(1)まず、本発明の実施の形態のうち、第1形態に係るパチンコ機について、外的側面から説明する。
図1は当該パチンコ機1の正面側斜視図である。パチンコ機1は、正面上部に、特別図柄2を表示可能な図柄表示部3を備えた図柄表示装置4、チューリップ型の始動口5、前開きに開成可能な特定入賞口としての大入賞口6等を設置した遊技領域8を有している。また、パチンコ機1の正面下部には、遊技球を載置する上皿10および下皿12を設け、更に下皿12に隣接して、遊技球発射時における操作のためのハンドル14を有している。
図2は、図柄表示部3を示すものである。特別図柄2は、左特別図柄2L、右特別図柄2R、中特別図柄2Cからなる。左特別図柄2L等は、記号により表現され、パチンコ機1では、麻雀牌の「一萬」から「九萬」および「白」「発」「中」の12種類となっている。
そして、特別図柄2につき、左特別図柄2L等を一定時間(例えば2秒)以上に亘り停止表示をすることで確定表示をする。確定表示において、左特別図柄2L等が全て同種であれば大当りとする。また、大当りのうち「三萬」「五萬」「七萬」「白」「発」「中」に係るものを特定大当りとし、これ以外の大当りを通常大当りとする。
また、図柄表示部3において、変動時間の短縮設定に係る残り特定回数を表示する回数報知部としての特定回数表示部15を割当てている。なお、特定回数表示部15は、短縮設定時以外においては、特別図柄2ないしは背景等の表示を行っている。
図3はパチンコ機1の背面側斜視図である。パチンコ機1は、背面上部に、島設備からの遊技球を貯留するタンク16、タンク16から上皿10または下皿12の奥まで延びる遊技球通路18、遊技球通路18に位置させた図示しない回転体を含み、回転体を制御することで遊技球を上皿10または下皿12へ送る、払出部としての払出装置20を備えている。
(2)次に、パチンコ機1の内的側面について説明する。
図4はパチンコ機1内部の一部を示すブロック図である。パチンコ機1は、図3にも示されるように、背面下部において、コマンドを送信することで主な制御を司る主制御基板22、主制御基板22からのコマンドを受信し、図柄表示装置4へ表示コマンドを送信するサブ統合基板24、およびサブ統合基板24により直接に点灯,発音制御される電飾基板29,スピーカー30を封入している。なお、電飾基板29は、遊技領域8やその周囲等に配置される。
主制御基板18は、ROMおよびRAMを内蔵した主CPU32を有している。主CPU32は、ROMにおいて保持する大当り判定プログラム、コマンド作成プログラム、コマンド送信プログラム等のプログラムを実行可能である。なお、大当り判定プログラムおよびコマンド作成プログラムの一部が、当り判定処理を構成する。
また、主CPU32は、大当り判定に係るループカウンタ(値域0〜234で整数)、図柄決定用のループカウンタ(3種類、同様に0〜11)、図柄の変動表示パターン(変動パターン)決定用のループカウンタ(同様に0〜410)を、自らが発生する2ms(ミリ秒)毎の割込に基づき駆動する。更に、主CPU32は、各ループカウンタの抽出値(順にV、SR・SL・SC、Dとする)を取得可能である。極めて速く駆動するループカウンタから抽出値を得ることで、抽出値は乱数とみなすことができ、したがって抽出値の取得は抽選に相当することとなる。なお、パチンコ機1では、抽出値V,SLが当り判定処理に利用される。
加えて、主CPU32は、変動時間短縮設定の特定回数に係る減算カウンタJをも駆動可能である。減算カウンタJの初期値は、100である。また、主CPU32のRAMは、遊技状態を示す状態フラグFを記憶する。パチンコ機1において、状態フラグFは、0で通常状態、1で大当り状態、2で確率変動状態、3で変動時間短縮状態を示す。そして、状態フラグF=2とする処理が、確率変動設定処理に対応し、状態フラグF=3とする処理が、短縮設定処理または再短縮設定処理に対応する。
更に、主CPU32のRAMは、大当りが成立したか否かを示す大当りフラグB、確率変動状態が成立したか否かを示す確率変動フラグC、および変動時間短縮状態が成立したか否かを示す短縮フラグGを格納可能である。なお、パチンコ機1において、各フラグは、0で不成立、1で成立を示す。
また、主CPU32のROMは、図5に示すような、第1バイト(DATA1)を80H(16進数)としたコマンドと抽出値Dとの対応を示すテーブル34を格納している。コマンドの内容は、図6に示すとおりであり、第2バイト(DATA2)でその種類を表現する。また、1個のコマンドで、変動パターンの指定、電飾基板29に対する電飾点灯指定、スピーカー30への発音指定を同時に表現する。
パチンコ機1では、変動パターン毎に、その所要時間(5100ms,8000ms・・)を定めており、パターンの種類を示す末尾の数字が進む毎に時間を要するようになっている。したがって、変動表示は、変動パターンの決定によりその設定時間が定められ、設定時間に亘るものとなる。なお、主CPU32は、所要時間の経過を検知するためのタイマTを駆動可能である。
また、主CPU32は、遊技状態が通常(低確率)ではなく高確率(確率変動中)であることを示す以外は同様な指令を表現する、DATA1を81Hとしたパターン指定コマンドを発信可能である。
なお、主CPU32は、抽出値SCあるいは中特別図柄2Cに関連して、図7に示すような、DATA1を83Hとする中指定コマンドを発信可能である。また、主CPU32は、同様にして、抽出値SL・左特別図柄2Lに関する82Hの左指定コマンド、および抽出値SR・右特別図柄2Rに関する84Hの右指定コマンドを送信可能である。更に、主CPU32は、確定表示実行の合図としての、DATA1を85Hとし、DATA2を01Hとする確定コマンドを発信可能である。
また、主制御基板22は、始動口5,大入賞口6へ入賞した遊技球の検知信号を発信する遊技球センサ36,37と接続されている。更に、主制御基板22は、払出装置20の回転体とも接続されている。
また更に、主制御基板22は、通電により大入賞口6を押出し、大入賞口の開閉成を実現するソレノイド38とも接続されている。なお、主制御基板22と各部材とは、不正防止のために片方向通信のみ可能として接続している。
一方、サブ統合基板24は、ROMおよびRAMを内蔵したサブCPU40を有している。サブCPU40は、ROMにおいて保持するコマンド受信プログラム等のプログラムを実行する。
他方、図柄表示装置4は、ROMおよびRAMを内蔵した図柄表示CPU42を有している。図柄表示CPU40は、サブ統合基板24からの表示コマンドに基づいて、特別図柄2の変動表示および確定表示を、ROM内の図柄表示プログラムを実行することで図柄表示部3において行う。
また、図柄表示CPU42はROM内の特定回数表示プログラムを実行し、高確率に係る変動表示(高確率変動)に関する81Hのコマンドの後に、低確率に係る変動表示(低確率変動)に関する80Hのコマンドを受信するか、または残り特定回数W内において通常大当りに係る左特別図柄2L等の組合わせを受取ることを判断することで、変動時間短縮状態を認識し、特定回数表示部15において残り特定回数Wを表示する。なお、図柄表示CPU42は、残り特定回数Wを確定表示毎に更新し、RAMに格納する。
なお、各CPU32,40,42あるいはこれを搭載した図柄表示装置4または各基板22,24は、上記の通りパチンコ機1の動作を制御するため、制御部を構成するものである。
(3)続いて、パチンコ機1の動作面につき、主制御基板22側における通常状態時の変動表示に係る処理等から説明する。
パチンコ機1において、電源投入直後は通常状態(フラグF=0)であり、確率変動設定、変動時間短縮設定はなされておらず、大入賞口6は閉成している。通常状態において、ハンドル14の操作により発射された上皿10からの遊技球が、始動口6に入賞すると、その遊技球センサ36が検知信号を発信する。当該検知信号を受けた主CPU32は、一定上限(例えば4)まで入賞個数を記憶する(作動保留)。また、主CPU32は、入賞個数の記憶時、各抽出値を取得し、当該入賞に係るものとして共に記憶しておく(抽選の実行)。
また、主CPU32は、入賞個数の記憶が1以上であり、かつ特別図柄2の確定表示後であって変動表示前であると、当該個数を1減算し、最も古い抽出値群の記憶を利用した、特別図柄2の変動表示および確定表示のための処理を開始する。したがって、パチンコ機1は、始動口5への入賞に基づいて、特別図柄2に関し変動表示および確定表示を行うものである。なお、主CPU32は、変動表示を終えると、これに対応する抽出値群の記憶を消去する。
主CPU32は、特別図柄2の変動表示に際し、当り判定処理の一部として大当り判定プログラムを実行し、通常状態において、抽出値Vが所定値(例えば7)であるかを判断する。真であれば、大当りフラグB=1とし、当該確定表示以降の遊技状態を大当り状態に指定する。また、偽であれば、大当りフラグBあるいは遊技状態はそのままにする。
更に、主CPU32は、コマンド作成プログラムを実行し、各種コマンドを作成する。
パターン指定コマンドに関しては、抽出値Dをテーブル34に当てはめることで対応するコマンドを得て作成する。なお、テーブル34において、抽出値Dの割当てを、各種フラグの値によって異ならせている。状態フラグF=0すなわち通常状態の場合は、比較的短い所要時間の変動パターンが多く選択されるように割当てられる。一方、いずれの状態であっても、大当りフラグB=1で大当り状態を生起する場合は、比較的長い所要時間の変動パターンを指定するコマンドに多くを割当て、また変動パターン1および変動パターン2に係るコマンドを生成しないために当該コマンドに対し割当てをしない。なお、主CPU32は、作成されたパターン指定コマンドに対応するように、変動表示の所要時間に係るタイマTをセットしておく。
また、左指定コマンド等に関しては、図8に示すように決定する。すなわち、主CPU32は、ステップ100において、大当りフラグBを参照する。
大当りフラグBが1であれば、ステップ102に移行し、抽出値SLの値を抽出値SRに上書きすると共に、ステップ104に移行し、抽出値SLの値を抽出値SCにも上書きして、抽出値SL,SR,SCを揃える。したがって、大当り状態を生起すべき場合に、特別図柄2の確定表示として大当りに係るもの(大当り図柄)を指定するコマンドが発行される。
更に、大当りフラグBが1である場合の処理として、確率変動フラグCに係るものを行う(ステップ106)。ステップ106では、抽出値SLが「三萬」「五萬」「七萬」「白」「発」「中」を指定する値に該当しているか否かを判断し、該当していれば、確率変動フラグCを1とする。なお、パチンコ機1では抽出値SLによって特定大当りか通常大当りかが決るため、ステップ106は当り判定処理の一部を構成する。
そして、主CPU32は、ステップ108へ移行して、左指定コマンド等を、抽出値SL等にDATA1を合わせることで実際に作成し、RAM内の所定エリアに格納する。
以上より、パチンコ機1においては、抽出値SLによる抽選によって特定大当りか通常大当りかが決定され、特定大当りの場合に、特別図柄2の確定表示として特定大当りに係るもの(特定大当り図柄)を指定するコマンドが発行され、通常大当りの場合に、特別図柄2の確定表示として通常大当りに係るもの(通常大当り図柄)を指定するコマンドが発行される。
一方、主CPU32は、ステップ100で大当りフラグB=0であれば、更に第1コマンドのDATA2が01Hまたは02Hであるかを判断する(ステップ110)。
第1コマンドのDATA2が01Hまたは02Hでなければ、ステップ112に移行し、抽出値SRを瞬時値SLで上書きすると共に、ステップ114において抽出値SCを瞬時値SLに所定値(例えば03Hの場合に1、04Hの場合に2等)を加えたものとする。そして、ステップ108へ移行し、実際にコマンドを作成する。したがって、比較的長い所要時間の変動パターンが選択された場合には、左特別図柄2Lと右特別図柄2Rとが揃い、中特別図柄2Cのみがずれる確定表示図柄(リーチ図柄)を指定するコマンドとなる。なお、大当り図柄もリーチ図柄に該当する。
一方、第1コマンドのDATA2が01Hまたは02Hであると、主CPU32はステップ120を実行し、抽出値SL,SRが等しい場合にこれらをずらして(ステップ122)、大当り図柄でもリーチ図柄でもない確定表示図柄(はずれ図柄)の指定に係るコマンドを、ステップ108において発行するようにする。
加えて、主CPU32は、コマンド送信プログラムを実行する。このうち、パターン指定コマンドおよび左指定コマンドに関し、主CPU32は、連続する割込毎に、サブ統合基板52へ送信する。
一方、確定コマンドに関し、主CPU32は、パターン指定コマンドの送信を契機として、変動表示の所要時間に対応するタイマTを駆動する。そして、タイマTにより当該時間の経過を判断すると、主CPU32は、確定コマンドを送信する。なお、主CPU32は、変動表示にあたり、これら以外のコマンドを送信しない。
(4)次に、サブ統合基板24側もしくは図柄表示装置4側におけるコマンドの処理等を説明する。
サブ統合基板24は、主制御基板22からの各種コマンドを監視し、受信するとこれに応じた処理をする受信プログラムを、サブCPU40において実行する。
サブCPU40は、パターン指定コマンドを受信すると、当該変動パターンにおいて、図柄表示装置4用に変動表示を開始する旨の表示コマンドを作成して送信すると共に、電飾基板29の点灯制御を開始し、スピーカー30の発音制御を開始する。
また、サブCPU40は、左指定コマンド等を受信すると、図柄表示装置4のみに、指定に関しそのままの状態で送信する。更に、サブCPU40は、確定コマンド等を受信すると、図柄表示装置4用の確定表示を実行する旨の表示コマンドを作成して送信すると共に、電飾基板29の点灯制御およびスピーカー30の発音制御を確定表示に対応するものとする。
図柄表示装置4は、変動表示開始の表示コマンドを受信すると、これの監視をも行う図柄表示プログラムあるいはこれを実行する図柄表示CPU42により、図柄表示部3を制御して、指定に係る変動パターンに応じた変動表示を開始する。なお、図柄表示CPU42は、図柄表示プログラムにおいても抽選を行い、適宜、背景変化やキャラクタ表示等の演出を行ったり、同じ所要時間における異なる変動表示(例えば動作・態様変化、左特別図柄2L等の変遷)を行ったりする。
また、図柄表示CPU42は、左指定コマンド等に対応する表示コマンドを受信すると、変動表示においてその指定を利用する。すなわち、本指定に応じて、上記演出や別途変動表示を行ったり、その抽選結果が異なるようにしたりする。また、変動表示または左特別図柄2L等の停止表示の終了間際において、指定に係る図柄の近傍に左特別図柄2L等が表示されるようにする。加えて、図柄表示CPU42は、その指定における左特別図柄2L等からなる特別図柄2の確定表示の準備をする。
なお、図柄表示CPU42は、変動表示開始の表示コマンドがDATA2>02Hに対応するものであった場合、あるいは左指定コマンド等に対応する表示コマンドがリーチ図柄を示すものであった場合には、リーチ表示を行う。リーチ表示は、左右特別図柄2L,2Rを停止表示しつつ中特別図柄2Rを徐々に停止表示するものであり、大当りの場合は略毎回行われると共に、外れの場合にも適宜行うものである。リーチ表示によって、大当りとなる期待感を付与するという演出が可能である。なお、リーチ図柄であることをもって、リーチ動作を必ずするものではない
更に、図柄表示CPU42は、確定コマンドに対応する表示コマンドを受信すると、図柄表示部3において、準備した特別図柄2の確定表示を実行する。すなわち、図柄表示CPU42は、確定コマンド受信のタイミングで、特別図柄2の確定表示を行う。なお、図柄表示CPU42は、変動表示の所要時間の経過を察知したとしても、確定コマンドの受信が行われなければ、確定表示をしない。
したがって、あくまでも主制御基板22による確定コマンドの送信によって、特別図柄2の確定表示が実行され、確定表示を主制御基板22の管理下に置ける。なお、確定表示が実行できない場合、図柄表示CPU42は、変動表示を継続し、意図しない確定表示を回避する。また、図柄表示CPU42側において、所要時間の経過後での確定コマンドの未受信を検出すると、図柄表示部2において「通信エラー」といった表示を行う。
(5)続いて、大当り状態ないしは確率変動状態に係る処理等を説明する。
主CPU32は、確定コマンド発信後において、大当りフラグB=1であると、状態フラグF=1とし、大当り状態の処理に切替える。なお、状態フラグF=1とした直後に、大当りフラグB=0とクリアする。
主CPU32は、状態フラグF=1の場合には、ソレノイド38に電圧を所定時間だけ与えて、大入賞口6を所定時間に亘り開成する。また、主CPU32は、上限回数内における大入賞口6内の所定領域に対する遊技球の通過といった所定条件を充足した場合には、再び大入賞口6を開成する。なお、主CPU32は、図柄表示部3における大当り時表示、電飾基板29に対する大当り時の電飾指令、およびスピーカー30へのファンファーレ発音指令を含有するコマンドを、サブ統合基板24へ送信する。当該コマンドは、大入賞口6の開成(ラウンド)毎に送信される。
また、主CPU32は、大入賞口6の遊技球センサ37から検知信号を受けると、払出装置20を制御して、検知信号の受信数に基づいた遊技球の払出を行い、遊技者に大当りに係る賞を提供する。
大入賞口6は、略円形の遊技領域8の下端縁にあるため、遊技球が入賞し易い。また、大入賞口6は、断続的に開成可能であるため、遊技球が比較的に多く入賞可能である。したがって、大当りは、遊技者にとって有利となり、大当りに係る確定表示に基づいて、比較的に多くの遊技球を取得可能である。
そして、上記所定条件を充足せず、大入賞口6が閉成すると、主CPU32は、確率変動フラグCを参照する。確率変動フラグC=1であると、主CPU32は状態フラグF=2として、確率変動状態の設定をし、確率変動状態の処理を行う。
当該処理にあって、主CPU32は、大当り判定における抽出値Vと比べる所定値を、例えば7の他に11,13・・というように増加させる。これにより、大当りと判定される確率が増加する。なお、パチンコ機1では、確率変動状態を、次回大当りまで持続する。
また、主CPU32は、パターン指定コマンドのDATA1を81Hとする。当該コマンドを受信したサブCPU40は、確率変動(高確率)に係る表示コマンドを発行し、電飾制御および発音制御とを行う。当該表示コマンドを受信した図柄表示CPU42は、確率変動状態に対応する特別図柄2の変動表示および確定表示を行う。
なお、確率変動状態において大当り判定で大当りとし、かつ再び確率変動フラグC=1とすると、主CPU32は、再度の確率変動設定を、大当り状態終了後に行う。ただし、主CPU32は、連続する確率変動設定につき、一定の上限(例えば10000)内となるように、カウンタ等で管理する。
一方、主CPU32は、確率変動状態において大当り判定で大当りとされ、かつ確率変動フラグC=0となると、短縮フラグG=1とする。
(6)そして、変動時間短縮状態に関する処理等を説明する。
主CPU32は、大当り状態終了後、短縮フラグG=1であると、状態フラグF=3とし、変動時間短縮状態の処理をするように、時間短縮設定を行う。したがって、特定大当り図柄表示に続く通常大当り図柄表示に基づいて、変動時間の短縮設定がなされる。ここで「続く」は、大当りのみに注目した(大当りの視点からみた)場合のものであり、特定大当り図柄の確定表示の直後の変動表示に係る確定表示という意味のみを示すものではない。換言すると、「続く」は、大当りとして特定大当りの後に通常大当りとなったことを示し、その間の外れの数は関係ない。なお、状態フラグFを変更した後に、短縮フラグG=0とする。また、変動時間短縮状態において、上記確率変動設定はなされない。
変動時間短縮状態において、主CPU32は、パターン指定コマンドに係るテーブル34の参照欄を、対応するものに変更する。換言すると、主CPU32は、通常状態とは異なる抽出値Dの割当を採用する。この割当は、通常状態に比較して、所要時間の短い変動パターンに対し多くするものである。
すなわち、パチンコ機1において、外れを前提とすると、通常状態では、特に20/411の確率で所要時間5100msの変動パターン1が設定され、361/411の確率で、所要時間8000msの変動パターン2が設定される。一方、上記割当により、変動時間短縮状態では、特に361/411の確率で所要時間5100msの変動パターン1が設定され、20/411の確率で、所要時間8000msの変動パターン2が選択される。
また、主CPU32は、変動時間短縮状態における特別図柄2の確定表示毎に、減算カウンタJを1減らす。そして、主CPU32は、減算カウンタJが0となると、状態フラグF=0とし、通常状態に戻す。
以上により、変動時間短縮状態における変動表示の所要時間の平均値は、他の状態のものより短くなる。なお、個々にみれば、リーチ表示等により、変動時間短縮状態における変動表示の所要時間が他のものより長くなる場合もある。
更に、変動時間短縮状態において、図柄表示CPU42は、特定回数表示プログラムを実行し、図2に示すように、残り特定回数Wすなわち減算カウンタJと同じ値あるいは変動時間短縮状態における残り変動表示(確定表示)回数を遊技者に報知する。なお、図柄表示CPU42は、確定コマンドに係る表示コマンドの受信毎に、RAM内の残り特定回数Wを1減ずる。
加えて、主CPU32は、状態フラグF=3である場合において、大当りフラグB=1となり、かつ抽出値SLが特定大当りに該当する値となると、再び短縮フラグG=1とする再短縮設定を行う。また、再短縮設定に付随して、再び減算カウンタJ=100(初期値)とする処理も行う。
すなわち、変動時間短縮状態内において通常大当りとなると、当該大当りに係る大当り状態の終了後、再び特定回数(100回)分の変動表示の設定時間の短縮に係る変動時間短縮状態とする。なお、変動時間短縮状態内において大当りとした場合の、短縮をする変動表示回数の残りは、大当りを得ることによってクリアされる。したがって、特定回数は、短縮設定の上限としての意味を持っている。
更に、主CPU32は、通常大当り図柄の確定表示に続く通常大当りに係る表示の処理にあっては、上記再短縮設定の場合を除き、短縮フラグG=1にしない(あるいは短縮フラグG=0とする)。また、図柄表示CPU42も、同様に特定回数表示プログラムを起動しない。なお、電源投入後の初当りが通常大当りである場合における短縮設定の有無は、本発明では大勢に影響がないが、パチンコ機1では、設定無しとする。
したがって、特定大当りに続く通常大当りまたは変動時間短縮状態内での通常大当り以外の通常大当りに基づいて、短縮設定処理あるいは再短縮設定処理等がなされない。
そして以上より、パチンコ機1においては、図9(a)に示すような大当りまたは設定の流れを呈する。すなわち、特定大当りに続く通常大当りに対し、特定回数に係る変動時間の短縮設定がなされる。当該特定回数内で大当りとならないと、通常状態に戻る。一方、当該特定回数内で通常大当りとなると、再び同じ特定回数に係る短縮設定を提供する(図の点線参照)。
(7)第1形態に係るパチンコ機1では、次に示すような効果を奏する。
すなわち、パチンコ機1は、特定大当りに続き通常大当りとすることに対応して、特定回数に係る変動表示の短縮設定を行うと共に、短縮設定時に通常大当りを判定すると、再び同じ特定回数に係る短縮設定を行い、これら以外の通常大当りに対応して短縮設定を行わないため、変動時間短縮状態において、通常大当りに関するリーチ表示を、興味深く提供することができる。また、極めて興味深い大当りの連続について、特定大当りに係る態様の他に、変動時間短縮状態からの通常大当りの連続、あるいはその連続から特定大当りを得るもの、といった斬新な態様を提供することができる。
また、パチンコ機1は、短縮設定に係る特定回数を報知する特定回数表示部15を備えているため、面白い遊技に関連する変動時間短縮状態の終了を的確に提示することができ、また特に終了間際における特別図柄2の変動表示に興奮を付与することができる。
(8)加えて、本発明の実施の形態に属する第2形態に係るパチンコ機について、第1形態との相違点を中心に説明する。
第2形態のパチンコ機は、変動時間短縮状態に係る処理の他は、第1形態と同様である。第1形態と同様になるものには、同符号を付する。そして、第2形態の変動時間短縮状態に係る処理によって、図9(b)に示すような大当りまたは設定の流れを呈するようにする。
すなわち、主CPU32は、確率変動状態(状態フラグF=2)において大当り判定で大当りとされ、かつ確率変動フラグC=0となると、短縮フラグG=1とし、減算カウンタJ=100とする(短縮設定処理)。
また、主CPU32は、状態フラグF=3である変動表示短縮状態において、大当りフラグB=1となり、かつ抽出値SLが特定大当りに該当する値となると、再び短縮フラグG=1とする(再短縮設定処理)。再短縮設定処理に付随して、再び減算カウンタJ=100とする処理も行う。
更に、主CPU32は、通常大当り図柄の確定表示に続く通常大当りに係る表示の処理にあっては、上記再短縮設定の場合を除き、減算カウンタJ=30としたうえで短縮フラグG=1とする(別短縮設定処理)。第2形態に係るパチンコ機では、別短縮設定処理により、短縮設定時あるいは再短縮設定処理に係る特定回数(100回)に比較してより少ない所定回数(30回)の変動表示短縮を提供する。
なお、当該所定回数内において通常大当りとした場合、第2形態に係るパチンコ機1では、大当り後に特定回数に係る短縮設定を付与する。また、電源投入後の初当りが通常大当りである場合における別短縮設定の有無あるいはその短縮回数は、本発明では大勢に影響がないが、第2形態に係るパチンコ機では、上記別短縮設定そのものとする。
加えて、図柄表示CPU42は、別短縮設定に基づく処理において、残り特定回数Wの代りに残り所定回数を記憶し利用することで、残り所定回数をも特定回数表示部15において報知する。
(9)第2形態に係るパチンコ機では、次に示すような効果を奏する。
すなわち、当該パチンコ機は、特定大当りに続き通常大当りとすることに対応して、特定回数に係る変動表示の短縮設定を行うと共に、短縮設定時に通常大当りを判定すると、再び同じ特定回数に係る短縮設定を行い、これら以外の通常大当りに対応して特定回数より少ない所定回数において短縮設定を行うため、変動時間短縮状態において、通常大当りに関するリーチ表示を特に興味深く提供しながら、他の通常大当りに関しても興味の持てるものを提供することができる。
また、極めて興味深い大当りの連続について、特定大当りに係る態様の他に、変動時間短縮状態からの通常大当りの連続、その連続から特定大当りを得るもの、単なる通常大当りから短縮設定を得ることで大当りを獲得するもの、といった斬新で多彩な態様を提供することができる。更に、いずれの大当りでも興味を持続するようにしながら、変動時間短縮状態に係る通常大当りではより有利で興味が湧くよう遊技にめりはりを付与することができる。
また、パチンコ機1は、短縮設定に係る残り特定回数および残り所定回数を報知する特定回数表示部15を備えているため、面白い遊技に関連する変動時間短縮状態の終了を的確に提示することができ、また特に終了間際における特別図柄2の変動表示に興奮を付与することができる。
(10)なお、主に上記形態を変更してなる、本発明の他の形態をそれぞれ例示する。
図9(c)に示すように、第2形態と同様のパチンコ機において、所定回数内での通常大当りを判定した場合に、特定回数ではなく所定回数に亘る変動時間短縮設定をする。この場合、所定回数に係る別短縮設定からの遊技に対して、特定回数に係る短縮設定および再短縮設定からの遊技をより有利として一層めりはりを付けながら、所定回数内において大当りが連続する余地も残すことにより興味を失い難い遊技を提供することができる。
また、図柄表示部につき、7セグメントタイプあるいはドットマトリクスタイプに係るものとする。特別図柄につき、数字を始めとする他のモチーフを採用する。また、特別図柄につき、1,2,4,6,9等3個以外の図柄の組合わせにおいて特定大当り、通常大当りあるいは外れを報知するようにする。更に、特別図柄につき、大当りか否かの報知と、特定大当りか通常大当りかの報知とを、別のものあるいは離れて配置したものによって行う。
更に、特定入賞口につき、大当り時に初めて開成する大入賞口ではなく、通常時も入賞可能でありながら大当り時には通常より大きく開成するものとする。また、始動口についても、遊技球の通過をもって入賞とするゲート等とする。払出部は、回転体による払出装置でないものを採用し、あるいは入賞の検知信号の種類に応じて直接払出すものではなく、払出すべき数としての要請球数を算出して、要請球数に基づき払出すもの等を採用する。
制御部は、サブ基板等の基板を省いたり、払出基板・電飾統合基板・発音制御基板等の基板を追加したり、CPUの数を増減したり、RAMやROMにつき別体のものを採用したり、主制御基板が図柄表示装置をコマンド方式によらず直接制御したりする等任意に変更する。また、各種処理を他の同等な表現に変更し、プログラムの分け方も別の任意のものとし、遊技状態の処理について状態フラグによって切替えずにコマンド等によって切替え、再短縮と別短縮とを異なる遊技状態に位置付け、残り特定回数等について減算カウンタではなく加算カウンタにより制御し、あるいは共通の抽出値によって特定大当り・通常大当り・外れを判定し、またはCPU等の発生する乱数を用いて判定する。また、特定の領域を遊技球が通過するかしないかをもって抽選とすることもできる。
一方、確率変動につき、大当りとする所定値を増やさずに、変動表示の所要時間を短縮したり、始動口を入賞容易としたり、これらを任意に併用したりする。また、確率変動を次回大当りまで継続せずに上限を設けたり、確率変動の連続に上限を設けなかったりする。また、変動表示の時間短縮につき、短い所要時間の変動パターンを多く選択するようにせずに、大当りあるいはリーチ表示以外の変動表示を一律短い時間とする等する。
加えて、残り特定回数あるいは残り所定回数を、専用の表示装置といった図柄表示部以外において表示する。また、残り特定回数あるいは残り所定回数を、点滅回数といった電飾によるもの、あるいは所定態様の発音といったスピーカーによるものによって報知することができる。更に、残り特定回数あるいは残り所定回数について、一方のみを報知することができる。また、短縮設定処理時等において、残り特定回数ではなく特定回数(第1形態において「時短100回獲得!」の表示等)を報知し、残り所定回数ではなく所定回数を報知し、あるいは経過特定回数(「時短開始より**ゲーム経過」)や経過所定回数を報知し、またはこれらを任意の組合わせで報知することができる。更に、特定回数や所定回数あるいはこれらの比を、特定回数が所定回数より多い状態で、他の任意のものとする。
また更に、再短縮処理あるいは別短縮処理に付随して、図柄表示部等における演出を行う。この場合、再短縮あるいは別短縮に係る最初の変動表示前や初期の変動表示において「引き戻し!」といったメッセージや特別のキャラクタ等を表示し、あるいは特定対応の電飾点滅または発音をすることができ、再短縮あるいは別短縮の獲得に更なる面白みを付与することができる。また、変動時間短縮状態の残り変動表示回数が特定値となると、残り特定回数を拡大して表示することもでき、あるいは他の回数についても同様にでき、これらの場合、再短縮あるいは別短縮を一層興味深いものとすることができる。なお、残り特定回数が10以下となることで当該回数を表示し始めるといったように、各種回数がある値となることでその回数の報知を開始したり、停止したりすることもできる。
また、再短縮に係る変動表示回数の上限につき、特定回数より少ない特別回数とする。すなわち、第1形態のようなパチンコ機における主CPUによる処理にあって、再短縮処理に付随して短縮フラグ=1とする際に減算カウンタ=80等とする。このようにすることで、特定大当りに続く通常大当りを、変動表示回数上限の観点から最も有利な変動時間短縮状態とすると共に、通常大当りに付随する変動時間短縮状態から獲得した再短縮を、次に有利な変動時間短縮状態に位置付けることができ、更にバリエーションが豊富で、めりはりの利いた遊技を提供することができる。なお、特別回数は、更に所定回数と組合わせることができるし、所定回数より多くしたり、少なくしたりすることができる。また、特別回数を特定回数より多くすることもできる。これらの場合にも、遊技のバリエーションを多彩にし、あるいはめりはりを付与することができる。
更に、回数報知部と同様にして、変動時間短縮状態を連続して提供した場合の短縮連続回数を報知する。すなわち、図柄表示CPUのRAM等において、変動時間短縮状態の処理中に通常大当りに係る特別図柄の指定コマンドを受け(更に確定コマンドを受け)た場合に、短縮連続回数を1増し、通常大当りによる大当り状態時等に図柄表示部において短縮連続回数を表示する等する。このような報知により、変動時間短縮状態の連続をアピールし、遊技を盛上げることができる。なお、短縮連続回数が一定値(例えば2,3あるいは5)以上となると、短縮連続回数を報知することもできる。
また、短縮連続回数が特別値(例えば2,3あるいは5)となることで、特定回数等を増加することもできる。あるいは、短縮連続回数に応じて、特定回数等を設定することもできる。これらの場合は、主制御基板側でも短縮連続回数を格納し、短縮連続回数から特定回数等を算出して、これに基づき減算カウンタを設定する等する。これらによっても、多彩で面白い遊技を提供することができる。
加えて、回数報知部と同様にして、確率変動連続回数・短縮連続回数等の回数についての履歴を表示する。すなわち、図柄表示CPU等は、特定大当りが連続した場合には、初期値1の確率変動連続回数を1増し、RAMに格納する等する。その後、通常大当りとなった場合には、この時点での確率変動連続回数をRAMの所定領域に保存しておく。また、再び特定大当りが連続した場合には、確率変動連続回数を更新し、所定領域中の別区域に保存する。そして、電源投入後の通算変動表示回数が設定値(例えば100回毎)となる等の設定条件を満たした場合には、保存された一部または全部の確率変動連続回数を時系列順等を基準として並べる等して、履歴を表示する。その他の回数についても同様である。
この回数についての履歴表示により、遊技を回想する楽しみを提供し、あるいは遊技を分析する情報を分り易く提供することができる。なお、同様にして、大当りに係る特別図柄またはこれを示す図柄(中特別図柄等)を履歴表示することができる。
1・・パチンコ機、2・・特別図柄、3・・図柄表示部、4・・図柄表示装置、5・・始動口、6・・大入賞口、20・・払出装置、22・・主制御基板、24・・サブ統合基板、32・・主CPU、36,37・・遊技球センサ、38・・ソレノイド、40・・サブCPU、42・・図柄表示CPU