JP2006284542A - 温度測定装置、熱処理装置及び温度測定方法 - Google Patents

温度測定装置、熱処理装置及び温度測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 マイクロ波を用いて被測定体の温度を測定することができる温度測定装置を提供する。
【解決手段】 被測定体Wに測定波を照射して表面から反射する第1の反射波M1と裏面から反射する第2の反射波M2との伝搬路差に基づいて温度を測定する温度測定装置において、マイクロ波を測定波S1と参照波R1とに分割する分割器50と、測定波を入力する方向性結合器52と、測定波を放射するアンテナ部44と、参照波の位相を変化させつつ出力する位相器54と、第1及び第2の反射波の干渉波と位相器からの位相が変化された参照波とを結合して干渉波を形成する結合器56と、この出力を検出する電力検出部58と、温度に対する伝搬路差の基準値を予め有すると共に、電力検出部の検出結果に基づいて被測定体の温度を求める温度演算部60とを備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体ウエハ等の被処理体の温度を測定するための温度測定装置、その温度測定方法及びこれを用いた熱処理装置に関する。
一般に、半導体製品の集積回路を形成するには、半導体ウエハ等の被処理体に対して、成膜処理、改質処理、酸化拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の各種の処理が繰り返し行われる。この場合、上記した各種の処理中において、半導体ウエハ自体の温度を正確に測定し、且つこれを所望する温度に精度良く維持するようにウエハの温度管理を行うことは、形成される薄膜等の電気的特性を高く維持する上から非常に重要な事項である。
従来、処理中のウエハの温度を計測する手段としては、熱電対を用いたり、測定対象の特定波長帯域の放射輝度から温度を測定する放射温度計を用いたりする方法が存在する。この場合、接触型の熱電対を用いる場合には、これを処理容器内へ設置しなければならないことから装置構成が複雑化するので、このような問題が比較的少ない非接触型の放射温度計を用いる傾向にある。
ところで、この放射温度計は、比較的高温の半導体ウエハに対しては、非接触で精度良く温度を測定することができるが、比較的低温の場合、例えば400℃以下の場合には、その特性上、温度測定が困難になってしまう。
そこで、測定対象物に対して測定光を照射してその反射光により測定対象物の温度を測定するようにした新たな温度測定方法が提案された(特許文献1)。この温度測定方法は、測定対象物の熱膨張変化や熱による屈折率変化を測定光の光路差として捉え、この光路差に基づいて測定対象物の温度を求めるようになっている。
この点について説明する。図10は測定光を用いた従来の温度測定装置を示す概略構成図である。図示するように、この温度測定装置では、光源であるSLD(Super Luminescent Diode)2から発するコヒーレント光を2×2光ファイバカプラ4にて2分割し、分割した一方の光を測定光としてコリメータ6より測定対象の半導体ウエハWに向けて照射し、ウエハ表面で反射した反射光L1とウエハ内に侵入してその裏面で反射した反射光L2とを上記コリメータ6で受ける。
また分割した他方の光は参照光として別のコリメータ8より参照ミラー10に向けて照射し、この反射光を上記コリメータ8で受ける。この参照ミラー10は、例えばボイスコイルモータ12により光軸方向に沿って微小位置調整可能になされており、光路長を変えられるようになっている。そして、上記カプラ4からの戻り光は光検出器(Photo Detector)14にて検出されることになる。これにより、上記ウエハWからの2つの反射光L1、L2の光路差は、温度に依存して変化するウエハの屈折率の変化量と熱膨張量とに依存して変化して両反射光L1、L2の位相差となって現れ、この位相差を上記参照ミラー10側からの反射波により測定することにより、ウエハ温度を算出するようになっている。
特開2003−307458号公報
しかしながら、上記したような従来の温度測定装置にあっては、参照光を用いることから参照ミラー10やボイスコイルモータ12といった付属設備を設ける必要があることから、装置自体が大型化して設備コストが上昇するのみならず、上記ボイスコイルモータ12の変動位置精度も高い精度が要求されることから、設備コストの高騰を一層招くことになる。
更に、上記ボイスコイルモータ12は、機械的駆動要素を含んでいることから、経年変化の程度も大きく、その分、メンテナンスも煩雑になる、といった問題があった。特に、半導体集積回路の製造工程におけるプロセス温度が、例えば400℃以下に低温化する傾向にある今日において、上記した問題点の早期の解決が望まれている。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、マイクロ波を用いて被測定体の温度を測定することにより、設備コストを抑制し、且つ装置も小型化することができる温度測定装置、熱処理装置及び温度測定方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、所定の厚さを有する被測定体に測定波を照射して前記被測定体の表面から反射する第1の反射波と前記被測定体内を通って裏面から反射する第2の反射波との伝搬路差に基づいて前記被測定体の温度を測定する温度測定装置において、マイクロ波を出力するマイクロ波発生器と、前記マイクロ波を測定波と参照波とに分割する分割器と、前記分割器に接続されて前記測定波を入力する方向性結合器と、前記方向性結合器に接続されて前記被測定体に対して前記測定波を放射するアンテナ部と、前記分割器に接続されて前記参照波を入力してその位相を連続的に変化させつつ出力する位相器と、前記方向性結合器を介して出力される前記第1及び第2の反射波の干渉波と前記位相器からの位相が連続的に変化された参照波とを結合して干渉波を形成する結合器と、前記結合器からの出力を検出する電力検出部と、温度に対する伝搬路差の基準値を予め有すると共に、前記電力検出部の検出結果に基づいて前記被測定体の温度を求める温度演算部と、を備えたことを特徴とする温度測定装置である。
請求項2に係る発明は、所定の厚さを有する被測定体に測定波を照射して前記被測定体の表面から反射する第1の反射波と前記被測定体内を通って裏面から反射する第2の反射波との伝搬路差に基づいて前記被測定体の温度を測定する温度測定装置において、マイクロ波を出力するマイクロ波発生器と、前記マイクロ波を測定波と参照波とに分割する分割器と、前記分割器に接続されて前記測定波を入力する方向性結合器と、前記方向性結合器に接続されて前記被測定体に対して前記測定波を放射するアンテナ部と、前記分割器に接続されて前記参照波を入力してその位相を連続的に変化させつつ出力する位相器と、前記方向性結合器を介して出力される前記第1及び第2の反射波の干渉波と前記位相器からの位相が連続的に変化された参照波との位相を比較する位相比較器と、温度に対する伝搬路差の基準値を予め有すると共に、前記位相比較器の比較結果に基づいて前記被測定体の温度を求める温度演算部と、を備えたことを特徴とする温度測定装置である。
このように、マイクロ波を用いて測定波と参照波を形成し、上記測定波を被測定体に照射した時の第1及び第2の反射波の位相差(伝搬路差)を、上記位相が連続的に変えられる参照波を用いて検出し、この検出結果に基づいて被測定体の温度を求めるようにしたので、従来装置で用いていた参照ミラーやボイスコイルモータ等を不要にでき、装置自体を小型化してその設備コストを大幅に削減することができる。
また機械的駆動要素を含まないことから、経年変化も少なく、且つメンテナンスも容易化することができる。
この場合、例えば請求項3に規定するように、前記アンテナ部は、高指向性のアンテナよりなる。
また例えば請求項4に規定するように、前記アンテナ部は、パッチアンテナまたは八木アンテナよりなる。
請求項5に係る発明は、所定の厚さを有する被処理体に対して所定の熱処理を施す熱処理装置において、前記被処理体を収容するために排気可能になされた筒体状の処理容器と、前記被処理体を載置するための載置台と、前記被処理体を加熱するための加熱手段と、前記処理容器内へ所定のガスを供給するためのガス供給手段と、前記処理容器の天井部に設けられてマイクロ波に対して透過性を有するマイクロ波導入窓と、前記処理容器内へ測定波を導入するために設けられた請求項1乃至4のいずれかに記載の温度測定装置と、装置全体の動作を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする熱処理装置である。
請求項6に係る発明は、所定の厚さを有する被測定体に測定波を照射して前記被測定体の表面から反射する第1の反射波と前記被測定体内を通って裏面から反射する第2の反射波との伝搬路差に基づいて前記被測定体の温度を測定するようにした温度測定方法において、マイクロ波を測定波と参照波とに分割して前記参照波の位相を連続的に変化させると共に、前記測定波を前記被処理体に照射し、前記被測定体より反射する第1及び第2の反射波の干渉波と前記位相が連続的に変化された参照波とを干渉させて、該干渉結果を測定することによって前記被測定体の温度を求めるようにしたことを特徴とする温度測定方法である。
本発明の温度測定装置、熱処理装置及び温度測定方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
マイクロ波を用いて測定波と参照波を形成し、上記測定波を被測定体に照射した時の第1及び第2の反射波の位相差(伝搬路差)を、上記位相が連続的に変えられる参照波を用いて検出し、この検出結果に基づいて被測定体の温度を求めるようにしたので、従来装置で用いていた参照ミラーやボイスコイルモータ等を不要にでき、装置自体を小型化してその設備コストを大幅に削減することができる。
また機械的駆動要素を含まないことから、経年変化も少なく、且つメンテナンスも容易化することができる。
以下に、本発明に係る温度測定装置、熱処理装置及び温度測定方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る熱処理装置の一例を示す概略構成図、図2は本発明に係る温度測定装置の第1実施例を示すブロック構成図、図3はアンテナ部を示す平面図、図4はアンテナ部を示す側面図、図5は被測定体の温度と伝搬路差との関係を示すグラフ、図6は第1及び第2の反射波が相互に干渉した時の状態を示す波形の模式図である。
まず、図1を参照して本発明に係る熱処理装置について説明する。この熱処理装置14は、例えば耐食アルミニウムよりなる筒体状の処理容器16を有している。この処理容器16内には容器底部より起立させて載置台18が設けられており、この載置台18上に所定の厚さを有する被処理体である円板状の半導体ウエハWが載置される。この載置台18には、ウエハWを加熱するための加熱手段として例えば抵抗ヒータ20が設けられており、ウエハWを所定の温度に維持するようになっている。尚、上記加熱手段として加熱ランプを用いる場合もある。またこの載置台18には、ウエハWを搬出入する際にこのウエハWを昇降させる昇降ピン(図示せず)が設けられる。
この処理容器16の側壁には、上記ウエハWを処理容器16内へ搬出入させる際に開閉させるゲートバルブ22が設けられる。またこの処理容器16の側壁には、この処理容器16内へ熱処理に必要なガスを供給するためのガス供給手段としてガスノズル24が設けられており、上記ガスを図示しないマスフローコントローラのような流量制御器により流量制御しつつ供給できるようになっている。このガスノズル24は、供給するガスの種類に応じて複数個設けることができる。また、このガス供給手段として、上記ガスノズルに替えて、多数のガス噴射孔を有するシャワーヘッドを容器内の天井部近傍に設けるようにしてもよい。
また処理容器16の底部には、容器内の雰囲気を排気するための排気口26が設けられている。この排気口26には、途中に圧力調整弁28や排気ポンプ30等が介設された排気系32が接続されており、上記処理容器16内の雰囲気を排気できるようになっている。この場合、ウエハの処理態様に応じて、処理容器16内は真空雰囲気になされたり、常圧程度の雰囲気になされたりする。また後述する温度測定装置を含むこの熱処理装置14の全体の動作は、例えばマイクロコンピュータ等よりなる制御手段34により制御される。
またこの処理容器16の天井部にはマイクロ波導入口36が形成されており、このマイクロ波導入口36に、Oリング等のシール部材38を介してマイクロ波に対して透過性を有するマイクロ波導入窓40が気密に設けられている。このマイクロ波導入窓40は、その比誘電率が既知の例えば石英ガラスよりなる。この場合、上記マイクロ波導入窓40は、その垂直方向下方に上記ウエハWを臨むような位置に設けられている。
そして、マイクロ波導入窓40の外側に、アンテナ部44を含む本発明に係る温度測定装置42が設けられる。この温度測定装置42は、装置本体46と上記アンテナ部44とよりなる。また上記マイクロ波導入口36、マイクロ波導入窓40を処理容器16の底部に設けてもよい。この場合は、載置台18に孔を設けて、ウエハ裏面からウエハ温度を測定することになる。このようにすれば、熱処理時の処理ガスなどによる影響を排除することができる。
<第1実施例>
次に、図2〜図4も参照して上記温度測定装置42の第1実施例について説明する。
図2に示すように、この温度測定装置42は、例えば0.5〜5000GHz程度のマイクロ波帯域内の特定の周波数のマイクロ波を発生して出力するマイクロ波発生器48と、発生したマイクロ波を2つに分割して測定波S1と参照波R1とを形成する分割器(devider)50と、上記分割器50に接続されて上記測定波S1を入力する方向性結合器52と、上記方向性結合器52に接続されて被測定体である半導体ウエハWに対して上記測定波S1を照射するアンテナ部44と、上記分割器50に接続されて、これより出力される上記参照波R1を入力してこの位相を連続的に変化させつつ出力する位相器(phase shifter)54と、この位相器54と上記方向性結合器52とに接続されて、上記位相が変化された参照波R1と上記ウエハWからの反射波とを結合して干渉させる結合器(coupler)56と、この結合器56から出力される干渉波の電力を検出する電力検出部58と、この電力検出部58の検出結果に基づいて上記被測定体であるウエハWの温度を求める例えばマイクロコンピュータ等よりなる温度演算部60とにより主に構成されている。尚、上記マイクロ波は、それぞれ同軸線のようなケーブルを用いて伝搬される。
具体的には、上記マイクロ波発生器48からは例えば10GHzのマイクロ波が出力され、このマイクロ波を分割器50で測定波S1と参照波R1とに2つに分割する。上記方向性結合器52は、進行波である測定波S1をアンテナ部44に向けて出力し、アンテナ部44から反射してくる反射波は上記結合器56に向けて出力する。この方向性結合器52としては、例えば2孔形方向性結合器、多孔形方向性結合器、ベーテ孔方向性結合器、ループ方向性結合器等を用いることができる。
上記アンテナ部44は、例えば後述するように高指向性を有するパッチアンテナ等を用いることができ、このアンテナ部44にコネクタ44Aを介して測定波S1が入力される。このアンテナ部44は、図1に示すようにマイクロ波導入窓40の直上に取り付け固定され、処理容器16内のウエハWに向けてマイクロ波を測定波として照射するようになっている。
ここで図3及び図4を参照して、上記アンテナ部44の一例を説明する。図3及び図4はパッチアンテナを示しており、長方形状に成形された例えばガラスエポキシ基板62上に、複数の正方形状の銅パターン64を所定のピッチで複数個、例えばn個(n:正数)直列状に配置して設け、各銅パターン64を、その側方に設けた銅製の配線ライン66で接続して形成している。そして、上記配線ライン66の長さ方向の略中央部にコネクタ44Aを設け、ここに測定波S1を給電するようになっている。この場合、各銅パターン64のピッチP1は、マイクロ波である測定波S1のガラスエポキシ基板62中の波長λgと等しくし、また各銅パターン64の縦横の長さをそれぞれλg/2とする。ここで波長λgは以下のようになる。
λg=λ・1/√ε
λ:測定波S1の真空中の波長
ε:ガラスエポキシ樹脂の比誘電率
ここでマイクロ波の周波数を10GHzと仮定すると、ガラスエポキシ樹脂の比誘電率は4.2であるから波長λgは以上のようになる。
λg=2.998×10 ×10 /(10×10 ×√4.2)
≒1.463cm
これにより、紙面垂直方向(Z方向)よりもx−y方向の指向性を向上させることができ、特にy方向(図中、右方向)の指向性をn倍向上させることができる。
ここで、図2へ戻って、上記のように構成したアンテナ部44より放射されたマイクロ波よりなる測定波により、ウエハWの表面で反射する第1の反射波M1と、ウエハW内を厚さ方向へ通ってその裏面から反射する第2の反射波M2とが形成され、両反射波M1、M2がアンテナ部44に戻り、更に先の方向性結合器52に向けて戻って行く。ここで上記第1と第2の反射波M1、M2との間には、上記半導体ウエハWの厚さの2倍の長さに相当する電磁的な伝搬路差が生じ、この場合、第1と第2の反射波M1、M2との間には、上記伝搬路差に相当する位相差が生ずることになる。
従って、両反射波M1、M2が結合した干渉波には、伝搬路差に相当する位相差でピークが生ずることになる。ここで注意されたい点は、上記ウエハは例えばシリコン基板よりなり、温度に応じてその厚さが線膨張係数に従って熱膨張し、また温度に応じて屈折率も変化するのでウエハ伝搬中のマイクロ波の波長も変化する。また、シリコンウエハの比誘電率に応じて、ウエハ伝搬中のマイクロ波の波長が短縮される。従って、上記伝搬路差とは、上記したように温度に依存して変化する実効的な伝搬路差を指す。すなわち、ウエハWは温度変化に応じてその厚さやマイクロ波に対する屈折率が変化するので、その変動量に応じて上記実効的な伝搬路差(ウエハの厚さの2倍に対応)も変動することになり、結果的にウエハ温度と実効的な伝搬路差とは相関関係を有することになる。
また上記結合器56は、例えばウィルキンソンカプラ等を用いることができ、この結合器56では上記方向性結合器52より伝搬されてくる上記第1及び第2の反射波M1、M2の干渉波X1と、上記位相器54より伝搬されてくる位相が連続的に変化される参照波R1とを結合して干渉させ、干渉波X2を出力する。上記電力検出部58は、例えばダイオード検出器よりなり、上記干渉波X2の電力を検出する。
上記温度演算部60では、予め求められた上記ウエハWの温度に対する伝搬路差の基準値が図示しないROM等の記憶部に予め記憶されている。そして、この基準値と上記電力検出部58での検出結果とに基づいてウエハ温度を算出するようになっている。図5は被処理体の温度と伝搬路差(実効値)との関係を示しており、例えばこのグラフが予め実測で求められて、この結果が、上記温度演算部60の記憶部に記憶されている。
このグラフは、このグラフ全体を記憶しなくても、特定の温度、例えばウエハ温度40℃の時の伝搬路差を予め求めて記憶し、この40℃の時の値を基準として、ウエハWを構成する材料、例えばシリコンの線膨張係数(既知)及び温度に対する屈折率の変化量(既知)より演算によって上記図5に示す特性を求めるようにしてもよい。いずれにしても、ウエハの熱処理時の伝搬路差を求めることにより、図5に示すグラフを参照してその時のウエハ温度を演算で求めることができるようになっている。
次に、以上のように構成された熱処理装置及び温度測定装置の動作について説明する。
まず、図1において、例えば半導体ウエハW上にCVD等により成膜処理する場合には、ウエハWを載置台18上に載置した状態で、加熱手段20でウエハWを所定の温度に加熱昇温すると共に、ガス供給手段のガスノズル24より所定の成膜ガスを処理容器16内へ供給する。そして、排気系32も同時に駆動してこの処理容器16内を所定のプロセス圧力に維持し、ウエハW上に所定の薄膜を堆積させる。この成膜処理中においては、温度測定装置42が動作してウエハWの温度が検出されており、この検出値に基づいて、制御手段34は加熱手段20を制御して、ウエハWの温度を所定のプロセス温度に維持する。
次に、上記プロセス中のウエハ温度の測定動作について、図2から図6も参照して説明する。
図2に示すように、マイクロ波発生器48からは、例えば10GHzのマイクロ波が伝搬されて、このマイクロ波が分割器50にて測定波S1と参照波R1とに2つに分割される。上記測定波S1は、図3及び図4に示すように構成されたアンテナ部44へ伝搬されて、このアンテナ部44から高い指向性を持って照射され、この照射されたマイクロ波はマイクロ波導入窓40(図1参照)を透過して載置台18上のウエハWに垂直方向から入射し、そして、ウエハWの表面からは第1の反射波M1が反射し、裏面からは第2の反射波M2が反射する。この両反射波M1、M2は干渉波X1となって元の経路を戻り、アンテナ部44及び方向性結合器52を介して結合器56に伝搬される。
一方、分割器50より出力された参照波R1は、位相器54にて、その位相が変化しつつ出力されて上記結合器56へ入力されている。そして、この結合器56にて上記干渉波X1と位相が変化しつつ入力された参照波R1とが干渉するように結合されてその干渉波X2が出力される。この結合器56より出力された上記干渉波X2はその電力が電力検出部58によって検出され、この検出結果に基づいて温度演算部60では、ウエハ温度が演算により求められることになる。
ここで、第1及び第2の反射波M1、M2と干渉波X1との関係を説明すると、図6(A)に示すように、第2の反射波M2の電力のピークは、第1の反射波M1の電力のピークに対して、ウエハWの厚さの往復に伴って発生する搬送路差ΔH(実効値)に相当する遅れが生ずる。この時の例えば第1の反射波M1のピーク間の距離(波長)Hは、マイクロ波の周波数を10GHzと仮定したならば、1.463cmに対応することになる。
前述したように、この搬送路差ΔHの大きさは、ウエハWが線膨張係数に従って熱膨張し、且つ温度に依存してその屈折率が変化することから、ウエハ温度に依存して変動している。この時の両反射波M1、M2の干渉波X1は図6(B)に示されている。そして、上記干渉波X1に表されている搬送路差ΔHは、その位相が変化しつつ供給される参照波R1によって検出されることになる。すなわち、上記干渉波X1にその位相が変化する参照波R1を結合器56にて干渉させると、その位相が合致した所では電力検出部58の出力がピークを示すので、そのピーク点を検出すれば搬送路差ΔHを求めることができる。そして、得られた搬送路差ΔHに基づいて、図5に示すグラフを参照することにより、演算でその時のウエハ温度を求めることができる。
この場合、測定波S1の波長が1.463cmであるのに対して、ウエハWの厚さは一般的には0.7mm程度なので、十分に波長の方が長く、その厚さ変動(搬送路差の変動)を測定することができる。またこの場合、周波数の上限は、0.7mmの2倍程度の波長でよく、100GHz程度である。
このように、マイクロ波を用いて測定波と参照波を形成し、上記測定波S1を被測定体に照射した時の第1及び第2の反射波M1、M2の位相差(伝搬路差)を、上記位相が連続的に変えられる参照波R1を用いて検出し、この検出結果に基づいて被測定体の温度を求めるようにしたので、従来装置で用いていた参照ミラーやボイスコイルモータ等を不要にでき、装置自体を小型化してその設備コストを大幅に削減することができる。また機械的駆動要素を含まないことから、経年変化も少なく、且つメンテナンスも容易化することができる。
また温度測定に当たっては、予め処理すべき各ウエハの特定温度、例えば40℃における搬送路差(実効値)を測定して求めて記憶するようにしてもよいし、ウエハWの厚さ精度が非常に高い場合には、代表として1枚のウエハの搬送路差(実効値)を測定して求めて記憶し、これを基準として用いるようにしてもよい。
<実施例2>
次に本発明の温度測定装置の第2実施例について説明する。
図7は本発明に係る温度測定装置の第2実施例を示すブロック構成図である。尚、図2に示す構成部分と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
ここでは図2に示す装置で用いた結合器56及び電力検出部58に替えて、位相比較器70を設けている。この位相比較器70では第1及び第2の反射波M1、M2の干渉波X1と、位相器54から伝搬される位相が連続的に変化された参照波R1との位相を比較し、その比較結果を上記温度演算部60へ向けて出力するようになっている。上記位相比較器70では、位相の比較結果が電圧の高低として出力され、位相が一致すると高い出力がなされる。すなわち、位相のずれ量が電圧の変化として出力される。このような位相比較器70としては、例えばチャージポンプ回路等を用いることができる。
この第2実施例の場合にも、先に説明した第1実施例と同様な作用効果を発揮することができる。また、この第2実施例では第1実施例の場合よりも装置構成部品を1つ減らすことができるので、その分、装置コストを更に低減することができる。
上記第1及び第2実施例では、アンテナ部44として例えばパッチアンテナを用いた場合を例にとって説明したが、これに限定されず、他の高指向性アンテナを用いてもよい。このような他のアンテナとして例えば図8に示すような八木アンテナを用いることができる。この八木アンテナは、長方形状になされた例えばガラスエポキシ基板72の上面に、複数の短冊状の銅パターン74を互いに並列となるように一方向に向けて配置している。この場合、図中最も左側の銅パターン74Aの長さY1を、測定波S1のガラスエポキシ基板72中の波長λgの1/2よりも少し大きく設定し(Y1>λg/2)、マイクロ波を反射する反射板として機能させる。この銅パターン74Aの右隣りの銅パターン74Bの長さY2はλg/2とする。更に、これより右側の銅パターン74の長さはλg/2より小さく、且つ右側へ行くに従って徐々にその長さが短くなされている。また、各銅パターン74間のピッチP2はλgとする。これにより、図中、右方向へ高い指向性を発揮することができる。
また、コネクタ44Aを接続する銅パターンは、上記反射板の機能を有する銅パターン74Aの1つ右隣りの銅パターンとし、更に、その給電点は、短冊状の銅パターンの長さ方向の中心点よりもλg/4だけオフセットした位置とする。その理由は、図9に示すように、定在波の発生時は、電流分布と電圧分布とがλg/4だけ位相がずれ、その結果、もし長さ方向の中心へ給電を行うと、電圧”ゼロ”の点が給電点となって電流を供給できなくなるからである。
尚、ここでは熱処理として成膜装置を例にとって説明したが、これに限定されず、改質処理、酸化拡散処理、アニール処理、エッチング処理等のウエハ温度を管理する必要がある全ての処理に対して本発明を適用することができる。
また、ここでは被処理体及び被測定体として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミックス基板等にも本発明を適用することができる。
本発明に係る熱処理装置の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る温度測定装置の第1実施例を示すブロック構成図である。 アンテナ部を示す平面図である。 アンテナ部を示す側面図である。 被測定体の温度と伝搬路差との関係を示すグラフである。 第1及び第2の反射波が相互に干渉した時の状態を示す波形の模式図である。 本発明に係る温度測定装置の第2実施例を示すブロック構成図である。 八木アンテナを示す構成図である。 八木アンテナに定在波がたった時の電流と電圧の分布の関係を示す図である。 測定光を用いた従来の温度測定装置を示す概略構成図である。
符号の説明
14 熱処理装置
16 処理容器
18 載置台
20 加熱ヒータ(加熱手段)
24 ガスノズル(ガス供給手段)
34 制御手段
40 マイクロ波導入窓
42 温度測定装置
44 アンテナ部
48 マイクロ波発生器
50 分割器
52 方向性結合器
54 位相器
56 結合器
58 電力検出部
60 温度演算部
70 位相比較器
R1 参照波
S1 測定波
M1 第1の反射波
M2 第2の反射波
X1,X2 干渉波
W 半導体ウエハ(被測定体,被処理体)

Claims (6)

  1. 所定の厚さを有する被測定体に測定波を照射して前記被測定体の表面から反射する第1の反射波と前記被測定体内を通って裏面から反射する第2の反射波との伝搬路差に基づいて前記被測定体の温度を測定する温度測定装置において、
    マイクロ波を出力するマイクロ波発生器と、
    前記マイクロ波を測定波と参照波とに分割する分割器と、
    前記分割器に接続されて前記測定波を入力する方向性結合器と、
    前記方向性結合器に接続されて前記被測定体に対して前記測定波を放射するアンテナ部と、
    前記分割器に接続されて前記参照波を入力してその位相を連続的に変化させつつ出力する位相器と、
    前記方向性結合器を介して出力される前記第1及び第2の反射波の干渉波と前記位相器からの位相が連続的に変化された参照波とを結合して干渉波を形成する結合器と、
    前記結合器からの出力を検出する電力検出部と、
    温度に対する伝搬路差の基準値を予め有すると共に、前記電力検出部の検出結果に基づいて前記被測定体の温度を求める温度演算部と、
    を備えたことを特徴とする温度測定装置。
  2. 所定の厚さを有する被測定体に測定波を照射して前記被測定体の表面から反射する第1の反射波と前記被測定体内を通って裏面から反射する第2の反射波との伝搬路差に基づいて前記被測定体の温度を測定する温度測定装置において、
    マイクロ波を出力するマイクロ波発生器と、
    前記マイクロ波を測定波と参照波とに分割する分割器と、
    前記分割器に接続されて前記測定波を入力する方向性結合器と、
    前記方向性結合器に接続されて前記被測定体に対して前記測定波を放射するアンテナ部と、
    前記分割器に接続されて前記参照波を入力してその位相を連続的に変化させつつ出力する位相器と、
    前記方向性結合器を介して出力される前記第1及び第2の反射波の干渉波と前記位相器からの位相が連続的に変化された参照波との位相を比較する位相比較器と、
    温度に対する伝搬路差の基準値を予め有すると共に、前記位相比較器の比較結果に基づいて前記被測定体の温度を求める温度演算部と、
    を備えたことを特徴とする温度測定装置。
  3. 前記アンテナ部は、高指向性のアンテナよりなることを特徴とする請求項1または2記載の温度測定装置。
  4. 前記アンテナ部は、パッチアンテナまたは八木アンテナよりなることを特徴とする請求項3記載の温度測定装置。
  5. 所定の厚さを有する被処理体に対して所定の熱処理を施す熱処理装置において、
    前記被処理体を収容するために排気可能になされた筒体状の処理容器と、
    前記被処理体を載置するための載置台と、
    前記被処理体を加熱するための加熱手段と、
    前記処理容器内へ所定のガスを供給するためのガス供給手段と、
    前記処理容器の天井部に設けられてマイクロ波に対して透過性を有するマイクロ波導入窓と、
    前記処理容器内へ測定波を導入するために設けられた請求項1乃至4のいずれかに記載の温度測定装置と、
    装置全体の動作を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする熱処理装置。
  6. 所定の厚さを有する被測定体に測定波を照射して前記被測定体の表面から反射する第1の反射波と前記被測定体内を通って裏面から反射する第2の反射波との伝搬路差に基づいて前記被測定体の温度を測定するようにした温度測定方法において、
    マイクロ波を測定波と参照波とに分割して前記参照波の位相を連続的に変化させると共に、前記測定波を前記被処理体に照射し、前記被測定体より反射する第1及び第2の反射波の干渉波と前記位相が連続的に変化された参照波とを干渉させて、該干渉結果を測定することによって前記被測定体の温度を求めるようにしたことを特徴とする温度測定方法。

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