JP4901380B2 - 車両シート操作用のストラップ - Google Patents

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本発明は、車両に配備される車両シートを操作するためのストラップに関し、詳しくは車両シートのシートバックの背面に設けられ、車両シートのリクライニング機構のロック機構に連結されて該ロック機構を解除操作し、車両シートのシートバックが折り畳まれたロック解除状態において、車両シート後方側から引っ張ってシートバックを引き起こし操作可能な車両シート操作用のストラップに関する。
この種の車両シート操作用ストラップとして、特許文献1がある。特許文献1では、図5に例示するごとくシートバック3の背面側にリクライニング機構4のロック機構を解除するストラップ20が備え付けられている。このストラップ20は、ワイヤー5を介してリクライニング機構4のロック解除用部材に繋がれている。そして、使用者がストラップ20を下方へ引っ張りリクライニング機構4のロックを解除すると、シートクッション2とシートバック3とが折り畳まれる。この状態からストラップ20を後方へ引っ張ることにより、車両シート1の後方側からシートバック3を起立姿勢に引き起こすよう操作できるようになっている(図6参照)。これにより、ストラップ20を把持したまま、リクライニング機構4のロック解除およびシートバック3の折り畳み、引き起こし操作をすることができ、車両シート1の後方からでも使用者は楽な姿勢でシートバック3の引き起こし操作をすることができる。
特開2006−82752号公報
しかしながら、特許文献1のストラップ20は、図5に例示するように、車両シート1のシートバック3に直接結束されているので、ストラップ20の結束部はシートバック3の裏面と略同一面にある。これでは、図6に示すシートバック3の折り畳み状態から、ストラップ20を後方に引っ張ってシートバック3を引き起こし操作する際には、引っ張り荷重が大きく、大きな力が必要である。すなわち、図4に示すように、ストラップ20とシートバック3との結束部にある力点と、リクライニング機構4の回動中心からストラップ20の引っ張り方向と平行に引いた直線(一点鎖線で表示)との垂直距離L1が短いため、引っ張り荷重Fを与えたときにリクライニング機構4のヒンジ部に作用する回転モーメントM1が小さく、シートバック3を引き起こすのに大きな力を要した。
そこで本発明は、従来よりも小さな力で車両シート後方側からストラップを引っ張ってシートバックを引き起こすことができる車両シート操作用のストラップを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、シートクッションとシートバックとを含む車両シートのシートバックの背面に設けられ、前記車両シートのロック機構に連結されて該ロック機構を解除操作し、前記車両シートのシートバックが折り畳まれたロック解除状態において、前記車両シート後方側から引っ張って前記シートバックを引き起こし操作可能な車両シート操作用のストラップに関する。前記シートバックの背面には、車両前後方向へ回動自在に設けられたプレートが配されており、当該プレートは、長手方向一端側が前記シートバックに固定されたヒンジに軸支されており、前記シートバックに近接する方向に付勢されて、その回動限界が前記シートバックの背面から起立した状態となるように設定されている。そして、前記ストラップは、前記プレートの回動先端側となる長手方向他端側に結束されていることを特徴とする。

請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の車両シート操作用ストラップにおいて、前記プレートは前記シートバックの背面に凹設された収納凹部内に設けられており、プレートの回動限界は、当該プレートが前記収納凹部の側壁に当接することで規定されることを特徴とする。
本発明の車両シート操作用のストラップによれば、ストラップがシートバックの背面側に回動自在に設けられたプレートの回動先端側に結束されているので、シートバックが折り畳まれた状態において車両シート後方側からストラップを後方へ引っ張ってシートバックを引き起こすとき、シートバックに近接する方向へ付勢されているプレートがシートバックの背面から立設した状態となる。すなわち、ストラップとプレートとの結束部にある力点が、従来のようにストラップがシートバックの裏面と略同一面に結束されている場合に比べて垂直方向上方へ移動する。したがって、力点が垂直方向上方へ移動した分、リクライニング機構の回動中心からストラップの引っ張り方向と平行に引いた直線との垂直距離も従来より長くなるので、シートバックを引き起こす荷重が低減され、従来よりも小さな力でシートバックの引き起こし操作が可能であり、操作を楽にできる。
プレートをシートバックの背面に凹設された収納凹部内に設けていれば、シートバックの背面に従来にはなかった部材であるプレートを追加設置しても、当該プレートがシートバックに近接する方向に付勢されて不使用時には収納凹部内に収納された状態となっているので、プレートがシートバック背面から突出することがなく、使用者に邪魔にならず、外観体裁を良くできる。
また、プレートの回動限界が、プレートが回動して収納凹部の側壁に当接することで規定される構成となっていれば、プレートの回動限界を規定するための特別な機構や部材を設ける必要がなく、部品点数の増加を避けて生産や組み立て作業が容易となる。
以下に、図1ないし図4を参照しながら本発明に係る車両シート操作用ストラップの実施の形態を説明するが、これに限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。図1は、本発明に係る車両シート操作用ストラップを備えた車両シートの側面図を示している。図2は、車両シート操作用ストラップの不使用状態を示した要部拡大断面図である。図3は、図2の状態から連続する状態であって、車両シート操作用ストラップの使用状態を示した要部拡大断面図である。図4は、従来の車両シート用ストラップと、本発明に係る車両シート用ストラップとを比較した模式図である。
図1において、本実施形態に係る車両シート1は、着座部となるシートクッション2と、背もたれとしてのシートバック3とを有している。図1は、車両シート1の基本的使用状態を示しており、シートバック3がシートクッション2に対して起立した状態となって、この状態が図外のロック機構によってロック維持されている。シートバック3はリクライニング機構4によって車両前後両方向に回動可能であり、車両前方側へ付勢されていることによってシートバック3のロックを解除して回動フリー状態とすると、シートバック3は車両前方側へ折り畳まれて、シートクッション2上に重なった状態となる(図6参照)。
シートバック3の背面には、車両前後方向へ回動自在に設けられたプレート10が設けられており、このプレート10の回動先端側にストラップ20が結束されている。プレート10は、ワイヤー5を介してシートバック3のロック機構に連結されており、ストラップ20を引っ張るとこれに連動してプレート10が回動し、ワイヤー5を介してロック機構を解除操作できるように構成されている。
プレート10とストラップ20について詳しく説明する。図2及び図3に良く示されるように、プレート10は長尺状の平板部材であって、シートバック3の背面壁に凹設された収納凹部6内に設けられている。プレート10の長手方向一端側(リクライニング機構4側)がシートバック3に固定されたヒンジ11によって回動自在に軸支されており、回動先端側となる長手方向他端側に形成したバー12にストラップ20が結束されている。また、プレート10はヒンジ11によってシートバック3に近接する方向に付勢されており、これの不使用状態においては、収納凹部6内にシートバック3の背面と略面一状に収納されている。プレート10の回動基端には、シートバック3の内側へ突出する突出片13が一体的に形成されており、この突出片13の先端側にワイヤー5が結着されている。
ストラップ20は所定長さを有する紐状の部材であり、その自由端はリング状に形成されてグリップ部21となっている。
次に、本実施形態の車両シート操作用ストラップを用いて、車両シート1を操作する機構について説明する。上述のように、図1に示す車両シート1の使用状態、すなわちシートバック3の起立状態においてストラップ20を下方に引っ張ると、プレート10が図2の不使用状態から図3の使用状態に回動変位し、これに伴ってプレート10の突出片13の先端が上方(リクライニング機構4から離間する方向)へ変位することでワイヤー5が引っ張られてシートバック3のロック状態が解除される。この操作により、シートバック3が折り畳まれてシートクッション2上に重なる(図6参照)。この折り畳み姿勢からシートバック3を起立姿勢に戻すには、車両シート1の後方からストラップ20を後方へ引っ張って引き起こすことができる。
ストラップ20の不使用状態では、プレート10はシートバック3に近接する方向へ付勢されていることにより、図2に示すごとく収納凹部6内にシートバック3の背面(収納凹部6の奥壁)と平行な(伏倒した)状態で収納されている。この状態からストラップ20を後方へ引っ張ると、これに連動してプレート10がヒンジ11を回動中心として回動し、図3に示すごとくシートバック3の背面から起立した状態となる。このとき、プレート10が収納凹部6のリクライニング機構4側の側壁6aに当接することでその回動限界が規定され、シートバック3の背面に対して略垂直な状態で起立している。
このように、ストラップ20を引っ張ることによってプレート10がシートバック3の背面から起立した状態となることで、プレート10の長さ分シートバック3を引き起こす際の力点が上方へ変移し、この力点とリクライニング機構4の回動中心からストラップ20の引っ張り方向と平行に引いた直線との垂直距離が長くなる。すなわち、図4において、従来のようにストラップ20をシートバック3に直接結束してストラップ20の結束部がシートバック3の裏面と略同一面にある場合は、ストラップ20の結束部にある力点とリクライニング機構4の回動中心からストラップ20の引っ張り方向と平行に引いた直線(一点鎖線で表示)との垂直距離はL1となる。これに対して、ストラップ20をプレート10の回動先端に結束した本発明では、ストラップ20の結束部にある力点とリクライニング機構4の回動中心からストラップ20の引っ張り方向と平行に引いた一点鎖線で示す直線との垂直距離はL2であって、従来の距離L1よりも長くなっている。これにより、図4によく示されるように、ストラップ20の引っ張り荷重Fが同じままでも、従来のようにストラップ20の結束部がシートバック3の裏面と略同一面にある場合の、リクライニング機構4のヒンジ部に作用する回転モーメントM1よりも、本実施形態での同回転モーメントM2の方が大きくなる。以って、シートバック3の引き起こし操作に要する力が従来よりも低減される。
本発明では、力点を上方へ変位させることで、リクライニング機構4の回動中心からストラップ20の引っ張り方向と平行に引いた直線との垂直距離L2の長さを従来よりも長くする点が注目される。したがって、プレート10の回動限界は、当該垂直距離L2を従来の垂直距離L1よりも長くし得る限り特に限定されることはなく、この点を鑑みて適宜調整することができる。具体的には、シートバック3の背面に対して20〜160度、好ましくは50〜130度、より好ましくは80〜100度、最も好ましくは90度である。プレート10の起立角度をシートバック3の背面に対して90度未満に設定する場合は、プレート10の回動基端側の収納凹部6の側壁上部から、内方向へ当接片を突出形成するなどすることができる。プレート10の回動限界の角度がシートバック3の背面に対して小さすぎたり大きすぎたりすると、力点の上方変位量が少なくて垂直距離L2の長さを十分に延長できないからである。
車両シート1が、ヘッドレストやシートレッグなどを有する場合は、プレート10をこれらのロック機構に連結してもよい。
車両シートの側面図である。 ストラップの不使用状態を示す要部拡大断面図である。 ストラップの使用状態を示す要部拡大断面図である。 従来のストラップと本発明に係るストラップの回転モーメント等を比較した模式図である。 従来の車両シートの使用状態を示す側面図である。 従来の車両シートの折り畳み状態を示す側面図である。
符号の説明
1 車両シート
2 シートクッション
3 シートバック
6 収納凹部
10 プレート
20 ストラップ
F ストラップを引っ張る荷重
L 垂直距離
M 回転モーメント

Claims (2)

  1. シートクッションとシートバックとを含む車両シートのシートバックの背面に設けられ、前記車両シートのロック機構に連結されて該ロック機構を解除操作し、前記車両シートのシートバックが折り畳まれたロック解除状態において、前記車両シート後方側から引っ張って前記シートバックを引き起こし操作可能な車両シート操作用のストラップであって、
    前記シートバックの背面には、車両前後方向へ回動自在に設けられたプレートが配されており、
    前記プレートは、長手方向一端側(前記ロック機構側)が前記シートバックに固定されたヒンジに軸支されており、
    前記プレートは、前記シートバックに近接する方向に付勢されて、その回動限界が前記シートバックの背面から起立した状態となるように設定されており、
    前記ストラップは、前記プレートの回動先端側となる長手方向他端側に結束されていることを特徴とする車両シート操作用のストラップ。

  2. 前記プレートは、前記シートバックの背面に凹設された収納凹部内に設けられており、
    前記プレートの回動限界は、該プレートが前記収納凹部の側壁に当接することで規定されることを特徴とする請求項1に記載の車両シート操作用のストラップ。
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