JP4086582B2 - 照明装置及び露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般には、露光光学系に照明光を供給するための照明装置に係り、特に、光源として水銀ランプやキセノンランプなどの発熱性を有する放電灯を使用する照明装置に関する。本発明は、例えば、フォトリソグラフィ工程において半導体ウェハ用の単結晶基板をステップ・アンド・スキャン投影方式によって露光する露光装置用の照明装置に好適である。但し、本発明の照明装置の用途は露光装置に限定されず、写真製版、投影検査、映写機、プロジェクタなどの光学機器に広く適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
画像読取装置や測定装置、検査装置、露光装置等の各種装置は、一般的に、高圧ガスを封入したランプを光源として使用し、かかるランプから発せられた光を回転楕円面又は回転方物面形状の反射面を有する反射ミラーによって一定方向に反射及び集光したうえで、所望の形状に照明光の形状を整形し、対象物に照射するという構造となっている。
【0003】
光源として用いられる高圧ランプには、キセノンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプ等、封入あるいは添加されたガスの種類によって様々な種類のものがあり、光源に要求される輝線の波長や出力によって使い分けがなされているが、いずれのランプの場合も、ガラスや石英材からなる透明体のバルブ内に複数のガスが封入された構造を有している。
【0004】
図8は、従来の照明装置1000を示す概略構成図である。図8を参照するに、ランプ1100は、透明なガラスからなるバルブ内に高圧ガスが封入されており、バルブ内に相対して配置された、陽極と陰極との間に電圧を印加することによって電極間に輝点を発生させ、輝点から放射状に発せられる照明光を、集光ミラー1200に対して照射する。
【0005】
集光ミラー1200の反射面は、回転楕円面の一部を切り取った表面形状となっており、集光ミラー1200によって、反射された照明光は図示しない焦点に集光するが、ランプ1100は、ランプ移動ステージ1300によって、集光ミラー1200に対して相対的に駆動が可能となっており、ランプ1100の輝点位置が集光ミラー1200の第1焦点と一致するように位置調整することによって、集光ミラー1200を第2焦点位置に照明光が正しく集光される構造となっている。
【0006】
この時、例えば、露光装置などに使用される照明装置の場合では、ランプ1100には数kWの出力をもつ高圧水銀ランプが使用され、バルブ面及び電極部外部の温度は数百℃におよび、このままで使用すると、熱膨張によってバルブ部に破損を生じる恐れがあることから、常温の圧縮空気などを、バルブ部や口金部1400a及び1400bに吹き付けることによって冷却しながら、使用する構造となっている。
【0007】
特に、照明装置1000では、ランプ1100に印加される供給電力の変化に対応して冷却条件を変更可能な構造を取っており、ランプ1100の電力に関わらず、常に適正な冷却条件を保持できるように構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、照明装置1000の場合、ランプ1100の外形寸法の変化に対する対応ができないという問題がある。
【0009】
即ち、照明装置1000によれば、ランプ1100に印加される電力の変更には適正な冷却効果を得られるように冷却空気の流量を変化させることが可能であるが、ランプ1100の外形に関しては、あくまで同一形状のランプ1100に対して冷却を行う場合に限るものであって、例えば、入力電力に対応してバルブの厚さを変更する、あるいは、効率的な照明光を得るために電極の形状を変更することによって、ランプ1100自体の外形寸法が変更されてしまった場合には、ランプ1100の外形寸法に合わせて冷却空気の吹き付け位置を変更する必要があるが、図8に示すように照明装置1000に固定された冷却ノズル1500a及び1500bでは、位置の変更に対応することができない。
【0010】
また、仮に、ランプ1100が一種類だけであって、外形寸法が同一のものを専用に使用する照明装置であったとしても、ランプ1100自体の製造の際に発生する製造誤差があるため、ランプ1100の取り付け位置と集光ミラー1200の焦点位置は、ランプ1100の交換に伴って常に調整することが必要であって、ランプ1100の位置が変更された殊に伴って、冷却ノズル1500a及び1500bの位置の調整は必要である。
【0011】
更に、ランプ1100は、バルブの内部に対向して配置された陽電極と陰電極に電圧を印加して放電状態とし、発光状態を作りだしている。しかし、ランプ1100が寿命時間まで使用され、放電状態が続いた場合には陽電極あるいは陰電極の表面は電極を構成する金属元素の析出などにより損耗し、外形寸法に変化が生じている。従って、当然のことながら、電極間の発光点の位置もランプ1100の寿命初期と寿命末期とでは位置がずれてしまうものであって、ランプ1100から発光された照明光を効率的に使用するためには、ランプ1100と集光ミラー1200との位置調整は必須条件であり、位置の調整を行った場合には、冷却位置の調整も必要な条件となるものである。
【0012】
また、ランプ1100の位置ずれ分に合わせて冷却ノズル1500a及び1500bの位置を調整できない場合を想定すると、ランプ1100の位置ずれ分を見込んで、ランプ1100と冷却ノズル1500a及び1500bとは、間隔を大きく取った位置に配置せざるを得ないため、冷却ノズル1500a及び1500bから吹き出す冷却エアーなどの冷媒の流速及び流量を大きな値に設定しないと、所望の冷却効果が得られないという欠点も併せもっている。
【0013】
そこで、本発明は、ランプの製造誤差や品種変更に関わらず、集光ミラーの焦点位置とランプの輝点位置を一致させるように調整可能な照明装置において、常に最適な冷却条件を満たす照明装置を提供することを例示的目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、冷媒を噴出するノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記ノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、前記光源手段及び前記ノズルは、移動可能な第1のステージ上に配置されており、前記第1のステージの移動により、前記光源手段と前記ノズルとの相対位置が一定のまま前記光源手段及び前記ノズルが移動することを特徴とする。
また、本発明の別の側面としての照明装置は、冷媒を噴出するノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記ノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、前記光源手段は移動可能な第1のステージ上に配置されており、前記ノズルは、前記第1のステージ上に配置された第2のステージ上に配置されており、前記光源手段の位置に対して、相対的に位置調整が可能であることを特徴とする。
また、本発明の別の側面としての照明装置は、冷媒を噴出するノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記ノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、前記光源手段は移動可能な第1のステージ上に配置されており、前記ノズルは、前記第1のステージ上以外の場所に配置された第3のステージ上に配置されており、前記ノズルと前記光源手段は、それぞれ独立して位置調整可能であることを特徴とする。
また、本発明の別の側面としての照明装置は、冷媒を噴出する複数のノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記複数のノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、前記光源手段は、移動可能な第1のステージ上に配置されており、前記複数のノズルのそれぞれは、移動可能な複数のステージのそれぞれに配置されており、前記複数のノズルは、それぞれが独立して位置調整可能であることを特徴とする。
【0015】
本発明の別の側面としての露光装置は、上述の照明装置を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の他の目的及び更なる特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施例によって明らかにされるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の例示的な照明装置及び露光装置について説明する。なお、各図において、同一の部材については、同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。図6は、本発明に係る照明装置1を有する露光装置200の概略構成図である。
【0018】
図6を参照するに、ショートアーク型水銀ランプ2から放射状に拡散する照明光(露光光)は、集光ミラー4へと照射されているが、集光ミラー4のない表面は放物楕円面の一部を切り取った形状の反射面を有しており、集光ミラー4の第1焦点から放射状に射出した光は、楕円の内面で反射すると第2焦点に集光する特性を有しているために、光源であるランプ2の輝点を集光ミラー4の第1焦点に一致させて配置すると、ランプ2から放射状に拡散した照明光は第2焦点に集光する。
【0019】
集光ミラー4の反射面には熱線透過膜がコーティングされていて、ランプ2から拡散した照明光のうち、熱線の成分は集光ミラー4を透過してその他の波長成分だけが反射されるとともに、波長選択フィルタ25によって露光に不必要な波長成分を更に排除して第2焦点側へ照明光を集光させている。
【0020】
なお、ランプ2は、ランプステージ5上に固定されていて集光ミラー4に対して、相対的に移動することが可能となっているが、ランプ2の種類に応じて、主制御系13は、図示しないランプ用電源からランプ2に供給する電力の調整を行っている。
【0021】
更に、図1は、本発明による照明装置1の特徴を最もよく示す概略構成図である。図1を参照するに、1は照明装置、2は光源であるランプ、3aはランプ2の陽極側電極部分の口金、3bはランプ2の陰極側電極部分の口金、4はランプ2から放射状に拡散する照明光(露光光)を焦点に集光させる集光ミラー、5はランプ2の位置調整を行うための移動ステージ、6aはランプ2の陽電極口金部分を冷却するノズル、6bはランプ2の陰電極口金部分を冷却するノズル、7は冷却ノズル6a及び6bを接続するマニホールド、8aは照明装置1からマニホールド7間を接続するフレキシブルチューブ(陽極側)、8bは照明装置1からマニホールド7間を接続するフレキシブルチューブ(陰極側)、9aはランプ2の陽電極口金を冷却する冷媒の流量調整用絞り弁、9bはランプ2の陰電極口金を冷却する冷媒の流量調整用絞り弁である。
【0022】
上述の構成において、冷却ノズル6a及び6bの噴出口は、ランプ2の電極部分である口金3a及び3bを冷却するように設定されている。
【0023】
本実施形態に係る照明装置1では、1.5kW出力のショートアーク型水銀ランプが使用されており、図5に示すバルブ49の内部には、室温での封入圧力が0.1〜0.8MPa程度のハロゲン希ガスと、少量の水銀が封入されている。内部のハロゲン希ガスの種類や水銀についての詳細は、特開平2−148561号公報や、特開平10−112289号公報等、ランプの特性に従って、種々の例が開示されているのでここでは省略するが、ランプが点灯状態になると、内部の温度が上昇して、圧力は15MPa以上にも達する。このような圧力下において陽電極47と陰電極48との間で放電し、輝点を発生させるものであるが、内部の温度上昇と同時にバルブ49表面も当然のことながら温度が上昇し、また電極と接続されている口金部3a及び3bの温度も上昇することになる。
【0024】
上述した水銀ランプでは、バルブ49の温度は低すぎても、バルブ49内部の水銀蒸気圧が安定せず、所望の発光特性を得られないため、バルブの表面温度は500℃以上700℃以下に設定されているが、口金部3a及び3bでは、構造上150℃以下に温度を抑えなければならず、そのため、ノズル6a及び6bから室温の冷却エアーを吹き付けて強制冷却を行っている。
【0025】
ランプ2の口金3a及び3bは、印加された電圧や、照明光の輻射等によって過熱されてはいるものの、当然のことながら、上部の口金3aと下部の口金3bとでは過熱条件が変化しており、必要とされる条件も異なっている。そこで、冷却ノズル6a及び6bには、任意の流量が調整できるように絞り弁9a及び9bを設けており、個別に冷却条件の設定ができるように構成されている。更に、冷却ノズル6a及び6bは、ランプ移動ステージ5上のランプ固定台と同期して移動する位置に配置されたマニホールド7に連結されており、ランプ2の位置を移動したとしてもノズル6a及び6bとランプ2との相対位置関係を保存することが可能となっていて、常にランプ2上の同じ位置を冷却し続けることが可能となっている。
【0026】
もちろん、照明装置1からマニホールド7間はフレキシブルチューブ8a及び8bによって接続されているので、ランプ移動ステージ5を駆動して、ランプ2の位置を移動させたとしても冷却ノズル6a及び6bから吐出する冷却エアーの流量に変化が及んだり、あるいは配管部品の張力によって移動ステージ5の移動が阻害されたりすることはない構造となっている。
【0027】
図5は、ランプ2の構造を示す模式図である。図5を参照するに、一般に使用されるショートアーク型ランプにおいては、陽電極47及び陰電極48は、ランプ2の取り付け部に対して、±0.5mmの偏芯誤差をもって製造される。上述したように、集光ミラー4の第1の焦点とランプ2の輝点が一致した際に、ランプ2から発せられた照明光は集光ミラー4の第2の焦点位置に集光する構造となっているので、製造誤差が存在するランプ2を交換するたびに、集光ミラー4の第1の焦点位置とランプ2の輝点の位置との相対関係が崩れてしまって、効率のよい照明光が得られないので、ランプ2の位置調整が必要となる。
【0028】
そこで、本発明による照明装置1では、ランプ移動ステージ5上に冷却ノズル6a及び6bを配置することによってランプ2の交換作業に伴う位置の調整が発生した場合であっても、冷却ノズル6a及び6bがランプ2と同期して移動し、冷却位置のずれが生じない構造となっている。
【0029】
また、ランプ2の製造誤差に関して言えば、ランプの全長に関しても±2mmの製造誤差をもっていて、上述したようにランプ2と冷却ノズル6a及び6bを同期させて移動させたとしても、冷却を行う対象である口金3a及び3bの位置がランプ2の取り付け位置に対してずれてしまうことが考えられる。
【0030】
そこで、図2に示すように、冷却ノズル6a及び6bをランプ移動ステージ5上で更に移動可能なノズル移動ステージ10の上に配置し、ランプ移動ステージ5及びノズル移動ステージ10それぞれが単独駆動することを可能としている。従って、ランプ2の製造誤差により、ランプ2の固定部に対して、口金部3bの位置が相対的にずれを生じてしまった場合であっても、このようなずれ量に対応して冷却ノズル6bの位置を調整することが可能となり、安定した冷却性能を得ることができる。
【0031】
もちろん、図1と同様に、照明装置1からマニホールド7間はフレキシブルチューブ8a及び8bで接続されており、ランプ移動ステージ5及びノズル移動ステージ10の移動によって冷却手段に余分な力が加わることがない構造となっている。
【0032】
ノズル移動ステージ10の配置場所に関しては、図2に示したように、ランプ移動ステージ5の上に配置した例を説明しているが、冷却ノズル6a及び6bとランプ固定部の相対位置を調整することが目的であるので、図3に示すように、ノズル移動ステージ10の取り付け位置は、照明装置1の内部に直接取り付けても何ら問題はない。
【0033】
以上、単一の種類のランプを光源として用いる照明装置に関して説明したが、例えば、複数のメーカーのランプを互換ランプとして使用可能な照明装置について考えた場合、同じ出力のランプであっても、詳細部の形状は各社各様であって、ランプは厳密に規格化されてはいないために、種類によっては微妙に特性が異なっている場合がある。ここで言う特性の違いとは、最適冷却条件、許容電力範囲、微小なアーク形状(放電灯の発光点の形状)差などを差すものであるが、ランプ2の交換の際にこのような条件の差が発生すると、冷却条件も、ランプの種類に合わせて調整しなければならない。
【0034】
更に、ショートアーク型水銀ランプの大きさが異なるランプに交換した場合は、もっと状況が厳しくなり、例えば1.5kWの出力のランプ長さ300mm、1.2kW出力のランプ長さ280mmというように20mmもの長さ差があるランプを使用する倍は、図1、図2及び図3に示すように、ノズル6a及び6bの距離が一定である構造では、ノズル6a及び6bの位置調整ができず、口金3a及び3bとノズル6a及び6bとの相対位置関係がずれてしまい、安定した冷却性能が得られなくなる。
【0035】
そこで、図4では、冷却ノズル6a及び6bをそれぞれ独立したノズル移動ステージ10a及び10b上に設け、照明装置1に配置することにより、ランプ移動ステージ5及びノズル移動ステージ10a及び10bそれぞれが単独駆動するため、大きさの異なるランプ2に交換しても、高精度な位置調整が可能な構造となり、口金3a及び3bとノズル6a及び6bとの相対位置関係を保つことができ、安定した冷却性能を得ることができる。
【0036】
もちろん、図1、図2及び図3と同様、照明装置1からマニホールド7間はフレキシブルチューブ8a及び8bで接続されており、ランプ移動ステージ5及びノズル移動ステージ10a及び10bの移動によって冷却手段に余分な力が加わることがない構造となっている。
【0037】
ここで、図5は、ランプ2周辺の構造を更に詳細に説明するための模式図である。本発明に係る照明装置1では、図5においてランプは、上述したように、ランプ固定部34上に固定されており、ランプの固定側口金部にはランプの品種コードが表示されている識別プレート11が取り付けられている。上述の品種コードはランプの輝点位置高さや、ランプの出力を記号化して表示してものであって、固定台34上に取り付けられた読取装置12によって読み取られた情報は主制御部13に転送されて、ランプの出力に合わせて、ランプに投入する電力の調整を行ったり、ランプに対する冷却条件の変更を行ったりするために用いられるとともに、一般にランプの製造上、誤差の生じる電極の取り付け位置やランプの品種ごとに変化する輝点の位置情報によりランプ移動ステージ5を移動せしめ、ランプの交換を行っても、常にランプの輝点と集光ミラー4の焦点の位置が一致するように自動調整が可能な構成となっている。
【0038】
ランプ2の交換手順に関して更に詳細に説明すると、まず、照明装置1において使用可能なショートアーク型水銀ランプは、1.5kW出力のものと1.2kW出力のものとを切り替え使用が可能となっており、1.5kWランプではランプ全長が300mm、ランプ固定部から輝点までの高さが150mm、一方、1.2kWランプでは全長が280mm、ランプ固定部から輝点までの高さが145mmとなっている。
【0039】
このように、ランプ2の形状が異なる場合であっても、本発明による照明装置1によれば、ランプ2を固定部34に装着するのみで、装着したランプ2の認識を行い、認識に応じた最適な使用条件を設定することを可能にしている。もし自動認識できない場合でも作業者が種類を入力するあるいは新規登録することで、種類の異なるランプ2にも柔軟に対応できる構造となっている。
【0040】
なお、ランプ2の種別認識センサは、例えば、光学的、磁気的、あるいは機械的なセンサを用いるようにしてもよい。この場合、ランプ2には、これらのセンサで識別可能な特徴部(マークもしくは形状)をもたせる。例えば、特徴的な立体形状や平面形状、あるいは模様、色彩、反射率、音声などを使用した特徴的なマークなどが考えられる。
【0041】
具体的な構成例としては、センサとしては高温度条件下で使用可能なファイバセンサを用い、ランプ2側には、上述のファイバセンサで検出する箇所に溝もしくは穴を設けるか、その箇所の反射率を変えるなどの方法を用いることができる。
【0042】
なお、ランプ2の種別認識にセンサを用いた場合に、ランプ2点灯時の高熱のためにセンシング精度が悪影響を受ける可能性があるが、ランプ2を点灯させる前の冷却時にセンサをランプ2に近接させてセンシングを行い、その後にランプ2から離すようにすれば問題ない。
【0043】
ランプ2の品種を識別する方法に関しては、上述のように識別ラベルを読み取ることによって実施される方法のほかに、例えば、特開平11−283998号公報において他の方法が提示されており、図7に示すように、ランプ2の口金3bをランプ固定台34に固定するための突起部に、品種毎に異なる溝71を形成しておき、同時に、固定台34には溝71を識別するための空気の流路72a及び72bを形成しておくことによって、ランプ2の品種を自動的に識別することが可能となっている。
【0044】
本発明の主旨は、ランプ2を識別した後に、ランプ2の種類に合わせて冷却ノズル6の位置を変更し、冷却条件を調整することであって、識別方法に関して限定を加えるものではないので、上述したように従来例のような方法で識別を行ってもよい。
【0045】
以上に説明したように、本発明に係る照明装置1によれば、ランプ2の交換等によって冷却する場所に変化が生じた場合であっても、冷却ノズル6a及び6bの位置をランプ2の位置に合わせて調整が可能となったため、所望の冷却条件を維持することが可能となっているが、図1に示す照明装置1では更に、冷却ノズル6a及び6bの先端部の材質に変更を加えている。
【0046】
上述したように、ランプ2のバルブ49の表面温度は500℃以上に達し、バルブ49や口金3a及び3bの付近に配置される冷却ノズル6a及び6bは熱の伝達を受けて温度が上昇するうえに、ランプ2から発せられる照明光の輻射によって更に過熱されるために、表面温度が数百℃に達する場合が考えられる。
【0047】
もちろん、ノズル6a及び6b内部には冷却用の圧縮空気が常に流れているために、ノズル6a及び6b自体も空冷されていて、温度の上昇は抑制されてはいるが、耐熱性を確保するために、アルミや、ステンレス、あるいは真鍮などの金属配管が一般に使用されている。
【0048】
特に、露光装置の光源として使用される水銀ランプを使用した照明装置の場合であれば、ランプ2の発する照明光は紫外線を含んでおり、樹脂製の材料を使用すると材料の劣化が発生し、ノズルが破損にいたる危険性があるという理由からも、金属材料が選定されるのが一般的である。
【0049】
しかし、ランプ2の出力電力が1から5kWという高出力ランプではランプ2の口金部3a及び3bにも高圧の電圧が付加されており、金属材料からなるノズル6a及び6nでは、放電の危険性があることから、近接して配置することが不可能である。
【0050】
一方、ランプ2の温度制御を考えると、口金部3a及び3bは低温に保ちつつ、バルブ49付近の温度は一定の高温状態に保つことが必要であるために、冷却場所を細かく分割して局所冷却を行うことが望ましく、図1に示す照明装置1では、冷却ノズル6a及び6bによって2箇所の異なる冷却エリアを設定しているが、より精密な冷却を行うのであれば、冷却エリアの数を増やし、かつ、ランプ2により近い位置から、冷却エアーを吹き付けた方がよい。従って、本発明による照明装置1では、冷却ノズル6a及び6bの先端に絶縁材料であるセラミクスを使用して冷却エリアである口金3a及び3bとの空気間隔を10mm以下まで近接させることを可能としている。
【0051】
冷却対称から離れた位置から、冷却エアーを吹き付けようとすると、ノズル出口での流量又は流速を大きくしないと、冷却対象部まで到達し難いが、上述のように近接した位置まで冷却ノズル6a及び6bを近づけることができれば、より少ない流量で冷却することが可能となる。しかも、図1に示すように、冷却ノズル6a及び6bは、一般に集光ミラー4の光路中に配置される場合が多く、冷却ノズル6a及び6bの配管が太ければ、照明光に影が生じて、照明光量が減少してしまうという欠点を生じている。本発明では、冷却ノズル6a及び6bの配管を細くする効果もあるため、冷却エアーなどの冷媒の流速及び流量の消費を節約することができるだけでなく、照明光の効率的な利用も可能としている。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0053】
【発明の効果】
本発明の照明装置によれば、ランプを光源として使用する照明装置において、ランプの製造誤差や品種変更に関わらず、集光ミラーの焦点位置とランプの輝点位置を一致させるように調整を行うことが可能となっている。また、ランプの製造誤差や品質変更に関わらず、ランプに対して常に最適な位置に冷却ノズルを配置することが可能となっている。従って、冷却条件を常に安定した状態に保つことができると共に、ランプとノズルとの間隔を小さく設定することが可能となって、冷却エアー等の冷媒の流量を必要以上に増やす必要がなくなっている。
【0054】
更に、かかる照明装置を構成した安全な露光装置が実現可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による照明装置の概略構成図である。
【図2】 本発明による照明装置の概略構成図である。
【図3】 本発明による照明装置の概略構成図である。
【図4】 本発明による照明装置の概略構成図である。
【図5】 図1に示すランプ周辺の構造を更に詳細に説明するための模式図である。
【図6】 本発明に係る照明装置を有する露光装置の概略構成図である。
【図7】 図1に示すランプの識別手段を示す概略断面図である。
【図8】 従来の照明装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 照明装置
2 ランプ
3a及び3b 口金
4 集光ミラー
5 ランプ移動ステージ
6a及び6b 冷却ノズル
7 マニホールド
8a及び8b フレキシブルチューブ
9a及び9b 流量調整弁
10 ノズル移動ステージ
34 ランプ固定台
47 電極
48 電極
49 バルブ
Claims (5)
- 冷媒を噴出するノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記ノズルから光源手段に吹き付けることにより、当該光源手段を冷却する照明装置であって、
前記光源手段及び前記ノズルは、移動可能な第1のステージ上に配置されており、前記第1のステージの移動により、前記光源手段と前記ノズルとの相対位置が一定のまま前記光源手段及び前記ノズルが移動することを特徴とする照明装置。 - 冷媒を噴出するノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記ノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、
前記光源手段は移動可能な第1のステージ上に配置されており、
前記ノズルは、前記第1のステージ上に配置された第2のステージ上に配置されており、前記光源手段の位置に対して、相対的に位置調整が可能であることを特徴とする照明装置。 - 冷媒を噴出するノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記ノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、
前記光源手段は移動可能な第1のステージ上に配置されており、
前記ノズルは、前記第1のステージ上以外の場所に配置された第3のステージ上に配置されており、前記ノズルと前記光源手段は、それぞれ独立して位置調整可能であることを特徴とする照明装置。 - 冷媒を噴出する複数のノズルと前記冷媒の流量を調整する流量調整手段とを備える冷却手段を有し、前記流量調整手段で調整した前記冷媒を、前記複数のノズルから光源手段に吹き付けて、当該光源手段を冷却する照明装置であって、
前記光源手段は、移動可能な第1のステージ上に配置されており、
前記複数のノズルのそれぞれは、移動可能な複数のステージのそれぞれに配置されており、
前記複数のノズルは、それぞれが独立して位置調整可能であることを特徴とする照明装置。 - 請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の照明装置を有することを特徴とする露光装置。
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