JP4902582B2 - 蛍光検出装置 - Google Patents
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Description
蛍光検出装置では、蛍光強度を出力するために、光センサーとして光電子増倍管(PMT)が用いられ、この蛍光強度の算出には、アナログ計測方式あるいはフォトンカウンティング計測方式が用いられる。
このため、微弱の蛍光から、強度の強い蛍光まで、1つの計測方式で幅広いレンジで精度良く計測することができない。
測定対象物に照射するレーザ光を出射するレーザ光源部と、レーザ光の照射された測定対象物の蛍光を受光して受光信号を出力する受光部と、前記受光部から出力した受光信号から、蛍光強度の出力値を出力する処理部と、を有し、
前記処理部は、前記受光信号が予め設定された値を越したタイミングに応じて作られる一定の値のパルスからなる基準パルス信号を生成し、この基準パルス信号を前記受光信号に乗算して一定期間内の積分値を算出するとともに、前記基準パルス信号のパルス数を一定期間内においてカウントし、このときのカウント値を算出し、さらに、前記処理部に、受光信号がパルス状に離散的に生成されるときの1パルス当たりの前記積分値の平均値が、定数として予め設定され、前記処理部は、前記積分値が予め設定された第1の閾値以上の場合、前記積分値を前記定数で除算した値を第1の出力値として出力し、前記積分値が前記第1の閾値より小さく、かつ前記カウント値が予め設定された第2の閾値より小さい場合、前記カウント値を第2の出力値として出力することを特徴とする蛍光検出装置を提供する。
図1は、本発明の蛍光検出装置を用いたフローサイトメータ10の概略構成図である。
フローサイトメータ10は、レーザ光を測定対象とする試料12に照射し、試料12中に付けられた蛍光色素の発する蛍光を検出して信号処理する信号処理装置(蛍光検出装置)20と、信号処理装置20で得られた処理結果から試料12中の測定対象物の分析を行なう分析装置80とを有する。
レーザ光源部22は、350nm〜800nmの可視光の、レーザ光を出射する部分で、主に赤色のレーザ光Rを所定の強度で、連続光として、あるいはパルスレーザ光として出射するR光源22r、緑色のレーザ光Gを所定の強度で、連続光として、あるいはパルスレーザ光として出射するG光源22gおよび青色のレーザ光Bを所定の強度で、連続光として、あるいはパルスレーザ光として出射するB光源22bと、特定の波長帯域のレーザ光を透過し、他の波長帯域のレーザ光を反射するダイクロイックミラー23a1、23a2と、レーザ光R,GおよびBからなるレーザ光を管路30中の測定点に集束させるレンズ系23cと、R光源22r、G光源22gおよびB光源22bのぞれぞれを駆動するレーザドライバ34r,34gおよび34bと、供給された信号をレーザドライバ34r,34gおよび34bに分配する各パワースプリッタ35と、を有して構成される。
これらのレーザ光を出射する光源として例えば半導体レーザが用いられる。
パルスレーザ光のパルス幅は、蛍光色素の発する蛍光をバックグラウンドノイズと区別して効率よく検出できるように設定され、例えば0.5ナノ秒〜4ナノ秒である。
ダイクロイックミラー23a1は、レーザ光Rを透過し、レーザ光Gを反射するミラーであり、ダイクロイックミラー23a2は、レーザ光RおよびGを透過し、レーザ光Bを反射するミラーである。
この構成によりレーザ光R,GおよびBが合成されて、測定点の試料12を照射する照射光となる。
図3は、受光部26の一例の概略の構成を示す概略構成図である。
レンズ系26aは、受光部26に入射した蛍光を光電変換器27a〜27cの受光面に集束させるように構成されている。
ダイクロイックミラー26b1,26b2は、所定の範囲の波長帯域の蛍光を反射させて、それ以外は透過させるミラーである。バンドパスフィルタ26c1〜26c3でフィルタリングして光電変換器27a〜27cで所定の波長帯域の蛍光を取り込むように、ダイクロイックミラー26b1,26b2の反射波長帯域および透過波長帯域が設定されている。
処理部28は、所定の信号処理を行って出力値を分析装置80に出力する部分である。図4は、処理部28の構成図である。処理部28は、光電変換器27a〜27c毎に、同じ構成の処理部28が設けられ、後述する分析装置80に出力値を供給する。図4では、代表して1つの処理部28を表している。
処理部28は、アンプ42と、増幅した電圧信号をデジタル信号に変換するAD変換回路44と、コンパレータ46と、乗算器48と、カウンタ50と、積分回路52と、除算回路54と、信号生成回路56と、定数除算回路58と、選択回路60と、LUT62とを有する。
AD変換回路44は、アンプ42にて増幅した電圧信号をデジタル信号に変換する部分である。ここでは、例えば2GHzのサンプリング周波数が用いられる。
コンパレータ46は、AD変換回路44から供給された電圧信号を予め設定されたスレシュホールド電圧と比較し、スレッシュホールド電圧を超える電圧信号が供給されたとき、この供給のタイミングに応じて、一定のピーク電圧を持つパルスからなる基準パルス信号を生成する部分である。
乗算器48は、生成された基準パルス信号と、AD変換回路44から出力された電圧信号とを乗算する部分である。カウンタ50は、生成された基準パルス信号の一定時間範囲のパルス数をカウントする部分である。ここで、一定時間とは、例えば、試料12が測定点を通過する時間をいう。
除算回路54は、積分回路52で求められた積分値aをカウンタ50で得られたカウント値bで除算する部分である。
具体的には、積分値aが第1の閾値以上の場合、積分値aを後述する定数αで除算した値を出力値とするように選択し、積分値aが第1の閾値より小さく、カウント値bが第2の閾値より小さい場合、カウント値bを出力値とするように選択する選択信号を生成する。この点については後述する。
なお、積分値aが第1の閾値より小さく、かつ、カウント値bが第2の閾値以上の場合、異常値検出として0値を出力するようにしてもよい。
定数除算回路58は、LUT62から供給される定数αの値を用いて積分値aを除算する。LUT62は、光電変換器27a〜cの受光のために設定された設定電圧、例えば光電子増倍管の場合電子の加速電圧によって一意的に定数αを定めることのできるテーブルである。ここで、定数αとは、図5(a)に示されるように受光信号が離散的に生成されるときの基準パルス信号の1パルス当たりの積分値aの平均値である。後述するように、蛍光強度が所定の範囲にあるとき、比a/bの値が略一定となる。このときの値が定数αである。上記設定電圧を変えると、定数αも変化する。このため、上記設定電圧を変えながら、比a/bが蛍光強度乃変化に対して略一定となる値である定数αを求めて、テーブル化することでLUT62は得られる。LUT62は、この予め設定電圧と定数αとの関係を表すテーブルである。したがって、LUT62は、光電変換器27a〜cの現在設定されている設定電圧の情報から定数αを定数除算回路58に提供できる。
図5(b)は、図5(a)に示す電圧信号によって生成される基準パルス信号の例を示している。蛍光強度が微弱な場合、基準パルス信号のパルスは離散的に発生するので、この基準パルス信号のパルス数をカウントすることで試料12が測定点を通過するときのフォトン数を求めることができる。このフォトン数は、上述のカウント値に相当する。
このため、本発明では、蛍光強度の上昇に伴って出力値が増加するように、積分値aに基づいて得られる等価フォトン数と、フォトン数をカウントして得られたカウント値と用いて、蛍光強度の出力値を選択して出力する。なお、図7(a)及び(b)から判るように、蛍光強度に対して積分値とカウント値が、単調増加する領域I1〜I2が共通して存在する。この領域において、積分値aに基づいて得られる等価フォトン数と、フォトン数をカウントして得られたカウント値とを切り替える。
図8は、比a/bが蛍光強度に依存して変化するグラフを示している。図8に示されるように、領域I1〜I2において、比a/bは略一定値を示す。この値が、定数除算回路58にて用いる定数αとして用いられる。
フローサイトメータ10は以上のように構成される。
処理部28では、この検出信号をトリガ信号とし、上述した蛍光強度の出力値を出力する。このとき、積分値a及びカウント値bに応じて、積分値aを定数αで除算した値あるいはカウント値bが、出力値として選択される。
蛍光強度の出力値は、分析装置80に供給され、この出力値を用いて、管路30を通過する試料12中に含まれる生体物質の種類等を特定し、試料12中に含まれる生体物質の分析を行う。
12 試料
20 信号処理装置
22 レーザ光源部
22r R光源
22g G光源
22b B光源
23a1,23a2,23b1,23b2 ダイクロイックミラー
23c.26a レンズ系
24,26 受光部
26c1,26c2,26c3 バンドパスフィルタ
27a〜27c 光電センサ
28 処理部
29 制御部
30 管路
32 回収容器
34r,34g,34b レーザドライバ
42 アンプ
44 AD変換回路
46 コンパレータ
48 乗算器
50 カウンタ
52 積分回路
54 除算回路
56 信号生成回路
58 定数除算回路
60 選択回路
62 LUT
80 分析装置
Claims (3)
- 測定対象物にレーザ光を照射することにより測定対象物が発する蛍光を受光して信号処理を行う検出装置であって、
測定対象物に照射するレーザ光を出射するレーザ光源部と、
レーザ光の照射された測定対象物の蛍光を受光して受光信号を出力する受光部と、
前記受光部から出力した受光信号から、蛍光強度の出力値を出力する処理部と、を有し、
前記処理部は、前記受光信号が予め設定された値を越したタイミングに応じて作られる一定の値のパルスからなる基準パルス信号を生成し、この基準パルス信号を前記受光信号に乗算して一定期間内の積分値を算出するとともに、前記基準パルス信号のパルス数を一定期間内においてカウントし、このときのカウント値を算出し、
さらに、前記処理部に、受光信号がパルス状に離散的に生成されるときの1パルス当たりの前記積分値の平均値が、定数として予め設定され、前記処理部は、前記積分値が予め設定された第1の閾値以上の場合、前記積分値を前記定数で除算した値を第1の出力値として出力し、前記積分値が前記第1の閾値より小さく、かつ前記カウント値が予め設定された第2の閾値より小さい場合、前記カウント値を第2の出力値として出力することを特徴とする蛍光検出装置。 - 前記積分値が前記第1の閾値より小さく、かつ前記カウント値が前記第2の閾値以上である場合、異常値の測定結果であるとして情報を出力する請求項1に記載の蛍光検出装置。
- 前記積分値及び前記カウント値がいずれも、蛍光強度の増大とともに増大する共通の領域が存在し、前記第1の閾値はこの領域内に含まれる積分値に対応する値であり、前記第2の閾値は、前記領域内に含まれるカウント値に対応する値である請求項1または2に記載の蛍光検出装置。
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