JP4905049B2 - 紫外線照射装置及びそれの調整方法 - Google Patents
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かかる紫外線照射装置では、従来、下記特許文献1にも記載のように、紫外線ランプや反射鏡と被照射物との位置関係を調整機構によって所望の照射状態となるように調整した後、その調整後の状態を固定的に維持して、被照射物に紫外線を照射して処理作業を実行している。
紫外線の照射状態の変更操作として最も単純に考えられるものは、紫外線ランプに供給する電力を調整することである。
ところが、電力の調整によって紫外線の被照射位置での光量分布のピーク強度は設定変更できるものの、光量分布の形状自体は反射鏡の形状によって決まるのもので相似形状として変化する。
すなわち、反射鏡の形状が一般的な楕円型であるとして、紫外線ランプを反射鏡の焦点位置に配置すると、紫外線の照射を受ける被照射物の存在位置では、それのピークの高さは変化させられるものの、結果として、いわゆるガウス分布に類似する光量分布のままで全体的に強度が低下してしまう。
このため、比較的に低いピーク強度で受ける紫外線の総量を十分に確保したいときは、被照射物の搬送速度を低下する必要があり、このような単純な紫外線強度の変化だけでは、紫外線の照射状態の変更要求に必ずしも十分に応えられるものではない。
上記特許文献1に記載の紫外線ランプ等の位置調整は、本来、予め固定的に設定されている単一の調整目標に合わせ込むための調整であるが、その調整目標から敢えてずらせて使用することで、紫外線の被照射位置での光量分布の形状もガウス分布形状からずれた形状にまで変化させることができる。
ところが、このように光量分布の形状は柔軟に変化させることができても、紫外線ランプや反射鏡を備えるユニット全体を位置調整する機構が必要となり、装置コストの上昇や装置の大型化を招くことになってしまう。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、装置構成を可及的に簡素化しながら、被照射物の種類に応じて、照射紫外線の光量分布の形状を柔軟に変化させられるようにする点にある。
これは、上記の位置調整で、被照射物の存在位置での紫外線の光量分布におけるピーク強度と総積分光量(光量分布の総積分値)との比率を変更することになっている。
又、紫外線ランプと反射鏡との相対的な位置を変更操作して光量分布の形状を変化させようとする場合、上述のように、わずかな位置変化で光量分布を大きく変化させることになる。
従って、棒状に形成された紫外線ランプを使用する場合、紫外線ランプの長手方向でのわずかな傾きに起因して、紫外線ランプの長手方向の一端部と他端部との間で光量分布に差が発生してしまう可能性がある。
そこで、長手方向両端部の夫々で独立して位置調整できるようにすることで、長手方向での不必要な光量変動を抑制できる。
紫外線ランプを発光駆動すると、紫外線ランプは一般に高温となるため、適正な動作状態を維持するために冷却風を吹き付けて紫外線ランプを冷却することが行われている。
このような紫外線ランプの冷却を効率的に行うために、冷却風を送り出す冷却ノズルは紫外線ランプに近接して配置される。
従って、紫外線ランプを移動操作することで、紫外線ランプと反射鏡との相対的な位置を変更操作する場合に、紫外線ランプだけを移動操作したのでは冷却ノズルとの間隔が変動して冷却能力が変化してしまう。
そこで、紫外線ランプと冷却ノズルとを一体に移動操作することで、冷却能力を一定に保持するものとしている。
又、紫外線ランプの長手方向両端部の夫々で独立して位置調整できるようにすることで、長手方向での不必要な光量変動を抑制でき、被照射物への紫外線の照射品質を安定させることができる。
又、上記第2の発明によれば、紫外線ランプと冷却ノズルとを一体に移動操作することで、冷却能力を一定に保持でき、紫外線照射装置の品質を維持することができる。
又、上記第3の発明によれば、装置構成を可及的に簡素化しながら、被照射物の種類に応じて、照射紫外線の光量分布の形状を柔軟に変化させられるものとなった。
本実施の形態の処理装置UTは、処理対象物品(紫外線の被照射物2)の搬送方向に沿った断面を概略的に示す図3のように、紫外線照射装置1と、被照射物2を紫外線照射装置1による紫外線照射対象位置LPへ搬送する搬送コンベア3と、紫外線照射装置1による紫外線照射対象位置LP付近を覆うトンネル状のカバー4とを主要部として構成されている。
本実施の形態では、処理装置UTによる処理として、紫外線硬化型樹脂を塗布された被照射物2に紫外線を照射して、その紫外線硬化型樹脂を硬化させる処理を行う場合を例示する。
図3において、搬送上流側(右側)の入口から搬送コンベア3上に搬入された被照射物2は、搬送コンベア3上を搬送されて紫外線照射対象位置LPを通過する。この通過の際に被照射物2に塗布された紫外線硬化型樹脂が硬化して、紫外線照射処理の完了した被照射物2は反対側の出口から搬出される。
紫外線照射装置1には、搬送横幅方向視の断面である図1,搬送方向視での部品配置を示す図2及び斜視図である図4に示すように、紫外線ランプ11と、その紫外線ランプ11から出射した紫外線を紫外線照射対象位置LPに位置する被照射物2に向けて集光する反射鏡12と、紫外線ランプ11に冷却風を吹き付ける冷却ノズル13と、冷却ノズル13へ送る冷却風の通路となる冷却ダクト14と、これらを保持して反射鏡12の裏面側を覆う反射鏡カバー15と、紫外線ランプ11と反射鏡12との相対的な位置を調節する位置調整機構PA等を主要部として備えるランプユニット10が備えられている。
カバー4内の紫外線照射対象位置LP付近には、図4に概略的に示すように、ランプユニット10から出射した紫外線の強度を検出する紫外線検出器16が、搬送方向視で左右一対に配置されている。各紫外線検出器16は、紫外線ランプ11の長手方向端部の直下よりも若干程度中心寄りの位置に配置される。
この紫外線ランプ11の形状に対応して、反射鏡12は開放端が下向きの丸樋状に形成されている。尚、図面を見易くするために、図2では反射鏡12の記載を省略している。
反射鏡12の断面は、図1に示すように、楕円の一部を構成する形状を有しており、反射鏡12は楕円型の反射鏡として構成されている。
この位置調整機構PAは、図2及び図4に示すように、紫外線ランプ11の端部を保持するランプ支持ブロック21とランプ支持ブロック21の背面側に固定されている昇降操作ブロック22と、昇降操作ブロック22の上面中央位置に形成されたネジ穴に螺合する昇降操作ネジ23とを備えて構成されている。
図2に示すように、昇降操作ネジ23は、反射鏡カバー15の上面側に形成された孔に挿通する状態で取付けられ、その挿通孔の内径よりも昇降操作ネジ23の上端に位置するノブ23aの外径を大とすることで、昇降操作ネジ23の抜け落ちを阻止している。
この取付け状態のノブ23aを手動にて回転操作することによって、ランプ支持ブロック21に保持される紫外線ランプ11の一端側が昇降する。
図4に示すように、ランプ支持ブロック21,昇降操作ブロック22及び昇降操作ネジ23は、同一構成のものが紫外線ランプ11の両端夫々に備えられ、昇降操作ネジ23のノブ23aを個別に回転操作することで、位置調整機構PAは、紫外線ランプ11の長手方向両端部の夫々を、独立して光軸方向(上下方向)に位置調整できるようになっている。
このように冷却ノズル13を配置することで、位置調整機構PAのノブ23aの回転操作によって、紫外線ランプ11に近接する状態で配置された冷却ノズル13が、紫外線ランプ11と一体に光軸方向に移動操作される。
これによって、紫外線ランプ11を移動させても、冷却ノズル13と紫外線ランプ11との間隔が一定に保持されて、冷却ノズル13による安定した冷却性能を確保することができ、図示を省略するファン等によって冷却ダクト14に供給された冷却風は一定の状態で紫外線ランプ11に吹き付けられる。
尚、この冷却ノズル13の上下動を許容するために、冷却ノズル13は冷却ダクト14に摺動自在に嵌合しており、又、冷却ダクト14の下端側は、反射鏡12の上端部を貫通して冷却ノズル13に外嵌している。
この紫外線が集光される位置が上記紫外線照射対象位置LPとなる。
このように紫外線ランプ11を標準的な位置に配置したときには、図5(b)の左側の図に示すように、紫外線照射対象位置LPにおける被照射物2の搬送方向(紫外線ランプ11の長手方向と直交する方向)での光量分布は、ガウス分布に類似する形状となる。
図5(a)の右側の図で示すように、紫外線ランプ11を上下方向に移動させると、図5(b)の右側の図で示すように、紫外線照射対象位置LPでの光量分布の形状が変化して行く。
この紫外線照射対象位置LPでの光量分布の形状変化を、測定データによって、より具体的に説明する。
図6(a)及び図6(b)では、紫外線ランプ11の移動量を、標準的な使用状態での位置(反射鏡12が形成する楕円の上方側の焦点位置)を「0mm」とし、ランプを下降させる方向を正の値で表記し、上昇させる方向を負の値で表記している。
つまり、図6(a)は、紫外線ランプ11を上昇させた場合の光量分布の変化を示しており、図6(b)は、紫外線ランプ11を下降させた場合の光量分布の変化を示している。
図6(a)及び図6(b)の縦軸は同一のスケールで統一してあり、又、図6(a)及び図6(b)の横軸は、紫外線ランプ11の直下の中心位置を「0mm」として搬送方向の両側を正負の値で区別している。
尚、上記総積分光量は、被照射物2が紫外線照射対象位置LPを一定速度で通過したときの総受光エネルギーに対応するものである。
上記表1から、紫外線ランプ11を紫外線ランプ11を5mm下降させても、総積分光量は標準の位置(移動量が「0mm」の位置)から93%までしか低下せず、しかも、ピーク強度の方は標準の位置の51%まで低下しており、ピーク強度と総積分光量との比率で言うと、標準の位置に対して0.55と大きく変化させることができている。
すなわち、紫外線ランプ11を光軸上で被照射物2側に移動させることで、ピーク強度を大きく変化させながらも、総積分光量の変化は十分小さいものとなっている。
このようにピーク強度を制限した場合でも、上述のように、紫外線照射対象位置LPを通過する被照射物2が受ける紫外線の総積算光量は、紫外線ランプ11を標準の位置(楕円の焦点位置)としたときとそれほど変化はない。
尚、上記の紫外線ランプ11の移動調整は、紫外線ランプ11の長手方向両端で独立に、一対の紫外線検出器16の夫々の検出情報が一致するように行われる。
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、紫外線ランプ11と反射鏡12との相対的な位置を調節する位置調整機構PAとして、昇降操作ブロック22に螺合した昇降操作ネジ23を回転操作する構成を例示しているが、位置調整機構PAの具体構成は種々に変更可能であり、例えば、上記実施の形態における昇降操作ブロック22にラックを取付けると共に、そのラックに歯合するピニオンギヤを回転操作して昇降操作ブロック22を昇降駆動するように構成しても良い。
(2)上記実施の形態では、反射鏡12として楕円型の反射鏡を例示しているが、紫外線の集光機能を有する種々の形状の反射鏡を使用する場合にも本発明を適用できる。
12 反射鏡
13 冷却ノズル
PA 位置調整機構
Claims (3)
- 紫外線ランプと、その紫外線ランプから出射した紫外線を被照射物に向けて集光する反射鏡とが備えられた紫外線照射装置であって、
前記被照射物へ照射する紫外線の光軸方向における前記紫外線ランプと前記反射鏡との相対的な位置を調節する位置調整機構が備えられ、
前記紫外線ランプが棒状に形成され、
前記位置調整機構は、前記紫外線ランプの長手方向両端部の夫々を、独立して位置調整するように構成され、
前記位置調整機構にて前記紫外線ランプ又は前記反射鏡の位置を調節することによって、被照射物の種類に応じて、前記被照射物の存在位置での紫外線の光量分布におけるピーク強度と総積分光量との比率を変更するように構成されている紫外線照射装置。 - 前記紫外線ランプに近接する状態で、前記紫外線ランプに冷却風を吹き付ける冷却ノズルが配置され、
前記紫外線ランプと前記冷却ノズルとが、前記位置調整機構にて一体に移動操作されるように構成されている請求項1記載の紫外線照射装置。 - 紫外線ランプと、その紫外線ランプから出射した紫外線を被照射物に向けて集光する反射鏡とが備えられた紫外線照射装置の調整方法であって、
前記紫外線ランプが棒状に形成され、
前記被照射物へ照射する紫外線の光軸方向における前記紫外線ランプと前記反射鏡との相対的な位置を前記紫外線ランプの長手方向両端部の夫々で独立して位置調整する位置調整機構にて、前記紫外線ランプ又は前記反射鏡の位置を調節することによって、被照射物の種類に応じて、前記被照射物の存在位置での紫外線の光量分布におけるピーク強度と総積分光量との比率を変更する紫外線照射装置の調整方法。
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