JP4906153B2 - スポーツ用シューズのミッドソール構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポーツ用シューズのミッドソール構造に関し、詳細には、軟質弾性部材から構成されたミッドソール内に波形シートが内蔵されたものにおいて、その構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
各種スポーツに使用されるスポーツ用シューズの靴底は、ミッドソールと、その下面に貼り合わされ、路面と直接接地するアウトソールとから主として構成されている。そして、ミッドソールは、シューズとしてのクッション性を確保するために、一般に軟質弾性部材から構成されている。
【0003】
ところで、スポーツ用シューズとしては、クッション性の他に走行安定性が要求される。すなわち、着地後にシューズが左右方向に横ずれ変形して、いわゆる過回内や過回外といった過度の横振れを起こすのを防止する必要がある。
【0004】
そこで、ミッドソール内に波形シートを内蔵させることにより、このような横振れを防止するようにしたものが本件出願人により提案されている(実公昭61−6804号および特開平11−203号公報参照)。
【0005】
前記各公報に示すものでは、波形シートがミッドソールの踵部位に内蔵されており、これにより、シューズの着地時には、ミッドソールの踵部位が左右方向に横ずれ変形するのを抑制する抵抗力が発生するようになっており、その結果、シューズの踵部分の横振れが防止されている。
【0006】
一般に、ミッドソール内に波形シートを挿入することによって、ミッドソール全体のいわゆる圧縮硬度(上下方向の圧縮力に対する変形のしにくさの意)が大きくなって、ミッドソールが左右方向および上下方向に変形しにくくなる傾向がある。したがって、波形シートを内蔵することによって、ミッドソールにおいてクッション性が必要とされる部位にあっても、着地時に必要なクッション性が得られない場合も生じ得る。
【0007】
その一方、波形シートとして比較的低弾性の素材が用いられた場合には、シューズの着地時に、ある程度のクッション性は得られるものの、着地後の横振れを十分に抑制することができない場合が生じ得る。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、着地時の安定性およびクッション性の双方を満足させることができるスポーツ用シューズのミッドソール構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るスポーツ用シューズのミッドソール構造は、シューズの踵部分から中足部分をへて前足部分にかけて延設され、踵部位、中足部位および前足部位を有する軟質弾性部材製のミッドソールと、波形状を有し、ミッドソールの踵部位から中足部位にかけて延設された波形シートとを備えている。波形シートは、踵部位および中足部位において互いに曲げ剛性の異なる内甲側部分および外甲側部分からなり、波形シートの内甲側部分と外甲側部分との境界線は、シューズの踵部分から着地したときの荷重移動曲線を跨いで配置されており、ジグザグ状に配設されている。
【0010】
一般に、波形シートの曲げ剛性が高くなるほど、着地時のミッドソールのクッション性は低下するが、ミッドソールの安定性は向上し、これとは逆に、波形シートの曲げ剛性が低くなるほど、ミッドソールの安定性は低下するが、着地時のミッドソールのクッション性は向上する傾向にある。
【0011】
したがって、着地時にクッション性が要求されるシューズ踵部位の内甲側部分(または外甲側部分)において波形シートの曲げ剛性を相対的に小さくすることにより、言い換えれば、着地時に安定性が要求されるシューズ踵部位の外甲側部分(または内甲側部分)において波形シートの曲げ剛性を相対的に大きくすることにより、着地時のミッドソールのクッション性を確保できるとともに、着地後のミッドソールの安定性を確保できる。
【0012】
この場合において、波形シートの踵部位の内甲側部分の曲げ剛性を外甲側部分の曲げ剛性よりも高くした場合には、一般に、外甲側部分から着地する頻度が高いランニングシューズなどのスポーツ用シューズにおいて、外甲側部分の曲げ剛性が相対的に低いことにより、着地時のクッション性を確保でき、また着地後、相対的に曲げ剛性が高い内甲側部分に接地面が移行する際に走行安定性を確保でき、オーバープロネーション(過回内)を防止できる。
【0013】
また、波形シートの踵部位の外甲側部分の曲げ剛性を内甲側部分の曲げ剛性よりも高くした場合、回内が発生しにくいインドア系のスポーツ用シューズに好適であり、また、内甲側部分から着地する頻度が高いテニスシューズなどのスポーツ用シューズにおいて、曲げ剛性が相対的に低い内甲側部分で着地時のクッション性を確保でき、また着地後、相対的に曲げ剛性が高い外甲側部分に接地面が移行する際にミッドソールの安定性を確保でき、オーバーサピネーション(過回外)を防止できる。
【0014】
ここで、波形シートの内甲側部分と外甲側部分との境界線が荷重移動曲線に沿って、つまり荷重移動曲線上に配置されている場合には、荷重移動曲線を境にその両側でミッドソールの曲げ剛性が急激に変化しており、荷重移動時には荷重移動曲線の両側でミッドソールの変形の仕方が急激に変化することになって、走行安定性を阻害し、またシューズ着用者に違和感を与えることになる。これに対して、境界線が荷重移動曲線を跨いで配置されている場合には、荷重移動時には荷重移動曲線の両側でミッドソールの変形の仕方が急激に変化することがないので、走行安定性を確保でき、実際の着地状態に適合したクッション性および安定性の調整を行えるようになる。
【0015】
また、波形シートの内甲側部分と外甲側部分との境界線は、請求項2の発明に記載されているように、シューズの踵部分から着地したときの荷重移動曲線をジグザグ状に跨いで配置されていてもよい。
【0016】
この場合には、荷重移動曲線に沿って、さらに滑らかにミッドソールを変形させることができるので、着地時にスムーズなランディングが可能になる。
【0017】
波形シートのジグザグ状の境界線の荷重移動曲線からの振れは、請求項3の発明のように、左右に均等に振れていても、また請求項4の発明のように、左右に不均等に振れていてもよい。
【0018】
波形シートは、請求項5の発明のように、内甲側部分および外甲側部分の各縁部を帯状にオーバラップさせて固着することにより構成されていてもよい。
【0019】
ここで、内甲側シート部および外甲側シート部の曲げ剛性EIを異ならせるには、たとえば、縦弾性係数Eの異なる異種の材料を用いて構成するか、または同種の材料を用いて、板厚などの断面形状、したがって断面二次モーメントIを異ならせるようにすればよい。
【0020】
あるいは、断面二次モーメントIが等しい同種の材料を用いて各シート部を構成する場合でも、一方のシート部に、繊維強化プラスチック製シート(FRPシート)を固着することにより、曲げ剛性を異ならせるようにしてもよい。ここで、繊維強化プラスチック製シートとは、たとえば炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ケプラー繊維等を強化用繊維とし、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化プラスチック(FRP)から構成されたシートのことである。また、繊維強化プラスチックシートのかわりに、たとえばSUS(ステンレス)や超弾性合金などの金属製シートを用いるようにしてもよい。
【0021】
また、断面二次モーメントを異ならせる手法として、一方のシート部に多数の孔を形成するようにしてもよい。
【0022】
請求項6の発明のように、波形シートの内甲側部分または外甲側部分のいずれか一方が踵部位および中足部位の全体を占めるとともに、内甲側部分または外甲側部分の他方が内甲側部分または外甲側部分の前記いずれか一方にオーバラップして固着されるようにしていてもよい。
【0023】
この場合には、請求項5の発明の場合と同様にして、内甲側部分と外甲側部分との曲げ剛性EIを異ならせるようにしてもよいが、内甲側部分および外甲側部分として曲げ剛性が同じ材料を用いるようにしてもよい。というのは、内甲側部分と外甲側部分との曲げ剛性が同じであっても、一方の上に他方がオーバラップして配置されているために、このオーバラップした領域部分が二重シート構造になって、必然的に曲げ剛性が高くなるからである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。
〔スポーツ用シューズの全体構造の説明〕
図1は、本発明の一実施態様によるミッドソール構造が採用されたスポーツ用シューズ(左足用)を示している。このスポーツ用シューズ1の靴底は、シューズの踵部分から中足部分(土踏まず部分)をへて前足部分にかけて延設され、甲被部2の下部が固着された上部ミッドソール3と、上部ミッドソール3の下方においてシューズの踵部分に配置された下部ミッドソール4と、波形状を有し、上下部ミッドソール3,4間に配設された波形シート5と、下部ミッドソール4の下面に固着され、路面と直接接地するアウトソール6とから主として構成されている。
【0025】
上下部ミッドソール3,4は、着地時にシューズの底部にかかる衝撃を緩和する目的で用いられており、波形シート5をその上下方向から挟み込むように配置されている。上下部ミッドソール3,4を構成する材料としては、一般に、良好なクッション性を備えた材料である軟質弾性部材が用いられるが、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂の発泡体やポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂の発泡体、またはブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバー素材の発泡体が用いられる。なお、下部ミッドソール4には、概略シューズ幅方向に延びる複数の穴40が形成されており、これらの穴40は、下部ミッドソール4のクッション性を高めるためのクッションホールとして機能している。
【0026】
波形シート5は、比較的弾性に富む素材である熱可塑性ポリウレタン(TPU)やポリアミドエラストマー(PAE)、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂あるいはエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂から構成されている。
【0027】
〔ミッドソール構造の詳細な説明〕
次に、本発明の一実施態様によるミッドソール構造(図1)の詳細を図2ないし図5を用いて説明する。図2の(a)はミッドソール構造における内甲側の側面図、(b)は外甲側の側面図、図3はミッドソール構造の底面図、図4は図3のIV-IV 線断面図、図5はミッドソール構造のうちの波形シート部分を取り出して示した図である。
【0028】
図2に示すように、上部ミッドソール3は、シューズの踵部分、中足部分および前足部分にそれぞれ対応する踵部位H,中足部位Mおよび前足部位Fを有している。下部ミッドソール4は、上部ミッドソール3の踵部位Hの下方に配置されている。
【0029】
上部ミッドソール3は、図2および図4に示すように、甲被部2(図1)の下部が取り付けられるベース面30と、その両側縁部から上方に立ち上がる左右一対の巻き上げ部3aとを有している。下部ミッドソール4は、上下方向に延びる貫通孔41を有している。また、下部ミッドソール4の穴40は、外甲側にのみ形成されている。
【0030】
波形シート5は、図2および図3に示すように、上部ミッドソール3の外甲側に配設された外甲側シート5aと、上部ミッドソール3の内甲側に配設された内甲側シート5bとから構成されている。外甲側シート5aは、上部ミッドソール3の外甲側において踵部位Hから中足部位Mをへて前足部位Fにかけて延設されており、内甲側シート5bは、上部ミッドソール3の内甲側において踵部位Hから中足部位Mにかけて延設されている。なお、図3中の破線Lは、波形シート5の波形状の山および谷の線を示している。
【0031】
図3および図4に示すように、外甲側シート5aの縁部50eは、内甲側シート5bの縁部51eと上下方向に帯状にオーバラップしており、各シート5a,5bは、帯状のオーバラップ部分sで互いに固着されている。また外甲側シート5aは、シート状に延びるシート本体50と、その外甲側縁部に形成されかつ上方に延びる張出部50fとを有している。同様に、内甲側シート5bは、シート状に延びるシート本体51と、その内甲側縁部に形成されかつ上方に延びる張出部51fとを有している。
【0032】
内甲側シート5bは、外甲側シート5aに比較して、相対的に曲げ剛性が低くなっている。すなわち、内甲側シート5bは外甲側シート5aとは異なる材料から構成されており、内甲側シート5bを構成する材料の縦弾性係数は、外甲側シート5aを構成する材料の縦弾性係数よりも小さくなっている。あるいは、内甲側シート5bは外甲側シート5aと同種の材料から構成されているが、板厚が薄くなっている。また、内甲側シート5bとしては、多数の貫通孔が形成されたメッシュ状シートを用いるようにしてもよい。
【0033】
内甲側シート5bの曲げ剛性を相対的に低くするために、外甲側シート5aの曲げ剛性を相対的に高くするようにしてもよい。たとえば、外甲側シート5aに、繊維強化プラスチック製シート(FRPシート)を固着したり、SUS(ステンレス)や超弾性合金などの金属製シートを固着するようにしてもよい。ここで、繊維強化プラスチック製シートとは、たとえば炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ケプラー繊維等を強化用繊維とし、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とした繊維強化プラスチック(FRP)から構成されたシートのことである。
【0034】
図3に明確に示されるように、アウトソール6は、上部ミッドソール3の踵部位Hに配置された下部ミッドソール4の下面に設けられている。また、上部ミッドソール3の前足部位Fにおいて内甲側および爪先部には、アウトソール7が設けられている。
【0035】
次に、図5において、図中の矢印線Tw は、シューズの踵部分から着地する人(いわゆるヒールストライカー)の走行中における荷重移動曲線を示している。同図に示すように、外甲側シート5aと内甲側シート5bとの境界線である、たとえば内甲側シート5bの縁部51eは、中足部位Mにおいて荷重移動曲線Tw を跨いで配置されており、概略ジグザグ状に配設されている。また、該境界線の荷重移動曲線Tw からの左右の振れ、つまり内甲側および外甲側への振れδは概略均等になっている。
【0036】
本実施態様では、上述のように、外甲側シート5aの曲げ剛性を内甲側シート5bの曲げ剛性よりも高く設定したので、すなわち、波形シート5の踵部位および中足部位における外甲側部分の曲げ剛性が内甲側部分の曲げ剛性よりも高くなっているので、とくに、回内が発生しにくいインドア系のスポーツ用シューズに適しており、また、内甲側部分から着地する頻度が高いテニスシューズなどのスポーツ用シューズにおいて、内甲側部分で着地時のクッション性を確保できるとともに、外甲側部分で着地後の安定性を確保でき、オーバーサピネーション(過回外)を防止できる。
【0037】
なお、波形シート5の内甲側部分と外甲側部分との境界線、たとえば内甲側シート5bの縁部51eが荷重移動曲線Tw に沿って配置されている場合には、荷重移動曲線Tw を挟んでその両側でミッドソールの曲げ剛性が急激に変化しており、荷重移動時には境界線の部分でミッドソールの変形の仕方が急激に変化することになって、走行安定性を阻害し、またシューズ着用者に違和感を与えることになる。これに対し、図5に示すように、境界線が荷重移動曲線Tw を跨いで配置されている場合には、荷重移動時に荷重移動曲線Tw の両側でミッドソールの変形の仕方が急激に変化することがないので、走行安定性を確保でき、実際の着地状態に適合したクッション性および安定性の調整を行えるようになる。
【0038】
しかも、この場合には、波形シート5の内甲側部分と外甲側部分との境界線が、荷重移動曲線Tw をジグザグ状に跨いで配置されているので、荷重移動曲線Tw に沿って、さらに滑らかにミッドソールが変形できるようになり、これにより、着地時にスムーズなランディングが可能になる。
【0039】
〔他の実施態様〕
次に、本発明の他の実施態様によるミッドソール構造の詳細を図6ないし図9を用いて説明する。図6の(a)はミッドソール構造における内甲側の側面図、(b)は外甲側の側面図、図7はミッドソール構造の底面図、図8は図7のVIII-VIII 線断面図、図9はミッドソール構造のうちの波形シート部分を取り出して示した図である。図6ないし図9は、前記実施態様の図2ないし図5にそれぞれ対応しており、これらの図において、前記実施態様と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0040】
この他の実施態様が前記実施態様と大きく異なるのは、波形シート5が、上部ミッドソール3の踵部位Hおよび中足部位Mのほぼ全面領域を占めるシート5a′と、上部ミッドソール3の踵部位Hおよび中足部位Mの内甲側部分を占め、そのほぼ全面領域がシート5a′に固着された内甲側シート5b′とから構成されている点である。すなわち、この場合には、波形シート5の踵部位から中足部位にかけての内甲側部分が、2枚の波形シートが上下方向にオーバラップした二重シート構造になっている。また下部ミッドソール4が、上部ミッドソール3の踵部位Hから中足部位Mをへて前足部位Fにかけて延設されており、下部ミッドソール4の下面に、シューズ全長にわたって延びるアウトソール6が固着されている。
【0041】
内甲側シート5b′としては、シート5a′と比較して、相対的に曲げ剛性が高い材料を用いても、逆に、曲げ剛性が低い材料を用いても、あるいは、同程度の曲げ剛性の材料を用いても、いずれも場合でもよい。これらのいずれの場合においても、波形シート5の内甲側部分がシート5a′との二重シート構造になるため、該内甲側部分の曲げ剛性は外甲側部分の曲げ剛性よりも高くなっている。
【0042】
次に、図9において、図中の矢印線Tw は、シューズの踵部分から着地する人(ヒールストライカー)の走行中における荷重移動曲線を示している。同図に示すように、シート5a′と内甲側シート5b′との境界線である、内甲側シート5b′の縁部51eは、中足部位Mにおいて荷重移動曲線Tw を跨いで配置されており、概略ジグザグ状に配設されている。また、該境界線の荷重移動曲線Tw からの左右の振れ、つまり内甲側および外甲側への振れδは概略均等になっている。
【0043】
この実施態様では、波形シート5の踵部位および中足部位における内甲側部分の曲げ剛性が外甲側部分の曲げ剛性よりも高くなっているので、とくにランニングシューズにおいて、踵の外甲側部分から着地する場合において、外甲側部分で着地時のクッション性を確保できるとともに、内甲側部分で着地後の安定性を確保でき、オーバープロネーション(過回内)を防止できる。
【0044】
また、波形シート5の内甲側部分と外甲側部分との境界線、つまり内甲側シート5b′の縁部51eが荷重移動曲線Tw を跨いで配置されているので、荷重移動時に荷重移動曲線Tw の両側でミッドソールの変形の仕方が急激に変化することがなく、これにより、走行安定性を確保でき、実際の着地状態に適合したクッション性および安定性の調整を行える。
【0045】
しかも、この場合には、波形シート5の内甲側部分と外甲側部分との境界線が、荷重移動曲線Tw をジグザグ状に跨いで配置されているので、荷重移動曲線Tw に沿って、さらに滑らかにミッドソールが変形できるようになり、これにより、着地時にスムーズなランディングが可能になる。
【0046】
〔境界線の変形例〕
前記実施態様および前記他の実施態様では、図5および図9に示すように、波形シート5の内甲側部分および外甲側部分の境界線が、中足部位Mにおいてのみ荷重移動曲線Tw を跨いだ例を示しているが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0047】
図10は、境界線の第1の変形例を示している。同図に示すように、内甲側シートSi および外甲側シートSo の境界線Bは、中足部位Mのみならず、踵部位Hにおいても荷重移動曲線Tw をジグザグ状に跨いで横切っている。また、境界線Bの荷重移動曲線Tw からの左右の振れ、つまり内甲側および外甲側への振れは概略均等になっている。
【0048】
図11は、境界線の第2の変形例を示しており、同図において、図10と同一符号は同一または相当部分を示している。この場合には、内甲側シートSi および外甲側シートSo の境界線Bが、中足部位Mおよび踵部位Hにおいて、荷重移動曲線Tw をジグザグ状に跨いで横切っているが、境界線Bの荷重移動曲線Tw からの左右の振れは不均等になっている。
【0049】
図12は、境界線の第3の変形例を示している。同図において、前記実施態様および前記他の実施態様と同一符号は、同一または相当部分を示している。ここでは、まず、ミッドソールの成形法について簡単に説明する。
【0050】
ミッドソールの成形の際に、波形状の合わせ面をミッドソールに形成する場合には、たとえば、波形状面を有する金型により、ミッドソールを加熱状態で加圧成形するヒートプレス法を採用することが多い。このような成形法の場合、一般に、ミッドソールの内部では、波形状の山の部分の密度が相対的に高く、谷の部分の密度が相対的に低くなっている。
【0051】
したがって、図12の(b),(c)に示すような、上部ミッドソール3、下部ミッドソール4および波形シート5a,5bから構成されるミッドソール構造においては、下部ミッドソール4の内部では、波形状の山の部分が相対的に高密度で圧縮硬度が大きく、圧縮変形しにくくなっており、また波形状の谷の部分が相対的に低密度で圧縮硬度が小さく、圧縮変形しやすくなっている。すなわち、下部ミッドソール4の内部では、相対的に硬い領域と、相対的に軟らかい領域とが交互に繰り返されて配置されている。
【0052】
この場合には、低剛性の波形シート5bの縁部51eを波形状の山の稜線L1 の部分で、荷重移動曲線Tw から外甲側((a)の下側)に大きく振って配置することにより、荷重移動曲線Tw 上において波形状の山の稜線L1 の部分には、波形シートにおいて曲げ剛性の相対的に低い部分が広い領域にわたって配置されることになる。
【0053】
また、低剛性の波形シート5bの縁部51eを波形状の谷の線L2 の部分で、荷重移動曲線Tw から内甲側((a)の上側)に大きく振ることにより、荷重移動曲線Tw 上において波形状の谷の線L2 の部分には、波形シートにおいて曲げ剛性の相対的に高い部分が広い領域にわたって配置されることになる。このようにして、荷重移動曲線Tw の両側で波形シートの曲げ剛性が急激に変化することがなくなり、ミッドソールの圧縮硬度に応じたミッドソール構造全体の変形の仕方の調整が可能になり、これにより、着地時には一層スムーズなランディングが可能になる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るスポーツ用シューズのミッドソール構造によれば、波形シートの踵部位および中足部位における内甲側部分の曲げ剛性を外甲側部分の曲げ剛性と異ならせるようにしたので、着地時の安定性およびクッション性の双方を満足させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様によるミッドソール構造が採用されたスポーツ用シューズ(左足用)の外甲側の側面図である。
【図2】(a)はミッドソール構造(図1)の内甲側の側面図、(b)は外甲側の側面図である。
【図3】ミッドソール構造(図1)の底面図である。
【図4】図3のIV-IV 線断面図である。
【図5】ミッドソール構造(図1)のうちの波形シート部分を取り出して、荷重移動曲線とともに示した図である。
【図6】(a)は本発明の他の実施態様によるミッドソール構造の内甲側の側面図、(b)は外甲側の側面図である。
【図7】ミッドソール構造(図6)の底面図である。
【図8】図7のVIII-VIII 線断面図である。
【図9】ミッドソール構造(図6)のうちの波形シート部分を取り出して、荷重移動曲線とともに示した図である。
【図10】波形シートの内甲側部分と外甲側部分との境界線の第1の変形例を示す図であって、前記実施態様の図5および前記他の実施態様の図9に対応する図である。
【図11】波形シートの内甲側部分と外甲側部分との境界線の第2の変形例を示す図であって、前記実施態様の図5および前記他の実施態様の図9に対応する図である。
【図12】(a)は、波形シートの内甲側部分と外甲側部分との境界線の第3の変形例を示す図であって、前記実施態様の図5および前記他の実施態様の図9に対応する図、(b)は当該ミッドソール構造の内甲側の側面図、(c)は当該ミッドソール構造の外甲側の側面図である。
【符号の説明】
1: スポーツ用シューズ
3: 上部ミッドソール
4: 下部ミッドソール
5: 波形シート
5a: 外甲側シート
50e: 縁部
5b: 内甲側シート
51e: 縁部
6,7: アウトソール
H: 踵部位
M: 中足部位
F: 前足部位
s: オーバラップ部分
W : 荷重移動曲線

Claims (6)

  1. スポーツ用シューズのミッドソール構造において、
    シューズの踵部分から中足部分をへて前足部分にかけて延設され、踵部位、中足部位および前足部位を有する軟質弾性部材製のミッドソールと、
    波形状を有し、前記ミッドソールの前記踵部位から前記中足部位にかけて延設された波形シートとを備え、
    前記波形シートが前記踵部位および前記中足部位において互いに曲げ剛性の異なる内甲側部分および外甲側部分からなり、前記波形シートの前記内甲側部分と前記外甲側部分との境界線が、シューズの踵部分から着地したときの荷重移動曲線を跨いで配置されており、ジグザグ状に配設されている、
    ことを特徴とするスポーツ用シューズのミッドソール構造。
  2. 請求項1において、
    前記波形シートの前記内甲側部分と前記外甲側部分との境界線が、シューズの踵部分から着地したときの荷重移動曲線をジグザグ状に跨いで配置されている、
    ことを特徴とするスポーツ用シューズのミッドソール構造。
  3. 請求項2において、
    前記荷重移動曲線をジグザグ状に跨いで配置された前記境界線の前記荷重移動曲線からの左右の振れが均等になっている、
    ことを特徴とするスポーツ用シューズのミッドソール構造。
  4. 請求項2において、
    前記荷重移動曲線をジグザグ状に跨いで配置された前記境界線の前記荷重移動曲線からの左右の振れが不均等になっている、
    ことを特徴とするスポーツ用シューズのミッドソール構造。
  5. 請求項1において、
    前記波形シートが、前記内甲側部分および前記外甲側部分の各縁部を帯状にオーバラップさせて固着することにより構成されている、
    ことを特徴とするスポーツ用シューズのミッドソール構造。
  6. 請求項1において、
    前記波形シートの前記内甲側部分または前記外甲側部分のいずれか一方が前記踵部位および前記中足部位の全体を占めており、前記内甲側部分または前記外甲側部分の他方が前記内甲側部分または前記外甲側部分の前記いずれか一方にオーバラップして固着されている、
    ことを特徴とするスポーツ用シューズのミッドソール構造。
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