JP4902632B2 - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関から排出される排ガスを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置に関する。
従来、この種の内燃機関の排ガス浄化装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この内燃機関は、複数の気筒と、吸気通路に設けられた燃料噴射弁を有しており、排ガス浄化装置は、内燃機関の排気通路に設けられた、排ガス浄化用の触媒を有している。また、排ガス浄化装置では、内燃機関の低温始動時、触媒を迅速に活性化すべく、排ガス中の酸素濃度を理論空燃比での運転時よりも高めるために、燃料噴射弁を制御することによって、複数の気筒に供給される混合気の空燃比が、一部の気筒については理論空燃比よりもリッチ側に制御され、他の気筒についてはリーン側に制御される。
しかし、この従来の排ガス浄化装置では、触媒の迅速な活性化のために、一部の気筒および他の気筒の空燃比を、リッチ側およびリーン側にそれぞれ制御するので、触媒が活性化されていないにもかかわらず、HCやCOなどの有害物質の濃度が高い排ガスと、酸素濃度が高い排ガスが、交互に触媒に流入する。その結果、これらの有害物質を触媒で十分に浄化できず、排ガス特性が悪化するおそれがある。また、従来の排ガス浄化装置において、白金やパラジウム、ロジウムなどから成る一般的な触媒を用いた場合には、活性化されるまでは、触媒において、排ガス中のCOなどが十分に酸化しないため、酸化反応に伴って発生する熱量が小さく、触媒を適切に昇温できないことと、触媒の活性化温度が比較的高いことから、活性化するまでに時間がかかり、その結果、排ガス特性がさらに悪化するおそれがある。同じ理由から、触媒の活性化に必要な燃料量が多くなり、内燃機関の燃費が悪化してしまう。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、触媒を迅速に活性化することにより、排ガス特性および内燃機関の燃費を向上させることができる内燃機関の排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
特許第3577795号公報
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、気筒3a、吸気系(実施形態における(以下、本項において同じ)吸気管4)および排気系(排気管5)を有する内燃機関3の排ガスを浄化する内燃機関3の排ガス浄化装置1であって、セリウム含有酸化物を主成分とし、セリウム含有酸化物に担持されたパラジウムおよび亜鉛を含み、排気系に設けられ、排ガスを浄化する触媒11と、触媒11が活性状態にあるか否かを判定する触媒活性化判定手段(ECU2、ステップ38、42)と、触媒11の温度を表す触媒温度パラメータ(積算吸入空気量QGAIR)を検出する触媒温度パラメータ検出手段(ECU2、ステップ37)と、触媒活性化判定手段によって触媒11が活性状態にないと判定されており(ステップ38:YES)、かつ、検出された触媒温度パラメータで表される触媒11の温度が所定温度(第2所定値QGCAT_L)以上のとき(ステップ39:YES)に、圧縮行程中に気筒3a内に燃料を噴射する圧縮行程噴射と、吸気行程中に気筒3a内および吸気系内の一方に燃料を噴射する吸気行程噴射との双方を実行する燃料噴射手段(インジェクタ6、ECU2、ステップ4)と、を備え、圧縮行程噴射用の燃料噴射時間TIMCDN3は、触媒温度パラメータに応じて算出されることを特徴とする。
この内燃機関の排ガス浄化装置によれば、セリウム含有酸化物を主成分とし、セリウム含有酸化物に担持されたパラジウムおよび亜鉛を含む触媒が、内燃機関の排気系に設けられている。この触媒は、本出願人により出願された特願2008−063327号の明細書に記載されたのと同様のものである。同明細書に記載されているように、この触媒は、セリウム含有酸化物に亜鉛が担持されていることを特徴としており、この特徴によって、排ガス中のCOを浄化可能な温度が、触媒の活性化温度(HCやNOxなども浄化可能な温度)よりも低く、また、他の一般的な触媒よりも低いという特性を有する。
また、上述した構成によれば、上記の触媒が活性状態にあるか否かが、触媒活性化判定手段により判定されるとともに、触媒の温度を表す触媒温度パラメータが、触媒温度パラメータ検出手段によって検出される。さらに、触媒が活性状態にないと判定され、かつ、検出された触媒温度パラメータで表される触媒の温度が所定温度以上のときに、圧縮行程中に気筒内に燃料を噴射する圧縮行程噴射と、吸気行程中に気筒内および吸気系内の一方に燃料を噴射する吸気行程噴射との双方が、燃料噴射手段によって実行される。この圧縮行程噴射を実行することによって、空燃比がリッチな混合気を、気筒内に局所的に生成できるので、排気系に排出されるO2およびCOの濃度を増大させることができる。
このため、例えば、上記の所定温度を、触媒がCOを浄化可能な温度に設定することにより、触媒において、圧縮行程噴射で増大したO2およびCOを反応させることができ、したがって、COを浄化できるとともに、触媒を昇温することができる。この場合、上述したように排ガス中のCOを浄化可能な触媒の温度が低いので、触媒が比較的低温の状態にある場合でも、触媒でO2およびCOを十分に反応させ、触媒を、適切に昇温でき、迅速に活性化することができる。これにより、COのみならず、HCやNOxなどの有害物質も十分に浄化できるので、排ガス特性を向上させることができる。同じ理由から、触媒の活性化に必要な燃料量を低減でき、したがって、燃費を向上させることができる。
また、上述した燃料噴射手段による触媒の昇温中、前述した従来の場合と異なり、空燃比がリッチな混合気を、気筒内に局所的に生成することによって、O2およびCOを同時に触媒に流入させることができるので、COを十分に浄化でき、排ガス特性の悪化を防止しながら、触媒を活性化することができる。さらに、圧縮行程噴射のみによって、空燃比がリッチな混合気を局所的に生成する場合、空燃比が局所的に過剰にリッチ化することがあり、それにより、O2およびCOのみならず、未燃成分であるHCが発生する結果、排ガス特性が悪化するおそれがある。同じ理由から、特に内燃機関の始動直後には、失火が発生するおそれがある。これに対して、上述した構成によれば、圧縮行程噴射に加え、吸気行程噴射を用いて燃料を供給するので、空燃比の局所的な過剰なリッチ化を防止でき、したがって、上述した排ガス特性の悪化や失火の発生を防止することができる。なお、本明細書における「検出」には、センサなどによる直接的な検出に加え、演算による算出や推定を含むものとする。
さらに、前述した構成によれば、圧縮行程噴射用の燃料噴射時間が、触媒温度パラメータに応じて算出される。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関3の排ガス浄化装置1において、所定温度は、触媒11が活性化される温度よりも低く、かつ触媒11が排ガス中のCOを浄化可能な温度であることを特徴とする。
この構成によれば、触媒が活性状態になく、かつ、触媒温度パラメータで表される触媒の温度が、触媒が排ガス中のCOを浄化可能な温度以上であるときに、請求項1の作用で述べた燃料噴射手段による触媒の昇温動作が実行される。したがって、請求項1の発明による効果、すなわち、排ガス特性および内燃機関の燃費の向上などの効果を、有効に得ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態による排ガス浄化装置1を、これを適用した内燃機関(以下「エンジン」という)3とともに概略的に示している。このエンジン3は、車両(図示せず)に搭載された、4気筒(1気筒のみ図示)タイプのガソリンエンジンである。
エンジン3のシリンダヘッドには、気筒3aごとに、吸気管4および排気管5が接続されるとともに、燃料噴射弁6および点火プラグ7が、気筒3a内に臨むように取り付けられている(いずれも1つのみ図示)。この燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)6は、気筒3a内の点火プラグ7の近傍に、燃料を噴射するように構成されている。また、インジェクタ6の開弁時間および開・閉弁タイミングと点火プラグ7の点火時期は、後述するECU2によって制御される。
エンジン3には、クランク角センサ21が設けられている。クランク角センサ21は、マグネットロータ21aおよびMREピックアップ21bで構成されており、クランクシャフト3bの回転に伴い、いずれもパルス信号であるCRK信号およびTDC信号を、ECU2に出力する。このCRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに出力される。ECU2は、CRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)を算出する。上記のTDC信号は、気筒3aのピストン3cが吸気行程開始時のTDC(上死点)付近の所定のクランク角度位置にあることを表す信号であり、4気筒タイプの本例では、クランク角180゜ごとに1パルスが出力される。また、エンジン3には、気筒判別センサ(図示せず)が設けられており、この気筒判別センサは、気筒3aを判別するためのパルス信号である気筒判別信号を、ECU2に出力する。
また、エンジン3には、水温センサ22が設けられており、この水温センサ22は、エンジン3のシリンダブロック内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温を検出して、その検出信号をECU2に出力する。
吸気管4には、スロットル弁機構8が設けられている。スロットル弁機構8は、スロットル弁8aおよびこれを開閉駆動するTHアクチュエータ8bを有している。スロットル弁8aは、吸気管4内に回動自在に設けられており、その回動に伴う開度の変化によって、気筒3a内に吸入される吸入空気量を変化させる。THアクチュエータ8bは、モータにギヤ機構(いずれも図示せず)を組み合わせたものであり、ECU2からの駆動信号で駆動され、それにより、スロットル弁8aの開度(以下「スロットル弁開度」という)が制御される。
また、吸気管4のスロットル弁8aよりも下流側には、吸気圧センサ23が設けられている。この吸気圧センサ23は、吸気管4内の圧力(以下「吸気管内圧」という)を絶対圧として検出し、その検出信号をECU2に出力する。
排ガス浄化装置1は、排ガスを浄化する触媒11を有している。この触媒11は、排気管5に設けられており、排ガス中のHCや、CO、NOxなどの有害物質を浄化する。触媒11は、特願2008−063327号の明細書に記載されたのと同様のものである。同明細書に記載されているように、触媒11は、セリウム含有酸化物を主成分とし、このセリウム含有酸化物に担持されたパラジウムおよび亜鉛を含み、これらのセリウム含有酸化物、パラジウムおよび亜鉛を含有するスラリーを、コージェライト製ハニカム支持体にコーティングした状態で焼成することによって、製造される。また、触媒11は、セリウム含有酸化物に亜鉛が担持されていることを特徴としており、この特徴によって、排ガス中のCOを浄化可能な温度が、その活性化される温度よりも低く、また、他の一般的な触媒よりも低いという特性を有する。
セリウム含有酸化物は、パラジウムや亜鉛を担持する坦体として機能するとともに、酸素を貯蔵するものとして機能する。セリウム含有酸化物としては、セリウムを含有する酸化物であれば、任意のものを、例えば酸化セリウムを適用可能である。その他には、例えば、ジルコニウム、イットリウム、プラセオジム、ネオジム、テルビウム、サマリウム、ガドリニウム、およびランタンの少なくとも1つと、セリウムとを含む混合酸化物、および/または、これらの少なくとも1つを基本組成とする複合酸化物を、適用可能である。また、触媒11におけるセリウム含有酸化物の含有量は、その上述した機能を確保する上で、触媒11全体に対して、50質量%〜99質量%であることが好ましく、本実施形態では、60質量%〜99質量%である。
パラジウムの含有量は、十分な触媒活性を発揮する上では、触媒11に対して、0.5質量%以上であるのが好ましく、また、コストを削減する上では、7質量%以下であるのが好ましい。したがって、触媒11に対するパラジウムの含有量は、触媒11に対して、0.5質量%〜7質量%であるのが好ましく、本実施形態では、0.5質量%〜5質量%である。
亜鉛の含有量は、COを効率良く浄化する上では、セリウム含有酸化物と亜鉛の総量に対して、1質量%以上であるのが好ましく、セリウム含有酸化物による酸素貯蔵機能力(OSC)を確保する上では、20質量%以下であるのが好ましい。したがって、セリウム含有酸化物と亜鉛の総量に対する亜鉛の含有量は、1質量%〜20質量%が好ましく、本実施形態では、1質量%〜15質量%である。
以上の構成により、触媒11は、その温度が所定の活性化温度(例えば約350℃)以上のときに活性化されるとともに、所定のCO浄化温度以上のときに、COをO2と十分に反応させ、十分に浄化するようになっている。また、このCO浄化温度は、上記の活性化温度よりも低く、例えば150℃である。
また、排気管5の触媒11よりも上流側には、LAFセンサ24が設けられている。LAFセンサ24は、理論空燃比よりもリッチな領域から極リーンまでの広範囲な空燃比の領域において、排気管5内を流れる排ガス中の酸素濃度をリニアに検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、このLAFセンサ24で検出された酸素濃度に基づいて、気筒3a内で燃焼した混合気の実際の空燃比を表す検出空燃比を算出する。この場合、検出空燃比は当量比として算出される。
さらに、ECU2には、アクセル開度センサ25から、アクセルペダルの操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、車速センサ26から、車両の速度(以下「車速」という)VPを表す検出信号が、大気圧センサ27から、大気圧を表す検出信号が、それぞれ出力される。また、ECU2には、エンジン3を始動するためのイグニッション・スイッチ28が接続されている。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどから成るマイクロコンピュータで構成されている。また、ECU2は、前述した各種のセンサ21〜27からの検出信号に応じて、インジェクタ6の燃料噴射などのエンジン3の動作を制御するための各種の処理を実行する。これらの各種の処理には、エンジン3の始動後に、触媒11を活性化すべく、昇温するための第1および第2の暖機モード用の制御処理が含まれる。以下、ECU2による各種の処理について、図3〜図7を参照しながら説明する。
図3は、インジェクタ6による燃料噴射を制御するための燃料噴射制御処理を示すフローチャートである。本処理は、前述したTDC信号の発生に同期して、気筒3aごとに実行される。まず、図3のステップ1(「S1」と図示。以下同じ)では、第1暖機フラグF_FIREONが「1」であるか否かを判別する。この第1暖機フラグF_FIREONは、後述するF_FIREON設定処理において、前述したCO浄化温度に触媒11を昇温するために、第1暖機モードによりエンジン3を運転すべきであると判定されたときに、「1」にセットされるものである。
上記ステップ1の答がYESで、第1暖機モードのときには、第1暖機モード用の燃料噴射制御処理を実行し(ステップ2)、本処理を終了する。この第1暖機モード用の燃料噴射制御処理は、次のように実行される。
すなわち、まず、算出されたエンジン回転数と、検出された吸気管内圧に応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、基本噴射時間TIMBSXを算出する。次いで、検出されたエンジン水温に応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、空燃比補正係数KCMDを算出する。このマップでは、空燃比補正係数KCMDは、エンジン3に供給される混合気の空燃比が理論空燃比よりもリーンになるような値に設定されている。次に、基本噴射時間TIMBSXに空燃比補正係数KCMDを乗算することによって、エンジン3に要求される出力に対応する要求燃料噴射時間TIMREQを算出するとともに、吸気行程噴射用の燃料噴射時間TIMとして設定する。なお、この吸気行程噴射とは、吸気行程中にインジェクタ6から気筒3a内に燃料を噴射することをいう。次いで、算出された燃料噴射時間TIMに基づく駆動信号をインジェクタ6に出力する。
以上により、インジェクタ6の開弁時間が燃料噴射時間TIMになるように制御され、気筒3a内に噴射される燃料量(以下「燃料噴射量」という)が、燃料噴射時間TIMに基づく所定値に制御される結果、エンジン3に供給される混合気の空燃比が、理論空燃比よりもリーンになるように制御される。また、インジェクタ6の開・閉弁タイミングが、吸気行程中の所定のタイミングに制御される。
さらに、第1暖機モード中、点火プラグ7による点火時期は、第1および第2の暖機モード以外の通常運転時よりも遅角側に制御される。また、前述したスロットル弁開度は、エンジン水温に応じて制御され、それにより、吸入空気量が制御される。以上のような燃料噴射制御および点火時期制御によって、排ガスの熱容量が増大し、その結果、触媒11が昇温される。
一方、前記ステップ1の答がNOで、第1暖機モードでないときには、第2暖機フラグF_CATLOFFが「1」であるか否かを判別する(ステップ3)。この第2暖機フラグF_CATLOFFは、後述するF_CATLOFF設定処理において、触媒11を活性化すべく、前述した活性化温度に昇温するために、第2暖機モードによりエンジン3を運転すべきであると判定されたときに、「1」にセットされるものである。上記ステップ3の答がYESで、第2暖機モードのときには、第2暖機モード用の燃料噴射制御処理を実行し(ステップ4)、本処理を終了する。
この第2暖機モード用の燃料噴射制御処理の概要を述べると、要求燃料噴射時間TIMREQを算出するとともに、算出された要求燃料噴射時間TIMREQを分割することによって、圧縮行程噴射用および吸気行程噴射用の燃料噴射時間TIMCDN3,TIMを算出する。なお、この圧縮行程噴射とは、圧縮行程中にインジェクタ6から気筒3a内に燃料を噴射することをいう。また、算出された両燃料噴射時間TIMCDN3,TIMに基づく燃料噴射制御によって、圧縮行程噴射および吸気行程噴射の双方を実行する。これにより、第2暖機モード中、理論空燃比よりもリッチな空燃比の混合気が、気筒3a内に局所的に生成されることによって、排気管5に排出されるO2およびCOの量が増大し、また、増大したO2およびCOが触媒11で反応することによって、触媒11が昇温される。第2暖機モード用の燃料噴射制御処理の詳細については、後述する。
一方、前記ステップ3の答がNOのとき、すなわち、第1および第2の暖機モード以外の通常運転時のときには、通常用の燃料噴射制御処理を実行し(ステップ5)、本処理を終了する。この通常用の燃料噴射制御処理は、次のようにして実行される。
すなわち、エンジン回転数および要求トルクに応じ、エンジン3の燃焼モードを決定するとともに、決定された燃焼モードに従って、インジェクタ6の燃料噴射が制御される。なお、この要求トルクは、エンジン回転数と、検出されたアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。また、上記の燃焼モードには、次の成層自己着火燃焼モード、成層火炎伝播燃焼モード、火種自己着火燃焼モード、および均質火炎伝播燃焼モードが含まれる。
・成層自己着火燃焼モード:圧縮行程噴射によって、気筒3a内に成層混合気を生成し、これを自己着火燃焼させる燃焼モード
・成層火炎伝播燃焼モード:圧縮行程噴射によって成層混合気を生成し、これを点火プラグ7による火花点火によって火炎伝播燃焼させる燃焼モード
・火種自己着火燃焼モード:吸気行程噴射によって、均質混合気を生成した後、圧縮行程噴射で燃料を極少量、噴射することによって、均質混合気と成層混合気の双方を含む混合気を生成する。そして、生成した成層混合気を火花点火によって火炎伝播燃焼させることで、これを火種として均質混合気を自己着火燃焼させる燃焼モード
・均質火炎伝播燃焼モード:吸気行程噴射によって、均質混合気を生成し、これを火花点火によって火炎伝播燃焼させる燃焼モード
この場合、燃焼モードは、具体的には、次のように決定される。エンジン回転数が所定の低回転域にあり、かつ要求トルクが所定の低負荷域にあるとき、すなわち、エンジン3の運転状態が所定の第1運転域にあるときには、成層自己着火燃焼モードに決定される。また、エンジン回転数が低中回転域にあり、かつ要求トルクが上記第1運転域よりも低負荷側の領域にあるとき、すなわち、エンジン3の運転状態が所定の第2運転域(成層混合気が自己着火燃焼しないような領域)にあるときには、成層火炎伝播燃焼モードに決定される。
さらに、エンジン回転数が低中回転域にあり、かつ要求トルクが上記第1運転域よりも高負荷側の領域にあるとき、すなわち、エンジン3の運転状態が所定の第3運転域にあるときには、火種自己着火燃焼モードに決定される。また、エンジン回転数および要求トルクで表されるエンジン3の運転状態が、上記の第1〜第3の運転域以外の所定の第4運転域にあるときには、均質火炎伝播燃焼モードに決定される。
なお、各燃焼モードにおけるインジェクタ6の開弁時間および開・閉弁タイミングは、エンジン回転数や、吸気管内圧、要求トルク、算出された検出空燃比などのエンジン3の運転状態に応じて制御される。その詳細な説明については省略する。
図4は、前述した第1および第2の暖機フラグF_FIREON,F_CATLOFFを設定するための処理を示している。本処理は、TDC信号の発生に同期して実行される。まず、図4のステップ11では、活性化フラグF_DONEが「1」であるか否かを判別する。この活性化フラグF_DONEは、触媒11が活性状態にあると判定されたときに、「1」にセットされるものであり、イグニッション・スイッチ28のON時に、「0」にリセットされる。その詳細については、後述する。
上記ステップ11の答がYES、すなわち、F_DONE=1で、触媒11が活性状態にあるときには、そのまま本処理を終了する一方、NOで、活性状態にないときには、F_FIREON設定処理を実行する(ステップ12)。図5は、このF_FIREON設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、図5のステップ21では、エンジン始動フラグF_ENGSTARTが「1」であるか否かを判別する。このエンジン始動フラグF_ENGSTARTは、判定処理(図示せず)において、エンジン回転数およびイグニッション・スイッチ28の出力信号に応じ、エンジン3の始動中、すなわち、クランキング中であると判定されたときに、「1」にセットされるものである。
上記ステップ21の答がYESで、エンジン3が始動中のときには、第2暖機フラグF_CATLOFFを「0」にセットする(ステップ22)とともに、第1暖機フラグF_FIREONを「0」にセットし(ステップ23)、本処理を終了する。
一方、ステップ21の答がNOで、エンジン3の始動が完了しているときには、アクセル開度APが所定値APREFよりも小さいか否かを判別する(ステップ24)とともに、検出された車速VPが所定値VPREFよりも小さいか否かを判別する(ステップ25)。これらのステップ24および25の答のいずれかがNOのときには、上記ステップ22および23を実行し、本処理を終了する一方、いずれもYESのとき、すなわち、車両のアイドル運転中のときには、第2暖機フラグF_CATLOFFが「1」であるか否かを判別する(ステップ26)。
このステップ26の答がYESで、第2暖機モードのときには、前記ステップ23を実行し、本処理を終了する一方、NOで、第2暖機モードでないときには、第1暖機モードによる運転を実行すべきであるとして、第1暖機フラグF_FIREONを「1」にセットし(ステップ27)、本処理を終了する。
以上のように、エンジン3の始動時や、車両のアイドル運転中でないときには、第1および第2の暖機モードでエンジン3が運転されない。これは、エンジン3の良好な始動性を確保するためであり、また、アイドル運転中でないときには、排ガスの熱量および流量の双方が比較的大きいことによって、触媒11がすぐに活性化されることから、第1および第2の暖機モードで運転する必要がないためである。なお、第1および第2の暖機モードの終了前に、車両が走行した場合には、その後、車両が停止し、アイドル運転が実行されても、エンジン3は、第1および第2の暖機モードで運転されない。
図4に戻り、前記ステップ12に続くステップ13では、F_CATLOFF設定処理を実行し、本処理を終了する。図6は、このF_CATLOFF設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、図6のステップ31および32において、第1および第2の暖機フラグF_FIREON,F_CATLOFFが「1」であるか否かをそれぞれ判別する。これらのステップ31および32の答がいずれもNOで、第1および第2の暖機モード以外の通常運転時のときには、後述する積算吸入空気量QGAIRを値0にリセットし(ステップ33)、本処理を終了する。
一方、ステップ31および32の答のいずれかがYESで、第1暖機モードまたは第2暖機モードのときには、次のステップ34〜37において、積算吸入空気量QGAIRを算出する。第1および第2の暖機モードによる運転は、後述するように順に実行され、この積算吸入空気量QGAIRは、第1暖機モードの開始時から今回までの間の吸入空気量の積算値である。
まず、ステップ34では、吸入空気量のマップ値QAIRFIRXを算出する。このマップ値QAIRFIRXは、今回の燃焼サイクルにおいて気筒3aに吸入される吸入空気量QGAIRFIRを算出するためのものである。具体的には、マップ値QAIRFIRXは、平均噴射時間に応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。この平均噴射時間は、前述した要求燃料噴射時間TIMREQの移動平均値であり、所定の算出処理により、今回から所定回までに記憶された複数の要求燃料噴射時間TIMREQを平均化することによって、算出される。
次いで、ステップ35において、検出された大気圧に応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、大気圧補正係数KGAIRPAXを算出する。次に、ステップ36において、上記ステップ34で算出されたマップ値QAIRFIRXに、ステップ35で算出された大気圧補正係数KGAIRPAXを乗算することによって、上記の吸入空気量QGAIRFIRを算出する。また、マップ値QAIRFIRXは、上記のマップにおいて、平均噴射時間が大きいほど、吸入空気量が大きいため、より大きな値に設定されている。さらに、大気圧補正係数KGAIRPAXは、上記のマップにおいて、大気圧が高いほど、吸気管4を流れる実質的な空気の流量が大きいため、より大きな値に設定されている。
次いで、ステップ37において、積算吸入空気量QGAIRを、その前回値QGAIRZに、ステップ36で算出された吸入空気量QGAIRFIRを加算することによって、算出する。上述したように、マップ値QAIRFIRXの算出に、平均噴射時間を用いるので、一時的な要求燃料噴射時間TIMREQの変動による影響を抑制しながら、積算吸入空気量QGAIRを適切に算出することができる。なお、マップ値QAIRFIRXの算出に、要求燃料噴射時間TIMREQをそのまま用いてもよい。
以上のように算出された積算吸入空気量QGAIRは、次の理由から、第1暖機モードの開始時から今回までの間に触媒11に与えられた総熱量に相当し、したがって、触媒11の温度(以下「触媒温度」という)を良好に表す。すなわち、前述したように、第1暖機モード中には、排ガスの熱によって触媒11が昇温され、この場合、第1暖機モードの開始時からの吸入空気量の積算値である積算吸入空気量QGAIRが大きいほど、触媒11を通過した排ガスの総量がより大きく、触媒11に与えられた総熱量がより大きいためである。また、第2暖機モード中には、排気管5に排出されるO2およびCOの量を増大させることによって、触媒11が昇温され、この場合、積算吸入空気量QGAIRが大きいほど、触媒11に流入したO2およびCOの総量がより大きく、触媒11に与えられた総熱量がより大きいためである。
上記ステップ37に続くステップ38では、ステップ37で算出された積算吸入空気量QGAIRが、第1所定値QGCAT_Hよりも小さいか否かを判別する。この第1所定値QGCAT_Hは、触媒温度が前述した活性化温度以上であるか否かを判定するためのものであり、実験などによりあらかじめ設定されている。
上記ステップ38の答がYESで、QGAIR<QGCAT_Hのとき、すなわち、触媒温度が活性化温度よりも低いときには、触媒11が活性状態にないと判定し、積算吸入空気量QGAIRが、第2所定値QGCAT_L以上であるか否かを判別する(ステップ39)。この第2所定値QGCAT_Lは、触媒温度が前述したCO浄化温度以上であるか否かを判定するためのものであり、実験などによって、第1所定値QGCAT_Hよりも小さな値にあらかじめ設定されている。
このステップ39の答がNOで、QGAIR<QGCAT_Lのとき、すなわち、触媒温度がCO浄化温度よりも低いときには、第2暖機モードによる運転を実行すべきでないとして、第2暖機フラグF_CATLOFFを「0」にセットし(ステップ40)、本処理を終了する。
一方、ステップ39の答がYESのとき、すなわち、触媒11が活性状態になく、かつ触媒温度がCO浄化温度以上のときには、第2暖機モードによる運転を実行すべきであるとして、第2暖機フラグF_CATLOFFを「1」にセットし(ステップ41)、本処理を終了する。
一方、前記ステップ38の答がNOになり、QGAIR≧QGCAT_Hになったとき、すなわち、触媒温度が活性化温度以上になったときには、触媒11が活性化されたと判定し、そのことを表すために、活性化フラグF_DONEを「1」にセットする(ステップ42)。次いで、上記ステップ40を実行し、本処理を終了する。
以上のように、エンジン3の始動後(ステップ21:YES)で、かつ、車両のアイドル運転中(ステップ24,25:YES)に、第1暖機モードが開始される。また、第1暖機モード中、積算吸入空気量QGAIRが算出されるとともに、算出された積算吸入空気量QGAIRに基づいて、触媒温度が活性化温度よりも低いか否かが判別され(ステップ38)、触媒11が活性状態にあるか否かが判定されるとともに、触媒温度がCO浄化温度以上であるか否かが判別される(ステップ39)。さらに、触媒温度が活性化温度よりも低く(ステップ38:YES)、触媒11が活性状態になく、かつ触媒温度がCO浄化温度よりも低いときには(ステップ39:NO)、第2暖機フラグF_CATLOFFが「0」にセットされ(ステップ40)、それにより、前記ステップ26の答がNOになる結果、第1暖機フラグF_FIREONが「1」に保持され(ステップ27)、第1暖機モードが継続される。
そして、触媒温度がCO浄化温度以上になったとき(ステップ39:YES)には、第2暖機モードが開始される(ステップ41)とともに、第1暖機モードが終了される(ステップ23)。さらに、第2暖機モード中、積算吸入空気量QGAIRで表される触媒温度が、活性化温度以上になる(ステップ38:NO)と、触媒11が活性化されたと判定される(ステップ42)とともに、第2暖機モードが終了される(ステップ40)。
図7は、前記ステップ4で実行される第2暖機モード用の燃料噴射制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、図7のステップ51では、前述した第1暖機モード用の燃料噴射制御処理と同様、エンジン回転数および吸気管内圧に応じ、マップを検索することによって、基本噴射時間TIMBSXを算出する。次いで、エンジン水温に応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、空燃比補正係数KCMDを算出する(ステップ52)。このマップでは、空燃比補正係数KCMDは、前述した第1暖機モード用の空燃比補正係数KCMDと異なり、エンジン3に供給される混合気の空燃比が理論空燃比になるような値に設定されている。
次に、ステップ51で算出された基本噴射時間TIMBSXに、ステップ52で算出された空燃比補正係数KCMDを乗算することによって、要求燃料噴射時間TIMREQを算出する(ステップ53)。次いで、圧縮行程噴射用の燃料噴射時間TIMCDN3を、エンジン回転数および吸気管内圧に応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出する(ステップ54)。このマップでは、燃料噴射時間TIMCDN3は、ほぼ一定値で、吸気管内圧が高く、吸入空気量が大きいほど、より大きな値に設定されている。
次に、上記ステップ53で算出された要求燃料噴射時間TIMREQから、ステップ54で算出された圧縮行程噴射用の燃料噴射時間TIMCDN3を減算することによって、吸気行程噴射用の燃料噴射時間TIMを算出し(ステップ55)、本処理を終了する。
上記のステップ54および55の実行に伴い、圧縮行程噴射用および吸気行程噴射用の燃料噴射時間TIMCDN3,TIMに基づく駆動信号が、インジェクタ6に出力される。これにより、圧縮行程中および吸気行程中の双方において、燃料噴射が実行されるとともに、圧縮行程中のインジェクタ6の開弁時間が燃料噴射時間TIMCDN3になるように、吸気行程中の開弁時間が燃料噴射時間TIMになるように、それぞれ制御される。その結果、圧縮行程中の燃料噴射量が、燃料噴射時間TIMCDN3に基づく所定値に制御されるとともに、吸気行程中の燃料噴射量が、燃料噴射時間TIMに基づく所定値に制御され、ひいては、エンジン3に供給される混合気の空燃比が、理論空燃比になるように制御される。また、インジェクタ6の開・閉弁タイミングが、圧縮行程中および吸気行程中の所定のタイミングに制御される。
また、本実施形態における各種の要素と請求項に係る発明(以下「本発明」という)の各種の要素との対応関係は、次の通りである。すなわち、ECU2が、本発明における触媒活性化判定手段、触媒温度パラメータ検出手段および燃料噴射手段に相当し、吸気管4、排気管5およびインジェクタ6がそれぞれ、本発明における吸気系、排気系および燃料噴射手段に相当する。また、積算吸入空気量QGAIRおよび第2所定値QGCAT_Lが、本発明における触媒温度パラメータおよび所定温度にそれぞれ相当する。
以上のように、本実施形態によれば、セリウム含有酸化物を主成分とし、セリウム含有酸化物に担持されたパラジウムおよび亜鉛を含む触媒11が、排気管5に設けられている。また、触媒温度を表す積算吸入空気量QGAIRが算出されるとともに、算出された積算吸入空気量QGAIRに基づいて、触媒11が活性状態にあるか否かが判定される。さらに、触媒11が活性状態にないと判定され、かつ、積算吸入空気量QGAIRで表される触媒温度がCO浄化温度以上のときに、第2暖機モード用の燃料噴射制御処理が実行され、圧縮行程噴射および吸気行程噴射の双方によって、燃料が供給される。したがって、触媒11が比較的低温の状態にある場合でも、触媒11でO2およびCOを十分に反応させ、触媒11を、適切に昇温でき、迅速に活性化することができ、それにより、排ガス特性を向上させることができる。同じ理由から、触媒11の活性化に必要な燃料量を低減でき、したがって、燃費を向上させることができる。
また、第2暖機モード中、前述した従来の場合と異なり、空燃比がリッチな混合気を、気筒3a内に局所的に生成することによって、O2およびCOを同時に触媒11に流入させられるので、COを十分に浄化でき、排ガス特性の悪化を抑えながら、触媒11を活性化することができる。さらに、第2暖機モード中、圧縮行程噴射に加え、吸気行程噴射を用いて燃料を供給するので、空燃比の局所的な過剰なリッチ化を防止でき、したがって、それによる排ガス特性の悪化や失火の発生を防止することができる。
また、第2暖機モード中、エンジン3に供給される混合気の空燃比が理論空燃比になるように、圧縮行程噴射および吸気行程噴射の双方による燃料噴射量が制御される。これにより、O2およびCOがバランスよく触媒11に流入するので、触媒11でO2およびCOをさらに十分に反応させることができ、したがって、上述した排ガス特性および燃費の向上などの効果を、より有効に得ることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、吸気行程噴射を、吸気行程中にインジェクタ6から気筒3a内に燃料を噴射することによって行っているが、例えば次のように行ってもよい。すなわち、吸気ポートを含む吸気管4内に燃料を噴射するポート燃料噴射弁を、インジェクタ6とは別個に設けるとともに、このポート燃料噴射弁から、吸気行程中に吸気管4内に燃料を噴射することによって、吸気行程噴射を行ってもよい。
また、実施形態における触媒11は、前述した効果が得られるのであれば、パラジウム以外の他の触媒金属成分や、セリウム含有酸化物以外の酸化物などを含有していてもよく、他の添加剤などを含有していてもよい。さらに、実施形態では、触媒11が活性状態にあるか否かの判定を、積算吸入空気量QGAIRに基づいて行っているが、他の適当な手法で行ってもよく、例えば、センサなどで検出した触媒温度と活性化温度との比較結果に基づいて行ってもよく、あるいは、第2暖機モードによるエンジン3の運転時間に基づいて行ってもよい。また、実施形態では、本発明における触媒温度パラメータは、積算吸入空気量QGAIRであるが、触媒温度を表すパラメータであれば、例えば、エンジン水温や、排ガスの流量の積算値でもよく、センサなどで直接、検出した触媒温度でもよい。
さらに、実施形態では、圧縮行程噴射用の燃料噴射時間TIMCDN3を、エンジン回転数および吸気管内圧に応じて算出しているが、触媒温度を表す触媒温度パラメータに応じて算出してもよい。この場合、燃料噴射時間TIMCDN3は、例えば、触媒温度パラメータで表される触媒温度が低いほど、すなわち、積算吸入空気量QGAIRが小さいほど、より大きな値に算出される。これにより、触媒温度が低いほど、よりリッチな空燃比の混合気を局所的に生成でき、O2およびCOをより増大させることができるので、触媒11を、さらに適切に昇温でき、より迅速に活性化することができる。それに加え、触媒温度が高いほど、圧縮行程噴射による燃料量が小さくなるので、エンジン3の燃費をさらに向上させることができる。
また、実施形態では、マップ値QAIRFIRXなどの各種のパラメータを、マップ検索によって算出しているが、他の適当な手法によって算出してもよく、例えば、マップに代えて、各種のパラメータの関係を表す数式を用意し、この数式に従って算出してもよい。さらに、実施形態では、第2暖機モードによるエンジン3の運転を、エンジン3の始動直後のアイドル運転中に行っているが、車両の走行中において、触媒温度パラメータで表される触媒温度が活性化温度よりも低く、かつCO浄化温度以上のときに、行ってもよい。
また、実施形態は、排ガス浄化装置1を、4気筒タイプのエンジン3に適用した例であるが、排ガス浄化装置1は、これに限らず、単気筒タイプや、4つ以外の複数の気筒を有するタイプのエンジンに適用可能である。それに加え、排ガス浄化装置1は、実施形態で例示した車両用のガソリンエンジンであるエンジン3に限らず、ディーゼルエンジンや、LPGエンジン、クランク軸を鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジン、その他産業用の各種の内燃機関に、適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本実施形態による排ガス浄化装置を、これを適用したエンジンとともに概略的に示す図である。 図1に示す排ガス浄化装置のECUなどを示すブロック図である。 燃料噴射制御処理を示すフローチャートである。 各種のフラグを設定するための処理を示すフローチャートである。 図4のステップ12で実行されるF_FIREON設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 図4のステップ13で実行されるF_CATLOFF設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 図3のステップ4で実行される第2暖機モード用の燃料噴射制御処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
1 排ガス浄化装置
2 ECU(触媒活性化判定手段、触媒温度パラメータ検出手段、燃料噴射手段)
3 エンジン
3a 気筒
4 吸気管(吸気系)
5 排気管(排気系)
6 インジェクタ(燃料噴射手段)
11 触媒
QGAIR 積算吸入空気量(触媒温度パラメータ)
QGCAT_L 第2所定値(所定温度)
TIMCDN3 圧縮行程噴射用の燃料噴射時間

Claims (2)

  1. 気筒、吸気系および排気系を有する内燃機関の排ガスを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置であって、
    セリウム含有酸化物を主成分とし、当該セリウム含有酸化物に担持されたパラジウムおよび亜鉛を含み、前記排気系に設けられ、排ガスを浄化する触媒と、
    当該触媒が活性状態にあるか否かを判定する触媒活性化判定手段と、
    前記触媒の温度を表す触媒温度パラメータを検出する触媒温度パラメータ検出手段と、
    前記触媒活性化判定手段によって前記触媒が活性状態にないと判定されており、かつ、前記検出された触媒温度パラメータで表される前記触媒の温度が所定温度以上のときに、圧縮行程中に前記気筒内に燃料を噴射する圧縮行程噴射と、吸気行程中に前記気筒内および前記吸気系内の一方に燃料を噴射する吸気行程噴射との双方を実行する燃料噴射手段と、を備え
    前記圧縮行程噴射用の燃料噴射時間は、前記触媒温度パラメータに応じて算出されることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
  2. 前記所定温度は、前記触媒が活性化される温度よりも低く、かつ前記触媒が排ガス中のCOを浄化可能な温度であることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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