において開示された技術はいずれもパソコンのマザーボードやオーディオ機器の信号処理系に適用した例であった。
以下、さらに、インクジェット記録装置などに適用されるDC/DCコンバータが抱える解決すべき課題について具体的に説明する。
図8はルネサス社製のD/Aコンバータ(M62342GP)の入力端子のオシロスコープによる電圧波形を示す図である。図8において、縦軸は電圧、横軸は時間であり、電圧軸の目盛りは電圧軸は1Vであり、時間軸の目盛りは1μsとなっている。従って、図8はおよそ10μsのレンジの波形を表している。
このD/Aコンバータは、シリアルデータ転送方式を採用しており、入力デジタル信号は、クロック信号(CLK)、ラッチ信号(LD)、デジタルデータ信号(DI)の3つとなっている。
図8に示される観測波形は、DC/DCコンバータ動作時に取得されたもので、D/Aコンバータからの電圧設定信号のやり取りはしていない時の波形である。図示される波形には、本来GNDレベルにあるべきCLK信号、LD信号、DI信号の各端子電圧へ凡そDC/DCコンバータのスイッチング周波数の周期でスイッチングノイズが載っているのが観測される。そのスイッチング周波数(fsw)はfsw=250kHzである。
さて、このデジタル信号のロジック電圧は3.3Vになっているので、±1V程度のノイズは、ロジック電圧の閾値電圧値レベル(1.65V)から各種のバラツキを考慮すると明らかにノイズマージンが少ない状態となっている。
図9はDC/DCコンバータがD/Aコンバータからの電圧設定信号のやり取りを行っている時の波形を示した図である。図9に示す横軸(時間軸)の目盛りは100μsであり、図8のそれと比較してより長く取ってある。従って、図9はおよそ1msのレンジの波形を表している。
このため、図8に示したスイッチングノイズは、図9ではGNDレベルから上下に雲のように濃淡のある幅を持った波形として観測される。
図9によれば、T1の区間で、D/Aコンバータへ、3つの入力端子を通じて電圧設定のデータが書き込まれ、時刻t=T2でDC/DCコンバータが起動して、出力電圧Voが立ち上がっていくのが観測される。
図10は電圧設定タイミング時のD/Aコンバータの出力値とDC/DCコンバータの出力値(Vo)との関係を示した図である。
図10において、(a)はDC/DCコンバータに誤動作が発生していない時の波形であり、(b)は誤動作が発生した時の波形である。
図10に示すように、D/Aコンバータの出力が確定後に、DC/DCコンバータ動作の開始に伴って、出力電圧値(Vo)が上昇していくのが観測される。一方、これと同じタイミングで、CLK信号とLD信号にスイッチングノイズが重畳される様子が観測できる。
特に、図10(b)には、CLK信号とLD信号にスイッチングノイズが重畳される時刻t=T3では、D/Aコンバータの出力がGNDレベルに落ちていることが観測されている。図8に関連して、スイッチイングノイズが重畳するとノイズマージンが少なくなると述べたが、図10(b)に示す例では、DC/DCコンバータで実際に誤動作が発生する。
この設定では、DC/DCコンバータの制御が負論理となっているため、DC/DCコンバータの出力電圧設定が最高電圧となるように制御がかかり、出力電圧(Vo)の立ち上がりの曲線の傾きが急になることが見て取れる。
また、図10(a)と図10(b)とを比較すると、図10(b)における時刻t=T3近傍で、DC/DCコンバータの起動に伴うCLK信号とLD信号の入力端子のGNDレベルノイズが大きくなっているのも観測されている。
以上説明した実際の動作波形から推察されるように、例えば、インクジェット記録装置(以下、記録装置)のキャリッジ基板上に実装したDC/DCコンバータは、実装面積上の制約が大きく、その動作波形は極めてノイズの影響を受けやすい。
即ち、DC/DCコンバータのスイッチング動作に伴って発生するスイッチングノイズが通常のデジタル信号伝送に伴って発生するノイズレベルよりも大きいために、D/Aコンバータの誤動作を引き起こし、出力電圧の設定値を変えてしまう場合がある。
従って、記録装置のキャリッジ基板のように実装面積の制約が厳しいプリント回路基板上に外部からの入力デジタル制御信号に従って出力電圧を可変設定するD/Aコンバータを実装する構成を採用したDC/DCコンバータには従来技術の適用が困難である。
一方、ノイズ除去に対する一般的な解決手段として、τ=CRの時定数をもつ積分回路を用いることが広く知られている。そのため、DC/DCコンバータのコンパレータにはノイズの影響をなくすためにヒステリシス特性を持ったコンパレータが用いられる。
例えば、特許文献5に開示される方法は、機械式接点のチャタリングを防止するには有効な方法である。しかし、特許文献5において用いられる機械式接点のチャタリングは、1/1000秒オーダのもので、ここで問題としている時定数とは桁が異なる。その積分回路は時定数の値によって現れる機能は異なり、引用文献5にはその時定数の決定方法に関する詳細な開示はない。
本発明は上記従来例に鑑みてなされたものであり、信頼性が高く、安価で安定した電源供給が可能な小型化に適した電源装置及びその装置を用いた記録装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の電源装置は、以下のような構成からなる。
即ち、外部から入力した制御信号に基づいて出力電圧を変化させることが可能な電源装置であって、前記制御信号に含まれる電圧設定信号に基づいて基準電圧を生成するD/Aコンバータと、前記基準電圧と前記出力電圧とを比較するコンパレータと、前記出力電圧を生成するためのスイッチング素子と、前記コンパレータからの比較結果により、前記スイッチング素子をオンオフするスイッチング動作を所定の周波数で行なうコントローラと、前記制御信号に含まれるクロック信号の周波数に基づいて定められた上限値と前記所定の周波数に基づいて定められた下限値との間の時定数をもつ積分回路を用いて前記入力した制御信号を波形整形し、該波形整形した制御信号を前記D/Aコンバータに出力する時定数回路とを有することを特徴とする。
なお、前記スイッチング素子はMOS−FETである。
さて、前記時定数(τ)の上限値は、クロック信号の1周期を正弦波の周期とした周波数(fCLK)をカットオフ周波数として、τ<1/2πfCLKを満たすと良い。一方、その下限値は、スイッチング動作に伴い発生するノイズ成分の正の最大値をAnとし、コンパレータの閾値をVTH(Logic)とし、この時のノイズ周波数をfNoiseとしたとき、τ>√{(An/VTH(Logic)2−1}/2πfNoiseを満たすと良い。
上記構成の電源装置はDC/DCコンバータの形態をとることが望ましい。
また他の発明によれば、上記構成の電源装置を記録ヘッドに電力を供給するために用いた記録装置であって、前記電源装置を内蔵するとともに、前記記録ヘッドを搭載して往復移動するキャリッジと、前記デジタル制御信号を生成する生成手段と、前記生成手段と前記キャリッジとを接続し、前記デジタル制御信号と、前記記録ヘッドに対する記録信号とを転送する信号線と内蔵するフレキシブルフラットケーブルとを有することを特徴とする記録装置を備える。
なお、前記記録ヘッドはインクジェット記録ヘッドであることが望ましい。
従って本発明によれば、安価で、簡単でかつ小型化に適した回路構成で、スイッチング動作に伴うノイズにより引き起こされるD/Aコンバータによる電圧設定エラーが発生することを防止できるという効果がある。
これにより、安定した電力を供給し、安定した記録動作を行なう記録装置を提供することができる。
また本出願に係わる第2の発明によれば、この発明を用いたこのDC/DCコンバータ
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみを表すものではない。これに加えて、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。即ち、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
またさらに、「ノズル」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
<インクジェット記録装置の説明(図1)>
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置1の構成の概要を示す外観斜視図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド3をキャリッジ2に搭載している。キャリッジ2には、キャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構4より伝え、キャリッジ2を矢印A方向に往復移動させる。記録時には、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構5を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド3から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
また、記録ヘッド3の状態を良好に維持するためにキャリッジ2を回復装置10の位置まで移動させ、間欠的に記録ヘッド3の吐出回復処理を行う。
記録装置1のキャリッジ2には記録ヘッド3を搭載するのみならず、記録ヘッド3に供給するインクを貯留するインクカートリッジ6を装着する。インクカートリッジ6はキャリッジ2に対して着脱自在になっている。
図1に示した記録装置1はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ2にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
さて、キャリッジ2と記録ヘッド3とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド3は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施例の記録ヘッド3は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用している。このため、記録ヘッド3には熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備えている。その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
図1に示されているように、キャリッジ2はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構4の駆動ベルト7の一部に連結されており、ガイドシャフト13に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ2は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト13に沿って往復移動する。また、キャリッジ2の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ2の絶対位置を示すためのスケール8が備えられている。この実施例では、スケール8は透明なPETフィルムに必要なピッチで黒色のバーを印刷したものを用いており、その一方はシャーシ9に固着され、他方は板バネ(不図示)で支持されている。
また、記録装置1には、記録ヘッド3の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられている。そして、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド3を搭載したキャリッジ2が往復移動されると同時に、記録ヘッド3に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
さらに、図1において、14は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、15はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ14に当接するピンチローラである。また、16はピンチローラ15を回転自在に支持するピンチローラホルダ、17は搬送ローラ14の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア17に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ14が駆動される。
またさらに、20は記録ヘッド3によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ20は記録媒体Pをバネ(不図示)により圧接する拍車ローラ(不図示)により当接する。22は拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
またさらに、記録装置1には、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ2の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド3の吐出不良を回復するための回復装置10が配設されている。
回復装置10は、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構11と記録ヘッド3の吐出口面をクリーニングするワイピング機構12を備えている。そして、キャッピング機構11による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、記録ヘッド3のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
また、非記録動作時等には、記録ヘッド3の吐出口面をキャッピング機構11によるキャッピングすることによって、記録ヘッド3を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構12はキャッピング機構11の近傍に配され、記録ヘッド3の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。
これらキャッピング機構11及びワイピング機構12により、記録ヘッド3のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
<インクジェット記録装置の制御構成(図2)>
図2は図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、コントローラ600は、MPU601、特殊用途集積回路(ASIC)603、インタフェース611、モータドライバ640などで構成される。ここで、MPU601には記録制御シーケンスに対応したプログラム、所要のテーブル、その他の固定データを格納するROM(不図示)が接続され、このプログラムをRAM(不図示)上に読み出して実行する。また、そのRAMは画像データの展開領域などとしても用いられる。ASIC603は、所定の画像処理を実行するとともに、キャリッジモータM1の制御、搬送モータM2の制御、及び、記録ヘッド3の制御のための制御信号を生成する。
また、図2において、ホスト装置と総称される画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取り用のリーダやデジタルカメラなど)からはインタフェース(I/F)611を介して画像データ、コマンド、ステータス信号等を送受信する。
さらに、630は装置状態を検出するためのセンサ群であり、フォトカプラなどのホームポジションhを検出するための位置センサや記録装置の適宜の箇所に設けられ環境温度を検出するために用いられる温度センサ等から構成される。
さらに、キャリッジ2を矢印A方向に往復走査させるためのキャリッジモータM1と記録媒体Pを搬送するための搬送モータM2はモータドライバ640により駆動される。またさらに、キャリッジ2に実装されるキャリッジプリント基板644は、記録ヘッド3を記録装置と電気的に接続して、記録装置から電力供給を行い画像信号と制御信号とを転送する。
なお、記録装置を動作させる全ての電力は電源ユニット650から供給される。
またさらに、図中、太線で記載されたところは、複数の信号線でやり取りされる線である。
さて、キャリッジプリント基板644はDC/DCコンバータ31と、記録ヘッド3の記録位置情報を検出するリニアエンコーダなどのセンサ部32とを実装している。
記録装置1とキャリッジ2とはフレキシブルフラットケーブル(以下、FFC)20で接続されている。電気的には、FFC20はキャリッジプリント基板644とコントローラ600とを接続するものであり、配線の集合体である。
20−1はFFC20の配線の一部でコントローラ600から送出される、DC/DCコンバータ31の出力電圧設定デジタルデータ(CLK信号、LD信号、DI信号)を伝送する複数の配線を表している。また、20−2は、複数の配線20−1以外のDC/DCコンバータ31のオン/オフ制御信号や出力電圧のモニタ信号やステイタス信号などの信号線群である。
<DC/DCコンバータの構成(図3)>
図3はDC/DCコンバータ31の詳細な構成を示すブロック図である。
図3において、100はMOSFET、101はDC/DCコンバータ31の電源制御を行うICである。電源制御IC101にはPWMコントローラ102とエラーアンプ(コンパレータ)103を含んでいる。
また、104は外部からの電圧設定デジタルデータ信号からDC/DCコンバータ31の基準電圧を生成するD/Aコンバータである。
さらに、105はインダクタ、106は整流ダイオード、107は平滑用の電解コンデンサ、108と109は各々DC/DCコンバータ31の出力電圧値を検出する分圧抵抗である。
DC/DCコンバータ31が実装されるプリント配線基板がキャリッジプリント基板644のように面積的な制約が大きい場合、電源系配線(特にGND配線)には細心の注意を払う必要がある。このため、この実施例ではD/Aコンバータ104のGNDとD/Aコンバータ104に電力を供給するレギュレータ112のGNDをDC/DCコンバータ31の電解コンデンサ107のマイナス(−)端子の可能な限り近傍から分岐して取るように配線する。さらに、D/Aコンバータ104のデジタル信号入力のLGNDはD/Aコンバータ104のGND端子から取るように接続する。
なお、110は抵抗、コンデンサ、及びコンパレータから構成される積分時定数回路であり、この部分の動作は、図4を参照して後で説明する。
111はD/Aコンバータ104用のデカップリングコンデンサ、113はDC/DCコンバータ31の入力側の電解コンデンサである。
実際の回路には、D/Aコンバータ104の出力とエラーアンプ103の入力+端子との間には、エラーアンプ103の入力電流の影響を無くすための抵抗やノイズ除去コンデンサが備えられる。加えて、エラーアンプ103の位相補償用の抵抗やコンデンサも構成要素として備えられるが、図面が煩雑になるのと、これらの構成要素は本発明に直接は関係しないため図からは省略する。また、DC/DCコンバータ31の電源制御IC101とレギュレータ112用のデカップリングコンデンサも同様に省略している。実際の回路では、このコンデンサがこれら2つのICの可能な限り近傍の電源端子とGND端子間に接続されている。
この実施例のDC/DCコンバータ31はバック型コンバータと呼ばれ、MOSFET100をスイッチングすることにより、入力電圧(Vi)より低い出力電圧(Vo)を供給することができる。
次に、以上の構成において、外部からの電圧設定デジタル信号に従ってDC/DCコンバータ31の出力電圧設定が変化する動作を簡単に説明する。
(1)まず、MOSFET100がオンをすると、インダクタ105に電流が流れて、平滑用電解コンデンサ107を充電する。
(2)出力電圧(Vo)が上昇し、抵抗108と109により検出される分圧出力の電圧値も上昇する。
(3)この電圧をエラーアンプ(コンパレータ)103が予めD/Aコンバータ104で設定した電圧と比較する。その比較結果、分圧がその設定電圧より大きくなった場合には、PWMコントローラ102にMOSFET100をオフする信号を送出し、MOSFET102はオフする。
(4)このとき、インダクタ105は、今まで流れていた電流を維持するように、誘導起電力を発生させ、整流ダイオード106のカソード側がGND電位より下がる。
(5)すると整流ダイオード106がオンをして、インダクタ105は、オン時間に蓄積したエネルギーを放出しながら、負荷(不図示)に電流を放出する。
(6)このとき、平滑用電解コンデンサ107も負荷にエネルギーを供給するため、平滑用電解コンデンサ107の端子電圧(即ち、出力電圧(Vo))は下がる。この状態は、抵抗108と109により検出された分圧出力の電圧値が予めD/Aコンバータ104に設定した電圧と比較して小さくなるまで続く。
(7)抵抗108と109により検出された分圧出力の電圧値が小さくなると、エラーアンプ103からPWMコントローラ102にMOSFET100をオンする信号を送出し、MOSFET102は再びオンする。
以上、(1)〜(7)の動作を繰り返すことにより、PWMコントローラ100は出力電圧(Vo)をD/Aコンバータ104で設定された電圧で維持できるように、エラーアンプ103からのオンオフ信号の時間を制御する。これにより、出力電圧(Vo)を安定化させる。なお、このような制御はPWM制御と呼ばれている。
今度は、一度出力電圧が安定化した状態で、コントローラ600からD/Aコンバータ104へ出力電圧設定デジタルデータ(CLK、LD、DI信号)が送出されてくる。
このデータにより、エラーアンプ103の入力(+)端子に与えている基準電圧が変化する。
すると、このときに抵抗108と109により検出された分圧の出力電圧(Vo)と比較して、基準電圧が高い場合はMOSFET100をオフにし、低い場合はMOSFET100をオンにするようにPWMコントローラ102がパルス幅を制御する。そして、既に説明したように前述の(1)〜(7)の動作を繰り返す。これによって、出力電圧が新たに設定された出力電圧設定値になり出力電圧(Vo)は安定化する。
<積分時定数回路(図4〜図6)>
図4は、DC/DCコンバータに組み込まれる積分時定数回路110の一部を表した回路図である。図4では、図3に示した抵抗RとコンデンサCとコンパレータ201とから構成されている積分時定数回路110の1つを抜き出している。
この部分は、抵抗RとコンデンサCの積で与えられる時定数τを持つ積分回路として動作する。
図5は積分回路の動作を示す信号波形図である。
図5に示すように、積分回路は入力された信号パルスの立上がりと立下りを鈍らせるように動作する。これにより、高周波信号の帯域制限をするローパスフィルタの役割を果たす。コンパレータ201は、電源電圧VDDの半分を閾値として、ヒステリシスを持たないことが特徴である。
このように構成するのは、入力されるパルスのデューティ比を崩さないためであり、クロック信号パルスなどのデューティ比を崩すと、デジタル回路としての動作タイミングに不都合を生じるからである。
なお、積分回路を特許文献5に開示した「チャタリング防止回路」のように使用する場合は、積分回路で帯域制限した入力パルスから本来の長いパルスの状態を取り出すのが目的であるため、エッジタイミング情報は不要である。
従って幅の短いパルスは、ヒステリシスの範囲内に振幅制限するように時定数を決定し、次段に繋がるバッファ回路の入力はヒステリシスコンパレータを用いるのである。
この実施例では、ヒステリシスコンパレータを用いるとパルスデューティ比が崩れ、エッジタイミング情報が失われてしまうので使用しない。
さて従来技術で説明した図8〜図10から理解できるように、D/Aコンバータのロジックレベルが本来ローレベルでなければならないタイミングでGNDレベルにノイズが載ると、D/Aコンバータのロジックのハイレベルを検知する閾値電圧を超えてしまう。これが誤動作の原因となる。このため、D/Aコンバータに入力される出力電圧設定デジタルデータ(CLK信号、LD信号、DI信号)が異なったタイミングでロジックし、所定の電圧設定データではないアナログ値が出力されてしまう。
このような問題を解決するために、この実施例では、図4に示すようなCRの時定数をもつ積分回路をCLK信号、LD信号、DI信号の各入力端子に挿入する。
次に、誤動作を防止するために必要十分な時定数の値をどのように決定するかについて説明する。
従来は実測波形で決めた値にマージンを取ることにより、その時定数を決定していた。しかしながら、ノイズに対する耐性を強化するために単に時定数を大きな値とすると、DC/DCコンバータの正しい動作に必要な信号波形が鈍ってしまう。これはD/Aコンバータに必要なロジックのタイミングを維持できなくなることにつながり、誤動作や動作不良の原因となる。
また時定数の下限を決定することは更に難しい。従来は、実験で使用したサンプルのDC/DCコンバータを評価した結果に基づいた値でノイズマージンを決めていた。このため、いくつかのサンプルを評価して、統計的な処理によりその値を決めなくてはならず、これには必ずサンプリング数に基づく危険率が含まれることになる。
このような問題点を踏まえて、この実施例では、時定数の上限と下限値とを求める。これにより、その範囲内での時定数を設定すれば、確実にDC/DCコンバータの誤動作の少なくすることが可能となる。
以下にその時定数の上限値と下限値決定手順を示す。
(1) 時定数τの上限値(τMAX)の決定
上限値を決定するには、パルスをどこまで鈍らせることが可能かを考慮する。
図5(b)は時定数を上限値とした時の波形を示している。上限値とはノイズマージンを出来るだけ確保しつつ、パルス波形を鈍らせても、元のパルスの波高値振幅が維持できる値である。これは、D/Aコンバータ104のクロックパルス信号の1周期(バースト状の場合は、連続部)を正弦波の周期とした周波数をfCLKと定義して、fCLKが、ちょうどカットオフ周波数となる時定数を上限とすることにより求められる。図5(b)では、細い実線の正弦波形がfCLKに相当する。
即ち、次式を満たす条件とする。
τMAX=1/2πfCLK
このCRの時定数値で鈍らせたパルスが図5(b)の太い線で表したものであり、元のパルスの波高値振幅がほぼ維持ができていることが分かる。
この後、コンパレータ201において、ロジック信号のハイレベルの閾値を、パルスの波高値の1/2の値に設定すれば、元のクロック信号のパルス波形が持つ情報のうち、デューティ関係は再生することが可能となる。その結果、時間Tdだけ遅延しただけの波形を得ることが可能となる。
そこで、図3に示すように、D/Aコンバータ104の出力電圧設定デジタルデータ(CLK信号、LD信号、DI信号)の全てを同様の時定数で鈍らせれば、遅延時間Td分は相殺することが出来る。DC/DCコンバータ31の電圧設定タイミングに対しては、この遅延時間(Td)は十分に小さいので影響がない。
(2) 時定数τの下限値(τMIN)の決定
下限値の決定に当たってはノイズ成分を何処まで小さくすればロジックの誤動作を無くせるかを考える必要がある。
一般論で考えると、ノイズ成分の周波数が特定できないため、この数値を決めるのは困難である。従って、従来はケースバイケースで対応していた。即ち、上述の述べたように、幾つかのサンプルを選別し、実際に実験値を求め、その値の範囲を統計的な処理で決定していた。DC/DCコンバータを量産した場合、異なったロットの部品が入って当初統計的な処理で考えていたよりもノイズ分布がずれるなどにより問題を引き起こすことがあった。
そこで、この実施例では問題点をもう一度分析した。
図10を参照して説明したように、DC/DCコンバータの誤動作の原因は、出力電圧設定デジタルデータに載ったノイズ成分により本来ローレベルでなければならない区間でロジック信号をハイレベルにしてしまうことである。
問題の分析に当たり注目したのは、図8に示したように、DC/DCコンバータの動作に伴って発生するスイッチングノイズである。このノイズ波形はオシロスコープの測定から求められる。ここで、ノイズ波形の最初に現れる一番振幅の大きい周波数成分の1周期分に注目する。
図8では400nsの周期を持つ正弦波の成分が観測できる。
実際には、正弦波の歪が見られるが、この成分はフーリエ級数展開すれば(即ち、スペクトラムアナライザで観測すれば)、必ず基本波の整数倍の高調波成分として現れその振幅は基本波より小さくなる。従って、このノイズ波形の最初に現れる一番振幅の大きい周波数成分を正弦波と見立てた周波数を、fNoiseと定義する。
図8に示した例では、fNoise=1/400〔ns〕=2.5〔MHz〕である。
次に最悪状態(誤動作が発生)におけるノイズ成分のGNDを基準とした正の最大値をAnと定義する。そして、図10(b)から誤動作が発生した時の数値を見ると、An=2.5〔V〕であった。
さて、コンパレータ201の論理閾値をVTH(Logic)と定義する。
この実施例では、ロジック信号を3.3Vとしているので、閾値はその半分の1.65Vとなる。すると、誤動作が発生しない条件は、式(1)で与えられる。
TH(Logic) > An ……(1)
ところが、実際は、VTH(Logic)<Anのために誤動作を引き起こしていることがある。
そこで、減衰率(Kd:Kd≦1)を考える。
すると誤動作が発生しない条件は、式(2)のようになる。
TH(Logic) > Kd×An ……(2)
即ち、Kd<VTH(Logic)/Anとなれば良いことが分かる。
このとき、Kd(MAX)は、Kd(MAX)=VTH(Logic)/Anで与えられる。
減衰率(Kd)は、積分フィルタの場合、インピーダンスの分圧で与えられるので、式(3)のように表される。
Kd(MAX)=VTH(Logic)/An
=(1/ωC)/√{R2+(1/ωC)2}……(3)
ここで、ω=2π×fNoise、R×C=τとして、τについて整理すると求めるべき時定数の下限値(τMIN)は、式(4)のようになる。
τMIN=√{(An/VTH(Logic)2−1}/2πfNoise …… (4)
以上説明したようにこの実施例では、DC/DCコンバータのスイッチング動作に起因するノイズ成分がD/Aコンバータの誤動作の原因であると判断し、DC/DCコンバータが実装されるキャリッジプリント基板内で用いる積分回路の時定数を決定している。即ち、その積分回路の時定数の最小値は、そのノイズ成分が最大レベルで、なおかつ周波数的には一番低い低周波成分であることとを利用して決定する。一方、その最大値は、デジタル伝送としてパルスを何処まで帯域制限できるかについて考察して、ノイズマージンを広く取れる数値を明らかにして決定している。
この数式に基づいて条件を以下のように定めて電気回路シミュレータを用いてシミュレーションを行った結果、求めた時定数が下限値の時のパルス応答は図5(a)に示すようになり、上限値の時のパルス応答は図5(b)に示すようになる。
シミュレーション条件
クロック周波数: fCLK =1MHz
ノイズ周波数: fNoise=2.5MHz
ロジック閾値レベル: VTH(Logic)=1.65V
ノイズの正の最大振幅: An=2.5V
なお、図5における時間軸の目盛りは、200nsである。
図6はシミュレーション結果を示す信号波形図である。
図6において、太線で表された振幅の小さい正弦波は、積分回路通過後のノイズ成分相当波形である。また、このシミュレーションでは、抵抗R=362.5Ω、コンデンサC=200pF、下限の時定数τMIN=72.5〔ns〕としている。
このシミュレーション結果から、実際のDC/DCコンバータにおいては、この値より大きな時定数τが採用される。また、シミュレーション条件であるノイズ周波数2.5MHzより実際に発生するノイズ成分は、高い周波数で、かつ振幅の小さいすべてとなるので、ロジック信号のハイレベルの閾値以下にノイズレベルを確実に押さえることが可能となる。
また、D/AコンバータのCLK信号、LD信号、DI信号の入力端子の全てに、同じ時定数を持つ積分回路を用いたのは、コンパレータで波形整形した際に、3つの入力信号のタイミング変化をそろえるという意図があるからである。なお、3つの信号のタイミング変化が厳しくない場合は、この値をそろえなくとも良い。
なお、以上の実施例では、説明を分かりやすくするために前段の回路の出力インピーダンスはゼロ、次段の回路の入力インピーダンスは無限大として説明したが、実際の回路に適用する場合は、その影響を考慮した抵抗値とコンデンサの容量値とする必要がある。
また、以上の実施例ではCR積分回路を用いて説明したが、式(5)で表すように、時定数τが等しいインダクタと抵抗で置換することも可能である。
τ=CR=L/R …… (5)
以上説明したように、従来技術ではどのノイズ成分が誤動作の原因になっているか特定ができなかったため、積分回路の設計値を実験によって決めなければならず、実験時に現れなかったノイズ成分に対しては、誤動作を引き起こす可能性が否定できなかった。
しかしながら、以上説明した実施例ではD/Aコンバータの誤動作の原因がDC/DCコンバータの動作に起因するノイズ成分であることを特定し、そのノイズ成分を考慮して積分回路の時定数の最低値を決定した。一方、その最大値は、デジタル伝送としてパルスを何処まで帯域制限できるかについて考察し、ノイズマージンを広く取れる数値を明らかにして決定した。このようにして決定した最大値と最低値に基づいて積分回路の時定数を定めることによりDC/DCコンバータがノイズに対しても安定的な動作を実現できる。
また、DC/DCコンバータのスイッチングノイズの周波数成分が明らかになったので、D/Aコンバータの動作クロックをぎりぎりまで上げた場合の時定数マージンとノイズ除去のマージンも明らかにすることが出来る。
ここで、再び図2に戻って、以上説明したDC/DCコンバータを用いた記録装置の動作について説明する。
あるタイミングでコントローラ600から記録ヘッド3へ供給する電圧を変更するために、DC/DCコンバータ31に実装されているD/Aコンバータ104へFFC20の配線20−1を介して出力電圧設定デジタルデータが送出される場合を考える。
この場合、DC/DCコンバータ31は、このデジタルデータに基づいて、上述のように出力電圧設定の変更を行う。これにより、記録ヘッド3は、新しく設定された電圧で記録動作を行うのである。
シリアルタイプの記録装置は記録のために記録媒体の上を図1に示すように矢印A方向にキャリッジ2を何度も往復させながら記録媒体を搬送する。FFC20は記録装置の機種にもよるが、通常50〜80cm程度の長さがあり、DC/DCコンバータ31の電圧設定信号送出線20−1は、長く引き伸ばされている。加えて、インクの色に対応した各色成分の画像信号も記録ヘッド3に伝送しなくてはならずFFC20の配線を通すことの出来る信号線数も制限がある。従って、自ずとFFC20の配線の太さも制限され、配線インピーダンスは高くなりノイズの影響を受けやすくなる。
しかしながら、この実施例では上述のようなDC/DCコンバータ31を用いているため、ノイズに強く出力電圧設定に誤動作がない。従って、安定した電力を記録ヘッド3に供給できるため、安定した記録が可能となる。
また、この実施例によれば、記録装置が記録動作中に記録ヘッドの電圧の設定を変更した場合にも以下の理由で安定した記録動作が実現できる。
記録動作中には、記録装置のASIC603やMPU601で実行される画像処理動作やコントロール600で行われる数々の制御信号のやり取りに伴って発生するデジタルノイズが増加する。しかしながら、これらのノイズは、DC/DCコンバータのスイッチング動作に伴うノイズ成分よりそのレベルが小さく、かつ周波数も高い成分となるため、上述した時定数をもつ積分時定数回路110により十分押さえられる。
さらには、既に述べたように記録装置の記録動作のためには記録媒体上をキャリッジが何度も往復しながら記録媒体を搬送する構造となっているため、その構造上、FFCケーブルがノイズの放射アンテナとして作用する。しかしながら、以上説明した実施例のD/Aコンバータの制御信号の高調波成分が、時定数回路110で押さえられているので、FFC20の配線をアンテナとして放射しているノイズ成分を小さくすることができる。従って記録装置として、EMCのノイズ規格に適合しやすくなるという利点もある。
本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置1の構成の概要を示す外観斜視図である。 図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。 DC/DCコンバータ31の詳細な構成を示すブロック図である。 DC/DCコンバータに組み込まれる積分時定数回路110の一部を表した回路図である。 積分回路の動作を示す信号波形図である。 シミュレーション結果を示す信号波形図である。 従来のDC/DCコンバータの構成例を示すブロック図である。 従来のD/Aコンバータの入力端子のオシロスコープによる電圧波形を示す図である。 DC/DCコンバータがD/Aコンバータからの電圧設定信号のやり取りを行っている時の波形を示した図である。 電圧設定タイミング時のD/Aコンバータの出力値とDC/DCコンバータの出力値(Vo)との関係を示した図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
3 記録ヘッド
20 フレキシブルフラットケーブル(FFC)
31 DC/DCコンバータ
100 MOSFET
101 電源制御IC
102 PWMコントローラ
103 エラーアンプ(コンパレータ)
104 D/Aコンバータ
105 インダクタ
106 整流ダイオード
107 平滑用電解コンデンサ
108、109 分圧抵抗
110 時定数回路
111 デカップリングコンデンサ
112 レギュレータ
201 コンパレータ
644 キャリッジプリント基板
650 電源ユニット

Claims (8)

  1. 外部から入力した制御信号に基づいて出力電圧を変化させることが可能な電源装置であって、
    前記制御信号に含まれる電圧設定信号に基づいて基準電圧を生成するD/Aコンバータと、
    前記基準電圧と前記出力電圧とを比較するコンパレータと、
    前記出力電圧を生成するためのスイッチング素子と、
    前記コンパレータからの比較結果により、前記スイッチング素子をオンオフするスイッチング動作を所定の周波数で行なうコントローラと、
    前記制御信号に含まれるクロック信号の周波数に基づいて定められた上限値と前記所定の周波数に基づいて定められた下限値との間の時定数をもつ積分回路を用いて前記入力した制御信号を波形整形し、該波形整形した制御信号を前記D/Aコンバータに出力する時定数回路とを有することを特徴とする電源装置。
  2. 前記スイッチング素子はMOS−FETであることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記スイッチング素子の後段に、インダクタと平滑用コンデンサと整流ダイオードとを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電源装置。
  4. 前記時定数回路は、抵抗とコンデンサとコンパレータで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電源装置。
  5. 前記時定数(τ)の上限値は、
    前記クロック信号の1周期を正弦波の周期とした周波数(fCLK)をカットオフ周波数として、
    τ<1/2πfCLK
    を満たし、
    前記時定数(τ)の下限値は、
    前記スイッチング動作に伴い発生するノイズ成分の正の最大値をAnとし、前記コンパレータの閾値をVTH(Logic)とし、この時のノイズ周波数をfNoiseとしたとき
    τ>√{(An/VTH(Logic)2−1}/2πfNoise
    を満たすことを特徴とする請求項に記載の電源装置。
  6. 前記電源装置はDC/DCコンバータであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電源装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電源装置を記録ヘッドに電力を供給するために用いた記録装置であって、
    前記電源装置を内蔵するとともに、前記記録ヘッドを搭載して往復移動するキャリッジと、
    前記制御信号を生成する生成手段と、
    前記生成手段と前記キャリッジとを接続し、前記制御信号と、前記記録ヘッドに対する記録信号とを転送する信号線と内蔵するフレキシブルフラットケーブルとを有することを特徴とする記録装置。
  8. 前記記録ヘッドはインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
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