JP4905874B2 - 無線通信装置および無線通信装置における制御方法 - Google Patents
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Description
また、演算量に関しては、アダプティブアルゴリズムにもよるが、一般論として、素子数がNの場合、演算量はN**2(**はべき乗を示す)に比例する。たとえば、N=8の場合、演算量は8**2=64に比例する。また、収束速度に関しても、アダプティブアルゴリズムにもよるが、一般論として、Nの倍数に比例する。たとえばN=8の場合、最小16回(8の2倍)の繰返し演算を行う必要があり、または等価的に16個以上の受信サンプルが必要になることもある。
また、全てのアレー素子を利用するので、全てのアレー素子が全方向にランダム的に現れるユーザ信号を受信できるように、無指向性のアレー素子が必要であり、指向性アレー素子のメリットを発揮できなくなるので送受信のカバーできる距離が小さくなる。
たとえば、所望の信号しか存在しない環境において、受信電力順、または/および相関値(の小さい)順によって正しくアレー素子を選択できるが、干渉信号も存在する環境において、受信電力には干渉信号の成分も含まれている。したがって、受信電力が一番大きいと言っても、所望信号の電力か、干渉信号の電力かが分からず、受信電力順の意味がなくなり、正しくアレー素子を選択できない可能性がある。
また、相関値(の小さい)順も同様に、干渉成分の存在で、相関値が干渉信号に影響され、アレー素子を正しく選択できない。さらに受信電力順と相関値順とを同時に用いてアレー素子を選択する場合においても、電力値および相関値自体が干渉成分に影響されるので、明確な意味がなくなり、正しくアレー素子を選択できない。
たとえば、干渉信号をキャンセルするための基準を用いて、アレー素子を選択すると、所望信号の受信レベルが低いアレー素子が選択される可能性がある。
逆に所望信号を最大限に受信できる基準を用いて、アレー素子を選択した場合、干渉キャンセル効果が悪くなる可能性がある。
特に、アンテナ間の相関値を計算する場合、たとえばアンテナが8本あるとき、(8×7)/2=28回の相関計算が必要になり、一回の相関演算に16回の複素数乗算が必要と仮定すれば、28×16=448回の複素数乗算が必要になり、既に全素子利用の演算量を上回ってしまう。
また、電力計算において、相関値計算より演算量が少ないが、たとえば一回の電力計算に10回の複素数乗算が必要と仮定すれば、8本のアンテナの受信電力計算ために、10×8=80回の複素数乗算が必要になる。
したがって、たとえ相関、電力演算精度を減らし、必要な複素数乗算の回数を減らしても、ある程度の演算量が必要であることが明白である。また、もし、ただの受信電力の計算ではなく、特定の受信信号、たとえば所望信号の電力だけを計算する場合には、特定の信号を受信した信号中から分離できる処理が必要であり、この分離処理にもかなりの演算量が必要になる。
また、特許文献2,3に記載の装置は、全アレー素子で各々受信した信号の電力順や相関値順に基づいて送受信に用いるアレー素子を選択するものであるが、このような選択方法では、干渉信号の電力等も参酌されてしまうので、送受信に適したアレー素子が適切に選択されない。
本発明の第4の観点は、複数のアンテナ素子を有する無線通信装置における制御方法であって、送受信に用いるアンテナ素子を決定するステップAと、前記ステップAで決定されたアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算するステップBと、前記ステップBで計算された内積が閾値よりも小さい場合には、次回の重み係数生成において、全アンテナ素子を用いるように決定するステップDと、を含む。
また、重み係数の絶対値が大きいアンテナ素子を選択する理由は、絶対値が大きい重み係数で重み付けされた信号は、重み付け合成信号の品質の向上に貢献するからである。
本実施形態においては、あるユーザに対して、全受信アンテナ素子から、MMSE等の基準に従って、適応的に最適な一部アンテナ素子を決定する。
また、対応ユーザの次の受信スロットにおいて、決定されたアンテナ素子のみに対して、アレー重みを計算し、アダプティブアレーを適用する。
また、全受信アンテナ素子から、適応的に最適な一部アンテナ素子を決定する処理を間欠的に行い、送受信相手との間の電波状況を動的に追従する。
また、最適な一部アンテナ素子を決定する処理を行う時間間隔を、送受信相手との間の電波状況の変動に応じて適応的に調整する。
なお、ここでは、説明の便宜上、アレーが円形配置で、移動通信の基地局に適用される場合を例に説明する。
図1には受信だけを描いているが、送信の場合にはRF部22Sはさらにベースバンド信号を送信周波数まで変換し、アンテナ素子ant1〜antNを送受信共有できるように送受切替器(duplexer)を備える。
アレー重み計算部24が計算したアレー重みは、制御部26と重み付け合成部25Rあるいは重み付け部25Aに送られる。
また、重み付け部25Aは、アレー重み計算部24から送られてくるアレー重みによって、ユーザの送信信号を重み付けする。
また、制御部26は、送受信の相手との間の電波環境の変動速度に追従するように、アンテナ素子の決定を行う周期を学習し、当該学習結果に基づいて、アンテナ素子の決定の周期を調整し、アンテナ素子の決定を行うタイミングをアンテナ素子選択部23に知らせる(アンテナ素子決定周期の制御手段)。
周期の調整は、制御部26で決定されたアンテナ素子の組合せと前回決定されたアンテナ素子の組合せとを比較し、両組合せが同じ場合には、周期を長くし、両組み合わせが異なる場合には、周期を短くすることにより行う。
また、周期の調整は、制御部26で決定されたアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算し、内積値が閾値よりも大きい場合には、周期を長くし、内積が閾値よりも小さい場合には、周期を短くすることにより行うようにしてもよい。
また、制御部26は、周期が予め設定された時間よりも長い場合には、周期が設定された時間になるように調整するが、制御部26で決定したアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算し、内積値が閾値よりも小さい場合には、次回の重み係数生成において、全アンテナ素子を用いるように周期の調整を行うものでもよい。
ここでは、訳明の便宜上、ユーザ1の受信を例に説明する(図3参照)。複数のユーザが存在する場合、それぞれ独立にユーザ1と同様の処理を行う。
図3は、本実施形態に係る制御部の制御動作を説明するためのフローチャートである。
図4は、アンテナ素子決定処理の概要を示す図である。
アレー重み計算部24は、全アンテナ素子の受信信号X1、X2、・・・、XNを用いて、MMSE等の基準に従って、アレー重みW1、W2、・・・、WNを計算する。制御部26は、この計算結果を受け取ると、通信に用いるアンテナの決定を行う(ST2、ST3)。
このようなソート、表作成は一定時間間隔を空けて連続的に行う。なお、「一定時間間隔」を、ここでは、アンテナ選択更新時間と呼ぶ。
次に作成した表をもとに、アレー重みの絶対値の大きい順にM(<N)個のアンテナ素子を決定する(ST32)。
そして、アレ−重み計算を行うための信号を受信するタイミングになると、アンテナ素子選択部23に対して、制御部26で決定したM個のアンテナ素子を選択させ、次の指示を出すまで(アンテナ選択更新時間が経過するまで)はそのM個のアンテナを継続して使用させる。
組み合わせが同じ場合には、電波環境が安定しているということで、アンテナ選択更新時間を増加させる(ST42)。
一方、組み合わせが異なる場合には、電波環境が一定していないので、直ぐに更新する必要があるということでアンテナ選択更新時間を減少させる(ST43)。
たとえば、図9の例においては、更新上限時間を越えた場合は、アンテナ選択更新時間の更新上限時間を代入するようにしている(ST61、ST62)。
図11には、図10の処理の概要を模式的に示している。
このことにより、制御部26におけるアンテナ素子の決定が頻繁に行われることを抑え、アンテナ素子アレー素子決定の周期を長くすることができ、相対的に演算量を減らすことができる。
たとえば、反射板(指向性アンテナも同じ)により、移動端末ユーザ方向に面していないアレーで素子の受信が遮断され、急遽反対側のアンテナ素子が選択されることがなく、大抵安定的にこのユーザ方向に面しているアンテナ素子が選択される。
このような要因や、本実施形態のアンテナ素子の決定周期の学習特徴により、頻繁的なアンテナ素子の決定が必要なく、相対的に演算量を減らすことができる。
反射板または指向性アンテナのうち、どちらを利用しても構わないが、同時利用の必要はない。また、指向性アンテナ素子を利用する場合、素子の指向性が円形外部に面する半分平面をカバーできることが望ましいが、図12に示した全素子の指向性を合わせたら、全平面をカバーできる指向性を持つアンテナ素子も利用できる。
反射板の設置または指向性アンテナの利用は本発明の効果を向上するが、本発明の必須要件ではない。
あるユーザに対して、アレー構成するアンテナ素子の一部を利用しアダプティブアレーを適用して受信、または/および送信を行うので、演算量が少なく、収束速度が速い。
演算量が少ない分、相対的に小さいDSPを利用でき、消費電力を節約できる。
また、アンテナ素子を選択するときに、MMSE等の最適基準を用いて選択するので、複雑な電波環境にもかかわらず、常に適応的に最適なアンテナ素子を選択でき、アダプティブアレーの性能を損なうことなく、演算量を削減し、収束速度を向上させることができる。
アンテナ素子中から最適な一部を選択し、アダプティブアレーを適用する特徴を活かし、指向性アンテナ(または反射板)を利用し、必要方向だけに受信または/および送信することで、アダプティブアレーのカバーできる距離が増えるあるいは発射電力を減らすことができる。
たとえば、水平平面上半分カバーできる指向性アンテナを利用する場合、指向性がカバーしない半分に対しては送受信できないが、カバーしている半分においては、受信感度、送信電力を倍増できる。
したがって、本実施形態に係るアダプティブアレーを装備する送受信装置、たとえば、移動通信の基地局はカバーできる範囲を拡大でき、その結果、基地局設置数を減らすことができる。
たとえば、反射板(指向性アンテナも同じ)により、移動端末ユーザ方向に面していないアンテナ素子の受信が遮断されるので、急濾反対側のアンテナ素子が選択されることがなく、大抵安定してこのユーザ方向に面しているアンテナ素子が選択される。
このことにより、かつ、本実施形態の決定周期の学習特徴により、頻繁なアンテナ素子の決定が必要なく、相対的に演算量を減らすことが可能である。
Claims (4)
- 複数のアンテナ素子を有する無線通信装置であって、
制御部を備え、前記制御部は、送受信に用いるアンテナ素子を決定し、当該決定したアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算し、該内積が閾値よりも大きい場合には、送受信に用いるアンテナ素子を決定するための周期を長くし、前記内積が前記閾値よりも小さい場合には、前記周期を短くする、
ことを特徴とする無線通信装置。 - 複数のアンテナ素子を有する無線通信装置であって、
制御部を備え、前記制御部は、送受信に用いるアンテナ素子を決定し、当該決定したアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算し、当該内積が閾値よりも小さい場合には、次回の重み係数生成において、全アンテナ素子を用いるように決定する、
ことを特徴とする無線通信装置。 - 複数のアンテナ素子を有する無線通信装置における制御方法であって、
送受信に用いるアンテナ素子を決定するステップAと、
前記ステップAで決定されたアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算するステップBと、
前記ステップBで計算された内積が閾値よりも大きい場合には、送受信に用いるアンテナ素子を決定するための周期を長くし、前記内積が前記閾値よりも小さい場合には、前記周期を短くするステップCと、を含む、
ことを特徴とする制御方法。 - 複数のアンテナ素子を有する無線通信装置における制御方法であって、
送受信に用いるアンテナ素子を決定するステップAと、
前記ステップAで決定されたアンテナ素子における現アレー重みベクトルと前回のアレー重みベクトルとの内積を計算するステップBと、
前記ステップBで計算された内積が閾値よりも小さい場合には、次回の重み係数生成において、全アンテナ素子を用いるように決定するステップDと、を含む、
ことを特徴とする制御方法。
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