JP4905643B2 - 複室容器 - Google Patents

複室容器 Download PDF

Info

Publication number
JP4905643B2
JP4905643B2 JP2005351494A JP2005351494A JP4905643B2 JP 4905643 B2 JP4905643 B2 JP 4905643B2 JP 2005351494 A JP2005351494 A JP 2005351494A JP 2005351494 A JP2005351494 A JP 2005351494A JP 4905643 B2 JP4905643 B2 JP 4905643B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
laminated sheet
propylene
chamber container
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005351494A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007151844A (ja
Inventor
彰一 北川
康宏 村松
豊明 鈴木
康一 三浦
明美 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ajinomoto Co Inc
Fujimori Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
Fujimori Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ajinomoto Co Inc, Fujimori Kogyo Co Ltd filed Critical Ajinomoto Co Inc
Priority to JP2005351494A priority Critical patent/JP4905643B2/ja
Publication of JP2007151844A publication Critical patent/JP2007151844A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4905643B2 publication Critical patent/JP4905643B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bag Frames (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Medical Preparation Storing Or Oral Administration Devices (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Package Specialized In Special Use (AREA)

Description

本発明は、30ml以下である微量の溶液を収納する複室容器に関し、より詳しくは、ビタミン類を含有する内容品を少なくとも1つ有する複数の内容品を互いに隔離された別々の収納室に保存しておき、使用時には、その隔離部(弱シール部)を破断もしくは剥離することによって、当該複数の内容品を無菌的に混合し、排出するのに適した、柔軟性を有する複室容器に関する。
医療の現場においては、治療にあたって、複数の薬剤成分を混合した状態で患者に投与することが一般的に行われているが、混合する薬剤成分の組合せによって種々の方法が採用されている。例えば、輸液製剤の場合には、アミノ酸とブドウ糖とを含む薬液はメイラード反応による変質が起こりやすいことから、各成分を別々の閉鎖系収納室に保存しておき、患者への投与の直前に混合して投与することが行われている。
この場合、混合操作を無菌的なクローズド状態(クローズドシステム)で行い、また、その混合の操作を容易ならしめるために、複数の収納室を有する複室容器を用い、当該収納室にそれぞれ異なる薬剤成分を保存しておき、使用直前に画分された収納室を何らかの手段によりクローズドシステム内で連通させ、混合する方法が採用されている。
ここで、患者に薬剤を投与するに際し、容器の影響で薬剤組成が変化したりすることは好ましくない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等が容器内壁の材質として用いられた容器に、微量元素(例えばマンガンなど)、ビタミン類、硝酸イソソルビト等を有効成分として含有する投与薬剤が収容される場合、医療用注射剤などに求められる、例えば高圧蒸気殺菌処理が施されると、容器内壁にこれらの成分が吸着されて投与薬剤の成分組成が変化し、使用にあたり有効成分が完全には患者に投与されないという問題が生じる場合がある。
このような問題を解決すべく、例えば特許文献1:再表99/039679号公報には、環状オレフィンコポリマーを層構成に使用した容器が提案されている。しかし、この容器は内側よりポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー、ポリオレフィンの順の層構成となっており、内容液に直接接触するポリオレフィン自体の厚みを薄く設定することにより内容液成分の吸着や収着を少量に抑えることができるものの、内容液成分の吸着や収着が生じることに変わりはない。
また、特許文献2:特開平2001−157704号公報、特許文献3:特開平2001−157705号公報には、ポリエチレンやα−オレフィンポリマー、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・α−オレフィン・他オレフィン系モノマー三元共重合体と、環状オレフィンの開環重合体若しくはその水素添加体との混合物、又は、環状オレフィンの開環重合体若しくはその水素添加体を用いて中間層を構成する輸液用包装材料が提案されている。しかし、これらの包装材料においても容器を形成する際に内容物と接触する最内層としてはLDPEやLLDPEといった環状ポリオレフィン系樹脂以外のオレフィン系樹脂を使用するものであり、内容液成分の吸着や収着が生じることに変わりはない。
予め混合することが望ましくない複数の薬剤を分けて収容することができ、収容する薬剤の組成を変化させることがなく、しかも用時には容易に各薬剤の混合を外環境に触れずに行なうことができる容器の開発が望まれていた。
ところで、消化器手術の術後患者等は、経口摂取が不可能な場合が多いので、このような患者の栄養管理は一般に、中心静脈から高カロリー輸液(IVH:intravenous hyperalimentation)を投与することにより行われている。IVHは、通常、栄養源である糖質(ブドウ糖)およびアミノ酸と、電解質成分を含むものである。ここで、IVHを比較的長期間にわたって投与する場合には、輸液製剤に含まれない微量元素や、ビタミン類の欠乏症等が問題視されることとなり、従って、IVHにはブドウ糖、アミノ酸、電解質成分に加えて、微量元素やビタミン類を配合することが不可欠となる。
ここで、ビタミン類は一般に保存安定性に欠けるため、専ら混合ビタミン剤や総合ビタミン剤の形態(即ち、ビタミン類に安定化剤等を配合し、保存安定性を向上させた形態)で単独に製剤化されたものを、IVH製剤を患者に投与する直前にIVH製剤に混合することにより、ビタミン類含有IVHが患者に投与されている。しかしながら、このような混合操作は煩雑である上に、混合操作時に細菌汚染のおそれを伴うものである。特に老齢患者における院内感染による肺炎の発症は致命的なものであるため、担当者には作業の効率性と慎重性の両方が要求されることとなり、担当者への多大な負担となっているのが現状である。
上記のような混合操作を容易に行なう方法として、複室容器を用いる方法が提案されている。例えば、特許文献4:特開平6−209979号公報や特許文献5:特開平8−709号公報には、2室のうちの一方に脂肪と糖を収容し、他方にアミノ酸と電解質を収納すると共に、投与すべき種々のビタミン類をそれぞれのいずれかに収納させた複室容器を用いる方法が提案されている。
しかしながら、これらの文献に開示されているIVH製剤においては、投与すべきビタミン類の保存安定性を確保する観点から、更に脂肪が配合されている。かかる脂肪の投与は必ずしも全ての患者に許容されているものではない。例えば、高脂血症、肝障害、血栓症、糖尿病等の患者にとっては、大量の脂肪の投与は禁忌とされている。また、脂肪は栄養源の一種ではあるものの、患者によってその至適投与量が異なるものであり、本来的には単独投与による投与量のコントロールが望まれるものである。
また、特許文献6:特開平11−158061号公報には、薬剤収納容器を3室に区画し、ビタミンB1及び還元糖を含有する溶液Aと、葉酸(ビタミンの一種)及びアミノ酸を含有する溶液Bと、脂溶性ビタミン及びビタミンCを含有する溶液Cとをそれぞれ別個に収容し、更に各溶液のpHを特定範囲に調節したIVH製剤を収容する複室容器が提案されている。しかし、この場合においても、それぞれに区画した3室にはIVH製剤を構成する特定の薬剤と、それに対応して安定に収納が可能となるビタミンのみが収納されているものであり、投与量のコントロールの自由度が広く応用性のあるものとは言い難い。
さらに、ビタミン類は、一度の投与量が多くないので、少ない内容量で保存することが望まれる。しかし、ビタミン類の保存安定性を確保するために環状ポリオレフィン等を使用した場合には、容器が硬くなって所定量を排出しにくいと言う問題もある。
したがって、特定のビタミン類を独立して収納することを可能とし、投与量のコントロールの自由度が広く、クローズドシステム内で連通させ、混合し、所定量を確実に容易に排出する収納容器の開発が求められていた。
再表99/039679号公報 特開平2001−157704号公報 特開平2001−157705号公報 特開平6−209979号公報 特開平8−709号公報 特開平11−158061号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、予め混合することが望ましくないビタミン類を含む複数の薬剤を隔離して収容することができ、収容する薬剤の性状や有効成分量を変化させることがなく、特定のビタミン類を独立して収容することを可能とし、しかも用時には容易に各薬剤の混合をクローズドの状態で衛生的に行なうことができ、各薬剤が少量であっても、所定量を確実に排出できる複室容器を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定の樹脂を主成分としたシーラント層を備える積層シートを用いて複室容器を構成すると共に、前記積層シートの引っ張り弾性率を特定することにより、ビタミン類がシーラント層に吸着等されるおそれを可及的に低減するとともに、容器に柔軟性を付与することで、所定量を確実に排出できる排出性を向上させた複室容器を実現し得ること、更には、好ましくは上記シーラント層に特定成分を配合することにより、上記複室容器がその少なくとも1つの室に収容するビタミン類の保存安定性を改善させ得ることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の複室容器を提供する。
請求項1:
ポート部が溶着され、内容液が合計で30ml以下である微量の溶液を収納する複室容器であって、
シーラント層を少なくとも一面に備えた一の積層シートのシーラント層面に、シーラント層を少なくとも一面に備えた他の積層シートのシーラント層面が対向するように両積層シートが重畳され、重畳された前記両積層シートの周縁部、及び前記両積層シートとポート部の溶着基部とがシールされて形成される空間が、剥離可能な弱シール部により3室に仕切られ
前記一の積層シート及び他の積層シートの双方のシーラント層が、それぞれガラス転移点100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含み、
前記一の積層シート及び/又は他の積層シートの、JIS−K7161に準拠して測定した引っ張り弾性率が500MPa以下であると共に、
ポート部を有する室と互いに隣接するポート部を有しない他の2室とが前記弱シール部により隔離され、ポート部を有しない2室が強シール部により仕切られて形成された室の少なくとも一つに、ビタミン類を含有する内容品が収納されることを特徴とする複室容器。
請求項
前記一の積層シート及び/又は他の積層シートが、シーラント層を一面に備え、基材層を他面に備えた積層シートであると共に、前記環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度が100〜170℃であり、かつ前記基材層が融点110〜220℃であって、環状ポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含む請求項1記載の複室容器。
請求項
前記基材層に含まれる前記ポリオレフィン系樹脂が、以下の(A)成分を含むプロピレン系共重合体組成物である請求項記載の複室容器。
(A)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体。
請求項
前記プロピレン系共重合体組成物が、さらに以下の(B)成分を含む請求項記載の複室容器。
(B)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下であるプロピレン系共重合体。
請求項
前記環状ポリオレフィン系樹脂が、ノルボルネン系モノマーを重合して得られるポリノルボルネン系樹脂の1種または2種以上の組合せである請求項1乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
請求項
前記一の積層シート及び他の積層シートの双方が、積層シートを構成する各構成層を接着剤及びアンカー剤を用いることなく積層して形成された積層シートである請求項1乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
請求項
前記一の積層シートのシーラント層及び/又は他の積層シートのシーラント層が、ビタミンEを50〜1000ppm(質量)の範囲で含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
本発明によれば、予め混合することが望ましくないビタミン類を含む複数の薬剤を隔離して収容することができ、収容する薬剤の性状や有効成分量を変化させることがなく、特定のビタミン類を独立して収容することを可能とし、しかも用時には容易に各薬剤の混合をクローズドの状態で衛生的に行なうことができる微量の溶液を収納する複室容器が提供される。この様な複室容器は、たとえば、中心静脈投与用輸液製剤(IVH)やそれらに混合されるビタミン類を含む内容品を収納する容器として好適なものである。また、本発明の複室容器は、容器を構成する積層シートを特定の引っ張り弾性率としたので、弱シール部の連通作業や混合された内容品の排出性が良好で、内容液が合計で30ml以下である場合であっても、確実に所定量を排出することができる。また、容器を構成する積層シートのシーラント層を特定の樹脂としたので、環状ポリオレフィン系樹脂で構成される容器内壁のヒートシール性にも優れ、しかも医療用注射剤で求められる、例えば100℃以上の高圧蒸気滅菌処理によっても容器の変形や、内容品が液状物である場合にも液漏れが発生しない形態を実現し得る複室容器である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。図1は本発明の複室容器の実施形態の一例を示す複室容器1の平面図であり、図2は図1に示す複室容器1のX−X断面図、図3は図1に示す複室容器1のY−Y断面図である。
図1〜3に示す複室容器1は、シーラント層21,中間層22,表面層23からなる積層シート2を2枚と、図示しない封止部材を備えると共に舟形形状の溶着基部31を有するポート部3と、を用いて形成されている。即ち、複室容器1は、ポート部3の溶着基部31が所定位置に挟持されるように、両シート2,2がそのシーラント層21同士が互いに対向するように重畳され、シート周縁部及び所定位置が熱圧着されて強シール部4(両シート同士の溶着),強シール部5(シート2と溶着基部31との溶着)が設けられ、更に、当該強シール部4,5が設けられることにより両シート間に生じた空間を3つの室6a,6b,6cに区画する弱シール部7a,7bが設けられて形成されている。なお、室6a,6b,6cには図示しない内容品8a,8b,8cがそれぞれ収容され、これら内容品8a,8b,8cのうち少なくとも1つはビタミン類を含有する内容品である。
複室容器1において室6cと室6a、乃至室6cと室6bとはそれぞれ互いに隣接して形成されており、室6cと室6aとは弱シール部7aにより遮断して隔離され、室6cと室6bとは弱シール部7bにより遮断して隔離されている。そして、複室容器1は、弱シール部7a,7bを破壊(剥離)することにより、室6a,6b,6cが密閉環境下に一体に連通し得るように構成され、混合された内容品がポート部3から容器外部へ排出可能に構成されている。
複室容器1の使用に際しては、まず、ポート部3の有する容器内外を連通させる流路が上記図示しない封止部材で封止された状態で、例えば内容品8a,8bを収容する室6a,6b部分を握るなど外部から押圧し、弱シール部7a,7bを順次又は同時に剥離させ、室6a,6b,6cを一体に連通させて内容品8a,8b,8cの混合品を得る。その後、ポート部3の封止を解除し、混合品を容器外へ排出する。図1においてポート部3の排出口は針状に成形されているため、輸液キットの一部としてそのまま用いることも可能である。
なお、本実施形態の複室容器1においては室6a,6bの形状として、室6cとの境界位置近傍から室6a,6b内部へ向けて拡開した形状に形成されているため、内容品8a,8bを確実に室6cへと導くことができ、残留する内容品が低減される。
ここで、上述した実施形態をもとに、本発明の目的を損なわない範囲で上記複室容器1の形状や構成部材を適宜設計変更することは差し支えない。複室容器を構成するシートの厚み、内容物収納室の数(室の数は2室でも良いし、4室以上であっても良い)、ポート部の有無、形態(溶着基部の形態を含む)や数、ポート部の封止態様や開口の方法等についても特に制限はない。本発明の複室容器はポート部材を用いることなく柔軟性容器の角部等を鋏などで切断して開口してもよく、フィルムの蓋材をシールしてピールオープンとしてもよい。予め一端が閉塞しているポート部材を用いて、折りきって(ブレークオープン)開口してもよいし、蓋材を着脱可能に嵌合乃至螺合させてポート部を封止すると共に、当該蓋材を再封止可能に取り外しても良い。
両シートのシール方法としては接着剤を用いる方法、熱溶着する方法のいずれも採用でき、弱シール部を形成するためイージーピールテープを挿入する方法を用いても良い。シール条件(接着剤の種類、或いは熱溶着時の圧着温度条件、圧着時間条件、圧着圧力条件等)や容器内面側に備えるシーラント層の材質を適宜設定することにより強シール部,弱シール部を作り分けることも可能である。
また、各室の内壁面を形成するシート位置には絞り成形により、適宜な深さの凹部を予め形成しておくことも可能である。そのような凹部の平面視形状としても特に限定されず、平面視矩形状,円形状であっても良いが、良排出性の観点から前記凹部としては、平面視楕円形状の浅い凹部とすることが好適である。
更に、積層シートの中間層は内外の層を接着させるための層であっても良いが、金属箔やエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂層など遮光性やガスバリア性を向上させるための層であっても良いし、それが複数層あっても良い。さらには、後述するように、中間層が無くても良い。
なお、複室容器への内容品の充填方法としても特に制限されるものではない。予めシート周縁部が強シールされ且つ開閉自在なポート部を備えた容器を作製し、第一内容品をポート部を通じて容器内へ収容した後、第一内容品が密封されるように弱シール部を設けて容器内を区画し、更に第二内容品をポート部を通じて容器内へ収容する、というプロセスを適宜な回数繰り返す方法や、シート周縁部に強シール部を設ける際に、容器内外を連通可能な未シール部を設けておき、容器の形態を整えた後(容器内に所定の室を形成した後)に前記未シール部を通じて所定の室に所定の内容品を充填し、その後未シール部を封止する方法、更には、一のシート又は両シートに凹部を予め形成しておくと共に内容品を当該凹部に充填しておき、その後両シートを重畳させる方法、等を採用することができる。
一般に、容器内壁面の材質としてポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性オレフィン系樹脂が採用され、ビタミン類や微量元素などが収納される場合には、容器内壁への薬剤成分の吸着や収着が高い割合で起こり、これら各成分の含有量が著しく低下してしまう。特に、少ない量でビタミン類等を収納する場合は、ビタミン類等の単位量に対して接触するシーラント層の面積が大きくなるため、その含有量が経時的に大きく低下する。本発明においては複室容器の内壁面を特定の樹脂(ガラス転移点100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含むもの)にて構成するため、ビタミン類や微量元素などの容器内壁への吸着、収着が生ずる程度を可及的に低減した複室容器を実現するものである。また、シーラント層にガラス転移温度100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を主成分として用いるため、医療用注射剤で求められる、例えば100℃以上で高圧蒸気滅菌処理を施した場合にも容器が変形したり、破袋して内容品の漏れが発生したりするおそれが可及的に低減されている。
また、一般に環状ポリオレフィン系樹脂を使用した場合には容器が硬くなるため容器の変形が困難となったり、内容品の排出操作を行う際などに容器の硬さが原因で手や指などを傷つけたりするおそれがある。本発明においては上記積層シートの少なくとも一方を、引っ張り弾性率500MPa以下、好ましくは400MPa以下、より好ましくは350MPa以下のシートとしているため、内容品の排出操作を行い易く、予定された所定量を確実に排出できるので、混合した薬剤をさらに輸液バッグなどに注入して混合する場合に、薬剤の配合比が正確となる。また容器を2つ折にしたり容器を手で握りつぶしたりすることが容易であり、従って弱シール部の連通を容易に行なうことができる。引っ張り弾性率が500MPaを超えるシートを双方に用いた場合には、このような内容品の排出操作や連通操作が困難になったり、操作時に手や指を傷つけたりする問題が生じるおそれがある。本発明の複室容器の容器収容総量(ml)については収容総量が30ml以下となるような場合であっても、上記積層シートの少なくとも一方の引っ張り弾性率を上記範囲に限定することにより、本発明の複室容器における、内容品の排出操作や各室間の連通操作の容易性を確保することができて好適である。
なお、上記シーラント層に含まれる環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移点としては、高圧蒸気滅菌処理を施す場合の耐熱性から、100℃以上、好ましくは105℃以上、より好ましくは120℃以上であるが、ヒートシール時に基材が軟化する場合があるので、上限としては通常170℃以下、好ましくは165℃以下である。また、上記環状ポリオレフィン系樹脂が上記シーラント層に含まれる割合としては、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。50質量%未満であると薬剤の有効成分の吸着や収着を防止する性能が低下する。なお、本発明において「ガラス転移温度」とは、JIS K7121(DSC)にて測定した値を意味する。
本発明における前記一の積層シート及び/又は他の積層シートとしては、シーラント層を一面に備え、基材層を他面に備えた積層シートであることが好適である。
ここで、基材層としては特に制限はないが、融点110〜220℃であって、環状ポリオレフィン系樹脂ではないポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含むものであることが好適である。このような基材層を用いることにより、ガラス転移温度が100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を主成分として含むシーラント層も採用する場合でも、容器を変形させずに容器を構成するための熱シールを十分に行なうことができ、シール時の熱で容器の一部に穴が開く等の不都合が無くシーラント層を熱溶着することができる。つまり、従来、ガラス転移温度100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とするシーラント層を採用すると、容器を形成するための積層フィルム同士、あるいは積層フィルムとポート部材とのシール性に著しく劣る場合や、シール時にシール部が変形したり、シールエッジ部(シール部の付け根)が破断したりするといった不都合が生じる場合があった。しかしながら、本発明においては、基材層として融点110〜220℃の環状ポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を主成分として採用し、ガラス転移温度100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を主成分とするシーラント層と併用することにより、容器を形成するためのシール時にシール部が変形したり、シールエッジ部が破断したりするといった不都合が解消される。なお、基材とシーラント層を組み合わせるに際して、基材が溶融する場合があるので、基材の融点がシーラント層のガラス転移温度より高くなるように設定することが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。そして、環状ポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂は環状ポリオレフィン系樹脂に比べて柔軟性に優れるので、積層フィルムとしたときの柔軟性を損なうことなく、シーラント層のヒートシール性をも向上し、高いシール強度でヒートシールすることが可能となる。なお、柔軟性の観点からは積層に際して接着剤層を用いないことが好ましい。このようなシーラント層と基材層とを組み合わせた積層フィルムにて形成される本発明の複室容器は、容器滅菌(レトルト滅菌)時にも十分な耐熱性を有し、しかも柔軟性及び落下強度にも優れる容器となる。
ここで、本発明において積層シート同士をシールする方法としては特に限定されるものではないが、前記一の積層シート及び/又は他の積層シートが、シーラント層を一面に備え、基材層を他面に備えた積層シートであると共に、前記環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度が100〜170℃であり、かつ前記基材層が融点110〜220℃の環状ポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含む積層シートである場合には、以下のようなシール条件が採用されることが、容器の形状、強度を確保する上で好適である。
(I−i)一の積層シートの周縁部と他の積層シートの周縁部とのシール条件(熱溶着条件)
温度:通常180〜240℃、好ましくは190〜220℃
圧力:通常0.1〜0.8MPa,好ましくは0.2〜0.6MPa
時間:通常2〜12秒、好ましくは4〜10秒
(I−ii)剥離可能な弱シール部のシール条件(熱溶着条件)
温度:通常160〜230℃、好ましくは180〜210℃
圧力:通常0.1〜0.6MPa,好ましくは0.2〜0.4MPa
時間:通常3〜10秒、好ましくは4〜8秒
なお、融点110〜220℃の環状ポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂が上記基材層に占める割合としては通常80質量%以上、好ましくは100質量%である。当該割合が80質量%未満であるとシール部エッジが変形したり、破れたりする場合がある。
上記基材層に含まれる前記ポリオレフィン系樹脂が、以下の(A)成分を含むプロピレン系共重合体組成物である場合、本発明の複室容器の耐熱性、柔軟性、透明性を両立することが可能となるため好適である。
(A)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体。
また、上記プロピレン系共重合体組成物が、さらに以下の(B)成分を含む場合、本発明の複室容器の、容器表面のべたつき感を低減させ、適度なコシを付与することができるため好適である。
(B)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下であるプロピレン系共重合体。
ここで、温度上昇溶離分別法(Temperature Rising Elution Fractionation;TREF)とは、ポリマーの組成分布を分析する公知の方法であって、原理的には個々のポリマー成分が異なる結晶構造を有するため溶媒中での析出速度あるいは溶解速度が個々のポリマー毎に異なることを利用して、ポリマーの組成分布を分析する方法である。即ち、高温でポリマーを溶媒に完全に溶解させた後に不活性坦体の存在下で徐々に冷却すると、まず結晶化し易い高結晶性のポリマー成分が前記不活性担体の表面に先に析出してポリマー層が形成され、その後、結晶化しにくい低結晶性あるいは非晶性のポリマー成分が析出してポリマー層が形成されることとなる。次に、このようにポリマー層を形成後、連続的又は段階的に昇温すると、今度は低結晶性あるいは非晶性のポリマー成分から溶出し、最後に高結晶性ポリマー成分が溶出することとなる。つまり、この各温度での溶出量と溶出温度とによって描かれる溶出曲線から、ポリマーの組成分布を分析することが可能となる。本発明においては、温度上昇溶離分別法に用いる溶媒としてo−ジクロロベンゼンを使用し、温度範囲として0〜140℃を採用している。
本発明において、上記(A)成分の0℃での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては通常15質量%以上、好ましくは18質量%以上、上限として通常50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体組成物の柔軟性が低下し、内容品の排出を容易に行なうことができない場合があり、しかも、作成された複室容器の感触が強ばり、落下強度が劣る傾向となる。一方、当該割合が大きすぎると、100℃以上の滅菌処理を施した場合に、複室容器の外面にべたつき感が発生する場合があり、滅菌処理時に他の複室容器とスティッキングを発生させる場合がある。この傾向は、121℃の滅菌処理を行なうとより顕著にあらわれる。
また、上記(A)成分の60℃以上90℃以下での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては通常5質量%以上、好ましくは6質量%以上、上限として通常15質量%未満、好ましくは10質量%以下である。当該割合が小さすぎると、プロピレン系共重合体組成物の透明性に劣る場合があり、一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体組成物の耐熱性に劣り、得られた複室容器が100℃での滅菌処理時に変形してしまう場合がある。この傾向は、121℃の滅菌処理を行なうとより顕著にあらわれる。また複室容器を形成するためのシール時にシール部が変形したり、シールエッジ部が破断する場合がある。
本発明において、上記(B)成分の0℃での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては通常0質量%以上、好ましくは2質量%以上、上限として通常25質量%以下、好ましくは15質量%以下である。当該割合が大きすぎると、100℃以上での滅菌処理を施した場合に複室容器表面にべたつき感が生じる場合がある。
また、上記(B)成分の60℃以上90℃以下での溶出量が全溶出量に対して占める割合としては通常15質量%以上、好ましくは20質量%以上、上限として通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下である。当該割合が小さすぎると、複室容器に適度なコシを持たせることができない場合があり、一方、当該割合が大きすぎると、プロピレン系共重合体組成物の耐熱性が劣り、作成された容器が100℃以上の滅菌時に複室容器が変形する場合がある。この傾向は、121℃の滅菌処理を行なうとより顕著にあらわれる。
本発明における前記プロピレン系共重合体組成物としては、前記(A)成分を主成分(50質量%以上、好ましくは55質量%以上)として含むものであることが好適であり、前記(A)成分単独であっても良いが、前記(B)成分を前記(A)成分と併用することも好適である。(A)成分は、耐熱性と柔軟性に優れる成分であり、(B)成分は、耐熱性に優れ、かつ前記最外層に適度なコシを与えることが可能な成分であって複室容器の後工程での取り扱い性を向上させることができる。(B)成分を(A)成分に配合することにより、得られた複室容器を100℃以上で滅菌処理した後であってもべたつき感がなく、透明性と柔軟性、コシを合わせ持った状態を維持することが可能である。
なお、(B)成分が、前記プロピレン系共重合体組成物中に占める割合としては通常50質量%以下、好ましくは45質量%以下である。(B)成分の配合比率が50質量%を超えると、複室容器が硬くなり、内容品の排出性に劣り、複室容器として適さない場合がある。
前記(A)成分と(B)成分との配合比としては、通常(A)成分:(B)成分=100:0〜50:50(質量比)、好ましくは98:2〜55:45、より好ましくは90:10〜60:40(質量比)の割合である。(A)成分の配合比が小さすぎると、得られた複室容器の柔軟性が低下し、搬送、外層包装などの後工程などで破袋の危険性が高まったり、排出性に問題が発生する場合がある。
上記(A)成分および(B)成分のプロピレン系共重合体は、プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体である。
ここで、上記炭素数4〜8のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することも可能である。
本発明における上記プロピレン系共重合体成分としてより具体的には、プロピレンとエチレンとからなる共重合体成分、又はプロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であることが好ましく、炭素数4〜8のα−オレフィンとしてはブテン−1を採用することが好適である。
このような上記(A)成分および(B)成分のプロピレン系共重合体の製造方法としては、例えば下記(i)〜(iii)の方法、
(i)少なくとも二段以上の逐次重合を行なうに際し、一段目重合時においてプロピレン単独重合体、またはプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを導入してランダム共重合体を製造した後、二段目以降の重合時において、前段で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンのランダム共重合体を製造する方法、
(ii)プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体と、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
(iii)プロピレン単独重合体、またはプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体と、エチレン及び/又は炭素数4〜8とプロピレンとのランダム共重合体と、をブレンドする方法、
を採用することができる。中でも、経済性の観点から上記(i)の方法を用いることが好適である。
上記(i)の逐次重合に用いる触媒としては、特に限定されるものではないが、有機アルミニウム化合物と、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分とからなるものが好ましい。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば一般式R1 mAlX(3-m)(式中、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、mは1〜3の数である)で表される化合物が使用される。かかる有機アルミニウム化合物の具体例としては、例えばトリメチルアルミニウムクロリド、トリエチルアルミニウムクロリド等のトリアルキルアルミニウムハライド、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド等のアルキルアルミニウムハイドライド、等が挙げられる。
また、上記チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、及び電子供与性化合物を必須とする固体成分としては、この種の重合において公知のものが使用でき、チタン原子の供給源となるチタン化合物としては、例えば一般式Ti(OR2(4-n)n(式中、R2は炭素原子数1〜10の炭化水素残基、Xはハロゲン原子を示し、nは0〜4の数である)で表される化合物が使用される。中でも、四塩化チタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン等が好ましく用いられる。
上記マグネシウム原子の供給源となるマグネシウム化合物としては、例えば、ジアルキルマグネシウム、マグネシウムジハライド、ジアルコキシマグネシウム、アルコキシマグネシウムハライド等が挙げられ、中でもマグネシウムジハライド等が好ましい。ハロゲン原子としては、例えば弗素、塩素、臭素、沃素が挙げられ、中でも塩素が好ましい。ハロゲン原子は、通常、前記のチタン化合物やマグネシウム化合物から供給されるが、アルミニウムのハロゲン化物、珪素のハロゲン化物、タングステンのハロゲン化物などの他のハロゲン供給源から供給されてもよい。
上記電子供与性化合物としては、例えばアルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸およびその誘導体などの含酸素化合物、アンモニア、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類などの含窒素化合物などが挙げられ、中でも無機酸エステル、有機酸エステル、有機酸ハライドが好適であり、特に珪酸エステル、フタル酸エステル、酢酸セロソルブエステル、フタル酸ハライドが好適である。
ここで、上記の珪酸エステルとしては、例えば一般式R34 (3-p)Si(OR5p(式中、R3は炭素原子数3〜20(好ましくは4〜10)の分岐脂肪族炭化水素残基または炭素原子数5〜20(好ましくは6〜10)の環状脂肪族炭化水素残基を示し、R4は炭素原子数1〜20(好ましくは1〜10)の分岐または直鎖脂肪族炭化水素残基を示し、R5は炭素原子数1〜10(好ましくは1〜4)の脂肪族炭化水素残基を示し、pは1〜3の数である)で表される有機珪素化合物が挙げられる。かかる有機珪素化合物の具体例としては、例えばt−ブチル−メチル−ジメトキシシラン、t−ブチル−メチル−ジエトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシラン、シクロヘキシル−メチル−ジエトキシシラン等が挙げられる。
本発明における上記(A)成分および(B)成分のプロピレン系共重合体を製造するに際して上記(i)の製造方法を採用する場合には、一段目重合時においてプロピレン又はプロピレンと少量のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを供給し、上記のような触媒の存在下、重合温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃、プロピレンの分圧0.5〜4.5MPa、好ましくは1.0〜3.5MPaの条件で重合を実施し、引き続いて二段目重合時において、一段目重合で得られた重合体の存在下、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを供給し、前記触媒の存在下に温度50〜150℃、好ましくは50〜100℃で、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンの分圧各0.3〜4.5MPa、好ましくは0.5〜3.5MPaの条件として、共重合を行なうことができる。
なお、その際の重合方式としては回分式、連続式、半回分式のいずれであってもよいが、一段目及び二段目の重合は気相又は液相中で実施するのが好ましく、各段階の滞留時間は通常各々0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間とすることができる。又、このような方法により製造される組成物の粉体粒子にベタツキ等の間題が生じる場合は、粉体粒子に流動性を付与する目的で、一段目重合後であって二段目重合の開始前又は二段目重合の重合途中に、触媒の固体成分中のチタン原子に対して100〜1000倍モルで、かつ触媒の有機アルミニウム化合物に対して2〜5倍モルの範囲で活性水素含有化合物を添加することが好ましい。このような活性水素含有化合物としては、例えば、水、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、カルボン酸類、酸アミド類、アンモニア、アミン類等が挙げられる。
本発明における上記(A)成分および(B)成分としてのプロピレン系共重合体は、o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いた温度0〜140℃の間の温度上昇溶離分別における0℃での溶出分および60℃以上90℃以下での溶出分の割合がそれぞれ特定範囲となるように調整されたものであるが、このような条件を満たすようにポリマーの溶出割合を調整する方法としては、プロピレン以外のエチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンを多段共重合することによりプロピレン系重合体の結晶性をコントロールする方法や、触媒を選択することによりプロピレン系重合体の立体規則性をコントロールする方法が挙げられる。
本発明における上記シーラント層には、ヒートシール性の向上の観点から、ガラス転移温度100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂に加え、ガラス転移温度100℃未満の環状ポリオレフィン系樹脂、を併用することが好適である。本発明において、ガラス転移温度100℃未満の環状ポリオレフィン系樹脂がシーラント層を構成する材料全体中に占める割合としては通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。当該成分の配合量が多すぎると、シール性は向上するものの滅菌時に十分な耐熱性が保持できず、容器が変形して本発明の目的が達成し得ない場合がある。
本発明において環状ポリオレフィン系樹脂とは、環状オレフィンモノマーを含むモノマー組成物を重合して得られた重合体、或いはその誘導体を意味する。ここで「誘導体」とは、環状オレフィンモノマーを含むモノマー組成物を重合して得られる樹脂の水素添加体などを意味する。
環状オレフィンモノマーとしては、例えばノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シクロオレフィン;トリシクロペンタジエンなどの五環シクロオレフィン;ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シクロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール置換体などのノルボルネン環を含む化合物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。2種以上使用する場合には、熱可塑性樹脂となる1つの二重結合を有するモノマーと、熱硬化性樹脂となる複数の二重結合を有するモノマーを適宜組み合わせると種々の物性を有する樹脂を入手することができ、また、単一モノマーを使用する場合と比較して、凝固点降下により、モノマーを液状として取扱える範囲が拡がる場合があるため好適である。
中でも、本発明において好適に用いられる環状オレフィンモノマーとしては、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンといったノルボルネン系モノマー(ここで、「ノルボルネン系」とは、分子骨格中にノルボルネン骨格が含まれることを意味する。)が挙げられる。
なお、内容物中の微量成分等との相互作用をなるべく低減し、不透水性をより高める観点から、上記環状オレフィンモノマーとしては極性基をなるべく含まないもののみを用いることが好適であるが、内容物に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で一部極性基を有するモノマーを併用することも可能である。このようなモノマーとしては、例えば、上述したノルボルネン系モノマーに塩素や臭素などのハロゲン基やエステル基を導入した置換体を挙げることができる。但し、このような極性基を有するモノマーの、環状オレフィンモノマー総量中に占める割合としては通常30%以下である。
また、上記モノマー組成物中には、本発明の目的を損なわない範囲で、上記環状オレフィンモノマーと共に他のモノマーを併用することも可能である。
このような他のモノマーとしては、炭素数2以上のα−オレフィン等が挙げられ、より具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセン等が挙げられる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらのうち、エチレンまたはプロピレンが好ましく、さらにエチレンが特に好ましい。
環状オレフィンモノマーと他のモノマーとを併用する場合の配合比としては、特に限定されるものではないが、(環状オレフィンモノマー)/(他のモノマー)(質量比)として通常98/2〜30/70、好ましくは95/5〜40/60である。環状オレフィンモノマーの配合量が多すぎると、十分なシール性が得られない場合があり、一方、少なすぎると、内容成分の非吸着性が損なわれる場合がある。
なお、複数種のモノマーを併用する場合の重合方法や重合機構としては、公知の方法を用いることができ、モノマー時に配合して共重合を行っても良いし、ある程度重合した後に配合してブロック共重合しても良い。また、開環重合であっても、付加重合であっても良い。
本発明における環状ポリオレフィン系樹脂としては、上記ノルボルネン系モノマーの1種又は2種以上を重合して得られるポリノルボルネン系樹脂の、1種又は2種以上の組合せであること、又は、上記ノルボルネン系モノマーの1種又は2種以上を重合して得られるポリノルボルネン系樹脂の水素添加体の、1種又は2種以上の組合せであることが、良好なヒートシール性を有し、ビタミン剤、微量元素等を収容する医療用容器などの医療用途に使用可能な複室容器を実現する観点から好適である。
上記環状ポリオレフィン系樹脂の具体的な構造としては、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表される構造式を示すことができる。
Figure 0004905643

(式中、R6,R7,R8,R9は互いに同一又は異種の炭素数1〜20の有機基を示し、また、R6とR7、及び/又はR8とR9は互いに環を形成していてもよい。m,pは0または1以上の整数を示す。l,nは1以上の整数を示す。)
上記炭素数1〜20の有機基として、より具体的には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、i−ペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、t−オクチル(1,1−ジメチル−3,3−ジメチルブチル)、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル等のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等のシクロアルキル基;1−メチルシクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル等のアルキルシクロアルキル基;アリル、プロペニル、ブテニル、2−ブテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、フェノキシフェニル基、クロロフェニル基、スルホフェニル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等のアラルキル基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を併用しても良い。
このような環状ポリオレフィンのガラス転移温度は、上記一般式(1),(2)中のl、m、n、pの値、あるいは置換基を適宜選択することにより適宜調整することが可能である。上記一般式(1),(2)以外の環状ポリオレフィンのガラス転移温度についても、用いるモノマー種、モノマー種の配合割合、モノマー配列、置換基の種類などを適宜設定することにより、任意に調整することができる。
上記一般式(1)で示される環状ポリオレフィンとしては市販品を用いることができ、例えば日本ゼオン株式会社製のゼオネックス、ゼオノアを好適に用いることができる。
上記一般式(2)で示される環状ポリオレフィンとしては市販品を用いることができ、例えば三井化学株式会社製のアペル、TICONA社製のTOPASを好適に用いることができる。
なお、本発明における上記シーラント層には、更にビタミンE(トコフェロール)を50〜1000ppm(質量比)の範囲で添加するとより好適である。シーラント層へのビタミンEの添加により、特に内容品が脂溶性ビタミン類を含有するものである場合に、脂溶性ビタミン類の経時的変性を防止し得る。
これまで、脂溶性ビタミン類を含有する複室容器が提案されてはいたが、例えば、脂肪と一緒に混合して含有する等の不便さがあった。また、少ない量でビタミン類を収容する場合は、ビタミン類の単位量に対して接触するシーラント層の面積が大きくなるため、その含有量が経時的に大きく低下する。本発明は、ビタミン類の中でも特にポリエチレンやポリプロピレンに取り込まれやすく、ポリエチレンやポリプロピレン製の容器に収納した場合にはその含有量が経時的に大きく低下してしまう脂溶性ビタミン類、特にビタミンDを少ない量で収容する場合であっても、ビタミンD含量の低下を可及的に抑制し得る容器を提供するものである。その上、シーラント層に上記特定の添加物を配合することにより、ビタミンDの安定性を向上させることができる。本発明の複室容器は、内容成分の安定性を保つ意味において、その医療上の価値は多大なものである。
なお、ビタミンEの添加量としてはシーラント層中に通常50〜1000ppm(質量比)、好ましくは100〜800ppm(質量比)である。添加量が50ppm未満の場合にはビタミンDの変性を抑止する効果が十分に現れない場合があり、一方1000ppmを超えると、かえって内容品中へのビタミンEの溶出が問題となる場合がある。
本発明において積層シートを形成する方法、即ちラミネート方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、前記一の積層シート及び他の積層シートの双方が、積層シートを構成する各構成層を接着剤及びアンカー剤を用いることなく積層して形成された積層シートであることが、容器側から内容物側へ低分子量成分等が溶出するおそれ(内容物を汚染するおそれ)を可及的に低減する観点から好適である。接着剤及びアンカー剤を用いることなく積層する方法としては、例えば共押出成膜法や、溶融型接着性樹脂を用いた溶融ラミネーション法(二枚のフィルム間に溶融した接着性樹脂を押出ラミネートする、いわゆるサンドイッチラミネーション法)、あるいは、基材層またはシーラント層のいずれか一方を押し出しラミネートする方法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜4,比較例1,2〕
表1に示す構成材料にて表面層、必要に応じて中間層、及びシーラント層を有する積層シートを多層共押出し法により作成した。これらの積層シートを用いて高周波シール方式を用いて図1に示す形態の複室容器を作成した。作成した複室容器はシーラント層と同一材質にて形成されたポート部を備え、外寸で幅80mm、高さ165mm、ポート近傍の広幅なシール部を除いてシール幅が3〜5mmのものである。容器外周シール部及び弱シール部のシール条件としては、表1に示すシール条件を採用した。
得られた複室容器につき、外周シール部及び弱シール部のシール後の外観、ヒートシール強度を測定すると共に、作成した複室容器1において、図1に示す室6aにビタミンDを2.2ml、室6bおよび室6cに水をそれぞれ2.2mlずつ、合計液体量6.6mlを充填密封後、表1に示す所定の滅菌条件にて滅菌処理を行い、滅菌処理後に所定の圧力を印加した場合に液漏れが生ずるか否かについて評価し、続いて容器の一部を外部からより強い圧力で押圧し、弱シール部の開通性を評価し、その結果を表1に示す。更に、滅菌処理後の内容物につき、減量率及び第14改正日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法(プラスチック製水性注射剤容器1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器)に準拠し、基準を満たすか否かについても評価した。結果を表1に示す。なお、弱シール部の排出性の評価は、薬液を混合した後、薬液の排出補助具として、丸筒形状の排出補助具をポート部に被せ、弱シール部より縦に二つ折りして、さらに排出補助具を覆うように、弱シール部より横に二つ折りして、握って薬液の排出操作を行ったところ、内容物がほとんど残存することなく円滑に排出することができた。
Figure 0004905643
表面層構成材料
a:下記(A)単独
b:下記(A):(B)=90:10
c:下記(A):(B)=70:30
d:高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製ノバテック)
(A)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体である三菱化学(株)製重合型ポリプロピレン系TPO。
(B)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下である三菱化学(株)製プロピレン系共重合体。
中間層構成材料
e:接着性樹脂(三菱化学(株)製モディック)
シーラント層構成材料
I:ガラス転移温度(以下Tgとする)が136℃の環状ポリオレフィン層(日本ゼオン(株)製:ゼオノア1420R)
II:Tgが105℃の環状ポリオレフィン(日本ゼオン(株)製:ゼオノア1020R)を20質量%、Tgが136℃の環状ポリオレフィン(日本ゼオン(株)製:ゼオノア1410R)を80質量%の比率で混合した環状ポリオレフィン混合層
III:Tgが75℃の環状ポリオレフィン(日本ゼオン(株)製:ゼオノア750R)を20質量%、Tgが136℃の環状ポリオレフィン(日本ゼオン(株)製:ゼオノア1420R)を80%の比率で混合した混合層
IV:Tgが60℃の環状ポリオレフィン層(三井化学(株)製:アペル製APL8008T)
V:直鎖状低密度ポリエチレン層(日本ポリエチレン(株)製:ハーモレックス)
シール後外観
○:良好
×:変形が著しい、及び/又はシール部エッジより破断
シール部強度
JIS Z 0238に準拠したMD方向サンプルのヒートシール強度(180°剥離強度)。
開通性
○:開通した。
×:開通しない、及び/又は先に外周部が破壊
日本薬局方試験
第14改正日本薬局方プラスチック製医薬品容器試験法(プラスチック製水性注射剤容器 1.ポリエチレン製又はポリプロピレン製水性注射剤容器)に準拠した方法で試験を行なった。
本発明により、ビタミン類を長期間安定に収納し得る複室に区画された複室容器で、使用時には、その弱シール部を連通することによって、当該複数の薬剤をクローズドの状態で混合するのに適した、複室容器が提供される。特に、薬剤が少容量であっても容易に排出することができ、ビタミン類のなかでもビタミンDの含有量を低下することない複室容器、特にIVH用の複室容器が提供され、その医療上の価値は多大なものである。
本発明の複室容器の一例を示す平面図である。 図1に示す複室容器のX−X断面図である。 図1に示す複室容器のY−Y断面図である。
符号の説明
1 複室容器
2 積層シート
21 シーラント層
22 中間層
23 表面層
3 ポート部
31 溶着基部
4,5 強シール部
6a,6b,6c 室
7a,7b 弱シール部

Claims (7)

  1. ポート部が溶着され、内容液が合計で30ml以下である微量の溶液を収納する複室容器であって、
    シーラント層を少なくとも一面に備えた一の積層シートのシーラント層面に、シーラント層を少なくとも一面に備えた他の積層シートのシーラント層面が対向するように両積層シートが重畳され、重畳された前記両積層シートの周縁部、及び前記両積層シートとポート部の溶着基部とがシールされて形成される空間が、剥離可能な弱シール部により3室に仕切られ
    前記一の積層シート及び他の積層シートの双方のシーラント層が、それぞれガラス転移点100℃以上の環状ポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含み、
    前記一の積層シート及び/又は他の積層シートの、JIS−K7161に準拠して測定した引っ張り弾性率が500MPa以下であると共に、
    ポート部を有する室と互いに隣接するポート部を有しない他の2室とが前記弱シール部により隔離され、ポート部を有しない2室が強シール部により仕切られて形成された室の少なくとも一つに、ビタミン類を含有する内容品が収納されることを特徴とする複室容器。
  2. 前記一の積層シート及び/又は他の積層シートが、シーラント層を一面に備え、基材層を他面に備えた積層シートであると共に、前記環状ポリオレフィン系樹脂のガラス転移温度が100〜170℃であり、かつ前記基材層が融点110〜220℃であって、環状ポリオレフィン系樹脂以外のポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含む請求項1記載の複室容器。
  3. 前記基材層に含まれる前記ポリオレフィン系樹脂が、以下の(A)成分を含むプロピレン系共重合体組成物である請求項記載の複室容器。
    (A)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上50質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して5質量%以上15質量%未満であるプロピレン系共重合体。
  4. 前記プロピレン系共重合体組成物が、さらに以下の(B)成分を含む請求項記載の複室容器。
    (B)成分:プロピレンと、エチレン及び/又は炭素数4〜8のα−オレフィンとからなるプロピレン系共重合体成分であって、温度上昇溶離分別法(温度:0〜140℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン)を用いた場合に、0℃での溶出分の割合が全溶出量に対して0質量%以上25質量%以下、60℃以上90℃以下での溶出分の割合が全溶出量に対して15質量%以上70質量%以下であるプロピレン系共重合体。
  5. 前記環状ポリオレフィン系樹脂が、ノルボルネン系モノマーを重合して得られるポリノルボルネン系樹脂の1種または2種以上の組合せである請求項1乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
  6. 前記一の積層シート及び他の積層シートの双方が、積層シートを構成する各構成層を接着剤及びアンカー剤を用いることなく積層して形成された積層シートである請求項1乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
  7. 前記一の積層シートのシーラント層及び/又は他の積層シートのシーラント層が、ビタミンEを50〜1000ppm(質量)の範囲で含有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の複室容器。
JP2005351494A 2005-12-06 2005-12-06 複室容器 Active JP4905643B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005351494A JP4905643B2 (ja) 2005-12-06 2005-12-06 複室容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005351494A JP4905643B2 (ja) 2005-12-06 2005-12-06 複室容器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007151844A JP2007151844A (ja) 2007-06-21
JP4905643B2 true JP4905643B2 (ja) 2012-03-28

Family

ID=38236935

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005351494A Active JP4905643B2 (ja) 2005-12-06 2005-12-06 複室容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4905643B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090114677A1 (en) * 2007-11-05 2009-05-07 Geoffrey Catherwood Stuart Dual Receptacle Symmetrical Package for Liquids
EP2231099B1 (en) * 2007-12-27 2013-04-24 Baxter International Inc. Multi-chambered container
JP5577680B2 (ja) * 2009-11-25 2014-08-27 キョーラク株式会社 薬液バッグ
JP5688694B2 (ja) * 2009-12-28 2015-03-25 株式会社コーセー ラミネート包装型製品
JP5411008B2 (ja) * 2010-01-22 2014-02-12 シーアイ化成株式会社 積層フィルム、および当該積層フィルムを用いて作製される包装容器
JP5741935B2 (ja) * 2011-04-06 2015-07-01 Dic株式会社 多層フィルム及び該フィルムからなる包装材
JP6326797B2 (ja) * 2013-12-09 2018-05-23 大日本印刷株式会社 低吸着性スタンディングパウチ
JP6685644B2 (ja) * 2014-12-25 2020-04-22 エイワイファーマ株式会社 輸液容器及びその製造方法
JP2017016151A (ja) * 2016-09-28 2017-01-19 Dic株式会社 易引裂き性ラベル
DE102017112440A1 (de) * 2017-06-06 2018-12-06 Shin-Etsu Silicones Europe B.V. Gebinde und Dosiervorrichtung für viskose Materialien
EP3572227A1 (en) * 2018-05-23 2019-11-27 Amcor Flexibles Kreuzlingen AG Multilayer film with cyclic olefin seal layer
JP7367179B2 (ja) 2019-09-19 2023-10-23 テルモ株式会社 袋状容器及びその製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4263781B2 (ja) * 1998-06-17 2009-05-13 テルモ株式会社 輸液用容器
JP2003062038A (ja) * 2001-08-23 2003-03-04 Otsuka Pharmaceut Factory Inc 薬液収容小袋付き薬液容器
KR101009600B1 (ko) * 2003-03-12 2011-01-20 후지모리 고교 가부시키가이샤 복실용기
JP4239198B2 (ja) * 2003-08-25 2009-03-18 株式会社フコク 少容量混注用容器およびこれを用いたマルチバッグ
JP4420195B2 (ja) * 2003-12-11 2010-02-24 藤森工業株式会社 ヒートシール構造及び複室容器
JP2005178244A (ja) * 2003-12-22 2005-07-07 Meiwa Pax Co Ltd 医療容器用積層フィルム並びにこの積層フィルムを用いた医療用容器及びその製造方法
JP4596124B2 (ja) * 2004-03-09 2010-12-08 藤森工業株式会社 医療用容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007151844A (ja) 2007-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4905643B2 (ja) 複室容器
JP4596124B2 (ja) 医療用容器
JP4412463B2 (ja) 複室容器
JP4987298B2 (ja) 複室容器
EP1894851B1 (en) Duplex-chamber package
KR101493833B1 (ko) 환상 폴리올레핀층을 포함하는 플라스틱 용기
KR100257632B1 (ko) 수지적층체
CN101478945B (zh) 液体收纳容器
JP2004106514A (ja) 多層フィルムおよびそれを用いた複室容器
KR20100040315A (ko) 약제 용기 및 다층 필름
JP4460372B2 (ja) 複室輸液バッグ
JP5587597B2 (ja) 包装体
JP2014057723A (ja) ポート付容器及びその製造方法
JP4420195B2 (ja) ヒートシール構造及び複室容器
JP2010064438A (ja) 多層フィルム及び多層フィルムを用いた薬剤容器
JP4488166B2 (ja) 複室包装体及び医療用複室容器
JP2012143629A (ja) 医療用複室容器
JP5053898B2 (ja) 医療用複室容器
CN108236592B (zh) 液体粉体用多室容器
JP2006117279A (ja) 小袋付き樹脂製複室袋

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110511

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111214

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111227

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150120

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4905643

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250