JP4905381B2 - 被処理体の熱処理装置及び熱処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエハ等の被処理体に熱処理を施すための熱処理装置及び熱処理方法に関する。
一般に、IC等の半導体集積回路を形成するためには、シリコン基板等よりなる半導体ウエハに対して、成膜処理、エッチング処理、酸化拡散処理、アニール処理等の各種の処理を繰り返し行っている。この場合、成膜処理に代表される熱処理を半導体に対して施すには、ウエハに対する温度管理が重要な要素の1つとなっている。すなわち、ウエハ表面に形成される薄膜の成膜速度や、この膜厚の面間及び面内均一性を高く維持するためには高い精度でウエハの温度を管理することが求められる。
例えば熱処理装置として一度に複数枚のウエハに対して処理を施すことができる縦型の熱処理装置を例にとって説明すると、縦型の処理容器内へ多段に支持された半導体ウエハをロード(搬入)し、この処理容器の外周に設けた加熱手段によってウエハを加熱して昇温し、温度を安定化して成膜ガスを流し、成膜を施すようになっている。この場合、熱処理容器内や処理容器の外側に熱電対が設けてあり、この熱電対から得られた温度に基づいて上記加熱手段の電力を制御することにより、ウエハを所定の温度に維持するようになっている(例えば特許文献1、2)。
また、処理容器自体が十分に長くて例えば50〜150枚程度のウエハを収容できることから、処理容器内の温度制御を行うに際しては、きめ細かな精度の高い温度制御を行うために処理容器内を上下方向に複数の加熱ゾーンに分割し、この加熱ゾーン毎に個別に温度制御を行うようにしている。この場合、成膜処理時における半導体ウエハ自体の適切な温度は、実験用のダミーウエハ自体に熱電対を設け、この熱電対によるダミーウエハの実際の温度と上記処理容器の内外に設けた熱電対との相関関係を予め実験的に調べておき、製品ウエハに対する熱処理時には上記相関関係を参照しつつ温度制御を行うようになっている。
特開平10−25577号公報 特開2000−77346号公報
ところで、上述したような熱処理装置における温度制御方法にあっては、温度測定対象物であるウエハと熱電対とは直接的に接触していないので、製品ウエハの実際の温度と熱電対による測定値との相関関係は常時一定ではなく、特に成膜処理が繰り返し行われて処理容器の内壁面等に不要な付着物が付着したり、或いはガス流量やプロセス圧力等を変更したり、更には電圧変動等が生じたりすると、上述した相関関係からのズレが大きくなり過ぎてしまってウエハ温度を適正に制御できなくなる恐れが生ずる、といった問題があった。
また、ウエハの昇降温度時にもウエハの温度制御を行いたい要求もあるが、このような場合に、上記した熱電対では、実際のウエハ温度と熱電対による測定値との差が一層大きくなり、上記した要求に応えることが困難になる、といった問題があった。
上記した問題点を解決するためにウエハ自体に熱電対を設けることも考えられるが、有線であることからウエハの回転、移載に追従できず、また熱電対に起因する金属汚染等の問題もあるため、採用することはできない。
また、枚葉式の処理装置に関して、特開2004−140167号公報等に開示されているように、水晶振動子を用いて温度に応じた電磁波を受信してウエハ温度を求めることも考えられるが、水晶の耐熱性はせいぜい300℃程度であり、その温度以上の熱処理装置では用いることができない。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、例えばランガサイト基板素子やランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム等よりなる弾性波素子を用いることによってこの弾性波素子から発信した電波に基づいて温度を求めるようにし、これにより、金属汚染等を生ずることなくワイヤレスで且つリアルタイムで被処理体の温度を精度良く正確に検出できるので、精度の高い温度制御を行うことが可能な被処理体の熱処理装置及び熱処理方法を提供することにある。
本発明者等は、半導体ウエハの温度測定について鋭意研究した結果、ランガサイトやランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム等を用いた弾性波素子は、電気的刺激により発生した弾性波の音波に基づいて発信が生じて電波が発生し、これを受信することにより、ウエハ温度をワイヤレスで直接的に測定することができる、という知見を得ることにより本発明に至ったものである。
請求項1に係る発明は、複数の被処理体を収容することができる排気可能になされた処理容器と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、弾性波素子を有すると共に前記弾性波素子の周波数帯域が互いに異なるように設定された複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器に設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、前記処理容器に設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置である。
このように、処理容器に送信用アンテナと受信用アンテナを設けて、例えばランガサイト基板素子やランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム等よりなる弾性波素子を用いることによってこの弾性波素子から発信した電波を受信してこれに基づいて温度を求めるようにし、これにより、金属汚染等を生ずることなくワイヤレスで且つリアルタイムで被処理体の温度を精度良く正確に検出できるので、精度の高い温度制御を行うことができる。
また被処理体を昇降温する場合にも、この温度を直接的に測定することができるので、例えば昇温速度や降温速度を正確に制御でき、もって昇降温制御を適正に行うことができる。更には、処理容器の内壁面に膜が付着しても、正確な被処理体の温度を求めることができる。
この場合、例えば請求項2に記載したように、前記送信用アンテナと受信用アンテナは、前記被処理体の周囲を囲むようにループ状に形成されている。
また例えば請求項3に記載したように、前記処理容器内は温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されており、前記温測用被処理体は前記加熱ゾーン毎に対応して保持されると共に、前記送信用アンテナと受信用アンテナは前記加熱ゾーン毎に設けられる。
また例えば請求項4に記載したように、前記温測用被処理体の弾性波素子の周波数帯域は前記加熱ゾーン毎に互いに異なるように設定されている。
請求項5に係る発明は、複数の被処理体を収容することができる排気可能になされると共に内部が温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されている処理容器と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、前記加熱ゾーン毎に互いに異なるような周波数帯域に設定された弾性波素子を有すると共に前記加熱ゾーン毎に対応して位置される複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、前記被処理体の周囲を囲むようにループ状に形成されていると共に前記加熱ゾーン毎に設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、前記被処理体の周囲を囲むようにループ状に形成されていると共に前記加熱ゾーン毎に設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置である。
この場合、例えば請求項6に記載したように、少なくとも前記弾性波素子は、前記温測用被処理体の中心部と周辺部とに設けられる。
請求項7に係る発明は、複数の被処理体を収容することができる排気可能になされると共に内部が温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されている処理容器と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、前記加熱ゾーン毎に互いに異なるような周波数帯域に設定された弾性波素子を有すると共に前記加熱ゾーン毎に対応して位置される複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置である。
請求項8に係る発明は、複数の被処理体を収容することができる排気可能になされた処理容器と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、弾性波素子を有すると共に前記弾性波素子の周波数帯域が互いに異なるように設定された複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置である。
また例えば請求項9に記載したように、前記ロッド状の送信用アンテナと受信用アンテナは前記被処理体の周方向に沿って所定の間隔を隔てて複数本設けられる。
また例えば請求項10に記載したように、前記弾性波素子は、少なくとも前記温測用被処理体の中心部と周辺部とに設けられる。
また例えば請求項11に記載したように、前記送信用アンテナと受信用アンテナは前記処理容器の内側に設けられる。
また例えば請求項12に記載したように、前記送信用アンテナと受信用アンテナは前記処理容器の外側に設けられる。
また例えば請求項13に記載したように、前記処理容器からアンロードされた前記保持手段が待機するローディングエリアには、前記送信用アンテナと受信用アンテナと同じ構造の送信用アンテナと受信用アンテナとがそれぞれ設けられる。
また例えば請求項14に記載したように、前記送信用アンテナと受信用アンテナはそれぞれ保護管内へ収容されている。
また例えば請求項15に記載したように、前記送信用アンテナからは、前記周波数帯域の異なる弾性波素子に対応した異なる周波数帯域の測定用電波を、所定の時間内毎に順次掃引して送信するように構成する。
また例えば請求項16に記載したように、前記送信用アンテナからは、前記周波数帯域の異なる弾性波素子に対応した異なる周波数帯域の測定用電波を、同時に送信するように構成する。
また例えば請求項17に記載したように、前記送信用アンテナと受信用アンテナは、送受信用アンテナとして一体化されている。
また例えば請求項18に記載したように、前記処理容器内及び/又は前記加熱手段には温度測定用の熱電対がそれぞれ設けられており、前記温度制御部は、前記熱電対からの測定値も参照して前記加熱手段の制御を行う。
また例えば請求項19に記載したように、前記処理容器には、前記被処理体の熱処理を補助するために高周波電力によってプラズマを発生させるプラズマ発生手段が設けられており、前記測定用電波の周波数帯域は、前記高周波電力の周波数とは異なるように設定されている。
また例えば請求項20に記載したように、前記弾性波素子は表面弾性波素子よりなる。
また例えば請求項21に記載したように、前記弾性波素子はバルク弾性波素子よりなる。
また例えば請求項22に記載したように、前記弾性波素子は、ランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム(LTGA)、水晶(SiO )、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム:KNaC )、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O 、ニオブ酸リチウム(LiNbO )、タンタル酸リチウム(LiTaO )、リチウムテトラボレート(Li )、ランガサイト(La Ga SiO14)、窒化アルミニウム、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選択される1の材料の基板素子である。
請求項23に係る発明は、弾性波素子を有する温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持する保持手段を、内部が温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されている処理容器内へ導入して前記被処理体を加熱手段で加熱することにより熱処理を施すに際して、前記温測用被処理体の弾性波素子の周波数帯域を前記加熱ゾーン毎に互いに異なるように設定すると共に前記温測用被処理体を前記加熱ゾーン毎に対応させて保持するようにし、で加熱することにより熱処理を施前記処理容器に設けた送信用アンテナから測定用電波を送信する送信工程と、前記測定用電波を受けた前記温測用被処理体の弾性波素子が発する電波を前記処理容器に設けた受信用アンテナで受ける受信工程と、前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析工程と、前記求めた温度に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御工程と、を行なうようにしたことを特徴とする被処理体の熱処理方法である。
この場合、例えば請求項24に記載したように、前記処理容器内及び/又は前記加熱手段には温度測定用の熱電対がそれぞれ設けられており、前記温度制御工程では、前記熱電対からの測定値も参照して前記加熱手段の制御を行う。
また例えば請求項25に記載したように、前記温側用被処理体の予備が熱処理装置内に保管されており、必要に応じて、或いは定期的に自動的に交換される。
また例えば請求項26に記載したように、前記熱処理は高周波電力によって発生されたプラズマにより補助されており、前記測定用電波は前記高周波電力の周波数とは異なるように設定されている。
また例えば請求項27に記載したように、前記弾性波素子は、表面弾性波素子又はバルク弾性波素子よりなる。
本発明に係る被処理体の熱処理装置及び熱処理方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
処理容器に送信用アンテナと受信用アンテナを設けて、例えばランガサイト基板素子やランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム等よりなる弾性波素子を用いることによってこの弾性波素子から発信した電波を受信してこれに基づいて温度を求めるようにし、これにより、金属汚染等を生ずることなくワイヤレスで且つリアルタイムで被処理体の温度を精度良く正確に検出できるので、精度の高い温度制御を行うことができる。
また被処理体を昇降温する場合にも、この温度を直接的に測定することができるので、例えば昇温速度や降温速度を正確に制御でき、もって昇降温制御を適正に行うことができる。更には、処理容器の内壁面に膜が付着しても、正確な被処理体の温度を求めることができる。
以下に、本発明に係る被処理体の熱処理装置及び熱処理方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る熱処理装置を示す断面構成図、図2は処理容器とループ状の送受信アンテナとの位置関係を示す平面図、図3は弾性波素子を設けた温測用被処理体を示す図、図4は熱処理装置の温度制御系を示す系統図、図5は本発明の熱処理方法の一例を示すフローチャート、図6は弾性波素子の動作原理を説明するための動作原理図である。ここでは送信用アンテナと受信用アンテナとを一体化して兼用した送受信アンテナを用いた場合を例にとって説明する。
また、ここでは縦型の熱処理装置を例にとって説明する。図示するようにこの熱処理装置2は、筒体状の石英製の内筒4とその外側に同心円状に配置した有天井の筒体状の石英製の外筒6とよりなる2重管構造の処理容器8を有している。この処理容器8の外周は、加熱ヒータ等よりなる加熱手段10と断熱材12を備えた加熱炉14により覆われている。上記加熱手段10は断熱材12の内側面に全面に亘って設けられている。
上記処理容器8の加熱領域は高さ方向において温度制御用に複数、ここでは5つの加熱ゾーン16a、16b、16c、16d、16eに区画されており、この各加熱ゾーン16a〜16eに対応させて、或いは対応させないで上記各加熱手段10は5つの加熱ヒータ10a、10b、10c、10d、10eに分割されて、それぞれ個別に制御可能になされている。尚、この加熱ゾーン数は特に限定されない。また、この各加熱ヒータ10a〜10eには、この温度を測定するためにヒータ用熱電対17a〜17eがそれぞれ設けられている。
上記処理容器8の下端は、例えばステンレススチール製の筒体状のマニホールド18によって支持されており、上記内筒4の下端部は、上記マニホールド18の内壁に取り付けた支持リング20上に支持されている。尚、このマニホールド18を石英等により形成し、これを上記処理容器8側と一体成型するようにしてもよい。また、このマニホールド18の下方からは複数枚の被処理体としての半導体ウエハWを載置した保持手段としての石英製のウエハボート22が昇降可能に挿脱自在(ロード及びアンロード)になされている。例えば半導体ウエハWとしては直径が300mmのサイズが用いられるが、この寸法は特には限定されない。
このウエハボート22は、石英製の保温筒24を介して回転テーブル26上に載置されており、この回転テーブル26は、マニホールド18の下端開口部を開閉する蓋部28を貫通する回転軸30上に支持される。そして、この回転軸30の貫通部には、例えば磁性流体シール32が介設され、この回転軸30を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部28の周辺部とマニホールド18の下端部には、例えばOリング等よりなるシール部材34が介設されており、容器内のシール性を保持している。
上記した回転軸30は、例えばボートエレベータ等の昇降機構36に支持されたアーム38の先端に取り付けられており、ウエハボート22及び蓋部28等を一体的に昇降できるようになされている。
上記マニホールド18の側部には、ガス導入手段40が設けられる。具体的には、このガス導入手段40は、上記マニホールド18を貫通させたガスノズル42を有しており、必要なガスを流量制御しつつ供給できるようになっている。ここではガスノズル42は代表として1本しか記載していないが、実際には、使用ガス種に応じて複数本設けられる。また、ガスノズル42の種類として、処理容器8内の上方に延びて複数のガス噴射孔を設けた、いわゆる分散ノズルを用いるようにしてもよい。また、このマニホールド18の側壁には、内筒4と外筒6との間から処理容器8内の雰囲気を排出する排気口44が設けられており、この排気口44には、図示しない例えば真空ポンプや圧力調整弁等を介設した真空排気系(図示せず)が接続されている。
また、内筒4とウエハボート22との間には、上記各加熱ヒータ10a〜10eに対応させて5つの内部熱電対46a〜46eが設けられており、各内部熱電対46a〜46eは、1つの石英製の保護管48内に収容された状態になっている。そして、この保護管48の下端は、屈曲されて上記マニホールド18を気密に貫通して支持されている。上記各熱電対17a〜17d、46a〜46eの検出値は、例えばマイクロコンピュータ等よりなる温度制御部50へ入力されており、後述するようにプロセス時にはこの検出値に基づいて各加熱ヒータ10a〜10eへの供給電力を個別的に制御する際に補助的に用いるようになっている。
そして、この処理容器8には本発明の特徴とする送受信用アンテナ52が設けられる。尚、前述したように、この送受信用アンテナ52を送信用アンテナと受信用アンテナとに分離して設けるようにしてもよい。
具体的には、ここでは上記送受信用アンテナ52は、図2にも示すように、上記処理容器8の外側に、この周囲を囲むようにしてループ状に形成して設けられると共に、後述する温側用ウエハ58a〜58eに対応させて5つの送受信用アンテナ52a、52b、52c、52d、52eが設置されている。すなわち、各送受信用アンテナ52a〜52eは、ウエハWの周囲を囲むようにして設けられることになる。各送受信用アンテナ52a〜52eは、図2の一部を拡大した断面図に示すように、保護管54内に導線よりなるアンテナ線56を挿通して形成されている。この保護管54は、例えば電波に対して透過性があり、且つ耐熱性及び耐腐食性のある材料、例えば石英やアルミナ等のセラミック材等よりなる。またアンテナ線56としては、白金等を用いることができる。
ここで、本発明においては、上記ウエハボート22には製品ウエハとなる半導体ウエハWの外にダミーウエハや本発明の特徴となる弾性波素子を有する温測用被処理体として温側用ウエハが保持されている。ここで弾性波素子としては、表面弾性波素子とバルク弾性波素子のどちらの弾性波素子も用いることができる。具体的には、ここでは各加熱ヒータ10a〜10eに対応させて5つの温測用ウエハ58a、58b、58c、58d、58eが保持されている。上記各温測用ウエハ58a〜58eは、上記各加熱ヒータ10a〜10eを制御できる最適な位置に保持されており、上記各対応する送受信用アンテナ52a〜52eにそれぞれ接近させて微弱な電波でも容易に届くように設定されている。
そして、上記各温測用ウエハ58a〜58e上には、それぞれ弾性波素子60a、60b、60c、60d、60e(図3参照)が設けられており、上記送受信用アンテナ52a〜52eから各弾性波素子60a〜60eに対して電波を発すると共に、各弾性波素子60a〜60eから発生した電波を受信できるようになっている。この場合、図3(A)は温測用ウエハの側面図を示し、図3(B)はその斜視を示しているが、図3(C)に示すように、弾性波素子60a〜60eを、温測用ウエハ58a〜58e内に埋め込むようにしてもよい。
この埋め込みの方法は特に問わず、2枚の非常に薄いウエハ部材間に上記弾性波素子60a〜60eを挟み込むようにして埋め込んでもよいし、温測用ウエハの表面から埋め込み穴を形成し、この中に弾性波素子を収容して埋め込むようにしてもよい。尚、上記弾性波素子60a〜60eとして、例えば表面弾性波素子としてはランガサイト(La Ga SiO14)を用いたランガサイト基板素子が用いられ、バルク弾性波素子としてはランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム(以下「LTGA」とも称す)が用いられる。
この場合、上記弾性波素子60a〜60eの周波数帯域は、互いの混信を防ぐ上から各加熱ゾーン毎に異なるように設定するのが好ましい。
ここで上記各送受信用アンテナ52a〜52e等を用いた温度制御系について図4も参照して説明する。図4に示すように上記各送受信用アンテナ52a〜52eは、ライン62a〜62eを介して送受信器64に電気的に接続されており、測定用電波を送信すると共に、各対応する弾性波素子60a〜60eからの電波を個別に受信できるようになっている。尚、上記各ライン62a〜62eは、例えば石英製の保護管内へ挿通して保護するようにしてもよいし、また、各ライン62a〜62eをまとめて1本にするようにしてもよい。また、上記送受信用アンテナ52a〜52eが送信用と受信用とに分離されている場合には、送受信器64も送信器と、受信器とに分離される。
ここで各弾性波素子60a〜60eが互いに異なる周波数帯域に反応するように調整された場合には、上記送受信器64の送信器からは、それらに対応した異なる周波数帯域の測定用電波を送信することになる。この場合、これらの異なる周波数帯域の測定用電波を同時に送信するようにしてもよいし、又は所定の時間内、例えば1秒間以内に上記周波数帯域の異なる測定用電波を順次掃引して送信するようにしてもよい。
尚、処理装置として、ウエハに対する熱処理を補助するために高周波電力によってプラズマを発生させるプラズマ発生手段を処理容器8に設けるようにしてもよいが、この場合には、ノイズの発生を防止するために上記測定用電波の各周波数帯域を、上記高周波電力の周波数、例えば13.56MHzや400kHzとは異なるように設定する。
そして、上記送受信器64は温度分析部66に接続されており、上記送受信用アンテナ52a〜52eで受けた各電波に基づいて各温側用ウエハ58a〜58eの温度を、すなわち加熱ゾーン毎の温度をそれぞれ求めるようになっている。そして、この温度分析部66で求めた各加熱ゾーンの温度に基づいて、温度制御部50はヒータ駆動部68を介して各加熱ヒータ10a〜10eを個別に独立して制御するようになっている。
また、上記各熱電対17a〜17e、46a〜46eの温度測定値も上記温度制御部50へ入力されるようになっており、上記温度制御を補助するようになっている。尚、これらの内部熱電対46a〜46e及び/又はヒータ用熱電対17a〜17eを省略するようにしてもよい。
ここで図1に戻って、以上のように形成された熱処理装置2の全体の動作は、例えばコンピュータ等よりなる制御手段70により制御されるようになっており、上記制御手段70は上記温度制御部50を支配下におくと共に、この動作を行うコンピュータのプログラムはフレキシブルディスクやCD(Compact Disc)やハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体72に記憶されている。具体的には、この制御手段70からの指令により、各ガスの供給の開始、停止や流量制御、プロセス温度やプロセス圧力の制御等が行われる。
次に、以上のように構成された熱処理装置を用いて行う熱処理方法について図5も参照して説明する。図5は本発明の熱処理方法の一例を示すフローチャートである。
まず、実際の成膜等の熱処理プロセスを行うに先立って、上記各加熱ゾーンに対応する弾性波素子60a〜60eが発生する周波数の電波より検出される温度と、各加熱ヒータ10a〜10eへ供給する電力との相関関係を予め求めて装置の温度制御部50に記憶しておく。また、上記各熱電対17a〜17e、46a〜46eも用いる場合には、これらの温度検出値と上記弾性波素子60a〜60eの電波から得られる温度との相関関係も予め求めておく。
次に、半導体ウエハWに対して実際の成膜処理等の熱処理を行なう時には、まず、ウエハがアンロード状態で熱処理装置2が下方のローディングエリア内で待機状態の時には、処理容器8はプロセス温度、或いはそれよりも低い温度に維持されており、常温の多数枚のウエハWをウエハボート22に載置した状態で処理容器8内にその下方より上昇させてロードし、蓋部28でマニホールド18の下端開口部を閉じることにより容器内を密閉する。上記ウエハボート22には、製品ウエハWの外に、上記各加熱ゾーン16a〜16eに対応させた位置に温測用ウエハ58a〜58eが支持されている。
そして、処理容器8内を所定のプロセス圧に維持すると共に、各熱電対17a〜17e、46a〜46eからそれぞれ温度が検出され、また各弾性波素子60a〜60eからの電波によりウエハ温度が検出されて、図4に示す温度制御系の動作により各加熱ヒータ10a〜10eへの投入電力が増大してウエハ温度が上昇し、所定のプロセス温度に安定して維持される。その後、所定の成膜用の処理ガスをガス導入手段40のガスノズル42から処理容器8内に導入する。
処理ガスは、上述のようにガスノズル42から内筒4内の底部に導入された後にこの中を回転されているウエハWと接触しつつ成膜反応して上昇して、天井部から内筒4と外筒6との間の間隙を流下して、排気口44から容器外へ排出される。プロセス中における温度制御は、各弾性波素子60a〜60eより発せられる電波により各加熱ゾーン毎のウエハ温度が求められ、予め定められた目標温度になるように、例えばPID制御でもって各加熱ヒータ10a〜10eへの供給電力を制御することによって行なわれる。
ここで図6も参照して上記弾性波素子60a〜60eの動作原理について説明する。図6(A)は弾性波素子の内の表面弾性波素子の動作原理を示し、図6(B)は弾性波素子の内のバルク弾性波素子の動作原理を示す。図6(A)に示すように、この表面弾性波素子60Aは、例えば特開2000−114920号公報や特開2003−298383号公報や特開2004−140167号公報等に開示されているようなランガサイト基板素子よりなり、このランガサイト基板素子は四角形状の圧電機能を有するランガサイト基板76を有している。このランガサイト基板76の大きさは例えば10mm×15mm×0.5mm程度の大きさである。このランガサイト基板76の表面には一対の櫛歯状の電極78a、78bが形成されると共に、各電極78a、78bには、アンテナ80a、80bが設けられている。
そして、送受信器82より、ランガサイト基板76の固有振動数に相当する所定の高周波電波を送信信号として飛ばして、上記櫛歯状の電極78a、78bに高周波電圧が印加されると、ランガサイト基板76のピエゾ効果によって表面弾性波が励振され、この時、ランガサイト基板76の温度に応じて音速が変化するので、上記表面弾性波が上記音速に依存して共振し、これが今度は逆にアンテナ80a、80bから電波となって出力されることになる。
従って、上記出力された電波を送受信器82より受信してこの受信信号と先の送信信号との時間差Δtを分析することにより、上記ランガサイト基板76の温度を検出することができる。すなわち、ワイヤレスの温度検出素子として用いることができる。このような原理を、上記各弾性波素子60a〜60eに適用している。
また図6(B)に示すように、LTGAに代表されるバルク弾性波素子60Bの場合にも、コイル84に接続された一対の電極85a、85bにバルク弾性波素子60Bを挟み込んで形成する。
この場合にも、送受信器82よりバルク弾性波素子60Bの固有振動数に相当する所定の高周波電波を送信信号として飛ばして、バルク弾性波素子60B側から出力される信号を受信する。そして、この送信信号と受信信号との時間差Δtを分析することによりバルク弾性波素子60Bの温度を検出することができる。このような原理を、上記各弾性波素子60a〜60eに適用している。
ここで上記各電極78a、78bのピッチや単結晶からの切り出し角度や切り出し厚さ等を変えることにより、素子の周波数帯域を変化させることができる。
ここでは前述したように、上記各弾性波素子60a〜60eは互いに異なる周波数帯域にそれぞれ設定されており、素子60aはf1、例えば10MHzを中心とする周波数帯域に、素子60bはf2、例えば20MHzを中心とする周波数帯域に、素子60cはf3、例えば30MHzを中心とする周波数帯域に、素子60dはf4、例えば40MHzを中心とする周波数帯域に、素子60eはf5、例えば50MHzを中心とする周波数帯域に、それぞれ設定されており、互いに混信が生じないようにしている。
さて、実際の温度制御においては、まず、送受信器64から各加熱ゾーン16a〜16eに対応する各送受信用アンテナ52a〜52eに対して送信電力を供給して、各送受信用アンテナ52a〜52eからランガサイト基板(表面弾性波素子の場合)、或いはLTGA基板(バルク弾性波素子の場合)の固有振動数に相当する測定用電波を送信する(S1)。すると、上記測定用電波を受信した各温測用ウエハ58a〜58eの弾性波素子60a〜60eでは、その時の温測用ウエハ58a〜58eの温度に応じた共振が発生してこの共振信号を放射することになる(S2)。この時の電波の発生原理は、先に図6を参照して説明した通りである。
そして、この時発生した電波は、各加熱ゾーン毎に対応する送受信用アンテナ52a〜52eで受信されて送受信器64側へ伝搬されることになる(S3)。
そして、この受信された各加熱ゾーン毎の電波は温度分析部66にて分析されて、各温測用ウエハ58a〜58eの温度、すなわち各加熱ゾーン16a〜16eのウエハWの温度が直接的に求められることになる(S4)。
そして、温度制御部50は、上記求められた温度に基づいてヒータ駆動部68を介して上記加熱手段10の各加熱ヒータ10a〜10eを個別に独立して目標温度となるように制御する(S5)。これにより、ウエハ温度(温測用ウエハ温度)を直接的に測定して検出することができ、従って、精度の高い温度制御を行うことができる。
そして、上記した一連の制御動作は、予め定められたプロセス時間が経過するまで(S6のYES)、繰り返し行われることになる(S6のNO)。
このように、処理容器8に送受信用アンテナ52a〜52eを設けて、例えばランガサイト基板素子やLTGA基板素子等よりなる弾性波素子60a〜60eを用いることによってこの弾性波素子60a〜60eから発信した電波を受信してこれに基づいて温度を求めるようにし、これにより、金属汚染等を生ずることなくワイヤレスで且つリアルタイムで被処理体(半導体ウエハ)W、すなわち温測用ウエハ58a〜58eの温度を精度良く正確に検出できるので、精度の高い温度制御を行うことができる。
また被処理体Wを昇降温する場合にも、この温度を直接的に測定することができるので、例えば昇温速度や降温速度を正確に制御でき、もって昇降温制御を適正に行うことができる。更には、処理容器8の内壁面に膜が付着しても、正確な被処理体Wの温度を求めることができる。
尚、実際の温度制御では、より精度の高い制御を行うために、上記温度分析部66で求めた温度に加え、ヒータ用熱電対17a〜17e及び/又は内部熱電対46a〜46eでの各測定値もそれぞれ参照して温度制御を行うのが好ましい。
ここで、上記測定用電波及び弾性波素子60a〜60eからの電波が十分に強い場合には、上記送受信用アンテナは1つ或いは5つより少ない数だけ設ければよい。この場合、一般的には測定用電波はある程度強くできるが、弾性波素子60a〜60eからの電波は微弱なので、送受信用アンテナは、いずれか1つ或いは複数個設定し、受信用アンテナは上記送受信用アンテナを設けた加熱ゾーン以外の他の加熱ゾーンに対応させて設けるようにしてもよい。
更に、各弾性波素子60a〜60eからの電波が、対応する加熱ゾーンのアンテナまでは届くが、隣り合う加熱ゾーンに位置するアンテナまで届かないような微弱な電波の場合には、混信の恐れはないので各弾性波素子60a〜60eの周波数帯域は互いに変える必要はなく、全て同一の周波数帯域になるように設定してもよい。
また、熱電対17a〜17e及び/又は内部熱電対46a〜46eを設けておけば、ウエハがアンロードされて処理容器8内が空になったアイドリング時でも処理容器8の温度を適正な温度に予備加熱することができる。
尚、上記実施例では、送受信用アンテナ52a〜52eを処理容器8の外側に設けたが、これに限定されず、図7に示す本発明の熱処理装置の第1の変形例に示すように、処理容器8内に設けるようにしてもよい。ここでは、上記送受信用アンテナ52a〜52eを処理容器8の内筒4とウエハボート22との間に設定している。また図7では、図1中の構成と同じ構成部分には同一符号が付されている。
また、図1及び図7に示す実施例では、送受信用アンテナ52a〜52eとしては、ループ状のアンテナを用いたが、これに限定されず、ロッド状の送受信用アンテナ(ロッド状の送信用アンテナ及びロッド状の受信用アンテナを含む)を用いてもよい。図8はこのような本発明の熱処理装置の第2の変形例を示し、図9は図8に示す熱処理装置におけるロッド状の送受信用アンテナの配置例を示す平面図である。尚、図1中の構成と同一部分には同一符号を付してある。
ここでは処理容器8の外側にロッド状の送受信用アンテナ90を設けている。図示例では、複数本、例えば4本のロッド状の送受信用アンテナ90a、90b、90c、90dを、容器周方向に沿って等間隔で配置している。尚、このアンテナの数は1本でもよく、電波の強さに応じて増減すればよい。また、このロッド状の送受信用アンテナ90a〜90dを処理容器8内に設置してもよい。
このロッド状の送受信用アンテナ90a〜90dを用いた場合には、各送受信用アンテナ90a〜90dが全ての加熱ゾーン16a〜16eにおける弾性波素子60a〜60eからの電波をキャッチするので、混信を防ぐために上記各弾性波素子60a〜60eの周波数帯域を互いに異なるように設定しておく。この場合にも、図1に示す熱処理装置と同一の作用効果を発揮することができる。
また、上記各実施例では処理容器8側だけに送受信用アンテナ52a〜52d、90a〜90dを設けた場合について説明したが、これに限定されず、図10に示す本発明の熱処理装置の第3の変形例に示すように、処理容器8の下方に位置して、ウエハボート22が待機すると共にウエハの移載が行われるローディングエリア94にも、送受信用アンテナ90x、90yを設けるようにしてもよい。このローディングエリア94内では、上述のようにウエハの移載が行われ、また、ウエハボート22自体も水平方向へ移動する場合があるので、ループ状ではなくロッド状の送受信用アンテナ90x、90yを設け、更には、ウエハボート22の水平方向への移動経路に沿って設けるのがよい。
これによれば、プロセス後においてもウエハボート22に保持されているウエハ温度をリアルタイムで求めることができる。このため、例えばウエハ温度がハンドリング可能な温度まで低下したことを正確に認識することができるので、無駄な待ち時間なくウエハの移載を開始することができ、スループットを向上させることができる。また、上記各実施例では弾性波素子を測定用ウエハ58a〜58eの表面に設けたが、これに限定されず、ウエハ内に埋め込むようにしてもよい。
更に、以上の各実施例では、温測用ウエハ58a〜58eにそれぞれ1つの弾性波素子を設けた場合について説明したが、これに限定されず、1枚の温測用ウエハに複数の弾性波素子を設けるようにしてもよい。図11はこのような温測用ウエハの変形例を示す図である。図11(A)は第1の変形例を示す断面図、図11(B)は第2の変形例を示す平面図である。図11(A)に示す第1の変形例の場合は、ここでは温測用ウエハ58xを上下2つに分割し、その中心部と周辺部とに2つの弾性波素子60x、60yを埋め込み、分割したウエハを接合している。
これにより、上記2つの弾性波素子60x、60yは温測用ウエハ58x内に埋め込まれた状態となり、この弾性波素子60x、60yに起因するコンタミネーションが発生することを防止することができる。
このように、2つの弾性波素子60x、60yを1枚の温測用ウエハ58x内に埋め込んだ場合には、混信を防ぐために両弾性波素子60x、60yの周波数帯域が互いに異なるように設定する。また図11(B)に示す第2の変形例の場合は、温測用ウエハ58xの表面の中心と周辺部とに複数、具体的には5つの弾性波素子60f、60g、60h、60i、60jを設けた場合を示している。尚、これらの弾性波素子60f、60g、60h、60i、60jを温測用ウエハ58x内に埋め込んでもよい。この場合には、ウエハの面内温度の分布を測定することができる。この場合には、混信を防止するために各弾性波素子60f、60g、60h、60i、60jの周波数帯域を互いに異なるように設定するのが好ましい。
一般的に、成膜プロセスによっては、このプロセス時、或いは昇降温時に、ウエハ面内で温度勾配を形成した方が好ましい状況もあり、そのような場合には、上述のように温測用ウエハ58xの中央部と周辺部とに弾性波素子60f〜60j、60x、60yを設定しておけば、ウエハ面内において適正な且つ正確な温度勾配を形成するように制御することもできる。尚、上述したような温測用ウエハ58a〜58e、58xは、装置内に別途の予備の温測用ウエハを予め用意しておき、劣化した時等に必要に応じて、或いは定期的に自動的に交換できるようにしておけばよい。
また本実施例では、内筒4と外筒6とよりなる2重管式の処理容器8を例にとって説明したが、これに限定されず、単管式の処理容器にも本発明を適用することができる。また処理容器8に関しても、縦型の処理容器に限定されず、横型の処理容器に対しても本発明を適用することができる。
更に、ここでは熱処理として、成膜処理を例にとって説明したが、これに限定されず、酸化拡散処理、アニール処理、エッチング処理、改質処理、プラズマを用いたプラズマ処理等に対しても本発明を適用することができる。また、プラズマを用いた場合には前述したように、ノイズの発生を防止するためにプラズマ発生用の高周波電力の周波数と測定用電波の周波数帯域とは異ならせるのが好ましい。
また、上記弾性波素子としては、ランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム(LTGA)、水晶(SiO )、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム:KNaC )、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O 、ニオブ酸リチウム(LiNbO )、タンタル酸リチウム(LiTaO )、リチウムテトラボレート(Li )、ランガサイト(La Ga SiO14)、窒化アルミニウム、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選択される1の材料の基板素子を用いることができる。
また、ここでは被処理体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミック基板、太陽電池基板等にも本発明を適用することができる。
本発明に係る熱処理装置を示す断面構成図である。 処理容器とループ状の送受信アンテナとの位置関係を示す平面図である。 弾性波素子を設けた温測用被処理体を示す図である。 熱処理装置の温度制御系を示す系統図である。 本発明の熱処理方法の一例を示すフローチャートである。 弾性波素子の動作原理を説明するための動作原理図である。 本発明の熱処理装置の第1の変形例を示す図である。 本発明の熱処理装置の第2の変形例を示す図である。 図8に示す熱処理装置におけるロッド状の送受信用アンテナの配置例を示す平面図である。 本発明の熱処理装置の第3の変形例に示す図である。 温測用ウエハの変形例を示す図である。
符号の説明
2 熱処理装置
8 処理容器
10,10a〜10e 加熱ヒータ
16a〜16e 加熱ゾーン
17a〜17e ヒータ用熱電対
22 ウエハボート(保持手段)
40 ガス導入手段
42 ガスノズル
46a〜46e 内部熱電対
50 温度制御部
52,52a〜52e 送受信用アンテナ
54 保護管
58a〜58e,58x 温測用ウエハ
60a〜60e,60x,60y 弾性波素子
60A 表面弾性波素子
60B バルク弾性波素子
64 送受信器
66 温度分析部
68 ヒータ駆動部
70 制御手段
72 記憶媒体
74 ランガサイト基板素子
90,90a〜90d,90x,90y ロッド状の送受信用アンテナ
94 ローディングエリア
W 半導体ウエハ(被処理体)

Claims (28)

  1. 複数の被処理体を収容することができる排気可能になされた処理容器と、
    前記被処理体を加熱する加熱手段と、
    弾性波素子を有すると共に前記弾性波素子の周波数帯域が互いに異なるように設定された複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、
    前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、
    前記処理容器に設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、
    前記処理容器に設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、
    前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、
    前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、
    を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置。
  2. 前記送信用アンテナと受信用アンテナは、前記被処理体の周囲を囲むようにループ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の被処理体の熱処理装置。
  3. 前記処理容器内は温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されており、前記温測用被処理体は前記加熱ゾーン毎に対応して保持されると共に、前記送信用アンテナと受信用アンテナは前記加熱ゾーン毎に設けられることを特徴とする請求項2記載の被処理体の熱処理装置。
  4. 前記温測用被処理体の弾性波素子の周波数帯域は前記加熱ゾーン毎に互いに異なるように設定されていることを特徴とする請求項3記載の被処理体の熱処理装置。
  5. 複数の被処理体を収容することができる排気可能になされると共に内部が温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されている処理容器と、
    前記被処理体を加熱する加熱手段と、
    前記加熱ゾーン毎に互いに異なるような周波数帯域に設定された弾性波素子を有すると共に前記加熱ゾーン毎に対応して位置される複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、
    前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、
    前記被処理体の周囲を囲むようにループ状に形成されていると共に前記加熱ゾーン毎に設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、
    前記被処理体の周囲を囲むようにループ状に形成されていると共に前記加熱ゾーン毎に設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、
    前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、
    前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、
    を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置。
  6. 前記弾性波素子は、少なくとも前記温測用被処理体の中心部と周辺部とに設けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  7. 複数の被処理体を収容することができる排気可能になされると共に内部が温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されている処理容器と、
    前記被処理体を加熱する加熱手段と、
    前記加熱ゾーン毎に互いに異なるような周波数帯域に設定された弾性波素子を有すると共に前記加熱ゾーン毎に対応して位置される複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、
    前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、
    前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、
    前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、
    前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、
    前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、
    を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置。
  8. 複数の被処理体を収容することができる排気可能になされた処理容器と、
    前記被処理体を加熱する加熱手段と、
    弾性波素子を有すると共に前記弾性波素子の周波数帯域が互いに異なるように設定された複数の温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持して前記処理容器内へロード及びアンロードされる保持手段と、
    前記処理容器内へガスを導入するガス導入手段と、
    前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子に向けて測定用電波を送信する送信用アンテナと、
    前記処理容器の長さ方向に沿ってロッド状に形成して設けられて前記弾性波素子より発せられる温度に応じた周波数の電波を受ける受信用アンテナと、
    前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析部と、
    前記温度分析部の出力に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御部と、
    を備えたことを特徴とする被処理体の熱処理装置。
  9. 前記ロッド状の送信用アンテナと受信用アンテナは前記被処理体の周方向に沿って所定の間隔を隔てて複数本設けられることを特徴とする請求項7又は8記載の被処理体の熱処理装置。
  10. 前記弾性波素子は、少なくとも前記温測用被処理体の中心部と周辺部とに設けられることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  11. 前記送信用アンテナと受信用アンテナは前記処理容器の内側に設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  12. 前記送信用アンテナと受信用アンテナは前記処理容器の外側に設けられることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  13. 前記処理容器からアンロードされた前記保持手段が待機するローディングエリアには、前記送信用アンテナと受信用アンテナと同じ構造の送信用アンテナと受信用アンテナとがそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  14. 前記送信用アンテナと受信用アンテナはそれぞれ保護管内へ収容されていることをと特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  15. 前記送信用アンテナからは、前記周波数帯域の異なる弾性波素子に対応した異なる周波数帯域の測定用電波を、所定の時間内毎に順次掃引して送信するように構成したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  16. 前記送信用アンテナからは、前記周波数帯域の異なる弾性波素子に対応した異なる周波数帯域の測定用電波を、同時に送信するように構成したことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  17. 前記送信用アンテナと受信用アンテナは、送受信用アンテナとして一体化されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  18. 前記処理容器内及び/又は前記加熱手段には温度測定用の熱電対がそれぞれ設けられており、
    前記温度制御部は、前記熱電対からの測定値も参照して前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  19. 前記処理容器には、前記被処理体の熱処理を補助するために高周波電力によってプラズマを発生させるプラズマ発生手段が設けられており、前記測定用電波の周波数帯域は、前記高周波電力の周波数とは異なるように設定されていることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  20. 前記弾性波素子は表面弾性波素子よりなることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  21. 前記弾性波素子はバルク弾性波素子よりなることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  22. 前記弾性波素子は、ランタンタンタル酸ガリウムアルミニウム(LTGA)、水晶(SiO )、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム:KNaC )、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O 、ニオブ酸リチウム(LiNbO )、タンタル酸リチウム(LiTaO )、リチウムテトラボレート(Li )、ランガサイト(La Ga SiO14)、窒化アルミニウム、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなる群より選択される1の材料の基板素子であることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理装置。
  23. 弾性波素子を有する温測用被処理体を含む複数の被処理体を保持する保持手段を、内部が温度制御用に複数の加熱ゾーンに分割されている処理容器内へ導入して前記被処理体を加熱手段で加熱することにより熱処理を施すに際して、
    前記温測用被処理体の弾性波素子の周波数帯域を前記加熱ゾーン毎に互いに異なるように設定すると共に前記温測用被処理体を前記加熱ゾーン毎に対応させて保持するようにし、
    前記処理容器に設けた送信用アンテナから測定用電波を送信する送信工程と、
    前記測定用電波を受けた前記温測用被処理体の弾性波素子が発する電波を前記処理容器に設けた受信用アンテナで受ける受信工程と、
    前記受信用アンテナで受けた電波に基づいて前記温測用被処理体の温度を求める温度分析工程と、
    前記求めた温度に基づいて前記加熱手段を制御する温度制御工程と、
    行なうようにしたことを特徴とする被処理体の熱処理方法。
  24. 前記処理容器内及び/又は前記加熱手段には温度測定用の熱電対がそれぞれ設けられており、
    前記温度制御工程では、前記熱電対からの測定値も参照して前記加熱手段の制御を行うことを特徴とする請求項23記載の被処理体の熱処理方法。
  25. 前記温側用被処理体の予備が熱処理装置内に保管されており、必要に応じて、或いは定期的に自動的に交換されることを特徴とする請求項23又は24記載の被処理体の熱処理方法。
  26. 前記熱処理は高周波電力によって発生されたプラズマにより補助されており、前記測定用電波は前記高周波電力の周波数とは異なるように設定されていることを特徴とする請求項23乃至25のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理方法。
  27. 前記弾性波素子は、表面弾性波素子又はバルク弾性波素子よりなることを特徴とする請求項23乃至26のいずれか一項に記載の被処理体の熱処理方法。
  28. 請求項1乃至22のいずれか一項に記載の熱処理装置を用いて被処理体に熱処理を施すに際して、
    請求項23乃至27のいずれか一項に記載の熱処理方法を実行するように前記熱処理装置を制御するコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する記憶媒体。
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