JP4904310B2 - ペプチド含有食品組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本願第一の発明は、
ホエイペプチドと、
椎茸エキスと、
イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを含有する、
ホエイペプチドの苦味・渋味が低減された液状食品又は飲料のための食品組成物、
である。本願第一の発明は、これに水又は熱湯を添加することにより飲料又はスープ等の液状食品とすることができる。
すなわち、本願第二の発明は、
前記食品組成物がさらに、酢酸を含有する請求項1に記載の食品組成物、
である。
すなわち、本願第三の発明は、
前記食品組成物がさらに、茶エキスを含有する請求項1又は2に記載の食品組成物、
である。
すなわち、本願第四の発明は、
請求項1ないし3のいずれか記載の食品組成物をカップ内に収納し、水又は熱湯を注ぐことにより喫食可能とした即席カップスープ又は飲料、
である。
すなわち、本願第五の発明は、
前記即席カップスープ又は飲料が、喫食可能状態において略透明の液性を呈するものである請求項4に記載の即席カップスープ又は飲料、
である。
本発明はホエイペプチドを含有させることを特徴とする。ホエイペプチドの原料としては、乳清たん白であるWPC(ホエイ・プロテイン・コンセントレート)、WPI(ホエイ・プロテイン・アイソレート)がある。ホエイペプチドは、これらの乳清たん白を酵素等で分解したものをいう。分解度は種々あるが分解度が低いと、乳臭が強くなり溶解後の液性が不透明(白濁)であるという傾向を有する。一方、分解度が高いと溶解時の液性が透明になるが、苦味・渋味が増加するという傾向を有する。このバランスより本願で用いるホエイペプチドは一般的には分解後の平均分子量が概ね5000以下であれば良い。また、平均分子量が概ね700〜1200程度であれば好ましい。
本発明者らの検討の結果、ホエイペプチドの苦味・渋味の感じ方には次のような傾向があることがわかった。(市販製品:平均分子量:700〜1200)を熱湯に溶解させて5重量%の水溶液を調製し、これを溜飲した。苦味・渋味のプロセスは概ね立ち上がりの部分(以下、先味と略称する)と残存する持続する部分(以下、後味と略称する)になる傾向にある。苦味と渋味の概ねのイメージ図について図1に記載する。
椎茸エキスは主として先味を効果的にマスキングすることができる。本発明にいう椎茸エキスとは一般には椎茸を水等で抽出したものを乾燥や濃縮したものをいう。椎茸エキスは粉末タイプについてはもちろんのこと、液状タイプでも利用することができる。椎茸エキスは、グアニル酸ナトリウムが含有されている点で後述する核酸と共通する部分があるが、グアニル酸ナトリウムとともに、椎茸の含有する香気成分・呈味成分が関係しているものと考えられる。
イノシン酸ナトリウム(IMP)及びグアニル酸ナトリウム(GMP)は主として後味を効果的にマスキングすることができる。イノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムの重量比は概ね10:1〜1:10の範囲内であればよい。また、5:3〜3:5の範囲内であれば好ましい。イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸の苦味・渋味の後味のマスキングについては、図3のイメージ図で説明される。イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムは後味の苦味・渋味を覆うような強度の味を呈しているものと考えられる。
酢酸は、飲溜後の全体に感じる軽い渋みを緩和するために用いる。酢酸特有の呈味が役立っているものと推定される。使用する酢酸としては、液状の酢酸はもちろんのこと、粉末状の酢酸も利用することができる。酢酸の含有量は、ホエイペプチドの分解度(平均分子量)やその添加量によっても異なる。例えば、ホエイペプチド(平均分子量:700〜1200)を喫食時の最終濃度として、3重量%〜7重量%程度含有する場合であれば、喫食時の液状食品又は飲料中に酢酸の濃度が0.05重量%〜0.35重量%程度の範囲内にあれば好適である。
茶エキスは、苦味・渋味全体の強度を下げるために用いる。茶エキスとは、一般には原料となる茶を水等で抽出し、これを乾燥や濃縮したものをいう。原料としては緑茶、ウーロン茶、紅茶等の種類を原料とすることができる。茶エキス自体も渋みを有するが、添加量が少ないとペプチドの渋みを効果的に低減し、茶自体の渋みはほとんど抑えられる。茶エキスについては、特に緑茶の抽出物が苦味・渋味を抑制し、味に影響を与えないので好ましい。
本発明においては、例えば、液状食品としての即席カップスープであれば、本発明の構成成分以外に他の種々の原材料や具材となる成分を含有する。すなわち、椎茸エキス、イノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウム、酢酸、茶エキスの単独以外に、飲料や液状食品に付与したい味に応じた他の種々の原材料や具材となる成分を添加することができる。この場合、これらの他の成分が椎茸エキス、イノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウム、酢酸、茶エキスをその一部として含有している場合には、これらの他の成分も含めて本発明の食品組成物を構成する。
本発明にいう液状食品としてはスープが挙げられる。スープの種類については、透明系のスープにあるという点以外は特に限定されず、和風・洋風・中華風等の様々な種類のタイプが可能である。すなわち、本発明の食品組成物をベースとしてこれに好みの味に寄与する他の成分を加えることで様々なバリエーションのスープとすることができる。具体的には、ロシア風のボルシチ、中華風のサンラータン又はタイ風のトムヤンクン等が挙げられる。尚、液状食品のスープとしては、熱湯で溶解する即席タイプのものに限らず、液状状態のスープをパウチに封入したものや、レトルトパウチに封入して殺菌処理して長期保存可能としたものも可能である。
本願発明は、飲料にも利用できる。具体的には、高タンパク含量でありながら透明な液性となるダイエット飲料等として利用することができる。
本発明の食品組成物を利用することで、ダイエット用の高タンパク低カロリー透明系の液状食品(スープ)又は飲料が可能となる。
すなわち、一般に食事代替食品として利用する場合には、成人が1日に摂取推定必要なタンパク量を60gとした場合、総タンパク量として20g程度を確保することが必要となるが、本発明の食品組成物を利用すれば、これらのタンパク量の大半を補うことができる。
本発明はスープや飲料等の液状食品として広く利用することができる。特に、熱湯を注湯するだけで喫食できる即席スープの原料組成物として好適に利用できる。具体的には本発明は注湯前の原料として構成されていればよく、喫食時の液状状態において椎茸エキス、イノシン酸ナトリウム・グアニル酸ナトリウム、又は、これにさらに酢酸、茶エキスを含有する組成となるように調製されていればよい。また、その他の添加物として小麦粉、塩、水の他に種々の添加剤を用いることができる。具体的には、アルコール、酢酸、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムなどの保存料や酸味料を添加することもできる。
ホエイペプチドの苦味を低減させるために、各種メーカーの添加物等を試験した。試験した添加物の一部について以下に記載する。このように種々の添加物等を試験することで、ホエイペプチド苦味・渋味をマスキングする物質の検索を行った。試験方法は以下のように行った。ホエイペプチド(市販製品:平均分子量:700〜1200)に下記の各成分をホエイペプチド1重量部に対して、0.01〜0.1重量部となるように添加し、ホエイペプチドの濃度が5重量%となるように熱湯に溶解し、攪拌後に溜飲した。
マスキングの効果については、以下の表1で示す。尚、マスキングの評価は以下の基準で行った。
△:改善効果多少あり→先味、後味等のいずれかの面で添加しない場合と比較して苦味又は渋味をマスキングする有意な差があるが弱いもの
×:改善効果なし→先味、後味等のいずれの面で添加しない場合と比較して苦味又は渋味をマスキングする有意な差がなかったもの
強い甘み、強い酸味以外のマスキングにおいて、苦味抑制物質として知られている添加物でもホエイペプチドにおいて有意な差は認められない場合があった。また、1種類の苦味低減物質ではペプチドの苦味・渋みを完全に除去することはできなかった。このため、先味・後味の各段階において組み合わせて苦味・渋味を抑制する方法が必要であることが判明した。
苦味・渋味の抑制に寄与する濃度範囲について検討するために以下の実験を行った。ホエイペプチド(市販製品:平均分子量:700〜1200)の5重量%水溶液の苦味・渋味低減のために、椎茸エキス(市販製品)、イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウム(市販製品 IMP:GMP=1:1の配合割合)、酢酸(市販製品)、緑茶エキス(市販製品)を予め添加しておき、それぞれの成分について好ましい濃度範囲を検討した。尚、椎茸エキス・緑茶エキスについてはエキス分に換算した値を示す。
(2)イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウム
Claims (5)
- ホエイペプチドと、
椎茸エキスと、
イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムを含有する、
ホエイペプチドの苦味・渋味が低減された液状食品又は飲料のための食品組成物であって、
喫食時のホエイペプチドの濃度が、3重量%〜7重量%において、
椎茸エキスの濃度が、0.075重量%〜0.175重量%の範囲内であり、
イノシン酸ナトリウム及びグアニル酸ナトリウムの濃度が0.2重量%〜0.55重量%となるように調整される液状食品又は飲料のための食品組成物。 - 前記食品組成物がさらに、酢酸を含有する請求項1に記載の食品組成物。
- 前記食品組成物がさらに、茶エキスを含有する請求項1又は2に記載の食品組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか記載の食品組成物をカップ内に収納し、水又は熱湯を注ぐことにより喫食可能とした即席カップスープ又は飲料。
- 前記即席カップスープ又は飲料が、喫食状態において略透明の液性を呈するものである請求項4に記載の即席カップスープ又は飲料。
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