JP2010163930A - 直噴火花点火式内燃機関の制御装置 - Google Patents

直噴火花点火式内燃機関の制御装置 Download PDF

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

【課題】排気昇温のための、点火時期を遅角した状態での分割噴射を、より長い時間継続実施できるようにする。
【解決手段】冷機始動時に、各噴射のパルス幅が燃焼安定性確保のための最小許容噴射パルス幅以上である分割噴射を、1度目の燃料噴射で燃焼室全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成し、2度目の燃料噴射で点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな混合気を形成するように行い、かつ排気温度を上昇させるよう点火時期遅角状態で成層燃焼を行う直噴火花点火式内燃機関において、燃料噴射時期及び噴射パルス幅を制御する制御手段50を備え、制御手段50は、1度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を2度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅より小さく設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料を筒内に直接噴射する火花点火式内燃機関(以下、直噴火花点火式内燃機関)に関し、特に、燃料の分割噴射を行うものに関する。
直噴火花点火式内燃機関において、要求燃料噴射量を1サイクル中に複数回に分けて噴射する、いわゆる分割噴射を行うものが知られている。そして、例えば冷機始動から暖機状態に至るまでの暖機過程において、吸気行程で要求燃料量の一部を噴射して筒内全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成するとともに、その後の圧縮行程中の噴射では点火栓周辺に向けて燃料噴射して点火栓周りの局所的な空燃比をストイキよりリッチにすることで、排気温度を上昇させて排気浄化触媒の活性化を促進させる方法が知られている。
このような直噴火花点火式内燃機関において、分割噴射時に噴射パルス幅が最小許容パルス幅より小さくなったときには噴射パルスを増大させ、これに対応させて吸入空気量を増大させ、さらに噴射パルス幅と吸入空気量の増大によるトルク上昇分を相殺するように点火時期をリタードさせてエンジントルクを低減させる構成が特許文献1に開示されている。
特開2001−323834号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、各燃料噴射で共通の最小許容噴射パルス幅が設定されている。このような場合、最小許容噴射パルス幅は、最も厳しい条件での圧縮行程噴射に合わせて設定されることになる。すなわち、より小さな最小許容噴射パルス幅を設定可能な吸気行程噴射についても、圧縮行程噴射と同じ最小許容噴射パルス幅が設定される。このため、噴射パルス幅及び吸入空気量の増大等の制御を実行する機会が不必要に増加する。
そこで本発明では、燃焼安定性の低下を回避するための制御、例えば特許文献1に記載された噴射パルス幅及び吸入空気量の増大等の制御、を実行することなく分割噴射を継続できる期間をより長くすることを目的とする。
本発明の直噴火花点火式内燃機関の制御装置は、冷機始動時に、各噴射のパルス幅が燃焼安定性確保のための最小許容噴射パルス幅以上である分割噴射を、1度目の燃料噴射で燃焼室全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成し、2度目の燃料噴射で点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな混合気を形成するように行い、かつ排気温度を上昇させるよう点火時期遅角状態で成層燃焼を行う。さらに、燃料噴射時期及び噴射パルス幅を制御する制御手段を備え、この制御手段は、1度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を2度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅より小さく設定する。
本発明によれば、分割噴射の各噴射について個別に最小許容噴射パルスを設定するので、より少量の燃料噴射でも、燃焼安定性の低下を回避するための制御を実行することなく分割噴射を継続することができる。
第1実施形態のシステムの構成図である。 第1実施形態の制御を説明するためのフローチャートである。 (A)は圧縮行程噴射を説明するための模式図、(B)は吸気行程噴射を説明するための模式図、(C)は燃料噴射時の平面図である。 第1実施形態の成層ストイキ燃焼時の燃焼室内における混合気の形成状態を説明するための図である。 成層ストイキ燃焼時における燃料噴射量制御を説明するためのフローチャートである。 第1実施形態の最小許容噴射パルスの設定に用いるテーブルである。 第2実施形態の最小許容噴射パルスの設定に用いるテーブルである(その1)。 第2実施形態の最小許容噴射パルスの設定に用いるテーブルである(その2)。
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態を適用するシステムの構成図である。
1は内燃機関本体(以下、機関という)、2は吸気通路、3は吸入空気量Qaを検出するエアフローメータ、4は吸入空気量Qaを制御するスロットル弁、5は燃料噴射弁、6は点火栓、7は排気通路、8は排気中の特定成分(例えば、酸素)濃度を検出することによって排気ひいては吸入混合気の空燃比を検出する空燃比センサ、9は排気を浄化するための排気浄化触媒、10は排気中の特定成分(例えば、酸素)濃度を検出し、リッチ・リーン出力する下流側酸素センサ、11はクランク角センサ、12は冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ、13はスロットル弁4の開度を検出するスロットルセンサ、15はピストン、16はキースイッチ、50はコントロールユニットである。
機関1の吸気通路2にはエアフローメータ3及びスロットル弁4が設けられると共に、各気筒の燃焼室に臨ませて、燃料噴射弁5が設けられている。
かかる燃料噴射弁5は、後述するコントロールユニット50において設定される駆動パルス信号によって開弁駆動され、図示しない燃料ポンプから圧送されてプレッシャレギュレータ(図示せず)により所定圧力に制御された燃料を燃焼室内に直接噴射供給することができるようになっている。
なお、燃焼室に臨んで装着されて、コントロールユニット50からの点火信号に基づいて吸入混合気に対して点火を行う点火栓6が、各気筒に設けられている。
一方、排気通路7には、空燃比センサ8(リッチ・リーン出力する酸素センサであっても良いし、空燃比をリニアに広域に亘って検出する広域空燃比センサであってもよい)が設けられ、その下流側には排気浄化触媒9が介装されている。なお、排気浄化触媒9としては、ストイキつまり理論空燃比{λ=1、A/F(空気重量/燃料重量)・14.7}近傍において排気中のCO,HCの酸化とNOx の還元を行って排気を浄化することができる三元触媒、或いは排気中のCO,HCの酸化を行う酸化触媒等を用いることができる。
更に、前記排気浄化触媒9の排気下流側には下流側酸素センサ10が設けられるようになっている。
ここでは、下流側酸素センサ10の検出値により、空燃比センサ8の検出値に基づく空燃比フィードバック制御を補正することで、空燃比センサ8の劣化等に伴う制御誤差を抑制する等のために(所謂ダブル空燃比センサシステム採用のために)、前記下流側酸素センサ10を設けて構成したが、空燃比センサ8の検出値に基づく空燃比フィードバック制御を行なわせるだけで良い場合には、かかる下流側酸素センサ10は省略することができるものである。また、空燃比フィードバック制御を行なわない場合には、空燃比センサ8と下流側酸素センサ10を共に省略することができるものである。
なお、本実施形態においては、クランク角センサ11が備えられており、コントロールユニット50では、該クランク角センサ11から機関回転と同期して出力されるクランク単位角信号を一定時間カウントして、又は、クランク基準角信号の周期を計測して機関回転速度Neを検出できるようになっている。そして、機関1の冷却ジャケットに臨むように水温センサ12が設けられている。更に、スロットルセンサ13(アイドルスイッチとしても機能させることができる)が設けられている。
ところで、本実施形態においては、前記スロットル弁4の開度を、DCモータ等のアクチュエータにより制御することができるスロットル弁制御装置14が備えられている。
当該スロットル弁制御装置14は、運転者のアクセルペダル操作量等に基づき演算される要求トルクを達成できるように、コントロールユニット50からの駆動信号に基づき、スロットル弁4の開度を電子制御するものとして構成することができる。
前記各種センサ類からの検出信号は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェース等を含んで構成されるマイクロコンピュータからなるコントロールユニット50へ入力され、当該コントロールユニット50は、前記センサ類からの信号に基づいて検出される運転状態に応じて、前記スロットル弁制御装置14を介してスロットル弁4の開度を制御し、前記燃料噴射弁5を駆動して燃料噴射量(燃料供給量)を制御し、点火時期を設定して該点火時期で点火栓6を点火させる制御を行う。
なお、例えば、所定運転状態(低・中負荷領域など)で燃焼室内に圧縮行程で燃料噴射して、燃焼室内の点火栓6周辺に可燃混合気を層状に形成して成層燃焼を行なうことができる一方、他の運転状態(高負荷領域など)では燃焼室内に吸気行程で燃料噴射して、シリンダ全体に略均質な混合比の混合気を形成して均質燃焼を行なうことができるように、燃料噴射時期(噴射タイミング)についても、運転状態などに応じて変更可能に構成されている。
ところで、本実施形態に係るコントロールユニット50では、始動開始から排気浄化触媒9が活性化するまでの間における大気中へのHCの排出を抑制しながら、排気浄化触媒9の早期活性化を図るようにするために、キースイッチ16など各種センサからの入力信号を受け、例えば、以下のような制御を行なうようになっている。
なお、本発明にかかる排気温度上昇用の成層燃焼を行う際に燃焼室内の平均空燃比をほぼストイキとするので、この燃焼形態を成層ストイキ燃焼と表現する。また、この成層ストイキ燃焼を実行する場合には、排気昇温及び排気性能要求を満足し、かつ燃焼安定性を確保できる範囲で、点火時期を遅角化する。
具体的には、例えば、図2に示すようなフローチャートを実行するようになっている。ステップS1では、従来同様の手法により、キースイッチ16のイグニッション信号がONとなったか、つまりキー位置がイグニションON位置とされたか否か、を判断する。YESであればステップS2へ進み、NOであれば本フローを終了する。
ステップS2では、従来同様の手法により、キースイッチ16のスタート信号がONとなったか、つまり、キー位置がスタート位置とされたか否か、を判断する。即ち、スターターモータ(図示せず)によるクランキング要求があるか否かを判断する。
YESであれば、始動クランキング要求があるとしてステップS3へ進み、NOであれば未だクランキング要求はないと判断して、ステップS1へリターンする。ステップS3では、従来同様に、スターターモータの駆動を開始して、機関1をクランキングする。
ステップS4では、従来同様に、始動のための燃料噴射、つまり吸気行程での直接燃料噴射(図3(B)参照)を行なわせて、機関1の運転(直噴均質燃焼)を行なわせる。
次のステップS5では、排気浄化触媒9が活性化していないか否かを判断する。当該判断は、例えば、排気通路7に臨んで設けられる下流側酸素センサ10が活性化していないか否かを判断することで代替することができる。即ち、排気浄化触媒9が活性化しているか否かは、下流側酸素センサ10の検出値号の変化の様子に基づいて判断することができるものである。
また、機関水温Tw若しくは油温等を検出して排気浄化触媒9の温度(或いは出口温度)を推定し、その結果に基づいて排気浄化触媒9の活性化を判断することができ、或いは直接的に排気浄化触媒9の温度(或いは出口温度)を検出することによっても判断することができる。
触媒が活性化していなければ(YESであれば)、ステップS6へ進む。一方、触媒が活性化していれば(NOであれば)触媒活性化促進のための制御の必要はないとしてステップS9へ進み、燃費改善等のために、運転状態に応じて、従来と同様の燃焼形態で燃焼を行なわせて、本フローを終了する。
ステップS6では、成層ストイキ燃焼への移行許可条件が成立したか否かを判定する。具体的には、燃焼室の温度状態を推定し、燃焼室温度が所定温度以上となって触媒活性化促進等のための成層ストイキ燃焼を行なわせても良好な着火性・燃焼性ひいては機関安定性(機関運転性)等が得られると判断されるときに成層ストイキ燃焼への移行許可条件が成立したと判定する。
前記判定がYESの場合には、後述する触媒活性化促進等のための成層ストイキ燃焼を行なわせても良好な着火性・燃焼性ひいては機関安定性(機関運転性)等が得られるとして、ステップS7へ進む。
一方、前記判定がNOの場合には、後述する触媒活性化促進のための成層ストイキ燃焼を行なわせると、燃焼室温度が所定より低温であるために、成層混合気の霧化・気化促進などが良好に行なわれなくなり、以って着火性、燃焼安定性ひいては機関安定性(機関運転性)等が低下するおそれがあるとして、成層ストイキ燃焼への移行を禁止して、吸気行程での直接燃料噴射(直噴均質燃焼)を継続すべく、ステップS4へリターンする。
ステップS7では、触媒が活性化していない場合で触媒活性化促進が必要であると共に、燃焼室温度が所定温度以上であり成層混合気の生成が良好に行なえる場合であるので、触媒活性化促進のための成層ストイキ燃焼への移行を許可して、成層ストイキ燃焼を行なわせる。
具体的には、例えば、1燃焼サイクル当たりの吸入空気量で略完全燃焼させることができるトータル燃料量、つまり略ストイキ(理論空燃比)を達成するのに必要な燃料重量、のうち、例えば略50%〜略90%の燃料重量を、吸気行程で燃焼室内に噴射供給し、図3(B)に示す燃料噴射により燃焼室内全体にストイキよりも比較的リーン(希薄)な均質混合気を形成すると共に、残りの略50%〜略10%の燃料重量を、圧縮行程で燃焼室内に噴射供給し、点火栓6周りにストイキよりも比較的リッチな(燃料濃度の高い)混合気を層状に形成して(図3(A)参照)、燃焼させる(図4参照)。
なお、当該成層ストイキ燃焼形態は、吸気行程中に燃焼室内に(本実施形態では吸気行程噴射により)形成されるストイキよりもリーンな混合気の空燃比を16〜28とし、圧縮行程中の燃料噴射により点火栓6周りに形成されるストイキよりもリッチな混合気の空燃比が9〜13となるように、吸気行程中の燃料噴射量と、圧縮行程中の燃料噴射量との比(以下分割比という)を設定するようにしてもよい。
そして、各混合気層の空燃比を上記のような範囲としつつ、燃焼室内の平均空燃比がストイキ(理論空燃比)となるように、前記空燃比センサ8さらには下流側酸素センサ10の検出値に基づいて、空燃比フィードバック制御を行なう。
上記のような成層ストイキ燃焼によれば、従来の均質ストイキ燃焼と比較して排気温度を上昇させることができるだけでなく、燃焼室から排気通路に排出される未燃HC量を減少させることができる。
即ち、成層ストイキ燃焼によれば、従来の燃焼形態、つまり均質燃焼だけ、成層燃焼だけ、或いは、これらに対し更に追加燃料を燃焼後期以降(膨張行程以降や排気行程中)に噴射する燃焼形態等、で暖機を行なわせる場合に比べて、始動開始から排気浄化触媒9が活性化するまでの間における大気中へのHCの排出を抑制しながら、排気浄化触媒9の早期活性化を格段に促進できることになる。
次に、ステップS8では、ステップS5と同様にして、排気浄化触媒9が活性化したか(暖機完了か)否かを判断する。YESであれば、ステップS10へ進む。NOであれば、ステップS7へリターンして、排気浄化触媒9が活性化するまで、成層ストイキ燃焼を継続する。
ステップS9では、運転状態に応じ、所望の排気性能、或いは燃費性能、或いは運転性能(出力性能、安定性など)等を達成し得る燃焼形態(均質ストイキ燃焼、均質リーン燃焼或いは成層リーン燃焼など)へ移行させた後、本フローを終了する。
次に、成層ストイキ燃焼時における燃料噴射量制御について、図5のフローチャートにしたがって説明する。
ステップS11では、エアフローメータ3からの電圧信号から求められる吸入空気流量Qaと、クランク角センサ11からの信号から求められる機関回転速度Neとから基本燃料噴射量Tpを式(1)により演算する。
Tp=c×Qa/Ne(cは定数) ・・・(1)
ステップS12では、基本燃料噴射量Tpを、低水温時に機関安定性等のためにリッチ側に補正する水温補正係数Kw、始動及び始動後増量補正係数Kasなどを含む各種補正係数COEFによって補正して、式(2)のように有効燃料噴射量CTiを演算する。
CTi=Tp×COEF ・・・(2)
ステップS13では、吸気行程での有効燃料噴射量CTiHBを、分割比Kspを用いて式(3)により設定する。
CTiHB=CTi×Ksp ・・・(3)
ここで、分割比Kspは、吸気行程での燃料噴射量CTiHと圧縮行程での燃料噴射量CTiSとを合計した総燃料噴射量(=CTiH+CTiS)における吸気行程での燃料噴射量CTiHの割合として設定される。したがって、圧縮行程での燃料噴射量CTiSの総燃料噴射量にたいする割合(分割比)は、(1−Ksp)となる。なお、この分割比Kspは固定値であっても良いが、運転状態に応じて可変設定できるようにするのが好ましい。
ステップS14では、圧縮行程での有効燃料噴射量CTiSBを、上記にしたがい式(4)により設定する。
CTiSB=CTi×(1−Ksp) ・・・(4)
ステップS15では、吸気行程有効燃料噴射量CTiHBに基づいて吸気行程噴射パルス幅を算出し、これが吸気行程噴射において可能な吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1より大きいか否かを判定する。判定結果がYESの場合、つまり吸気行程噴射パルス幅が吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1より大きい場合はステップS16に進み、NOの場合、つまり吸気行程噴射パルス幅が吸気行程最小許容噴射パルス幅より小さい場合はステップS17に進む。
ステップS16では、圧縮行程有効燃料噴射量CTiSBに基づいて圧縮行程噴射パルス幅を算出し、これが圧縮行程噴射において可能な圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2より大きいか否かを判定する。判定結果がYESの場合、つまり圧縮行程噴射パルス幅が圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2より大きい場合はステップS19に進み、NOの場合、つまり圧縮行程噴射パルス幅が圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2より小さい場合はステップS18に進む。
なお、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1及び圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2については後述する。
ステップS18では、吸気行程噴射の噴射パルス幅はステップS15で求めたパルス幅のままで、圧縮行程噴射の噴射パルス幅を圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2に制限して燃料噴射を行う。
ステップS19では、吸気行程噴射及び圧縮行程噴射の噴射パルス幅を制限せずに燃料噴射を行う。
一方、ステップS15の判定で、吸気行程噴射の噴射パルス幅が吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1より小さい場合には、ステップS17でステップS16と同様に圧縮行程噴射の噴射パルス幅についての判定を行い、圧縮行程噴射のパルス幅が圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2より大きい場合はステップS20に進み、そうでない場合はステップS21に進む。
ステップS20では、吸気行程噴射のパルス幅を吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1に制限し、圧縮行程噴射パルス幅はステップS17で求めたパルス幅のままで燃料噴射を行う。
ステップS21では、吸気行程噴射のパルス幅を吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1に制限し、圧縮行程噴射の噴射パルス幅を圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2に制限して燃料噴射を行う。
ここで、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1及び圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2について説明する。
一般的に、燃料噴射弁5には、噴射パルス幅可変範囲内の大部分の領域では燃料噴射量が噴射パルス幅の変化に対してほぼリニアに変化するが、噴射パルス幅がごく小さくなると、この変化がリニアではなくなるという特性がある。このため、噴射パルス幅がごく小さい領域では、燃料噴射量にバラツキが生じ、燃焼安定性が低下する。
そこで、本実施形態では、許容し得る下限の燃焼安定性が得られる噴射パルス幅を、最小許容噴射パルス幅として設定する。具体的には、吸入行程最小噴射パルス幅は筒内圧によらず一定とし、圧縮行程最小許容噴射パルス幅は、スロットル開度、吸入空気量等に基づいて燃料噴射時における筒内圧を推定し、図6に示すテーブルを用いて算出する。なお、図6の縦軸は最小許容噴射パルス幅、横軸は筒内圧であり、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1についても示してある。
図6に示すように、筒内圧の大きさによらず、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1よりも圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2の方が大きい。これは、吸気行程噴射は、燃料が筒内に流入してくる吸気と混合して筒内全体で所望の空燃比になればよいのに対して、圧縮行程噴射は、より高圧の条件下で点火栓6周りに局所的な混合気を形成するように噴射しなければならず、噴射量バラツキの許容幅が小さいからである。
さらに、圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2は筒内圧が高くなるほど大きくなっている。これは、筒内圧が高くなるほど、燃料が点火栓6周りに届き難くなるため、噴射量バラツキの許容幅をより小さくする必要があるからである。
従来の技術(特開2001−323834号公報)では、最小許容噴射パルスは各噴射に共通の一つの値なので、圧縮行程噴射で燃焼安定性を確保できる大きさに設定することとなる。したがって、吸気行程噴射の目標噴射パルス幅が最小許容噴射パルスより小さくなったら、実際にはさらに小さな噴射パルス幅でも許容できる場合でも、成層ストイキ燃焼を終了して噴射パルスの増大や吸気量増大等の処理を行うことになる。
これに対して、本実施形態では、吸気行程噴射及び圧縮行程噴射のそれぞれについて、許容できる噴射量バラツキに応じた最小許容噴射パルス幅を設定する。これにより、燃焼安定性を確保しつつ、噴射量バラツキに対する許容度が相対的に大きい吸気行程噴射の最小許容噴射パルス幅をより小さく設定することができる。すなわち、より小さな噴射パルスでも成層ストイキ燃焼を継続して行うことができる。
また、筒内圧の上昇に合わせて圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2を大きくなるように設定するので、燃焼安定性を確保することができる。
ところで、上記説明では、筒内圧をスロットル開度、吸入空気量等に基づいて推定しているが、可変圧縮比機構や可変バルブタイミング機構等を備える場合には、これらの機構の作動状態も考慮しなければならない。
例えば、可変圧縮比機構を備える場合には、負荷に応じて圧縮比を高めるほど筒内圧は高くなる。また、可変バルブタイミング機構を備える場合には、吸気量が同じであっても、吸気弁閉時期が早くなればその分だけ圧縮期間が長くなるので、筒内圧も高くなる。
なお、図6では、圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2は所定の筒内圧までは一定値で、それを超えると筒内圧の増大に応じて大きくなっているが、これはあくまでも一例であって、内燃機関1の仕様によっては異なる特性にしてもよい。例えば、低筒内圧から高筒内圧にかけて一定の傾きで増大するようにしてもよいし、二次曲線的に大きくなるようにしてもよい。
以上により本実施形態では、次のような効果が得られる。
(1)冷機始動時に、各噴射のパルス幅が燃焼安定性確保のための最小許容噴射パルス幅以上である分割噴射を、吸気行程噴射で燃焼室全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成し、圧縮行程噴射で点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな混合気を形成するように行い、かつ排気温度を上昇させるよう点火時期遅角状態で成層燃焼を行う直噴火花点火式内燃機関において、吸気行程噴射の最小許容噴射パルス幅を圧縮行程噴射の最小許容噴射パルス幅より小さく設定するので、より少量の燃料噴射でも分割噴射を継続できる。これにより、点火時期遅角状態での燃焼を行う時間を稼いで昇温を促進し、かつ排気性能を向上できる。
(2)圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2を筒内圧の上昇に応じて増大させ、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1は筒内圧によらず一定となるように制御するので、点火栓6周りに燃料が届き難い圧縮行程噴射の噴射量バラツキによる燃焼安定性の低下を回避できる。
第2実施形態について説明する。
本実施形態は、基本的に第1実施形態と同様の構成、制御を行うが、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1、圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2の設定方法が異なる。本実施形態では、内燃機関1の冷却水温に応じて設定する。
図7は、本実施形態で最小許容噴射パルス幅を設定する際に用いるマップである。縦軸は最小許容噴射パルス幅、横軸は冷却水温である。
図7に示すように、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1及び圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2は、いずれも冷却水温が低いほど大きく、冷却水温が高いほど小さくなっている。これは、冷却水温が低い場合には内燃機関1の温度も低く、燃焼が安定しにくいので、燃焼安定性を確保するために燃料噴射量バラツキを抑える必要があるためである。
なお、冷却水温の代わりに、吸気温度を用いることもできる。この場合も、吸気行程最小許容噴射パルス幅TIMIN1及び圧縮行程最小許容噴射パルス幅TIMIN2は、図7と同様に、吸気温度が低いほどが大きく、吸気温度が高くなるほど小さくなる(図8参照)。
以上により本実施形態では、第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、上記説明では、1回目の燃料噴射は吸気行程、2回目の燃料噴射は圧縮行程で行う場合について説明したが、これに限られるわけではない。例えば、1回目の燃料噴射を吸気行程から圧縮行程にかけて、または圧縮行程に行い、2回目の燃料噴射を圧縮行程に行うようにしてもよい。あるいは、2回目の燃料噴射を膨張行程に行うようにしてもよい。これらの場合でも、1回目の燃料噴射の方が2回目の燃料噴射に比べて燃料噴射量のバラツキに対する許容度は大きいので、上述した実施形態と同様に、1回目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を2回目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅よりも小さく設定することができる。
また、本発明は上記の実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で様々な変更を成し得ることは言うまでもない。
1 内燃機関
2 吸気通路
3 エアフローメータ
4 スロットル弁
5 燃料噴射弁
6 点火栓
7 排気通路
8 空燃比センサ
9 排気浄化触媒
10 下流側酸素センサ
11 クランク角センサ
12 水温センサ
13 スロットルセンサ
14 スロットル弁制御装置
15 ピストン
16 キースイッチ
50 コントロールユニット

Claims (5)

  1. 冷機始動時に、各噴射のパルス幅が燃焼安定性確保のための最小許容噴射パルス幅以上である分割噴射を、1度目の燃料噴射で燃焼室全体に空燃比がストイキよりリーンな混合気を形成し、2度目の燃料噴射で点火栓周りに空燃比がストイキよりリッチな混合気を形成するように行い、かつ排気温度を上昇させるよう点火時期遅角状態で成層燃焼を行う直噴火花点火式内燃機関において、
    燃料噴射時期及び噴射パルス幅を制御する制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記1度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を前記2度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅より小さく設定することを特徴とする直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記1度目の燃料噴射を吸気行程中に行い、前記2度目の燃料噴射を圧縮行程中に行うことを特徴とする請求項1に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記2度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を筒内圧の上昇に応じて増大させ、前記1度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅は筒内圧によらず一定となるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記1度目及び2度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を冷却水温の上昇に応じて減少させるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記1度目及び2度目の燃料噴射の最小許容噴射パルス幅を吸気温度の上昇に応じて減少させるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の直噴火花点火式内燃機関の制御装置。
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