JP4900745B2 - 演色性セラミック製品及び着色材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、昼と夜とで雰囲気を変えることができるように構成されたセラミック製の飲食器、光源によって変色するセラミック製のアクセサリーやファンシーグッズ等の演色性セラミック製品及びそのセラミック製品を着色するための着色材に関するものである。より詳しくは、太陽光、蛍光灯、白熱電球等の種々の外部光源を照射することによって、それぞれ異なった色調に変色して見えるように構成された演色性セラミック製品及び着色材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の演色性セラミック製品としては、例えば特開昭63−159247号公報に開示されているネオジムの陶磁器顔料への利用方法によって加飾された陶磁器が知られている。この陶磁器は、酸化ネオジムと酸化アルミニウムとを混合して所定の温度で焼成し、Nd22・Al23を合成し、それを微粉砕したものを、或いは下絵付け用顔料として、或いは色釉の着色用顔料として利用することにより製造される。そして、この陶磁器は、ネオジムの持つ特異な光の吸収特性を損なうことなく発色させることができることから、自然光と人工光とで色調が変化する性質である二色性が発揮される。
【0003】
また、特開平9−227253号公報には、陶磁器用上絵具の製造方法が開示されている。この方法は、シリカを30.0〜45.0重量%と酸化鉛45.0〜60.0重量%とを含有し、それらシリカ及び酸化鉛の合計量が85.0〜90.0重量%とされるとともに、その他にアルミナを0.5〜4.0重量%と酸化硼素を1.0〜4.0重量%と酸化カルシウムを0.5〜4.0重量%と酸化リチウムを1.0〜3.0重量%と酸化ジルコニウムを1.0〜3.5重量%とを含有して、全体で100重量%となるようにされたガラス組成物を、酸化性雰囲気中において1,000〜1,400℃の温度に加熱して急速溶融させ熟成させた後、その溶融物を急冷させ、得られた固形物を粉砕するものである。さらに、前記着色剤として、ガラス組成物100部に対して1.0〜15.0部の、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム及び酸化エルビウムからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の有色希土類元素酸化物を使用することができるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のネオジムの陶磁器顔料への利用方法では、酸化ネオジム及び酸化アルミニウムを一度高温で焼成した後に粉砕する工程が必要であった。また、前記従来の陶磁器用上絵具の製造方法においても同様に、前記ガラス組成物を急速溶融させ熟成させた後に粉砕する工程が必要であった。このため、前記粉砕時において不純物が混入する可能性が高いうえ、焼成や粉砕等の諸工程を行う必要があったことから、その製造に際して非常に多くの時間と手間を要する煩雑な作業が行われていた。
【0005】
この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、容易かつ安価に演色性を発揮させることができるように構成された演色性セラミック製品及び着色材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の演色性セラミック製品は、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子であって、平均粒子径が0.1μmより大きくかつ20μm以下の範囲内である微粒子を含有するセラミック原料を、所定形状に形成した後に、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明の演色性セラミック製品は、所定形状に形成されたセラミック成形体又は焼成体の表面に、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子であって、平均粒子径が0.1μmより大きくかつ20μm以下の範囲内である微粒子を含有する着色材を塗布した後、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明の着色材は、請求項2に記載の演色性セラミック製品を製造するために使用される着色材であって、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子であって、平均粒子径が0.1μmより大きくかつ20μm以下の範囲内である微粒子を含有し、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成して使用され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明の演色性セラミック製品は、エルビウムの酸化物の微粒子を含有するセラミック原料を、所定形状に形成した後に、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明の演色性セラミック製品は、所定形状に形成されたセラミック成形体又は焼成体の表面に、エルビウムの酸化物の微粒子を含有する着色材を塗布した後、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明の着色材は、請求項5に記載の演色性セラミック製品を製造するために使用される着色材であって、エルビウムの酸化物の微粒子を含有し、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成して使用され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の第1の演色性セラミック製品は、希土類元素酸化物の微粒子をセラミック原料中に添加して所定形状に形成した後に焼成することによって製造されたものである。また、本実施形態の第2の演色性セラミック製品は、希土類元素酸化物の微粒子を含有しないセラミック原料を所定形状のセラミック成形体又は焼成体に形成した後、希土類元素酸化物の微粒子を含有する着色材でそのセラミック成形体又は焼成体の表面を着色して焼成することによって製造されたものである。
【0011】
前記セラミック原料は、天然原料や人工的に作られた無機質固体材料から構成され、陶石、珪石、長石、粘土、ガラス等が挙げられる。また、前記焼成温度としては、通常のセラミック製品を焼成する際の焼成温度でよく、好ましくは500〜1650℃、より好ましくは700〜1350℃の範囲内である。これら第1及び第2の演色性セラミック製品は、例えば、陶磁器(陶器、磁器、せっ器、ボーンチャイナ等)、ファインセラミック(ジルコン、ムライト等)、ガラス(ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、石英ガラス等)、琺瑯、七宝、楽焼等の諸形態で利用される。なお、前記陶磁器及びファインセラミックは主に1000℃以上の温度で焼成され、陶磁器上絵付け、ガラス、琺瑯、七宝及び楽焼は主に1000℃未満の温度で焼成される。
【0012】
前記希土類元素酸化物は、第1及び第2のセラミック製品を着色して演色性を付与するために含有されている。前記演色性とは、分光分布の異なる光源を物体に照射したときに色の見え方が異なる現象を見せる性質を指し、例えば、太陽光、蛍光灯、白熱電球等の異なった種類の外部光源に照射されたとき、その光源の種類に応じてそれぞれ特有な色調に変化して見える性質である。さらに、この希土類元素酸化物は、前記外部光源の種類に応じて、即時的かつ可逆的に色調が変化するようになっている。
【0013】
前記希土類元素酸化物としては、ホルミウム(Ho)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)又はエルビウム(Er)の酸化物、すなわち酸化ホルミウム(Ho23)、酸化プラセオジム(Pr23)、酸化ネオジム(Nd23)又は酸化エルビウム(Er23)が使用される。或いは、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子を適宜混合して用いてもよい。さらに、この希土類元素酸化物としては、演色性が最も顕著に発揮されることから、ホルミウムの酸化物を使用するのが最も好ましい。
【0014】
この希土類元素酸化物の微粒子の平均粒子径としては、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.1μmより大きくかつ20μm以下、さらに好ましくは0.1μmより大きくかつ9μm以下の範囲内である。この希土類元素酸化物の微粒子の平均粒子径が0.01μm未満の場合には、第1の演色性セラミック製品中への微粒子の分散が極めて難しくなる。また、希土類元素酸化物の微粒子を0.01μm未満の平均粒子径に調製するのも非常に困難である。逆に前記平均粒子径が20μmを越える場合には、外部光源の種類に応じた色調の変化が小さくなり、充分な演色性を発揮させることができない。また、第1及び第2の演色性セラミック製品に含有される希土類元素酸化物の純度は、高い演色性を発揮させるために、95〜100%であるのが好ましく、99〜100%であるのがより好ましい。
【0015】
前記第1の演色性セラミック製品を製造する際にセラミック原料中に添加される希土類元素酸化物の含有量としては、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。このセラミック原料中の希土類元素酸化物の含有量が5重量%未満の場合には、セラミック製品に充分な演色性を発揮させることができない。逆に30重量%を越える場合には、焼成によりセラミック製品を作製することが困難になる。
【0016】
本実施形態の着色材は、前記ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子を含有している。この着色材を用いて第2の演色性セラミック製品を着色する方法としては、着色釉薬、下絵付け方法、上絵付け方法又はイングレーズ方法が挙げられる。
【0017】
着色釉薬による方法は、セラミック原料を所定形状に形成した後、約800〜1300℃の焼成温度で一度焼成したものに、無着色釉薬(基礎釉薬)中に金属酸化物や無機顔料を添加した釉薬(着色釉薬)を施釉し、さらに約1000〜1350℃で再度焼成することによってセラミック製品を着色する方法である。前記着色釉薬や、その釉薬中に添加される金属酸化物や無機顔料の特徴として重要なことは、焼成により溶融してセラミック製品を被膜すること、発色性が優れていること、焼成温度によって発色が変化し難いこと、基礎釉薬の種類によらず同様な発色をすること、複数の無機顔料を同時に添加することによって混色が可能であることが挙げられる。一般に、金属酸化物は高温では基礎釉薬中に溶け込んだり分解したりしやすいことから、金属酸化物自体の色を失ってしまう傾向が強い。このため、高温での焼成には複合酸化物からなる無機顔料を使用することが極めて多い。なお、前記希土類元素酸化物は、前記一般的な金属酸化物の短所を充分にカバーする性質を有している。
【0018】
下絵付け方法は、所定形状に形成されたセラミック原料を約800〜1000℃の低温で仮焼成した後、その表面に絵を付けて施釉し、さらに約1000〜1350℃の高温で焼成することによってセラミック製品を加飾する方法である。すなわち、この方法では、前記仮焼成されたセラミック原料の表面に、水又は所定の溶媒中に溶解又は分散された着色材(下絵具)を塗布することによって加飾される。この着色材(下絵具)において、水又は溶媒の重量を除いた希土類元素酸化物の含有量は、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜100重量%である。この着色材中の希土類元素酸化物の含有量が30重量%未満の場合には、着色材中の希土類元素酸化物の量が少なくなることから、希土類元素酸化物固有の色を目視することができなくなるおそれがある。
【0019】
上絵付け方法及びイングレーズ方法は、外表面にガラス層又は釉薬層を有するセラミック原料を一度500〜1350℃程度の温度で焼成した後、そのセラミックの表面に絵を付け、再度500〜1200℃程度の温度で焼成することによってセラミック製品を加飾する方法である。前記上絵付け方法に用いられる着色材(上絵具)としては、顔料が溶け込まず明確に発色させることが容易であることから、前記希土類元素酸化物とフリット原料と呼ばれるガラスとを混合した洋絵具が最も好適に用いられる。このフリット中の希土類元素酸化物の含有量は、好ましくは5〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%である。このフリット中の希土類元素酸化物の含有量が5重量%未満の場合には、充分な演色性を発揮させることができない。逆に30重量%を越える場合には、フリットを完全に溶解させることができないおそれがある。なお、人体への影響を低減させるために、前記フリット中には鉛が含有されていないのが好ましい。
【0020】
従って、上記実施形態の第1の演色性セラミック製品は、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子を含有するセラミック原料を、所定形状に形成した後に焼成することによって製造されたものである。また、本実施形態の第2の演色性セラミック製品は、所定形状に形成されたセラミック成形体又は焼成体の表面に、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子を含有する着色材を塗布した後、焼成することによって製造されたものである。また、本実施形態の着色材は、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子を含有するものである。このため、その希土類元素酸化物の光学的特性が発揮され、外部光源の種類に応じて極めて容易かつ安価に演色性を発揮させることができる。従って、昼と夜とで雰囲気を変えることができる飲食器、光源によって変色するアクセサリーやファンシーグッズ等の様々な付加価値の高い用途に容易かつ安価に利用することができる。
【0021】
一方、例えば特開平11−246219号公報では、Ho、Nd、Prのいずれかの酸化物からなり、平均粒子径が5〜100nmの範囲にある光変色性の超微粒子及びその製造方法について開示されている。この光変色性の超微粒子は、合成樹脂製品や合成繊維等の高温(500℃以上)での焼成を想定していない有機物中に含有されるように構成されていることから、原料時の超微粒子の色や光学的特性が製造後(成形後)においても容易かつ充分に保持され得る。しかしながら、前記酸化物は約550〜1000℃に転移温度が存在し、それ以上の高温では光変色性効果は著しく低下する。これに対して、一般にセラミック製品においては、500℃以上の高温での焼成過程が製造のために必要となってくることから、原料時の色や光学的特性が焼成後においてもそのまま保持されるケースは極めて稀であり、本発明者らの鋭意研究の結果、上記希土類元素酸化物が採用された。特に本実施形態においては、セラミックの主要成分である酸化ケイ素との共存により、添加された希土類元素酸化物の一部はケイ酸塩となって安定化され、光変色性の効果が500℃以上の高温でも充分に維持され得ることを見出した。また、前記従来の光変色性の超微粒子の製造方法も、本実施形態と比べると極めて複雑かつ多くの工程が必要である。さらに、これら演色性セラミック製品は、耐候性、耐光性及び耐薬品性が高いことから、食酢による酸や洗剤によるアルカリによる化学変化がほとんどないうえ、長期使用による色落ちがほとんど見られない。これら性質は、前記従来の光変色性の超微粒子を含有する合成樹脂製品及び合成繊維よりもより一層優れている。
【0022】
【実施例】
以下、前記実施形態を具体化した実施例について説明する。
(実施例1)
基礎釉薬として、インド長石48重量%、石灰石12重量%、亜鉛華8重量%、ニュージーランドカオリン8重量%及び珪石24重量%を配合したCa―Zn基礎釉薬(透明な釉薬)を準備した。続いて、このCa―Zn基礎釉薬に平均粒子径30nmの酸化ホルミウム微粒子(シーアイ化成社製)を添加して、酸化ホルミウムの含有量が5、10、15、20及び30重量%の異なる5種類のCa―Zn釉薬調合物を調製した。これら各調合物に適量の水を加え、磁製乳鉢を用いて充分に混合し、釉薬スラリーを調製した。次に、予め900℃で仮焼成された磁器タイルの表面に、前記各釉薬スラリーを塗布して乾燥させた後、1250℃酸化雰囲気中、12時間で昇温、1時間保持の条件で焼成することにより、演色性セラミックタイルを製造した。
【0023】
(実施例2)
基礎釉薬として、インド長石48重量%、石灰石12重量%、炭酸バリウム8重量%、ニュージーランドカオリン8重量%及び珪石24重量%を配合したCa―Ba基礎釉薬(透明な釉薬)を用いた以外は、前記実施例1と同様に演色性セラミックタイルを製造した。
【0024】
(実施例3)
基礎釉薬として、インド長石52重量%、石灰石13重量%、ニュージーランドカオリン9重量%及び珪石26重量%を配合したCa基礎釉薬(透明な釉薬)を用いた以外は、前記実施例1と同様に演色性セラミックタイルを製造した。
【0025】
(実施例4)
基礎釉薬として、インド長石48重量%、石灰石12重量%、炭酸ストロンチウム8重量%、ニュージーランドカオリン8重量%及び珪石24重量%を配合したCa―Sr基礎釉薬(透明な釉薬)を用いた以外は、前記実施例1と同様に演色性セラミックタイルを製造した。
【0026】
(実施例5)
基礎釉薬として、インド長石50重量%、石灰石12.5重量%、焼成タルク4.2重量%、ニュージーランドカオリン8.3重量%及び珪石25重量%を配合したCa―Mg基礎釉薬(透明な釉薬)を用いた以外は、前記実施例1と同様に演色性セラミックタイルを製造した。
【0027】
<演色性試験1>
実施例1〜5の全ての演色性セラミックタイルにおいて、酸化ホルミウムの含有量が20重量%以下の釉薬については完全に溶融して光沢のある表面が得られたが、30重量%の釉薬についてはタイルと釉薬との濡れ性が悪くなり、釉薬がうろこ状に点在した状態になった。従って、各釉薬の含有量が20重量%以下のタイル試料について、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D64光源(太陽光の測定光源)、F10光源(蛍光ランプの測定用光源:3波長形昼白色)、A光源(白熱電球の測定用光源)の3種類の光源に変えて測色を行った。それらの結果の一部を図1(a)に示す。なお、前記図面において、●はD65光源、■はF10光源、◇はA光源を照射したときの測色結果を示す。
【0028】
その結果、D65光源とA光源のL*値、a*値及びb*値は、いずれも比較的近い値になった。それに対して、F10光源の場合には、D65光源及びA光源に比べて、L*値とb*値は小さく、a*値は大きくなった。さらに、酸化ホルミウムの含有量が増すと、D65光源及びA光源のL*値及びF10光源のa*値が大きくなり、F10光源のb*値が小さくなった。ここで、L*値は色の明度を示し、a*値及びb*値は色度を表している。つまり、a*値及びb*値の変化が色の変化に影響し、その変化率が大きいほど演色性が高いことを意味する。酸化ホルミウム微粒子の含有量が10重量%以上では、F10光源と、D65光源(A光源)とのa*値及びb*値が大きく違っており、光源によって色が変化していることがわかった。
【0029】
次に、酸化ホルミウムの含有量が15重量%のときのa*値及びb*値の測色結果を利用して、光源の違いによる特性を示すグラフを作製した。これらの結果を図2に示す。なお、図2において、横軸にa*値をとり、縦軸にb*値をとった。また、図2において、実施例1のCa―Zn釉薬のD65光源の測色結果を▲、F10光源の測色結果を△、A光源の測色結果を半黒塗りの△でプロットし、実施例2のCa―Ba釉薬のD65光源の測色結果を●、F10光源の測色結果を○、A光源の測色結果を半黒塗りの○でプロットした。同様に、実施例3のCa釉薬のD65光源の測色結果を■、F10光源の測色結果を□、A光源の測色結果を半黒塗りの□でプロットし、実施例4のCa―Sr釉薬のD65光源の測色結果を▼、F10光源の測色結果を▽、A光源の測色結果を半黒塗りの▽でプロットし、実施例5のCa―Mg釉薬のD65光源の測色結果を◆、F10光源の測色結果を◇、A光源の測色結果を半黒塗りの◇でプロットした。
【0030】
その結果、同じ光源でのa*値及びb*値はほぼ同じ位置にあり、D65光源とA光源も近い位置にあることがわかった。ここで、a*値及びb*値より色度を調べると、D65光源やA光源は黄色を示し、F10光源ではピンク色を示していることがわかった。実際に、同試料は太陽光や白熱電灯の下では黄色を示し、3波長蛍光灯の下ではピンク色を示していた。
【0031】
(実施例6)
酸化ケイ素(SiO2)39.1重量%、酸化アルミニウム(Al23)7.9重量%、炭酸カルシウム(CaCO3)8.5重量%、炭酸マグネシウム(MgCO3)2.4重量%、酸化亜鉛(ZnO)0.7重量%、炭酸カリウム(K2CO3)1.3重量%、炭酸ナトリウム(Na2CO3)10.2重量%及びホウ酸(H3BO3)29.9重量%を秤量して混合し、1200℃で溶融した後に急冷及び粉砕し、さらに60メッシュの篩いを通すことによって、鉛を含まないフリット(無鉛フリット)原料を調製した。この無鉛フリット原料に平均粒子径30nmの酸化ホルミウム微粒子を添加して、酸化ホルミウムの含有量が5、10、20及び30重量%の異なる4種類の調合物を調製した。
【0032】
これら各調合物に、適量の水と1重量%のカルボキシメチルセルローズ(CMC)とを加え、磁製乳鉢を用いて充分に混合し、低火度用釉薬スラリーを調製した。なお、前記低火度釉薬は、700〜900℃の焼成温度で溶融するもので、一般に上絵具(洋絵具)として利用されている。次に、予め焼き締めによって作製しておいた硬質タイルの表面に各釉薬スラリーを塗布して乾燥させた後、800℃酸化雰囲気中、7時間昇温、1時間保持の条件で焼成することにより、演色性セラミックタイルを製造した。なお、これらの演色性セラミックタイルにおいては、酸化ホルミウム微粒子の含有量が20重量%以下のタイルの釉薬部は完全に溶融しており、光沢のあるガラス層が得られたが、30重量%添加したタイルの釉薬部は完全に溶融していないために光沢がなかった。次に、これら実施例6の各演色性セラミックタイルを、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源、F10光源、A光源の3種類の光源に変えて測色を行った。それらの結果を図1(b)に示す。なお、図1(b)において、●はD65光源、■はF10光源、◇はA光源を照射したときの測色結果を示す。
【0033】
その結果、どの光源でも酸化ホルミウムの含有量が10重量%以上でL*値は小さくなった。また、a*値は、酸化ホルミウムの含有量が増すほどD65光源及びA光源では小さく、F10光源では大きくなり、その差が広がった。一方、b*値は、酸化ホルミウムの含有量が10重量%以上ではあまり変化しなかった。これらの結果から、酸化ホルミウムの含有量が多くなるほど、光源の違いによる色度の変化が大きく、演色性が高くなったことがわかった。実際に、同試料は太陽光や白熱電灯の下では黄色を示し、3波長蛍光灯の下ではピンク色を示していた。
【0034】
(実施例7)
実施例6で調製した無鉛フリット原料に、平均粒子径30nmの酸化ホルミウム微粒子と、残光性蛍光体とを秤量して混合し、2種類の調合物を調製した。なお、前記2種類の調合物のうち一方の調合物には酸化ホルミウム10重量%と青緑色の残光性蛍光体(日亜化学工業社製)10重量%とが含有され、他方の調合物には酸化ホルミウム10重量%と赤色の残光性蛍光体(日亜化学工業社製)10重量%とが含有されている。これら各調合物に、適量の水と1重量%のCMCとを加え、磁製乳鉢を用いて充分に混合し、低火度用釉薬スラリーを調製した。なお、前記低火度釉薬は、700〜900℃の焼成温度で溶融するもので、一般に上絵具(洋絵具)として利用されている。次に、予め焼き締めによって作製しておいた硬質タイルの表面に各釉薬スラリーを塗布して乾燥させた後、800℃酸化雰囲気中、7時間昇温、1時間保持の条件で焼成することにより、演色性セラミックタイルを製造した。なお、これら演色性セラミックタイルの釉薬部は、いずれも完全に溶融しており、光沢のあるガラス層が得られていた。次に、これら実施例7の各演色性セラミックタイルを、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源、F10光源、A光源の3種類の光源に変えて測色を行った。測定されたL*値、a*値及びb*値を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004900745
その結果、2種類のタイルのa*値及びb*値より色度を調べると、D65光源及びA光源では黄色を、F10光源ではピンク色を示していた。実際に、同試料は太陽光及び白熱電灯の下では黄色を示し、3波長蛍光灯の下ではピンク色を示していた。さらに、これらのタイルを白色蛍光灯やブラックライトに照明して残光性蛍光体を励起した。照明停止後それぞれのタイルを暗闇で視認したところ、黄緑色と赤色が目視された。
【0036】
(実施例8)
平均粒子径30nmの酸化ホルミウム微粒子と、釜戸長石とをそれぞれ1対1の重量比で秤量し、適量の水とバインダー(1重量%のCMC)を加えて乳鉢で混合し、下絵具を調合した。次に、得られた下絵具を、予め900℃で仮焼成した磁器タイルの上に筆で塗布して乾燥させた。その後、実施例1〜4と同じ組成の釉薬を調製し、スラリーにして前記仮焼成タイル表面に塗布して乾燥させた。作製した4種類のタイルを1250℃酸化雰囲気中、12時間昇温、1時間保持の条件で焼成することにより、演色性セラミックタイルを製造した。なお、これらの演色性セラミックタイルの釉薬部は、いずれも完全に溶融しており、光沢のあるガラス層が得られた。次に、これら実施例8の各演色性セラミックタイルを、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源、F10光源、A光源の3種類の光源に変えて測色を行った。測色されたL*値、a*値及びb*値を表2に示すとともに、上記演色性試験1における光源の違いによる特性を示すグラフ(図2に示される)と同様のグラフを作製し、図3に示した。
【0037】
【表2】
Figure 0004900745
その結果、それぞれの光源では釉薬によるa*値及びb*値はほとんど差が見られなかった。また、D65光源及びA光源は、いずれも比較的近いa*値及びb*値を持ち、黄色の色度を示していた。一方、F10光源は、他の光源に比べてa*値が大きくb*値が小さくなり、ピンク色の色度を示していた。実際に、全てのタイルは太陽光や白熱電灯の下では黄色を示し、3波長蛍光灯の下ではピンク色を示していた。
【0038】
(実施例9)
実施例1と同じ組成のCa―Zn基礎釉薬を調合し、この基礎釉薬に、平均粒子径3μmの酸化ホルミウム微粒子(高純度化学研究所製)と、平均粒子径3μmの酸化ネオジム微粒子(高純度化学研究所製)とを添加し、表3に示される6種類の調合物を調製した。これら各調合物に水を適量加え、磁製乳鉢を用いて充分に混合し、釉薬スラリーを調製した。
【0039】
【表3】
Figure 0004900745
続いて、予め900℃で仮焼成された磁器タイルの表面に各釉薬スラリーを塗布して乾燥させた後、1250℃酸化雰囲気中、12時間昇温、1時間保持の条件で焼成することにより、演色性セラミックタイルを製造した。なお、これら全てのタイルの釉薬部は完全に溶融して光沢のある表面が得られた。次に、これら実施例9の各演色性セラミックタイルを、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源、F10光源、A光源の3種類の光源に変えて測色を行った。それらの結果(酸化ホルミウム及び酸化ネオジムの含有量と、光源によるL*値、a*値及びb*値との関係)を図4に示す。
【0040】
その結果、D65光源とA光源のL*値及びb*値は比較的同じ値であるが、a*値はA光源の方が少し高くなった。また、酸化ネオジムのみが添加されたタイルでは、D65光源及びA光源のa*値は、F10光源のそれに比べて大きな値となるが、酸化ホルミウムの配合割合が増すほどF10光源のa*値は急激に大きくなった。逆に、b*値は、酸化ネオジムのみが添加されたタイルの場合、F10光源で大きいが、酸化ホルミウムの配合割合が増すほどD65光源及びA光源での値が大きくなった。実際に、酸化ネオジムのみのタイルは、太陽光や白熱電灯の下では薄い藤色を示し、3波長蛍光灯の下では青色を示していた。また、酸化ホルミウムのみのタイルは、太陽光や白熱電灯の下では黄色を示し、3波長蛍光灯の下ではピンク色を示していた。また、両方を混合したタイルでは、太陽光や白熱電灯の下では灰色を示し、3波長蛍光灯の下では薄い赤紫色を示していた。
【0041】
(実施例10)
実施例1と同じ組成のCa―Zn基礎釉薬を調合し、この基礎釉薬に、平均粒子径7μmの酸化プラセオジム微粒子(高純度化学研究所製)を添加し、酸化プラセオジムの含有量が10重量%の調合物を調製した。この調合物に水を適量加え、磁製乳鉢を用いて充分に混合し、釉薬スラリーを調製した。次に、予め900℃で仮焼成された磁器タイルにこの釉薬スラリーを塗布して乾燥させた後、1250℃酸化雰囲気中、12時間昇温、1時間保持の条件で焼成することにより、演色性セラミックタイルを製造した。なお、このタイルの釉薬部は完全に溶融して光沢のある表面が得られた。次に、この実施例10の演色性セラミックタイルを、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源、F10光源、A光源の3種類の光源に変えて測色を行った。その結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004900745
表4の結果より、この実施例10の酸化プラセオジムのタイルは、太陽光や白熱電灯の下では薄い黄緑色を示し、3波長蛍光灯の下では薄い黄色を示したという実際に目視された結果と同様な結果が得られた。
【0043】
(実施例11)
実施例1と同じ組成のCa―Zn基礎釉薬を調合し、この基礎釉薬に、平均粒子径7μmの酸化エルビウム微粒子(信越化学工業社製)を添加し、酸化エルビウムの含有量が10重量%の調合物を調製した。この調合物を用いて実施例10と同様に演色性セラミックタイルを製造した。なお、このタイルの釉薬部は完全に溶融して光沢のある表面が得られた。次に、この実施例11の演色性セラミックタイルを、ミノルタ製分光測色計CM−3600dにて、D65光源、F10光源、A光源の3種類の光源に変えて測色を行った。その結果を表5に示す。
【0044】
【表5】
Figure 0004900745
表5の結果より、この実施例11の酸化エルビウムのタイルは、太陽光や白熱電灯の下ではピンク色を示し、3波長蛍光灯の下では薄いピンク色を示したという実際に目視された結果と同様な結果が得られた。
【0045】
(実施例12)
ソーダ石灰ガラスに平均粒子径30nmの酸化ホルミウム微粒子を塗布した後、分然バーナーを用いて500℃以上の高温で加熱溶解させることによって、酸化ホルミウム微粒子をソーダ石灰ガラス中に混合、分散させた。冷却後のガラス製品を観察すると、酸化ホルミウムがガラス中に溶解することなく分散されていたことがわかった。また、このガラス製品を各光源で観察したところ、ガラス中の酸化ホルミウム微粒子は、太陽光や白熱電灯の下では黄色を示し、3波長蛍光灯の下ではピンク色を示していた。
【0046】
(実施例13)
平均粒子径30nmの酸化ホルミウム微粒子を用いて、演色性に及ぼす酸化ケイ素の影響について検証した。まず、未焼成の酸化ホルミウム微粒子、1230℃で1時間焼成した酸化ホルミウム微粒子、及び酸化ホルミウム微粒子と酸化ケイ素とを同モル混合した混合物を1230℃で1時間焼成した3種類の試料粉末を準備した。続いて、各試料粉末を軽くプレス後、分光反射率計(村上色彩技術研究所製のCMS−5000)にセットし、380nmから730nmまでの波長の光を照射してスキャニングし、その分光反射率(%)を記録した。結果を図5に示す。
【0047】
その結果、各吸収ピークの分光反射率を比べると、概ね未焼成の微粒子よりも焼成した微粒子の反射率が大きくなっている、つまり吸収率が小さくなっていることが分かる。特に、酸化ホルミウムの演色性に大きく影響する540nm付近の吸収ピークにおいても焼成した微粒子の反射率が大きくなっており、焼成による演色性の低下が認められる。この演色性の低下について詳細に見ると、焼成された酸化ホルミウム微粒子は未焼成のものと比べて4割程度吸収率が低下している一方で、酸化ケイ素と混合された混合物については吸収率の低下が顕著に抑制されていることが分かる。この酸化ホルミウム微粒子の単斜晶から立方晶への転移温度が977℃であることを考え合わせると、酸化ホルミウム微粒子が1000℃以上の高温で焼成されたときの相転移時に演色性が著しく失われるが、その演色性の低下は酸化ケイ素の存在下で顕著に抑制され得る可能性が示唆された。
【0048】
また、前記焼成後の混合物試料をX線回折により調べた結果、ケイ酸ホルミウムが生成されていたことが確認された。さらに、酸化ケイ素がない状態で転移温度以下の800℃で焼成された酸化ホルミウム微粒子においても、未焼成の酸化ホルミウム微粒子及び酸化ケイ素の存在下で1230℃で焼成された酸化ホルミウム微粒子と比較して、いずれも目視による演色性の僅かな低下が認められた。従って、酸化ホルミウムは、酸化ケイ素の存在下で1000℃以上の高温(転移温度を超える高温)で焼成されることによって、極めて良好な演色性を発揮させることができることが強く示唆された。
【0049】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 希土類元素酸化物の微粒子をセラミック原料中に添加して所定形状に形成した後に焼成し、さらに希土類元素酸化物の微粒子を含有する着色材でそのセラミック製品の表面を着色し、再焼成することによって演色性セラミック製品を製造してもよい。
【0050】
・ 第1又は第2の演色性セラミック製品を製造するためのセラミック原料中に、非演色性のセラミック無機顔料又は金属酸化物を添加してもよい。或いは、第1又は第2の演色性セラミック製品を製造するため、セラミック製品の表面をさらに非演色性のセラミック無機顔料又は金属酸化物を含む着色材によって着色してもよい。或いは、第2の演色性セラミック製品を製造する際に使用される着色材中に、非演色性のセラミック無機顔料又は金属酸化物を同時に添加してもよい。
【0051】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する
【0053】
・ さらに非演色性のセラミック用顔料又は金属酸化物で加飾されたことを特徴とする前記演色性セラミック製品
【0054】
・ 陶磁器又はファインセラミックであることを特徴とする前記セラミック製品。このように構成した場合、酸化ケイ素の存在下で1000〜1650℃の焼成温度で焼成されることから、演色性セラミック製品に極めて良好な演色性を発揮させることができる。
【0056】
前記演色性セラミック製品を製造するために使用されるセラミック原料組成物であって、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子を含有し、所定形状に形成した後に焼成することによって、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする演色性セラミック原料組成物。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1、2、4、5に記載の発明の演色性セラミック製品及び請求項3、6に記載の発明の着色材によれば、容易かつ安価に演色性を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施例1のタイルの演色性試験1の測色結果を示すグラフ、(b)は実施例6のタイルの演色性試験における測色結果を示すグラフ。
【図2】 実施例1〜5のタイルの光源の違いによる特性を示すグラフ。
【図3】 実施例8のタイルの光源の違いによる特性を示すグラフ。
【図4】 実施例9のタイルの演色性試験における測色結果を示すグラフ。
【図5】 実施例13における分光反射率の測定結果を示すグラフ。

Claims (6)

  1. ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子であって、平均粒子径が0.1μmより大きくかつ20μm以下の範囲内である微粒子を含有するセラミック原料を、所定形状に形成した後に、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする演色性セラミック製品。
  2. 所定形状に形成されたセラミック成形体又は焼成体の表面に、ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子であって、平均粒子径が0.1μmより大きくかつ20μm以下の範囲内である微粒子を含有する着色材を塗布した後、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする演色性セラミック製品。
  3. 請求項2に記載の演色性セラミック製品を製造するために使用される着色材であって、
    ホルミウム、プラセオジム、ネオジム及びエルビウムから選ばれる少なくとも1種の希土類元素酸化物の微粒子であって、平均粒子径が0.1μmより大きくかつ20μm以下の範囲内である微粒子を含有し、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成して使用され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする着色材。
  4. エルビウムの酸化物の微粒子を含有するセラミック原料を、所定形状に形成した後に、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする演色性セラミック製品。
  5. 所定形状に形成されたセラミック成形体又は焼成体の表面に、エルビウムの酸化物の微粒子を含有する着色材を塗布した後、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成することによって製造され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする演色性セラミック製品。
  6. 請求項5に記載の演色性セラミック製品を製造するために使用される着色材であって、
    エルビウムの酸化物の微粒子を含有し、酸化ケイ素の存在下にて1000〜1650℃の焼成温度で焼成して使用され、外部光源の種類に応じて可逆的に変色することを特徴とする着色材。
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