JP4903305B2 - テープカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープが巻回された単一のテープリールをケース本体内に回転可能に収容した1リールタイプのテープカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のテープカートリッジとして、特開2000−67560号公報に開示された磁気テープカートリッジ(1)が従来から知られている。この磁気テープカートリッジ(1)は、上ケース(31)および下ケース(32)からなるカートリッジケース(3)内に、データ記録用の磁気テープが巻回された単一のリール(2)と、リール(2)の回転を制止する制止部材(4)と、制止部材(4)によるリール(2)の回転制止を解除する解除部材(6)とが収納されて構成されている。
【0003】
リール(2)は、有底円筒状のリールハブ(21)に上フランジ(23)および下フランジ(22)が取り付けられると共に、リールハブ(21)の周囲に磁気テープが巻回された状態でカートリッジケース(3)の内部に収納される。この場合、リールハブ(21)の底面には、解除部材(6)の3本の脚部(63)がそれぞれ挿通可能な3つの挿通孔(26)が形成されている。また、リールハブ(21)の底面には、制止部材(4)の制止用ギア(42)が噛合可能なギアが先端部に形成された6本の係止突起(27)が立設されている。さらに、リールハブ(21)の底面裏面には、記録再生装置における回転シャフト(12)の上面に形成された駆動ギア(13)が噛合可能なリールギア(24)が形成されると共に、磁力によってリール(2)を回転シャフト(12)に吸着させるためのリールプレート(25)が取り付けられている。また、制止部材(4)には、前述した制止用ギア(42)が底面に形成されると共に、突起部(44)が上面に立設され、この突起部(44)には、上ケース(31)の内面に形成された回り止め突起(33)が係合可能な係止溝(45)が形成されている。さらに、制止部材(4)は、制止用ギア(42)および突起部(44)が樹脂成形によって円盤部(41)と一体成形され、回り止め突起(33)によって上ケース(31)に対して回転不能で上下動のみが可能に取り付けられている。また、制止部材(4)は、付勢部材(5)によってリール(2)に向けて常時付勢されることにより、解除部材(6)に常時接触させられている。この場合、解除部材(6)における制止部材(4)の底面中心に当接する部位には、低摩擦特性の樹脂で形成された摺動接触部(62)が取り付けられている。
【0004】
この磁気テープカートリッジ(1)では、前述したように、カートリッジケース(3)内において、制止部材(4)が、付勢部材(5)によってリール(2)に向けて常時付勢されている。このため、磁気テープカートリッジ(1)が、記録再生装置から取り出された状態では、制止部材(4)の制止用ギア(42)が、リールハブ(21)における係止突起(27)の先端部に噛合することにより、カートリッジケース(3)内におけるリールハブ(21)の回転が制止される。この状態では、解除部材(6)が制止部材(4)と共にリールハブ(21)の底面に向けて付勢され、これにより、解除部材(6)の脚部(63)が挿通孔(26)からリールハブ(21)の底面裏面側に突出させられる。一方、磁気テープカートリッジ(1)が、記録再生装置に装填された際には、回転シャフト(12)が磁力によってリール(2)のリールプレート(25)に吸着する結果、回転シャフト(12)の駆動ギア(13)と、リールハブ(21)のリールギア(24)とが噛合する。この際には、駆動ギア(13)によって解除部材(6)の脚部(63)が押し上げられることにより、制止部材(4)が摺動接触部(62)を介して上ケース(31)の内面側に向けて押し上げられる。この結果、制止部材(4)の制止用ギア(42)と、リールハブ(21)の係止突起(27)との噛合が解除され、リール(2)が回転可能な状態となる。この後、リール(2)に巻回された磁気テープが記録再生装置によってカートリッジケース(3)の外部に引き出され、その磁気テープに対する各種記録データの記録または読出しが実行される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の磁気テープカートリッジ(1)には、以下の問題点がある。すなわち、従来の磁気テープカートリッジ(1)では、解除部材(6)が回転シャフト(12)によって押し上げられることにより、制止部材(4)が摺動接触部(62)を介して押し上げられ、この結果、制止用ギア(42)と係止突起(27)との噛合が解除されて、リール(2)が回転可能な状態となる。また、磁気テープのカートリッジケース(3)外への引出し、またはカートリッジケース(3)内への巻戻しによってリール(2)が回転させられたときには、解除部材(6)がリール(2)と共に回転させられる。この場合、制止部材(4)が付勢部材(5)によってリール(2)に向けて常時付勢されているため、リール(2)の回転時には、解除部材(6)は、摺動接触部(62)と制止部材(4)の底面中央部とが接触した状態で回転させられる。一方、従来の磁気テープカートリッジ(1)では、制止部材(4)および摺動接触部(62)の両者が樹脂で形成されているため、磁気テープの引出し、巻戻しを繰り返した場合、制止部材(4)および摺動接触部(62)のいずれかが面荒れする結果、制止部材(4)に対する解除部材(6)の摺動抵抗が大きくなる。したがって、従来の磁気テープカートリッジ(1)には、解除部材(6)の摺動抵抗が大きくなることに起因して、リール(2)のスムーズな回転が妨げられて、磁気テープの安定した走行を確保するのが困難となるという問題点がある。
【0006】
また、磁気テープの引出し、巻戻しを数多く繰り返した場合、制止部材(4)および摺動接触部(62)のいずれかが大きく摩耗する。かかる場合には、解除部材(6)が回転シャフト(12)によって押し上げられた際に、摺動接触部(62)が制止部材(4)を十分に押し上げることができなくなる。このため、従来の磁気テープカートリッジ(1)には、その摩耗に起因して、制止用ギア(42)と係止突起(27)との噛合が解除されずに、リール(2)が回転不能となるという問題点も存在する。
【0007】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、テープリールのスムーズな回転を長期間に亘って維持し、かつブレーキ機構によるテープリールの回転制止を確実に解除し得るテープカートリッジを提供することを主目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく請求項1記載のテープカートリッジは、上ケースおよび下ケースから構成されるケース本体と、有底円筒状のハブに一対のフランジが取り付けられると共に当該ハブにテープが巻回された状態で前記ケース本体の内部に収納される単一のテープリールと、前記テープリールの回転を制止するブレーキ機構とを備え、前記ブレーキ機構は、前記ハブの底面から当該ハブの開口部側に移動可能に当該底面に配設されるブレーキ解除板と、その接触面が前記ブレーキ解除板の接触面に対して接触可能に前記上ケース側から当該ハブの底面に向けて付勢されるロック部材とを備え、前記ブレーキ解除板が前記ハブの底面側に位置するときに当該底面に配置されている歯部と前記ロック部材とが互いに係合して前記テープリールの回転を制止すると共に、前記ブレーキ解除板が前記ハブの前記開口部側に位置するときに前記歯部と前記ロック部材との係合が解除されて当該ブレーキ解除板の前記接触面と当該ロック部材の前記接触面とが互いに接触し合った状態で前記テープリールの回転を許容するテープカートリッジであって、前記ロック部材は、その前記接触面が樹脂で形成され、前記ブレーキ解除板は、樹脂製の解除板本体、および前記接触面を形成する金属製部材を備え、前記解除板本体には、前記金属製部材を取り付けるための3つの係合用孔が形成されると共に、当該金属製部材の離脱を回避する係合用凸部が当該各係合用孔にそれぞれ形成され、前記金属製部材には、前記解除板本体における前記各係合用孔に係合可能な3つの係合用爪部が形成され、前記金属製部材の前記各係合用爪部を前記解除板本体の前記各係合用孔に押し込んで嵌め込むことによって当該解除板本体に当該金属製部材が取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載のテープカートリッジは、請求項1記載のテープカートリッジにおいて、前記金属製部材は、ニッケル−燐皮膜内にポリテトラフルオロエチレンの微粒子を分散させた表面メッキ処理が施されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るテープカートリッジの好適な実施の形態について説明する。
【0011】
最初に、テープカートリッジ1の構成について、図面を参照して説明する。
【0012】
テープカートリッジ1は、例えば電子計算機の主記録媒体に記録された記録データのバックアップメディアとして使用される1リールタイプのカートリッジ式記録媒体であって、図1に示すように、ケース本体2、テープリール3、ロック部材4、スプリング5、ブレーキ解除板6およびピン部材7を備えている。なお、テープリール3には、磁気テープが巻回されているが、本発明の実施の形態では、各部の構成についての理解を容易とするために、その図示を省略する。また、磁気テープの先端はピン部材7に巻き付けられて留め具7aで固定されている。また、ピン部材7は、記録再生装置内のテープの走行路に沿ってテープ巻取りリールまでその記録再生装置によって移動させられる際に、磁気テープをその巻取りリールに案内する。
【0013】
ケース本体2は、それぞれ浅皿状に形成され互いに嵌合可能な上ケース11および下ケース12と、嵌合状態の上ケース11および下ケース12によって形成されるテープ引出し口2aを閉塞可能なシャッタ部材2bとを備えている。また、上ケース11には、図2に示すように、回転不能で上下動が許容される状態でロック部材4を取り付けるための4本のガイド突起11a,11a・・が、その内面に立設されている。また、図1に示すように、下ケース12には、記録再生装置の駆動用シャフトS(図8参照)を挿通可能とする挿通用孔12aが形成されている。
【0014】
テープリール3は、ハブ15、上フランジ16、下フランジ17および金属板18を備えている。ハブ15は、周囲に磁気テープを巻回可能な有底円筒状に形成され、下フランジ17と一体成形されている。また、ハブ15には、図3(a)に示すように、ロック部材4と噛合する歯部15aが底面に形成されると共に、ブレーキ解除板6を上下動可能に取り付けるための3つの挿通用孔15b,15b,15bが下フランジ17の裏面(同図(b)参照)まで連通形成されている。また、図1に示すように、上フランジ16には、ロック部材4およびブレーキ解除板6の挿通を可能とする挿通孔16aが形成されている。さらに、図3(b)に示すように、下フランジ17には、記録再生装置における駆動用シャフトSの駆動用歯部と噛合する駆動用歯部17aが形成され、その内側のハブ15の裏面には、図1に示すように、テープリール3を磁力によって駆動用シャフトSに吸着させるための金属板18が取り付けられる。
【0015】
ロック部材4は、図4(a)に示すように、その底面に、ハブ15の歯部15aに噛合可能な歯部4aと、ブレーキ解除板6の中央部に当接可能な突起4bとが形成されて構成されると共に、同図(b)に示すように、その上面に、十字形の位置決め用突起4cが立設されて構成されている。この場合、突起4bは、歯部4aとブレーキ解除板6との接触を阻止するスペーサとしての機能を有すると共に、ブレーキ解除板6にロック部材4を点的接触させることにより、後述するように、ブレーキ解除板6がテープリール3と共に回転する際の摺動抵抗を軽減する機能を有する。また、位置決め用突起4cには、上ケース11における4本のガイド突起11a,11a・・を挿入可能な十字形のガイド溝4dが形成されている。また、ロック部材4は、ガイド溝4dに突起11a,11a・・が挿入されることにより、上ケース11に対して回転不能で上下動が可能に取り付けられると共に、テープリール3におけるハブ15の底面に向けて(ブレーキ位置に向けて)スプリング5によって常時付勢されている。
【0016】
ブレーキ解除板6は、図5に示すように、樹脂製の解除板本体21と、ステンレス板に表面メッキ処理を施した円板22とが一体的に組み立てられて構成されている。また、ブレーキ解除板6は、回転不能でかつ上下動可能にハブ15の内側に取り付けられ、テープリール3の回転時には、ハブ15と共に回転させられる。解除板本体21は、図6(a),(b)に示すように、その上面に、円板22を取り付けるための3つの係合用孔21a,21a,21aが形成され、かつ、その裏面に、ハブ15の挿通用孔15b,15b,15bに挿通可能な3本の脚部21b,21b,21bが立設されて構成されている。この場合、係合用孔21aは、図7に示すように、その表面から裏面に亘って連通形成されて、その表面側には、孔の中心側に突出して円板22の離脱を回避する離脱回避用部材としての係合用凸部21cが形成されている。一方、円板22は、本発明における金属製部材に相当し、図6に示すように、解除板本体21の係合用孔21a,21a,21aに係合可能な「く」の字状の係合用爪部22a,22a,22aが形成されて全体として平板状に形成されている。このブレーキ解除板6では、解除板本体21の係合用凸部21cは、係合用孔21a側に突出し、かつその上部が係合用孔21aの内部に向けて徐々に傾斜させられている。このため、解除板本体21の上面側から円板22の係合用爪部22aが係合用孔21aに押し込まれた際には、その係合用爪部22aが変形しつつ係合用孔21a内に入り込んで嵌め込まれる。したがって、係合用凸部21cの上部を傾斜面に形成することにより、解除板本体21に円板22を容易に嵌め込むことができる結果、ブレーキ解除板6の組立性を向上させることができる。また、円板22が解除板本体21に嵌め込まれた状態では、係合用爪部22aの上部の傾斜面と係合用凸部21cの下端部(最も突出した部分)とが係合する。したがって、この状態では、解除板本体21からの円板22の離脱が確実に回避される。さらに、円板22は、ステンレスの薄板を所定形状に打ち抜いた後に、粒径1μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微粒子をニッケル−燐皮膜内に均一に分散させた表面メッキ処理(無電解ニッケル−燐/PTFE複合めっきプロセス)が施されている。このため、この円板22は、摩擦係数が極めて小さく、かつ耐摩耗性に優れている。したがって、テープリール3の回転時におけるロック部材4の突起4bとの間での摺動抵抗がより軽減され、しかも、長期間に亘ってのテープリール3のスムーズな回転が維持される。なお、ロック部材4、スプリング5およびブレーキ解除板6によって本発明におけるブレーキ機構BMが構成される。
【0017】
次に、使用時におけるテープカートリッジ1内部での動作について、図面を参照して説明する。
【0018】
このテープカートリッジ1が記録再生装置から取り出された状態では、図8に示すように、ケース本体2内において、ロック部材4がスプリング5によってハブ15の底面に向けて(ブレーキ位置に向けて)常時付勢されている。このため、ブレーキ解除板6の脚部21b,21b,21bが、ハブ15の挿通用孔15b,15b,15bから下フランジ17の裏面側に突出させられる。この状態では、ロック部材4の歯部4aが、テープリール3の歯部15aに噛合する。また、上ケース11のガイド突起11a,11a・・がロック部材4のガイド溝4dに挿入されているため、上ケース11に対するロック部材4の回転が制止されている。このため、この状態では、ケース本体2内におけるテープリール3の回転がロック部材4によって制止される。したがって、テープリール3に巻回された磁気テープのケース本体2内における弛みや巻き崩れが防止される。また、この状態では、ロック部材4がスプリング5によって付勢されているため、ロック部材4の突起4bがブレーキ解除板6の円板22に点的接触し、かつ、ブレーキ解除板6が、ロック部材4と共にハブ15の底面に向けて付勢されている。
【0019】
一方、テープカートリッジ1が記録再生装置に装填された際には、記録再生装置によってシャッタ部材2bがスライドされられてテープ引出し口2aが開口される。次に、図9に示すように、駆動用シャフトSが磁力によってテープリール3の金属板18に吸着する結果、駆動用シャフトSの駆動用歯部と、テープリール3の駆動用歯部17aとが噛合する。この際には、ロック部材4の突起4bがブレーキ解除板6の円板22に点的接触した状態を維持しつつ、ブレーキ解除板6の脚部21b,21b,21bが駆動用シャフトSによって上ケース11側に押し上げられる。このため、ロック部材4がガイド突起11a,11a・・のガイドに従って上ケース11の内面側に向けて押し上げられる。この結果、ロック部材4の歯部4aと、ハブ15の歯部15aとの噛合が解除され、テープリール3が回転可能な状態となる。この後、駆動用シャフトSの回転に応じてテープリール3が回転する。この際には、テープリール3に巻回された磁気テープが記録再生装置によってテープ引出し口2aからケース本体2の外部に引き出され、これにより、その磁気テープに対する各種記録データの記録または読み出しが実行される。
【0020】
また、磁気テープがケース本体2の外部に引き出されたり、ケース本体2の内部に巻き戻されたりして、テープリール3が回転した場合、ブレーキ解除板6は、その円板22とロック部材4の突起4bとが互いに点的接触した状態で、テープリール3と共に回転する。この場合、このテープカートリッジ1では、突起4bを含むロック部材4が全体として樹脂で形成され、かつ円板22がステンレス板にメッキ処理を施して形成されている。このため、従来の磁気テープカートリッジ(1)における制止部材(4)およびブレーキ解除板(6)のように両者が樹脂で形成された構成と比較して、ロック部材4に対するブレーキ解除板6の摺動抵抗が軽減されている。また、ステンレス板単体、または他の金属を用いた構成と比較して、錆の発生が確実に防止されている。このため、錆によってテープリール3のスムーズな回転が妨げられることがなく、テープリール3のスムーズな回転を長期間に亘って担保することができる。
【0021】
このように、このテープカートリッジ1によれば、テープリール3をスムーズに回転させることができる結果、磁気テープの安定した走行を確保することができる。また、磁気テープの引出しおよび巻戻しを繰り返した場合であっても、突起4bや円板22の面荒れを回避することができるため、ロック部材4に対するブレーキ解除板6の摺動抵抗が殆ど変化しない結果、テープリール3のスムーズな回転が長期間に亘って維持される。さらに、突起4bが殆ど摩耗しないため、ブレーキ解除板6が駆動用シャフトSによって押し上げられた際に、ロック部材4も突起4bを介して必要かつ十分に押し上げられる結果、歯部4aと歯部15aとの噛合が確実に解除される。したがって、ブレーキ解除板6が駆動用シャフトSによって押し上げられた状態では、テープリール3を確実かつ円滑に回転させることができる。なお、発明者は、ケース本体2から磁気テープを10m引き出し、再びケース本体2に巻き戻すという操作を25000回に亘って繰り返した場合であっても、突起4bや円板22に面荒れが発生せず、また突起4bに摩耗の発生が認められないことを確認している。
【0022】
また、インサート成形によって解除板本体21内に円板22を埋設する構成を採用することも考えられるが、インサート成形の場合には、金型内に金属製部材をいちいちセットしてから成形しなければならないため、このセットに要する時間的コストが高騰すると共に特別の設備が必要となる。これに対して、このテープカートリッジ1によれば、予め成形した解除板本体21に円板22を嵌め込んで後付けするだけでブレーキ解除板6を製造できるため、特別な設備を必要とすることなく、ブレーキ解除板6を安価に製造することができる。
【0023】
なお、ブレーキ解除板6の解除板本体21に円板22を取り付けると共に、この円板22に接触する突起4bをロック部材4の底面に形成した例を挙げて説明したが、金属製部材の取り付け位置はこれに限定されず、解除板本体21に突起4bを形成すると共に、ロック部材4の下面に円板22を取り付けることもできる。また、ロック部材4の裏面に、突起4bに代えて、嵌合用孔を形成してその嵌合用孔に金属球を嵌め込み、かつ円板22を用いることなく、ロック部材4に対するブレーキ解除板6の接触面を樹脂で形成してもよい。これらの構成を採用した場合であっても、テープカートリッジ1と同様にして、ロック部材4とブレーキ解除板6との接触面の面荒れや摩耗を確実に防止することができる結果、長期間に亘ってテープリール3のスムーズな回転を維持することができる。この場合、金属製部材を接着によって解除板本体21またはブレーキ解除板6に取り付けた構成と比較して、接着剤のコストを不要にできるため、テープカートリッジ1で採用した嵌め込みの構成を採用するのが好ましい。また、本発明の実施の形態では、ステンレス板に表面メッキ処理を施して円板22を形成する例を挙げて説明したが、本発明における金属製部材の製作方法はこれに限定されない。例えば、表面メッキ処理を施さないステンレス板で円板22を形成してもよいし、ステンレス以外の金属を用いて円板22を形成することもできる。また、表面メッキ処理についても、上記した表面メッキ処理に限定されず、各種の無電解メッキ処理および電解メッキ処理を採用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載のテープカートリッジによれば、ロック部材の接触面を樹脂で形成すると共に、ブレーキ解除板の解除板本体に接触面を形成する金属製部材を取り付けたことにより、テープリールの回転時におけるブレーキ解除板とロック部材との接触面における面荒れの発生を防止することができると共に、ブレーキ解除板およびロック部材間の摺動抵抗を軽減できる結果、テープリールのスムーズな回転を長期間に亘って維持することができる。また、ブレーキ解除板とロック部材との接触面の摩耗を防止できるため、ロック部材をブレーキ解除板によって確実に押し上げることができる。この結果、ブレーキ機構を確実に解除できるため、テープの回転時には、テープリールを確実に回転させることができる。さらに、予め成形したブレーキ解除板の解除板本体に対して金属製部材を嵌め込んで後付けするだけでブレーキ解除板を製造できるため、特別な設備を必要とすることなく、ブレーキ解除板を安価に製造することができると共に、接着剤のコストを不要にできる。
【0025】
また、請求項2記載のテープカートリッジによれば、ニッケル−燐皮膜内にポリテトラフルオロエチレンの微粒子を分散させた表面メッキ処理を金属製部材に施したことにより、テープリールの回転時でのブレーキ解除板とロック部材との接触面における面荒れおよび摩耗の発生をより確実に防止することができると共に、ブレーキ解除板およびロック部材間の摺動抵抗をさらに軽減できる結果、テープリールをさらにスムーズに回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るテープカートリッジ1の分解斜視図である。
【図2】上ケース11の内面を示す斜視図である。
【図3】(a)はハブ15および下フランジ17を上ケース11側から見た斜視図、(b)はハブ15および下フランジ17を裏面側(下ケース12側)から見た斜視図である。
【図4】(a)はロック部材4を下方側(下ケース12側)から見た斜視図、(b)はロック部材4を上方側(上ケース11側)から見た斜視図である。
【図5】組立て状態におけるブレーキ解除板6の外観斜視図である。
【図6】(a)はブレーキ解除板6を上方側(上ケース11側)から見た分解斜視図、(b)はブレーキ解除板6を下方側(下ケース12側)から見た分解斜視図である。
【図7】ブレーキ解除板6の構成を示す図6(a)のA−A線断面図である。
【図8】 記録再生装置から取り出された状態(ロック部材4によってテープリール3の回転が制止された状態)のテープカートリッジ1の断面図である。
【図9】記録再生装置に装填された状態(ロック部材4によるテープリール3の回転制止が解除された状態)のテープカートリッジ1の断面図である。
【符号の説明】
1 テープカートリッジ
2 ケース本体
3 テープリール
4 ロック部材
4a,15a 歯部
4b 突起
5 スプリング
6 ブレーキ解除板
11 上ケース
12 下ケース
15 ハブ
15a 歯部
16 上フランジ
17 下フランジ
17a 駆動用歯部
21 解除板本体
21a 係合用孔
22 円板
22a 係合用爪部
BM ブレーキ機構
S 駆動用シャフト
Claims (2)
- 上ケースおよび下ケースから構成されるケース本体と、有底円筒状のハブに一対のフランジが取り付けられると共に当該ハブにテープが巻回された状態で前記ケース本体の内部に収納される単一のテープリールと、前記テープリールの回転を制止するブレーキ機構とを備え、
前記ブレーキ機構は、前記ハブの底面から当該ハブの開口部側に移動可能に当該底面に配設されるブレーキ解除板と、その接触面が前記ブレーキ解除板の接触面に対して接触可能に前記上ケース側から当該ハブの底面に向けて付勢されるロック部材とを備え、前記ブレーキ解除板が前記ハブの底面側に位置するときに当該底面に配置されている歯部と前記ロック部材とが互いに係合して前記テープリールの回転を制止すると共に、前記ブレーキ解除板が前記ハブの前記開口部側に位置するときに前記歯部と前記ロック部材との係合が解除されて当該ブレーキ解除板の前記接触面と当該ロック部材の前記接触面とが互いに接触し合った状態で前記テープリールの回転を許容するテープカートリッジであって、
前記ロック部材は、その前記接触面が樹脂で形成され、
前記ブレーキ解除板は、樹脂製の解除板本体、および前記接触面を形成する金属製部材を備え、
前記解除板本体には、前記金属製部材を取り付けるための3つの係合用孔が形成されると共に、当該金属製部材の離脱を回避する係合用凸部が当該各係合用孔にそれぞれ形成され、
前記金属製部材には、前記解除板本体における前記各係合用孔に係合可能な3つの係合用爪部が形成され、
前記金属製部材の前記各係合用爪部を前記解除板本体の前記各係合用孔に押し込んで嵌め込むことによって当該解除板本体に当該金属製部材が取り付けられていることを特徴とするテープカートリッジ。 - 前記金属製部材は、ニッケル−燐皮膜内にポリテトラフルオロエチレンの微粒子を分散させた表面メッキ処理が施されていることを特徴とする請求項1記載のテープカートリッジ。
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